JP3549838B2 - 電気炉兼用型転炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、転炉でありながら電気炉としての機能をも有する電気炉兼用型転炉に関するものである。なお、周知のように転炉は、溶融状態の銑鉄を材料として内部に入れ、上方から挿入するランス等でそれに酸素(純酸素)を吹き付けることにより含有炭素やケイ素等を燃焼させるという、いわゆる酸素吹錬によって鋼(溶鋼)を作る製鋼炉である。また、電気炉とは、電気エネルギーをもとにして炉内の材料を加熱し溶融させることのできる炉をいう。
【0002】
【従来の技術】
転炉は、高炉でできた溶融状態の銑鉄(溶銑)を炉内に受け、それを酸素吹錬して溶鋼を得るのが通常である。しかし、近年、製鉄プロセスの多様化にともない、製鋼コストの削減や不純物含有量の低減をねらって、溶銑以外の含鉄材料が転炉に装入されることも珍しくなくなっている。そのような材料としては、HBI(ホットブリケットアイアン)やDRI(直接還元鉄)、ピグアイアン、アイアンカーバイド、SRI(溶融還元銑鉄)、冷銑、スクラップなどがある。このようなものの多くは固体状態で取り扱われるため、結果として、近年の転炉には固体(冷材)の装入比率の高い例が増えている。
【0003】
ただし、転炉では、材料中の炭素やケイ素等の燃焼熱のみがエネルギー源となるため、炭素・ケイ素の含有量の少ない材料や固体(つまり低温の)材料の装入比率が一定以上になると、材料のすべてを溶融させることができず、本来の精錬を行うことも不可能になる。そのような場合、材料を加熱し溶融させるための他のエネルギーが転炉に必要になる。
【0004】
図4は、特開平4−235209号公報に記載されている組み換え式の転炉である。図4(a)のような状態では、ランス10’を用い通常の転炉として製鋼に使用するが、ランス10’を退避させ炉体上部を交換して図4(b)のように組み換えたときには、上方から炉内に3本組の電極20’を挿入し、電気炉(アーク炉)として使用することができる。装入される材料のほとんどが溶銑である場合には図4(a)の形態で使用し、スクラップ等の固体材料を多く装入する場合には、図4(b)のようにして電気エネルギーで材料の溶解をはかるなど、電気炉兼用型の転炉として有意義である。なお、図中の符号2aは支持軸であり、転炉は、一般のものと同様にこの支持軸2aを中心に傾動し、それによって材料の装入を受けたり溶鋼の出湯を行ったりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示す転炉には、しかしつぎのような課題が存在する。すなわち、
イ) 炉体の下部1Aに対して上部1Bと1Cとを組み換えることが簡単ではない。すなわち、上部1B・1Cはいずれもかなりの重量を有しているため、組み換えのためにそれらを移動することは容易でない。また、各部には熱による変形が生じがちであるうえ、接合部には耐火物の補修なども必要なので、組み換え作業にはかなりの時間がかかる。
【0006】
ロ) 炉内からの発生ガス、とくに図4(a)の形態で使用するとき大量に生じるガスをどのようにして処理設備に導くか、という課題もある。炉体上部の開口(炉口)を覆い、図4(a)・(b)の各形態において適切に使用できるフードや煙道を構成することは容易でないからである。
【0007】
ハ) 図4(a)・(b)には記載されていないが、上方から挿入される電極20’のほかに炉体にも電極を設ける構成をとる場合には、さらに別の課題も付随する。すなわち、その炉体の電極に通電するために必要なケーブル等が、その炉を転炉として使用する場合に炉体の傾動を妨げる等の不都合がある。
【0008】
ニ) 上記イ)〜ハ)の不都合を避けるためには、同様の転炉を2基製造し並置しておいて一方を通常の転炉形態に(図4(a)のように)組み付け、他方を電気炉形態に(図4(b)のように)組んで適宜に使い分けるのが現実的である。しかし、その場合には、2基を設けることによる設備コストや占有スペースの増加が課題になる。
【0009】
請求項の発明は、上記のような点を考慮してなしたもので、炉体を組み換える必要がないなど、上記イ)〜ニ)の課題を解決することのできる電気炉兼用型転炉を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電気炉兼用型転炉は、炉体上方から酸素吹錬用のランスを挿入されるとともに、当該ランスに代えて1本の電極が挿入され得るように構成され、上記の電極とともに炉内材料加熱用電力を供給するための電極が炉体下部に設けたことを前提とする。なお、一般的な直流アーク炉にならって上記の各電極に直流電源をつなぎ、炉体下部(炉底部)の電極を陽極(+)にするとともに、上方から挿入される電極を陰極(−)にするとよい。
【0011】
この電気炉兼用型転炉では、まず通常の転炉として使用する際には、炉体上方から上記のランスを挿入し、それにより炉内に純酸素を吹き込むことによって炉内材料(溶銑等)の精錬を行う。その一方、電気炉として使用する際には、上記のランスを引き上げて退避させ、そのランスに代えて上記1本の電極を上方から炉内に挿入する。上記のとおり炉体下部にも電極を設けており、上方から挿入する電極とともに炉内材料加熱用電力を供給するように構成しているので、外部からそれらに通電することによりこの転炉は電気炉(アーク炉)として機能し、電気エネルギーをもとに内部の材料を加熱・溶解させることができる。
【0012】
電気炉として使用する場合に上方から挿入する電極は1本であり、通常の転炉として使用される際のランスの数と同じであるため、この転炉は、炉体上部を何ら組み換え等しなくても、当該電極とランスとを交代に炉内に挿入することができる。電極とランスとについてその径や長さ、昇降ストローク等を同様にしておけば、炉内発生ガスを処理設備に送るためのフードや煙道に1箇所のみ挿通孔(一般の転炉におけるランス孔)を形成しておくことにより、当該フードや煙道を共用にし、同じ挿通孔に電極とランスを交互に通すことも可能になる。以上のようにすれば炉体の上部等を組み換える必要がなく、炉内発生ガスの問題もないので、この転炉では、転炉・電気炉間の切り替えを簡単に行うことができ、従来のように2基を併設する必要がない。したがって、設備コストや占有スペースに関するメリットも大きい。
【0013】
請求項1に記載した電気炉兼用型転炉は、炉内材料の加熱手段(の全部または一部)を炉体に設け、その加熱用電力の受電用接続端子を炉体下部の外側に付設するとともに、給電手段(ケーブルや中継盤など電源寄りの機器)に接続された給電用接続端子を、遠隔位置と炉体下方の位置との間で移動でき、かつ上記の受電用接続端子に対して着脱自在であるように配置したことを特徴とする。
【0014】
電極等の加熱手段を炉体に備える電気炉には給電用ケーブル等の導体が接続される必要があるが、転炉は、炉体を360°の範囲内で傾動させられ、真下に来る容器(受鋼鍋)内に溶鋼を移すという態様で使用されるため、そのような電気炉としての機能を転炉にもたせることは簡単ではない。つまり、通常なら、電気炉として使用するために必要なケーブル等は、転炉として使用される際の傾動動作の支障となり、また溶鋼もしくはその熱によって損傷する恐れもある。電気炉としての使用に必要なケーブル類は、数百アンペア程度の電流を通電される関係で柔軟性に乏しく、ブラシやスリップリングなど自由度の高い継手を使用することも難しいといった事情も、炉体の傾動を難しくする。
【0015】
しかしながら、この請求項に記載した電気炉兼用型転炉にはそのような恐れがない。それはつぎのような使用が可能だからである。まず、電気炉として使用する際には、給電用接続端子を炉体下方に移動して炉体下部の受電用接続端子につなぎ、それら端子を介して給電手段から炉体内の加熱手段に加熱用電力を供給する。そして電気炉としての使用が終わったとき、または転炉として使用するときには、給電用接続端子を受電用接続端子から外し、かつ炉体から離れた遠隔位置へ移動し退避させる。このように給電用接続端子を外して炉体から離した状態では、当該端子から電源までの間にあるケーブル等の給電手段が炉体の傾動を妨げることはなく、またそれらが溶鋼を浴びたりその熱を受けたりして不都合を生じる恐れもない。
【0016】
なお、この電気炉兼用型転炉は、上記した炉内材料の加熱手段をどのように炉体に設けるかによって、種々の態様で実施することができる。たとえば、炉底部に一方の電極を設けるとともに、炉体外部にも上方から炉内への挿入が可能な電極を配置することによって、一般的な直流アーク炉と同様の使用が可能な転炉とすることができる。また、炉体下部のみに複数の電極を設け(各電極に通じるように受電用接続端子をそれぞれ設けておく)、それらの間で通電するようなアーク炉兼用炉を構成することも不可能ではない。上記で説明した各電極に代えて炉内に抵抗発熱体を配置することにより、抵抗炉としての電気炉を兼ねさせることもできる。炉体まわりに誘導コイルを配置し、そのコイルに受電用接続端子を接続することにより、誘導炉としての電気炉を兼ねた構成にするのも可能である。電気炉としての使用の際、上方から炉内に1本の電極等を挿入するのなら、転炉として使用するときは、電極等の挿入用の穴を利用して上方から吹錬用ランスを挿入するのがよい。しかし、電気炉とする際に上方から何らの給電もしないとすれば、転炉とする際、同様にランスを用いることが可能であるほか、炉底部から酸素を吹き込む構成を付設して底吹き転炉として操業することのもよい。なお、上方からの給電が上記のように1本の電極のみにて行われ、または全く行われないとしたら、1本のランスが挿入され転炉として使用される際の炉体上部を全く交換しなくても電気炉として使用できることはいうまでもない。
【0017】
請求項2に記載の電気炉兼用型転炉は、請求項1の転炉における上記の給電用接続端子を、転炉用受鋼容器の走行軌道上を移動する台車(受鋼容器用の台車とは別の台車)上に配置したことを特徴とする。
【0018】
給電用接続端子をこのように台車上に配置すると、遠隔位置と炉体下方の位置との間で同端子を移動することが容易である。転炉用受鋼容器は、転炉にて精錬した溶鋼を受けて別の設備に運ぶ関係上、台車(受鋼台車)に載せられ、転炉の真下の位置とその前後を含む相当の長距離に敷設された走行軌道上を移動する。この電気炉兼用型転炉は、受鋼容器の移動用に敷設されたそのような軌道上に別の台車を配置し、その軌道に沿って台車ごと給電用接続端子が移動するように構成するのであるから、炉体下方の位置とそれより離れた遠隔位置との間で同端子を移動することを円滑に、しかも、当該軌道の敷設に要するコストを抑えて実施できるのである。
【0019】
給電用接続端子を炉体下方に位置させて受電用接続端子につなぐときには、炉内から溶鋼を出すことがないので受鋼容器が炉体下方に来る必要はない。逆に、受鋼容器が炉体下方に位置するときには、電気炉として使用する場合ではないので給電用接続端子が炉体下方に来る必要はない。つまり、給電用接続端子の台車と受鋼容器の台車との双方が同時に炉体下方に位置することがないので、同じ走行軌道を二種類の台車が共用することによる不都合は発生しない。
【0020】
請求項3に記載の電気炉兼用型転炉は、さらに、給電用接続端子を、上下への伸縮が可能なパンタグラフ型リンク機構の上部に設けて上記の台車上に配置したことを特徴とする。
【0021】
この転炉では、給電用接続端子の移動のうち水平方向への移動を上記の台車によって行い、上下方向への移動を、その台車上のパンタグラフ型リンク機構によって行う。当該リンク機構は、平行四辺形をなすようにリンクを組み合わせたもので(図2中の符号32を参照)、一部分(たとえば図2中の点X)の移動軌跡を比例的に他の点(たとえば図2中の点Y)の軌跡に拡大することができ、その拡大比率は平行四辺形の数(またはリンクの組数)とともに大きくすることができる。そのため、上記のようにパンタグラフ型リンク機構を利用すると、小型の駆動源を使用しても上下方向への給電用接続端子の移動ストロークを大きくとることができ、同端子を好適に移動することが可能である。なお、上記機構においてリンクの数を増やすことにより平行四辺形の数を多くすると、機構の強度や剛性は低下するが、給電用接続端子の重量があまり大きくないため、そのことによる不利は小さい。
【0024】
【発明の実施の形態】
発明の実施に関する一形態を図1〜図3に示す。図1は、電気炉兼用型転炉1とその周辺に関する全体的な斜視図であって、通常の転炉として使用する状態を示す。図2は、電気炉として使用する場合の転炉1を示す側面図(傾動軸2aに沿う方向から見た図)、図3は、同じく電気炉として使用する場合の転炉1を示す正面図(傾動軸2aと直角な方向から見た図)である。
【0025】
この電気炉兼用型転炉1は、まず、一般の転炉と同様につぎのように構成している。転炉1の本体は、図2の一部に示すとおり鉄皮1aと内部の耐火物1bとによって坩堝状に形成する。そのような転炉1の本体を環状の支持リング2の内側に組み付け、当該リング2の2箇所に一体化した支持軸2aを、図3のようにそれぞれ軸受3によって回転自在に支える。そして、一方の支持軸2aには、4組(または2組)のモータと減速機を含む傾動手段4を連結し、同手段4を駆動することによって転炉1の本体を傾けたり回転させたりできるようにする。坩堝状の本体には、図1のように上部に炉口1cを開口させるほか、側面のうち傾動時に下向きになり得る一方の側に出鋼口1dを形成する。溶銑やスクラップ等の材料を受け入れる場合や、精錬後の溶鋼を出す(出鋼する)場合には転炉1の本体を傾け、また炉内の溶鋼やスラグの全部を排出する際には180°回転させて炉口1cを真下に向ける。
【0026】
内部に受け入れた溶銑等を酸素吹錬する手段として、転炉1の上方にはランス10を配置している。ランス10は、下端の開口から純酸素を吹き出すことのできるランス本体を、図1のように巻上げ式の昇降手段11により昇降可能に支持させ、かつ、横行手段12によって水平位置を移せるようにしている。そしてランス10には、純酸素を供給するためのホース13と、冷却水を循環させるためのホース14を接続している。酸素吹錬を行う際には、横行手段12によって炉口1cの真上にランス10を位置させたうえ、昇降手段11によってランス10を下げることにより、その下部を図1のように転炉1の内部に挿入する。図示を省略したが、炉口1cには、炉内で発生するガスを処理設備に送るためのフードを密に被せ、さらにそれにダクトを接続している。そうしたフードまたはダクトの一部に開閉可能な挿通孔を設け、それを通して上述のランス10を炉内に挿入することとしている。
【0027】
この転炉1にはさらに、電気炉(直流アーク炉)としても使用できるように、つぎのような構成を付加している。第一には、図1のように、ランス10とその昇降手段11・横行手段12に並べて、同様の昇降手段21と横行手段22とを備える上部電極20を配置する。アークを発生させるための一方の電極(−極)として、酸素吹錬用のランス10に代え、フードまたはダクト上の上記と同じ挿通孔を通してこの電極20を上方から炉内に挿入するのである。電極20は銅合金や黒鉛によって形成し、電源盤に通じる給電用ケーブル23と冷却用の通水ホース24とを接続する。なお、このような上部電極20は、昇降手段21や横行手段22、ホース24等を含む構成がランス10におけるものと似かよっているため、メンテナンス時の操業可能性を考慮して2台のランスを交代可能に配置した従来型の既設転炉における一方のランスを電極20に置き換えることによっても、容易に構成することができる。
【0028】
直流アーク炉としての使用を可能にするための第二の構成として、図2のように、転炉1の炉体下部に炉底電極25を埋設している。この電極25を、上記した上部電極20と対になる電極(+極)とし、これに接触する炉内の鉄材料と上部電極20との間でアークを発生させるためである。この電極25も銅合金等によって形成し、炉体外壁に沿わせた水配管を介して冷却水を循環させるよう構成する。電極25には受電用接続端子26を一体化し、当該端子26を炉体の外側に露出させる。
【0029】
さらに、第三の構成として、上記の炉底電極25を電源につなぐため、図2等に示す給電台車30を新設した。給電台車30は、車輪を介してレール6上を移動可能な走行フレーム33の上に、上記した転炉1上の受電用接続端子26に対して着脱自在な給電用接続端子31を搭載したものである。給電用のその接続端子31は、レール6に沿った走行フレーム33の移動によって、転炉1から離れた遠隔位置(図1の位置、または図2における仮想線の位置)と炉体直下の位置(図2中の実線の位置)との間で移動することができ、また、フレーム33上で端子31を支えるパンタグラフ型のリンク機構32の伸縮作用により、下方の退避レベル(図2における仮想線の位置)から上方にある受電用接続端子26との結合レベル(図2における実線の位置)にまで上昇し、また逆に下降することができる。そしてこの給電用接続端子31には、可撓性のある配線手段でありレール6に沿った同端子31の水平移動を許容するケーブルベア35と、同様に可撓性をもつ配線手段であって端子31の上下への昇降を許容するケーブルベア36とを介して、固定配置された電源中継盤34を接続している。給電台車30中の給電用接続端子31を結合レベルにまで上昇させて、転炉1の受電用接続端子26に結合した状態(図2の実線または図3の状態)では、炉底電極25に電源が接続されていることになり、端子26から端子31を離したときには(図2の仮想線など)電源が分離されたことになる。
【0030】
なお、パンタグラフ型のリンク機構32は、ストロークの短い駆動源の動作を増幅させることにより、給電用接続端子31に大きなストロークの昇降変位をさせ得る機構である。図に例示したリンク機構32は、3組の平行リンクを使用したものであるため、油圧シリンダー(図示せず)等の駆動源によってたとえば最下部のリンクの上端(図2中の点X)に一定の上向き変位を与えると、最上部のリンクの上端(図2中の点Y)には上向きにその3倍の変位をさせることができる。リンク機構32によってこのように変位量を拡大できるので、給電台車30は、給電用接続端子31が退避レベルにあるときの状態をコンパクトなものにしながらも、その端子31を、高い位置にある受電用接続端子26と結合するレベルにまで無理なく到達させることができる。
【0031】
給電台車30を上記のように水平に移動するためのレール6としては、転炉1から溶鋼を運び出すための受鋼鍋(図示せず)の走行軌道を利用している。当該受鋼鍋は、精錬ずみの溶鋼を受けて連続鋳造機など下流側設備へ運ぶべく、受鋼台車(図示せず)に載って炉体直下から下流側設備にまで軌道上を走行する。受鋼鍋の走行用に敷設されているそのような軌道を、当該走行方向と反対側へ炉体真下から少し延長することにより、給電台車30用のレール6としたのである。転炉1を電気炉として使用し炉内にアークを発生させる際には、給電台車30を炉体直下に位置させて端子31・26間を結合させるが、直ちに出鋼することがないので受鋼鍋が炉体直下に搬入されることはない。一方、転炉1を通常どおり転炉として使用する際には、出鋼が近づいた適当な時期に受鋼鍋を炉体直下に搬入するが、給電台車30については使用機会がないので遠隔位置に退避させておく。したがって、上記のように共用するレール6は、給電台車30と受鋼鍋との双方によって円滑に使い分けることができる。
【0032】
以上に説明した電気炉兼用型転炉1は、1基ではありながら、通常どおり転炉として使用できることに加えアーク炉としても使用できるため、つぎのような操業が可能である。すなわち、原料としてスクラップを装入し、それを溶解して溶融金属にする電気炉的な使用を行い、のちにその溶融金属に対して酸素吹錬を行う、といった使用ができる。スクラップに代えて(またはスクラップとともに)冷銑や直還鉄、アイアンカーバイドなどを原料として装入し同様の運転をすることも容易である。もちろん、高炉や溶融還元炉で生産した溶銑を炉内に装入し、電気炉的な使用をせずに酸素吹錬を行って溶鋼を得る、といった使用も可能である。したがって、上記の電気炉兼用型転炉1によれば、原料の種類にかかわらずつねに良質の金属を得ることができるほか、原料(スクラップや溶銑等)の入手の容易さ(品質・価格)等に応じて適宜に金属生産の方法を選択し、もってコスト上のメリットを得ることができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載した電気炉兼用型転炉は、通常の転炉として使用できるほか電気炉としても使用することができる。それに関し、炉体上部を何ら組み換え等する必要がないうえ、炉内発生ガスを処理設備に送るためのフードや煙道も交換・移動等せずに、フード等に形成した一つの挿通孔に上方からランスと電極を交互に通すことによって容易に転炉・電気炉間の切り換えを行える。そのような切り換えを容易かつ迅速に行えることから、2基を併設しておく必要がなく、したがって設備コストやスペース上のメリットがある。共用できる部分が多いので設備コストが抑えられること、また、従来型の転炉に電極等を付加するだけで足りるので既設設備の一部改造によって簡単に構成できることでも有利である。
【0034】
請求項1に記載した電気炉兼用型転炉は、炉内材料の加熱手段への給電用接続端子を炉体に対して着脱し遠隔位置まで移動できるように配置したので、電気炉として使用する際の給電用手段が転炉としての炉体の傾動を妨げることがない。また、同じ理由により、給電の手段が溶鋼を浴びたりその熱を受けたりする不都合も生じない。炉内材料の加熱手段を炉体に設けることによって上方(外部)からの給電箇所を減らす(またはなくす)ことができるので、転炉として使用する際の炉体上部を全く交換しなくても電気炉として使用できる構成をとることも可能である。
それに加えて、通常の転炉として使用できるほか電気炉としても使用することができる。それに関し、炉体上部を何ら組み換え等する必要がないうえ、炉内発生ガスを処理設備に送るためのフードや煙道も交換・移動等せずに、フード等に形成した一つの挿通孔に上方からランスと電極を交互に通すことによって容易に転炉・電気炉間の切り換えを行える。そのような切り換えを容易かつ迅速に行えることから、2基を併設しておく必要がなく、したがって設備コストやスペース上のメリットがある。共用できる部分が多いので設備コストが抑えられること、また、従来型の転炉に電極等を付加するだけで足りるので既設設備の一部改造によって簡単に構成できることでも有利である。
【0035】
請求項2に記載の電気炉兼用型転炉なら、上記給電用接続端子を、炉体下方の位置とそれより離れた遠隔位置との間で移動することを簡単かつ円滑に行える。受鋼容器の移動用に敷設された軌道を当該端子の移動に利用するので、設備的なコストも節約できる。しかも、同じ軌道を円滑に使い分けることが可能である。
【0036】
請求項3に記載の電気炉兼用型転炉なら、とくに、上記給電用接続端子をパンタグラフ型リンク機構の上部に設けるので、小型の駆動源を使用しながらも上下方向への給電用接続端子の移動ストロークを大きくとることができ、同端子を好適に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施に関する一形態を示す図である。図1は、電気炉兼用型転炉1とその周辺に関する全体的な斜視図であり、通常の転炉として使用する状態を示す。
【図2】電気炉として使用する場合の電気炉兼用型転炉1を示す側面図(傾動軸2aに沿う方向から見た図)である。
【図3】電気炉として使用する場合の電気炉兼用型転炉1を示す正面図(傾動軸2aと直角な方向から見た図)である。
【図4】電気炉としても使用可能な従来の転炉に関する縦断面図であり、図4(a)は転炉として使用する状態を示し、同(b)は電気炉として使用する状態を示す。
【符号の説明】
1 電気炉兼用型転炉
6 レール(軌道)
10 ランス
20 (上部)電極
25 (炉底)電極
26 受電用接続端子
30 給電台車
31 給電用接続端子
32 パンタグラフ型リンク機構

Claims (3)

  1. 炉体上方から酸素吹錬用のランスを挿入されるとともに、当該ランスに代えて1本の電極が挿入され得るように構成され、上記の電極とともに炉内材料加熱用電力を供給するための電極が炉体下部に設けられる電気炉兼用型転炉であって、
    炉内材料の加熱手段を炉体に備え、その加熱用電力の受電用接続端子が炉体下部の外側に付設され、
    給電手段に接続された給電用接続端子が、遠隔位置と炉体下方の位置との間で移動でき、かつ上記の受電用接続端子に対して着脱自在であるように配置されている
    ことを特徴とする電気炉兼用型転炉。
  2. 上記の給電用接続端子が、転炉用受鋼容器の走行軌道上を移動する台車上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気炉兼用型転炉。
  3. 上記の給電用接続端子が、上下への伸縮が可能なパンタグラフ型リンク機構の上部に設けられて上記の台車上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電気炉兼用型転炉。
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