JP3547893B2 - 舞台装置の吊物運転制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は舞台装置の吊物の位置を同期運転する吊物運転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の舞台機構の吊物運転装置として、図2に示すような構成のものが知られている。
この従来の舞台機構の吊物運転制御装置は、任意の台数のモータによりそれぞれ昇降駆動される各吊物の現在位置を検出する位置検出手段11〜1Nと、これら各位置検出器11〜1Nの出力から吊物の現在位置を演算する現在位置演算部21〜2Nと、外部からの位置同期運転指令信号3の入力に対してその立上りタイミングを検出する立上り検出器4と、現在位置演算部21〜2Nで求められた現在位置を立上り検出器4で検出された位置同期運転指令信号の立上りタイミングで記憶する運転開始位置記憶部51〜5Nと、立上り検出器4により位置同期運転指令信号の立上りタイミングが検出された後、一定時間毎に現在位置演算部21〜2Nの各々の出力と位置記憶部51〜5N各々が記憶している運転開始位置とを比較し、各吊物の移動量を演算する実質移動量演算部61〜6Nとを備えている。
【0003】
さらに、マスタ機器により設定された速度基準と位置同期運転指令とが入力され、吊物の理論上の移動量を一定時間毎に求める理論移動量演算部8、この理論移動量演算部8で求められた理論上の移動量と実質移動量演算部61〜6Nでそれぞれ求められた各吊物の移動量とを一定時間毎に比較し、移動量偏差をそれぞれ求める偏差演算部91〜9Nと、これら各偏差演算部91〜9Nで求められた移動量偏差に基づいて第1〜第Nの吊物の可変速モータの速度基準の補正量を求める速度基準補正量演算部101〜10Nとを備えている。
【0004】
このような従来の舞台装置の吊物運転制御装置において、第1〜第Nの吊物各々の現在位置を位置演算部21〜2Nによって演算し、立上り検出器4により検出される位置同期運転指令信号3の立上りタイミングによって位置演算部21〜2Nが各々算出した第1乃至第Nの吊物の現在位置を位置記憶部51〜5Nによって運転開始位置として記憶する。
【0005】
そして、移動量演算部61〜6Nでは、立上り検出器4が位置同期運転指令信号3の立上りタイミングを検出してから、一定時間毎に位置記憶部51〜5Nに記憶している運転開始時の各吊物の位置をもとに現在位置演算部21〜2Nで求められる実現在位置までの移動量を算出して偏差演算部91〜9Nにそれぞれ加える。
【0006】
一方、理論移動量演算部8では、マスタ機器で設定された速度基準と位置同期運転指令信号3から吊物の理論上の移動量を一定時間毎に求め、偏差演算部91〜9Nに各々入力する。
【0007】
これら各偏差演算部91〜9Nでは、現在位置演算部21〜2Nで求められる実現在位置までの移動量と理論移動量演算部8で求められた理論上の移動量とを一定時間毎に比較して移動量偏差を求め、速度基準補正量演算部101〜10Nにそれぞれ加えられる。
【0008】
各速度基準補正量演算部101〜10Nでは、各偏差演算部91〜9Nで求められた移動量偏差に基づいて求められた第1〜第Nの吊物をそれぞれ駆動する図示しない可変速モータの速度基準の補正量として出力する。
【0009】
このようにして求められた各可変速モータの速度基準の補正量は、可変速モータ各々の速度制御系の速度基準発生器からの速度基準に加減算されて正規の速度基準とし、各々の可変速モータのフィードバック制御が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の舞台装置の吊物運転制御装置は、吊物に吊下げる重量のばらつきなどにより速度補正を行っても補正通りに吊物を運転できないことがあり、補正を行っているにも関わらず補正量よりも遅れて運転されることがある。
【0011】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、各吊物をそれぞれ駆動する可変速モータを同期させて運転制御することができる舞台装置の吊物運転制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により舞台装置の吊物運転制御装置を構成するものである。
請求項1に対応する発明は、複数台の可変速モータに取付けられたそれぞれの吊物位置を同期運転しながら制御する舞台装置の吊物運転制御装置において、前記可変速モータのそれぞれに取付けられた吊物位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、この位置検出手段の出力信号から現在位置を演算する現在位置演算手段と、外部からの位置同期運転指令信号の入力を検出する運転指令入力検出手段と、この運転指令入力検出手段により位置同期運転指令信号が検出されると前記現在位置演算手段により求められた吊物の位置を運転開始位置として記憶する運転開始位置記憶手段と、前記現在位置演算手段により求められた吊物の現在位置と前記運転位置開始位置記憶手段に記憶された吊物の運転開始位置とから前記位置同期運転指令信号の入力時から吊物が移動した移動量を演算する移動量演算手段と、この移動量演算手段の各々の出力から移動量の最大値、最小値を検出する移動量最大及び最小値検出手段と、この移動量最大及び最小値検出手段で求められた移動量の最大値と最小値とを記憶する最大値及び最小値記憶手段と、この最大値及び最小値記憶手段に記憶された移動量の最大値と最小値の平均値を演算する移動量平均値演算手段と、前記移動量演算手段で求められた各吊物の移動量と前記移動量平均値演算手段で求められた平均値との偏差を演算する偏差演算手段と、この偏差演算手段で求められた偏差をもとに速度基準の補正量を演算し、この補正量を前記可変速モータのフィードバック制御系に与える速度基準補正量演算手段とを備える。
【0013】
このような構成の舞台装置の吊物運転制御装置にあっては、複数台の可変速モータに取付けられた吊物の位置が位置検出手段によって検出されると現在位置演算手段により現在位置が演算され、外部からの位置同期運転指令信号が運転指令入力検出手段によって検出されると、運転指令入力検出手段が検出した位置同期運転指令信号入力時に現在位置演算部で求められた吊物位置が運転開始位置記憶手段に運転開始位置として記憶される。
【0014】
そして、移動量演算手段によって現在位置演算手段の出力と運転開始位置記憶手段に記憶されている吊物の運転開始位置とから、位置同期運転指令信号の入力時から吊物の移動した移動量を求め、さらに吊物各々の移動量の最大値と最小値を求めてこれら移動量の平均値と実際に吊物が移動した移動量との偏差から、同期運転速度で可変速モータによって吊物が運転されるように可変速モータ各々に必要な速度基準補正量を算出して各可変速モータの速度制御系に与える。
従って、複数台の可変速モータによって運転されている吊物の位置同期運転制御を可変モータ個別の速度制御系によって実現することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明による舞台装置の吊物運転制御装置の構成例を示すブロック図で、図2と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0016】
図1に示すように、任意の台数のモータによりそれぞれ昇降駆動される各吊物の現在位置を検出する位置検出器11〜1Nと、これら各位置検出器11〜1Nの出力から吊物の現在位置を演算する現在位置演算部21〜2Nと、外部からの位置同期運転指令信号3の入力に対してその立上りタイミングを検出する立上り検出器4と、現在位置演算部21〜2Nで求められた現在位置を立上り検出器4で検出された位置同期運転指令信号の立上りタイミングで記憶する運転開始位置記憶部51〜5Nと、立上り検出器4により位置同期運転指令信号の立上りタイミングが検出された後、一定時間毎に現在位置演算部21〜2Nの各々の出力と運転開始位置記憶部51〜5Nが記憶している運転開始位置とを比較し、各吊物の移動量を演算する移動量演算部61〜6Nとを備えている。
【0017】
さらに、移動量演算部61〜6Nでそれぞれ求められた各吊物の実質移動量がそれぞれ入力され、これら移動量のうち最大値と最小値の移動量を検出する移動量最大値及び最小値検出器7と、この移動量最大値及び最小値検出器7により検出された最大値移動量と最小値移動量をそれぞれ記憶する最大値記憶部11及び最小値記憶部12と、これら最大値記憶部11及び最小値記憶部12に記憶された最大値移動量と最小値移動量との平均値を算出する移動量平均値演算部8と、移動量演算部61〜6Nにより求められた各吊物の移動量と移動量平均値演算部8により求められた平均値との偏差を演算する偏差演算部91〜9Nと、この偏差演算部91〜9Nで求められた偏差をもとに各吊物の可変速モータの速度基準の補正量を決定し、可変速モータのフィードバック制御系に与える速度基準補正量演算部101〜10Nを備えている。
【0018】
次に上記のように構成された舞台装置の吊物運転制御装置の作用について説明する。
いま、位置検出器11〜1Nによって複数台の可変速モータに取付けられた各吊物の位置が検出されると、その出力信号が現在位置演算部21〜2Nに取込まれ、各吊物の現在位置が求められる。このとき外部からの位置同期運転指令が位置同期運転立上り検出器4に入力されると、この位置同期運転立上り検出器4では位置同期運転指令信号の立上りタイミングを検出し、運転開始位置記憶部51〜5Nに各吊物の運転開始位置を記憶する。
【0019】
また、移動量演算部61〜6Nでは、運転開始位置記憶部51〜5Nに記憶された運転開始時の各吊物の位置と、運転開始後一定時間毎に現在位置演算部21〜2Nにより求められる現在位置とを比較し、各吊物の運転開始位置からの移動量をそれぞれ演算する。
【0020】
さらに、これら各移動量演算部61〜6Nで求められた運転開始位置からの移動量は、移動量最大値及び最小値検出器7に取込まれ、これら移動量の中から最大値の移動量と最小値の移動量とを検出し、最大値記憶部11及び最小値記憶部12にそれぞれ記憶する。そして、この最大値記憶部11及び最小値記憶部12に記憶された移動量の最大値と最小値とがそれぞれ移動量平均値演算部8に取込まれ、ここでその平均値が演算される。
【0021】
一方、偏差演算部91〜9Nでは、移動量演算部61〜6Nで求められた運転開始位置から現時点までの移動量と移動量平均値演算部8で求められた平均値との偏差がそれぞれ演算され、その偏差が速度基準補正量演算部101〜10Nにそれぞれ取込まれる。この速度基準補正量演算部101〜10Nでは、同期運転速度で可変速モータによって各吊物が運転されるように可変速モータ各々に必要な速度基準補正量を算出して可変速モータの速度制御系に与える。
【0022】
従って、各吊物に吊下げられた重量のばらつき等により移動量が異なっても、吊物の最大値移動量と最小値移動量の平均値を求めてこれと実質移動量との偏差を速度補正量としているので、可変速モータによって運転される各吊物の位置を同期させた状態で制御を行うことができる。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、各吊物の運転開始位置からの最大移動量と最小移動量を検出してその平均値を求め、この平均値と実質移動量との偏差を各可変速モータの速度基準の補正量として決定し、これをフィードバック制御系に与えて各可変速モータを個別に速度制御するようにしたので、各可変速モータによって運転される吊物の位置を同期制御することができる舞台装置の吊物運転制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による舞台装置の吊物運転制御装置の実施の形態の構成例を示すブロック回路図。
【図2】従来の舞台装置の吊物運転制御装置の構成例を示すブロック回路図。
【符号の説明】
11〜11N……位置検出器
21〜2N……位置演算部
3……位置同期運転指令信号
4……位置同期運転立上り検出器
51〜5N……位置記憶部
61〜6N……移動量演算部
7……移動量最大及び最小値検出部
8……移動量平均値演算部
91〜9N……偏差演算部
101〜10N……速度補正量演算部
11……最大値記憶部
12……最小値記憶部

Claims (1)

  1. 複数台の可変速モータに取付けられたそれぞれの吊物位置を同期運転しながら制御する舞台装置の吊物運転制御装置において、
    前記可変速モータのそれぞれに取付けられた吊物位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、この位置検出手段の出力信号から現在位置を演算する現在位置演算手段と、外部からの位置同期運転指令信号の入力を検出する運転指令入力検出手段と、この運転指令入力検出手段により位置同期運転指令信号が検出されると前記現在位置演算手段により求められた吊物の位置を運転開始位置として記憶する運転開始位置記憶手段と、前記現在位置演算手段により求められた吊物の現在位置と前記運転位置開始位置記憶手段に記憶された吊物の運転開始位置とから前記位置同期運転指令信号の入力時から吊物が移動した移動量を演算する移動量演算手段と、この移動量演算手段の各々の出力から移動量の最大値、最小値を検出する移動量最大及び最小値検出手段と、この移動量最大及び最小値検出手段で求められた移動量の最大値と最小値とを記憶する最大値及び最小値記憶手段と、この最大値及び最小値記憶手段に記憶された移動量の最大値と最小値の平均値を演算する移動量平均値演算手段と、前記移動量演算手段で求められた各吊物の移動量と前記移動量平均値演算手段で求められた平均値との偏差を演算する偏差演算手段と、この偏差演算手段で求められた偏差をもとに速度基準の補正量を演算し、この補正量を前記可変速モータのフィードバック制御系に与える速度基準補正量演算手段とを備えたことを特徴とする舞台装置の吊物運転制御装置。
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