JP3549202B2 - 内皮細胞成長因子、その分離および発現 - Google Patents

内皮細胞成長因子、その分離および発現 Download PDF

Info

Publication number
JP3549202B2
JP3549202B2 JP50705690A JP50705690A JP3549202B2 JP 3549202 B2 JP3549202 B2 JP 3549202B2 JP 50705690 A JP50705690 A JP 50705690A JP 50705690 A JP50705690 A JP 50705690A JP 3549202 B2 JP3549202 B2 JP 3549202B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
growth factor
cells
endothelial cell
cell growth
factor composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP50705690A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04504262A (ja
Inventor
ナポローネ フェラーラ
デニス ゴスポダロヴィッツ
ジェーン プロウト
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA
Original Assignee
THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA filed Critical THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA
Publication of JPH04504262A publication Critical patent/JPH04504262A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3549202B2 publication Critical patent/JP3549202B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/02Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

発明の分野
本発明は、培養されたウシの下垂体小胞細胞およびネズミの腫瘍細胞の培地条件において同定された脈管内皮細胞に対する新規な成長因子に関するものである。また、本発明はこの成長因子の分離、精製およびクローニングに関するものである。
課題および関連する技術分野の説明
以下に記載した括弧内の参照数字については後述の参考資料セクションに列挙した刊行物を参照されたい。
脈管形成は多段階現象であって、この現象は毛細管(capillary)内皮細胞の増殖、移動および組織浸潤を包含する(1)。脈管形成は胎児の発育、傷の治癒、アテローム性動脈硬化および腫瘍の成長のような種々の生理的および病理的なプロセスにおいて中心的な役割を演じている(1,2)。脈管形成を誘発するいくつかの因子が最近になって分離され、特徴付けられている。これらの因子として酸形態または塩基形態の繊維芽細胞成長因子(FGF)があり、これらは両方と毛細管内皮のインビトロ成長を刺激することができ、またこの細胞タイプに対して化学走性である(2)。さらに、酸性およびアルカリ性のFGFは、コラゲナーゼ活性およびプラスミノゲン活性化剤の生成を刺激するが、プラスミノゲン抑制剤の活性を阻害する(3,4)。これらの酵素は毛細管基底膜の破壊に関係し、これは脈管形成が生起するのに必要である(1)。腫瘍壊死因子アルファー(TNFα)、形質転換(transforming)成長因子ベーター(TGFβ)、形質転換成長因子α(TGFα)、および表皮成長因子(EGF)もインビボ脈管形成性を有する(5−8)。しかし、高濃度のTGFαおよびEGF(7)を除けば、これらの成長因子は毛細管内皮細胞に対して有糸分裂促進性を有しておらず(5,6);従って脈管形成に対するこれらの成長因子の作用は恐らく間接的であって、化学走性(9,10)によるマクロファージの吸引のような活性から生じ、次いでマクロファージは直接脈管形成因子を放出し、この因子の一つが塩基性FGFであることがある(11)。
酸性または塩基性のFGF、PDGFおよびEGFのようないくつかの成長因子はいくつかの細胞タイプに対して広く有糸分裂促進性を有する。この広い有糸分裂促進性は、数多いタイプの傷治癒への適用において望ましい。しかし、細胞に特異的な有糸分裂促進活性の一層大きい成長因子を使用するのが一層望ましい特定のタイプの傷治癒への適用がある。例えば脈管移植手術またはバルーン(balloon)脈管形成術の後に、脈管内皮細胞に対して高度に特異的な有糸分裂促進活性を有する有糸分裂促進因子が組み込まれている傷治癒剤を使用するのが極めて望ましい。現在まで、このタイプの適用に極めて適当な有糸分裂促進因子は存在していない。
種々の組織における塩基性FGFの位置確認(localization)に関する本発明者等の研究の過程において、下垂体では星状小胞細胞がbFGFの主要な産生者であることが認められた(18)。これらの細胞によって調整した培地は毛細管内皮細胞に対して大きな有糸分裂促進性を有していることが分かったが、このなかにbFGFが存在している場合には有糸分裂促進性がほとんど認められず、従ってこれらはこれらの細胞がbFGFを合成するほかに別の内皮細胞促進物質を産生することができることを示唆する。しかし、今日まで、この有糸分裂促進活性は精製または特徴付けされていない。
関係ある技術分野
下記の刊行物はこの技術分野における背景技術として興味あるものである。
Figure 0003549202
Figure 0003549202
Figure 0003549202
Figure 0003549202
引用した参考資料および/または特許はすべて参考としてここに記載した。
ここではこれらの参考資料は括弧内に示されている。
既に発表された研究報告には、ウシの下垂体小胞細胞または星状小胞細胞(FC)の均一な集団の培養(20)について記載されており、次いでこれらの細胞をイオン輸送要素、場合によっては腺垂下体細胞のコード(cords)中の間質液のイオン組成およびオスモル濃度の調節に関連することのあるイオン輸送要素として特徴付けられている(41,42)。またFCが脈管形成性で有糸分裂促進性で塩基性の繊維芽細胞成長因子(bFGF)を産生することを報告している(17)。
bFGFの遺伝子(43)は、酸性繊維芽成長因子(aFGF)の遺伝子(13)と同様に、標準的分泌通路による蛋白質の細胞外輸送に必要な従来のシグナルペプチドに対する遺伝暗号を提供しない(44)。従って、この成長因子は培地において認められる程分泌されず(15,45)、応答する細胞タイプは、有意な細胞内濃度の有糸分裂促進物質を含有することがあるとしても、培養の際の最適増殖に対する外因性bFGFによって決まる(46,47,48)。
しかし、最初に観察されたのは、ウシの下垂体のFCで調整した培地が、副腎皮質から得られた毛細管内皮細胞に対して有糸分裂促進性を有していないことである。興味あることには、これらの細胞はbFGFまたはaFGFのいずれかに応答するが、EGF、TGFアルファー、FGFベーター、PDGF、インシュリンまたはTNFによって刺激されて増殖することはない(2)。本発明者等は、これらの観察結果から、内皮細胞成長因子がFGFとは異なる可能性があり、場合によっては培養したFCが他の既知の成長因子を分泌する可能性があると考えるに至った。
本発明はこのような新規な成長因子の精製および生物学的特徴付けについて言及する。この新規な成長因子の独特なN−末端アミノ酸配列、ならびに脈管内皮細胞に対するその特異性は、この新規な成長因子を前述の成長因子と区別する。
発明の概要
本発明においては、新規な成長因子を分離された形態で、すなわちこの成長因子がインビボ産生される際に固有の(native)分子に通常伴われる不純物を伴っていない形態で提供する。本発明の成長因子は、最初ウシの星状小胞細胞から分離されたので、ここに前記成長因子を「星状小胞から得た内皮細胞成長因子」(FSdGF)と称するか、あるいは「脈管内皮成長因子」(VEGF)と称する。しかし、これらの用語は蛋白質をその供給源または産生方法とは無関係に包含するものとする。例えば、本発明において分離された形態で提供されるFSdGFは、蛋白質を暗号化するクローニングされたDNA配列を分離する手段を提供するので、組換えDNA技術の既知方法を使用してこれを商業的規模の量で製造することができる。なお、種によってアミノ酸配列に小変動が生じることがあり、この変動は蛋白質の有用な活性に有意な影響を及ぼさないことが知られているが、ここにFSdGFとは、ウシ以外の種によって産生される対応する蛋白質、例えばヒトの蛋白質を包含するものとする。当業者は、ここに記載する物質および方法を使用して、蛋白質を暗号化するクローニングされたDNA配列を分離し、発現させることによって、例えば、対応するヒトの蛋白質を得ることができる。また、ここに「FSdGF」という用語の範囲内には、その生物学的に活性な断片、ならびにそのN−末端および/またはC−末端に延在していてここに記載したFSdGFの生物活性を定量的に保持しているバージョン(version)が包含される。ここに記載した方法を使用して分離したFSdGFの形態は明らかにグリコシル化されているが、大腸菌のようなある原核生物の宿主における組換え手段による蛋白質の産生は、一般的にグリコシル化された形態の蛋白質を精製しないこと、また生成するグリコシル化されていない形態のものは全く有用であることが多いことが知られている。従って、「FSdGF」とは、ここに記載されている生物活性を定量的に保持している場合には、グリコシル化された形態の分子およびグリコシル化されていない形態の分子を包含するものとする。
FSdGFは、非還元性条件下にSDSポリアクリルアミドゲルの電気泳動によって測定されるように、約43〜45kdの二量体蛋白質である。これは毛細管内皮細胞に対して細胞特異性の有糸分裂促進活性を示すと思われる。従って、FSdGFは、脈管系において内皮再形成(re−endothelialization)を促進するのが望ましい種々の傷治癒に適用した場合には、成長因子として使用できる。また、FSdGFは脈管移植手術およびバルーン脈管形成術の両方において有糸分裂促進物質として使用することができる。FSdGFのさらに他の適用は心筋梗塞に続く脈管の傷治癒の促進である。
本発明においては、調整した細胞培地から、硫酸アンモニウム沈殿の形成、ヘパリンセファロース・アフィニティークロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、および所要に応じて逆相高圧液体クロマトグラフィーの工程を含む方法によって、FSdGFを分離された形態で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、ウシのFS細胞によって調整した培地のヘパリンセファロース・アフィニティークロマトグラフィー(HSAC)の結果を示す。
図1Bは、バイオゲルP−60上における部分精製HSACフラクションのゲル排除クロマトグラフィーの結果を示す。
図1Cは、モノS上における生物活性バイオゲルP−60フラクションのクロマトグラフィーの結果を示す。
図2Aは、モノSで精製した生物活性フラクションの逆相HPLCの結果、およびFS細胞で調整した培地が種々の精製段階において低密度ACE細胞培養物の増殖を刺激する能力を比較した結果を示す。
図2Bは、FS細胞で調整した培地が種々の精製段階において低密度ACE細胞培養物の増殖を刺激する能力を比較した結果である。
図3は、RPC4HPLCによって精製した生物活性フラクションのNaDodSO4/PAGEである。
図4A、4Bおよび4Cは、それぞれHUE細胞(A)、ACE細胞(B)およびBHK−21細胞(C)の成長刺激能力を、ウシの垂下体から得たbFGFとFSdGFとの間で比較した結果である。
図5は、BCE細胞、顆粒膜細胞、副腎皮質細胞およびBALB/MK細胞の増殖刺激能力を、bFGFとFSdGFとの間で比較した結果である。
図6は、還元され/アルキル化され/リシンでブロックされたFEGFのスペクトルである。
図7は、新規な成長因子のトリプシン消化を示す記録である。
図8は、ウシの垂下体細胞の有糸分裂促進性の逆相性能液体クロマトグラフィーのグラフである。
図9Aおよび9Bは、先に示したHPLCグラフからの最大生物活性フラクションのNaDodSO4/PAGE(12.5アクリルアミド)分析の結果である。
図10は、副腎皮質から得た低密度内皮細胞の増殖を時間の関数として示すグラフである。
図11は、精製したVEGFの存在下における副腎皮質から得た毛細管内皮細胞のVEGF量に応答する成長曲線である。
図12は、異なる細胞タイプに及ぼすVEGFの影響を示すグラフである。
図13Aは、FS細胞で調整した培地のヘパリンセファロース・アフィニティークロマトグラフィー(HSAC)の結果を示す。
図18Bは、セファロースG/100上における部分精製したHSACフラクションのゲル排除クロマトグラフィーの結果を示す。
図13Cは、モノS上における生物活性バイオゲルP−60フラクションのクロマトグラフィーの結果を示す。
図13Dは、モノSで精製した生物活性フラクションの逆相HPLCの結果、および種々の精製段階においてFS細胞で調整した培地が低密度ACE細胞培養物の増殖を刺激する能力を比較した結果を示す。
図14は、RPC4HPLCによって精製した生物活性フラクションのNaDodSO4/PAGEである。
図15A、15Bおよび15Cは、それぞれHUE細胞(A)、ACE細胞(B)およびBHK−21細胞(C)の成長刺激能力を、マウスの垂下体から得たbFGFとFSdGFとの間で比較した結果である。
図16は、BCE細胞、顆粒膜細胞、副腎皮質細胞およびBALB/MK細胞の増殖刺激能力を、bFGFとマウス成長因子との間で比較した結果を示す。
図13〜16は成長因子供給源がネズミ(AtT20)である場合に関するものである。
発明の詳説
定 義
ここに使用したように、下記の略語は次の意味を有するものとする:
aFGF 酸性繊維芽細胞成長因子
bFGF 塩基性繊維芽細胞成長因子
PDGF 血小板から得た成長因子
TGFα 形質転換成長因子α
TGFβ 形質転換成長因子β
EGF 表皮成長因子
PDECGF 血小板から得た内皮細胞成長因子
FS 星状小胞細胞
FSdGF 星状小胞から得た成長因子
STV 0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.4)、0.9%NaCl、0.05%トリプシン、0.02%EDTA
CS 子ウシの血清
FCS ウシの胎児の血清
PBS リン酸塩緩衝剤を加えた食塩水
HSAC ヘパリンセファロース・アフィニティークロマトグラフィー
RP−HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
FPLC 迅速高圧液体クロマトグラフィー
ACE細胞 副腎皮質から得た毛管内皮細胞
HUE細胞 ヒトのヘソ内皮細胞
BCE細胞 ウシの角膜内皮細胞
RIA ラジオイムノアッセイ
BSA ウシの血清アルブミン
BHK21 ハムスターの乳児の腎臓から得た繊維芽細胞クローン21
NaDodSO4 ドデシル硫酸ナトリウム
PAGE ポリアクリルアミドゲルの電気泳動
MW 分子量
KDa キロドルトン
DMEM ダルベッコによって変性されたイーグル培地
材 料
バイオゲルP−60(登録商標)、バイオラッド蛋白質アッセイキット、硝酸銀染色キットおよびNaDodSO4/PAGF用低分子量標準物質はバイオラッド社(米国カリフォルニア州リッチモンド)から入手した。ヘパリンセファロース(登録商標)、コンカナバリンAセファロース、およびモノS(登録商標)カラムHR 5/5はファルマシア社(米国ニュージャージー州ピスキャタウェイ)から入手した。ヴィダック(Vydac)C4逆相カラムはセパレーショングループ社(米国カリフォルニア州ヘスペリア)から購入した。ダルベッコによって変性されたイーグル培地(DMEM)はグランドアイランド・バィオロジカル社(米国ニューヨーク州グランドアイランド)から入手した。STV(0.05%トリプシン、0.01Mリン酸ナトリウムpH7.3および0.02%EDTAを含有する食塩水)はディフコ社(米国ミシガン州デトロイト)から入手した。子ウシの血清(CS)およびウシの胎児の血清はハイクロンステリルシステムス社(米国ユタ州ローガン)から入手した。組織培養皿は大規模の場合を除いてファルコンプラスチックス社(米国カリフォルニア州オクスナード)から入手し、大規模の場合にはアプライドサイエンティフィック社(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)から購入したエヌユーエヌシー(Nunc)培養プレート(600cm2)を使用した。ゲンタマイシンはシェーリング社(米国ニュージャージー州ケニルワース)から入手し、フンギゾン(Fungizone)はイー・アール・スキップ・アンド・ソンス社(米国ニュージャージー州プリンストン)から購入した。ロイペプチン、ゼラチン、トランスフェリンおよびインシュリンはシグマ社(米国ミズーリ州セントルイス)から入手した。垂下体から得た塩基性FFGのほか、塩基性FGFに対するウサギの中和ポリクローナル抗体は、前述のようにして(18,19)製造した。
細胞の培養物
垂下体から得た星状小胞(FS)細胞の培養物を、前述のようにして(17,20)製造し、特徴付けた。均一なドーム形成細胞単層からなる集密的培養物をNa2EDTAを補給したSTVに接触させることにより、0.3%の最終濃度まで解離させた(24℃,4〜5分)。次いで、これらの細胞を1:10のスリット比において大規模な培養プレートに接種し、5%のCS、5%のFSC、50μg/mlのゲタマイシンおよび2.5μg/mlのフンギゾンを補強したDMEMの存在下に成長させた(18)。集密状態に到達した際に、培養物をさらに血清を含有していない培地に継代すなわち接触させた(下記参照)。ヒトのヘソ内皮細胞(21)、ウシの脳および副腎皮質から得た毛細管内皮細胞(22)、ウシの顆粒細胞(23)、副腎皮質細胞(24)、角膜内皮細胞(25)、ハムスターの乳児の腎臓細胞クローン21(BHK−21)(26)、およびBALB/MKマウスの表皮ケラチン細胞(27)(米国メリーランド州ベセスダ所在のエヌアイエッチ・エヌシーアイ(NIH NCI)からの贈呈品)の培養物を、前述のように(21〜27)維持した。
調整培地の調製
早期に継代させたFS細胞を600cm2エヌユーエヌシー培養プレート上で培養し、上述のように5%のCS、5%のFCSおよび抗体を補給したDMEM中で集密状態になるまで4〜5日間にわたって成長させた。ドーム形成が認められた際に、生成した単層をリン酸塩緩衝剤を添加した食塩水によって2回洗浄し、次いで50μg/mlのゲンタマイシン、25μg/mlのフンギゾン、10μg/mlのロイペプチン、5μg/mlのインシュリンおよび10μg/mlのトランスフェリンを補給したDMEMを1枚の培養プレート当り150ml添加した。48〜72時間経過後に培養流体を補集し、血清を含有していない同量の新鮮な培地で取り換えた。補集を1ケ月またはそれ以上の期間行ったが、単層の目に見える悪化は認められなかった。
分離方法
集密的細胞単層から補集した調製培地を遠心分離(10,000gで15分間)して浮遊細胞および細胞層を除去した。次いで、上澄液のpHを6NHClによって5.6に調整した。硫酸アンモニウム(NH42SO4(520g/l)を添加し、この懸濁液を4℃に6時間保持し、次いで生成した沈殿を遠心分離(10,000gで30分間)により補集し、PBS中に再溶離し、−70℃において貯蔵した。
最終分離を行うために、3回の補集操作から得た沈殿(出発物質である調製培地は全体で21l)を解凍し、一緒にし、次いで10mMトリス−HCl pH7.3、50mM HaClに対して4℃において一夜にわたって透析した。透析に次いで、不溶性物質を遠心分離(10,000gで30分間)により除去し、上透液を10mMトリス−HCl pH7.3、50mM HaCl中で平衡状態になっているヘパリンセファロース樹脂(20ml)上に加えた。この樹脂を吸光度がベースラインに戻るまで平衡緩衝液によって激しく洗浄し、次いでNaCl濃度を増大させながら(0.15M、0.45M、1Mおよび3MのNaCl)段階的に溶離を行った。細胞増殖アッセイ用フラクションからアリコートを取り出し、最高生物活性を有するフラクションを一緒にし、ダイアフロYM10限外濾過膜を装着したアミコン限外濾過容器(モデル12)を使用して1mlに濃縮した。
この濃縮試料を、4℃においてPBS中で平衡状態になっているバイオゲルP−60カラム(100〜200メッシュ1×95cm)上に加え、PBSを使用して溶離を行った。バイオゲルP−60カラムの代わりに、これより効果の大きいと思われるセファデックスG−100を使用することができる。各フラクションのアリコートを細胞増殖アッセイのために採取し、生物活性フラクションを一緒にし、20mM HEPES pH8.3で2倍に希釈した。次いで、この試料をFPLC装置に連結したモノSカラム(ファルマシア社、米国ニュージャージー州,ピスキャタウエイ)上にスーパーループと一緒に適用した。溶離を多重線形勾配(20mM HEPS pH8.3〜20mM HEPS pH8.3,1M NaCl)によって達成した。フラクションのアリコートを生物活性について試験した後に、活性フラクションを一緒にし、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)、20%のアセトニトリルを含有する水溶液中で平衡状態になっているブイダックC4HPLCカラム上に加えた。線形勾配の20〜45%アセトリトリル水溶液によってこのカラムの溶離を行った。次いで、バイオアッセイ試料を採取し、カラムフラクションを−70℃にて凍結貯蔵した。
細胞増殖アッセイ
カラムフラクションおよび精製試料の有糸分裂促進活性を、標的細胞として副腎皮皮から得た毛細管内皮細胞(ACE細胞)を使用することにより測定した(22)。10%のCS,50μm/mlのゲンタマイシンおよび0.25μm/mlのフンギゾンを補給したDMEMの存在下に維持されている保存培養物を、ゼラチン処理した組織培養皿上に1:10のスプリット比において1週間に1回継代させた。
有糸分裂促進性アッセイのために、12個のウエル(well)クラスター(cluster)プレート内で、5×1013個の細胞/ウエルの密度において前述のように(19)、10%の子ウシの血清および抗生物質を補給した1mlのDMEM中に細胞を接種した。6時間後に、3個からなる1組のウエルをトリプシン処理し、細胞数を数えて培養効率を求めた。次いで、後で詳細に記載する図面の説明に示すように、各試料を希釈した適当な希釈液の10mlのアリコートを、0日目および2日目に皿のウエルに三通りに加えた。培地中で4日経過した後に、プレートをトリプシン処理し、クールターカウンター(クールター・エレクトロニクス社,米国フロリダ州ハイアリー)によって細胞密度を測定した。
また、最終精製物質の有糸分裂促進活性を、ヒトのヘソ内皮細胞、ウシの顆粒膜細胞、副腎皮質細胞、角膜内皮細胞BHK−21細胞およびBALB/MKマウスの表皮ケラチン細胞について試験した。アッセイを行うために、2〜4×104個の細胞/35mm皿の初期密度で接種した。アッセイはウシの脈管内皮細胞について説明したようにして行った。
NaDodSO4/PAGE
クロラミンT沃素化法(28)を使用して試料と250μCiのNa125Iとを反応させた。オボアルブミンキャリヤー(100μg/ml)の存在下にTCAを沈殿させた後に、125I標識試料(10μl中2.5〜16×104cpm)を、還元性および非還元性条件下に、NaDod SO4/PAGE(15%ポリアクリルアミド,29参照)によって分析した。電気泳動(20m Amp,5時間)後に、0.1%のクマシーブルーを含有する50%トリクロロ酢酸によって15分間染色し、次いで7%酢酸によって一度汚れを除去した。次いで、生成したゲルを乾燥し、6〜92時間の間オートラジオグラフィーを行った。
蛋白質の微小配列の決定
蛋白質の配列を決定するために、C4カラムの活性フラクションからの約5μg(=200ピコモル)の蛋白質を50%トリフルオロ酢酸中に再溶離し、この溶液をアプライド・バイオシステムス477A気相蛋白質シークエネーター上に添加した。標準ソフトウエアおよびアプライドケミカルス社から供給された化学薬品を使用して12回(twelve rounds)のエドマン分解を行い、自動オンラインHPLCカラム(モデル120,アプライドバイオシステムス社、米国カリフォルニア州フォスターシティー)を使用してPTHアミノ酸の確認を行った。
成長因子の分離および検出
予備実験から、FS細胞によって調整した培地は毛細管内皮細胞に対し相当大きな有糸分裂促進活性を有し、この活性は特異的aFGFまたはbFGF中和ポリクローナル抗体によって中和できなかったことが分かった。また、0.6M NaClにおけるHSアフィニティークロマトグラフィーに適用した場合には、活性の大部分が維持された。これに対し、aFGFおよびbFGFは共に類似の条件下に維持され、それぞれ1.1Mおよび1.6MのNaCl濃度においてHSから溶離される。培養した垂下体細胞は種々の成長因子を産生することが知られているので(32)、TGFα、EGFおよび/またはTGFβのような因子もFS細胞によって調製した培地中に存在している可能性がある。ACE細胞はTGFα、EGF、またはPDGFに応答せず(22)、ACE細胞にとってTGFβは成長抑制物質である(33,34)。従って、ACE細胞を新規な成長因子の精製を行うために使用した。
(NH42SO4沈殿は、補集したFS細胞によって調製した培地の容積を、次のクロマトグラフィーに適当なレベルまで減少させる好都合な方法を提供した。他の成長因子の精製に使用されているHSAC(32,33)は、有効な精製工程を提供した。カラムによって保持されない物質は不活性であり、添加した全蛋白質の50%を占めていた(図1A)。細胞培地のトランスフェリン成分およびインシュリン成分は、保持されなかったフラクション中に存在し、大部分の蛋白質に寄与したと思われる。0.15M NaClによる溶離では生物活性を有していない蛋白質の小さなピークが現れたが、0.45Mによる溶離ではカラムに適用された生物活性の10%を有する蛋白質の大きなピークが現れた。予備実験から、大部分の生物活性は0.6M NaClによってHSから溶離できること、および活性は幅の広いピークとして溶離することが分かった。従って、蛋白質ピークを集中するために、1M NaClによって溶離を行った。この工程は幅の比較的狭い蛋白質ピークを与え、カラムに適用された活性の90%がこのピークに回収された(図1A)。総合するに、HSクロマトグラフィーの結果、蛋白質回収量によって評価した場合に30倍に精製された。出発物質における成長促進活性はおそらく抑制物質の存在のために変動したので、この工程における収率は正確に求めることはできなかった(表1参照)。
Figure 0003549202
バイオゲルP−60を使用したゲル排除クロマトグラフィー(図1B)の次に、ヘパリンセファロース・クロマトグラフィーを行った。生物活性は40〜45kDaの見掛け分子量を有する主ピークとして溶離した。この工程の結果、さらに精製されて純度が10倍になり、回収率は100%であった(表1)。
バイオゲルP−60カラムからの生物活性フラクションを一緒にし、モノSカラムに適用した(図1C)。溶離フラクションの生物活性分布は、それぞれ0.23M NaClおよび0.28M NaClによって溶離する2個の小さい生物活性ピークと、0.33M NaClによって溶離する1個の大きい生物活性ピークとから構成されていた。種々のピークに存在する生物活性を分析することにより、0.33M NaClフラクションは0.23M NaClピークまたは0.28M NaClのいずれかより5倍大きい活性を有することが分かった。モノS工程はバイオゲルP−60工程よりさらに3倍大きい特異的生物活性を示し、回収率は約50%であった(表1)。他の2個の生物活性ピークは生物活性の残部を占めていた。
内皮細胞の有糸分裂促進活性の最終的精製は、アミノ酸配列分析に適した予備的方法であるヴィダックC4カラムを使用するRP−HPLCによって達成した。生物活性の損失が認められ、これは使用した酸の条件および溶媒によるものと思われるが、この損失は生物活性フラクションの検出を妨害するのに十分な程重大なものではなかった。検出された生物活性はすべて接近して並列に位置する2個の鋭い蛋白質ピークにあり、これらのピークはNa2DodSO4/PAGEによって分析した際に銀で染色したゲル上に同一の1本のバンドを与えた(図3)。RP−HPLC−C4工程の結果、特異的生物活性は少なくとも7倍増大し、回収率は50%であった(表1)。図2Bは異なる精製段階における種々のフラクションの相対的潜在能力を示す。
0.23M NaClピークと0.28M NaClピークとを一緒にしてモノSカラムに適用した生物活性フラクションを、C4カラムにおいて、類似の条件下にクロマトグラフィーした場合に、0.33M NaClピークを一緒にしてモノSカラムに適用したフラクションについて実測された分布と同一の生物活性分布が得られた。生物活性の主要部分(90%)は、0.36M NaClピークをモノSカラムに適用したフラクションについて観察されたと同じ位置において溶離した接近して並列に位置する2個の蛋白質ピークと一致した。Na2DodSO4/PAGEによって分析した場合に、これらのピークは還元条件下に23kDaにおいて共通のバンドを与え、図3に観察されるのと同じ位置に移動した。
成長因子の物理的および生物的特徴付け
還元されていない条件下に実験を行った場合に、精製された成長因子は46kDaの推定分子量を有していた(図3)。この値は、本来の構造を維持することが予想される溶媒中で実験を行った場合にサイジング(sizing)バイオゲルP−60カラム上におけるその溶離位置と良く合致する。還元条件下に実験を行った場合には、見掛け分子量は23kDaであった(図3)。これらのデータから、有糸分裂促進物質はポリペプチド鎖からなり、分子量は23kDaであると思われる。1個のN−末端配列が得られたとすると、この二量体分子はおそらく同一かあるいは少なくとも極めて近い種類の2個の鎖からなる。
46kDaバンドの見かけの不明瞭さは糖蛋白質の存在を示すものであると解される。この点を探究するために、生物活性HSACフラクションを10mMトリスpH7.3、0.05M NaCl、5mM MgCl2中でコンカナバリンAセファロースカラムに適用した。生物活性はすべてカラムによって保持された。高濃度塩を使用して溶離を行った場合には有意量の生物活性が溶離しなかったが、10mMメチルマンノサイドを使用して溶離を行った場合にはカラムに適用した生物活性の25%が回収された。0.2Mメチルマンノサイドを使用して溶離を行った場合には生物活性はこれ以上回収されなかった。これらの結果は、成長因子がコンカナバリンAに対する親和力の大きい糖蛋白質であることを示唆する。しかし、このタイプのアフィニティークロマトグラフィー樹脂からの成長因子の生物学的回収率が小さいことは、コンカナバリンAを精製工程として不適当なものにする。
図2Bおよび図4に示した成長因子に対する使用量に応答する成長曲線は、約25pg/ml程度の少量でもACE細胞の増殖を刺激することを示す。飽和は約500pg/mlで観察され、ED50は65pg/mlであった(図4B)。これらの値は、bFGFがACE細胞の増殖を促進する濃度範囲と比較してまさるとも劣らなかった(最小効果10pg/ml,飽和pg/ml,ED5050pg/ml,参考資料22および図4B)。しかし、FSから得た成長因子の存在下に成長させた培養物の最終密度は最適濃度のbFGFに接触させた培養物の最終密度の1/2であった。しかし、FS細胞から得た成長因子のMWがbFGFの2.5倍であることを考えれば、この新規な成長因子はモル基準でbFGFと本質的に同じ潜在能力を有する。ACE細胞の増殖を刺激するその能力のほかに、FSから得た成長因子はウシの脳から得た毛細管内皮細胞の成長ならびにHUE細胞の成長を刺激した(図4A)。これらの結果は、成長因子の有糸分裂促進作用が種の変動によっても、また脈管内皮細胞の起源によっても限定されないことを示す。しかし、bFGFとは反対に、この成長因子はBHK−21細胞に対して有糸分裂促進作用を示さず(図4C)、また副腎皮質細胞、角膜内皮細胞、顆粒膜細胞および/またはBALB/MK細胞に対しても有糸分裂促進作用を示さない(図5)。従って、FGFとは反対に、この成長因子は脈管内皮細胞に対し独特な特異性を有していると思われる。
図1〜7の詳細な説明
図1. HSAC,ゲル排除クロマトグラフフィーおよびモノSイオン交換クロマトグラフィーによるFSdGFの精製
図1A.21lのFS細胞調整培地から得、かつ10mMトリスHClpH7.3,50mM NaClに対して透析した約350mlの(NH42SO4沈澱物フラクションを、ヘパリン セファロース カラム(1.5cm×12cm,25ml床容積)に、150ml/時の流量で装填した。次いで、カラムを150mlの平衡緩衝剤(20mMトリス−HCl pH7.3,50mM NaCl)で洗浄し、残留蛋白質(カラムに供給した50%の全蛋白質)を段階的に高める濃度のNaCl(0.15M,0.45M,1Mおよび3M NaCl)で溶離した。フラクション量を2mlにし、流量を60ml/時にした。クロマトグラフィーを4℃で行い、吸光度を280nmで監視した。ヒストログラムおよび丸印は低密度ACE細胞培養の増殖を刺激する異なる集めたまたは個々のフラクションの相対的能力を示している(5×103細胞/35mm皿)。集めたフラクションの場合(溶離、洗浄および0.15M NaCl)、アリコートを0.2%ゼラチン含有PBSにおいて10倍に希釈し、10μlのアリコートをバイオアッセイした。それぞれ0.45Mおよび1M NaClフラクションの場合、アリコートを0.2%ゼラチン含有PBSにおいて100倍に希釈し、10μlのアリコートをバイオアッセイした。多数の生物学的活性が1M NaCl溶出液において生じた。
図1B. アミコンYM10濃縮器において1M NaCl HSAC生物活性フラクション126〜133を1mlに濃縮した後、限外濾過残留物を、平衡にしておよびPBSにおいて4℃で行うバイオゲルP−60カラム(100〜200メッシュ、1×95cm)に供給した。カラムを展開するための流量を6ml/時にし、1.45mlのフラクションを回収した。吸光度を280nmで監視した。分子マスマーカーの溶出部分(kDa)を矢印で示している。カラムからの各フラクションのアリコートを0.2%ゼラチン含有PBSに1〜100倍に希釈し、10μlのアリコートを材料および方法の項に記載するように12個のウエル形皿(well dishes)におけるACE細胞においてバイオアッセイした。多くの生物活性は40〜45kDaの明白なMWによる単一ピークとして溶離した。
図1C. バイオゲルP−60カラムから溶離した生物活性フラクション26および29を集め、20mMのHEPES pH8.3で3倍に希釈した。次いで、50mlのスーパー ループ(Super loop)を用いて、試料を20mMのHEPES pH8.3(室温)に平衡にしたモノSHR 5/5カラムに供給した。カラムを次に示すNaClの多線形勾配で溶離した:0M NaClで5分間、0M NaCl〜0.45M NaClで45分間、0.45M NaCl〜1M NaClで15分間、および1M NaClで5分。吸光度を280nmで監視した。流量を1ml/分にし、1mlのフラクションを回収した。各フラクションのアリコートを0.2%ゼラチン含有PBSにおいて1〜100倍に希釈し、10μlのアリコートを材料および方法の項に記載するように12個のウエル形皿においてACE細胞においてバイオアッセイした。ヒストグラムをフラクション37〜40(0.33M NaCl)において溶離する多くの生物活性による生物活性の分布を示してた。星印で示しているフラクションを集め、更にC4カラムを用いるRP−HPLCで調べた。
図2. モノS精製および生物活性フラクションの逆相HPLCおよび低密度ACEウエル培養の増殖を刺激する精製の種々の工程におけるFS細胞調整培地の能力の比較。
図2A. 活性モノSフラクション(フラクション38〜40:図3)を0.1%(V/V)TFA,20%アセトニトリルに平衡にしたVydac C4カラム(25×0.46cm,5μmの粒度、300Aの細胞大きさ)に装填した。矢は注入の回数を示している。蛋白質を0.1%TFAにおける20〜45%アセトニトリルの115分の線形勾配により室温で0.6l/分の流量で溶離した。1.5mlのフラクションを回収したが、しかし生物活性が溶離に予想される区域、すなわち、この区域においてフラクション容量を個々のピーク フラクションの大きさに手で制御した。各フラクションのアリコートを0.2%ゼラチン含有PBSで1〜10倍に希釈し、材料および方法の項に記載するようにバイオアッセイした。ヒストグラムは生物活性の分布を示している。星印で示したピーク フラクション(フラクション25,26)をそれぞれ構造研究およびその生物活性の他の分析に用いた。
図2B. 低密度ACE細胞培養(5×103細胞/ウエル)を接続し、この増殖を材料および方法の項に記載すように測定した。試験した試料は(NH42SO4沈澱物〔△〕;HSAC 1M NaClフラクションのプール〔▲〕;生物活性バイオゲルP−60フラクションのプール〔○〕;生物活性モノSフラクションのプール〔□〕;生物活性C4フラクション〔◇〕である。
図3. C4RP−HPLCにより精製した生物活性フラクションのNaDodSO4/PAGE。
モノSイオン交換クロマトグラフィー段階からの3つの各活性ピークにおけるフラクション(0.23M、0.28Mおよび0.33M NaClのそれぞれにおいて溶離する;図1C参照)を集め、各集めたフラクションを更に図2Aについて記載するように、C4RP−HPLCで精製した。それぞれの場合において、C4カラムから溶離する2つの活性ピーク(図2A参照)を回収しおよび集めた。次いで、C4カラムのそれぞれ3つの処理から集めた材料の試料を15%ポリアクリルアミド ゲル上において還元条件(レーン3〜5)または非還元条件(レーン6〜8)下で電気泳動した。次いで、ゲルをバイオレッドの硝酸銀染色キットを用いて染色した。試料はレーン3および6、0.23Mプール(pool);レーン4および7、0.28Mプール;レーン5および8、0.33Mプールにした。レーン1、2および9において用いた分子量マーカーはウシ血清アルブミン(MW 66,000)、オボアルブミン(MW 42,700)、炭酸デヒドラターゼ(MW 31,000)、ダイズトリプシンインヒビター(MW 21,500)およびリゾチーム(MW 14,500)にした。
図4. HuE細胞(A)、ACE細胞(B)およびBHK−21細胞(C)の成長を刺激する下垂体から得たbFGF対FSdGFの能力の比較。
図4A. HuE細胞の低密度培養物(1cm直径のゲル化ウエル当りのHuE細胞の低密度培養(5×103細胞)を、100μg・mlのヘパリン、10-8Mセレン、20%FCSおよび高められた濃度の下垂体から得たbFGF(○)またはFSdGF(●)で補給したHEPES(25mM)緩衝培地199にさらした。ヘパリンを接種時にだけ1回加えると共に、両bFGFおよびFSdGFをそれぞれ別の日に加えた。培養して6日後、3個のウエルをトリプシン処理し、細胞を数えた。20%FCSだけにさらした培養物の最終密度は1.5×104細胞/ウエルであった。標準偏差は平均10%以下であった。
図4B. ACE細胞の低密度培養物(5×103細胞/1cm直径ウエル)を10%CSおよび別の日にそれぞれ加えた高められた濃度の下垂体から得たbFGF(○)またはFSdGF(●)で補給したDMEMにさらした。培養して5日後、3個のウエルをトリプシン処理し、細胞を数えた。10%CSだけにさらした培養物の最終密度は1.3×104細胞/ウエルであった。標準偏差は平均10%以下であった。
図4C. BHK−21細胞の低密度培養物(2×104細胞/35mmゼラチン処理した培養皿)を、2.5μg/mlのフンギソン、50μg/mlのゲンダマイシン、10μg/mlのトランスフェリン、50μg/mlのインシュリンおよび高められた濃度の下垂体から得たbFGF(○)またはFSdGF(●)で補給した2mlのDMEM−F12(1:1 V/V)にさらした。インシュリンおよびトランスフェリンは1回だけ加え、bFGFおよびFSdGFはいずれも別の日に加えた。培養して4日後、3個の皿をトリプシン処理し、細胞を数えた。トランスフェリンおよびインシュリンのみにさらした培養物の最終密度は1.38×104細胞/プレートであった。標準偏差は平均10%以下であった。
図5. BCE細胞、顆粒膜細胞、副腎皮質細胞およびBALB/MK細胞の増殖を刺激するbFGF対FSdGFの能力の比較。
35nm皿当り2×104BCE細胞、顆粒膜細胞または副腎皮質細胞を個々の培地(BCEおよび副腎皮質細胞の場合10%CSを補給したDMEM、および顆粒膜細胞の場合2.5%CSを補強したF−12培地)に接種した。BALB/MK細胞は、10%FCSを補給した低Ca変性イーグル培地に、35mm皿当り3×104細胞の密度で接種した。下垂体から得たbFGF(bFGF 2ng/ml)またはFSdGF(5ng/ml)を、それぞれ別の日に加えた。また、BALB/MK細胞をaFGF(10ng/ml)にさらした。なぜならば、有糸分裂促進剤がその成長の促進においてEGFのように強いためである。培養して6日後、細胞をトリプシン処理し、クールター カウンターで数えた。標準偏差は平均10%以下であった。
独特のN−末端アミノ酸配列を示すミクロ配列の決定
単一アミノ酸を最初の12サイクルのそれぞれにおいて確認し、均質蛋白質と矛盾しなかった。アミノ末端残基の収量は150ピコモルであった。サイクル1〜12について作られた明白な帰属(assignments)はAla−Pro−Met−Ala−Glu−Gly−Gly−Gln−Lys−Pro−His−Gluであった。LipmanおよびPearson(35)のFASTPプログラムを用いるNBRFデータベースの研究ではこの配列と任意の既知の蛋白質との間に有意な相同性は確かめられていない。
トリプシンペプチドの配列順序分析
12μgのFSdGFを6Mグアニジン塩酸塩、0.5Mトリス塩基pH=8.1mM EDTAおよび10mMジチオトレイトールを含有する溶液200μlにおいて37℃で1時間にわたって還元した。還元した蛋白質を固体ヨードアセトアミドの添加によってアルキル化して2mM最終濃度を得、反応を室温で30分間にわたり行った。アルキル化反応に続いて、リシンを無水コハク酸で変性した。アセトニトリルにおいて100mg/mlの無水コハク酸を新しく調整した各5μlの4つのアリコートを5分間間隔で加えた。最終添加後、蛋白質をダイオード アレイ検出器および0.46×3cmブラウンリー ラブス(Brownlee Labs)C4(Bu 300)カラムを具えたHewlett−Packard 1090L HPLCを用いる逆相HPLCで脱塩した。溶媒Aを0.1%TFA含有水とし、溶媒Bを0.1%TFA含有アセトニトリルにした。勾配は0.5ml/分の流量で30分間にわたり20〜60%Bにした。溶離状態は214nmで監視し、単一蛋白質ピークを手で回収した。クロマトグラムを図6に示す。Speed−Vac(Savant)で乾燥した後、蛋白質を200μlの100mM重炭酸アンモニウムに再溶解した。0.4mgのTPCK処理トリプシンを加え、試料を更に2時間にわたり37℃で温置した。2時間後、追加0.4μgのトリプシンを添加し、試料を更に2時間にわたり37℃で温置した。ペプチドを上述する同じ溶媒を用い、同じHPLCにおいて分離した。カラムは0.25ml/分で操作する0.21×15cm Vydac C18(218 TP 5215)にした。初めに、HPLCプログラムは10%B〜において5分間にわたり流し、65分間にわたり10〜70%Bの線形勾配で行った。ペプチドの溶離を214nmで監視し、ピークを手で回収した。クロマトグラムを図7に示す。アミノ酸配列順序分析の場合、ピーク7,15,16,24および25をスポットし、蛋白質シークエネーターにおいて支持体として用いたガラス繊維ディスク上で直接に乾燥した。配列はペプチド15および16からは得られなかった。ペプチド7は主配列H−Ile−X−Pro−His−Gin−Ser−Gln−His−Ile−Gly−Glu−Met−Ser−Ile−Leu−Gln−His−Asn−および副配列H−X−Val−Leu−Asp/Phe−Val−Val−X−X−Pro−を有する混合配列を与えた。ペプチド24は単一配列H−Ser−Phe−Cys−Arg−Pro−Ile−Glu−Thr−Leu−Val−Asp−Ile−Phe−Gln−Glu−Tyr−Pro−Asp−Glu−Ileを与える。ペプチド15は単一配列H−Ser−Phe−Cys−Arg−Pro−Ile−Glu−Thr−Leu−Val−Asp−Ile−Phe−Gln−Glu−Tyr−Pro−Asp−/Ile−Gluを与えた。ペプチド24および25のSer1は上述するアミノ末端配列のSer23に相当し、このためにこれらの配列は組合わせて蛋白質の最初の42アミノ酸の配列を与えることができる。
サイクル1〜12により作った明白な帰属は1Ala−Pro−Met−Ala−Glu−Gly−Gln−Lys−Pro−His−Gluであった。LipmanおよびPearson(35)FASTPプログラムを用いるNBRFデータベースの研究ではこの配列と任意の蛋白質との間に有意な相同性は確かめられていない。
組成物および使用
本発明により得られたFSdGFは、特に脈管組織の内皮を再形成するのに必要な、たまには新しい脈管床(脈管形成)の成長の重要な用途における創傷治癒剤として有用である。
それ故、FSdGFはとこづれ、静脈うっ血潰瘍および糖尿病性潰瘍の種類を含む皮膚潰瘍のような厚さ全体にわたる創傷の治療に用いることができる。更に、FSdGFは厚さ全体にわたるやけどおよび皮膚移植における損傷部位の治療に用いることができる。この場合、FSdGFは部位に直接に適用するか、または移植前に移植する皮膚を浸漬するのに用いることができる。類似する方法において、FSdGFは、やけど、他の外傷または化粧用として再構成が要求される場合に、成形手術に用いることができる。
また、脈管形成は創傷の清浄および非感染に重要である。それ故、FSdGFは一般手術に関連して、および切り傷および裂傷の治療に従って用いることができる。特に、汚物(fecal material)の漏れが感染の危険性を高める腹部の創傷の治療に有用である。また、新血管新生は、血管が骨障害の部位において発達するから、骨折治療に大切である。それ故FSdGFの骨折部位への投与が有用である。
上述するように、FSdGF局所創傷治療に用いる場合には、脈管組織の内皮の再形成について記載されている任意の手段により、または好ましくは局所手段により投与することができる。これらの場合、溶液、ゲル、クリーム、軟膏として、または乾燥粉末として損傷の部位に直接に投与することができる。また、FSdGFを損傷部位に与える遅延釈放体を用いることができる。局所適用において、FSdGFは一回の使用において、または1〜数週間にわたり毎日かまたは数日ごとに投与する手段で50〜1,000μg/mlの濃度範囲で用いることができる。
FSdGFはバルーン血管形成、すなわち、脈管内皮細胞をアテローム性動脈硬化斑と一緒に除去する処理において後機能的に作用する(Post−operative)創傷治療剤として用いることができる。FSdGFは、全身性または局所静脈内適用により静脈巨丸剤注射または注入剤として脈管内皮表面に適用することができる。必要に応じて、FSdGFは微量定量ポンプ(micrometering pump)の使用中投与することができる。静脈内投与用として適当な組成物には、FSdGFを内皮細胞の成長の促進または非経口的キャリヤー材料に有効な量で含有させることができる。FSdGFは広い濃度範囲、例えば患者当り3〜10mlの注射液を用いる約50μg/ml〜約1,000μg/mlで組成物に存在させることができる。任意の既知の非経口的キャリヤー賦形剤、例えば標準塩類または5〜10%デキストロースを用いることができる。
また、FSdGFは脈管移植手術において内皮形成を促進するのに用いることができる。合成材料の移植用管を用いる脈管移植の場合、FSdGFは、例えば脈管内皮細胞の成長の促進のために、移植の表面に、および/または移植の接合および存在する脈管構造に被着することができる。この適用において、FSdGFはバルーン血管形成について上述する静脈内的に投与でき、または移植の表面におよび/または手術前または後に存在する脈管構造に直接に用いることができる。これらの場合において、FSdGFは患部表面に付着するような濃厚なキャリヤー材料の状態で用いるのが好ましい。適当なキャリヤー材料には、例えば1〜5%のカルボポールを含ませることができる。FSdGFは、例えば約50〜1000μg/mlの広範囲にわたる濃度でキャリヤー材料に存在させることができる。
また、FSdGFは心筋梗塞による脈管損傷の治療に用いることができる。この目的のために、FSdGFは個々の注射液の状態で、または微量定量ポンプによって静脈内的に投与することができる。
また、FSdGFは内皮細胞のインビトロ培養における成長因子として用いることができる。この使用において、FSdGFは細胞培地に約10ng/ml〜約10μg/mlの濃度で添加することができる。
FSdGFのアミノ酸配列は、FSdGF遺伝子を回復する合成オリゴヌクレオチド プローベの形成に用いることができる。これらプローベはすべての可能な遺伝暗号選択による混合配列、またはコドン優先選択および他のファクターによる単一配列からなる。最初の場合、ウシFSdGFのアミノ酸配列によるプローベは星状小細胞から作られたウシcDNAライブラリー、またはウシ遺伝ライブラリーをスクリーンするのに用いられる。かように分離されてウシDNAクローン暗号化FSdGFは、完全暗号およびウシFSdGFのアミノ酸配列を測定するのに配列する。次いで、ウシFSdGFクローンは、プローベとしてヒトFSdGF配列をファクターを表現するのに示す組織から発生したcDNAライブラリーから、またはヒド遺伝ライブラリーから分離するのに用いることができる。この手段において、完全ヌクレオチドおよびヒトFSdGFのアミノ酸配列を確立することができる。
検 討
下垂体FCにより調整した培地から新しいヘパリン−結合内皮細胞成長因子(VEGF)の最初の確認、精製および生物学的特性に関する。更に、詳細な説明は後述する具体例において明らかである。
結 果
FCによって調整された培地は低密度微小血管内皮細胞の増殖速度を刺激するのを確めた。表2には成長促進活性の精製の段階および生物活性における相当する収率を示している。有糸分裂促進活性を50%硫酸アンモニウムで沈澱させ、次の精製に適当な容量に再懸濁させた。H−S段階はかかる活性を更に濃縮するのに効果的な手段を与え、また10倍精製を与える。約90%の生物活性を0.9M NaClの存在で溶離した(図8)。生物活性はフラクションを65℃で5分間にわたり加熱しても影響を受けず、かつ0.1%TFA(pH2)2時間さらすことによって25〜30%低下した。
Figure 0003549202
大抵の生物活性HSフラクションを半調製C4逆相HPLCカラム、蛋白質およびペプチドの速やかな精製に適当な方法に適用した。生物活性は約29%アセトニトリルの存在における単一ピーク(図9A)で示されるように溶離した。多くの生物活性フラクションにおける銀−染色(56)SDS/PAGEゲルは3〜4つのバンの存在するのを示した。これらのフラクションは、更にアセトニトリルの代りに2−プロパノールの勾配によって溶離した分析用C4カラムを用いる第二逆相HPLC段階で精製した。吸収状態における明確なピークに相当する生物活性の単一ピークを得た(図9B)。
第二逆相段階からのピーク フラクションは、銀−染色SDS/PAGEに、還元条件下で約23kDaの見掛けMrにより単一バンドを示した(図10)。バンドの染色の強さは生物活性プロフィールを横切る有糸分裂促進活性に著しく関連した。TSK G3000 SWカラムによる分子ふるいを用いる従来の試験は40〜43kDaの範囲のMrが提案されており、固有条件における成長因子が二量体である可能性が考察された。この事は、精製材料が非還元条件下で、銀・染色SDS−PAGEにおいて約45kDaの見掛けMrを有すること暗示している(図10)。
図11に示しているように、精製成長因子についての使用量に応答する曲線は150〜200pg/mlにおける副腎皮質から得られた毛細管内皮細胞増殖において半最大効果および1〜1.5ng/mlにおいて最大効果を示している。これらの値は蛋白質配列の決定から得られ、および銀−染色SDS/PAGEにおけるバンドの相対強さを標準と比較することによって得た値によく一致するのを確めた。
精製材料の気相ミクロ配列の決定(gas phase microsequencing)は単一N−末端アミノ酸配列を明確に示した。最初の5つの残基は1Ala−Pro−Met−Ala−Gluである。N−末端アミノ酸配列を示す他の手段はAla−Pro−Met−Ala−Glu−Gly−Gly−Gln−Lys−Pro−His−Glu−Val−Val−Lys−Phe−Met−Asp−Val−Tyr−Gln−(Arg)−Ser−Phe−X−Arg−Pro−Ile−Glu−Thr−Leu−(Val)−X−Ile−X−(Gln)−Glu−Tyr−(Pro)−であり、この場合丸かっこのアミン酸は不確実であり、また−X−はアンデンティティの不明なアミノ酸を示している。コンピュータ研究によって、上記配列は任意の従来知られている蛋白質に有意の相同関係を示さないことを確かめた。
また、成長因子の生物活性を異なる細胞タイプで試験した。図12に示すように、評価しうる活性は脈管内皮源の細胞タイプ、例えば胎児および成体ウシ大動脈内皮細胞、ウシ脳毛細管内皮細胞およびヒトヘソ静脈内皮細胞においてだけ観察された。これに対して、副腎皮質細胞、レンズ上皮細胞、角膜内皮細胞、BHK−21線維芽細胞および表皮ケラチン細胞は有意の有糸分裂促進応答を示さなかった。
成長因子は硫酸アンモニウム沈澱、H−Sアフィニティークロマトグラフィーおよび2つの逆相HPLC段階の組合わせを用いて精製した。SDS PAGEによる精製材料の分析は非還元条件下で約45kDaのMrであることを示した。材料を2−メルカプトエタノールの存在で分析した場合には、成長因子が明らかに同じ分子量の2つのサブユニットを含む二量体であることを示す、23kDaのMrを有する単一バンドの観察した。
成長因子は熱および酸に安定であり、かつモノPカラム上におけるクロマトフォーカシングによって評価して、そのp.I.は約8.5である。
精製成長因子は25pg〜1〜1.5ng/mlの範囲の濃度において脈管内皮細胞の増殖を刺激することができた。Mr45 kDaと推定されるこれらの値は0.55pMおよび22〜33pMのそれぞれに相当した。これらの値はbFGFにより得られた値と同じ範囲である(2,56)。しかしながら、新しい成長因子は隔膜内皮細胞、レンズ上皮細胞、BHK−21線維芽細胞、副腎皮質細胞または表皮ケラチン細胞において評価しうる有糸分裂促進効果は得られなかった。これに対して、bFGFおよびaFGFはこれらの細胞タイプのすべてについての潜在有糸分裂促進である(2,56)。
ヘパリンを結合するVEGFの能力はそのインビボ機能および調製に密接な関係を有している。ヘパリン硫酸は細胞外マトリックスの基本成分であり、標的細胞とヘパリン−結合成長因子との間の接触を定める決定的な役割を演ずることが提案されている(16,57,58,59)。
下垂体FCにおけるVEGFの存在による細胞の役割は、腺下垂体の複合微細脈管構造の分化状態の発達、組織化および維持によって確かめられた。
VEGFが下垂体線以外の器官に発現するかどうかは、現在、知られていない。しかしながら、正常なおよび異常な増殖の多くの種類における脈管内皮細胞成長および脈管形成の基本的な役割を考察する場合(60)、成長因子の分布が広く行きわたっている。このような関係において、特定の細胞または組織に制限されるように初めて信じられていたPDGF,EGF,TGFアルファ,TGFケベーター,FGF,NGFは広く、時には偏在分布を有することが確かめられたことは興味深い。
bGFGおよびaFGFについての遺伝子、最良の特徴付けられた内皮細胞有糸分裂促進剤は普通の単一ペプチドについて、遺伝暗号を指定しない。従って、これらの成長因子は生ずる細胞の内側に封鎖され、明らかに標的細胞を横切らない(2,15,45)。bFGFは最下部膜に導入し、次いでマトリックスが特定酵素の作用によって解体される場合に、可溶性形態で釈放することが提案されている(16)。この釈放機構としては、主としてまたはもっぱら器官再形成、創傷治癒または新形成のような最下部膜または細胞溶解の分解を含む成長因子についての役割が提案されている(60)。
これに対して、VEGFのような可溶性内皮細胞成長因子は、黄体のような器官に生ずる血管の循環成長において、または脈管樹枝状分岐における内皮に分化段階の持続性維持において、脈管内皮細胞増殖の整理学的調整においての多くの動的役割を演ずる。
細胞の極めて広い範囲に作用する異なるbFGFまたはaFGF(2,56)、VEGFは脈管内皮細胞について特異的であるように思われる。VEGFは、糖尿病性潰瘍または外傷性脈管損傷のような、過度の結合組織増殖の不存在における脈管内皮細胞についての選択作用が要求される条件についての特別の治療に重要である。
図8〜12についての詳細な説明
図8 −−FC調整培地のヘパリン−セファロース(H−S)生物活性プロフィール。培地(6リットル)を濃縮し、50mM NaClを含有する10mMトリス/Cl、pH7.2において予め平衡にしたHS Col.に与えた。コラムを同じ緩衝剤で洗浄し、次いで0.15,0.9および3M NaClを含有する10mMトリス/Cl、pH7.2で連続溶離した。回収したフラクションのアリコートを0.2%ゼラチン含有PBSにおいて100倍に希釈し、5μl/mlをバイオアッセイについての毛細管内皮細胞に供給した。
図9Aおよび9B −−内皮細胞有糸分裂促進活性の連続逆相HPLCプロフィール。多くの生物活性H−Sフラクションを0.1%TFA/20%アセトニトリルで予じめ平衡にしたC4カラム(10×250mm)に装填した(図9A)。カラムを10mlの平衡緩衝液で洗浄した後、試料をアセトニトリルの線形勾配によって溶離した。各フラクションのアリコートを0.2%ゼラチン含有PBSで10倍希釈し、5μl/mlをバイオアッセイについての毛細管内皮細胞に供給した。多くの生物活性フラクションを集め、0.1%TFA/20%2−プロパノールでじ予め平衡にしたC4カラム(4.6×250mm)に装填した(図9B)。カラムを3mlの平衡緩衝液で洗浄した後、試料を2−プロパノール線形勾配によって溶離した。フラクションのアリコートを生物活性について試験した。
図10−−図9Bに示すクロマトグラムからの多くの生物活性フラクションについてのNaDodSO4/PAGF分析、上記フラクションの2つのアリコート50μlをspeed vacにおいて乾燥し、試料に2.5%2−メルカプトエタノール含有緩衝液(+)またはそれを含まない緩衝液(−)に溶解した。試料を加熱−変性し、12.5%PAGEにおいて電気泳動し、次いで銀染色した。分子量マーカーはホスホリラーゼB、97,400;ウシ血清アルブミン、66,200;オボアルブミン、43,000;カルボニック アンヒドラーゼ、31,000;ダイズトリプシン インヒビター、21,500;リゾチーム、14,400にした。
図11 −−精製VEGFの存在における毛細管内皮細胞から得た副腎皮質の使用量−応答生長。細胞を12個のウエル プレートに1×104/ウエルの密度で接種した。指示量のVEGFを、5μl/mlアリコートで培養した後、数時間にわたって添加した。5日後、細胞をクールター カウンターで数えた。結果は3つの別々の試験を二回行った平均値で示した。二回の各試験の偏差は10%以下であった。
図12 −−異なる細胞タイプの生長におけるVEGFの効果。
CEC,角膜内皮細胞;BAC,ウシ副腎皮質細胞;KTC,表皮ケラチン細胞;LEC,レンズ上皮細胞;BKL−21,生まれたてのハムスター腎臓細胞、クローン21;ACC,副腎皮質毛細管内皮細胞;BBC,ウシ脳毛細管内皮細胞;HUVE,ヒトヘソ静脈内皮細胞;FBAE,胎児ウシ大動脈内皮細胞;ABAE,成体ウシ大動脈内皮細胞。細胞をそれぞれの成長培地に接種し、最大濃度のVEGFで温置し、4または5日後に数えた。結果を適当な制御の割合で表わした。
脈管形成は毛細管内皮細胞増殖、遊走および組織湿潤を含む多段現象である。これは胎芽発達、創傷治癒、アテローム性動脈硬化および腫瘍生長のような多くの生理学的および病理学的プロセスにおける決定的な役割を演ずる(1,2)。脈管形成を誘発する二三の因子については、最近、分離され、特徴付けられる。これらのうち、FGFの塩基および酸性形態だけが、脈管内皮細胞増殖、遊走、およびプラスミノーゲン活性化因子およびコラゲナーゼ活性の高められた形質発現を含む脈管形成のすべての段階を直接に制御することが示されている(2)。
証明されているにもかかわらず、FGFはFGFの作用を促進して完全にすることのできる他の脈管形成因子の存在についての2つの難問がある。第一は、FGFが分泌を与える疎水性シグナル シーケンスに欠けており(12,13)、脈管形成因子として許容される場合でも、任意の推定メディエタが微小循環床から新しい毛細管形成を誘発する拡散うしる物質を生ずる必要があることである。第二は、FGFが内皮細胞それ自体を生ずることである(14,15)。FGFが内皮細胞におよびそのまわりに存在する場合でも、他の因子がトリガー脈管形成の役割を果たすようにする必要がある。
また、本発明はAtT20細胞によって生じた分泌した新内皮細胞有糸分裂促進剤の分離および特性決定に関する。このマウス細胞系はメリーランド州 ロックビレ、パークラウン ドライブ12301のザ アメリカン タイプ カルチュア コレクション(The American Tyol Culture Collection)から入手することができる。AtT20細胞によって得られた因子は、増殖し、かつFGFに敏感な他の細胞タイプに影響を与えない脈管内皮細胞だけを刺激することから、独特の標的細胞特異性を有している。
この因子はbFGFおよび可能な分泌通路下垂体細胞系AtT−20の形質発現についての研究中に発見された(5)。細胞はbFGG遺伝子についての暗号配列と融合した成長ホルモン分泌シグナル ペプチドについての暗号配列からなるキメラbFGF遺伝子によってトランスフェクション(6)。マウス細胞系は、正常の分泌機能を有し、かつ蛋白質のパッケージングおよび分泌に伴う分子に関する研究に用いることができるために選択した。発現bFGFは、構成分泌通路を介して、または分泌顆粒を含む分泌通路を介して、これらの細胞によって分泌するのが望ましい。トランスフェクションした(transfected)AtT−20細胞によって調整された培地を脈管形成活性について調べた場合、bFGFに対する抗体によって免疫中和しなく、かつbFGFについてのRIA特異的に交差反応しない相当量の活性が存在していた。bFGF遺伝子を発現しない親細胞によって調整されたメディアは相当量の生物活性を含有し、bFGFに関係しない因子が応答できるようにしたことが提案されている。
次いで、調整培地に存在する内皮細胞有糸分裂促進剤を、ヘパリン セファロース アファニティー クロマトグラフィー(HSAC)、セファデックス(Sepbadex)G100における排除ゲル クロマトグラフィー、およびモノSレンジにおけるクロマトグラフィーによる陽イオン交換を含む段階の組合わせによって、および最後にC4VydacカラムによるPR−HPLCによって精製した(表3参照)。フラクションは副腎皮質から得た毛細管内皮細胞を用い、生物活性について検定した。回収した材料を図13Aに記載した条件下でHSに作用した場合、活性は0.5〜0.6Mの範囲の広いピークで溶離した。これを濃縮するために、0.8M NaClによる溶出液を回収した。次いで、この材料では、セファデックスG100に与えた場合に、約45kDaの見掛けMWで溶離した生物活性の主ピークが得られた(図13B)。モノSにおいて図13Cに示した条件下でクロマトグラフした場合には、単一の主活性ピークが0.28M NaClでの溶離によって観察した。最終精製をC4Vydacカラムを用いるRP−HPLCで行った(図13D)。検出したすべての活性は蛋白質の2つの接近した鋭いピークに存在しており、非還元条件下Na2DodSO4/PAGEで分析した場合に45kDaの見掛け分子量を有する単一バンドを生じた。還元条件下で観察した場合、バンドは23kDaの見掛け分子量を有していた。1つのフラクションにおいて、少量の27kDaのMWを有する汚染物の移行は還元に影響されずに存在した。この汚染物は全体の5%以下であった。主ピーク活性がC4カラムの同一条件下で行った場合に、小さい肩部を有する蛋白質の単一ピークを得た(図13D)。この材料のミクロ配列の決定は独特の末端アミノ酸配列を示した。約2μg(80ピコモル)の蛋白質はApplied Biosystems 4778気相蛋白質シークエネーターを用いて配列決定した(sequenced)。単一アミノ酸は均質蛋白質と同じ最初の24サイクルのそれぞれにおいて確かめた。アミノ酸末端残基の収量は30ピコモルであった。サイクル1〜5についての明白な帰属モードはAla−Pro−Met−Ala−Gluであった。AtT−20からの成長因子についての長いアミノ酸配列は後で測定することにし、後述する。
LipmanおよびPearsonのFASTPプログラム(35)を用いるNBRFデータベースの研究により、最初の22アミノ酸の配列と任意の既知の蛋白質との間に有意な相同性がないことを確めた。
図15Bに示す成長因子についての使用量に応答する曲線は、50pg/mlのような少量でもACE増殖の刺激を示した。飽和は150pg/mlのED50により1ng/mlで観察した。これらの値を、bFGFがACE細胞の増殖を促進する濃度の範囲に比べてまさるとも劣らなかった(最小効果は約200pg/mlにおける約10pg/ml飽和および50pg/mlにおけるED50であった(22)および図15)。しかしながら、AtT−20から得た成長因子の存在において成長した培地の最終密度はbFGFの最適濃度にさらした培地の密度の半分であり、ACE細胞の平均倍加時間がbFGFよりAtT−20から得た成長因子による増殖して得た場合よりも長かった。それにもかかわらず、AtT−20細胞から得た成長因子のMWがbFGFの2.5倍である場合には、bFGFとほぼ同じ潜在力を有していたことを示した。ACE細胞増殖を刺激するその能力のほかに、AtT−20から得た成長因子はウシ脳から得た毛細管内皮細胞の成長およびHuE細胞の成長を刺激した(図15A)。この事は、その有糸分裂促進効果が種変化によっても、また脈管内皮細胞の供給源によっても制限されないことを示している。驚くべきことに、BHK−21細胞でも、TGFα.EGF,PDGF,TGFβおよびaFGFまたはbFGFを含む有糸分裂促進剤の広い変種に応答することが知られている細胞系でも増殖を刺激しなく((26)に示されているように)、また副腎皮質細胞、角膜内皮細胞、顆粒膜細胞、脈管平滑筋細胞またはBALB/MK細胞についての有糸分裂促進もしなかった。それ故、FGFに対して、脈管内皮細胞についての独特の特異性を有しているものと思われる。データにより、また下垂体コルチコトロフの多くの重要な化学的および生理学的特性、特に主分泌物ACTH、B−リポトロピンおよびB−エンドルピンを合成および釈放する能力を保有するAtT−20細胞が脈管形成因子を生ずることを確めた。
Figure 0003549202
生長因子の物理学的特性(MW 45kDa、塩基性pI、HSについての親和力)および生物学的特性(脈管内皮細胞についての有糸分裂促進)は、EGF,TGFα,PDGF,TGFβまたは最近報告されている表皮ケラチン細胞成長因子のような他の既知の成長因子から識別できることを示している(21)。aFGFまたはbFGFに対する多クローン性抗体を中和することによって認識されるその欠乏、およびaFGFまたはbFGFについてのRIA特異性における交差反応性のその欠乏は、FGFから識別できることを示している。また、小板から得た内皮細胞成長因子(37)は同じ見掛け標的細胞特異性および類似分子量を有し、これらが潜在力において20倍相違し、またその二次構造が相違し、PDECGFが単鎖ポリペプチドで、AtT−20成長因子に二量体構造を有している最近の報告から異にしているものと思われる。
独特の標的細胞特異性およびN−末端から、AtT−20から得た成長因子が従来、知られていない成長因子を示すという結論に達する。最近の研究では、新しい成長因子が、毛細管内皮細胞についての有糸分裂促進することを明確に確めているけれども、脈管形成に結合した他のものを刺激できるかどうかについては、まだ知られていない。これは毛細管内皮細胞の走化性および毛細管下部膜の破損において含まれているコラゲナーゼおよびプラスミノゲンのような細胞性酵素の合成の活性化を含んでいる。
脈管内皮細胞におけるその優先活性を他の中胚葉から得た細胞と比べて考慮し、バスクロトロピン(vasculotropin)の名がこの新しい成長因子について提案されている。
利用しうる構造データは生理学的および病理学的条件における成長因子遺伝子のクローニング構造、トポロジー、形質発現および調整について研究する必要がある。これらの研究は正常対悪性組織におけるその分類、および脈管形成を含むその生理学的機能についてのいとぐちを得ることである。
図13〜16の詳細な説明
図13 AtT20成長因子の、HSAC、ゲル排除クロマトグラフィー、モノ(Mono)Sイオン交換クロマトグラフィーおよびC4カラムにおけるR−HPLCによる精製である。
図13A 5μg/mlのインシュリンおよび10μg/mlのトランスフェリンを加えたAtT−20細胞調整培地(DMEN−H21)30リットル(5リットルを2日間隔で6回集めたもの)から得た(NH42SO4沈殿フラクション約490mlを、ヘパリンセルロースカラム(1.5cm×12cm、床容量25ml)に150ml/時の流量で導入した。次にカラムを150mlの平衡緩衝液(20mMトリス−HCl(pH7.3)、50mM NaCl)で洗浄し、残留蛋白質(カラムに導入した総蛋白質の50%)を、高められる濃度のNaCl(0.3M、0.8Mおよび3M NaCl)を用いて段階的に溶出した。フラクションの量は3mlであり、流量は6ml/時であった。クロマトグラフィーは4℃で行い、吸光度を280nmで測定した。このヒストグラムおよび閉環は、個別にプールした、または個別のフラクションの、低濃度のACE細胞培養(5×103セル/ウェル、12個のウェル皿)の拡散を刺激する相対的能力を示している。試験の条件は、(37)で記載したものと同一である。生物活性の大部分は、0.8M NaClで溶出したものに存在していた。
図13B 0.8M NaCl HSAC生物活性フラクションを、アミコンYM10濃縮器で1mlに濃縮した後、限外濾過残留物を、平衡にしたセファデックスG100カラム(1×95cm)に導入し、4℃においてPBS中で実施した。このカラムを実施するための流量は6ml/時であり、3mlずつのフラクションを集めた。吸光度を280nmで測定した。分子量マーカー(kDaで示す)の溶出位置は、矢印で示した通りである。カラムからの各フラクションのアリコートを0.2%のゼラチンのPBS溶液で1〜100に希釈し、10μlのアリコートを生物学的測定に用いた。
図13C セファデックスG100カラムから溶出した生物活性なフラクションをプールし、20mM HEPES(pH8.3)で3倍に希釈した。次に50mlのスーパーループ(Super loop)を用いて、試料を、20mM Hepes(pH8.3)で平衡にしたモノS HR 5/5カラムに、室温で導入した。カラムを以下のような多数の直線部分から成るNaClの濃度勾配(0M〜1M)で溶出した:0M NaClで5分間、0M〜0.45M NaClで45分間、0.45M〜1M NaClで15分間、1M NaClで5分間。吸光度を280nmで測定した。流量は1ml/分であり、1mlずつのフラクションを集めた。各フラクションのアリコートを0.2%のゼラチンのPBS溶液で1〜100に希釈し、10μlのアリコートを、前記のように12個のウェル皿中のACE細胞における生物学的測定に用いた。このヒストグラムは、生物活性の分布を示しており、生物活性の大部分はフラクション33〜35(0.28M NaCl)に溶出した。
図13D 活性なモノSフラクション(フラクション33〜35:図13C)を0.1%(v/v)TFA、20%アセトニトリルで平衡にしたVydac C4カラム(25×0.46cm、粒径5μm、孔径300A)に導入した。矢印は、注入した時間を示す。蛋白質は、室温で、0.6ml/分の流量で、0.1%TFA中の20〜45%の線形勾配のアセトニトリルで115分間溶出させた。1.5mlずつのフラクションを集めた。各フラクションのアリコートを0.2%のゼラチンのPBS溶液で1〜10に希釈し、前記したように生物学的測定に用いたQこのヒストグラムは、生物活性の分布を示している。ピークのフラクション(22,24)は、個別に構造的研究およびさらにそれらの生物活性の分析に用いた。(a)活性の主要なピークのフラクションは、差し込みbに示したように同一のカラムに再導入し、ピークのフラクションはアミノ酸および末端の配列分析に用いた。(b)125Iで標識した、フラクション22(A,Cのレーン)および23(B,Dのレーン)の蛋白質試料を、非還元(APBのレーン)または還元(C,Dのレーン)条件下で個別に分析した。
図14−電気泳動を、上述した条件下で実施した。非還元条件では成分を43〜45kDaで示された。還元条件では、成分を23kDaで示された。電気泳動後、ゲルをクマジーブルーで染色し、脱色し、乾燥し、オートラジオグラフィーに用いた。試料の移動は、非還元(左側)または還元(右側)蛋白質標準試料のものと比較した:97,66,43,30,21kDa。
図15−下垂体から得たbFGF対AtT−20細胞から得た成長因子の、HUE細胞(A)、ACE細胞(B)およびBHK−21細胞(C)の成長を刺激する能力の比較。
図15A HUE細胞(21)(直径1cmのゼラチン含有ウェル当たり5×103個の細胞)の低密度培養を、100μg/mlのヘパリン、10-8Mのセレン、20%のFSC((11)で記載した通り)および高められる濃度の下垂体から得たbFGF(○)またはAtT−20細胞から得た成長因子(●)のいずれかを加えた、HEPES(25mM)で緩衝した培地に露出させた。ヘパリンは、細胞を接種時に1度だけ加え、一方bFGFおよびAtT−20細胞から得た成長因子は1日おきに加えた。6日間の培養の後、3通りのウェルをトリプシン処理し、細胞を数えた。20%FCSのみに露出させた培養の最終密度は、ウェル当たり7.4×104個の細胞であった。標準偏差は、平均値の10%未満であった。
図15B ACE細胞(直径1cmのウェル当たり5×103個の細胞)の低密度培養を、10%のCSおよび、1日おきに加えた下垂体から得たbFGF(●)またはAtT−20細胞から得た成長因子(○)を加えたDMEMに露出させた。5日間の培養の後、3通りのウェルをトリプシン処理し、細胞を数えた。10%のCSのみに露出した培養の最終密度は、ウェル当たり1.3×104個の細胞であった。標準偏差は平均値の10%未満であった。
図15C BHK−21細胞(26)(35mmのゼラチンを加えた組織培養皿当たり2×104個の細胞)を、1.5μg/mlのゲンタマイシン、10μg/mlのトランスフェリン、5μg/mlのインシュリンおよび高められる濃度の、下垂体から得たbFGF(●)またはAtT−20細胞から得た成長因子(○)のいずれかを加えたDMEM−F12(1:1 v/v)2mlに露出させた。インシュリンおよびトランスフェリンは1度だけ加え、bFGFおよびAtT−20細胞から得た成長因子は1日おきに加えた。4日間の培養の後、3通りの皿をトリプシン処理し、細胞を数えた。トランスフェリン、インシュリンのみに露出させた培養の最終密度は、プレート当たり1.05×104個の細胞であった。標準偏差は平均値の10%未満であった。
図16 BALB/MK細胞(14)を、35mmの皿当たり3×104個の密度で10%のFCSを加えたCa含量の低い改良イーグル培地(16)に接種した。35mmの皿当たり2×104個のBCE細胞(16)、顆粒層細胞(17)または副腎皮質細胞(18)を、それぞれの培地(BCEおよび副腎皮質細胞には、10%のFCS、5%のCS、10%のCSを加えたDMEM、顆粒層細胞には2.5%のCSを加えたF−12培地)に接種した。下垂体から得たbFGF(bFGF、2ng/ml)またはAtT−20細胞から得た成長因子(1.5ng/ml)は1日おきに加えた。aFGFの有糸分裂促進剤が、BALB/MK細胞の成長を促進することにおいてEGFと同程度に強力であるので、BALB/MK細胞はまたaFGF(10ng/ml)にも露出させる。6日間の培養の後、細胞をトリプシン処理し、クールターカウンターで数えた。標準偏差は平均値の10%未満であった。
ウシの細胞を培養し、成長因子を集めることの利点は、全体的な細胞構造が良好な凝集した完全性を有することである。いわば、細胞層は通常、何日間もまた培地試料を連続的に集めることの1か月以上さえも調整した培地を集める能力を保持する。ドーム構造が存在する場合、ドームの上方から、またドームの内部または下方から試料を集めることも可能である。一般に、成長因子は、ドームの内部でより高濃度である。
ウシの細胞の培養の間に観察された欠点は、これらの細胞が、細胞から分泌される大量の異なる蛋白質を生成することである。従って、精製の過程は、不所望の蛋白質をより多く除去できることが必要である。
AtT−20細胞系の利点は、商業的に入手できることである。
ネズミ細胞、AtT−20を培養する利点は、これらの細胞が、その後の単離過程に影響することのある他の蛋白質を大量に生成することなく、新規な成長因子を生成することである。
ネズミ細胞AtT−20を培養する欠点は、細胞培養層の構造的完全性が高くないことである。従って、培養および採集の間、細胞層のごく一部が分離し、調整した培地中に浮遊し、そして死んでしまう。しばしばネズミ細胞の培養は、7日間以内、またはこれよりわずかに長い間だけに可能である。
ウシからの新規な成長因子は、しばしばRP HPCL−C4精製を必要としないモノS過程およびセファデックスG−100過程の後、十分精製されている。RP HPLCは、FsdGFの純度を決定するのに必要とすることができる。
マウス成長因子アミノ酸配列
マウスAtT20細胞から得た成長因子蛋白質のN末端配列を決定した。蛋白質における2種のN末端配列決定をアップライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)気相蛋白質配列決定器により実施した。第2の実施では、配列決定器に、第1の実施の約2.5倍量の蛋白質を用いた。
2種の配列決定の実施から得たデータの比較結果から、以下のN末端配列を決定した。
Figure 0003549202
アミノ酸の位置の1つの(X′)に3種の異なるアミノ酸が検出され(Ala,GlyおよびSer)、Alaが最も顕著であった。このアミノ酸残基は正体が不明であったため、この残基を「X′」と示した。
マウスAtT20細胞からの配列決定の、ウシFSdGF蛋白質のN末端の23のアミノ酸配列との比較結果より、これら2種の蛋白質はほぼ同一のものであることが示された:
Figure 0003549202
以下の例は、単に実施例および典型的な例として挙げたにすぎない。これらは、いかなる場合でも、制限して考慮すべきでない。
試薬−組織培地および試薬をギブコ(Gibco)(グランド アイランド,ニューヨーク)から得た。アセトニトリル及び2−プロパノールをフィッシャー サイエンス(Fisher Sci.)(フェアローン,ニュージャージー)から購入した。ヘパリン−セファロース(H−S)をファーマシア(Pharmacia)(ピスキャタウェイ,ニュージャージー)から得た。ヴァイダック(Vydac)HPLCカラムをセパレーショングループ(Separation Group)(ヘスペリア,カリフォルニア)から得た。PAGE用の分子量マーカーおよび蛋白質決定用具一式をバイオラッド ラブズ(Bio Rad Labs)(リッチモンド,カリフォルニア)から得た。組織培養プレートは、アップライド サイエンス(Applied Sci)(サンフランシスコ,カリフォルニア)から購入した規模の大きいヌンク(Nunc)プレート(24.5×24.5cm)以外はコスター(Costar)から購入した。他の全ての試薬は、シグマケミカル カンパニー(Sigma Chemical Co.)(セントルイス,ミズーリ)またはアップライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)(フォスター シティ,カリフォルニア)から得た。
例 A
本実施例の目的は、卵胞細胞から培地中に分泌された内皮細胞成長因子の分子量の決定であった。卵胞細胞のコンフルエント(confluent)培養を、トランスフェリン(10μl/ml)、インシュリン(5μg/ml)、2mMグルタミンおよび抗生物質を加えた。グルコース含量の低いダルベッコ(Dulbecco)の改良したイーグル(Eagle)の培地を含有する血清非含有培地中で3日間温置した。次に、調整培置(CM)(150ml)を集めて遠心分離(10000×g、15分、4℃)し、細胞くずを除去し、次いで10mMトリス/Cl(pH7.0)であらかじめ平衡にしたヘパリン−セファロースカラムに用いた。次いでカラムを、0.6、1および3M NaClを含有する10mMトリス/Cl(pH7.0)で順次溶出した。流量は21ml/hであった。700μlのフラクションを集め、アリコートを、副腎皮質から得た微毛細管内皮細胞における生物活性の試験に用いた。この生物活性の大部分は、0.6M NaClの存在下で溶出した。このクロマトグラフィーにおける反応は、それぞれ0.9〜1.1M NaCl、1.8〜22M NaClの存在下で溶出することが知られているaFGFまたはbFGFの反応と異なる。
最も生物活性のある0.6M NaClのフラクションをプールし、さらに成長因子活性の分子量の決定の検査に用いた。標準の12.5%ポリアクリルアミドSDSスラブゲルを調製した。10%のグリセロールおよび2%のSDSを、プールしたフラクションに加えた。試料の50%を、2.5%2−メルカプトエタノールで処理した。残りの50%は、2−メルカプトエタノールまたは他の還元剤に露出させなかった。次に試料およびあらかじめ染色した分子量マーカーを37℃で3分間温置し、10mAの電流で終夜電気泳動させた。電気泳動が完了した後、ゲルをPBS中で短時間すすぎ、分子量マーカーのゲルの最上部からの距離を直ちに測定した。次いで厚さ0.5cmの水平方向の薄片21個を、還元条件下で実施したレーンと、非還元条件下で実施したレーンとの両方からカミソリで切断した。次に、薄片を1mlのPBSで2度洗浄し、次いで生物活性の溶出のためにPBS中の0.2%ゼラチン500μlを含有する個別の試験管中で4℃で終夜振とうした。次いで、ゲルの薄片を試験管からとり出し、次いで個々の微粒子から成る物質を除去するために遠心分離した。上層を新しい試験管に移しかえた。各フラクションからの20μlのアリコートを、内皮細胞の生物活性の試験に用いた。
生物活性の唯一のピークは、2−メルカプトエタノールに露出しない群中に観察された。見かけの分子量は、分子量マーカーの位置を、薄片の位置と比較することにより査定したように、約43,000であった。2−メルカプトエタノールに露出した薄片からは生物活性は見られなかった。
この結果は、成長因子の分子量の良い評価を与えるものであり、精製して均質にした分子についての確証を与え、またその活性は還元剤によって消失することを示した。
実施例1
卵胞細胞の培養および培地の採集
ウシの下垂体FCの初期培養を、上述したように(20,41)行った。培養の一例において、引用例20における20%胎児ウシ血清を10%に減少させた。5〜20%の濃度が有効である。またDNA分解酵素を用いない。他の成分は全て同一である。コンフルエンシー(confluency)において、細胞は、10%の胎児ウシ血清、2mMグルタミンおよび抗生物質を加えた、グルコース含量の低いダルベッコの改良したイーグルの培地(DMEM)の存在下の規模の大きい組織培養プレートに移した。コンフルエンシーに達した直後、培養をPBSで十分洗浄し、血清組成物を除去した。次いで、細胞を、DMEMに加え、トランスフェリン(10μl/ml)、インシュリン(5μl/ml)、セレン(10-8M)、2mMグルタミン及び抗生物質を含有する血清非含有培地中で温置した。3〜4日後、培地を集め、新鮮な血清非含有培地と交換した。集めた培地を遠心分離(1000g、15分、4℃で)し、−70℃で貯蔵した。次いで、調製した培地(CM)を3〜4日おきに6週間になるまで集めた。
実施例2
調製培地の濃度
4〜6リットル回分の調整培地(CM)を硫酸アンモニウム沈殿物に反応させた。硫酸アンモニウム(500g/L)を、塩が完全に溶解するまで定常的にかきまぜながら加えた。低温室で8〜12時間後、この物質を遠心分離した(20,000×g、45分、4℃において)。上層を廃棄し、ペレットを10mMトリス/Cl(pH7.2)、50mM NaClで再懸濁させ、4℃で同一の緩衝液を用いて8〜12時間透析した。最終的な量は、初期の量の50〜60分の1であった。
あるいはまた、CMを、10,000の分子量を切り離す膜を用いたアメコン(Amecon)かくはんセル(2.5リットル単位)を用いた限外濾過により濃縮し、同様の結果を得た。
実施例3
ヘパリン−セファロースアフィニティークロマトグラフィー
濃縮したCMを、10mMトリス/Cl(pH7.2)、50mM NaClであらかじめ平衡にしたH−Sカラム(14)(10ml)に用いた。次に、カラムを、280nmにおける吸光が微小になるまで同一の緩衝液で洗浄し、次いで0.15,0.9及び3M NaClを含有する10mMトリス/Cl(pH7.2)で段階的に溶出した。流量は1.5ml/分であった。1.5mlのフラクションを集め、0.2%のゼラチンのPBS溶液で希釈したアリコートを、内皮細胞におけるマイトジェン活性の試験に用いた。
実施例4
逆相HPLC
(a)最も生物活性のあるH−Sフラクション(0.9M NaClをプールしたもの)を、4倍量の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を水溶液で希釈し、0.1TFA/20%アセトニトリルであらかじめ平衡にしたヴァイダック(Vydac)C4HPLCカラム(10×250mm)に用いた。カラムを、線形勾配のアセトニトリル(20〜45%、115分間)で、2ml/分の流量で溶出させた。吸光を21nmで検査した。2mlのフラクションを0.2%のゼラチンのPBS溶液で希釈し、内皮細胞における試験に用いた。
(b)最も生物活性のあるフラクションをプールし、2倍量の0.1%TFA水で希釈し、0.1%TFA/20%2−プロパノールであらかじめ平衡にしたヴァイダックC4HPLCカラム(4.6×250mm)に用いた。カラムを、線形勾配の2−プロパノール(20〜45%、113分間)で溶出した。流量は0.6ml/分であった。フラクションのアリコートを希釈し、生物学的測定に用いた。残りのフラクションはスピード−Vaで乾燥し、SDS/PAGE(29)および構造解析に用いた。
実施例5
生物学的測定
ウシの副腎皮質または脳から得た毛細内皮細胞、おとな、または胎児ウシの大動脈内皮細胞、ヒト臍静脈内皮細胞、ウシ角膜内皮細胞、副腎皮質細胞、レンズ上皮細胞、BHK−21線維芽細胞及びヒト角質細胞を培養し、前記したように(17,47,48,50,51,52,26,53)保持した。生物学的測定のために、細胞を2×104/35mm皿または12枚のマルチウェル(multiwell)プレートにおける1×104/ウェルの濃度の、それらそれぞれの成長培地の存在下で接種した。フラクションを、5μl/mlずつ等量細胞に加えた。4〜5日後、細胞をトリプシンに露出させることにより分離し、クールター(Coulter)カウンターで数えた。
実施例6
蛋白質微細配列決定
第2のC4段階で得られた最も生物活性のあるフラクションからの蛋白質約20pmolを、気相蛋白質配列決定器470A型(アップライド バイオシステムズ)に直接用いた。エドマン分解過程を実施し、アミノ酸誘導体の同定を、オンラインHPLCカラム(54)により行った。
表 現
成長因子の精製はまた、米国特許第4,708,948;4,376,071;4,350,687;4,444,760および4,722,998号に記載されている。
成長因子の組換え体DNAの生成は、米国特許第4,670,394;4,721,672;4,738,927;4,783,412;および4,801,542号に記載されている。
ここに記載した成長因子が本発明および参照として記載した文献に記載された方法によりクローン、生成されることができるであろうことが予想される。
ここに記載した成長因子が、2量体(43,000〜46,000kDa)または単量体(約23kDa)でありうることがわかる。
本発明の二,三の実施例のみを示し、ここに記載したが、種々の改良および変化のために、本発明の本意および範囲を逸脱することなく本発明において新規な内皮細胞成長因子、その単離法、組換えDNA法を用いた製造及び治療(創傷治癒)に用いることができることが当業者に明らかになるであろう。

Claims (29)

  1. ウシ由来の星状小細胞から得ることができ、非還元性条件下に約43〜45kDaの分子量を有する二量体蛋白質の形態をし、かつ、内皮細胞成長因子活性を有し、還元性条件下に約23kDaの分子量を有する単量体蛋白質の形態をしている蛋白質を含むことを特徴とする内皮細胞成長因子組成物。
  2. 前記星状小胞細胞が、供給源であるウシから得られたものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の内皮細胞成長因子組成物。
  3. N−末端にアミノ酸配列1Ala−Pro−Met−Ala−Glu−Gly−Gly−Gln−Lys−Pro−His−Gluを有することを特徴とする請求の範囲第1又は2項に記載の内皮細胞成長因子組成物。
  4. N−末端にアミノ酸配列Ala−Pro−Met−Ala−Glu−Gly−Gly−Gln−Lys−Pro−His−Glu−Val−Val−Lys−Phe−Met−Asp−Val−Tyr−Glnを有することを特徴とする請求の範囲第3項記載の内皮細胞成長因子組成物。
  5. N−末端内部アミノ酸配列:Ala−Pro−Met−Ala−Glu−Gly−Gly−Gln−Lys−Pro−His−Glu−Val−Val−Lys−Phe−Met−Asp−Val−Try−Gln−(Arg)−Ser−Phe−X−Arg−Pro−Ile−Glu−Thr−Leu−(Val)−X−Ile−X−(Gln)−Glu−Try−(Pro)−(ただし、丸かっこ内のアミノ酸は不確実であり、−X−は確定していないアミノ酸を示す)を有することを特徴とする請求の範囲第3項記載の内皮細胞成長因子組成物。
  6. 約43kDaの分子量を有することを特徴とする請求の範囲第1〜5項のいずれか一つの項に記載の内皮細胞成長因子組成物。
  7. 還元性条件下に、それぞれ約23,000ダルトンの分子量を有する2種の同族のユニットを形成することを特徴とする請求の範囲第6項記載の内皮細胞成長因子組成物。
  8. さらに、トリプシン消化の際に得ることができ、
    Figure 0003549202
    からなる群から選択した少くとも1種の内部アミノ酸配列を有することを特徴とする請求の範囲第1〜7項のいずれか一つの項に記載の内皮細胞成長因子組成物。
  9. 内皮細胞のインビトロ増殖を促進するに当り、
    前記内皮細胞に、請求の範囲第1〜8項のいずれか一つの項に記載の内皮細胞成長因子組成物を適用することを特徴とする内皮細胞のインビトロ増殖方法。
  10. 前記細胞を細胞培地において成長させることを特徴とする請求の範囲第9項記載の増殖方法。
  11. 請求の範囲第2項記載の内皮細胞成長因子組成物を製造するに当り、
    (a)ウシから星状小細胞を得;
    (b)該試料の可溶性部分を抽出し;
    (c)生成した抽出物から水性塩沈殿工程を用いて前記内皮細胞成長因子組成物を部分的に精製し;
    (d)この精製抽出物を、固定相として不溶性支持体に結合したヘパリン部分を用いかつ増大する塩濃度の段階的塩勾配移動相を用いるアフィニティークロマトグラフィーを用いて分別し;
    (e)得られた抽出物を、ゲル排除クロマトグラフィーを用いて分別し;
    必要に応じて
    (f)得られた抽出物を、高圧逆相クロマトグラフィーを用いて精製する
    ことを特徴とする実質的に純粋な内皮細胞成長因子組成物の製造方法。
  12. 前記水性塩沈殿工程(c)において、硫酸アンモニウムを用いることを特徴とする請求の範囲第11項記載の製造方法。
  13. 前記分別工程(d)において、ヘパリンをセファロースに付着させ;
    前記精製工程(f)において、アセトニトリル勾配を用いて高性能逆相クロマトグラフィーを行なうことを特徴とする請求の範囲第11項または第12項記載の製造方法。
  14. 濃厚な、請求の範囲第1項記載の内皮細胞成長因子組成物を製造するに当り、
    (a)ウシ由来の星状小胞細胞培養物の調整培地を用いて星状小細胞を得;
    (b)工程(a)の試料を、固定相として不溶性支持体に結合したヘパリン部分を用いかつ増大する塩濃度の塩勾配移動相を用いて分別し;
    (c)工程(b)の生物活性フラクションを、ゲル電気泳動を用いて精製する
    ことを特徴とする内皮細胞成長因子組成物の製造方法。
  15. 前記分別段階において、前記成長因子を約0.6〜1.0モルの範囲の塩化ナトリウム濃度で溶離することを特徴とする請求の範囲第14項記載の製造方法。
  16. 精製工程において、ゲルがポリアクリルアミドであることを特徴とする請求の範囲第14項記載の製造方法。
  17. 細胞の成長/増殖を刺激するのに有効な量の請求の範囲第1〜9項のいずれか一つの項に記載の内皮細胞成長因子組成物および製造上許容できる担体賦形剤を含有することを特徴とする成長を刺激する創傷治療用の薬剤。
  18. 前記担体賦形剤が非経口用担体賦形剤であることを特徴とする請求の範囲第17項記載の薬剤。
  19. 請求項1〜8項のいずれか1項に記載の内皮細胞成長因子組成物を約10〜約500ピコグラム/ミリリットルの範囲の濃度で存在させることにより、ヒトにおける創傷の治癒に適合させたことを特徴とする創傷治療用の薬剤。
  20. (e)前記工程(f)の前に、液体クロマトグラフィーを用いて、試料を分別することを特徴とする請求の範囲第11項記載の製造方法。
  21. 前記液体クロマトグラフィーが陽イオン交換クロマトグラフィーであることを特徴とする請求の範囲第20項記載の製造方法。
  22. 前記工程(f)において、前記高圧逆相液体クロマトグラフィーを、水性アセトニトリル勾配を用いて行なうことを特徴とする請求の範囲第20項または第21項記載の製造方法。
  23. 更に、(g)前記工程(f)の濃厚な生成物を、水性イソプロパノール勾配を用いる高性能逆相液体クロマトグラフィーを用いて精製することを特徴とする請求の範囲第20〜22項のいずれか一つの項に記載の製造方法。
  24. 請求の範囲第11項記載の製造方法によって得ることができることを特徴とする内皮細胞成長因子組成物。
  25. 請求の範囲第1項記載の内皮細胞成長因子組成物を製造するに当たり、
    (a)ウシ由来の星状小胞細胞培養物を用いて、星状小細胞を得;
    (b)該試料の可溶性部分を抽出し;
    (c)生成した抽出物から水性塩沈殿工程を用いて前記内皮細胞成長因子組成物を部分的に精製し;
    (d)この精製抽出物を、固定相として不溶性支持体に結合したヘパリン部分を用いかつ増大する塩濃度の段階的勾配移動相を用いるアフィニティークロマトグラフィーを用いて分別し;
    (e)得られた抽出物を高圧逆相クロマトグラフィーを用いて分別し;
    (f)得られた抽出物を第2の高圧逆相クロマトグラフィーを用いて精製する
    ことを特徴とする実質的に純粋な内皮細胞成長因子組成物の製造方法。
  26. 前記工程(e)において、アセトニトリル勾配を用いることを特徴とする請求の範囲第25項記載の製造方法。
  27. 前記工程(f)において、プロパノールを用いることを特徴とする請求の範囲第25項または第26項記載の製造方法。
  28. 前記水性塩沈殿工程(c)がアンモニウム塩沈殿工程を含むことを特徴とする請求の範囲第25〜27項のいずれか一つの項に記載の製造方法。
  29. 創傷治療用医薬の製造に用いる、請求の範囲第1〜8項のいずれか一つの項に記載の内皮細胞成長因子組成物の使用方法。
JP50705690A 1989-03-24 1990-03-22 内皮細胞成長因子、その分離および発現 Expired - Lifetime JP3549202B2 (ja)

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US32818189A 1989-03-24 1989-03-24
US328,181 1989-03-24
US34616589A 1989-05-02 1989-05-02
US346,165 1989-05-02
US36023589A 1989-06-01 1989-06-01
US360,235 1989-06-01

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04504262A JPH04504262A (ja) 1992-07-30
JP3549202B2 true JP3549202B2 (ja) 2004-08-04

Family

ID=27406587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50705690A Expired - Lifetime JP3549202B2 (ja) 1989-03-24 1990-03-22 内皮細胞成長因子、その分離および発現

Country Status (12)

Country Link
EP (1) EP0464155B1 (ja)
JP (1) JP3549202B2 (ja)
AT (1) ATE152626T1 (ja)
AU (1) AU647737B2 (ja)
CA (1) CA2050318C (ja)
DE (1) DE69030660T2 (ja)
DK (1) DK0464155T3 (ja)
ES (1) ES2103740T3 (ja)
IL (1) IL93846A0 (ja)
NZ (1) NZ233067A (ja)
PT (1) PT93560B (ja)
WO (1) WO1990011084A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5332671A (en) * 1989-05-12 1994-07-26 Genetech, Inc. Production of vascular endothelial cell growth factor and DNA encoding same
US7300791B2 (en) 1989-05-12 2007-11-27 Genentech, Inc. Production of vascular endothelial cell growth factor and DNA encoding same
US5194596A (en) * 1989-07-27 1993-03-16 California Biotechnology Inc. Production of vascular endothelial cell growth factor
DE69233739D1 (de) * 1992-10-28 2008-08-07 Genentech Inc Verwendung von Antagonisten des Zellwachstumsfaktors VEGF
CN1701814A (zh) * 1992-11-13 2005-11-30 马克斯普朗克科学促进协会 作为血管内皮生长因子受体的f1k-1
ES2211165T3 (es) 1998-09-09 2004-07-01 Scios Inc. Uso de un factor angiogenico para el tratamiento de angiopatias microvasculares.
US7030083B2 (en) 1998-09-09 2006-04-18 University Of Washington Treatment of eclampsia and preeclampsia
US6783953B1 (en) 1998-12-22 2004-08-31 Janssen Pharmaceutica N.V. Vascular endothelial growth factor-X
AU2884102A (en) 2000-12-07 2002-06-18 Sangamo Biosciences Inc Regulation of angiogenesis with zinc finger proteins
US7067317B2 (en) 2000-12-07 2006-06-27 Sangamo Biosciences, Inc. Regulation of angiogenesis with zinc finger proteins

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4456550A (en) * 1982-11-22 1984-06-26 President And Fellows Of Harvard College Vascular permeability factor
US5008196A (en) * 1987-08-21 1991-04-16 Monsanto Company Stimulation of endothelial cell growth
US5240848A (en) * 1988-11-21 1993-08-31 Monsanto Company Dna sequences encoding human vascular permeability factor having 189 amino acids
US5332671A (en) * 1989-05-12 1994-07-26 Genetech, Inc. Production of vascular endothelial cell growth factor and DNA encoding same
DE69024261T2 (de) * 1989-05-24 1996-07-18 Merck & Co Inc Reinigung und Charakterisierung eines von einem Glioma abstammenden Wachstumsfaktors
US5194596A (en) * 1989-07-27 1993-03-16 California Biotechnology Inc. Production of vascular endothelial cell growth factor

Also Published As

Publication number Publication date
WO1990011084A1 (en) 1990-10-04
EP0464155B1 (en) 1997-05-07
ATE152626T1 (de) 1997-05-15
EP0464155A4 (en) 1992-05-06
IL93846A0 (en) 1990-12-23
DK0464155T3 (da) 1997-11-17
AU5565990A (en) 1990-10-22
CA2050318C (en) 2011-04-12
DE69030660T2 (de) 1997-09-25
EP0464155A1 (en) 1992-01-08
DE69030660D1 (de) 1997-06-12
ES2103740T3 (es) 1997-10-01
CA2050318A1 (en) 1990-09-25
JPH04504262A (ja) 1992-07-30
NZ233067A (en) 1993-05-26
PT93560A (pt) 1990-11-07
AU647737B2 (en) 1994-03-31
PT93560B (pt) 1996-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5811393A (en) Heparin binding mitogen with homology to epidermal growth factor (EGF)
Gospodarowicz et al. Corpus luteum angiogenic factor is related to fibroblast growth factor
Plouet et al. Isolation and characterization of a newly identified endothelial cell mitogen produced by AtT‐20 cells.
Joseph-Silverstein et al. Endothelial cell growth factors and the vessel wall
KR100628697B1 (ko) 맥관 내피 성장인자 d를 발현하는 발현 벡터와 셀라인,및 흑색종을 치료하는 방법
CA2079585C (en) Ligand for the neu gene product
US20060025577A1 (en) Endothelial cell growth factor methods of isolation and expression
US6734168B2 (en) Endothelial monocyte activating polypeptide II: a mediator which activates host response
Cox et al. Isolation and characterisation of milk growth factor, a transforming‐growth‐factor‐β2‐related polypeptide, from bovine milk
EP0579626A1 (en) Method and agents for promoting wound healing
JPH07504650A (ja) 細胞外マトリックスの蓄積を防止するためのトランスフォーミング増殖因子βの阻害
KR19990066981A (ko) 치료용 맥관형성억제 조성물 및 방법
JP3549202B2 (ja) 内皮細胞成長因子、その分離および発現
EP0505148A1 (en) Stimulating factor of the neu receptor
Presta et al. New aspects of blood vessel growth: tumor and tissue-derived angiogenesis factors
IE913816A1 (en) Cell growth inhibitors
US5262298A (en) Method to assess the ability of a substance to inhibit or stimulate keratinocyte autocrine factor production
JPH07132095A (ja) Dnaおよびそのコードする蛋白質
US6235884B1 (en) Heparin binding mitogen with homology to epidermal growth factor (EGF)
US5484767A (en) Substantially pure steroidogenesis inducing protein and uses thereof
CA1295940C (en) Therapeutic treatment of abnormal cell growth with follicle regulatoryprotein

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090430

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090430

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100430

Year of fee payment: 6

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100430

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100430

Year of fee payment: 6