JP3551102B2 - 低周波治療器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人体に低周波電流を流すことで治療を行う低周波治療器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低周波治療器は、図17に示すように、粘着パッドによって人体に貼り付けることができる導子1,1と、これら導子1,1がコード30を介して接続された制御部3とからなる形態のものが多いが、この他には、実用新案登録第3037036号に示されたもの、つまり図18に示すように、長さ調節が自在なU字形の支持体3の両端に導子1,1を取り付けて、首筋や脚部への装着の便宜を図ったものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、頸部に存在する板状筋に導子を接触させて低周波治療を行えば、肩の凝りや手の疲れに効果的であることが知られている。「新設」及び「百勞」と称される良導点(つぼ)80,81が存在している板状筋8は図3に示す位置に存在しているのであるが、ここに上記従来の導子を当接させて低周波治療を行おうとしても、図17に示すものでは板状筋に導子を貼り付けることが困難であり、また図18に示したものにおいては、支持体3の両端に位置する一対の導子の間隔を板状筋の間隔に合わせると、支持体2は人体の頸部から離れて浮いてしまうために、板状筋に導子が接触していない状態で使用してしまうことが多く、効果的な治療が望めなかった。
【0004】
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは頸部の板状筋に導子を確実に当接させて低周波治療を行うことができる低周波治療器を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、人体に接触させる一対の導子と、両導子が取り付けられている支持体とを備えるとともに、人体の首回りの半周以上の全長を有して弾性による保持で人体の首回りに装着される上記支持体は、その両端間の中間部に一対の導子が人体の頸部に位置する板状筋の間隔に相当する所定間隔で取り付けられており、さらに上記導子は支持体に対して向きが可変となるように取り付けられていることに特徴を有している。弾性によって人体の首部に装着される支持体を利用して導子を人体の頸部に位置する板状筋に接触させることができるようにしたものであり、また導子を支持体の中間部に且つ向きを可変に取り付けることで、板状筋に導子を密着させた状態で接触させることができるようにしたものである。
【0006】
この時、支持体は弾性を有するC字形のものとして形成しておくことが、支持体の人体への装着の点で好ましい結果を得ることができる。
【0008】
導子はばね弾性を有する接続部を介して支持体に取り付けて支持体から突出する方向にばね付勢されるようにしておいてもよい。
【0009】
支持体としては導子よりも幅が狭いものや、表裏に貫通する孔が明けられて人体との接触面積が小さくされたもの、支持体が導子への電力供給用導体を兼ねたものなどを好適に用いることができる。
【0010】
支持体の長手方向に導子を小範囲内で可動として、一対の導子の間隔を変えられるようにしておいてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例について説明すると、図1に示すように、この低周波治療器は、C字形をなす支持体2と、この支持体2に取り付けられた一対の導子1,1とからなるものとして形成されている。ここにおける支持体2はばね弾性を有する材料で形成されたものであり、一対の導子1,1は所定の間隔Lで支持体2の両端間の部分に取り付けられている。
【0012】
ここにおいて、支持体2によって保たれている一対の導子1,1の間隔Lであるが、これは70±10mmとしてある。図2に示すように、人体の頸部に位置する板状筋8,8の間隔Mが70±10mmとなっているためであり、また「新設」及び「百勞」と称される良導点(つぼ)80,81がこの付近に位置するからである。なお、首の太さには個人差があるが、どのような人であれ、首の断面形状は図4に示すように長径と短径の比が1.1:1のほぼ楕円形状に近似しており、首の太さが異なろうと、板状筋8,8の間隔はほとんど変わらず、また頸部の板状筋がある部分の曲率半径がほとんど変わらないために、上記間隔Lで一対の導子1,1を設けておけば、頸部に装着して導電性粘着パッドを利用して導子1,1を首筋に貼り付けた時、一対の導子1,1は確実に板状筋8,8に接触する。
【0013】
一方、支持体2は単に一対の導子1,1を上記間隔Lに保つだけでなく、その弾性によって体の首部を保持することで、導子1,1の人体への装着を補助する。このために、その長さは図3(a)に示すように首9の半周に至らないものではなく、首の太さが最大の人でも図3(b)に示すように首9の半周を越えるものとしておく。
【0014】
また、支持体2への導子1への取付構造として、図5に示すように、支持体2に設けた軸22の回りに導子1,1が回転自在となるようにしておくことで、首の周方向において導子1を沿わせたり、あるいは首の上下方向において導子1を沿わせたりすることができる。なお、軸22は導子1側に設けてもよいのはもちろんであり、図6に示すように、支持体2に自在継手23を介して導子1を取り付けるならば、上記2方向だけでなく、2方向を組み合わせた方向についても導子1が可動となるために、さらに導子1と板状筋との接触状態を良好に保つことができる。
【0015】
図7に示すように、支持体2に対して導子1が突出する方向に導子1が可動となるようにしてもよい。弾性を利用して首の回りに装着した支持体2の内面と、板状筋8との間の間隔が変化しても、板状筋8に粘着パッドで導子1を貼り付けた状態を保つことができ、この場合、支持体2と導子1との間に導子1が突出する方向に付勢するばねを介在させるようにしてもよい。
【0016】
図8に示すように、支持体1に可撓性を有する接続部24を介して導子1を取り付けても、接続部24の撓みによって導子1を首に沿わせた状態を保つことができる。この接続部24は、支持体2や導子1と別体のものであっても、支持体2あるいは導子1と一体のものであってもよい。更には接続部24の半分を支持体2と一体に、他の半分を導子1と一体に設けたものであってもよい。
【0017】
さらに、接続部24として、単に可撓性を有するだけのものではなく、ばね弾性も発揮するものを用いると、導子1が接続部24によるばね力で板状筋に980mN程度の接触圧で接触する状態を支持体2によって保つことができる。粘着パッドには通常980mN程度の接触圧を得られるものが使用されるが、この接触圧を得ることができる粘着性を有する粘着パッドを用いた場合、首筋に使用すると、毛髪が付着した時に剥がしにくくなるが、図9に示すように支持体2をその弾性で首部に装着した状態では、上記接触圧をばね弾性を有する接続部24で得ることができ、従って導電性粘着パッドとして粘着力が294mN程度の弱いものを用いても、接触圧不足による問題を招くことがないようにすることができる。
【0018】
さらに接続部24を導電性材で形成すれば、図10に示すように支持体2内に配した導体25から導子1への電気的接続を接続部24で行うことができ、別途リード線で接続するという手間をかけなくてもすむものとなる。
【0019】
図11に示すように、導子1そのものを柔軟な可撓性を有するもので形成したり、図12に示すように、導子1の内面の曲率半径Rを首の板状筋8付近の曲率半径Rに一致させることによって、導子1と板状筋8との密着性を向上させることができる。
【0020】
支持体2としては、前述のようにばね弾性を有するものを用いるが、更には図13に示すように導子1の幅イよりも細い幅ロのものとすると、導子1として肌との接触面積が大きいものを用いた場合にも、支持体2が首を固定してしまうことがなくて首を動かす自由を確保することができ、支持体2があることによる違和感をなくすことができる。
【0021】
また図14に示すように支持体2にほぼ全長にわたる長孔26を設けたり、多数の小さな孔27を設けたりすれば、支持体2と肌との接触面積を減らして違和感を低減することができる上に通気性を確保することができるために汗蒸れが生じることを防ぐことができる。
【0022】
図15(a)は、導体の外周に絶縁被覆を施したものを支持体2として用いたものを、図18(b)は導体25を絶縁材からなる支持体2内に埋め込んだものを示している。いずれの場合も導子1への電力供給を支持体2によって行うことができて、配線の簡略化を図ることができる。
【0023】
支持体2への導子1の取り付け位置は固定とするのではなく、図16に示すよに、一対の導子1,1間の間隔Lが70±10mmの範囲内で調節することができるようにしておいてもよい。つまり、一方の導子1を支持体2の長手方向に20mmの範囲でスライド自在となるようにしておいたり、両導子1,1を夫々支持体2の長手方向に10mmの範囲でスライド自在となるようにしておくのである。このようにしておくことで、板状筋8,8に導子1,1を接触させることを、板状筋8,8の間隔の個人差にかかわらず行うことができるものとなる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、人体に接触させる一対の導子と、両導子が取り付けられている支持体とを備えるとともに、人体の首回りの半周以上の全長を有して弾性による保持で人体の首回りに装着される上記支持体は、その両端間の中間部に一対の導子が人体の頸部に位置する板状筋の間隔に相当する所定間隔で取り付けられているために、弾性によって人体の首部に装着される支持体を利用して導子を人体の頸部に位置する板状筋に接触させることができるものであり、また導子を支持体の両端にではなく、中間部に取り付けているために、支持体の弾性を利用して人体に装着するものでありながら、板状筋に導子を接触させることができるようにしたものである。加えるに導子が支持体に対して向きが可変となるように取り付けているために、導子と人体との密着性を向上させることができる。
【0025】
この時、支持体は弾性を有するC字形のものとして形成したり、支持体の全長を人体の首回りの半周以上の長さとしておくことが、支持体の人体への装着の点で好ましい結果を得ることができる。
【0026】
更にはばね弾性を有する接続部を介して支持体に取り付けて支持体から突出する方向に導子がばね付勢されるようにしておくと、導電性粘着パッドの粘着力が弱くても所定の接触圧を得ることができる。
【0027】
導子はばね弾性を有する接続部を介して支持体に取り付けて支持体から突出する方向にばね付勢されるようにしておいてもよい。導電性粘着パッドの粘着力が弱くても所定の接触圧を得ることができる。
【0028】
支持体としては導子よりも幅が狭いものが、首への装着時における支持体による違和感を軽減することができるとともに首を動かすことについての自由度が高くなって、治療疲れが生じにくくなる点で好ましい。
【0029】
また、支持体に表裏に貫通する孔を設けて人体との接触面積を小さくしておけば、通気性が確保されるために装着時に蒸れが生じない上に、孔の存在によって支持体の柔軟性が高くなるために、装着感がさらに良好となる。
【0030】
支持体の長手方向に導子を小範囲内で可動として、一対の導子の間隔を変えらられるようにしておけば、板状筋の位置の個人差を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は使用状態を示す背面図である。
【図2】頸部に位置する板状筋の説明図である。
【図3】(a)(b)は夫々平面図である。
【図4】頸部の断面形状の説明図である。
【図5】支持体への導子の装着部分の構造の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】支持体への導子の装着部分の構造の他例を示す断面図である。
【図7】支持体への導子の装着部分の構造のさらに他例を示すもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図8】支持体への導子の装着部分の構造の別の例を示す平面図である。
【図9】支持体への導子の装着部分が異なる例における平面図である。
【図10】支持体への導子の装着部分における電気的接続構造を示す平面図である。
【図11】導子の他例を示すもので、(a)は平面図、(b)は導子の斜視図である。
【図12】導子の更に他例を示すもので、(a)は平面図、(b)は導子の斜視図である。
【図13】支持体の他例を示す斜視図である。
【図14】(a)(b)は夫々支持体の更に他例を示す斜視図である。
【図15】(a)(b)は夫々支持体の別の例の示す斜視図である。
【図16】他例の平面図である。
【図17】従来例の使用状態を示す背面図である。
【図18】他の従来例を示すもので、(a)は正面図、(b)(c)は使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 導子
2 支持体
Claims (7)
- 人体に接触させる一対の導子と、両導子が取り付けられている支持体とを備えるとともに、人体の首回りの半周以上の全長を有して弾性による保持で人体の首回りに装着される上記支持体は、その両端間の中間部に一対の導子が人体の頸部に位置する板状筋の間隔に相当する所定間隔で取り付けられており、さらに上記導子は支持体に対して向きが可変となるように取り付けられていることを特徴とする低周波治療器。
- 支持体は弾性を有するC字形のものとして形成されていることを特徴とする請求項1記載の低周波治療器。
- 導子はばね弾性を有する接続部を介して支持体に取り付けられて支持体から突出する方向にばね付勢されていることを特徴とする請求項1または2記載の低周波治療器。
- 支持体は導子よりも幅が狭いものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低周波治療器。
- 支持体は表裏に貫通する孔が明けられて人体との接触面積が小さくされたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の低周波治療器。
- 支持体が導子への電力供給用導体を兼ねたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の低周波治療器。
- 支持体の長手方向に導子が小範囲内で可動とされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の低周波治療器。
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