JP3552553B2 - 平面状ヒートパイプ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面状ヒートパイプの製造方法に係り、特に、パソコン用CPU等の半導体素子用ヒートシンクなどに用いられ、薄型・大面積の平面状ヒートパイプの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の平面状ヒートパイプとして、以下のようなものが挙げられる。
【0003】
▲1▼ 図14(a),(b)に示すように、金属管の一端に封止部72、他端に作動液封入ノズル73を有する円筒状のヒートパイプを作製した後、プレス等の手段によってパイプの外壁面の一部が平行面となるように成形加工を施して偏平ヒートパイプ71とし、その偏平ヒートパイプ71を複数本(図14中では6本)並べて集熱板74と接合してなる平面状ヒートパイプ。
【0004】
▲2▼ 図15(a),(b)に示すように、加工が容易なアルミ(又はアルミ合金)を用いて偏平多孔管81を押出加工し、その偏平多孔管81の一端に封止材82、他端にヘッダ部材83を介して作動液封入ノズル84を取り付けてなる平面状ヒートパイプ。
【0005】
▲3▼ 図16(a),(b)に示すように、アルミ又は銅を素材としてロールボンド法などを用いて作製した蛇行流路91を有する容器材料94を使用し、蛇行流路91の一端を封止材92で封止すると共に、他端に作動液封入ノズル93を取付けてなる平面状ヒートパイプ。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した▲1▼〜▲3▼の平面状ヒートパイプには以下に示すような問題があった。
【0007】
▲4▼ ▲1▼の平面状ヒートパイプは、作動液の蒸気圧と偏平ヒートパイプ71の平面壁の強度の関係から、偏平ヒートパイプ71のアスペクト比(幅/厚さ)を大きく取ることができないため、幅の狭い偏平ヒートパイプ71しか作製することができず、大面積の平面状ヒートパイプを作製しようとする場合、多数本の偏平ヒートパイプ71を使用しなければならない。また、殆どの工業的用途においては、平面状ヒートパイプの少なくとも一面は平滑面である必要があるが、偏平ヒートパイプ71を多数本並べても平滑面は得られないため、別の金属平板(集熱板74)と接合しなければならず、平面状ヒートパイプの製造コストの高騰を招くという問題があった。
【0008】
▲5▼ ▲2▼の平面状ヒートパイプは、押出加工装置の制約から、作製可能な集合ヒートパイプ81の最小厚さと最大幅に制限があり、また、集合ヒートパイプ81の端末の加工に手間が掛かるため、製造コストの高騰を招くという問題があった。
【0009】
▲6▼ ▲3▼の平面状ヒートパイプは、アルミを素材とする冷蔵庫用の均熱材等に実用化されているが、蛇行流路91として細い作動液流路の形成が困難であるため容器材料94の厚さが厚くなり、半導体素子のような小さな部材の冷却には適さない。また、蛇行流路91の内面が平滑であるためウィック力が小さく、水平状態〜トップヒート状態での作動が期待できないという欠点があった。ここで、銅を素材とする同様なヒートパイプも作製されているが、こちらも寸法および重量が大きいため、半導体素子の冷却には適していない。
【0010】
そこで本発明は、上記課題を解決し、薄型で、かつ、大面積な平面状ヒートパイプを低コストで製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、密閉された作動液流路内に、作動液と作動液の蒸気を満たした平面状ヒートパイプの製造方法において、浅溝部と深溝部からなる異形断面溝が形成された金属平板の溝形成面とカバー用金属平板を、上記両金属平板の相対する面に、予め、接合用金属の層を形成しておくと共に、少なくともどちらか一方の面に接合用金属製のスペーサを配置した状態で相対させ、その後、所定密度の作動液蒸気中、両金属平板の温度を作動液蒸気の飽和温度以上の温度に保った状態で、両金属平板を接近・接触させると共に、接合面を金属的に接合して作動液流路の形成と作動液流路内への作動液および作動液蒸気の封入を同時に行う方法である。
【0012】
請求項2の発明は、両金属平板が接近する方向に圧力を加えて上記接合面を金属的に接合する請求項1記載の平面状ヒートパイプの製造方法である。
【0013】
請求項3の発明は、両金属平板が接近する方向に圧力を加え、両金属平板に超音波を付与して上記接合面を金属的に接合する請求項1記載の平面状ヒートパイプの製造方法である。
【0021】
以上の製造方法によれば、毛細管作用を有した作動液流路を有する薄型・大面積な平面状ヒートパイプを、製造容易に、かつ、安価に作製することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図13に示すように、横断面が三角形の微細な作動液流路61を有するヒートパイプは、作動液流路61の各頂点近傍で毛細管現象が生じ、作動液流路61の各頂点近傍は作動液Lが流れる液流路62となると共に、作動液流路61の中央部は作動液蒸気Sが流れる蒸気流路63となり、ヒートパイプとして作動可能となる。このようなヒートパイプがGroverによって提唱されており、一般に、「マイクロヒートパイプ」として知られている。
【0024】
本発明者らは、このマイクロヒートパイプの作動原理を利用し、毛細管作用を有し、かつ、液流路と蒸気流路が明確に区分された平面状ヒートパイプの発明に至った。
【0025】
本発明の平面状ヒートパイプの横断面図を図1に、本発明の平面状ヒートパイプの上面図の一例を図3乃至図6に示す。ここで、図1(b)は、図1(a)の要部拡大図である。
【0026】
図1(a),(b)に示すように、本発明の平面状ヒートパイプ10は、表面が平滑な金属平板1の片面に浅溝部3と深溝部4からなる異形断面溝5を形成し、その金属平板1の溝形成面に、表面が平滑な蓋板(カバー用金属平板)2を接合し、異形断面溝5と蓋板2で形成される密閉空間を作動液Lと作動液蒸気Sを封入するための作動液流路6としたものである。
【0027】
金属平板1および蓋板2の構成材としては、例えば、銅などが挙げられるが、特に限定するものではない。
【0028】
異形断面溝5は金属平板1の端面に連通しないように、すなわち、その異形断面溝5の一部が金属平板1の端面に臨むことがないように形成されており、その溝数は任意(図1(a)中では5個)である。異形断面溝5の深溝部4と蓋板2で形成される空間が作動液蒸気Sを流すための蒸気流路となると共に、浅溝部3と蓋板2で囲まれた空間が作動液Lを流すための液流路となる。尚、異形断面溝5の形成方法は特に限定するものではない。
【0029】
また、各異形断面溝5を異形断面連結溝(図示せず)で連結し、図6に示すように、各作動液流路6が連結流路7で連結された一体型作動液流路8としてもよい。
【0030】
さらに、異形断面溝5の浅溝部3は深溝部4の長手方向に沿って少なくとも1つあればよく、また、浅溝部3および深溝部4の横断面形状は特に限定するものではない。
【0031】
また更に、作動液流路6(異形断面溝5)の形状は、図3乃至図6に示すように、直線状、湾曲直線状、同心円状、放射状であってもよく、特に限定するものではない。
【0032】
すなわち、本発明の平面状ヒートパイプ10によれば、金属平板1に形成された異形断面溝5と蓋板2で形成される密閉空間を作動液流路6としているため、ウィック力が大きく、薄型で、大面積な平面状ヒートパイプを得ることができる。
【0033】
また、作動液流路6内に封入する作動液Lおよび作動液蒸気Sは、作動液流路6の形成時に同時封入されるため、作動液流路6に特定の作動液封入部を設ける必要がない。
【0034】
さらに、各作動液流路6がそれぞれ独立した状態であっても平面状ヒートパイプ10の平面内の温度分布は小さいが、各作動液流路6を連結流路7で連結させて一体型作動液流路8とすることで、更に温度分布を小さくすることが可能となる。
【0035】
また更に、本発明の平面状ヒートパイプ10を作製した後、その平面状ヒートパイプ10に対して曲げ加工や穴開け加工などを施すことが可能である。
【0036】
次に、本発明の平面状ヒートパイプの製造に用いる装置を説明する。
【0037】
本発明の平面状ヒートパイプの製造装置の一例を示す模式図を図9に、図9の部分拡大図を図10に示す。
【0038】
図9および図10に示すように、本発明の平面状ヒートパイプの製造装置は、上側加熱・冷却板21と、上側加熱・冷却板21に相対して設けられた下側加熱・冷却板22と、上側の加熱・冷却板22全体を覆うと共に、パッキン29を介して下側の加熱・冷却板22上に取外し自在に取り付けられた逆深皿状の上部構造体25と、その上部構造体25と一体に設けられた加圧装置26で主に構成されている。ここで、上部構造体25と下側の加熱・冷却板22とで囲まれた空間がチャンバー27を形成する。
【0039】
上側の加熱・冷却板21は、ベロー28を介して上部構造体25に支持されており、上下動自在に設けられている。また、上側の加熱・冷却板21および下側の加熱・冷却板22内には、熱媒循環流路23,24が形成されている。
【0040】
熱媒循環流路23の一端にはベロー30aを備えた熱媒配管30および熱媒供給ライン33aが、熱媒循環流路24の一端には熱媒供給ライン33bが接続されており、熱媒供給ライン33a,33bは途中で1本の熱媒供給ライン33に統合される。統合された熱媒供給ライン33には、低温熱媒供給ライン34の一端および高温熱媒供給ライン35の一端がそれぞれ接続されている。低温熱媒供給ライン34の他端は低温熱媒NL が満たされた低温熱媒タンクに接続されており、高温熱媒供給ライン35の他端は高温熱媒NH が満たされた高温熱媒タンク32に接続されている。
【0041】
ここで、低温熱媒供給ライン34および高温熱媒供給ライン35には、それぞれポンプおよびバルブが設けられている。また、低温熱媒タンク31はヒータと冷却手段(例えば、冷却コイル)を、高温熱媒タンク32はヒータを備えている。
【0042】
また、熱媒循環流路23の他端にはベロー36aを備えた熱媒配管36および熱媒回収ライン37aが、熱媒循環流路24の他端には熱媒回収ライン37bが接続されており、熱媒回収ライン37a,37bは途中で1本の熱媒回収ライン37に統合される。熱媒回収ライン37には、切替バルブを介して、低温熱媒回収ライン38の一端および高温熱媒回収ライン39の一端がそれぞれ接続されている。低温熱媒回収ライン38の他端は低温熱媒タンク31に接続されており、高温熱媒回収ライン39の他端は高温熱媒タンク32に接続されている。
【0043】
下側の加熱・冷却板22には、一端がチャンバー27に臨んだ供給穴41および排気穴42が形成されている。
【0044】
供給穴41の他端は作動液供給ライン44に接続されており、作動液供給ライン44は作動液タンク43に接続されている。また、排気穴42の他端は排気ライン45に接続されており、その排気ライン45は途中から真空引ライン46、作動液回収ライン48、および大気開放ライン50の3つのラインに分岐している。真空引ライン46には真空ポンプ47が設けられており、作動液回収ライン48は作動液回収タンク49に接続されている。
【0045】
ここで、作動液供給ライン44、真空引ライン46、作動液回収ライン48、および大気開放ライン50のそれぞれにはバルブが設けられている。
【0046】
次に、本発明の製造方法を説明する。
【0047】
片面に異形断面溝5が形成された金属平板(例えば、金属銅板)1の溝形成面に対して所定の隙間を設けて蓋板(例えば、金属銅板)2を対面させる。
【0048】
具体的には、図10に示すように、接合しようとする金属平板1の異形断面溝5を除いた部分および金属平板1と相対する面の蓋板2の全面に、予め、ハンダ(例えば、Sn−3.5Agハンダ)等の接合金属層51をメッキなどの手段で付着形成しておくと共に、接合金属材の粒(又は突起)からなるスペーサ52を両面間に適宜配置した状態で、上側の加熱・冷却板21および下側の加熱・冷却板22の間に挟み込んでチャンバー27内にセットする。
【0049】
ここで、両加熱・冷却板21,22の熱媒循環流路23,24に、低温熱媒タンク31および高温熱媒タンク32から各ラインを介して低温熱媒(約400K(127℃))NL および高温熱媒(約520K(247℃))NH を循環供給することにより、両加熱・冷却板21,22の温度調節が可能であるが、この時点では熱媒循環流路23,24に低温熱媒NL を循環供給し、両加熱・冷却板21,22の温度を作動液蒸気(例えば、フロンR−114)Sの封入温度(約400K)に保っておく。
【0050】
次に、真空ライン46のバルブを開くと共に、真空ポンプ47を作動させ、排気穴42を介してチャンバー27内を略真空にする。その後、真空ライン46のバルブを閉じた後、作動液供給ライン44のバルブを開くと共に、供給穴41を介してチャンバー27内に所定の密度を有する作動液蒸気Sを注入する。その後、チャンバー27内が作動液蒸気Sで飽和した後、作動液供給ライン44のバルブを閉じる。
【0051】
次に、熱媒循環流路23,24に循環供給する熱媒を、低温熱媒NL から高温熱媒NH に切替え、両加熱・冷却板21,22の温度を接合金属の溶融温度(約520K)まで上昇させると共に、上側の加熱・冷却板21を下側の加熱・冷却板22の方向に加圧して金属平板1および蓋板2を加圧し、両板1,2の接合面の接合金属層51およびスペーサ52を溶融させる。これによって、両板1,2の接合面が密着接合されて両板1,2の内部に各作動液流路6が形成され、かつ、その各作動液流路6内に作動液蒸気Sが閉じこめられる。
【0052】
その後、熱媒循環流路23,24に循環供給する熱媒を、高温熱媒NH から低温熱媒NL に切替えると共に、両加熱・冷却板21,22を冷却して、溶融した接合金属を固化させて平面状ヒートパイプ10を得る。これによって、両板1,2の内部に密閉された各作動液流路6が形成される。また、その各作動液流路6内に封入された作動液蒸気Sは、凝縮して作動液Lと作動液蒸気Sになる。
【0053】
次に、作動液回収ライン48のバルブを開き、排気穴42、排気ライン45、および作動液回収ライン48を介して作動液蒸気Sを作動液回収タンク49に回収する。この時、作動液蒸気Sは、作動液回収タンク49内の冷却手段により冷却されて作動液Lとして回収され、作動液タンク43で再利用される。
【0054】
次に、作動液回収ライン48のバルブを閉じた後、大気開放ライン50のバルブを開いてチャンバー27内に大気(外気)を注入する。
【0055】
最後に、上部構造体25および上側の加熱・冷却板21を取り外して平面状ヒートパイプ10を取り出す。
【0056】
ここで、作動液流路6内の作動液Lの封入率(作動液流路6の全容積に対する作動液Lの体積の割合)は、平面状ヒートパイプ10の形成時における作動液Lの蒸気密度(温度関数)で容易に調整することができる。本発明の平面状ヒートパイプ10の作動液Lとして用いるフロンR−114の飽和状態における液と蒸気の密度ρ′,ρ″と温度の関係および圧力と温度の関係を図7に示す。
【0057】
図7に示すように、両加熱・冷却板21,22の温度が常温T1 の時の飽和液の密度をρ1 ′、両加熱・冷却板21,22の温度をT2 に上昇させた時の飽和蒸気の密度をρ2 ″とすると、密度ρ2 ″の作動液蒸気Sを作動液流路6内に封入した後、全体の温度をT1 まで冷却した場合、作動液流路6内の作動液蒸気Sの大部分は凝縮して密度ρ1 ′の作動液Lと密度ρ1 ″の飽和作動液蒸気Sとなる。したがって、作動液流路6内における作動液Lの封入率は、
ψ(%)=(ρ2 ″/ρ1 ′)×100
となる。
【0058】
作動液封入率と温度との関係を図8に示す。
【0059】
通常のヒートパイプにおいては、作動液Lの封入率(ψ)が10〜30%程度であり、例えば、T1 を300K(27℃)、ψを15%とすると、図8に示すように、作動液蒸気Sの封入温度T2 は約400K(127℃)とすればよいことがわかる。この時の作動液蒸気Sの蒸気圧は、図7に示したように、約2.4MPaであり、比較的低圧である。
【0060】
両板1,2の金属接合は作動液Lの分解温度以下で行う必要があり、両板1,2の素材として銅を用いる場合、両板1,2の金属接合方法としては、ハンダ付け法(例えば、Sn−3.5Ag又はSn−35Pbなどの低温ハンダを使用)、純Snを用いたSn拡散接合法、超音波圧接法、或いはこれらの複合法(例えば、接合用金属を介在させた超音波圧接法など)を用いることができる。
【0061】
また、作動液Lとしては、フロン、パーフロロカーボン、メタノールなどが使用可能である。
【0062】
尚、本発明の平面状ヒートパイプの製造方法においては、金属平板1および蓋板2の構成材として銅を、接合金属層51およびスペーサ52の構成材としてSn−3.5Agからなるハンダを、作動液LとしてフロンR−114を用いているが、この組み合わせに特に限定するものではなく、両板1,2の接合温度で作動液Lが熱分解されず、両板1,2を広範囲に亘って気密に接合可能で、平面状ヒートパイプ10として使用中に不凝縮性ガス又は腐食の発生がなく、平面状ヒートパイプ10の使用温度範囲における作動液蒸気Sの蒸気圧が高すぎず、作動液Lが不燃性である等の条件を満たす組み合わせであればよい。
【0063】
すなわち、本発明の平面状ヒートパイプの製造方法によれば、作動液流路6の形成と作動液流路6内への作動液Lおよび作動液蒸気Sの封入を同時に行っているため、製造工程が簡略となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0064】
また、平面状ヒートパイプ10の作動温度の最高値を373K(100℃)とした時のフロンR−114の飽和蒸気圧は、図7に示したように、約1.5MPaであるため、作動液流路6の幅を小さくすることにより、蓋板2の厚さを薄くすることができ、平面状ヒートパイプ10の薄型化を図ることが可能となる。
【0065】
さらに、作動液蒸気Sが封入される時点では、各作動液流路6の内・外部に圧力差が殆どない(作動液蒸気Sの流れが生じていない)ため、金属接合に悪影響を及ぼすことはない。
【0066】
また更に、両板1,2の接合面近傍にある作動液蒸気Sは、両板1,2の接合温度が作動液蒸気Sの飽和温度より高いことから“乾き蒸気”の状態になっており、ハンダ等の接合金属層51およびスペーサ52に対して不活性であるため、金属接合に悪影響を及ぼすことはない。
【0067】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0068】
他の実施の形態の平面状ヒートパイプの横断面図を図2に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付している。
【0069】
本発明の平面状ヒートパイプ10は、図1に示したように、表面が平滑な金属平板1の片面に浅溝部3と深溝部4からなる異形断面溝5を形成したものであった。
【0070】
これに対して、本実施の形態の平面状ヒートパイプ11は、図2に示すように、表面が平滑な金属平板1の両面に浅溝部3と深溝部4からなる異形断面溝5を形成し、その金属平板1の両面に、表面が平滑な蓋板2a,2bを接合し、異形断面溝5と蓋板2a,2bで囲まれた空間を作動液(図示せず)と作動液蒸気(図示せず)を封入するための作動液流路6としたものである。
【0071】
本実施の形態の平面状ヒートパイプ11においても、本発明の平面状ヒートパイプ10と同様の効果を発揮することは言うまでもなく、さらに熱輸送能力(熱分散性)が高まるという新たな効果を発揮する。
【0072】
【実施例】
長さ150mm、幅50mm、厚さ1.1mmで、硬質銅板からなる金属平板の片面に横断面凸状の異形断面溝を形成すると共に、その溝形成面の異形断面溝部以外にSn−3.5Agハンダを用いて接合金属層を形成する。また、長さ150mm、幅50mm、厚さ0.4mmで、硬質銅板からなる蓋板の接合面全面にSn−3.5Agハンダを用いて接合金属層を形成する。
【0073】
金属平板の溝形成面と蓋板の接合金属層形成面との間に、直径1mm、Sn−3.5Agハンダ粒からなるスペーサを介在させて相対させ、図9に示した平面状ヒートパイプ製造装置の両加熱・冷却板21,22間にセットする。
【0074】
その後、作動液としてフロンR−114を用い、上述したような手順で平面状ヒートパイプ製造装置を作動させ、長さ150mm、幅50mm、厚さ約1.5mmの平面状ヒートパイプを作製する。
【0075】
このようにして作製した平面状ヒートパイプに曲げ加工を施して、図11(a),(b)に示すような湾曲ヒートパイプ55を作製する。この湾曲ヒートパイプ55の蓋板2側における一端側に回路基板(図示せず)を形成する。
【0076】
その後、図12(a),(b)に示すように、この湾曲ヒートパイプ55の蓋板2側における一端側(図12中では左側)に形成された回路基板(図示せず)上に、発熱量の異なる複数の半導体素子56などを搭載すると共に、他端側(図12中では右側)に冷却装置(例えば、放熱フィン)57を設けて半導体モジュール58を作製する。
【0077】
この半導体モジュール58は、各半導体素子56の放熱量が異なるものの、湾曲ヒートパイプ55内部に形成された各作動液流路(図示せず)の働きにより、全体が均熱化されて略等温状態に保つことが可能である。また、湾曲ヒートパイプ55は、各作動液流路間に貫通穴またはネジ穴などの加工が可能であるため、各半導体素子56や冷却装置57の固定が容易である。
【0078】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0079】
(1) 金属平板に形成された異形断面溝と蓋板で形成される密閉空間を作動液流路としているため、ウィック力が大きく、薄型で、大面積な平面状ヒートパイプを得ることができる。
【0080】
(2) 作動液流路の形成と作動液流路内への作動液および作動液蒸気の封入を同時に行っているため、製造工程が簡略となり、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の平面状ヒートパイプの横断面図であり、図1(b)は、図1(a)の要部拡大図である。
【図2】他の実施の形態の平面状ヒートパイプの横断面図である。
【図3】本発明の平面状ヒートパイプの上面図の一例である。
【図4】本発明の平面状ヒートパイプの上面図の一例である。
【図5】本発明の平面状ヒートパイプの上面図の一例である。
【図6】本発明の平面状ヒートパイプの上面図の一例である。
【図7】本発明の平面状ヒートパイプの作動液として用いるフロンR−114の飽和状態における液と蒸気の密度ρ′,ρ″と温度の関係および圧力と温度の関係を示す図である。
【図8】作動液封入率と温度との関係を示す図である。
【図9】本発明の平面状ヒートパイプの製造装置の一例を示す模式図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】図11(a)は、本発明の平面状ヒートパイプに曲げ加工を施したものの正面図であり、図11(b)は、図11(a)のD方向矢視図である。
【図12】図12(a)は、図11の湾曲ヒートパイプに半導体素子等を搭載したものの上面図であり、図12(b)は、図12(a)のE方向矢視図である。
【図13】マイクロヒートパイプの横断面図である。
【図14】図14(a)は、従来の平面状ヒートパイプの上面図であり、図14(b)は、図14(a)のA−A線断面図である。
【図15】図15(a)は、従来の平面状ヒートパイプの上面図であり、図15(b)は、図15(a)のB−B線断面図である。
【図16】図16(a)は、従来の平面状ヒートパイプの上面図であり、図16(b)は図16(a)のC−C線断面図である。
【符号の説明】
1 金属平板
2 蓋板(カバー用金属平板)
3 浅溝部
4 深溝部
5 異形断面溝
6 作動液流路
10,11 平面状ヒートパイプ
51 接合金属層(接合用金属の層)
52 スペーサ(突起又は粒)
L 作動液
S 作動液蒸気(作動液の蒸気
Claims (3)
- 密閉された作動液流路内に、作動液と作動液の蒸気を満たした平面状ヒートパイプの製造方法において、浅溝部と深溝部からなる異形断面溝が形成された金属平板の溝形成面とカバー用金属平板を、上記両金属平板の相対する面に、予め、接合用金属の層を形成しておくと共に、少なくともどちらか一方の面に接合用金属製のスペーサを配置した状態で相対させ、その後、所定密度の作動液蒸気中、両金属平板の温度を作動液蒸気の飽和温度以上の温度に保った状態で、両金属平板を接近・接触させると共に、接合面を金属的に接合して作動液流路の形成と作動液流路内への作動液および作動液蒸気の封入を同時に行うことを特徴とする平面状ヒートパイプの製造方法。
- 両金属平板が接近する方向に圧力を加えて上記接合面を金属的に接合する請求項1記載の平面状ヒートパイプの製造方法。
- 両金属平板が接近する方向に圧力を加え、両金属平板に超音波を付与して上記接合面を金属的に接合する請求項1記載の平面状ヒートパイプの製造方法。
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