JP3549813B2 - 高周波電磁波検出システム及び高周波電磁波検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波電磁波の検出システム及び検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ミリ波帯域の電気信号や放射電磁波を検出する場合は、超短パルスレーザと電気光学結晶を用いた電気光学サンプリング(Electro−0pticSampling:以下、EOS)と呼ばれる方法で検出するようにしている。ここで、「ミリ波」とは、本明細書ではマイクロ波からサブミリ波までを含めた広い周波数帯にわたる高周波電磁波のことを表している。
【0003】
前記EOSを使ってIC(集積回路)を流れるミリ波電気信号を測定した報告は、例えば文献1(K.J.Weingarten et al :“Picosecond Optical Sampling ofGaAs Integrated Circuits”,IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol.24,No.2, 1988, pp.198−220)などに詳細が述べられている。また、前記EOSを使って放射電磁波を検出した報告は、例えば文献2(Q.Wu et al.:“Free electro−optic sampling of terahertz beams”, Applied Physics Letters, Vol.67, 1995, p.3523−3525)などに述べられている。
【0004】
図4は、上記に挙げた文献に報告されているEOSを適用したシステムの基本的な構成を示すもので、空間を伝播するミリ波をEOSで検出する際の基本的な構成を示すものである。
図4において、11は周波数f0 の正弦波電気信号を発生する信号発生器、12は信号発生器11の発生する電気信号を入力して光パルスを発生するパルスレーザ、13は鏡(ミラー)13A〜13Cからなりパルスレーザ12からの光パルスを遅延する光遅延器、14はミリ波源、15は周波数fmod の正弦波電気信号を発生する信号発生器、16はミリ波源14からの信号を信号発生器15からの変調周波数fmod の電気信号で変調する変調器、17は変調器からの変調信号を入力してミリ波として出力するアンテナである。
【0005】
また、18は光遅延器13からの光信号を反射する鏡(ミラー)、19は電気光学結晶部材、20は中間光量点で動作するように調整されている補償板、21は偏光ビームスプリッタ(PBS)、22は光信号を検出して電気信号に変換する光検出器、23は光検出器22からの電気信号を増幅して被測定信号として出力する増幅器、24は増幅器23からの被測定信号を信号発生器15からの参照信号に基づき解析するロックインアンプ又はスペクトラムアナライザである。
【0006】
次に以上のように構成された高周波電磁波検出システムの動作を説明する。
ミリ波源14から発生するミリ波周波数と、パルスレーザ12が発生する光パルスの繰り返し周波数(即ち信号発生器11の出力周波数)は、図4に示すように同期させなければならない。ミリ波源14から発生したミリ波は、光検出器22が応答可能になるように十分低い変調周波数fmod で変調器16により強度変調を受けた後に、アンテナ17から放射され、鏡(ミリ波を透過する材質でできている)18を透過して電気光学結晶部材19に入射する。
【0007】
一方、パルスレーザ12からの光パルスは光遅延器13を通過し、鏡18で反射された後で電気光学結晶部材19に入射する。ただし、電気光学結晶部材19に入射する光パルスは、その電界の振動方向が例えば紙面に垂直な直線偏光(S偏光)であるとする。なお、S偏光と独立しS偏光面と直角な直線偏光をP偏光という。前記EOSでは、ミリ波の瞬時電界をサンプリングするために、光パルスのパルス幅はミリ波周期に比べて十分狭くする必要がある。
【0008】
アンテナ17からのミリ波と、パルスレーザ12から出力され光遅延器13を経由した光パルスは電気光学結晶部材19中をほぼ同じ速度で進むが、この時に光パルスはミリ波の瞬時電界振幅に応じて偏光変化を受ける。偏光変化を受けた光は補償板20を通過し、更に偏光ビームスプリッタ21によって強度変化を受けた光に変換される。ここで、強度変化を受けたP偏光成分の光を光検出器22により電気信号に変換し、増幅器23で増幅のうえロックインアンプ又はスペクトラムアナライザ24へ被測定信号として出力する。また、信号発生器15から変調周波数fmod の電気信号を参照信号としてロックインアンプ又はスペクトラムアナライザ24へ出力する。ロックインアンプ又はスペクトラムアナライザ24では、光検出器22により検出された被測定信号から変調周波数fmod の成分を抽出することにより、ミリ波電界の測定が可能となる。
【0009】
一般には、偏光ビームスプリッタ21で反射されたS偏光成分を検出することによっても、ミリ波電界の測定は可能である。ミリ波の波形を測定するためには、光遅延器13を走査する必要がある。なお、光パルスの繰り返し周波数をf0 とした場合ミリ波源14から発生する正弦波ミリ波の周波数をN×f0 とする。ここで、Nは自然数である。
【0010】
図5は、サンプリングの様子をN=2の場合について示したものである。横軸は時間軸であり、図中の正弦波はミリ波の電界波形を表す。ここで、図5中の符号▲1▼は光遅延器13の長さ(遅延量)をある値(X1 )に固定した場合におけるミリ波と光パルス列の関係を表している。このとき光パルスは、ミリ波のある位相における瞬時電界をサンプリングし続けるので、光検出器22が検出する光量は、この位相におけるミリ波瞬時電界振幅に対応した一定の値である。
【0011】
また、図5中の符号▲2▼〜▲5▼は、光遅延器の遅延量をそれぞれX2 〜X5 まで変化させた場合のサンプリングの様子を示したものである。光遅延器の遅延量を変えると、光パルスはミリ波の異なる位相点における瞬時電界をサンプリングするのがわかる。この時も光検出器22では、それぞれ遅延量X2 〜X5 の位相点におけるミリ波瞬時電界振幅に対応した強度の光が観測される。光遅延器13の遅延量をゆっくりと走査しながら、光量(変調周波数成分fmod )の変化を測定すれば、ミリ波の電界振幅波形を知ることができる。
【0012】
光検出器22が検出する光量は、電気光学結晶部材19中に誘起された電界に比例しているのが望ましい。図4では、電気光学結晶部材19と偏光ビームスプリッタ21の間に補償板20が挿入されているが、この補償板20を適当に調整することで検出光量の線型性が補償される。光の偏光変化は、P偏光成分とS偏光成分の間に位相差が生じることによって起こる。一般には、電気光学結晶部材19に対してミリ波などによる印加電界が全く加わらない場合でも、PおよびS偏光成分の間に位相差が生じる。この位相差のことをSR(Static Retardation)と呼ぶ。
【0013】
ここで、前記位相差SRをΓ0 とする。さらに、ミリ波などに起因する印加電界Aが加わった場合には印加電界Aがあまり大きくなければ、印加電界Aに比例する位相差が生じる。よって、電界Aによって生じた位相差をΔΓとすると、ΔΓ=kAと表せる。ここで、kは電気光学結晶部材19の性質に依存する定数である。また、補償板20によっても位相差が生じるので、補償板20による寄与を、ΓC とする。そこで、全位相差をΓとすると、
となる。
【0014】
図4において、光検出器22に入射する光の強度(つまりP偏光成分の強度)を位相差Γの関数として表すと、次式のようになる。
これをグラフで示すと、図6のようになる。
【0015】
図6のグラフを参照すると、中間光量点付近でミリ波を検出することにより、ミリ波電界に比例した信号が得られるのがわかる。そこで補償板によってΓC を調整し、
Γ0 +ΓC =π/2 (5)
を満たすようにすると、
となり、ミリ波電界が|kA|<<π/2を満たす範囲であれば、確かにミリ波の電界Aに比例してP偏光強度が変化する。
【0016】
このように、従来のシステムは、光検出器22によって検出される光量が、電気光学結晶部材19中に誘起された電界Aに比例するように、補償板20を調整して図6における中間光量点付近でミリ波信号を検出するようにしている。
実際には周波数fmod でミリ波に強度変調をかけるので、(7)式の右辺第2項は変調周波数成分になり、次式のように表すことができる。
P(Γ)=1+kAcos2πfmodt (8)
したがって、ロックインアンプ又はスペクトラムアナライザ24により、変調周波数成分のみを抽出すれば、電界Aに比例する信号を検出することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従来の高周波電磁波検出システムでは、ミリ波の周期に対してパルス幅が十分細くかつ安定なパルスレーザが不可欠であるという問題があった。即ち、例えばミリ波帯の電磁波を検出するためにはフェムト秒オーダのパルスレーザが必要であり、このような超短パルスレーザは高価であるとともに、安定に動作させることが困難であるという課題があった。
したがって、本発明は、高周波電磁波を検出するシステムを安価に構成するとともに、システムを安定に動作させることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明は、連続発光するレーザ光を示すCWレーザ光を発生するCWレーザと、信号源、信号発生器、変調器及びアンテナからなり、変調器は信号源から発生された高周波電磁波信号を信号発生器からの角周波数ω mod を有する電気信号により変調しアンテナから強度変調された高周波電磁波を出力する高周波電磁波出力部と、CWレーザから出射されたCWレーザ光の偏光状態を変化させる機能を有する電気光学結晶部材と、電気光学結晶部材によって偏光変調されたCWレーザ光を入力して所定の偏光成分を出力する偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタによって出力された偏光成分を検出してこの偏光成分の強度変化量に応じた電気信号を出力する光検出器と、電気光学結晶部材と偏光ビームスプリッタ間に配設され、電気光学結晶部材から出射されたCWレーザ光を入力して偏光ビームスプリッタへ送出するとともに、高周波電磁波の電気光学結晶部材への無入力時に光検出器で検出されるCWレーザ光の光量を最小にする補償板と、光検出器によって出力された電気信号のうち、角周波数ω mod または角周波数2ω mod の成分を抽出することにより高周波電磁波を計測する計測部とを設けたものである。
また、電気光学結晶部材に入射されるCWレーザ光の経路と、電気光学結晶部材から出射されるCWレーザ光の経路とを同一の経路としたものである。
また、CWレーザ光を伝播する光ファイバ及びレンズを設けたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る高周波電磁波検出システムの第1の実施の形態を示すブロック図である。本システムは、図1に示すように、角周波数ωmmw の正弦波のミリ波を発生するミリ波帯発振器31と、角周波数ωmod の正弦波信号を発生する信号発生器(正弦波信号発生器)32と、ミリ波帯発振器31からのミリ波を信号発生器32からの角周波数ωmod の信号で変調する変調器33と、変調器33により変調されたミリ波を放射するアンテナ17と、鏡18と、電気光学結晶部材19と、補償板20と、偏光ビームスプリッタ21と、光検出器22と、増幅器23と、CWレーザ光(Continuous Wave;連続発光レーザ光)を発生するCWレーザ34と、ロックインアンプ又はスペクトラムアナライザなどの電気計測器35とからなる。
【0020】
次に、図1に示すシステムの動作について説明する。
ミリ波帯発振器31で発生した角周波数ωmmw のミリ波は、変調器33によって角周波数ωmod で強度変調を受けた後、アンテナ17から自由空間中に放射され、鏡18を透過してさらに電気光学結晶部材19に入射する。ただし、角周波数ωmod は、光検出器22のカットオフ角周波数ωC に比べて十分小さいとする。
【0021】
一方、CWレーザ34から出射したCWレーザ光(S偏光)は鏡18で反射された後に電気光学結晶部材19に入射する。電気光学結晶部材19中で偏光変化を受けたCWレーザ光は補償板20と偏光ビームスプリッタ21を透過した後に光検出器22で検出され、電気信号に変換されて信号処理される。
ここで、ミリ波の電界振幅をA0 とすると、変調器33によって強度変調されたミリ波の電界A(t)は次式で与えられる。
A(t)=(1+cosωmodt)/2・A0cosωmmwt (9)
【0022】
一方、CWレーザ光は電気光学結晶部材19中でミリ波によって偏光変化を受ける。偏光ビームスプリッタ21を通過したP偏光強度は、一般的には(9)式を前述の(4)式に代入することで得られる。ここで、パルス光を用いた従来の方法と同様に、前述の(5)式を満たすような中間光量点に補償板20を調整すると、偏光ビームスプリッタ21を通過したP偏光強度は、(9)式を(7)式に代入することで得られるので、次式で与えられる。
【0023】
【0024】
しかし、ωmmw >>ωC であるために、光検出器22では(10)式における電界A0 を含む周波数成分を検出することができない。よって前述の(5)式を満たすような従来の補償板20の調整では、CWレーザ光を使ってミリ波を検出することはできない。そこで、
Γ0 +ΓC =0 (11)
を満たすように補償板20を調整する。すわなち、電気光学結晶部材19にミリ波などの印加電界が加えられない時には、光検出器22に入射する光量(=P偏光の光量)が零(最小光量点)になるように補償板20を調整する。
【0025】
このとき前述の(4)式は次式のように表すことが可能となる。
【0026】
(9)式を(12)式に代入して展開すると、
となり、光検出器22が応答する低周波帯にも電界A0 を含む成分が存在することがわかる。
【0027】
ロックインアンプやスペクトラムアナライザやなど電気計測器35を用いれば、特定の周波数成分の振幅を検出できるので、角周波数ωmod 、または2ωmod の成分の振幅を検出することにより、電界A0 2に比例した信号を得ることができる。したがって、従来のようにミリ波の振幅に比例した信号ではなく、ミリ波のパワー(強度)に比例した信号を得ることができる。
【0028】
このようにこの高周波電磁波検出システムは、パルスレーザではなくCWレーザ光を光源として用いるようにしたので、高価な超短パルスレーザを用いずにシステムを安定に動作させることができる。
また、本システムでは、前記CWレーザ光が、電気光学結晶部材19内で被測定信号であるミリ波(高周波電磁波)によって偏光変化を受けるように構成するとともに、続いてこのミリ波により偏光変化を受けたCWレーザ光を、特定の位置(最小光量点)に調整した補償板20と偏光ビームスプリッタ21を使って、強度変化を受けた光に変換し、さらにこの強度変化を受けた光を光検出器22により検出することで、間接的にミリ波強度を測定するようにしたものである。
【0029】
電気光学効果を用いた従来のミリ波検出方法では、補償板20を使って光検出器22に入射する光量が全光量の半分(中間光量点)になるように調整することによってミリ波の信号を検出していたが、本実施の形態のように、光源としてパルスではなくCWレーザ光を用いた場合には、前記のように中間光量点を調整してもミリ波の信号を得ることはできない。そこで、従来の検出方法で用いられていた中間光量点ではなく、補償板20を調整して補償板20の動作点を最小光量点に設定することにより、CWレーザ光を用いてミリ波の強度に比例した検出を行うことができる。
【0030】
また、従来システムでは、ミリ波と光パルスの間で同期をとる必要があるため、インコヒーレントなミリ波(非干渉のミリ波)を検出することはできなかったが、本実施の形態ではインコヒーレントなミリ波を検出することができる。即ち、ミリ波がインコヒーレントな場合は(9)式は次のように表すことができる。
ただし、φ(t)は位相雑音を表す因子で、光検出器22の応答帯域に比べて高い周波数成分の雑音である。
【0031】
(14)式を(12)式に代入することにより(即ち、ωmmwtをωmmwt+φ(t)と置き換えることにより)、(13)式は次のように表すことができる。
【0032】
したがって、式(15)からわかるように、φ(t)の影響は高周波成分の項しか現れない。よって、インコヒーレントの場合は、コヒーレントな場合と同様(即ち、φ(t)=0)、ロックインアンプやスペクトラムアナライザなどを用いて第二項または第三項の周波数成分の振幅を検出すれば、電界A0 2に比例した信号を検出することができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、高周波電磁波検出システムの第2の実施の形態を示すブロック図である。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、角周波数ωmod で強度変調されたミリ波がアンテナ17から放射され、鏡18を透過して電気光学結晶部材19に入射する。ここで、鏡18はレーザ光を反射するものであり、ミリ波にとってはほとんど透明な材質である。
【0034】
一方、CWレーザ34から出射したP偏光は、偏光ビームスプリッタ21及び補償板20を透過した後に電気光学結晶部材19に入射する。そして、電気光学結晶部材19を透過したレーザ光は鏡18で反射され、ミリ波と同方向に電気光学結晶部材19を伝播する。
【0035】
この時にレーザ光はミリ波によって偏光変化を受ける。電気光学結晶部材19内で偏光変化を受けたレーザ光は再び補償板20を透過し、偏光ビームスプリッタ21でS偏光とP偏光に分離される。そして、分離されたS偏光を、第1の実施形態と同様に光検出器22で検出し、電気信号としたうえ増幅器23で増幅し被測定信号として電気計測器35へ出力する。
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に補償板20を使って最小光量点に調整することにより、ミリ波のパワー(強度)に比例した信号を得ることができる。
【0036】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図3は、高周波電磁波検出システムの第3の実施の形態を示すブロック図である。第3の実施の形態では、光信号の経路に光ファイバ36A〜36Cを設けるとともに、コリメートレンズ37A〜37Eを設けている点を除いては、第2の実施の形態と同様の構成である。
【0037】
光ファイバ36A〜36Cは、偏波面保存ファイバではないのでファイバ自身がP偏光とS偏光との間の位相差SRを持っていると考えることができる。しかし、第2の実施の形態と同様に、補償板20を使って最小光量点に調整することにより、ミリ波の強度に比例した信号を得ることができる。
【0038】
このように本高周波電磁波検出システムは、電気光学効果を使ったミリ波検出を、CWレーザ光を用いて可能にするものである。さらに、本高周波電磁波検出システムは、電気光学効果を使ったインコヒーレントミリ波の検出を可能にするものである。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、連続発光するレーザ光を示すCWレーザ光を発生するCWレーザと、強度変調された高周波電磁波を出力する高周波電磁波出力部と、CWレーザから入射したCWレーザ光を、高周波電磁波出力部から入力した高周波電磁波の強度に応じたCWレーザ光に偏光変化させて出射する電気光学結晶部材と、偏光変化したCWレーザ光を検出してこのCWレーザ光の偏光変化量に応じた電気信号に変換する光検出器と、電気光学結晶部材から出射されたCWレーザ光を入力して所定の偏光成分を光検出器へ出力する偏光ビームスプリッタとを備えるとともに、電気光学結晶部材と偏光ビームスプリッタ間に配設され電気光学結晶部材から出射されたCWレーザ光を入力して偏光ビームスプリッタへ出力する補償板を、高周波電磁波の電気光学結晶部材への無入力時にこの電気光学結晶部材から出射され偏光ビームスプリッタへ送出されるCWレーザ光の光量を最小光量とするように調整したので、超短パルスを発生する高価な超短パルスレーザ等を用いずに高周波電磁波の強度に比例した信号を容易かつ的確に検出することができ、したがって、高周波電磁波を検出するシステムを安価に構成できるとともに、システムを安定に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波電磁波検出システムの第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】上記高周波電磁波検出システムの第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】上記高周波電磁波検出システムの第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】従来の高周波電磁波検出システムの構成を示すブロック図である。
【図5】従来システムにおける高周波電磁波の検出タイミングを示すタイムチャートである。
【図6】従来システムにおける高周波電磁波の検出ポイントを示すグラフである。
【符号の説明】
17…アンテナ、18…鏡、19…電気光学結晶部材、20…補償板、21…偏光ビームスプリッタ、22…光検出器、23…増幅器、31…ミリ波帯発振器、32…正弦波信号発生器、33…変調器、34…CWレーザ、35…電気計測器、36A,36B,36C…光ファイバ、37A,37B,37C,37D,37E…コリメートレンズ。
Claims (6)
- 連続発光するレーザ光を示すCWレーザ光を発生するCWレーザと、
信号源、信号発生器、変調器及びアンテナからなり、前記変調器は前記信号源から発生された高周波電磁波信号を前記信号発生器からの角周波数ω mod を有する電気信号により変調し前記アンテナから強度変調された高周波電磁波として出力する高周波電磁波出力部と、
前記高周波電磁波出力部から出射された高周波電磁波の強度に応じて、前記CWレーザから出射されたCWレーザ光の偏光状態を変化させる機能を有する電気光学結晶部材と、
前記電気光学結晶部材によって偏光変調されたCWレーザ光を入力して所定の偏光成分を出力する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタによって出力された偏光成分を検出してこの偏光成分の強度変化量に応じた電気信号を出力する光検出器と、
電気光学結晶部材と偏光ビームスプリッタ間に配設され、電気光学結晶部材によって偏光変調されたCWレーザ光を入力して偏光ビームスプリッタへ送出するとともに、前記高周波電磁波の電気光学結晶部材への無入力時に光検出器で検出されるCWレーザ光の光量を最小にする補償板と、
前記光検出器によって出力された電気信号のうち、前記角周波数ω mod または角周波数2ω mod の成分を抽出することにより前記高周波電磁波を計測する計測部と
を備えたことを特徴とする高周波電磁波検出システム。 - 請求項1において、
前記電気光学結晶部材に入射されるCWレーザ光の経路と、前記電気光学結晶部材から出射されるCWレーザ光の経路とを同一の経路としたことを特徴とする高周波電磁波検出システム。 - 請求項2において、
前記CWレーザ光を伝播する光ファイバ及びレンズを備えたことを特徴とする高周波電磁波検出システム。 - 連続発光するレーザ光を示すCWレーザ光を発生するCWレーザと、信号源、信号発生器、変調器及びアンテナからなり、前記変調器は前記信号源から発生された高周波電磁波信号を前記信号発生器からの角周波数ω mod を有する電気信号により変調し前記アンテナから強度変調された高周波電磁波として出力する高周波電磁波出力部と、前記CWレーザ光及び高周波電磁波を入力してCWレーザ光を出射する電気光学結晶部材と、CWレーザ光を入力して所定の偏光成分を出力する偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタから出力されるCWレーザ光を検出して電気信号に変換する光検出器と、電気光学結晶部材から出射されたCWレーザ光を入力して偏光ビームスプリッタへ出力する補償板とからなるシステムにおける高周波電磁波検出方法であって、
前記高周波電磁波出力部から強度変調した高周波電磁波を出力させる第1のステップと、
前記CWレーザからのCWレーザ光を電気光学結晶部材に入射して前記高周波電磁波出力部からの高周波電磁波の強度に応じたCWレーザ光に偏光変化させる第2のステップと、
前記高周波電磁波の電気光学結晶部材への無入力時に、光検出器へ入射するCWレーザ光の光量が最小の光量となるように前記補償板を調整する第3のステップと、
前記電気光学結晶部材によって偏光変調されたCWレーザ光を、前記補償板及び偏光ビームスプリッタを介して前記光検出器に入射して、このCWレーザ光の所定の偏光成分の強度変化量に応じた電気信号を出力させる第4のステップと、
前記光検出器によって出力された電気信号のうち、前記角周波数ω mod または角周波数2ω mod の成分を抽出することにより前記高周波電磁波を計測する第5のステップと
を有することを特徴とする高周波電磁波検出方法。 - 請求項4において、
電気光学結晶部材へ入射するCWレーザ光の経路と、前記電気光学結晶部材から出射するCWレーザ光の経路とを同一の経路にしたことを特徴とする高周波電磁波検出方法。 - 請求項5において、
前記CWレーザ光を光ファイバ及びレンズを介して伝播することを特徴とする高周波電磁波検出方法。
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