JP3550435B2 - シールド掘進機 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進してシールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機に関するもので、特に、セグメントの組立時でも、その掘進を予め設定した方向に適正に行えるように改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なシールド掘進機においては、セグメントの1リング幅余のストロークを有するシールドジャッキ2を設置し、地中を掘進する際には、図8に示すように、地下坑周壁に内張りされている既設セグメント1で反力をとりつつシールドジャッキ2により押し力を付与してシールド本体3を推進し、同時に、シールド本体3前部のカッタヘッド4で切羽を掘削して掘進を進める。このように、シールドジャッキ2は、シールド本体3を推進する際にその押し力のみが活用される。また、その過程で掘進方向を制御する際には、図9に例示すように、シールド本体3の周方向に配置している複数のシールドジャッキ2の中から、押し操作するもの(図9中黒塗のもの)と全く駆動しないもの(図9中白色のもの)とを選択的に組み合わせてシールド本体3に働くモーメントを調節することにより、掘進方向を所望の方向に制御する。この図9では、シールド掘進機の掘進方向を右方向に制御するため、シールド本体3に対してその自重による下方への曲進を防ぐよう上方向のモーメントを付与しつつ、右方向に曲進させるよう右方向のモーメントを付与するようにしたシールドジャッキ2の操作例を示している。こうして掘進方向を制御しながら1リング掘進長(セグメントの1リング幅相当の長さ)の地下坑を掘削すると、シールド本体3と既設セグメント1との間に軸方向に新たな空間が形成されるので、この空間を利用して、セグメントピースを既設セグメント1に順次周方向に連結して行くことによりセグメントの組立て作業を行い、掘削した地下坑を覆工する。こうしたセグメントによる地下坑の覆工作業を行う際には、シールドジャッキ2がセグメントの組立ての邪魔にならないようにするため、シールドジャッキ2を引き操作して短縮し、シールドジャッキスプレッダ2aをシールド本体3内のセグメントの組立て空間から前方へ移動する。このように、シールドジャッキ2の引き力は、専ら、無負荷状態で使われて、セグメントの組み立てに要するスペース確保のためだけに活用される。以上述べた従来の一般的なシールド掘進機では、セグメントの組立てを行う間、シールドジャッキ2によるシールド本体3の推進を中断して掘進作業を休止するため、その分、作業効率が低下することとなる。
【0003】
こうしたことから、その改善を図るため、最近、連続掘進が行えるようなシールド掘進機が開発されつつある。この連続掘進方式のシールド掘進機は、セグメントの2リング幅程度のストロークを有するシールドジャッキを設置して、1リング掘進長の掘進後セグメントの組立てを行う際に、シールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたものである。すなわち、1リング掘進長掘進後、セグメントピースを既設セグメント1の周方向に向かって連結して行く際に、その連結作業の邪魔になる一部のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進し、こうしたシールドジャッキの操作を、周方向に向けて順次交代しながら繰り返していくことにより、掘進作業を休止しなくても済むようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来の一般的なシールド掘進機では、セグメントの組立てを行う間、シールドジャッキによるシールド本体の推進を中断して掘進作業を休止しなければならないため、作業効率が低下する点で問題がある。また、最近開発されつつある連続掘進方式のシールド掘進機では、地中の掘進作業をセグメントの組立てと並行して行えるため、こうした問題は生じないが、以下に述べるとおり、掘進方向を設定した方向に適正に制御する上で問題が生じる。すなわち、シールド掘進機の掘進方向の制御は、前述したように、複数のシールドジャッキの中から押し操作するものとしないものとを選択的に組み合わせてシールド本体に働くモーメントを調節することにより行うが、セグメントの組立て時には、その組立ての邪魔になるシールドジャッキは、押し操作したいものであっても否応なしに引込めなければならないため、こうした制御を適正に行えなくなる。そして、こうしたシールドジャッキの操作を、セグメントを組み立てる際に周方向に向けて繰り返し行うため、押し操作するものとしないものとのシールドジャッキの組合せがその都度変化してシールド本体に働くモーメントも絶えず変動する。したがって、セグメントの組立て中も掘進を進める連続掘進方式のシールド掘進機では、従来のようなシールドジャッキの操作により掘進を行う限り、掘進方向の制御を簡単かつ確実に行うことはできない。
【0005】
本発明は、従来の連続掘進方式のシールド掘進機に以上述べたような問題があることに鑑み、その改善を図ろうとするものであり、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合でも、シールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて掘進方向の制御に支障が生じないシールド掘進機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のこのような目的は、「押し操作及び引き操作が行え、シールド本体に押し力を付与してこれを推進する複数のシールドジャッキを有し、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進してシールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機において、複数のシールドジャッキをシールド本体の中心軸線に対して対称的に配置し、さらに、セグメントを組み立てる際に引き込むシールドジャッキと対称な位置にあるシールドジャッキに、セグメントと連結してセグメントで反力を取りつつシールド本体に引き力を付与するセグメントへの反力伝達手段を設けることにより、シールド本体に働くモーメントの変動を防ぎ掘進方向を制御できるようにした」ことを特徴とする特許請求の範囲の請求項1に記載されているとおりのシールド掘進機により達成される。
【0007】
【作用】
このような構成を備えた本発明のシールド掘進機において、セグメントの組立て時に、押し操作しているシールドジャッキの一部を組立ての邪魔にならないように引込める場合には、引込めるシールドジャッキ以外のシールドジャッキを反力伝達手段でセグメントに連結する。そして、引込めるシールドジャッキと点対称位置にあるシールドジャッキが押し操作されているときには、その押し操作を解除してこの点対称位置にあるシールドジャッキを非駆動状態にし、また、この点対称位置にあるシールドジャッキが非駆動状態にあるときには、このシールドジャッキにロッド側圧力をたたせて引き力を付与し、こうした操作により、シールド本体に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。したがって、本発明のシールド掘進機によれば、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合において、各シールドジャッキが如何なる操作状態にあろうとも、シールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて掘進方向の制御に支障が生じない。
【0008】
【実施例】
本発明の実施例のシールド掘進機を図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、本発明の基礎となる連続掘進方式のシールド掘進機を説明するための図で、掘進直前の状態を概略的に示す縦断面図、図2は、図1と同様の縦断面図で、図1のシールド掘進機を1リング掘進長掘進後セグメントを組み立てようとする場合の状態を示す図、図3は、本発明の実施例のシールド掘進機の構造を概略的に示す縦断面図、図4は、本発明の実施例のシールド掘進機で掘進方向の制御をする際のシールドジャッキの駆動方法を説明するための図9に対応する横断面図、図5は、本発明の実施例のシールド掘進機の要部を拡大して示す縦断面図、図6は、図5のA方向矢視図、図7は、本発明の実施例のシールド掘進機におけるシールドジャッキの油圧回路の一例を示す回路図である。図1乃至図7において、図8及び図9と同一の符号を付けた部分は、両図と同等の部分を表しているので、説明の重複を避けるため詳述しない。
【0009】
まず、本発明の基礎となる連続掘進方式のシールド掘進機につき、図1及び図2を用いて具体的に説明する。連続掘進方式のシールド掘進機は、前述したように、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキ2を引込めつつその余のシールドジャッキ2でシールド本体3を推進してシールドジャッキ2によるシールド本体3の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたものである。こうしたことを行えるようにするため、シールドジャッキ2は、セグメント1の2リング幅程度のストロークを有するものを用いるとともに、シールド本体3のテールプレート部3aは、セグメント1の2リング幅に相当する距離前方へ摺動させても、既設セグメント1との間隙をテールシール3bでシールできるだけの十分な長さをもつように形成している。このような連続掘進方式のシールド掘進機により地中の掘進を進める場合には、シールドジャッキ2を縮めた図1に示す掘進直前の状態において、既設セグメント1で反力を取りながら各シールドジャッキ2を伸ばしてシールド本体を推進するとともに、カッタヘッド4で地山を掘削して、1リング掘進長掘進する。こうしてシールド掘進機を1リング掘進長掘進後、図2に示すように、シールド本体3の推進ため伸ばしたシールドジャッキ2のうち、セグメントを組み立てる位置のシールドジャッキ2を縮める。この図2は、シールド本体3の下方位置でセグメントピースを組み立てようとしているため、そのセグメントピース組立てスペースSが得られるように、下方のシールドジャッキ2を縮めた状態を示したものである。セグメントの組立ては、このような状態において下方のシールドジャッキ2を縮めたままにしながら上方のシールドジャッキを始め他の所望のシールドジャッキ2を伸ばしてシールド本体3を推進し、その間、下方でセグメントの組立てを行う。こうして下方のセグメントの組立てが終了したら、今度はこれに隣接する上方のシールドジャッキ2を縮めてここでセグメントの組立てを行うとともに、前記下方のシールドジャッキ2を下方位置のセグメントの端面に当接し、他の所望のシールドジャッキ2とともに伸ばしてシールド本体3を推進する。連続掘進方式のシールド掘進機は、こうしたシールドジャッキの操作を反復しながら、地中の掘進作業とセグメントの組立て作業とを同時進行できるようにしている。
【0010】
本発明は、このような連続掘進方式のシールド掘進機を前提条件に、こうしたシールド掘進機において、複数のシールドジャッキ2を、特にシールド本体3の中心軸線に対して対称的に配置し、シールドジャッキ2をセグメント1に連結してロッド側圧力を立たせることで、そのセグメント1で反力を取りつつシールド本体3に引き力を付与できるようにするセグメントへの反力伝達手段を設けるようにした点に特徴がある。そこで、こうした反力伝達手段を中心に、本発明の実施例のシールド掘進機を図5及び図6を用いて説明する。本実施例では、セグメントへの反力伝達手段として、シールドジャッキスプレッダ2aに取り付けられ、鉄製のセグメント1の端部に係合させることのできる係合装置5が用いられている。なお、RCセグメント、ダクタイルセグメントの場合でも、ボルト取付けスペース等を利用して同様の係合装置を用いることが可能である。その係合装置5の構造について具体的に述べると、図5及び図6において、6はシールドジャッキスプレッダ2aに設けたブラケット、7はこのブラケット6に取り付けられるシリンダ、8はこのシリンダ7のロッド先端に枢着した、セグメント1の端部に係合可能な固定金具である。ブラケット6は、シールドジャッキ2のピストンロッドが取り付けられる箇所から離れたシールドジャッキスプレッダ2aの縁部に設ける。係合装置5は、シリンダ7及び固定金具8からなり、ブラケット6を介してシールドジャッキスプレッダ2aに装備される。シールドジャッキ2の引き動作やセグメント1端面への伸び動作時には、シリンダ7を伸び状態にし、固定金具8をセグメント1内周よりも中心側へ位置させ(図5の二点鎖線参照)、固定金具8をセグメント1に係合させる場合には、シリンダ7を縮めてセグメント1の前端部に係合することにより、シールドジャッキ2をセグメント1に連結するようにする。なお、シリンダ7の動作は、油圧もしくは空圧を用い、シールドジャッキ2ごとに設けた切換弁を介して行う(図示省略)。こうした係合装置5を用いてシールドジャッキ2をセグメント1に連結すると、シールドジャッキ2はシールド本体3に強固に取り付けられているため、シールドジャッキ2の押し操作を止めた際にセグメント1で反力を取りながらシールド本体3に引き力を付与することができる。本実施例のシールド掘進機では、シールドジャッキ2のロッド側圧力をたてることによりシールド本体3に引き力を付与できるようにしたため、セグメントの組立て時、シールド本体3に働くモーメントに変動が生じた場合でも、シールドジャッキ2のロッド側圧力の調整により、その変動を容易に是正して、掘進方向を適正に制御することが可能になる。
【0011】
次に、こうしたシールドジャッキ2の操作により掘進方向を制御する方法を図4を用いて説明する。図4は、図9と同様のシールドジャッキ2の操作例を示したもので、シールド掘進機の掘進方向を右方向に制御するようにした例を示している。そのため、No1からNo18の合計18本のシールドジャッキ2のうち、No1、No5、No6、No17、No18のシールドジャッキ2を操作せずその余のジャッキを押し操作して、図9と同様、シールド本体3に対して下方への曲進を防ぐよう上方向のモーメントを付与しつつ、右方向に曲進させるよう右方向のモーメントを付与するようにしている。この図4に示すような態様でシールドジャッキ2を操作してシールド掘進機を掘進中、いま、セグメントを組み立てるため、No7及びNo8のシールドジャッキ2を引き操作するものとすると、シールド本体3への押し力の付与がこれら2箇所で解除される結果、シールド本体3に働くモーメントが変動することとなる。本実施例のシールド掘進機では、複数のシールドジャッキ2を、特にシールド本体3の中心軸線に対して対称的に配置していることから、こうしたモーメントの変動を防ぐため、No7のシールドジャッキ2と点対称のNo16のシールドジャッキ2の押し操作を解除し、ロッド側圧力を0とするとともに、No8のシールドジャッキ2と点対称のNo17のシールドジャッキ2のロッド側圧力をたてるようにする。その結果、No7のシールドジャッキ2の押し操作の解除とNo16のシールドジャッキ2の押し操作の解除とによりそれぞれ生じるモーメントの変動が互いに相殺されるとともに、No8のシールドジャッキ2を押し操作することによりシールド本体3へそれまで働いていたモーメントがNo17のシールドジャッキ2のロッド側圧力をたてることにより働くモーメントで代替されて、シールド本体3に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。
【0012】
シールドジャッキ2のロッド側圧力をたてる際に油圧が作用するシールドジャッキ2のロッド側受圧面積は、押し操作の際に油圧が作用するボトム側受圧面積よりも小さいことから、シールドジャッキ2のロッド側にボトム側と同じ圧力の油圧を供給して引き力を発生させても、押し力と同じ大きさの引き力は生じない。こうしたことから、シールドジャッキ2の引き力により掘進方向の制御を正確に行えるようにするには、前記の受圧面積の違いを考慮して、引き力を発生させるNo17のシールドジャッキ2のロッド側圧力Pを次式に従うように調整して、シールドジャッキ2で生じる引き力がその押し操作で生じる押し力と実質上等しくなるようにする。
【0013】
P=シールドジャッキ2の押し圧×ボトム側受圧面積/ロッド側受圧面積…
…………………………(i)
本発明の実施例のシールド掘進機は、シールドジャッキスプレッダ2aに取り付けられ、鉄製のセグメント1の端部に係合させることのできる係合装置5がシールド本体3に引き力を付与する際のセグメント1への反力伝達手段として設けられ、かつ、複数のシールドジャッキ2が特にシールド本体3の中心軸線に対して対称的に配置されているので、セグメントの組立て時、押し操作しているシールドジャッキ2の一部を組立ての邪魔にならないように引込めた場合でも、これと点対称位置にあるシールドジャッキ2を、これが操作されている状態に応じて、係合装置5を用いながら引き力を個々に調整することにより、シールド本体3に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。すなわち、引き動作を行うシールドジャッキ2以外は係合装置5をセグメント1に係合させ、その点対称位置にあるシールドジャッキ2が押し操作されているときには、その押し操作を解除して非駆動状態とし、そのシールドジャッキ2のロッド側圧力を0とする。また、非駆動状態にあるときには、そのシールドジャッキ2のロッド側圧力を、前式(i)に基づいてPに制御することにより、シールド本体3に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。したがって、本実施例によれば、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合でも、各シールドジャッキの操作状態に係りなくシールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて、掘進方向の制御に支障の生じないシールド掘進機が得られる。
【0014】
本発明の実施例では、以上述べた掘進方向の制御に便利なように、図7に示すシールドジャッキ2の油圧回路を設けている。この油圧回路を説明すると、図7において、Pは多数のシールドジャッキ2を駆動するための圧油を発生する油圧ポンプ、SOL.s1 〜SOL.snは、ポンプPの圧油を切り換えてシールドジャッキ2の作動を制御する電磁作動式の切換弁で、ソレノイドaを励磁して左位置に切り換えることによりシールドジャッキ2を押し方向に作動させ、リリーフバルブxにより押し圧の制限が行われる。また、リリーフバルブxは、切換弁SOL.s1 〜SOL.snが中立時にオーバーロードリリーフの役割も兼ねる。一方、切換弁SOL.s1 〜SOL.snのソレノイドbを励磁して右位置へ切り換えることにより、シールドジャッキ2を引き方向に作動させる。その際、引き力は、電磁比例圧力制御弁p1〜pnによりジャッキ引き側圧力を制御し管理する。切換弁SOL.s1 〜SOL.snが中立位置では、油圧を遮断して油圧によるシールドジャッキの作動を停止し、非駆動状態とする。その際、固定金具8によりシールドジャッキ2がセグメント1に連結されていると、掘進とともにシリンダロッドは引き出されるため、ロッド側に溜った作動油は、電磁比例圧力制御弁p1〜pnを通りTラインに流れる。したがって、シールドジャッキ2の動作選択を行わない場合には、そのジャッキに対応する電磁比例圧力制御弁の設定圧力は0とし、シールドジャッキ2に働く引き力をなくす。また、シールドジャッキ2の引き力を利用してマシンに働くモーメントを調整する場合には、設定圧力を前式(i)により求めたP値にする。なお、z1〜znは、各シールドジャッキ2に働く異なった圧力を補償する圧力補償弁である。これにより、複数のシールドジャッキ2に押し動作、引き動作、停止とそれぞれ異なる負荷が発生しても独立した油圧を確保することができる。g1〜gnは、圧力検出器で、電磁比例圧力制御弁p1〜pnの圧力制御用センサとして用いる。
【0015】
本発明の実施例では、こうした油圧回路を設けているので、切換弁SOL.s1〜SOL.snのうち、所望のもののソレノイドaを励磁すると、油圧ポンプPの圧油を、当該切換弁に対応するシールドジャッキ2のボトム側に供給して、そのシールドジャッキ2の押し操作を行う。また、係合装置5をセグメント2から開放し、所望の切換弁のソレノイドbを励磁した上で、その切換弁に対応した電磁比例圧力制御弁の圧力を上げてシールドジャッキ2の引き操作を行う。さらに、マシン掘進中に係合装置5をセグメントに係合し、所望の切換弁のソレノイドを非励磁とした上で、その切換弁に対応する電磁比例圧力制御弁を制御することにより、無負荷状態でセグメントに追従させることも引き力を発生させることもできる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、シールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機において、特に、「複数のシールドジャッキをシールド本体の中心軸線に対して対称的に配置し、さらに、セグメントを組み立てる際に引き込むシールドジャッキと対称な位置にあるシールドジャッキに、セグメントと連結してセグメントで反力を取りつつシールド本体に引き力を付与するセグメントへの反力伝達手段を設けることにより、シールド本体に働くモーメントの変動を防ぎ掘進方向を制御できるようにした」ので、本発明によれば、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合でも、シールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて掘進方向の制御に支障が生じないシールド掘進機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎となる連続掘進方式のシールド掘進機を説明するための図で、掘進直前の状態を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1と同様の縦断面図で、図1のシールド掘進機を1リング掘進長掘進後セグメントを組み立てようとする場合の状態を示す図である。
【図3】本発明の実施例のシールド掘進機の構造を概略的に示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施例のシールド掘進機で掘進方向の制御をする際のシールドジャッキの駆動方法を説明するための図9に対応する横断面図である。
【図5】本発明の実施例のシールド掘進機の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】図5のA方向矢視図である。
【図7】本発明の実施例のシールド掘進機におけるシールドジャッキの油圧回路の一例を示す回路図である。
【図8】従来の一般的なシールド掘進機の構造を概略的に示す縦断面図である。
【図9】従来の一般的なシールド掘進機で掘進方向の制御をする際のシールドジャッキの駆動方法を例示する横断面図である。
【符号の説明】
1 既設セグメント
2 シールドジャッキ
2a シールドジャッキスプレッダ
3 シールド本体
3a テールプレート
5 係合装置
6 ブラケット
7 シリンダ
8 固定金具
【産業上の利用分野】
本発明は、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進してシールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機に関するもので、特に、セグメントの組立時でも、その掘進を予め設定した方向に適正に行えるように改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なシールド掘進機においては、セグメントの1リング幅余のストロークを有するシールドジャッキ2を設置し、地中を掘進する際には、図8に示すように、地下坑周壁に内張りされている既設セグメント1で反力をとりつつシールドジャッキ2により押し力を付与してシールド本体3を推進し、同時に、シールド本体3前部のカッタヘッド4で切羽を掘削して掘進を進める。このように、シールドジャッキ2は、シールド本体3を推進する際にその押し力のみが活用される。また、その過程で掘進方向を制御する際には、図9に例示すように、シールド本体3の周方向に配置している複数のシールドジャッキ2の中から、押し操作するもの(図9中黒塗のもの)と全く駆動しないもの(図9中白色のもの)とを選択的に組み合わせてシールド本体3に働くモーメントを調節することにより、掘進方向を所望の方向に制御する。この図9では、シールド掘進機の掘進方向を右方向に制御するため、シールド本体3に対してその自重による下方への曲進を防ぐよう上方向のモーメントを付与しつつ、右方向に曲進させるよう右方向のモーメントを付与するようにしたシールドジャッキ2の操作例を示している。こうして掘進方向を制御しながら1リング掘進長(セグメントの1リング幅相当の長さ)の地下坑を掘削すると、シールド本体3と既設セグメント1との間に軸方向に新たな空間が形成されるので、この空間を利用して、セグメントピースを既設セグメント1に順次周方向に連結して行くことによりセグメントの組立て作業を行い、掘削した地下坑を覆工する。こうしたセグメントによる地下坑の覆工作業を行う際には、シールドジャッキ2がセグメントの組立ての邪魔にならないようにするため、シールドジャッキ2を引き操作して短縮し、シールドジャッキスプレッダ2aをシールド本体3内のセグメントの組立て空間から前方へ移動する。このように、シールドジャッキ2の引き力は、専ら、無負荷状態で使われて、セグメントの組み立てに要するスペース確保のためだけに活用される。以上述べた従来の一般的なシールド掘進機では、セグメントの組立てを行う間、シールドジャッキ2によるシールド本体3の推進を中断して掘進作業を休止するため、その分、作業効率が低下することとなる。
【0003】
こうしたことから、その改善を図るため、最近、連続掘進が行えるようなシールド掘進機が開発されつつある。この連続掘進方式のシールド掘進機は、セグメントの2リング幅程度のストロークを有するシールドジャッキを設置して、1リング掘進長の掘進後セグメントの組立てを行う際に、シールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたものである。すなわち、1リング掘進長掘進後、セグメントピースを既設セグメント1の周方向に向かって連結して行く際に、その連結作業の邪魔になる一部のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進し、こうしたシールドジャッキの操作を、周方向に向けて順次交代しながら繰り返していくことにより、掘進作業を休止しなくても済むようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来の一般的なシールド掘進機では、セグメントの組立てを行う間、シールドジャッキによるシールド本体の推進を中断して掘進作業を休止しなければならないため、作業効率が低下する点で問題がある。また、最近開発されつつある連続掘進方式のシールド掘進機では、地中の掘進作業をセグメントの組立てと並行して行えるため、こうした問題は生じないが、以下に述べるとおり、掘進方向を設定した方向に適正に制御する上で問題が生じる。すなわち、シールド掘進機の掘進方向の制御は、前述したように、複数のシールドジャッキの中から押し操作するものとしないものとを選択的に組み合わせてシールド本体に働くモーメントを調節することにより行うが、セグメントの組立て時には、その組立ての邪魔になるシールドジャッキは、押し操作したいものであっても否応なしに引込めなければならないため、こうした制御を適正に行えなくなる。そして、こうしたシールドジャッキの操作を、セグメントを組み立てる際に周方向に向けて繰り返し行うため、押し操作するものとしないものとのシールドジャッキの組合せがその都度変化してシールド本体に働くモーメントも絶えず変動する。したがって、セグメントの組立て中も掘進を進める連続掘進方式のシールド掘進機では、従来のようなシールドジャッキの操作により掘進を行う限り、掘進方向の制御を簡単かつ確実に行うことはできない。
【0005】
本発明は、従来の連続掘進方式のシールド掘進機に以上述べたような問題があることに鑑み、その改善を図ろうとするものであり、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合でも、シールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて掘進方向の制御に支障が生じないシールド掘進機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のこのような目的は、「押し操作及び引き操作が行え、シールド本体に押し力を付与してこれを推進する複数のシールドジャッキを有し、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進してシールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機において、複数のシールドジャッキをシールド本体の中心軸線に対して対称的に配置し、さらに、セグメントを組み立てる際に引き込むシールドジャッキと対称な位置にあるシールドジャッキに、セグメントと連結してセグメントで反力を取りつつシールド本体に引き力を付与するセグメントへの反力伝達手段を設けることにより、シールド本体に働くモーメントの変動を防ぎ掘進方向を制御できるようにした」ことを特徴とする特許請求の範囲の請求項1に記載されているとおりのシールド掘進機により達成される。
【0007】
【作用】
このような構成を備えた本発明のシールド掘進機において、セグメントの組立て時に、押し操作しているシールドジャッキの一部を組立ての邪魔にならないように引込める場合には、引込めるシールドジャッキ以外のシールドジャッキを反力伝達手段でセグメントに連結する。そして、引込めるシールドジャッキと点対称位置にあるシールドジャッキが押し操作されているときには、その押し操作を解除してこの点対称位置にあるシールドジャッキを非駆動状態にし、また、この点対称位置にあるシールドジャッキが非駆動状態にあるときには、このシールドジャッキにロッド側圧力をたたせて引き力を付与し、こうした操作により、シールド本体に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。したがって、本発明のシールド掘進機によれば、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合において、各シールドジャッキが如何なる操作状態にあろうとも、シールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて掘進方向の制御に支障が生じない。
【0008】
【実施例】
本発明の実施例のシールド掘進機を図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、本発明の基礎となる連続掘進方式のシールド掘進機を説明するための図で、掘進直前の状態を概略的に示す縦断面図、図2は、図1と同様の縦断面図で、図1のシールド掘進機を1リング掘進長掘進後セグメントを組み立てようとする場合の状態を示す図、図3は、本発明の実施例のシールド掘進機の構造を概略的に示す縦断面図、図4は、本発明の実施例のシールド掘進機で掘進方向の制御をする際のシールドジャッキの駆動方法を説明するための図9に対応する横断面図、図5は、本発明の実施例のシールド掘進機の要部を拡大して示す縦断面図、図6は、図5のA方向矢視図、図7は、本発明の実施例のシールド掘進機におけるシールドジャッキの油圧回路の一例を示す回路図である。図1乃至図7において、図8及び図9と同一の符号を付けた部分は、両図と同等の部分を表しているので、説明の重複を避けるため詳述しない。
【0009】
まず、本発明の基礎となる連続掘進方式のシールド掘進機につき、図1及び図2を用いて具体的に説明する。連続掘進方式のシールド掘進機は、前述したように、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキ2を引込めつつその余のシールドジャッキ2でシールド本体3を推進してシールドジャッキ2によるシールド本体3の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたものである。こうしたことを行えるようにするため、シールドジャッキ2は、セグメント1の2リング幅程度のストロークを有するものを用いるとともに、シールド本体3のテールプレート部3aは、セグメント1の2リング幅に相当する距離前方へ摺動させても、既設セグメント1との間隙をテールシール3bでシールできるだけの十分な長さをもつように形成している。このような連続掘進方式のシールド掘進機により地中の掘進を進める場合には、シールドジャッキ2を縮めた図1に示す掘進直前の状態において、既設セグメント1で反力を取りながら各シールドジャッキ2を伸ばしてシールド本体を推進するとともに、カッタヘッド4で地山を掘削して、1リング掘進長掘進する。こうしてシールド掘進機を1リング掘進長掘進後、図2に示すように、シールド本体3の推進ため伸ばしたシールドジャッキ2のうち、セグメントを組み立てる位置のシールドジャッキ2を縮める。この図2は、シールド本体3の下方位置でセグメントピースを組み立てようとしているため、そのセグメントピース組立てスペースSが得られるように、下方のシールドジャッキ2を縮めた状態を示したものである。セグメントの組立ては、このような状態において下方のシールドジャッキ2を縮めたままにしながら上方のシールドジャッキを始め他の所望のシールドジャッキ2を伸ばしてシールド本体3を推進し、その間、下方でセグメントの組立てを行う。こうして下方のセグメントの組立てが終了したら、今度はこれに隣接する上方のシールドジャッキ2を縮めてここでセグメントの組立てを行うとともに、前記下方のシールドジャッキ2を下方位置のセグメントの端面に当接し、他の所望のシールドジャッキ2とともに伸ばしてシールド本体3を推進する。連続掘進方式のシールド掘進機は、こうしたシールドジャッキの操作を反復しながら、地中の掘進作業とセグメントの組立て作業とを同時進行できるようにしている。
【0010】
本発明は、このような連続掘進方式のシールド掘進機を前提条件に、こうしたシールド掘進機において、複数のシールドジャッキ2を、特にシールド本体3の中心軸線に対して対称的に配置し、シールドジャッキ2をセグメント1に連結してロッド側圧力を立たせることで、そのセグメント1で反力を取りつつシールド本体3に引き力を付与できるようにするセグメントへの反力伝達手段を設けるようにした点に特徴がある。そこで、こうした反力伝達手段を中心に、本発明の実施例のシールド掘進機を図5及び図6を用いて説明する。本実施例では、セグメントへの反力伝達手段として、シールドジャッキスプレッダ2aに取り付けられ、鉄製のセグメント1の端部に係合させることのできる係合装置5が用いられている。なお、RCセグメント、ダクタイルセグメントの場合でも、ボルト取付けスペース等を利用して同様の係合装置を用いることが可能である。その係合装置5の構造について具体的に述べると、図5及び図6において、6はシールドジャッキスプレッダ2aに設けたブラケット、7はこのブラケット6に取り付けられるシリンダ、8はこのシリンダ7のロッド先端に枢着した、セグメント1の端部に係合可能な固定金具である。ブラケット6は、シールドジャッキ2のピストンロッドが取り付けられる箇所から離れたシールドジャッキスプレッダ2aの縁部に設ける。係合装置5は、シリンダ7及び固定金具8からなり、ブラケット6を介してシールドジャッキスプレッダ2aに装備される。シールドジャッキ2の引き動作やセグメント1端面への伸び動作時には、シリンダ7を伸び状態にし、固定金具8をセグメント1内周よりも中心側へ位置させ(図5の二点鎖線参照)、固定金具8をセグメント1に係合させる場合には、シリンダ7を縮めてセグメント1の前端部に係合することにより、シールドジャッキ2をセグメント1に連結するようにする。なお、シリンダ7の動作は、油圧もしくは空圧を用い、シールドジャッキ2ごとに設けた切換弁を介して行う(図示省略)。こうした係合装置5を用いてシールドジャッキ2をセグメント1に連結すると、シールドジャッキ2はシールド本体3に強固に取り付けられているため、シールドジャッキ2の押し操作を止めた際にセグメント1で反力を取りながらシールド本体3に引き力を付与することができる。本実施例のシールド掘進機では、シールドジャッキ2のロッド側圧力をたてることによりシールド本体3に引き力を付与できるようにしたため、セグメントの組立て時、シールド本体3に働くモーメントに変動が生じた場合でも、シールドジャッキ2のロッド側圧力の調整により、その変動を容易に是正して、掘進方向を適正に制御することが可能になる。
【0011】
次に、こうしたシールドジャッキ2の操作により掘進方向を制御する方法を図4を用いて説明する。図4は、図9と同様のシールドジャッキ2の操作例を示したもので、シールド掘進機の掘進方向を右方向に制御するようにした例を示している。そのため、No1からNo18の合計18本のシールドジャッキ2のうち、No1、No5、No6、No17、No18のシールドジャッキ2を操作せずその余のジャッキを押し操作して、図9と同様、シールド本体3に対して下方への曲進を防ぐよう上方向のモーメントを付与しつつ、右方向に曲進させるよう右方向のモーメントを付与するようにしている。この図4に示すような態様でシールドジャッキ2を操作してシールド掘進機を掘進中、いま、セグメントを組み立てるため、No7及びNo8のシールドジャッキ2を引き操作するものとすると、シールド本体3への押し力の付与がこれら2箇所で解除される結果、シールド本体3に働くモーメントが変動することとなる。本実施例のシールド掘進機では、複数のシールドジャッキ2を、特にシールド本体3の中心軸線に対して対称的に配置していることから、こうしたモーメントの変動を防ぐため、No7のシールドジャッキ2と点対称のNo16のシールドジャッキ2の押し操作を解除し、ロッド側圧力を0とするとともに、No8のシールドジャッキ2と点対称のNo17のシールドジャッキ2のロッド側圧力をたてるようにする。その結果、No7のシールドジャッキ2の押し操作の解除とNo16のシールドジャッキ2の押し操作の解除とによりそれぞれ生じるモーメントの変動が互いに相殺されるとともに、No8のシールドジャッキ2を押し操作することによりシールド本体3へそれまで働いていたモーメントがNo17のシールドジャッキ2のロッド側圧力をたてることにより働くモーメントで代替されて、シールド本体3に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。
【0012】
シールドジャッキ2のロッド側圧力をたてる際に油圧が作用するシールドジャッキ2のロッド側受圧面積は、押し操作の際に油圧が作用するボトム側受圧面積よりも小さいことから、シールドジャッキ2のロッド側にボトム側と同じ圧力の油圧を供給して引き力を発生させても、押し力と同じ大きさの引き力は生じない。こうしたことから、シールドジャッキ2の引き力により掘進方向の制御を正確に行えるようにするには、前記の受圧面積の違いを考慮して、引き力を発生させるNo17のシールドジャッキ2のロッド側圧力Pを次式に従うように調整して、シールドジャッキ2で生じる引き力がその押し操作で生じる押し力と実質上等しくなるようにする。
【0013】
P=シールドジャッキ2の押し圧×ボトム側受圧面積/ロッド側受圧面積…
…………………………(i)
本発明の実施例のシールド掘進機は、シールドジャッキスプレッダ2aに取り付けられ、鉄製のセグメント1の端部に係合させることのできる係合装置5がシールド本体3に引き力を付与する際のセグメント1への反力伝達手段として設けられ、かつ、複数のシールドジャッキ2が特にシールド本体3の中心軸線に対して対称的に配置されているので、セグメントの組立て時、押し操作しているシールドジャッキ2の一部を組立ての邪魔にならないように引込めた場合でも、これと点対称位置にあるシールドジャッキ2を、これが操作されている状態に応じて、係合装置5を用いながら引き力を個々に調整することにより、シールド本体3に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。すなわち、引き動作を行うシールドジャッキ2以外は係合装置5をセグメント1に係合させ、その点対称位置にあるシールドジャッキ2が押し操作されているときには、その押し操作を解除して非駆動状態とし、そのシールドジャッキ2のロッド側圧力を0とする。また、非駆動状態にあるときには、そのシールドジャッキ2のロッド側圧力を、前式(i)に基づいてPに制御することにより、シールド本体3に働くモーメントが変動するのを防ぐことができる。したがって、本実施例によれば、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合でも、各シールドジャッキの操作状態に係りなくシールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて、掘進方向の制御に支障の生じないシールド掘進機が得られる。
【0014】
本発明の実施例では、以上述べた掘進方向の制御に便利なように、図7に示すシールドジャッキ2の油圧回路を設けている。この油圧回路を説明すると、図7において、Pは多数のシールドジャッキ2を駆動するための圧油を発生する油圧ポンプ、SOL.s1 〜SOL.snは、ポンプPの圧油を切り換えてシールドジャッキ2の作動を制御する電磁作動式の切換弁で、ソレノイドaを励磁して左位置に切り換えることによりシールドジャッキ2を押し方向に作動させ、リリーフバルブxにより押し圧の制限が行われる。また、リリーフバルブxは、切換弁SOL.s1 〜SOL.snが中立時にオーバーロードリリーフの役割も兼ねる。一方、切換弁SOL.s1 〜SOL.snのソレノイドbを励磁して右位置へ切り換えることにより、シールドジャッキ2を引き方向に作動させる。その際、引き力は、電磁比例圧力制御弁p1〜pnによりジャッキ引き側圧力を制御し管理する。切換弁SOL.s1 〜SOL.snが中立位置では、油圧を遮断して油圧によるシールドジャッキの作動を停止し、非駆動状態とする。その際、固定金具8によりシールドジャッキ2がセグメント1に連結されていると、掘進とともにシリンダロッドは引き出されるため、ロッド側に溜った作動油は、電磁比例圧力制御弁p1〜pnを通りTラインに流れる。したがって、シールドジャッキ2の動作選択を行わない場合には、そのジャッキに対応する電磁比例圧力制御弁の設定圧力は0とし、シールドジャッキ2に働く引き力をなくす。また、シールドジャッキ2の引き力を利用してマシンに働くモーメントを調整する場合には、設定圧力を前式(i)により求めたP値にする。なお、z1〜znは、各シールドジャッキ2に働く異なった圧力を補償する圧力補償弁である。これにより、複数のシールドジャッキ2に押し動作、引き動作、停止とそれぞれ異なる負荷が発生しても独立した油圧を確保することができる。g1〜gnは、圧力検出器で、電磁比例圧力制御弁p1〜pnの圧力制御用センサとして用いる。
【0015】
本発明の実施例では、こうした油圧回路を設けているので、切換弁SOL.s1〜SOL.snのうち、所望のもののソレノイドaを励磁すると、油圧ポンプPの圧油を、当該切換弁に対応するシールドジャッキ2のボトム側に供給して、そのシールドジャッキ2の押し操作を行う。また、係合装置5をセグメント2から開放し、所望の切換弁のソレノイドbを励磁した上で、その切換弁に対応した電磁比例圧力制御弁の圧力を上げてシールドジャッキ2の引き操作を行う。さらに、マシン掘進中に係合装置5をセグメントに係合し、所望の切換弁のソレノイドを非励磁とした上で、その切換弁に対応する電磁比例圧力制御弁を制御することにより、無負荷状態でセグメントに追従させることも引き力を発生させることもできる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、シールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機において、特に、「複数のシールドジャッキをシールド本体の中心軸線に対して対称的に配置し、さらに、セグメントを組み立てる際に引き込むシールドジャッキと対称な位置にあるシールドジャッキに、セグメントと連結してセグメントで反力を取りつつシールド本体に引き力を付与するセグメントへの反力伝達手段を設けることにより、シールド本体に働くモーメントの変動を防ぎ掘進方向を制御できるようにした」ので、本発明によれば、地中の掘進をセグメントの組立てと並行して行う場合でも、シールド本体に働くモーメントの変動を簡単な操作で防ぐことができて掘進方向の制御に支障が生じないシールド掘進機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎となる連続掘進方式のシールド掘進機を説明するための図で、掘進直前の状態を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1と同様の縦断面図で、図1のシールド掘進機を1リング掘進長掘進後セグメントを組み立てようとする場合の状態を示す図である。
【図3】本発明の実施例のシールド掘進機の構造を概略的に示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施例のシールド掘進機で掘進方向の制御をする際のシールドジャッキの駆動方法を説明するための図9に対応する横断面図である。
【図5】本発明の実施例のシールド掘進機の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】図5のA方向矢視図である。
【図7】本発明の実施例のシールド掘進機におけるシールドジャッキの油圧回路の一例を示す回路図である。
【図8】従来の一般的なシールド掘進機の構造を概略的に示す縦断面図である。
【図9】従来の一般的なシールド掘進機で掘進方向の制御をする際のシールドジャッキの駆動方法を例示する横断面図である。
【符号の説明】
1 既設セグメント
2 シールドジャッキ
2a シールドジャッキスプレッダ
3 シールド本体
3a テールプレート
5 係合装置
6 ブラケット
7 シリンダ
8 固定金具
Claims (3)
- 押し操作及び引き操作が行え、シールド本体に押し力を付与してこれを推進する複数のシールドジャッキを有し、セグメントを組み立てる間、その組立ての邪魔になる適宜のシールドジャッキを引込めつつその余のシールドジャッキでシールド本体を推進してシールドジャッキによるシールド本体の推進をセグメントの組立てと並行して行えるようにしたシールド掘進機において、複数のシールドジャッキをシールド本体の中心軸線に対して対称的に配置し、さらに、セグメントを組み立てる際に引き込むシールドジャッキと対称な位置にあるシールドジャッキに、セグメントと連結してセグメントで反力を取りつつシールド本体に引き力を付与するセグメントへの反力伝達手段を設けることにより、シールド本体に働くモーメントの変動を防ぎ掘進方向を制御できるようにしたことを特徴とするシールド掘進機。
- セグメントへの反力伝達手段として、シールドジャッキスプレッダに取り付けられ、セグメントの端部に係合させることのできる係合装置を用いるようにしたことを特徴とする請求項1のシールド掘進機。
- 引き力を発生させるシールドジャッキのロッド側の圧油の圧力を、ボトム側受圧面積をロッド側受圧面積で除した値とシールドジャッキの押し操作で生じる押し力との積に実質上等しくするように調整したことを特徴とする請求項1又は請求項2のシールド掘進機。
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