JP3553758B2 - 漏れ電流測定用検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定装置の漏れ電流または絶縁抵抗を測定する際に、その被測定装置に対して所定の測定用交流を印加するための漏れ電流測定用検査装置に関し、特に、医用機器の漏れ電流を測定するのに適した漏れ電流測定用検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、治療や検査の際には、複数のME(Medical Electrical)機器が使用されている。例えば、図2に示すように、2台の心電計41,42と、心電計41の心電図をプリントアウトする1台のプリンタ43とを用いて患者の心電計を測定する場合がある。この場合において、心電計42またはプリンタ43に絶縁抵抗の劣化などの故障が生じた場合、商用電源が、故障した心電計42やプリンタ43から漏洩することがある。具体的には、心電計42が故障した場合には、心電計42から漏洩した漏れ電流は、心電計42の装着部42a,患者K1の身体、心電計41の装着部41a、心電計用41の電源トランス44、および電源トランス44の絶縁抵抗RZを介して接地線に流出する。また、プリンタ43が故障した場合には、プリンタ43から漏洩した漏れ電流は、心電計41の入出力端子41b、心電計41の筐体、装着部41c、および患者K2の身体を介して、接地線に流出する。この結果、ME機器の故障に起因する漏れ電流によって、患者K1,K2が感電するという重大な事態を招くことがある。このため、ME機器の漏れ電流を定期的に測定し、許容値以下であることを確認する必要がある。このような漏れ電流を測定する際には、例えば、図3に示す漏れ電流測定システムが用いられている。
【0003】
同図に示す漏れ電流測定システムでは、漏れ電流測定用検査装置51および2つの漏れ電流計52,53が用いられている。ここで、漏れ電流測定用検査装置51は、例えば100Vの商用交流を110Vまで昇圧することにより測定用交流を生成する昇圧トランス54を内蔵しており、生成した測定用交流を、故障したME機器から漏洩する漏れ電流に代えて出力する。すなわち、漏れ電流測定用検査装置51は、図2における故障した心電計42およびプリンタ43を置換する機能を有している。また、漏れ電流計52,53は、患者K2,K1の身体抵抗を置換する疑似抵抗としてそれぞれ機能し、漏れ電流の漏洩経路中に直列接続されている。
【0004】
次に、この測定系における漏れ電流測定の方法について説明する。なお、ME機器の漏れ電流測定における測定項目および許容値は、IEC601−1およびJIST1001.1992などの規定規格によって様々に定められているが、ここでは、その一例を説明する。
【0005】
まず、心電計41がIEC規格に規定するB型装着部を有するME機器の場合には、プリンタ43に接続される心電計41の信号入出力端子41bに漏れ電流測定用検査装置51の鰐口クリップ61を接続し、かつ、漏れ電流計52の入力側鰐口クリップ62を心電計41の装着部41cに接続すると共に、接地線に接続した鰐口クリップ63を漏れ電流計52の出力部に接続する。次いで、漏れ電流測定用検査装置51の手元スイッチ55をオンさせる。これにより、測定用交流の電流I1が、手元スイッチ55、鰐口クリップ61、信号入出力端子41b、装着部41c、入力側鰐口クリップ62、および漏れ電流計52の内部抵抗71を介して接地線に流出する。この結果、漏れ電流によって内部抵抗71の両端に電圧が発生するため、内部電圧計72によって漏れ電流を測定することができる。なお、この測定項目における漏れ電流の許容値は、5mA以下に規定されているため、漏れ電流測定用検査装置51は、電流制限抵抗57を介在させずに出力する。
【0006】
一方、心電計41がIEC規格に規定するCF型装着部を有するME機器の場合には、漏れ電流計53の入力部に鰐口クリップ64を接続し、かつ漏れ電流計53の出力側鰐口クリップ65を心電計41の装着部41aに接続する。次いで、手元スイッチ56をオンさせる。これにより、測定用交流の電流I2が、漏れ電流測定用検査装置51の電流制限抵抗57、手元スイッチ56、鰐口クリップ64、漏れ電流計53の内部抵抗73、出力側鰐口クリップ65、装着部41a、および電源トランス44の絶縁抵抗RZを介して接地線に流出する。この結果、漏れ電流によって内部抵抗73の両端に電圧が発生するため、内部電圧計74によって漏れ電流を測定することができる。なお、この測定項目における漏れ電流の許容値は、50μA以下に規定されているため、漏れ電流測定用検査装置51では、電流制限抵抗57を介して測定用交流を出力する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の漏れ電流測定用検査装置51には、以下の問題点がある。
すなわち、漏れ電流測定用検査装置51から出力される測定用交流が電流制限抵抗57を介して出力される場合には、電流制限されているため危険な事態を招くことはない。一方、使用時における破損や、長年の使用による樹脂の劣化などに起因して、手元スイッチ55のケースや押し釦部分などの絶縁抵抗が低下することがある。この場合、手元スイッチ55には、AC110Vの測定用交流が導通している。このため、測定者が手元スイッチ55を操作したときに、測定用交流が人体を導通することによって、感電事故を引き起こすおそれがあるという問題点がある。
【0008】
この場合、感電事故を防止するために、保護用の電流制限抵抗を昇圧トランス54の出力巻線と手元スイッチ55との間にも直列接続することが考えられる。ところが、電流制限抵抗を10KΩ程度に設定し、人体を流れる測定用交流の電流を5mA程度に制限する場合、漏れ電流の測定において測定用交流が5mA流れると、電流制限抵抗による電圧降下が50V(10kΩ×5mA)となる。このため、心電計41などの被測定装置には、60V程度しか印加することができない結果、正確な漏れ電流測定が不可能になってしまう。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、測定用交流の電圧値を一定に維持しつつ、感電事故を防止することが可能な漏れ電流測定用検査装置を提供することを主目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の漏れ電流測定用検査装置は、商用交流に基づいて生成した測定用交流を、自動復帰型の手動スイッチが操作されてオン状態になったときに被測定装置に印加可能に構成されている漏れ電流測定用検査装置において、商用交流または測定用交流を整流することにより直流を生成する整流手段と、セットコイルが励磁されたときに測定用交流を被測定装置に出力し、かつリセットコイルが励磁されたときに測定用交流の出力を停止する2巻線型のラッチングリレーと、手動スイッチが操作されないオフ状態のときにリセットコイル、電流制限用抵抗、手動スイッチのブレーク接点および可動接点を介して入力された直流によって充電され、かつ手動スイッチがオン状態のときに手動スイッチの可動接点、メーク接点、電流制限用抵抗およびセットコイルを介して放電する電荷蓄積手段とを備えていることを特徴とする。
なお、整流手段は、正電圧および負電圧のいずれの電圧の直流を生成してもよい。また、本発明における「漏れ電流測定」には、漏れ電流のみの測定、および絶縁抵抗を測定する場合における間接的な漏れ電流の測定が含まれる。
【0011】
この漏れ電流測定用検査装置では、装置電源が投入されると、整流手段が、商用交流または測定用交流を整流することにより直流を生成する。この場合、手動スイッチは、自動復帰型で構成されているため、オフ状態のときには、可動接点とブレーク接点とが接触状態になっている。したがって、電荷蓄積手段は、ラッチングリレーのリセットコイル、手動スイッチのブレーク接点、および可動接点を介して入力された直流によって充電される。この際、直流が流れることによってリセットコイルが励磁される結果、ラッチングリレーは、オフ状態になり、測定用交流の出力を停止する。一方、手動スイッチがオン状態に操作されると、電荷蓄積手段は、手動スイッチの可動接点、メーク接点、およびセットコイルを介して放電する。この際、セットコイルが励磁されるため、ラッチングリレーは、オン状態に維持される結果、測定用交流を継続して出力する。これらの場合において、手動スイッチは、測定用交流を直接オン/オフするのではなく、整流手段によって生成された直流の導通を制御するため、手動スイッチの操作時における感電事故を防止することが可能となる。また、手動スイッチのオン操作時には、電荷蓄積手段に蓄積された電荷に基づいてラッチングリレーを作動させるため、測定用交流の電圧値に影響を与えない結果、正確な漏れ電流測定を行うことが可能となる。
【0012】
請求項2記載の漏れ電流測定用検査装置は、請求項1記載の漏れ電流測定用検査装置において、整流手段の出力部に配設され直流を平滑するためのコンデンサを備えていることを特徴とする。
【0013】
整流手段によって生成された脈流によってラッチングリレーのリセットコイルを励磁させることも可能である。一方、脈流によってリセットコイルを励磁する場合には、ラッチングリレーの動作が不安定になることもある。この漏れ電流測定用検査装置では、コンデンサが脈流を平滑することにより、平滑された直流によってセットコイルおよびリセットコイルが励磁される結果、ラッチングリレーを確実に作動させることが可能となる。
【0014】
請求項3記載の漏れ電流測定用検査装置は、請求項1または2記載の漏れ電流測定用検査装置において、電荷蓄積手段はコンデンサであることを特徴とする。
【0015】
電荷蓄積手段は、充電型の電池によって構成することも可能である。一方、ラッチングリレーは、通常数十mSで作動する。したがって、コンデンサの充放電電流によってリセットコイルおよびセットコイルを確実に励磁することができ、かつ、電池によって構成した場合と比較してコストダウンを図ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る漏れ電流測定用検査装置を、IEC601−1およびJIST1001.1992などの規定に従って被測定装置の漏れ電流測定を行う際に被測定装置に測定用交流を印加するための交流出力装置に適用した実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、交流出力装置1の回路図を示している。同図に示すように、交流出力装置1は、例えば100Vの商用交流を供給するアウトレット2に接続可能なACプラグ3と、ACプラグ3から出力される商用交流を入り切りするためのブレーカ4と、ブレーカ4を介して入力された商用交流を110Vまで昇圧する電圧変換用のトランス5と、トランス5の出力巻線5bから出力された測定用交流の出力制御を行うための出力制御部6と、測定用交流の出力電流値を検出するためのカレントトランス7と、カレントトランス7によって検出された出力電流が所定電流値を超えたときにブレーカ4を遮断状態に制御する出力遮断部8とを備えている。また、交流出力装置1には、出力制御部6から出力された測定用交流を被測定装置に印加する際に被測定装置の所定の部位に接続される鰐口クリップ9と,接地線に接続される鰐口クリップ10と、測定用交流の出力を手動によってオン/オフするための手元スイッチ11とが設けられている。なお、手元スイッチ11は、押しボタンを押している間のみ測定用交流が出力されるように、安全面の観点から、モーメンタリ(自動復帰)型スイッチによって構成されている。
【0018】
ブレーカ4は、両極切りタイプのものであって、交流出力装置1の主電源スイッチとしても機能する。具体的な機能としては、ブレーカ4は、図外のレバーを投入すると、可動接点4a1,4a2が固定接点4b1,4b2にそれぞれ接触することにより商用交流を装置内に供給し、レバーを復帰させると、可動接点4a1,4a2と固定接点4b1,4b2とがそれぞれ非接触になることにより商用交流の装置内への供給を停止する。また、ブレーカ4は、鰐口クリップ9を介して被測定装置に供給される測定用交流の電流値が所定値を超えたときには、コイル4c1,4c2が励磁されることにより、可動接点4a1,4a2のオン状態を自動的に解除して商用交流の供給を停止する。
【0019】
トランス5は、入力巻線5aと出力巻線5bとの巻数被が10対11に設定されており、100Vの商用交流を、被測定装置の通常入力電圧の110%である110Vまで昇圧するのに適した簡易な構成となっている。なお、電圧変換トランスとしては、これに限定されるものではなく、被測定装置の定格電圧または最大定格電圧の110%まで昇圧できるように構成したり、200Vの商用交流を110Vまで降圧できるように構成したりしてもよい。また、被測定機器の定格電圧がAC200Vの場合には、AC200Vの商用交流をAC220Vに昇圧するトランスを用いることもできる。さらに、トランス5は、電圧調整用の複数のタップを入力巻線5aおよび出力巻線5bにそれぞれ設けることにより、入力電圧がAC100V〜AC250Vまで許容可能で、かつ、任意の電圧値の測定用交流を出力可能に構成してもよい。
【0020】
出力制御部6は、トランス5の出力巻線5bから出力される測定用交流の極性を切り替えるための極性切替スイッチ21と、本発明における整流手段に相当し測定用交流を整流して直流を生成するダイオードブリッジ22と、2巻線型のラッチングリレー23と、電流制限用の抵抗24と、カレントトランス7の一次巻線7aと鰐口クリップ9との間を抵抗24を介して接続するか、または短絡するかを制御するためのスイッチ25と、平滑用のコンデンサ26と、電荷蓄積用のコンデンサ27と、電流制限用の抵抗28,29とを備えている。
【0021】
カレントトランス7は、抵抗値が例えば2kΩの電流検出用の可変抵抗30を二次巻線7bに並列接続して構成されている。このカレントトランス7では、可変抵抗30を可変することによって、一次巻線7aに流れる測定用交流の電流値に対する二次巻線7bの誘起電圧を可変することができ、これにより、経年変化に起因して出力遮断部8における検出信号SPの誘起電圧に対する出力タイミングがずれた場合に、そのずれを補正することができる。なお、カレントトランス7は、可変抵抗30が中間抵抗値である1kΩのときに、一次巻線7aに6mArmsの交流電流が流れると電流検出用可変抵抗30の両端に6mVrmsの電圧を誘起させる。
【0022】
出力遮断部8は、カレントトランス7の二次巻線7bに誘起された誘起電圧を差動増幅する差動増幅回路31と、差動増幅回路31から出力された増幅信号と基準電圧源32の基準電圧とを比較して増幅信号の電圧値が基準電圧を超えたときに検出信号SPを出力する比較回路33と、ブレーカ4のコイル4c1,4c2を介して入力される商用交流を全波整流するダイオードブリッジ34と、平滑用のコンデンサ35と、直流を生成して比較回路33、差動増幅回路31および基準電圧源32に出力する電源回路36と、コンデンサ35を短絡するためのサイリスタ37とを備えて構成されている。
【0023】
この出力遮断部8では、可変抵抗30の両端に約6mVrms以上の電圧が誘起されると、差動増幅回路31によって差動増幅された増幅信号の電圧値が基準電源32の基準電圧の電圧値を超え、これにより、比較回路33が検出信号SPを出力する。検出信号SPが出力されると、サイリスタ37が作動することにより、コンデンサ35の両端が短絡される。このため、ダイオードブリッジ34の負荷が重くなる結果、ブレーカ4のコイル4C1,4C2に十分な動作電流が導通する。これにより、ブレーカ4がリセットされて可動接点4a1,4a2と固定接点4b1,4b2とがそれぞれ非接触状態になる。つまり、この出力遮断部8は、可変抵抗30の両端に約6mVrms以上の電圧が誘起すると、サイリスタ37によって回路内の消費電流を飛躍的に増大させることにより、ブレーカ4をリセットし、これにより、商用電源の装置内への入力を遮断する。なお、商用電源の入力が遮断された後は、サイリスタ37が非導通状態になるため、ブレーカ4を再投入した際には、可変抵抗30の両端に約6mVrms以上の電圧が再度誘起されない限り、測定用交流を通常通りに出力する。
【0024】
次に、交流出力装置1における全体的な動作について説明する。
【0025】
まず、ブレーカ4を投入することにより、商用電源がトランス5の入力巻線5aを導通し、これにより、トランス5の出力巻線5bに所定電圧の測定用交流が出力される。この場合、極性切替スイッチ21を切り替えることにより、出力巻線5bから出力される測定用交流の極性を簡単に切り替えることができる。測定用交流は、ダイオードブリッジ22によって整流された後にコンデンサ26によって平滑される。次いで、平滑された直流が、ラッチングリレー23のリセットコイル23a、抵抗28、手元スイッチ11のブレーク接点11a、および可動接点11cを介してコンデンサ27に流入することにより、コンデンサ28が充電される。したがって、コンデンサ27が充電されている期間内では、リセットコイル23aが励磁される結果、ラッチングリレー23がリセットされる。なお、同図は、ラッチングリレー23がリセットされている状態を示している。
【0026】
次に、手元スイッチ11がオン状態に操作されると、メーク接点11bと可動接点11cとが接触することにより、コンデンサ27に蓄積されている電荷が、可動接点11c、メーク接点11b、抵抗29、およびラッチングリレー23のセットコイル23bを介して放電される。この結果、セットコイル23bが励磁され、ラッチングリレー23はセット状態になる。これにより、リレー接点23c,23dが接触状態を維持する結果、測定用交流が、トランス7の一次巻線7aを介して鰐口クリップ9に継続して出力される。この場合、シングルスティブル型のリレーを使用したとすれば、リレーをオン状態にしている状態では、コイルに電流が流れることによりトランス5の出力巻線5bの巻線抵抗による交流の電圧降下生じるのに対し、この実施形態における交流出力装置1では、測定用交流を出力している間においては、トランス5の出力巻線5b側での電圧低下を生じないため、一定電圧の測定用交流を安定して出力することができる。また、手元スイッチ11には測定用交流が導通していないため、極めて安全に操作することができる。
【0027】
また、漏れ電流許容値が50μA以下の測定項目について測定する場合には、切替スイッチ25を操作して可動接点25cを固定接点25aに接触させることにより、測定用交流は、電流制限用の抵抗24を介して出力される。この場合、抵抗24の抵抗値を10kΩ程度にすることにより、漏れ電流許容値の上限値である50μAの測定用交流が流れたとしても、抵抗24による電圧降下が0.5Vに止まる結果、電圧値を低下させることなく測定用交流を出力することができる。一方、漏れ電流許容値が5mA以下の測定項目について測定する場合には、切替スイッチ25を操作して可動接点25cを固定接点25bに接触させることにより、測定用交流は、抵抗24を介さないで出力される。
【0028】
一方、測定者が、誤って鰐口クリップ9に手などを触れた場合には、測定用交流が人体を導通する。この場合、人体に危険を及ぼすおそれのある約6mA以上の電流が流れると、可変抵抗30の両端に6mV以上の誘起電圧が発生する。したがって、差動増幅回路31によって増幅された増幅信号が基準電源32の基準電圧を超えるため、比較回路33が検出信号を出力する。この結果、サイリスタ27が導通することによって、商用交流が、ブレーカ4のコイル4c1,4c2を導通することにより、ブレーカ4が遮断される。この場合、出力遮断部8は、約6mA以上の測定用交流が流れた時から23mS以下の応答時間でブレーカ4を遮断する。このため、人体抵抗が500Ω程度とした場合でも心室細動という危険状態を招くことがなく、極めて高い安全性が確保されている。
【0029】
なお、本実施形態では、上記実施形態に示した構成に限定されない。例えば、本発明に係る漏れ電流測定用検査装置は、漏れ電流を測定する検査装置に限らず、高電圧の交流や直流を出力する電源装置および検査装置などに適用が可能である。また、本実施形態では、ダイオードブリッジ22がトランス5の出力巻線5b側に配設されて測定用交流を整流しているが、トランス5の入力巻線5a側に配設し、商用交流を整流してもよい。また、ダイオードブリッジ22は、負電圧の直流を生成してもよく、その場合には、ダイオードブリッジの接続およびコンデンサ26,27の極性を変更すればよい。
【0030】
また、本発明におけるラッチングリレー23についても、トランス5の入力巻線5a側に配設し、トランス5に対して商用交流の出力を遮断することにより、測定用交流の被測定装置への出力を停止するように構成してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の漏れ電流測定用検査装置によれば、手動スイッチによって直流をオン/オフすることにより測定用交流の出力を制御することができる結果、手動スイッチの操作時における感電事故を防止することができる。また、手動スイッチのオン操作時には、電荷蓄積手段に蓄積された電荷に基づいてラッチングリレーを作動させるため、測定用交流の電圧値に影響を与えない結果、正確な漏れ電流測定を行うことができる。また、手動スイッチが操作されないオフ状態のときに、リセットコイル、電流制限用抵抗、手動スイッチのブレーク接点および可動接点を介して直流が電荷蓄積手段に流入することにより、商用交流または測定用交流の入力時においてリセットコイルを励磁させてラッチングリレーを確実にオフ状態にさせることができ、その結果、商用交流または測定用交流の入力開始後から手動スイッチのオン操作までの間における測定用交流の出力を確実に停止させることができる。
【0032】
また、請求項2記載の漏れ電流測定用検査装置によれば、整流手段の出力部に配設したコンデンサが脈流を平滑することにより、平滑された直流によってセットコイルおよびリセットコイルが励磁される結果、ラッチングリレーを確実に作動させることができる。
【0033】
さらに、請求項3記載の漏れ電流測定用検査装置によれば、電荷蓄積手段をコンデンサで構成したことにより、リセットコイルおよびセットコイルを確実に励磁することができると共に、電池によって構成した場合と比較してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る交流出力装置の回路図である。
【図2】ME機器が故障した際に漏れ電流が漏洩する経路を説明するための治療用検査システムの一例における構成概略図である。
【図3】従来の漏れ電流測定用検査装置を使用した漏れ電流測定システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1 交流出力装置
11 手元スイッチ
11a ブレーク接点
11b メーク接点
11c 可動接点
22 ダイオードブリッジ
23 ラッチングリレー
23a リセットコイル
23b セットコイル
26 コンデンサ
27 コンデンサ
Claims (3)
- 商用交流に基づいて生成した測定用交流を、自動復帰型の手動スイッチが操作されてオン状態になったときに被測定装置に印加可能に構成されている漏れ電流測定用検査装置において、
前記商用交流または前記測定用交流を整流することにより直流を生成する整流手段と、セットコイルが励磁されたときに前記測定用交流を前記被測定装置に出力し、かつリセットコイルが励磁されたときに当該測定用交流の出力を停止する2巻線型のラッチングリレーと、前記手動スイッチが操作されないオフ状態のときに前記リセットコイル、電流制限用抵抗、当該手動スイッチのブレーク接点および可動接点を介して入力された前記直流によって充電され、かつ前記手動スイッチがオン状態のときに当該手動スイッチの可動接点、メーク接点、電流制限用抵抗および前記セットコイルを介して放電する電荷蓄積手段とを備えていることを特徴とする漏れ電流測定用検査装置。 - 前記整流手段の出力部に配設され前記直流を平滑するためのコンデンサを備えていることを特徴とする請求項1記載の漏れ電流測定用検査装置。
- 前記電荷蓄積手段はコンデンサであることを特徴とする請求項1または2記載の漏れ電流測定用検査装置。
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