JP3550169B2 - ダスト放射線モニタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば原子力施設内の空気中のダストに含まれる放射能濃度を測定するダスト放射線モニタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ダスト放射線モニタは、原子力施設内の空気中に含まれるダスト放射能濃度の測定を行うために使用される。ダスト放射線モニタは、一般的にサンプリング配管にポンプを接続し、該配管の途中に設置したろ紙で空気中のダストを捕集し、ダスト中に含まれる放射線を測定し、その強度で空気中の放射能を測定するしくみとなっている。
【0003】
従来のダスト放射線モニタは、図6に示すように、一定時間毎に集塵し、ダスト放射能濃度を演算し(S1)、これを何回か繰り返した後(S2)、ある集塵量に達したときろ紙を交換し(S3)、この交換したろ紙を用いて再度集塵および放射線を計数し、この計数値を基にダスト放射能濃度演算を繰り返し行なっている(S4)。
【0004】
この時、濃度演算に使用する半減期T1/2 は、固定値でろ紙交換前後で同じ値を使用して演算していた。実際の測定対象となる核種は、例えば、原子力発電所では、希ガスの娘核種である86Rb 、138 CsとRn ・Tn 系列の娘核種等が主要となっており、それぞれ16分、30分、数時間程度の半減期となっている。
【0005】
濃度演算には、個々の核種の成分比が不明のため、実際の現場では代表半減期を測定した結果で決めている。発電所の場合、通常代表半減期として1時間程度の値となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた従来のダスト放射線モニタは、ダスト放射能濃度演算に使用する代表半減期として、現場で集塵し、そのダスト放射線の計数率の減衰推移曲線を作成し、減衰速度を基に決定し、データ処理装置の演算パラメータとして設定していた。
【0007】
データ処理装置では、設定された半減期をダスト放射能濃度演算パラメータとして記憶し、再設定されるまで、同じ演算パラメータで測定していた。
しかし、減衰の速度は、測定核種の成分比が変化することにより、減衰速度も変わるので、変化に気付かず測定誤差を大きくしている原因となっていた。
【0008】
さらに、現場の代表半減期を求める作業は、時間と根気を必要とする作業であった。
本発明の目的は、常に正しい半減期を設定してダスト放射能濃度を高精度に測定し、また操作が簡単なダスト放射線モニタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1に対応する発明は、測定すべき空気をサンプリング配管内に吸引する吸引手段と、この吸引手段で吸引された空気中のダストを捕集するろ過手段と、このろ過手段で捕集されたダスト中の放射能から放出される放射線を検出する放射線検出手段と、前記ろ過手段の交換前後における前記放射線検出手段の検出結果からダスト放射能濃度を演算し、これらの演算結果に基づいて半減期を求め、この新しい半減期で集塵およびダスト放射能濃度演算を繰り返しながらダスト放射能濃度の変化を監視し、ダスト放射能濃度に変化が認められたとき、前記ろ過手段の駆動手段に対して交換指令を出力し、前記ろ過手段の交換前後のダスト放射能濃度から半減期を設定変更するデータ処理手段と、前記半減期の設定変更後、さらにダスト放射能濃度の変化があった場合、前記放射線検出手段の故障と判断し、かつ前記ダスト放射能濃度に変化がない場合、ダスト放射能濃度が上昇したと判断する判断手段と、を備えたことを特徴とするダスト放射線モニタである。
【0012】
【作用】
請求項1に対応する発明によれば、半減期が正しく設定されるので、タスト放射能濃度を高精度で測定でき、また自動的に半減期が設定されるので、操作が簡単であり、さらに判断手段を備えているので、放射線検出手段の異常も検知できる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例の概略構成を示すブロック図である。これは、サンプリング配管1に接続され、測定すべき空気をサンプリングする吸引手段の一例である吸引ポンプ2と、サンプリング空気中のダストを捕集するろ過手段の一例であるろ紙3と、ろ紙3を駆動するろ紙駆動装置4と、ろ紙3により捕集されたダスト中の放射能から放出される放射線を検出する放射線検出器5と、放射線検出器5の出力を増幅するアンプ6と、アンプ6で増幅された信号からダスト放射能濃度を演算する(この詳細については後述する)デ−タ処理装置7と、デ−タ処理装置7の演算結果を表示する表示装置8とから構成されている。
【0015】
デ−タ処理装置7は、ろ紙3の交換前後における放射線を検出する際の検出時刻がほぼ同じなので、両者の放射能濃度の演算結果が本来一致すべきものとして扱い、これに基づき正しい半減期を逆算し、また求めた正しい半減期によりダスト放射能濃度演算を行なう。
【0016】
ダスト放射濃度Cは、(1)式に示すように、ろ紙3の交換前後の2つの状態で放射能濃度が同じという前提、
つまり、ろ紙交換前の放射能濃度=ろ紙交換後の放射能濃度
C(T1/2 ,t)=C(T1/2 ,0) …(1)
と置くことにより、半減期T1/2 で新規に高精度のダスト放射能濃度を求めることができる。
【0017】
この場合、ダスト放射能濃度Cは、(2)式に示すように、集塵計数時間tと計数時間Nと半減期T1/2 と定数Kの関係式で示されるので、ろ紙3の交換前後の2つの状態で放射能濃度が同じという前提を置き、半減期T1/2のみ変数とすることで、半減期T1/2を求めることができる。この求めた半減期T1/2により新規に高精度のダスト放射能濃度を求めることができる。
ここで、集塵計数時間tはろ紙にて集塵を行っている時間であり、また計数時間Nは集塵を終了してから計数測定を行うまでの時間であり、定数Kは実験等で定められる値である。
以下、図2、図3を参照して第1の実施例の動作を説明する。図2は第1の実施例の動作を説明するための図であり、一定時間毎に集塵し、ダスト放射能濃度を演算し(S1)、これを何回か繰り返した後(S2)に、集塵量がある程度蓄積してきたら、ろ紙を交換し(S3)、集塵を行い計数し、この計数値を基にダスト放射能濃度演算を繰り返す(S4)。ここまでの処理は、従来のダスト放射線モニタと同じである。
【0018】
データ処理装置7は、さらにろ紙3の交換前後のダスト放射能濃度の演算結果を比較して半減期T1/2 の補正値を求め(S5)、新しい半減期T1/2 に入れ換える。入れ換え後は、最新の半減期T1/2 で演算する。このため、正しいダスト放射能濃度が求められる(S6)。
【0019】
この場合、ダスト放射能濃度Cは、(2)式で求められるので、ろ紙3の交換前後の2つの状態で放射能濃度が同じという前提に基づき、半減期T1/2 のみを変数とすることで、半減期T1/2 を求めることができる。この求めた半減期T1/2 で新規に高精度のダスト放射能濃度を求めることができる。
【0020】
デ−タ処理装置7において、ろ紙3の交換前後の演算結果比較で半減期T1/2 の補正値を求め、新しい半減期T1/2 に入れ換える。
入れ換え後は、最新の半減期T1/2 で演算されるので、正しいダスト放射能濃度Cが求められる。
【0021】
図3は以上述べた第1の実施例の集塵測定推移を示す図であり、(a)はダスト放射能濃度を集塵したときの計数率の推移例である。図3(b)は半減期T1/2 の値が正しくない時のダスト放射能濃度の推移例を示すものであり、正しくない場合は、ろ紙の交換前後の放射能濃度の値に差dがある。図3(c)は半減期T1/2 の値が正しい時のダスト放射能濃度の推移例を示したものであり、正しい場合は、ろ紙3の交換前後の放射能濃度の値に差がない。
【0022】
以上述べた第1実施例によれば、半減期が正しく設定され、ダスト放射能濃度を高精度で測定でき、また自動的に半減期が設定されるので、操作が簡単である。 次に、本発明の第2の実施例について説明するが、図1の実施例のデータ処理装置7は、以下のようになっている点のみが、第1の実施例とは異なる。すなわち、ろ紙3の交換前後のダスト放射能濃度から半減期T1/2 を求め、この新しい半減期T1/2 で集塵・演算を繰り返し、放射能濃度の変化を監視し、放射能濃度の変化を認めたとき、直ちにろ紙駆動装置に対してろ紙3の交換指令を与え、ろ紙交換前後の放射能濃度値から、半減期T1/2 を設定変更する。
【0023】
このように、測定途中で測定データの変化で、(イ)真にダスト放射能濃度が上昇したか、(ロ)放射線検出器5の故障等で結果がふらついているのか判断区分けすることができる。
【0024】
(イ)の場合は、半減期T1/2 が変わらない。(ロ)の場合は、図4(c)に示すように半減期T1/2 が変わり、さらに再設定した後もすぐにレベルが変化する。
【0025】
なお、図4はダスト放射能濃度の演算結果の推移を示すであり、図4(a)は半減期の変化があった場合であり、図4(b)は放射線検出器5の異常又は放射能濃度変化したときの推移を示している。
【0026】
このように、第2の実施例によれば、正しい測定値が得られることに加えて、放射線検出器5の異常も検知できる。
さらに、本発明の第3の実施例について説明するが、図1の実施例のデータ処理装置7は以下のようになっている点のみが、第1の実施例とは異なる。
すなわち、ろ紙3の交換前後のダスト放射能濃度から半減期T1/2 を求め、演算に使用する半減期T1/2 を更新し、新しい半減期で集塵・演算を繰り返し、かつ、ろ紙3交換毎の各半減期の値を保存し、その半減期の値の変化を監視し、これにより核種組成の変化があったことを検知する。
【0027】
このように、第3の実施例によれば、以下のような作用効果が得られる。すなわち、通常は図5(a)に示すように、一度半減期が変化したら、その後は一定となるが、ダスト放射能の発生源が、複数あってこれらの種類異なる場合は、図5(b)のようになる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、半減期が正しく設定されるので、タスト放射能濃度を高精度で測定でき、また自動的に半減期が設定されるので、操作が簡単であり、さらに判断手段を備えているので、放射線検出手段の異常も検知できるダスト放射線モニタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダスト放射線モニタの第1の実施例の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1の実施例の動作を説明するための図。
【図3】図1の実施例の集塵測定推移を示す図。
【図4】本発明によるダスト放射線モニタの第2の実施例のダスト放射能濃度演算結果の推移を示す図。
【図5】本発明によるダスト放射線モニタの第3の実施例の半減期の推移を示す図。
【図6】従来のダスト放射線モニタの一例の動作を説明するための図。
【符号の説明】
1…サンプリング配管、2…吸引ポンプ、3…ろ紙、4…ろ紙駆動装置、5…放射線検出器、6…アンプ、7…データ処理装置、8…表示装置。
Claims (1)
- 測定すべき空気をサンプリング配管内に吸引する吸引手段と、
この吸引手段で吸引された空気中のダストを捕集するろ過手段と、
このろ過手段で捕集されたダスト中の放射能から放出される放射線を検出する放射線検出手段と、
前記ろ過手段の交換前後における前記放射線検出手段の検出結果からダスト放射能濃度を演算し、これらの演算結果に基づいて半減期を求め、この新しい半減期で集塵およびダスト放射能濃度演算を繰り返しながらダスト放射能濃度の変化を監視し、ダスト放射能濃度に変化が認められたとき、前記ろ過手段の駆動手段に対して交換指令を出力し、前記ろ過手段の交換前後のダスト放射能濃度から半減期を設定変更するデータ処理手段と、
前記半減期の設定変更後、さらにダスト放射能濃度の変化があった場合、前記放射線検出手段の故障と判断し、かつ前記ダスト放射能濃度に変化がない場合、ダスト放射能濃度が上昇したと判断する判断手段と、
を備えたことを特徴とするダスト放射線モニタ。
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