JP3552531B2 - 車両用道路データ作成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両が走行している道路の形状を示す道路データに基づいて車両の走行に供した制御を行う装置、例えば車両が走行前方のカーブを安全に通過できない状態を判定すると、車両の運転者に警告を発する車両用カーブ走行警告装置に用いられる車両用道路データ作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置として、特開平7−121800号公報に示す「車両の相互通信装置」があり、車両の走行前方のカーブの道路データと車両の走行速度(車速)に基づき、現在の車速のままでは走行前方のカーブを安全に通過できない状態を判定すると、車両の運転者に警告を発するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、地図上で同一の道路であっても走行前方のカーブの形状(曲率など)は、進行方向によって変わるはずである。例えば、図5に示すように、センターラインに対して道路データが形成されている場合、その曲率半径はrであるが、図の上方向に向かって走行する場合は、曲率半径がrであり、図の下方向に向かって走行する場合は、曲率半径がrなる。従って、進行方向に係わらず同一の道路データを用いて、カーブ走行時の警告処理を行っていたのでは、正確な警告を行うことができない。
【0004】
この場合、地図データ記憶装置に往復方向毎に道路データを記憶させることが考えられるが、その場合、地図データ記憶装置に記憶するデータ容量が膨大になるという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みたもので、記憶データの容量を多くすることなく、車両の進行方向に応じた道路データを得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、道路の代表的な道路形状を示す代表道路データを記憶する記憶手段(4)と、車両が前記道路を進行する方向に従って用いる補正データを決定し、この決定された補正データにより、代表道路データを補正して、道路データを作成する道路データ作成手段(103〜105)とを備えたことを特徴としている。
【0006】
このように代表道路データを車両の進行方向に応じて補正することによって、記憶データの容量を多くすることなく、車両の進行方向に応じた道路データを得ることができる。
また、請求項2に記載の発明においては、記憶手段(4)に、道路を一方向に進んだ場合の一方向補正データと逆方向に進んだ場合の逆方向補正データを記憶しておき、車両が前記道路を一方向に進行する場合に、一方向補正データを用いて代表道路データを補正し、車両が前記道路を逆方向に進行する場合に、逆方向補正データを用いて代表道路データを補正することによって、道路データを作成することができる。

【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
図1に、本発明の一実施形態を示す車両用カーブ走行警告装置の全体構成を示す。なお、この図1に示す車両用カーブ走行警告装置は、ナビゲーションを行う機能を備えている。
【0008】
車両用カーブ走行警告装置は、GPS受信機1、ジャイロ2、車速センサ3、地図データ記憶装置4、制御装置5、音声警告装置6、車速調整装置7から構成されている。
GPS受信機1、ジャイロ2、車速センサ3は、車両の現在位置を検出するためのもので、GPS受信機1は、人工衛星からの電波を受信して、車両の現在位置を示す信号を出力する。ジャイロ2は、車両の水平方向の角速度に応じた信号を出力する。車速センサ3は、車速に応じた信号を出力する。
【0009】
地図データ記憶装置4は、道路地図のデータを記憶するCDROM等の記憶媒体を備えており、制御装置5に道路地図のデータを出力する。なお、この地図データ記憶装置4には、道路地図のデータとして、道路の代表的な道路形状を示す代表道路データと、道路を一方向(以下、順方向という)に進んだ場合の順方向補正データと逆方向に進んだ場合の逆方向補正データが記憶されている。
【0010】
制御装置5は、マイクロコンピュータなどのコンピュータ手段を含んで構成された制御手段であって、GPS受信機1、ジャイロ2、車速センサ3からの信号に基づいて車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、地図データ記憶装置から道路地図のデータを読み込んで、車両の現在位置付近の道路地図を表示装置(図示せず)に表示させるナビゲーション処理を行う。
【0011】
また、この制御装置5は、ナビゲーション処理によって得られた現在位置および進行方向のデータおよび地図データ記憶装置4からの道路データから車両前方のカーブを特定し、現在の車速でカーブを安全に通過できるか否かを判定し、安全に通過できない状態を判定すると、車両の運転者に警告を発するカーブ走行時の警告処理を実行する。
【0012】
音声警告装置6は、音声警告を行う警告手段であって、制御装置5から警告用の音声信号を受けると、それを音声に変換して、車室内に警告用の音声を発生する。車速調整装置7は、車速調整を行う車速調整手段であって、制御装置5から車速低下の制御指令を受けると、ブレーキ操作あるいは変速機の変速操作を行って車速を低下させる。
【0013】
次に、制御装置5におけるカーブ走行時の警告処理について、図2に示すフローチャートに従って説明する。
まず、図示しないナビゲーション処理において求められた車両の現在位置(自車位置)および車両の進行方向のデータを取り込む(ステップ101)。次に、車速センサ3からの車速信号に基づいて車速を検出する(ステップ102)。なお、この車速検出は、ナビゲーション処理において求められたものを用いてもよい。
【0014】
続いて、検出された車速に基づいて先読み距離Lを算出する(ステップ103)。この先読み距離Lは、カーブ走行の警告処理を行う上で対象となる前方距離を示すものである。例えば、図3に示すように、自車位置がPにあったとき、先読み距離Lは、自車位置Pの進行方向の道路上にある形状点(ノード)P、P…、Pの範囲を特定するために用いられる。なお、先読み距離Lは、車速が大きいほど大きく設定される。
【0015】
次に、車両の進行方向が道路データの並びに対して順方向になっているか否かを判定する(ステップ104)。ここで、道路の代表的な道路形状を示す代表道路データは、図4(a)に示すように、各形状点P、P、P…、Pに対し、座標位置、ポイント間距離(その形状点と次の形状点との間の距離)、曲率半径、カント、縦断勾配…として構成されている。そして、車両の進行方向が形状点P→Pの方向にあるときを順方向とし、車両の進行方向が形状点P→Pの方向にあるときを逆方向としている。なお、進行方向がP→Pの方向にあるかP→Pの方向にあるかは、自車位置の変化から判別することができる。例えば、図3において、前回の自車位置がPであったとき、今回の自車位置がPであると順方向、今回の自車位置がPであると逆方向であると判別される。
【0016】
そして、進行方向が順方向にあるときには、代表道路データを順方向補正し(ステップ105)、進行方向が順方向にあるときには、代表道路データを逆方向補正する(ステップ106)。ここで、順方向補正あるいは逆方向補正は、図4(b)に示す補正データを用いて行われる。図4(b)の上段は順方向補正データ、下段は逆方向補正データであり、それぞれ左カーブと右カーブの補正データから構成されている。ここで、左カーブか右カーブであるかは形状点の曲率半径の正負から判別することができる。
【0017】
そして、進行方向が順方向であるか、逆方向であるか、さらに左カーブであるか、右カーブであるかによって、図4(b)のいずれの補正データを用いるかを決定し、ポイント間距離、曲率半径に、補正係数CあるいはCを乗じ、カント、縦断勾配に正負の係数を乗じる。このように代表道路データを車両の進行方向に応じて補正することによって、道路データを作成することができる。
【0018】
そして、この道路データを基に以下の処理が行われる。
まず、現在の車速のまま仮想自車位置に進んだとしてその仮想自車位置での横Gを算出する(ステップ107)。この仮想自車位置での横Gは、走行前方にあるカーブを通過する際の車両の走行状態の予測値を示すもので、次のようにして設定される。
【0019】
まず、ステップ103にて設定された先読み距離Lの範囲内で自車位置の進行方向の道路上にある形状点を特定し、それらの形状点において、先のステップ105、106にて補正した曲率半径から、最も小さい曲率半径を有する形状点を仮想自車位置として設定する。例えば、図3において、先読み距離Lの範囲内の形状点がP、P…、Pであったとして、Pでの曲率半径が最も小さい場合には、形状点Pを仮想自車位置として設定する。そして、仮想自車位置の形状点における補正されたカント、縦断勾配、および現在の車速から所定の計算式を用いて、仮想自車位置での横Gを算出する。
【0020】
この後、仮想自車位置での横Gと予め設定された危険度判定値の大小比較から警告が必要か否かを判定する(ステップ108)。警告が必要であると判定したときには、警告処理を行う(ステップ109)。この場合、音声警告装置6から警告音を車室内発生させる。また、必要であれば、車速調整装置7に制御指令を出力して車両を強制的に減速させる。
【0021】
以上述べたように、本実施形態においては、地図データ記憶装置4に代表道路データ、および順方向補正データと逆方向補正データを記憶しておき、車両の進行方向に応じて順方向補正データあるいは逆方向補正データを用いて代表道路データを補正し、この補正によって走行前方の道路データを得るようにしている。従って、走行前方の道路データを得る場合の記憶データの容量を多くすることなく、車両の進行方向に応じた道路データを得、この道路データによりカーブ走行時の警告処理を精度よく行うことができる。
【0022】
なお、上述した実施形態においては、道路幅員、車線数を考慮していないが、それらを考慮した補正を加えるようにしてもよい。この場合、道路幅員が広いほど補正を大きくする。
また、道路データを形状点の集合で表しているが、関数の近似式で表すようにし、それに対して順方向、逆方向の補正などを行うようにしてもよい。
【0023】
また、本発明は、カーブ走行時の警告装置に用いられるものに限らず、ナビゲーションにおける経路誘導の制御を行う装置などに用いられるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用カーブ走行警告装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1中の制御装置5によるカーブ走行時の警告処理を示すフローチャートである。
【図3】先読み距離Lおよび自車位置Pの進行方向の道路上にある形状点P、P…、Pを示す説明図である。
【図4】地図データ記憶装置4に記憶されている代表道路データおよび順方向、逆方向補正データの構成を示す図である。
【図5】従来技術の問題の説明に供する説明図である。
【符号の説明】
1…GPS受信機、2…ジャイロ、3…車速センサ、
4…地図データ記憶装置、5…制御装置、6…音声警告装置、
7…車速調整装置。

Claims (2)

  1. 車両が走行している道路の形状を示す道路データに基づいて車両の走行に供した制御を行う装置に用いられ、
    前記道路の代表的な道路形状を示す代表道路データを記憶する記憶手段(4)と、
    車両が前記道路を進行する方向に従って用いる補正データを決定し、この決定された補正データにより前記代表道路データを補正して、前記道路データを作成する道路データ作成手段(103〜105)とを備えたことを特徴とする車両用道路データ作成装置。
  2. 車両が走行している道路の形状を示す道路データに基づいて車両の走行に供した制御を行う装置に用いられ、
    前記道路の代表的な道路形状を示す代表道路データを記憶する記憶手段(4)と、
    車両が前記道路を進行する方向に従い、前記代表道路データを補正して、前記道路データを作成する道路データ作成手段(103〜105)とを備え、
    前記記憶手段(4)は、前記道路を一方向に進んだ場合の一方向補正データと逆方向に進んだ場合の逆方向補正データを記憶しており、
    前記道路データ作成手段(103〜105)は、車両が前記道路を一方向に進行する場合に、前記一方向補正データを用いて前記代表道路データを補正し、車両が前記道路を逆方向に進行する場合に、前記逆方向補正データを用いて前記代表道路データを補正することを特徴とする両用道路データ作成装置。
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