JP3549754B2 - 鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造 - Google Patents

鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼・コンクリート複合トラス橋梁などにおける鋼・コンクリート複合構造物の格点構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
橋梁における施工の合理化、工期の短縮、コストの削減を図るため、従来より主桁自重の軽減化、例えば、主桁を鋼とコンクリートの複合構造とすることや、ウエブに鋼材を用い、主桁自重の大幅な軽量化を行うことがなされている。
【0003】
ここでPC箱桁橋のウェブをトラス構造とした例をもとに具体的に説明すると、図8は外ケーブル3と内ケーブル4とによるPC橋梁1の主桁2の上側床版5と下側床版6を棒状部材7で結合したトラスウエブ構造による主桁を示している。
【0004】
このような鋼・コンクリート複合トラス橋梁での接合方法としては、従来行われているような、鋳鋼埋設やボルト接合等による鋼材主体の接合方法や高強度鉄筋等を利用した鉄筋コンクリート主体の接合方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鋼材主体の接合方法では使用鋼材が多くなり、また、据え付け精度を確保するために施工手間が増えることからコストが高くなる。一方、コンクリート主体の接合方法では配筋が密になり、格点部の寸法も大きくなるため設計上の制約やコストの上昇が避けられない。
【0006】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、鋼材量が少なく、かつ、小型の格点構造とすることができ、施工性もよく、安価に施工できる鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、床版内に埋設した、棒状部材の挿入面が矩形に開口する鋼製ボックスの内部に、引張側及び圧縮側の棒状部材を挿入して、これら棒状部材と鋼製ボックスをコンクリートで一体化したこと、第2に、鋼製ボックスはコンクリートとのせん断力伝達性能を向上させるスタットジベル、穴あき鋼板ジベル等の異形加工を施すこと、第3に、鋼製ボックスに挿入される圧縮側の棒状部材の周面にジベルを形成することを要旨とするものである。
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、棒状部材を鋼製ボックスに挿入した状態で両者をコンクリートにより一体化するため、鋼製ボックスと棒状部材が相互に両者を囲むコンクリートを拘束する結果となる。これによりコンクリートの強度・靱性・剛性が強化され、棒状部材に生じる軸力が効果的にコンクリートに伝達できる。
【0009】
また、鋼製ボックスに設ける底板と棒状部材の端部を溶接またはボルト止め等で結合するため、棒状部材に生じる特に引張り応力を構造系全体に効率的に伝達できる。
【0010】
請求項2記載の本発明によれば、構造系を構成するコンクリートとの付着力を増大する異形加工を鋼製ボックスに施すことにより、両者間の応力伝達、特にせん断力の伝達効率が向上できる。
【0011】
請求項3記載の本発明によれば、鋼製ボックス内に挿入する棒状部材端部にジベルを設けるため、鋼製ボックス内のコンクリートと棒状部材との付着力が向上し、棒状部材に生ずる軸力を効率的に構造系全体に伝達できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造の1実施形態を示す縦断側面図、図2は同上要部の平面図である。
【0013】
鋼・コンクリートの複合トラス橋梁は前記図8について説明した通りであり、PC箱桁橋の主桁2のウェブにトラスを用いた構造としたもので、PC橋梁1の主桁2を上側床版5と下側底版6とを棒状部材7a,7bで結合したトラスウエブ構造による箱桁とする。
【0014】
かかる鋼管10による棒状部材7a,7bは棒状部材7aが引張側の斜材、棒状部材7bが圧縮側の斜材となるが、引張斜材である棒状部材7aの先端を挿入面を矩形に開口する鋼製ボックス8に差し入れ、両者をコンクリートで一体化する。
【0015】
この鋼製ボックス8は底面プレート8bを設け、該底面プレート8bに棒状部材7aを溶接あるいはボルト止めなどにより結合する
【0016】
鋼管10は円管以外の矩形断面のものや、H型、I型の各種型鋼を用いてもよい。さらに棒状部材7a,7bの材質については、コンクリート製、鉄筋コンクリート製、プレストレスコンクリート製等、設計に最適な材料を選択できる。
【0017】
コンクリートへのせん断伝達性能を向上するために、鋼製ボックス8に異形加工を設けるが、この異形加工には、スタットジベル、穴あき鋼板ジベル等種々の方法が考えられる。
【0018】
本実施形態の前記鋼製ボックス8は、図3〜図5に示すようにボックスの側面の板に孔あけ加工を行い円形孔8aを多数設け、上面開放で下方にすぼまる側面台形状の箱体とした。
【0019】
鋼製ボックス8の形状はこれに限定されず、上面に棒状部材7a,7bが挿入する開放面があればよい。鋼製ボックス8に設ける孔の形状としては円形以外にもスリット状等多数のものがあり、孔あけの結果、鋼製ボックス8の表裏面に存在するコンクリートが連通すればよい。これによりトラス構造の下側床版6および上側床版5の断面内に生ずるせん断力を効率よく構造系全体に伝達することが可能となる。
【0020】
圧縮斜材である棒状部材7bの端部にはジベルを設置する。このジベル設置の方法はスタットジベルを設ける等種々あるが、ここでは鋼管10の内周の軸方向とほぼ直交する方向に鉄筋11を溶接して形成した。
【0021】
一般に、小径の鋼管内周面に多数のジベルを設けるとジベル間隔が密となり場合により施工に不都合が生ずることがあるが、この様に鋼管10の軸方向とほぼ直交する方向に鉄筋11を溶接すると、合理的な間隔を保ってせん断力を伝達する部材となる。
【0022】
さらに棒状部材7bの先端に鉄筋継手12を溶接して、その先端部は棒状部材7bの先端よりも突出させた。これは圧縮材に引張力が生じた場合に急激な破壊を起こさないためである。
【0023】
また、他の実施形態として棒状部材7bのジベルとしては、図6、図7に示すように鋼管10の軸方向に穴あき鋼板14をリブ状に溶接する方法もある。
【0024】
主桁2の上側床版5と下側床版6を構成するコンクリート内に前記鋼製ボックス8を取付けた引張斜材である棒状部材7aの先端を埋込み、その際、圧縮斜材である棒状部材7bの先端もこの鋼製ボックス8内に挿入する。
【0025】
そして、前記上側床版5と下側床版6を構成するコンクリート13を圧縮斜材である棒状部材7bの先端内部にまで充填する。図中9は底版6や床版5を構成する主筋(下端筋、上端筋)である。
【0026】
図1や図6では下端筋、上端筋の主筋9の位置は鋼製ボックス8の上下に位置した場合を示したが、鋼製ボックス8が大きく、主筋9がこの鋼製ボックス8に当たるような位置にある場合は、これら主筋9は鋼製ボックス8に横方向のスリットを設け、このスリットに主筋9を通して鋼製ボックス8を貫通するようにしてもよい。
【0027】
このようにして引張斜材である棒状部材7aに作用する引張力は、コンクリート内に設けられた鋼製のボックス8と接続することによって、鋼製のボックス8の底面プレート8bからコンクリートに伝達される。また、同時に圧縮斜材である棒状部材7bからコンクリートに力が伝達される。
【0028】
この二つの力は圧縮強度の大きいコンクリートに圧縮力として伝達されるため、鋼主体の構造に比べて鋼材量が少なく、コンクリート主体の構造に比べて小型の格点部とすることができる。
【0029】
また、圧縮力が作用するコンクリートは鋼製ボックス8に囲まれているため、コンクリートが拘束され、コンクリートの強度増加が期待できる。
【0030】
前記実施形態はPC箱桁橋の主桁2のウェブにトラスを用いた構造とした場合の下側床版6について説明したが、上側床版5側についても鋼製ボックス8を埋設することにより本発明構造の実施が可能である。
【0031】
さらに、PC箱桁橋以外でも本発明は適用でき、例えばスラブと柱部材などの格点構造で棒状部材7a,7bが柱部材に該当する場合など同様に実施できる。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造は、下記の効果を有するものである。
【0033】
棒状部材に生ずる軸力は圧縮・引張りともに 鋼製ボックスが拘束することにより、その強度、靱性、剛性が増大されたコンクリートに伝達される。
【0034】
また、棒状部材端部を 鋼製ボックスの底板に溶接、またはボルト止め等で結合すること、および棒状部材に端部にジベルを形成することにより、棒状部材と鋼製ボックスの間、および棒状部材と鋼製ボックスが拘束するコンクリート間の応力伝達が一層確実なものとなる。さらに、鋼製ボックスに設けた異形加工により 鋼製ボックスとコンクリート間のせん断力の伝達も良好となる。
【0035】
その結果、鋼材量が少なく、かつ、小型の格点構造とすることができ、施工性もよく、安価に施工できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造の1実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図2】本発明の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造の1実施形態を示す要部の平面図である。
【図3】鋼製のボックスの平面図である。
【図4】鋼製のボックスの縦断正面図である。
【図5】鋼製のボックスの側面図である。
【図6】本発明の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図7】本発明の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造の他の実施形態を示す棒状部材の横断平面図である。
【図8】PC箱桁橋で鋼・コンクリート複合構造物の格点構造を用いた例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…PC橋梁 2…主桁
3…外ケーブル 4…内ケーブル
5…上側床版 6…下側底版
7,7a,7b…棒状部材 8…鋼製ボックス
8a…円形孔 8b…底面プレート
9…主筋 10…鋼管
11…鉄筋 12…鉄筋継手
13…コンクリート 14…穴あき鋼板

Claims (3)

  1. 床版内に埋設した、棒状部材の挿入面が矩形に開口する鋼製ボックスの内部に、引張側及び圧縮側の棒状部材を挿入して、これら棒状部材と鋼製ボックスをコンクリートで一体化したことを特徴とする鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造。
  2. 鋼製ボックスはコンクリートとのせん断力伝達性能を向上させるスタットジベル、穴あき鋼板ジベル等の異形加工を施す請求項1記載の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造。
  3. 鋼製ボックスに挿入される棒状部材の周面にジベルを形成する請求項1または請求項2のいずれかに記載の鋼・コンクリート複合トラス構造物の格点構造。
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