JP3551266B2 - 鋭角後方反射装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、鋭角後方反射装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、光学計測や光学測定用の反射器、さらには光学機器調整用の反射器等に有用な、新しい鋭角後方反射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、たとえば図13に示したように、3枚の平面鏡体(111)、(112)、(113)の鏡面を接合して三つの二面体を形成し、これら3つの二面体の二面角を全て直角に設定して貼合せた貼合せ型のホロータイプ直角後方反射装置と、図14に示したようなプリズム型の後方反射装置が知られている。この後方反射装置は、図15(a)に示したように、視野内のどの方向から入射した光線でも正確に逆方向に反射する性質を有し、図15(b)に示したように、後方反射装置に入射した平行光線(I)、(II)、(III)・・の光路長は、貼合せの原点、すなわち反射原点(g)へ入射する光線(K)の光路長と一致する。従って、これらの平行光線(I)、(II)、(III)・・には、全て光路長が等しく、光波面が変化しないという特徴がある。この性質は、プリズム型の後方反射装置も同様である。この性質によって、後方反射装置は、光学測距用の反射器や光学機器調整用の反射器等として広く利用されている。
【0003】
より具体的には、たとえば、その利用分野の一つとして測地衛星による測距がある。これは、測地衛星に前記の直角後方反射装置の単体を搭載し、これにレーザービームを送信し、後方反射装置による反射光を受信し、レーザービームの往復に要する時間から測距を行うようにしたもので、遠隔地点の測距に適している。すなわち、図16に示すように、ホロータイプ直角後方反射装置を測地衛星(141)に搭載し、これに地上の複数の地点(142)、(143)、(144)、(145)・・からレーザービームを送信し、該ホロータイプ直角後方反射装置による反射光をそれぞれ地点(142)、(143)、(144)、(145)・・で受信し、各レーザービームの往復に要したそれぞれの時間よりそれぞれの地点かみた衛星の軌道を求める。2地点からみた衛星の軌道が決定されれば、2地点間の距離が求められる。
【0004】
しかしながら、当然に考慮されることであるが、大きな海を隔てている大陸間の地点のような遠隔地点の測距をレーザービーム測距によって正確に行うには、広い後方反射角が必要となるが、ホロータイプ直角後方反射装置の単体が反射器として機能する角度範囲は、約60度であることから、遠く離れた2地点から同一衛星の測距を行おうとするとホロータイプ直角後方反射装置単体の反射可能角度埴を越えてしまい良好な測距をすることができなかった。このことはプリズム型後方反射装置においてもほぼ同様であった。このため、より広い角度範囲で後方反射装置を利用する必要のある場合には、図17(a)(b)に示すように、多数の後方反射装置を球面上に配設した後方反射装置が用いられている。ここで、図17(a)は、ホロータイプ直角後方反射装置を、図17(b)はプリズム型後方反射装置を示している。しかしながら、このような従来の後方反射装置では、各後方反射装置ユニット(15)の反射原点(g)が複数の点に分かれるために測距精度が低下するといった欠点があった。
【0005】
この発明は、上記の通りの従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、後方反射機能を有するとともに、測距精度の高い新しい後方反射装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、3枚の平面鏡体によって単一の接点が共有される接合部が形成され、各々2枚の鏡面が互いに対向されて接合されることで三つの二面体が形成される後方反射装置が、その一つまたは二つの二面体の二面角が鋭角に設定された構造からなる鋭角後方反射装置(以下「ホロータイプの鋭角後方反射装置」と呼ぶ)である後方反射装置を提供する。また、その態様としては、一つの二面体の二面角が直角の整数分の1に設定され、他の2つの二面体の二面角がいずれも直角に設定された構造や、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角に設定された構造等が採用される。
【0007】
また、この発明における後方反射装置は、単一の反射点を共有するように複数の装置ユニットが集合配置された構造からなるものも提供する。そして、その態様としては、一つの円周面上に集合して配設された構造や、一つの球面上に集合して配設された構造、一つの多面体上に配設された構造、一つの正多面体上に配設された構造、さらには、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角である鋭角後方反射装置であって、この装置がユニットとして一つの正二十面体の面の位置に配設された構造等が採用される。
【0008】
さらには、この発明においては、従来のホロータイプ直角後方反射装置をユニットとして複数集合させ、複数のユニットの各々が接合部において単一の反射点が共有するように配設させた後方反射装置をも提供する。
【0009】
【作用】
この発明におけるホロータイプ鋭角後方反射装置は、その一つまたは二つの二面体の二面角が鋭角に設定され、多数のユニットとして接合部を一点に集中させるコンパクトで小型の設計が可能でり、コンパクトな後方反射装置でありながら、従来のホロータイプ直角後方反射装置と同様に後方反射機能を有し、従来のホロータイプ直角後方反射装置と同じく光学測距用や光学機器調整用の反射装置等として利用することができる。
【0010】
また、この発明では、多数のユニットの各々の接合部において単一の反射点が単一の反射点を共有するように配設することができるから、従来の反射装置に比べて、後方反射死角がはるかに少なく広域化計測が可能になる。従って、地震、噴火予知等のための地形の微少歪みの高精度測定、測地衛星等によるレーザービーム測距の高精度化、レーザー長光路吸収法による大気中微量成分の可能領域の広域化などの計測や測定にとって極めて有用な手段となる。
【0011】
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0012】
【実施例】
以下図面を参照して説明する。
図1は、3枚の平面鏡体によって三つの二面体が形成されているホロータイプ鋭角後方反射装置を示している。一つの二面体の二面角が直角の整数分の1(すなわち、90/N ;Nは整数)に設定され、他の2つの二面体の二面角がいずれも直角に設定されたホロータイプ鋭角後方反射装置のうちの、一つの二面体の二面角が45度(すなわち、90/N ;N=2の場合)に形成されたホロータイプ鋭角後方反射装置を例示している。すなわち、この鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が45度となるように接合され、第1の平面鏡(1)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第3の平面鏡の鏡面による二面角(β)が直角となるように接合され、第2の平面鏡(2)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第2および第3の平面鏡の鏡面によよる二面角(γ)が直角となるように接合された構造を有している。
【0013】
このホロータイプ鋭角後方反射装置においては、第1の平面鏡(1)と第3の平面鏡(3)とからなる二面体および第2の平面鏡(2)と第3の平面鏡(3)とからなる二面体は二面角が直角に形成されているから、いずれも従来のホロータイプ後方反射器の二面体と同一であるが、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が45度になるように接合されてなる二面体を有することで従来のものとは本質的に相違している。
【0014】
図2はこの反射機能を説明するための最も単純な場合の光線の入反射を示したものである。光線I、IIは、第2の平面鏡(2)の鏡面と平行に第1の平面鏡(1)に入射するものとする。光線Iは、第1の平面鏡(1)の点(P)で反射され第2の平面鏡(2)の点Qに垂直に入射し第2の平面鏡(2)で反射され同じ行路を通ってもと来た方向に戻される。同様に光線IIは、第1の平面鏡(1)の点Rで反射され第2の平面鏡(2)の点Sに垂直に入射し第2の平面鏡(2)で反射され同じ行路を通ってもと来た方向に戻される。光線IとIIとの交点をTとすると、PT=RT、TQ=RSであるから光線I、II共に光路長は等しく、従って光波面は変化しないことになる。
【0015】
図3は、一つの二面体の二面角が30度(すなわち、90/N ;N=3の場合)をなし、他の2つの二面体の二面角がいずれも直角であるホロータイプ鋭角後方反射装置である。すなわち、このホロータイプ鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が30度になるように接合されている。
【0016】
図4は、一つの二面体の二面角が45度に形成され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角に形成されているホロータイプ鋭角後方反射装置である。図4(a)(b)とは対象体をなすものである。すなわち、図4(a)のホロータイプ鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が60度になるように接合され、第1の平面鏡(1)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第3の平面鏡の鏡面による二面角(β)が45度になるように接合され、第2の平面鏡(2)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第2および第3の平面鏡の鏡面による二面角(γ)が直角になるように接合された構造を示している。図4(b)のホロータイプ鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が45度になるように接合され、第1の平面鏡(1)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第3の平面鏡の鏡面による二面角(β)が60度になるように接合され、第2の平面鏡(2)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第2および第3の平面鏡の鏡面による二面角(γ)が直角になるように接合された構造を有している。以上の各々の構造のものが、実際に、ホロータイプ後方反射装置として機能するものであることは光線追跡法によって確認されている。
【0017】
以上、3枚の平面鏡体によって三つの2面体が形成されるホロータイプ鋭角後方反射装置において、1つの2面体の二面角が直角であるものを除いた他の2面体の二面角について、60度、45°、30度を例にとって説明してきたが、この残余の二面角は、90度以下の任意の鋭角であればよく、前記例の角度に規定されるものではない。
次に、上記のホロータイプ鋭角後方反射装置を一つのユニットにして、その複数のものを単一の反射点を共有する形状に集合化配置したホロータイプ鋭角後方反射装置について説明する。図5は、一つの二面体の二面角が鋭角に設定され、他の2つの二面体の二面角が直角であるホロータイプ鋭角後方反射装置ユニット(21)、(22)、(23)、(24)の四つが、反射点(G)を共有し、かつ、支持板(25)上で同一の円周上に均等に配設固定されている後方反射装置である。支持脚(26)は支持板(25)下面に連結されている。
【0018】
この場合、全ての後方反射装置ユニットの反射点(G)を共有させるには、図6(a)に示すように二面角が鋭角をなす二つの平面鏡の接合部端部表面を斜めに切断した後方反射装置ユニットを複数集合させた構造ばかりでなく、図6(b)に示すように、後方反射装置ユニットの接合部を欠落除去したものを用いてもよい。全ての後方反射装置ユニットの反射点(G)を共有させるには、図6(a)(b)に示したような構造だけに限られず適宜な構造のものが採用されるものであることはいうまでもない。
【0019】
そして、後方反射装置ユニットの数、その配置構造は、各鋭角ホロータイプの後方反射装置ユニットが単一の反射点を共有するようにすればよく、後方反射装置ユニットの二面角の為す鋭角の角度、鏡面材料の厚さ等によって適宜選択決定し得るものであることはいうまでもない。
従来、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットを集合させ、単一の反射点を共有しかつ同一の円周上に均等に複数配設する場合、配設できるユニットの数は三つが上限であったのに比べ、この発明では、三つ以上を容易に配設することができ、多方向からの光線の同時入反射が可能となる。
【0020】
従って、後方反射可能な角度範囲が従来のホロータイプ直角後方反射装置よりも広くなるから、死角が少なくなり、地震、噴火予知等のための地形の微少歪みの高精度測定に利用する場合、レーザービーム測距装置の数または後方反射装置の設置台数が少なくて済むことになる。このことを図7に従って説明すると、地形歪みの影響のない程度、火山等の測定対象から離れた2位置(x)、(y)にレーザー測距装置(71)、(72)を設置し、2台のレーザー測距装置(71)、(72)の離間距離(L)を、測距精度を上げるためおよび2台のレーザー測距装置をできるだけ多数の後方反射器複合体にレーザービームを送受信できるような所定距離に設定する。火山等測定対象の近辺に設置した後方反射装置(73)にレーザービーム測距装置(71)、(72)からそれぞれレーザービームを同時に送信すると、各レーザービームは後方反射装置の内の適宜の後方反射装置ユニットに入射しそこから入射方向に反射される。かかる反射レーザービームをレーザービーム測距装置(71)、(72)でそれぞれ受信することで、各レーザービームが往復に要する時間から後方反射装置までの距離をそれぞれ計算し、三角測量の原理に従い後方反射装置の位置を確定し、それを以前の後方反射装置の位置と比較し測定時点での地形歪みを算出する。この作業を火山等測定対象の近辺に設置したその他の複数の後方反射装置(74)、(75)、(76)について行うことで火山等測定対象全体の地形歪みが立体的、経時的に正確かつ精密に把握することができる。このようにして得られたデータは地震、噴火予知等に有効に利用することができる。
【0021】
また、この発明の後方反射装置は、後方反射方向の範囲をより大きくするために、この発明の鋭角後方反射装置のユニットを、一つの球面上に集合配設してもよく、また鋭角後方反射装置のユニットを、一つの多面体上に集合配設してもよい。
図8は、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角であるホロータイプ鋭角後方反射装置ユニット(8)を20個、一つの正二十面体の面の位置に配設し、反射の原点を正二十面体の体心位置とする後方反射装置である。この場合には、後方反射可能の角度範囲を従来のホロータイプ後方反射装置と比べ格段に広くすることができる(従って、死角をより少なくすることができる)ことから、測地衛星等による大きな海を隔てている大陸間上の地点の測距等に有効である。すなわち、図9に示すように、この後方反射装置を測地衛星(91)に搭載し、これに地上複数の地点(92)、(93)、(94)、(95)・・からレーザービームを同時に送信し、後方反射装置による反射光をそれぞれ地点(92)、(93)、(94)、(95)・・で受信し、各レーザービームの往復にかかったそれぞれの時間からそれぞれの距離を求める。2地点、たとえば地点(92)、(93)の座標位置が既知であれば、その時点の衛星の位置が分かり、それにより未知の遠隔地点(94)、(95)・・の位置を求めることができる。
【0022】
また、この発明の後方反射装置は、後方反射可能な角度範囲が広いことから、地球観測プラットフォーム技術衛星に後方反射器を搭載して行うレーザー長光路吸収法等による大気中の微量成分の吸収スペクトル分析の測定用捕捉可能範囲を広域化することができる。図10は、後方反射装置を太陽同期準回帰軌道の地球観測プラットフォーム技術衛星(100)等に搭載した状態を示す。該地球観測プラットフォーム技術衛星(100)に対し、地上の一地点(101)から該地球観測プラットフォーム技術衛星(100)の軌道に追従してレーザービームを送信し、後方反射複合体による反射光を受信することによってレーザービームの往復の行路内にある大気中の微量成分の吸収スペクトルを分析する。これによって、大気中の微量成分を追従のホロータイプ直角後方反射器複合体を用いた場合以上の広い捕捉可能範囲(R)に亘って正確に測定することができるようになる。
【0023】
また、以上の複数のユニット集合型の後方反射装置の構成は、その着想において、従来のホロータイプ直角後方反射装置の場合にも生かしていくことができる。
すなわち、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットを単一の反射点を共有するように複数配設することである。図11は、3つのホロータイプ直角後方反射装置ユニット(101)、(102)、(103)を単一の反射点(G)を共有し、かつ、同一の円周上に均等に配置してなるホロータイプ直角後方反射装置を示したものである。この場合、全てのホロータイプ直角後方反射装置ユニットの反射点(G)を共有させるために、各ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの二面角が直角をなす2つの平面鏡の接合部裏側を斜めに切断した後方反射装置ユニットを集合させた構造を採用している。また、各ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの二面角が直角をなす2つの平面鏡の接合の一部が欠如していても後方反射器として機能することから、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの接合部を欠落除去したものも用いられる。
【0024】
このような構造にすると、複数の地点から同時にレーザービームをホロータイプ直角後方反射器複合体に送信しても、各ホロータイプ直角後方反射器で反射されるレーザービームの干渉が発生せずまたレーザーパルスの形状の変化が生じないという利点が得られ、複数地点からのレーザー測距を同時に行うことができる。
【0025】
もちろん、このような集合型のホロータイプ直角後方反射装置では、複数のホロータイプ直角後方反射装置ユニットを単一の反射点で共有した形状に配設することが条件となることから、集合配設することのできるホロータイプ直角後方反射装置ユニットの数には大きな制約がある。すなわち、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットを集合させて単一の反射点を共有し、かつ、同一の円周上に配設する場合は、図16に示したように、3つが上限であり、球面上または多面体上に配設する場合でも、配設できるホロータイプ直角後方反射装置ユニットの数の上限は、四ないし五が上限である。
【0026】
図12は、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの四つを正四面体の面の位置に配設した場合を示している。また、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの五つを対称性を持たない多面体の面位置に配設したものも構成可能である。
単一反射点を共有する集合型のホロータイプ直角後方反射装置に配設できるホロータイプ直角後方反射装置ユニットの数が少ないことは、各ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの反射角度範囲以外の所に死角が生じるという弱点があるが、従来型のホロータイプが直角後方反射装置ユニットが使用できるという特徴もある。
【0027】
【発明の効果】
この発明は、以上詳しく説明したように構成されているので、以下の通りの優れた効果を奏する。すなわち、この発明におけるホロータイプ鋭角後方反射装置は90度以下の任意の鋭角をとり得るものとして構成されているので、このホロータイプ鋭角後方反射装置は、多数のユニットとして接合部を一点に集中して配設することができ、従来のように分散することなく配置することができるのでコンパクトな設置が可能となる。従来と同様の後方反射機能を有するとともに、従来のホロータイプ直角後方反射装置の配設数よりも多数のホロータイプ鋭角後方反射装置のユニットを単一の反射点を共有するように集合配設することができるから、従来の場合よりも後方反射可能な角度範囲がはるかに広くなる。その結果、後方反射死角が少なくなり、地震、噴火予知等のための地形の微少歪みの高精度測定、測地衛星等によるレーザービーム測距の高精度化、大気中の微量成分検出捕捉可能範囲の広域化等が可能となり、より広い分野での利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のホロータイプ鋭角後方反射器の斜視図である。
【図2】この発明のホロータイプ鋭角後方反射器が後方反射器として機能することを示す説明図である。
【図3】ホロータイプ鋭角後方反射器の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】ホロータイプ鋭角後方反射器のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図5】この発明のホロータイプ鋭角後方反射器複合体の斜視図である。
【図6】単一の反射点を共有させるためのホロータイプ鋭角後方反射器の配設構造を示す平面図である。
【図7】地形歪みの測定にホロータイプ鋭角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図8】図4に示すホロータイプ鋭角後方反射器を正二十面体の面の位置に配設した複合体を示す斜視図である。
【図9】測距衛星による測距にホロータイプ鋭角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図10】地球観測プラットフォーム技術衛星による大気中の微量成分検出にホロータイプ鋭角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図11】単一の反射点を共有させるようにホロータイプ直角後方反射器を配設した構造を示す平面図である。
【図12】ホロータイプ直角後方反射器を正四面体上に配設した構造を示す斜視図である。
【図13】従来のホロータイプ直角後方反射器の斜視図である。
【図14】従来のプリズム型後方反射器の斜視図である。
【図15】ホロータイプ直角後方反射器の後方反射機能の説明図である。
【図16】測距衛星による測距に従来のホロータイプ直角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図17】従来の後方反射器を球面上に配設した概念図である。
【符号の説明】
1 第1の平面鏡
2 第2の平面鏡
3 第3の平面鏡
G 単一の反射点
【産業上の利用分野】
この発明は、鋭角後方反射装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、光学計測や光学測定用の反射器、さらには光学機器調整用の反射器等に有用な、新しい鋭角後方反射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、たとえば図13に示したように、3枚の平面鏡体(111)、(112)、(113)の鏡面を接合して三つの二面体を形成し、これら3つの二面体の二面角を全て直角に設定して貼合せた貼合せ型のホロータイプ直角後方反射装置と、図14に示したようなプリズム型の後方反射装置が知られている。この後方反射装置は、図15(a)に示したように、視野内のどの方向から入射した光線でも正確に逆方向に反射する性質を有し、図15(b)に示したように、後方反射装置に入射した平行光線(I)、(II)、(III)・・の光路長は、貼合せの原点、すなわち反射原点(g)へ入射する光線(K)の光路長と一致する。従って、これらの平行光線(I)、(II)、(III)・・には、全て光路長が等しく、光波面が変化しないという特徴がある。この性質は、プリズム型の後方反射装置も同様である。この性質によって、後方反射装置は、光学測距用の反射器や光学機器調整用の反射器等として広く利用されている。
【0003】
より具体的には、たとえば、その利用分野の一つとして測地衛星による測距がある。これは、測地衛星に前記の直角後方反射装置の単体を搭載し、これにレーザービームを送信し、後方反射装置による反射光を受信し、レーザービームの往復に要する時間から測距を行うようにしたもので、遠隔地点の測距に適している。すなわち、図16に示すように、ホロータイプ直角後方反射装置を測地衛星(141)に搭載し、これに地上の複数の地点(142)、(143)、(144)、(145)・・からレーザービームを送信し、該ホロータイプ直角後方反射装置による反射光をそれぞれ地点(142)、(143)、(144)、(145)・・で受信し、各レーザービームの往復に要したそれぞれの時間よりそれぞれの地点かみた衛星の軌道を求める。2地点からみた衛星の軌道が決定されれば、2地点間の距離が求められる。
【0004】
しかしながら、当然に考慮されることであるが、大きな海を隔てている大陸間の地点のような遠隔地点の測距をレーザービーム測距によって正確に行うには、広い後方反射角が必要となるが、ホロータイプ直角後方反射装置の単体が反射器として機能する角度範囲は、約60度であることから、遠く離れた2地点から同一衛星の測距を行おうとするとホロータイプ直角後方反射装置単体の反射可能角度埴を越えてしまい良好な測距をすることができなかった。このことはプリズム型後方反射装置においてもほぼ同様であった。このため、より広い角度範囲で後方反射装置を利用する必要のある場合には、図17(a)(b)に示すように、多数の後方反射装置を球面上に配設した後方反射装置が用いられている。ここで、図17(a)は、ホロータイプ直角後方反射装置を、図17(b)はプリズム型後方反射装置を示している。しかしながら、このような従来の後方反射装置では、各後方反射装置ユニット(15)の反射原点(g)が複数の点に分かれるために測距精度が低下するといった欠点があった。
【0005】
この発明は、上記の通りの従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、後方反射機能を有するとともに、測距精度の高い新しい後方反射装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、3枚の平面鏡体によって単一の接点が共有される接合部が形成され、各々2枚の鏡面が互いに対向されて接合されることで三つの二面体が形成される後方反射装置が、その一つまたは二つの二面体の二面角が鋭角に設定された構造からなる鋭角後方反射装置(以下「ホロータイプの鋭角後方反射装置」と呼ぶ)である後方反射装置を提供する。また、その態様としては、一つの二面体の二面角が直角の整数分の1に設定され、他の2つの二面体の二面角がいずれも直角に設定された構造や、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角に設定された構造等が採用される。
【0007】
また、この発明における後方反射装置は、単一の反射点を共有するように複数の装置ユニットが集合配置された構造からなるものも提供する。そして、その態様としては、一つの円周面上に集合して配設された構造や、一つの球面上に集合して配設された構造、一つの多面体上に配設された構造、一つの正多面体上に配設された構造、さらには、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角である鋭角後方反射装置であって、この装置がユニットとして一つの正二十面体の面の位置に配設された構造等が採用される。
【0008】
さらには、この発明においては、従来のホロータイプ直角後方反射装置をユニットとして複数集合させ、複数のユニットの各々が接合部において単一の反射点が共有するように配設させた後方反射装置をも提供する。
【0009】
【作用】
この発明におけるホロータイプ鋭角後方反射装置は、その一つまたは二つの二面体の二面角が鋭角に設定され、多数のユニットとして接合部を一点に集中させるコンパクトで小型の設計が可能でり、コンパクトな後方反射装置でありながら、従来のホロータイプ直角後方反射装置と同様に後方反射機能を有し、従来のホロータイプ直角後方反射装置と同じく光学測距用や光学機器調整用の反射装置等として利用することができる。
【0010】
また、この発明では、多数のユニットの各々の接合部において単一の反射点が単一の反射点を共有するように配設することができるから、従来の反射装置に比べて、後方反射死角がはるかに少なく広域化計測が可能になる。従って、地震、噴火予知等のための地形の微少歪みの高精度測定、測地衛星等によるレーザービーム測距の高精度化、レーザー長光路吸収法による大気中微量成分の可能領域の広域化などの計測や測定にとって極めて有用な手段となる。
【0011】
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0012】
【実施例】
以下図面を参照して説明する。
図1は、3枚の平面鏡体によって三つの二面体が形成されているホロータイプ鋭角後方反射装置を示している。一つの二面体の二面角が直角の整数分の1(すなわち、90/N ;Nは整数)に設定され、他の2つの二面体の二面角がいずれも直角に設定されたホロータイプ鋭角後方反射装置のうちの、一つの二面体の二面角が45度(すなわち、90/N ;N=2の場合)に形成されたホロータイプ鋭角後方反射装置を例示している。すなわち、この鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が45度となるように接合され、第1の平面鏡(1)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第3の平面鏡の鏡面による二面角(β)が直角となるように接合され、第2の平面鏡(2)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第2および第3の平面鏡の鏡面によよる二面角(γ)が直角となるように接合された構造を有している。
【0013】
このホロータイプ鋭角後方反射装置においては、第1の平面鏡(1)と第3の平面鏡(3)とからなる二面体および第2の平面鏡(2)と第3の平面鏡(3)とからなる二面体は二面角が直角に形成されているから、いずれも従来のホロータイプ後方反射器の二面体と同一であるが、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が45度になるように接合されてなる二面体を有することで従来のものとは本質的に相違している。
【0014】
図2はこの反射機能を説明するための最も単純な場合の光線の入反射を示したものである。光線I、IIは、第2の平面鏡(2)の鏡面と平行に第1の平面鏡(1)に入射するものとする。光線Iは、第1の平面鏡(1)の点(P)で反射され第2の平面鏡(2)の点Qに垂直に入射し第2の平面鏡(2)で反射され同じ行路を通ってもと来た方向に戻される。同様に光線IIは、第1の平面鏡(1)の点Rで反射され第2の平面鏡(2)の点Sに垂直に入射し第2の平面鏡(2)で反射され同じ行路を通ってもと来た方向に戻される。光線IとIIとの交点をTとすると、PT=RT、TQ=RSであるから光線I、II共に光路長は等しく、従って光波面は変化しないことになる。
【0015】
図3は、一つの二面体の二面角が30度(すなわち、90/N ;N=3の場合)をなし、他の2つの二面体の二面角がいずれも直角であるホロータイプ鋭角後方反射装置である。すなわち、このホロータイプ鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が30度になるように接合されている。
【0016】
図4は、一つの二面体の二面角が45度に形成され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角に形成されているホロータイプ鋭角後方反射装置である。図4(a)(b)とは対象体をなすものである。すなわち、図4(a)のホロータイプ鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が60度になるように接合され、第1の平面鏡(1)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第3の平面鏡の鏡面による二面角(β)が45度になるように接合され、第2の平面鏡(2)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第2および第3の平面鏡の鏡面による二面角(γ)が直角になるように接合された構造を示している。図4(b)のホロータイプ鋭角後方反射装置は、第1の平面鏡(1)の鏡面と第2の平面鏡(2)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第2の平面鏡の鏡面による二面角(α)が45度になるように接合され、第1の平面鏡(1)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第1および第3の平面鏡の鏡面による二面角(β)が60度になるように接合され、第2の平面鏡(2)の鏡面と第3の平面鏡(3)の鏡面とが互いに対向し、この第2および第3の平面鏡の鏡面による二面角(γ)が直角になるように接合された構造を有している。以上の各々の構造のものが、実際に、ホロータイプ後方反射装置として機能するものであることは光線追跡法によって確認されている。
【0017】
以上、3枚の平面鏡体によって三つの2面体が形成されるホロータイプ鋭角後方反射装置において、1つの2面体の二面角が直角であるものを除いた他の2面体の二面角について、60度、45°、30度を例にとって説明してきたが、この残余の二面角は、90度以下の任意の鋭角であればよく、前記例の角度に規定されるものではない。
次に、上記のホロータイプ鋭角後方反射装置を一つのユニットにして、その複数のものを単一の反射点を共有する形状に集合化配置したホロータイプ鋭角後方反射装置について説明する。図5は、一つの二面体の二面角が鋭角に設定され、他の2つの二面体の二面角が直角であるホロータイプ鋭角後方反射装置ユニット(21)、(22)、(23)、(24)の四つが、反射点(G)を共有し、かつ、支持板(25)上で同一の円周上に均等に配設固定されている後方反射装置である。支持脚(26)は支持板(25)下面に連結されている。
【0018】
この場合、全ての後方反射装置ユニットの反射点(G)を共有させるには、図6(a)に示すように二面角が鋭角をなす二つの平面鏡の接合部端部表面を斜めに切断した後方反射装置ユニットを複数集合させた構造ばかりでなく、図6(b)に示すように、後方反射装置ユニットの接合部を欠落除去したものを用いてもよい。全ての後方反射装置ユニットの反射点(G)を共有させるには、図6(a)(b)に示したような構造だけに限られず適宜な構造のものが採用されるものであることはいうまでもない。
【0019】
そして、後方反射装置ユニットの数、その配置構造は、各鋭角ホロータイプの後方反射装置ユニットが単一の反射点を共有するようにすればよく、後方反射装置ユニットの二面角の為す鋭角の角度、鏡面材料の厚さ等によって適宜選択決定し得るものであることはいうまでもない。
従来、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットを集合させ、単一の反射点を共有しかつ同一の円周上に均等に複数配設する場合、配設できるユニットの数は三つが上限であったのに比べ、この発明では、三つ以上を容易に配設することができ、多方向からの光線の同時入反射が可能となる。
【0020】
従って、後方反射可能な角度範囲が従来のホロータイプ直角後方反射装置よりも広くなるから、死角が少なくなり、地震、噴火予知等のための地形の微少歪みの高精度測定に利用する場合、レーザービーム測距装置の数または後方反射装置の設置台数が少なくて済むことになる。このことを図7に従って説明すると、地形歪みの影響のない程度、火山等の測定対象から離れた2位置(x)、(y)にレーザー測距装置(71)、(72)を設置し、2台のレーザー測距装置(71)、(72)の離間距離(L)を、測距精度を上げるためおよび2台のレーザー測距装置をできるだけ多数の後方反射器複合体にレーザービームを送受信できるような所定距離に設定する。火山等測定対象の近辺に設置した後方反射装置(73)にレーザービーム測距装置(71)、(72)からそれぞれレーザービームを同時に送信すると、各レーザービームは後方反射装置の内の適宜の後方反射装置ユニットに入射しそこから入射方向に反射される。かかる反射レーザービームをレーザービーム測距装置(71)、(72)でそれぞれ受信することで、各レーザービームが往復に要する時間から後方反射装置までの距離をそれぞれ計算し、三角測量の原理に従い後方反射装置の位置を確定し、それを以前の後方反射装置の位置と比較し測定時点での地形歪みを算出する。この作業を火山等測定対象の近辺に設置したその他の複数の後方反射装置(74)、(75)、(76)について行うことで火山等測定対象全体の地形歪みが立体的、経時的に正確かつ精密に把握することができる。このようにして得られたデータは地震、噴火予知等に有効に利用することができる。
【0021】
また、この発明の後方反射装置は、後方反射方向の範囲をより大きくするために、この発明の鋭角後方反射装置のユニットを、一つの球面上に集合配設してもよく、また鋭角後方反射装置のユニットを、一つの多面体上に集合配設してもよい。
図8は、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角であるホロータイプ鋭角後方反射装置ユニット(8)を20個、一つの正二十面体の面の位置に配設し、反射の原点を正二十面体の体心位置とする後方反射装置である。この場合には、後方反射可能の角度範囲を従来のホロータイプ後方反射装置と比べ格段に広くすることができる(従って、死角をより少なくすることができる)ことから、測地衛星等による大きな海を隔てている大陸間上の地点の測距等に有効である。すなわち、図9に示すように、この後方反射装置を測地衛星(91)に搭載し、これに地上複数の地点(92)、(93)、(94)、(95)・・からレーザービームを同時に送信し、後方反射装置による反射光をそれぞれ地点(92)、(93)、(94)、(95)・・で受信し、各レーザービームの往復にかかったそれぞれの時間からそれぞれの距離を求める。2地点、たとえば地点(92)、(93)の座標位置が既知であれば、その時点の衛星の位置が分かり、それにより未知の遠隔地点(94)、(95)・・の位置を求めることができる。
【0022】
また、この発明の後方反射装置は、後方反射可能な角度範囲が広いことから、地球観測プラットフォーム技術衛星に後方反射器を搭載して行うレーザー長光路吸収法等による大気中の微量成分の吸収スペクトル分析の測定用捕捉可能範囲を広域化することができる。図10は、後方反射装置を太陽同期準回帰軌道の地球観測プラットフォーム技術衛星(100)等に搭載した状態を示す。該地球観測プラットフォーム技術衛星(100)に対し、地上の一地点(101)から該地球観測プラットフォーム技術衛星(100)の軌道に追従してレーザービームを送信し、後方反射複合体による反射光を受信することによってレーザービームの往復の行路内にある大気中の微量成分の吸収スペクトルを分析する。これによって、大気中の微量成分を追従のホロータイプ直角後方反射器複合体を用いた場合以上の広い捕捉可能範囲(R)に亘って正確に測定することができるようになる。
【0023】
また、以上の複数のユニット集合型の後方反射装置の構成は、その着想において、従来のホロータイプ直角後方反射装置の場合にも生かしていくことができる。
すなわち、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットを単一の反射点を共有するように複数配設することである。図11は、3つのホロータイプ直角後方反射装置ユニット(101)、(102)、(103)を単一の反射点(G)を共有し、かつ、同一の円周上に均等に配置してなるホロータイプ直角後方反射装置を示したものである。この場合、全てのホロータイプ直角後方反射装置ユニットの反射点(G)を共有させるために、各ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの二面角が直角をなす2つの平面鏡の接合部裏側を斜めに切断した後方反射装置ユニットを集合させた構造を採用している。また、各ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの二面角が直角をなす2つの平面鏡の接合の一部が欠如していても後方反射器として機能することから、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの接合部を欠落除去したものも用いられる。
【0024】
このような構造にすると、複数の地点から同時にレーザービームをホロータイプ直角後方反射器複合体に送信しても、各ホロータイプ直角後方反射器で反射されるレーザービームの干渉が発生せずまたレーザーパルスの形状の変化が生じないという利点が得られ、複数地点からのレーザー測距を同時に行うことができる。
【0025】
もちろん、このような集合型のホロータイプ直角後方反射装置では、複数のホロータイプ直角後方反射装置ユニットを単一の反射点で共有した形状に配設することが条件となることから、集合配設することのできるホロータイプ直角後方反射装置ユニットの数には大きな制約がある。すなわち、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットを集合させて単一の反射点を共有し、かつ、同一の円周上に配設する場合は、図16に示したように、3つが上限であり、球面上または多面体上に配設する場合でも、配設できるホロータイプ直角後方反射装置ユニットの数の上限は、四ないし五が上限である。
【0026】
図12は、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの四つを正四面体の面の位置に配設した場合を示している。また、ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの五つを対称性を持たない多面体の面位置に配設したものも構成可能である。
単一反射点を共有する集合型のホロータイプ直角後方反射装置に配設できるホロータイプ直角後方反射装置ユニットの数が少ないことは、各ホロータイプ直角後方反射装置ユニットの反射角度範囲以外の所に死角が生じるという弱点があるが、従来型のホロータイプが直角後方反射装置ユニットが使用できるという特徴もある。
【0027】
【発明の効果】
この発明は、以上詳しく説明したように構成されているので、以下の通りの優れた効果を奏する。すなわち、この発明におけるホロータイプ鋭角後方反射装置は90度以下の任意の鋭角をとり得るものとして構成されているので、このホロータイプ鋭角後方反射装置は、多数のユニットとして接合部を一点に集中して配設することができ、従来のように分散することなく配置することができるのでコンパクトな設置が可能となる。従来と同様の後方反射機能を有するとともに、従来のホロータイプ直角後方反射装置の配設数よりも多数のホロータイプ鋭角後方反射装置のユニットを単一の反射点を共有するように集合配設することができるから、従来の場合よりも後方反射可能な角度範囲がはるかに広くなる。その結果、後方反射死角が少なくなり、地震、噴火予知等のための地形の微少歪みの高精度測定、測地衛星等によるレーザービーム測距の高精度化、大気中の微量成分検出捕捉可能範囲の広域化等が可能となり、より広い分野での利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のホロータイプ鋭角後方反射器の斜視図である。
【図2】この発明のホロータイプ鋭角後方反射器が後方反射器として機能することを示す説明図である。
【図3】ホロータイプ鋭角後方反射器の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】ホロータイプ鋭角後方反射器のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図5】この発明のホロータイプ鋭角後方反射器複合体の斜視図である。
【図6】単一の反射点を共有させるためのホロータイプ鋭角後方反射器の配設構造を示す平面図である。
【図7】地形歪みの測定にホロータイプ鋭角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図8】図4に示すホロータイプ鋭角後方反射器を正二十面体の面の位置に配設した複合体を示す斜視図である。
【図9】測距衛星による測距にホロータイプ鋭角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図10】地球観測プラットフォーム技術衛星による大気中の微量成分検出にホロータイプ鋭角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図11】単一の反射点を共有させるようにホロータイプ直角後方反射器を配設した構造を示す平面図である。
【図12】ホロータイプ直角後方反射器を正四面体上に配設した構造を示す斜視図である。
【図13】従来のホロータイプ直角後方反射器の斜視図である。
【図14】従来のプリズム型後方反射器の斜視図である。
【図15】ホロータイプ直角後方反射器の後方反射機能の説明図である。
【図16】測距衛星による測距に従来のホロータイプ直角後方反射器複合体を適用した場合の概念図である。
【図17】従来の後方反射器を球面上に配設した概念図である。
【符号の説明】
1 第1の平面鏡
2 第2の平面鏡
3 第3の平面鏡
G 単一の反射点
Claims (7)
- 3枚の平面鏡体によって単一の接点が共有される接合部が形成され、各々の2枚の鏡面が互いに対向されて接合されることで三つの二面体が形成される後方反射装置が、その一つまたは二つの二面体の二面角が鋭角に設定された鋭角後方反射装置であることを特徴とする後方反射装置。
- 請求項1において、後方反射装置が、一つの二面体の二面角が直角の整数分の1に設定され、他の二つの二面体の二面角がいずれも直角に設定されている鋭角後方反射装置であることを特徴とする後方反射装置。
- 請求項1において、後方反射装置が、一つの二面体の二面角が45度に設定され、他の二面体の二面角がそれぞれ60度と直角に設定されている鋭角後方反射装置であることを特徴とする後方反射装置。
- 請求項1ないし3のいずれかの鋭角後方反射装置をユニットとして複数備え、複数のユニットの各々が接合部において単一の反射点が共有するように配設されていることを特徴とする後方反射装置。
- 請求項4にいて、互いに当接する接合部の端部表面を斜めに切断したことを特徴とする後方反射装置。
- ホロータイプ直角後方反射装置をユニットとして複数備え、複数のユニットの各々が接合部において単一の反射点を共有するように配設されていることを特徴とする後方反射装置。
- 請求項4または5において、欠落切除した接合部においてなお単一の反射点が共有するように配設されていることを特徴とする後方反射装置。
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