JP3552281B2 - 密閉型電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、密閉型筒状電池及びその製造方法に関し、更に詳細には作業性が向上するように工夫された密閉型筒状電池及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の密閉型筒状電池は、上部開口を有する筒状缶本体と、その開口を閉止する蓋部とからなる電池缶を備え、缶本体の上部開口を蓋部で閉止し、次いで電解液を注液口より注入し、最後に注液口を封止することにより製作されている。図4に示す角形の塩化チオニル一次電池を例に取って説明すると、電池缶は、上部開口を有する角形缶本体12と、上部開口を閉止する蓋部14とからなり、缶本体12の側壁上部には注液口16が設けてある。組み立てるに当たっては、先ず、電極材を収容した缶本体12の上部開口を蓋部14で覆い、蓋部14の周縁をレーザシーム溶接(図4では24で表示)して蓋部14を缶本体12に固定する。次いで、電池を横に寝かして注液口16を上にし、電解液を注液口16より注入し、注入後注液口16の口径よりやや直径の大きい封止用鋼球18を注液口16に当てて抵抗溶接等の溶着方法により鋼球18を溶着させて注液口16を封止している。
【0003】
組み立てるに当たり、電解液を注入する前に蓋部14を溶接するのは、電解液を注入した後、缶本体12と蓋部14とをシーム溶接すると、溶接時の熱により電解液が一部蒸発してガスになり、そのガスが缶本体12と蓋部14との隙間から流出するためにシーム溶接にピンホール等の欠陥が生じるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の密閉型筒状電池の構造は、以下に挙げるような問題を有していた。先ず第1には、注液口が缶本体の側壁に設けてあるので、深絞りプレス工程で缶本体を形成した後、更に缶本体に注液口を形成するために穴打ち抜き工程が必要となる。そのため、製作工程が複雑になり、生産性の向上が難しく、また成形用金型が複雑になるため、金型コストが嵩んだ。第2には、缶本体を立てた状態で缶本体と蓋部とを溶接して電池缶を形成した後、電池缶を横に寝かせて注液口を上にした状態で電解液を注入する必要があるので、缶本体を立てた状態から横にした状態に電池缶を移行する工程が必要であった。第3には、注液口周縁部に鋼球を溶着させる際、注液口が平面状の缶本体側壁に設けてあるので、鋼球が注液口から動き易く、静止して保持し続けるのが難しいため溶着作業の能率が低かった。
【0005】
本発明の目的は、上述した問題を解決して、製作容易な構造を備えた密閉型筒状電池及びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る密閉型筒状電池は、上部開口を有する筒状缶本体と、その開口を閉止する蓋部とからなる電池缶を備え、缶本体の上部開口を蓋部で閉止し、次いで電解液を注液口より注入し、注液口を封止してなる密閉型筒状電池において、注液口を蓋部の一部に形成された円錐台状または半球状の注液口用凹部の底部に設けてなり注液口の口径より直径の大きい封止用鋼球で封止したことを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る密閉型電池の製造方法は、上部開口を有する筒状缶本体と、その開口を閉止する蓋部とからなる電池缶を備え、缶本体の上部開口を蓋部で閉止し、次いで電解液を注液口より注入し、注液口を封止してなる密閉型筒状電池の製造方法において、筒状缶本体の上部開口を注液口を蓋部の一部に形成された円錐台状または半球状の注液口用凹部の底部に設けた蓋部で覆い、該缶本体を立てた状態で蓋部の周縁を溶接して蓋部を缶本体に固定し、次いで、缶本体を同じ立てた姿勢にしたままで、電解液を注液口より注入し、注液口の口径より直径の大きい封止用鋼球を該注液口に当てて溶着方法により鋼球を溶着させることを特徴としている。
本発明は、角形あるいは円筒形を問わず、筒状の電池及びその製造方法に適用できる。
【0008】
【作用】
本発明では、缶本体より成形の簡単な蓋部に注液口を設けることにより、缶本体の成形工程を簡略化できると共に蓋部の成形と注液口の打ち抜きとを同一工程で行うことが可能になり、全体として見た場合に電池缶の成形が容易になる。また、缶本体を立てた状態で缶本体に蓋部を溶接して電池缶を形成した後、蓋部に注液口があるので、立てた姿勢に電池缶を維持した儘、電解液を注入し、封止用鋼球で溶着封止することができる。また、注液口が蓋部の一部に形成された円錐台状または半球状の注液口用の凹部の底部に設けてあるので、鋼球が動き難く、保持が容易である。
【0009】
【実施例】
以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明に係る密閉型筒状電池の一実施例の斜視図である。図1に示す部品、部位のうち図4と同じものには同じ符号を付している。図1に示すように、本実施例の密閉型筒状電池(以下、簡単に電池と略称する)10は、角形の塩化チオニル一次電池であって、電池10の電池缶は、上部開口を有する角形缶本体12と、上部開口を閉止する蓋部14とから構成されている。図1中、20は電池の正極を示す。
【0010】
蓋部14の適所には、電解液注入用の注液口16が設けてあって、封止用鋼球18を溶着して封止するようになっている。注液口16は、図2(a)及び(b)に示すように、蓋部14の一部に形成された円錐台状の凹部22の底部に設けてある。又は、図3(a)及び(b)に示すように、蓋部14の一部に形成された半球状の凹部22の底部に設けてある。
【0011】
電池10を組み立てるに当たっては、先ず、電極材を収容した缶本体12の上部開口を蓋部14で覆い、缶本体12を立てた状態で蓋部14の周縁をレーザシーム溶接(図1では24で表示)して蓋部14を缶本体12に固定する。次いで、缶本体12を同じ立てた姿勢にしたままで、電解液を注液口16より注入する。注入後、注液口16の口径よりやや直径の大きい封止用鋼球18を注液口16に当てて抵抗溶接等の溶着方法により鋼球18を溶着させて注液口16を封止する。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、蓋部の一部に形成した円錐台状または半球状の注液口用凹部の底部に注液口を設けることにより、立てた姿勢に缶本体を保持したままで、缶本体と蓋部とを溶接する工程、電解液の注入工程及び鋼球による蓋部の封止工程の三つの工程を実施することができる。よって、従来の密閉型筒状電池のように、缶本体と蓋部との溶接後、缶本体を横に寝かせる必要がなく、電池の組み立て作業の生産性を向上させることができる。また、缶本体に比べて、成形の簡単な蓋部に注液口を設けているので、蓋部の成形と注液口の打ち抜きとを一つの工程で行うことができ、缶本体に注液口を設けている従来の密閉型筒状電池に比べて、金型の製作費を含め、電池缶の成形工程におけるコストを節減することができる。
蓋部の一部に円錐台状または半球状の注液口用凹部に凹部を形成し、その凹部の底部に注液口を設けることにより、封止用鋼球を注液口周縁に溶着させる時、鋼球の動きが抑制され、静止し易いので、溶着作業の作業性が向上する。また、注液口が円錐台状または半球状の注液口用凹部の底部に設けてあるので、電解液の注入時、注液口周縁に付着した液滴の横への拡散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る密閉型筒状電池の斜視図である。
【図2】図2(a)は蓋部の平面図、図2(b)は図2(a)の線I−Iでの蓋部の断面図である。
【図3】図3(a)は別の凹部形状を備えた蓋部の平面図、図3(b)は図3(a)の線II−IIでの蓋部の断面図である。
【図4】従来の密閉型筒状電池の斜視図である。
【符号の説明】
10 本発明に係る密閉型筒状電池の実施例
12 缶本体
14 蓋部
16 注液口
18 封止用鋼球
20 正極
22 凹部
24 溶接シーム

Claims (2)

  1. 上部開口を有する筒状缶本体と、その開口を閉止する蓋部とからなる電池缶を備え、缶本体の上部開口を蓋部で閉止し、次いで電解液を注液口より注入し、注液口を封止してなる密閉型筒状電池において、
    前記注液口を蓋部の一部に形成された円錐台状または半球状の注液口用凹部の底部に設けてなり、
    前記注液口の口径より直径の大きい封止用鋼球で封止したことを特徴とする密閉型筒状電池。
  2. 上部開口を有する筒状缶本体と、その開口を閉止する蓋部とからなる電池缶を備え、缶本体の上部開口を蓋部で閉止し、次いで電解液を注液口より注入し、注液口を封止してなる密閉型筒状電池の製造方法において、
    前記筒状缶本体の上部開口を注液口を蓋部の一部に形成された円錐台状または半球状の注液口用凹部の底部に設けた蓋部で覆い、該缶本体を立てた状態で蓋部の周縁を溶接して蓋部を缶本体に固定し、次いで、缶本体を同じ立てた姿勢にしたままで、電解液を注液口より注入し、
    前記注液口の口径より直径の大きい封止用鋼球を該注液口に当てて溶着方法により鋼球を溶着させることを特徴とする密閉型筒状電池の製造方法。
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