JP2002194418A - 電気炉兼用型転炉 - Google Patents

電気炉兼用型転炉

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JP2002194418A JP2000395569A JP2000395569A JP2002194418A JP 2002194418 A JP2002194418 A JP 2002194418A JP 2000395569 A JP2000395569 A JP 2000395569A JP 2000395569 A JP2000395569 A JP 2000395569A JP 2002194418 A JP2002194418 A JP 2002194418A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の転炉としても、また電気炉としても使
用することができ、しかも、切り替えのつど炉体を組み
換える必要がない電気炉兼用型転炉を提供する。 【解決手段】 炉体上方から酸素吹錬用のランス10を
挿入されるとともに当該ランス10に代えて1本の電極
20が挿入され得るようにし、その電極10とともに炉
内材料加熱用電力を供給するための電極を炉体下部に設
けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、転炉で
ありながら電気炉としての機能をも有する電気炉兼用型
転炉に関するものである。なお、周知のように転炉は、
溶融状態の銑鉄を材料として内部に入れ、上方から挿入
するランス等でそれに酸素(純酸素)を吹き付けること
により含有炭素やケイ素等を燃焼させるという、いわゆ
る酸素吹錬によって鋼(溶鋼)を作る製鋼炉である。ま
た、電気炉とは、電気エネルギーをもとにして炉内の材
料を加熱し溶融させることのできる炉をいう。
【0002】
【従来の技術】転炉は、高炉でできた溶融状態の銑鉄
(溶銑)を炉内に受け、それを酸素吹錬して溶鋼を得る
のが通常である。しかし、近年、製鉄プロセスの多様化
にともない、製鋼コストの削減や不純物含有量の低減を
ねらって、溶銑以外の含鉄材料が転炉に装入されること
も珍しくなくなっている。そのような材料としては、H
BI(ホットブリケットアイアン)やDRI(直接還元
鉄)、ピグアイアン、アイアンカーバイド、SRI(溶
融還元銑鉄)、冷銑、スクラップなどがある。このよう
なものの多くは固体状態で取り扱われるため、結果とし
て、近年の転炉には固体(冷材)の装入比率の高い例が
増えている。
【0003】ただし、転炉では、材料中の炭素やケイ素
等の燃焼熱のみがエネルギー源となるため、炭素・ケイ
素の含有量の少ない材料や固体(つまり低温の)材料の
装入比率が一定以上になると、材料のすべてを溶融させ
ることができず、本来の精錬を行うことも不可能にな
る。そのような場合、材料を加熱し溶融させるための他
のエネルギーが転炉に必要になる。
【0004】図4は、特開平4−235209号公報に
記載されている組み換え式の転炉である。図4(a)の
ような状態では、ランス10’を用い通常の転炉として
製鋼に使用するが、ランス10’を退避させ炉体上部を
交換して図4(b)のように組み換えたときには、上方
から炉内に3本組の電極20’を挿入し、電気炉(アー
ク炉)として使用することができる。装入される材料の
ほとんどが溶銑である場合には図4(a)の形態で使用
し、スクラップ等の固体材料を多く装入する場合には、
図4(b)のようにして電気エネルギーで材料の溶解を
はかるなど、電気炉兼用型の転炉として有意義である。
なお、図中の符号2aは支持軸であり、転炉は、一般の
ものと同様にこの支持軸2aを中心に傾動し、それによ
って材料の装入を受けたり溶鋼の出湯を行ったりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図4に示す転炉には、
しかしつぎのような課題が存在する。すなわち、イ ) 炉体の下部1Aに対して上部1Bと1Cとを組み換
えることが簡単ではない。すなわち、上部1B・1Cは
いずれもかなりの重量を有しているため、組み換えのた
めにそれらを移動することは容易でない。また、各部に
は熱による変形が生じがちであるうえ、接合部には耐火
物の補修なども必要なので、組み換え作業にはかなりの
時間がかかる。
【0006】ロ) 炉内からの発生ガス、とくに図4
(a)の形態で使用するとき大量に生じるガスをどのよ
うにして処理設備に導くか、という課題もある。炉体上
部の開口(炉口)を覆い、図4(a)・(b)の各形態
において適切に使用できるフードや煙道を構成すること
は容易でないからである。
【0007】ハ) 図4(a)・(b)には記載されてい
ないが、上方から挿入される電極20’のほかに炉体に
も電極を設ける構成をとる場合には、さらに別の課題も
付随する。すなわち、その炉体の電極に通電するために
必要なケーブル等が、その炉を転炉として使用する場合
に炉体の傾動を妨げる等の不都合がある。
【0008】ニ) 上記イ)〜ハ)の不都合を避けるために
は、同様の転炉を2基製造し並置しておいて一方を通常
の転炉形態に(図4(a)のように)組み付け、他方を
電気炉形態に(図4(b)のように)組んで適宜に使い
分けるのが現実的である。しかし、その場合には、2基
を設けることによる設備コストや占有スペースの増加が
課題になる。
【0009】請求項の発明は、上記のような点を考慮し
てなしたもので、炉体を組み換える必要がないなど、上
記イ)〜ニ)の課題を解決することのできる電気炉兼用型転
炉を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した電気
炉兼用型転炉は、炉体上方から酸素吹錬用のランスを挿
入されるとともに当該ランスに代えて1本の電極が挿入
され得るようにし、上記の電極とともに炉内材料加熱用
電力を供給するための電極を炉体下部(炉底部または炉
側部)に設けたことを特徴とする。なお、一般的な直流
アーク炉にならって上記の各電極に直流電源をつなぎ、
炉体下部(炉底部)の電極を陽極(+)にするととも
に、上方から挿入される電極を陰極(−)にするとよ
い。
【0011】この電気炉兼用型転炉では、まず通常の転
炉として使用する際には、炉体上方から上記のランスを
挿入し、それにより炉内に純酸素を吹き込むことによっ
て炉内材料(溶銑等)の精錬を行う。その一方、電気炉
として使用する際には、上記のランスを引き上げて退避
させ、そのランスに代えて上記1本の電極を上方から炉
内に挿入する。上記のとおり炉体下部にも電極を設けて
おり、上方から挿入する電極とともに炉内材料加熱用電
力を供給するように構成しているので、外部からそれら
に通電することによりこの転炉は電気炉(アーク炉)と
して機能し、電気エネルギーをもとに内部の材料を加熱
・溶解させることができる。
【0012】電気炉として使用する場合に上方から挿入
する電極は1本であり、通常の転炉として使用される際
のランスの数と同じであるため、この転炉は、炉体上部
を何ら組み換え等しなくても、当該電極とランスとを交
代に炉内に挿入することができる。電極とランスとにつ
いてその径や長さ、昇降ストローク等を同様にしておけ
ば、炉内発生ガスを処理設備に送るためのフードや煙道
に1箇所のみ挿通孔(一般の転炉におけるランス孔)を
形成しておくことにより、当該フードや煙道を共用に
し、同じ挿通孔に電極とランスを交互に通すことも可能
になる。以上のようにすれば炉体の上部等を組み換える
必要がなく、炉内発生ガスの問題もないので、この転炉
では、転炉・電気炉間の切り替えを簡単に行うことがで
き、従来のように2基を併設する必要がない。したがっ
て、設備コストや占有スペースに関するメリットも大き
い。
【0013】請求項2に記載した電気炉兼用型転炉は、
炉内材料の加熱手段(の全部または一部)を炉体に設
け、その加熱用電力の受電用接続端子を炉体下部の外側
に付設するとともに、給電手段(ケーブルや中継盤など
電源寄りの機器)に接続された給電用接続端子を、遠隔
位置と炉体下方の位置との間で移動でき、かつ上記の受
電用接続端子に対して着脱自在であるように配置したこ
とを特徴とする。
【0014】電極等の加熱手段を炉体に備える電気炉に
は給電用ケーブル等の導体が接続される必要があるが、
転炉は、炉体を360°の範囲内で傾動させられ、真下
に来る容器(受鋼鍋)内に溶鋼を移すという態様で使用
されるため、そのような電気炉としての機能を転炉にも
たせることは簡単ではない。つまり、通常なら、電気炉
として使用するために必要なケーブル等は、転炉として
使用される際の傾動動作の支障となり、また溶鋼もしく
はその熱によって損傷する恐れもある。電気炉としての
使用に必要なケーブル類は、数百アンペア程度の電流を
通電される関係で柔軟性に乏しく、ブラシやスリップリ
ングなど自由度の高い継手を使用することも難しい−
といった事情も、炉体の傾動を難しくする。
【0015】しかしながら、この請求項に記載した電気
炉兼用型転炉にはそのような恐れがない。それはつぎの
ような使用が可能だからである。まず、電気炉として使
用する際には、給電用接続端子を炉体下方に移動して炉
体下部の受電用接続端子につなぎ、それら端子を介して
給電手段から炉体内の加熱手段に加熱用電力を供給す
る。そして電気炉としての使用が終わったとき、または
転炉として使用するときには、給電用接続端子を受電用
接続端子から外し、かつ炉体から離れた遠隔位置へ移動
し退避させる。このように給電用接続端子を外して炉体
から離した状態では、当該端子から電源までの間にある
ケーブル等の給電手段が炉体の傾動を妨げることはな
く、またそれらが溶鋼を浴びたりその熱を受けたりして
不都合を生じる恐れもない。
【0016】なお、この電気炉兼用型転炉は、上記した
炉内材料の加熱手段をどのように炉体に設けるかによっ
て、種々の態様で実施することができる。たとえば、炉
底部に一方の電極を設けるとともに、炉体外部にも上方
から炉内への挿入が可能な電極を配置することによっ
て、一般的な直流アーク炉と同様の使用が可能な転炉と
することができる。また、炉体下部のみに複数の電極を
設け(各電極に通じるように受電用接続端子をそれぞれ
設けておく)、それらの間で通電するようなアーク炉兼
用炉を構成することも不可能ではない。上記で説明した
各電極に代えて炉内に抵抗発熱体を配置することによ
り、抵抗炉としての電気炉を兼ねさせることもできる。
炉体まわりに誘導コイルを配置し、そのコイルに受電用
接続端子を接続することにより、誘導炉としての電気炉
を兼ねた構成にするのも可能である。電気炉としての使
用の際、上方から炉内に1本の電極等を挿入するのな
ら、転炉として使用するときは、電極等の挿入用の穴を
利用して上方から吹錬用ランスを挿入するのがよい。し
かし、電気炉とする際に上方から何らの給電もしないと
すれば、転炉とする際、同様にランスを用いることが可
能であるほか、炉底部から酸素を吹き込む構成を付設し
て底吹き転炉として操業することのもよい。なお、上方
からの給電が上記のように1本の電極のみにて行われ、
または全く行われないとしたら、1本のランスが挿入さ
れ転炉として使用される際の炉体上部を全く交換しなく
ても電気炉として使用できることはいうまでもない。
【0017】請求項3に記載の電気炉兼用型転炉は、請
求項2の転炉における上記の給電用接続端子を、転炉用
受鋼容器の走行軌道上を移動する台車(受鋼容器用の台
車とは別の台車)上に配置したことを特徴とする。
【0018】給電用接続端子をこのように台車上に配置
すると、遠隔位置と炉体下方の位置との間で同端子を移
動することが容易である。転炉用受鋼容器は、転炉にて
精錬した溶鋼を受けて別の設備に運ぶ関係上、台車(受
鋼台車)に載せられ、転炉の真下の位置とその前後を含
む相当の長距離に敷設された走行軌道上を移動する。こ
の電気炉兼用型転炉は、受鋼容器の移動用に敷設された
そのような軌道上に別の台車を配置し、その軌道に沿っ
て台車ごと給電用接続端子が移動するように構成するの
であるから、炉体下方の位置とそれより離れた遠隔位置
との間で同端子を移動することを円滑に、しかも、当該
軌道の敷設に要するコストを抑えて実施できるのであ
る。
【0019】給電用接続端子を炉体下方に位置させて受
電用接続端子につなぐときには、炉内から溶鋼を出すこ
とがないので受鋼容器が炉体下方に来る必要はない。逆
に、受鋼容器が炉体下方に位置するときには、電気炉と
して使用する場合ではないので給電用接続端子が炉体下
方に来る必要はない。つまり、給電用接続端子の台車と
受鋼容器の台車との双方が同時に炉体下方に位置するこ
とがないので、同じ走行軌道を二種類の台車が共用する
ことによる不都合は発生しない。
【0020】請求項4に記載の電気炉兼用型転炉は、さ
らに、給電用接続端子を、上下への伸縮が可能なパンタ
グラフ型リンク機構の上部に設けて上記の台車上に配置
したことを特徴とする。
【0021】この転炉では、給電用接続端子の移動のう
ち水平方向への移動を上記の台車によって行い、上下方
向への移動を、その台車上のパンタグラフ型リンク機構
によって行う。当該リンク機構は、平行四辺形をなすよ
うにリンクを組み合わせたもので(図2中の符号32を
参照)、一部分(たとえば図2中の点X)の移動軌跡を
比例的に他の点(たとえば図2中の点Y)の軌跡に拡大
することができ、その拡大比率は平行四辺形の数(また
はリンクの組数)とともに大きくすることができる。そ
のため、上記のようにパンタグラフ型リンク機構を利用
すると、小型の駆動源を使用しても上下方向への給電用
接続端子の移動ストロークを大きくとることができ、同
端子を好適に移動することが可能である。なお、上記機
構においてリンクの数を増やすことにより平行四辺形の
数を多くすると、機構の強度や剛性は低下するが、給電
用接続端子の重量があまり大きくないため、そのことに
よる不利は小さい。
【0022】請求項5に記載の電気炉兼用型転炉は、請
求項2〜4に記載の転炉において、炉体上方から酸素吹
錬用のランスを挿入されるとともに、当該ランスに代え
て1本の電極が挿入され得るように構成し、上記の電極
とともに炉内材料加熱用電力を供給するための電極を炉
体下部に設けたことを特徴とする。
【0023】この電気炉兼用型転炉は、転炉として使用
する際には、炉体上方から炉内にランスを挿入して純酸
素を吹き込むことにより精錬を行い、電気炉として使用
する際には、ランスを引き上げて退避させるとともに、
そのランスに代えて1本の電極を上方から炉内に挿入す
る。炉体下部にも電極を設けており、上方から挿入する
電極とともに炉内材料加熱用電力を供給できるので、通
電によってこの転炉は電気炉(アーク炉)として機能す
ることができる。しかも、上方から挿入する電極は1本
であって、転炉として使用する際のランスの数と同じで
あるため、この転炉は、炉体上部を何ら組み換え等しな
くても、当該電極とランスとを交代に炉内に挿入するこ
とができる。電極とランスとについてその径や長さ、昇
降ストローク等を同様にしておけば、炉内発生ガス用の
フードや煙道を共用にし、同じ挿通孔に電極とランスを
交互に通すことも可能になる。そうすると転炉・電気炉
間の切り替えを簡単に行うことができ、2基を併設する
必要もないので、設備コストや占有スペースに関しても
有利である。すなわち、この請求項5の転炉によれば、
解決すべき前記イ)〜ニ)の課題をすべて解決することがで
きる。なお、炉体下部の電極を一つにして陽極(+)に
するとともに、上方から挿入される電極を陰極(−)に
するのが、一般的な直流アーク炉の構成を一部に流用で
きる意味で好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】発明の実施に関する一形態を図1
〜図3に示す。図1は、電気炉兼用型転炉1とその周辺
に関する全体的な斜視図であって、通常の転炉として使
用する状態を示す。図2は、電気炉として使用する場合
の転炉1を示す側面図(傾動軸2aに沿う方向から見た
図)、図3は、同じく電気炉として使用する場合の転炉
1を示す正面図(傾動軸2aと直角な方向から見た図)
である。
【0025】この電気炉兼用型転炉1は、まず、一般の
転炉と同様につぎのように構成している。転炉1の本体
は、図2の一部に示すとおり鉄皮1aと内部の耐火物1
bとによって坩堝状に形成する。そのような転炉1の本
体を環状の支持リング2の内側に組み付け、当該リング
2の2箇所に一体化した支持軸2aを、図3のようにそ
れぞれ軸受3によって回転自在に支える。そして、一方
の支持軸2aには、4組(または2組)のモータと減速
機を含む傾動手段4を連結し、同手段4を駆動すること
によって転炉1の本体を傾けたり回転させたりできるよ
うにする。坩堝状の本体には、図1のように上部に炉口
1cを開口させるほか、側面のうち傾動時に下向きにな
り得る一方の側に出鋼口1dを形成する。溶銑やスクラ
ップ等の材料を受け入れる場合や、精錬後の溶鋼を出す
(出鋼する)場合には転炉1の本体を傾け、また炉内の
溶鋼やスラグの全部を排出する際には180°回転させ
て炉口1cを真下に向ける。
【0026】内部に受け入れた溶銑等を酸素吹錬する手
段として、転炉1の上方にはランス10を配置してい
る。ランス10は、下端の開口から純酸素を吹き出すこ
とのできるランス本体を、図1のように巻上げ式の昇降
手段11により昇降可能に支持させ、かつ、横行手段1
2によって水平位置を移せるようにしている。そしてラ
ンス10には、純酸素を供給するためのホース13と、
冷却水を循環させるためのホース14を接続している。
酸素吹錬を行う際には、横行手段12によって炉口1c
の真上にランス10を位置させたうえ、昇降手段11に
よってランス10を下げることにより、その下部を図1
のように転炉1の内部に挿入する。図示を省略したが、
炉口1cには、炉内で発生するガスを処理設備に送るた
めのフードを密に被せ、さらにそれにダクトを接続して
いる。そうしたフードまたはダクトの一部に開閉可能な
挿通孔を設け、それを通して上述のランス10を炉内に
挿入することとしている。
【0027】この転炉1にはさらに、電気炉(直流アー
ク炉)としても使用できるように、つぎのような構成を
付加している。第一には、図1のように、ランス10と
その昇降手段11・横行手段12に並べて、同様の昇降
手段21と横行手段22とを備える上部電極20を配置
する。アークを発生させるための一方の電極(−極)と
して、酸素吹錬用のランス10に代え、フードまたはダ
クト上の上記と同じ挿通孔を通してこの電極20を上方
から炉内に挿入するのである。電極20は銅合金や黒鉛
によって形成し、電源盤に通じる給電用ケーブル23と
冷却用の通水ホース24とを接続する。なお、このよう
な上部電極20は、昇降手段21や横行手段22、ホー
ス24等を含む構成がランス10におけるものと似かよ
っているため、メンテナンス時の操業可能性を考慮して
2台のランスを交代可能に配置した従来型の既設転炉に
おける一方のランスを電極20に置き換えることによっ
ても、容易に構成することができる。
【0028】直流アーク炉としての使用を可能にするた
めの第二の構成として、図2のように、転炉1の炉体下
部に炉底電極25を埋設している。この電極25を、上
記した上部電極20と対になる電極(+極)とし、これ
に接触する炉内の鉄材料と上部電極20との間でアーク
を発生させるためである。この電極25も銅合金等によ
って形成し、炉体外壁に沿わせた水配管を介して冷却水
を循環させるよう構成する。電極25には受電用接続端
子26を一体化し、当該端子26を炉体の外側に露出さ
せる。
【0029】さらに、第三の構成として、上記の炉底電
極25を電源につなぐため、図2等に示す給電台車30
を新設した。給電台車30は、車輪を介してレール6上
を移動可能な走行フレーム33の上に、上記した転炉1
上の受電用接続端子26に対して着脱自在な給電用接続
端子31を搭載したものである。給電用のその接続端子
31は、レール6に沿った走行フレーム33の移動によ
って、転炉1から離れた遠隔位置(図1の位置、または
図2における仮想線の位置)と炉体直下の位置(図2中
の実線の位置)との間で移動することができ、また、フ
レーム33上で端子31を支えるパンタグラフ型のリン
ク機構32の伸縮作用により、下方の退避レベル(図2
における仮想線の位置)から上方にある受電用接続端子
26との結合レベル(図2における実線の位置)にまで
上昇し、また逆に下降することができる。そしてこの給
電用接続端子31には、可撓性のある配線手段でありレ
ール6に沿った同端子31の水平移動を許容するケーブ
ルベア(登録商標)35と、同様に可撓性をもつ配線手
段であって端子31の上下への昇降を許容するケーブル
ベア36とを介して、固定配置された電源中継盤34を
接続している。給電台車30中の給電用接続端子31を
結合レベルにまで上昇させて、転炉1の受電用接続端子
26に結合した状態(図2の実線または図3の状態)で
は、炉底電極25に電源が接続されていることになり、
端子26から端子31を離したときには(図2の仮想線
など)電源が分離されたことになる。
【0030】なお、パンタグラフ型のリンク機構32
は、ストロークの短い駆動源の動作を増幅させることに
より、給電用接続端子31に大きなストロークの昇降変
位をさせ得る機構である。図に例示したリンク機構32
は、3組の平行リンクを使用したものであるため、油圧
シリンダー(図示せず)等の駆動源によってたとえば最
下部のリンクの上端(図2中の点X)に一定の上向き変
位を与えると、最上部のリンクの上端(図2中の点Y)
には上向きにその3倍の変位をさせることができる。リ
ンク機構32によってこのように変位量を拡大できるの
で、給電台車30は、給電用接続端子31が退避レベル
にあるときの状態をコンパクトなものにしながらも、そ
の端子31を、高い位置にある受電用接続端子26と結
合するレベルにまで無理なく到達させることができる。
【0031】給電台車30を上記のように水平に移動す
るためのレール6としては、転炉1から溶鋼を運び出す
ための受鋼鍋(図示せず)の走行軌道を利用している。
当該受鋼鍋は、精錬ずみの溶鋼を受けて連続鋳造機など
下流側設備へ運ぶべく、受鋼台車(図示せず)に載って
炉体直下から下流側設備にまで軌道上を走行する。受鋼
鍋の走行用に敷設されているそのような軌道を、当該走
行方向と反対側へ炉体真下から少し延長することによ
り、給電台車30用のレール6としたのである。転炉1
を電気炉として使用し炉内にアークを発生させる際に
は、給電台車30を炉体直下に位置させて端子31・2
6間を結合させるが、直ちに出鋼することがないので受
鋼鍋が炉体直下に搬入されることはない。一方、転炉1
を通常どおり転炉として使用する際には、出鋼が近づい
た適当な時期に受鋼鍋を炉体直下に搬入するが、給電台
車30については使用機会がないので遠隔位置に退避さ
せておく。したがって、上記のように共用するレール6
は、給電台車30と受鋼鍋との双方によって円滑に使い
分けることができる。
【0032】以上に説明した電気炉兼用型転炉1は、1
基ではありながら、通常どおり転炉として使用できるこ
とに加えアーク炉としても使用できるため、つぎのよう
な操業が可能である。すなわち、原料としてスクラップ
を装入し、それを溶解して溶融金属にする電気炉的な使
用を行い、のちにその溶融金属に対して酸素吹錬を行
う、といった使用ができる。スクラップに代えて(また
はスクラップとともに)冷銑や直還鉄、アイアンカーバ
イドなどを原料として装入し同様の運転をすることも容
易である。もちろん、高炉や溶融還元炉で生産した溶銑
を炉内に装入し、電気炉的な使用をせずに酸素吹錬を行
って溶鋼を得る、といった使用も可能である。したがっ
て、上記の電気炉兼用型転炉1によれば、原料の種類に
かかわらずつねに良質の金属を得ることができるほか、
原料(スクラップや溶銑等)の入手の容易さ(品質・価
格)等に応じて適宜に金属生産の方法を選択し、もって
コスト上のメリットを得ることができる。
【0033】
【発明の効果】請求項1に記載した電気炉兼用型転炉
は、通常の転炉として使用できるほか電気炉としても使
用することができる。それに関し、炉体上部を何ら組み
換え等する必要がないうえ、炉内発生ガスを処理設備に
送るためのフードや煙道も交換・移動等せずに、フード
等に形成した一つの挿通孔に上方からランスと電極を交
互に通すことによって容易に転炉・電気炉間の切り換え
を行える。そのような切り換えを容易かつ迅速に行える
ことから、2基を併設しておく必要がなく、したがって
設備コストやスペース上のメリットがある。共用できる
部分が多いので設備コストが抑えられること、また、従
来型の転炉に電極等を付加するだけで足りるので既設設
備の一部改造によって簡単に構成できることでも有利で
ある。
【0034】請求項2に記載した電気炉兼用型転炉は、
炉内材料の加熱手段への給電用接続端子を炉体に対して
着脱し遠隔位置まで移動できるように配置したので、電
気炉として使用する際の給電用手段が転炉としての炉体
の傾動を妨げることがない。また、同じ理由により、給
電の手段が溶鋼を浴びたりその熱を受けたりする不都合
も生じない。炉内材料の加熱手段を炉体に設けることに
よって上方(外部)からの給電箇所を減らす(またはな
くす)ことができるので、転炉として使用する際の炉体
上部を全く交換しなくても電気炉として使用できる構成
をとることも可能である。
【0035】請求項3に記載の電気炉兼用型転炉なら、
上記給電用接続端子を、炉体下方の位置とそれより離れ
た遠隔位置との間で移動することを簡単かつ円滑に行え
る。受鋼容器の移動用に敷設された軌道を当該端子の移
動に利用するので、設備的なコストも節約できる。しか
も、同じ軌道を円滑に使い分けることが可能である。
【0036】請求項4に記載の電気炉兼用型転炉なら、
とくに、上記給電用接続端子をパンタグラフ型リンク機
構の上部に設けるので、小型の駆動源を使用しながらも
上下方向への給電用接続端子の移動ストロークを大きく
とることができ、同端子を好適に移動することができ
る。
【0037】請求項5に記載の電気炉兼用型転炉なら、
請求項2〜4の転炉による効果に加えて請求項1の転炉
による効果ももたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施に関する一形態を示す図である。図
1は、電気炉兼用型転炉1とその周辺に関する全体的な
斜視図であり、通常の転炉として使用する状態を示す。
【図2】電気炉として使用する場合の電気炉兼用型転炉
1を示す側面図(傾動軸2aに沿う方向から見た図)で
ある。
【図3】電気炉として使用する場合の電気炉兼用型転炉
1を示す正面図(傾動軸2aと直角な方向から見た図)
である。
【図4】電気炉としても使用可能な従来の転炉に関する
縦断面図であり、図4(a)は転炉として使用する状態
を示し、同(b)は電気炉として使用する状態を示す。
【符号の説明】
1 電気炉兼用型転炉 6 レール(軌道) 10 ランス 20 (上部)電極 25 (炉底)電極 26 受電用接続端子 30 給電台車 31 給電用接続端子 32 パンタグラフ型リンク機構
フロントページの続き Fターム(参考) 4K002 BF01 4K045 AA04 AA05 BA02 RA02 RB02 RB08 RB16 RC04 RC18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉体上方から酸素吹錬用のランスを挿入
    されるとともに、当該ランスに代えて1本の電極が挿入
    され得るように配置され、 上記の電極とともに炉内材料加熱用電力を供給するため
    の電極が、炉体下部に設けられていることを特徴とする
    電気炉兼用型転炉。
  2. 【請求項2】 炉内材料の加熱手段を炉体に備え、その
    加熱用電力の受電用接続端子が炉体下部の外側に付設さ
    れ、 給電手段に接続された給電用接続端子が、遠隔位置と炉
    体下方の位置との間で移動でき、かつ上記の受電用接続
    端子に対して着脱自在であるように配置されていること
    を特徴とする電気炉兼用型転炉。
  3. 【請求項3】 上記の給電用接続端子が、転炉用受鋼容
    器の走行軌道上を移動する台車上に配置されていること
    を特徴とする請求項2に記載の電気炉兼用型転炉。
  4. 【請求項4】 上記の給電用接続端子が、上下への伸縮
    が可能なパンタグラフ型リンク機構の上部に設けられて
    上記の台車上に配置されていることを特徴とする請求項
    3に記載の電気炉兼用型転炉。
  5. 【請求項5】 炉体上方から酸素吹錬用のランスを挿入
    されるとともに、当該ランスに代えて1本の電極が挿入
    され得るように構成され、上記の電極とともに炉内材料
    加熱用電力を供給するための電極が炉体下部に設けられ
    ていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載
    の電気炉兼用型転炉。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005045341A1 (ja) * 2003-11-05 2005-05-19 Anzai, Setsu 電気溶融炉用電極移動に伴なう金属導電体の移動方式
CN107419053A (zh) * 2017-06-27 2017-12-01 马鞍山市鑫龙特钢有限公司 一种炼钢转炉用漏钢防爆装置
CN112626303A (zh) * 2020-12-03 2021-04-09 马鞍山瑞恒精密制造有限公司 一种可横竖安装的转炉控流机构

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