JP3552458B2 - 回転電機及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している電動機、発電機などの回転電機の不平衡磁気吸引力低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、一般的な4極単相誘導機を示す構成図である。図において、1は固定子、2は回転子、3a、3b、3c、3dは固定子1の主巻線、4a、4b、4c、4dは固定子1の補助巻線、5はスロットである。また、O1は固定子1の中心、O2は回転子2の中心であり、固定子1の中心と回転子2の中心とは一致せず偏心状態である。
【0003】
また図8は、上記図7に示すような回転電機の全体構造を示す構造図である。図において、6は回転軸、7は軸受、8はフレーム、9はブラケットである。回転軸6を支える軸受7は、フレーム8とブラケット9により固定されており、このフレーム8とブラケット9の精度により回転電機の偏心が決められる場合が多い。このため、製造工程において、各部品の寸法精度や組み込み精度を高める努力がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各部品の寸法精度や組み込み精度を高める作業には限界があるため、従来の回転電機は依然として偏心が存在したままであった。
【0005】
以下に、回転電機が偏心していることによる問題点について説明する。図9は、上記図7における誘導機の磁束分布を模式的に示す図である。図において、Φ1、Φ2、Φ3、Φ4は各主巻線により誘起される磁束、P1、P2、P3、P4は各磁束の作用によって固定子1と回転子2との間に働く磁気吸引力である。
【0006】
磁気吸引力Pは、空隙の磁束密度をB、空気の透磁率をμとすると、P=B2/2μで求められるが、偏心がない場合は、磁束の大きさはΦ1=Φ2=Φ3=Φ4と平衡であるため上記空隙の磁束密度Bも平衡になり、磁気吸引力はP1=P2=P3=P4となる。従って、不平衡磁気吸引力は発生せず、振動や騒音を生じることはない。しかし、上記図7に示すように、固定子1の中心O1に対して回転子2の中心O2が偏心している場合、磁束の大きさはΦ4>Φ3>Φ1>Φ2と不平衡になる。よって空隙の磁束密度Bも不平衡になるため、上記図9のベクトルに示すように、磁気吸引力はP4>P1>P3>P2となって不平衡磁気吸引力が発生し、振動や騒音が発生する問題点があった。
【0007】
本発明は上記のような問題を解消するためになされたもので、回転電機の磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回転電機は、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線が異なる巻線数になっているものである。
【0009】
また、固定子のスロットを通る巻線の巻線数nは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線数をn、巻線係数をβとするとき、n=β{1−ecosαcos(π/p)}nである。
【0010】
また、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線が異なる巻線断面積になっているものである。
【0011】
また、誘導機において、固定子のスロットを通る巻線の巻線断面積sは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線断面積をs、巻線係数をβとするとき、s=β{1−ecosαcos(π/p)}sである。
【0012】
また、同期機において、固定子のスロットを通る巻線の巻線断面積sは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線断面積をs、係数をγとするとき、s=γ[1/{1−ecosαcos(π/p)}]sである。
【0013】
また、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線のいずれか一方に抵抗が接続されているものである。
【0014】
また、この発明に係る回転電機の製造方法は、回転電機の製造ラインにおいて、固定子の中心と回転子の中心との偏心率及び偏心方向を測定する工程、上記偏心率をe、上記固定子のスロットの中心線と上記偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線数をn、巻線係数をβとして、上記固定子のスロットを通る巻線数をn=β{1−ecosαcos(π/p)}nで算出し、この計算値を自動巻線機に入力する工程を含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による4極単相誘導機の回路図である。図において、3a、3b、3c、3dは固定子の主巻線、4a、4b、4c、4dは固定子の補助巻線、10はコンデンサ、11は単相電源である。本実施の形態は、従来のように、回転電機を構成する部品や組立精度を高めることにより偏心を少なくするものと違い、偏心していることを認めた上で、対向する巻線3aと3c、3bと3d、4aと4c、4bと4dのそれぞれの巻線数を調整し、この各巻線から誘起される磁束を平衡にすることにより不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得るものである。
【0016】
以下に、本発明の実施の形態1による回転電機の設計理論について説明する。ここで、上記従来例の図7における回転電機の任意のスロットxを通る巻線から誘起される磁束Φxと、任意のスロットyを通る巻線から誘起される磁束Φyとを平衡にすることについて考える。磁束Φは、起磁力をF、磁気抵抗をRとすると、
Φx=Φy
Fx/Rx=Fy/Ry (1)
で表される。また、起磁力Fは、巻線数をn、巻線電流をixとすると、
Fx=nx・ix、Fy=ny・iy (2)
で表される。また、磁気抵抗Rは、磁束の磁路の空隙部の長さをl、空隙部の面積をS、空気の透磁率をμとすると、
Rx=lx/(μ・Sx)、Ry=ly/(μ・Sy) (3)
で表される。従って、式(1)に、式(2)及び(3)を代入すると、
(nx・ix・μ・Sx)/lx=(ny・iy・μ・Sy)/ly (4)
となる。ここで、空気の透磁率μは一定、磁路の空隙部の面積Sxは空隙長lxに比べて微小であるため無視すると、式(4)は、
(nx・ix)/lx=(ny・iy)/ly (5)
となる。即ち、式(5)より、磁束ΦxとΦyとを平衡にするためには、巻線数n及び巻線電流iを変化させれば良いことが分かる。そこで、本実施の形態では、巻線電流ix、iyは一定値として、巻線数nx、nyを変化させることにより二つの磁束Φx、Φyを平衡にすることを考える。
【0017】
上記式(5)から分かるように、巻線数nは磁路の空隙長lに比例している。従って、偏心のない状態でのスロットxでの巻線数をn、偏心のない状態でのスロットxの空隙長(固定子の内径から回転子の外径を引いた長さの半分)をlとすれば、スロットxを通る巻線の巻線数nxは、
nx/n=lx/2l
nx=(lx/2l)n (6)
で算出することができる。スロットyでの巻線数nyも同様にして求めることができる。なお、磁束の磁路における空隙部は2カ所あるので(後述)、偏心のない状態での空隙長の総和は2lとなる。
【0018】
上記式(6)の意味するところは、任意のスロットxの巻線数nxの調整を、偏心のない状態を仮定してその時の巻線数nを基準とし、スロットxの位置での固定子1と回転子2の空隙長lxに比例し、且つ偏心のない状態での空隙長lに反比例するように実行すれば、固定子の各スロットが誘起する磁束を平衡にできるということである。各スロットの巻線数を上記式(6)に従って調整すれば、結果として対向する巻線が誘起する磁束の平衡が実現できる。巻線数の調整は必ずしも全てのスロットについて行う必要はなく、偏心のない時の空隙長lとの差が比較的大きい空隙長lxを持つスロットだけに行っても良く、実用上問題のない程度の磁束の平衡が実現できる。この場合、最大の空隙長lxとなるスロット及びそれに対向する最小の空隙長lyとなるスロットを中心に巻線の調整を行う。
【0019】
ここで、巻線数を算出するためには、磁路の空隙長lを算出する必要がある。以下、磁路の空隙長の算出方法について説明する。図2は、上記従来例の図7における回転電機の任意のスロットx周りの磁束分布を示す図である。図において、dは固定子1の中心O1と回転子2の中心O2との直線距離である偏心量、lx、lxはスロットx周りの磁束の磁路における2カ所の空隙部の空隙長、αxはスロットxの中心線と偏心方向とがなす角度である。
【0020】
ここで、固定子1の中心O1と2カ所の空隙部とのなす角度はαx−αxで表されるが、これを回転電機の極数pを使って書き換えると、
αx−αx=2π/p
となる。従って、偏心方向と磁路の空隙部とがなす各々の角度は、
αx=αx−(π/p)
αx=αx+(π/p)
で表される。また、空隙長lx、lxは、偏心のない状態での空隙長をl、偏心量をdとすると、
lx=l−dcos{αx−(π/p)}
lx=l−dcos{αx+(π/p)}
となる。さらに、偏心率e(e=d/l)を使って、2カ所の空隙長の和を書き表すと、
lx=lx+lx=2l{1−ecosαx・cos(π/p)} (7)
となる。
【0021】
従って、スロットxを通る巻線の巻線数は、上記式(7)を式(6)に代入して、
nx=β{1−ecosαx・cos(π/p)}n (8)
で求めることができる。なお、上記式(8)において、βは巻線係数であり、電動機の巻線方法等に依存する係数である。スロットyについても同様の方法で算出すれば、スロットxを通る巻線から誘起される磁束Φxと、スロットyを通る巻線から誘起される磁束Φyとを平衡にすることができる。
【0022】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2による三相誘導機の回路図である。図において、12a、12bはU相の巻線、13a、13bはV相の巻線、14a、14bはW相の巻線である。上記実施の形態1では、スロットの巻線数を変化させて磁束を平衡にする方法について説明したが、図に示すように、対向する巻線が並列回路となっている場合、巻線電流iを変えることによって、磁束を平衡にする方法が有効である。上記式(5)から分かるように、巻線数nを一定値にして巻線電流iを変化させて磁束を平衡にする方法は可能である。
【0023】
上記式(5)において、巻線数を一定とすれば、
ix/lx=iy/ly (10)
となる。ここで、巻線電流iは、電圧をv、巻線抵抗をrとすればオームの法則により、
ix=vx/rx、iy=vy/ry (11)
となる。ここでは電圧は一定であるため、巻線電流iを変化させるためには巻線抵抗rを変化させれば良いことが分かる。さらに、巻線抵抗rは、巻線断面積をs、導電率をρ、巻線長をLとすると、
rx=Lx/(ρ・sx)、ry=Ly/(ρ・sy) (12)
となる。従って、上記式(10)に式(11)及び(12)を代入すると、
Figure 0003552458
で表される。ここで、電圧v、導電率ρ、巻線長Lは一定とすると、式(13)は、
sx/lx=sy/ly (14)
となる。
【0024】
以上をまとめると、二つの磁束ΦxとΦyとを平衡にするためには、巻線電流iを変化させれば良く、さらに巻線電流iを変化させるためには巻線抵抗rを変化させれば良く、さらにまた巻線抵抗rを変化させるためには巻線断面積sを変化させれば良い。そして最終的には、巻線断面積sは磁路の空隙長lに比例することが分かる。
【0025】
上記式(14)から分かるように、巻線断面積sは磁路の空隙長lに比例している。従って、偏心のない状態でのスロットxでの巻線断面積をs、偏心のない状態でのスロットxの空隙長(固定子の内径から回転子の外径を引いた長さの半分)をlとすれば、スロットxを通る巻線の巻線断面積sxは、
sx/s=lx/2l
sx=(lx/2l)s (15)
で算出することができる。よって、スロットxを通る巻線の巻線断面積は、上記式(7)を式(15)に代入して、
sx=β{1−ecosαx・cos(π/p)}s (16)
で求めることができる。なお、上記式(16)において、βは巻線係数であり、電動機の巻線方法等に依存する係数である。スロットyの巻線断面積syについても同様の方法で算出すれば、スロットxを通る巻線から誘起される磁束Φxと、スロットyを通る巻線から誘起される磁束Φyとを平衡にすることができる。
【0026】
なお、一般的には、一つの巻線単位は複数のスロットに跨っているため、スロットごとに巻線断面積を変えることは非常に困難である。従って、実際の設計では、複数のスロットごとに巻線断面積を求めておいて、この平均値を適用する方法などが考えられる。
【0027】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、回転電機が誘導機の場合について説明したが、回転電機が同期機の場合、巻線断面積sを変えて巻線電流iを調整し磁束を平衡にする方法が誘導機の場合と異なるため、本実施の形態では、この点について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態3による三相同期機を示す構成図である。図において、15は永久磁石である。回転子2には4個の永久磁石15が挿入されているため、4極の同期機となる。また、図5は、上記図4の三相同期器の磁束分布を示す模式図である。図において、Φi1、Φi2、Φi3、Φi4は電流磁束、Φm1、Φm2、Φm3、Φm4は界磁磁束である。
【0028】
同期機では、回転子2に永久磁石15による界磁が存在するため、界磁による磁束Φm巻線電流による磁束Φiとの両方について考慮する必要がある。高速回転する同期機では、主に弱め界磁制御により駆動されるが、このときの界磁磁束Φmと各巻線との位置関係は図5のようになる。図に示すように、界磁磁束Φmと電流磁束Φiとは相反する関係にある。界磁磁束Φmの向きを正にとると、回転電機駆動中の磁束は、
Φ=Φm−Φi(Φm>Φi)
となる。また、界磁による起磁力をFm、電流による起磁力をFiとすると、上記式(1)より、
Φ=Fm/R−Fi/R(Fm>Fi) (17)
となる。ここで、界磁による起磁力Fmは一定であるため、電流による起磁力Fiを変動させて磁束Φを平衡にすることを考える。
【0029】
回転電機中に偏心がある場合、磁気抵抗Rが変動する。例えば、磁気抵抗Rが大きくなったとき、界磁による起磁力Fmは一定なので、磁束Φを一定にするためには、上記式(17)より、電流による起磁力Fiを小さくしなければならない。逆に、磁気抵抗Rが小さくなれば、電流による起磁力Fiを大きくしなければならない。即ち、磁気抵抗Rと電流による起磁力Fiとは、
Fi∝1/R
の関係にあると言える。起磁力Fiは、上記式(2)よりFi=n×iで表され、また、上述したように、巻線電流iは巻線断面積sと比例している。従って、巻線断面積sと磁気抵抗Rとの関係は、
s∝1/R
となる。磁気抵抗Rは上記式(3)より、磁路の空隙長lと比例しているため、上記式(15)のlxを1/lxに置き換えれば良い。即ち、同期機における任意のスロットxを通る巻線の巻線断面積sxは、
sx=γ[1/{1−ecosαcos(π/P)}]s (18)
となる。ただし、γは係数であり、界磁による起磁力Fmと電流による起磁力Fiとの比に依存する。
【0030】
以上のように、同期機において、巻線断面積sを変えて巻線電流iを調整し磁束を平衡にさせるという方法を採る場合、界磁磁束Φmと電流磁束Φiの二つの磁束の存在を考慮に入れるので、誘導機における巻線断面積決定の式とは異なるものとなる。
【0031】
なお、上記実施の形態2及び3では、巻線電流iを変える手段として巻線断面積sを変えたが、巻線に抵抗自体を接続して、巻線抵抗rを変化させ、その結果、巻線電流iを変化させても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4による回転電機の製造方法を示すフローチャートである。まず量産する回転電機に1から番号を符す(ステップ1)。自動巻線機で設定するn番目の回転電機の巻線数には、n−1番目の回転電機の偏心量(偏心率)と偏心方向により上記実施の形態1における式(8)で算出された巻線数を入力する(ステップ2)。n番目の固定子1に巻線をして(ステップ3)、n番目の固定子1をブラケット9に挿入する(ステップ4)。さらに、n番目の回転子2、回転軸6、軸受7、フレーム8を組み込み(ステップ5)、n番目の回転電機の偏心量(偏心率)と偏心方向を測定する(ステップ6)。この測定結果をもとに、n+1番目の回転電機の巻線数を上記式(8)によって算出する(ステップ7)。nを一つ増やし(ステップ8)、nがN+1に達してなければn番目の回転電機を製造し、達していれば製造を終了する(ステップ9)。
【0033】
なお、本実施の形態では、一回ずつ偏心量と偏心方向を測定して巻線数を更新したが、抜き取りで多数個中1個の偏心量と偏心方向を測定し、次の抜き取り測定まで同一の巻線数に設定しても良い。抜き取り測定は、例えばフレーム8及びブラケット9のプレス金型の変更時にのみ実施しても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線が異なる巻線数になっているので、磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得る効果がある。
【0035】
また、請求項2記載の発明によれば、固定子のスロットを通る巻線の巻線数nは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線数をn、巻線係数をβとするとき、n=β{1−ecosαcos(π/p)}nであるので、磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得る効果がある。
【0036】
また、請求項3記載の発明によれば、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線が異なる巻線断面積になっているので、磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得る効果がある。
【0037】
また、請求項4記載の発明によれば、誘導機において、固定子のスロットを通る巻線の巻線断面積sは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線断面積をs、巻線係数をβとするとき、s=β{1−ecosαcos(π/p)}sであるので、磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得る効果がある。
【0038】
また、請求項5記載の発明によれば、同期機において、固定子のスロットを通る巻線の巻線断面積sは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線断面積をs、係数をγとするとき、s=γ[1/{1−ecosαcos(π/p)}]sであるので、磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得る効果がある。
【0039】
また、請求項6記載の発明によれば、固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線のいずれか一方に抵抗が接続されているので、磁束分布を平衡にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を得る効果がある。
【0040】
また、請求項7記載の発明によれば、回転電機の製造ラインにおいて、固定子の中心と回転子の中心との偏心率及び偏心方向を測定する工程、上記偏心率をe、上記固定子のスロットの中心線と上記偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線数をn、巻線係数をβとして、上記固定子のスロットを通る巻線数をn=β{1−ecosαcos(π/p)}nで算出し、この計算値を自動巻線機に入力する工程を含むので、磁束分布を平衡状態にして不平衡磁気吸引力を低減し、低振動、低騒音な回転電機を製造する方法を得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による回転電機の回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1による回転電機を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態2による回転電機の回路図である。
【図4】本発明の実施の形態3による回転電機を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態3による回転電機の磁束分布を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態4による回転電機の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】従来の回転電機を示す構成図である。
【図8】従来の回転電機を示す構成図である。
【図9】従来の回転電機の磁束分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 固定子、2 回転子、3a、3b、3c、3d 固定子主巻線、4a、4b、4c、4d 固定子補助巻線、5 スロット、6 回転軸、7 軸受、8 フレーム、9 ブラケット、10 コンデンサ、11 単相電源、12a、12bU相の巻線、13a、13b V相の巻線、14a、14b W相の巻線、15 永久磁石

Claims (7)

  1. 固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、
    上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線が異なる巻線数になっていることを特徴とする回転電機。
  2. 固定子のスロットを通る巻線の巻線数nは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線数をn0、巻線係数をβとするとき、n=β{1−ecosαcos(π/p)}n0であることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、
    上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線が異なる巻線断面積になっていることを特徴とする回転電機。
  4. 誘導機において、固定子のスロットを通る巻線の巻線断面積sは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線断面積をs0、巻線係数をβとするとき、s=β{1−ecosαcos(π/p)}s0であることを特徴とする請求項3記載の回転電機。
  5. 同期機において、固定子のスロットを通る巻線の巻線断面積sは、固定子の中心と回転子の中心との偏心率をe、上記スロットの中心線と偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線断面積をs0、係数をγとするとき、s=γ[1/{1−ecosαcos(π/p)}]s0であることを特徴とする請求項3記載の回転電機。
  6. 固定子の中心と回転子の中心とが偏心している回転電機において、
    上記固定子の対向する巻線から誘起される磁束が平衡になるよう、上記固定子の対向する巻線のいずれか一方に抵抗が接続されていることを特徴とする回転電機。
  7. 回転電機の製造ラインにおいて、固定子の中心と回転子の中心との偏心率及び偏心方向を測定する工程、上記偏心率をe、上記固定子のスロットの中心線と上記偏心方向とのなす角度をα、固定子の極数をp、偏心がない状態での巻線数をn0、巻線係数をβとして、上記固定子のスロットを通る巻線数をn=β{1−ecosαcos(π/p)}n0で算出し、この計算値を自動巻線機に入力する工程を含むことを特徴とする回転電機の製造方法。
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