JP3547593B2 - 排気タービン過給機の構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル機関などの内燃機関に併設され、タービン入口ケース内に固設されるノズルリングを備えた排気タービン過給機の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関などの内燃機関に併設されている排気タービン過給機は、内燃機関の排気を利用してタービンを回転させ、その発生動力で機関への給気を行うコンプレッサを駆動し、この機関の出力増大、効率の向上が図られるものである。
【0003】
ところが、この排気タービン過給機は、タービンを回転させる源がディーゼル機関の排気であるために、特に低質燃料油を使用する機関では、排気中に含まれるカーボンなどの燃焼残さ物Xが、タービン内、特に図12に示すように排気をタービン動翼に導く静翼であるタービンノズル翼40に付着し、堆積してしまい、過給機及び機関の出力性能を著しく低下させる原因となっており、この燃焼残さ物Xの堆積量が過大になるとタービンノズル翼40における排気の流入が困難になり、運転不能となる問題となっていた。
【0004】
このタービン内に付着する燃焼残さ物を除去する方法としては、従来では、機関及び過給機を低負荷運転とし、この過給機内に所定の圧力の水を流し込む水による洗浄方法や、機関及び過給機を常用の70〜80%のやや軽い負荷運転として、この過給機内に破砕活性炭や破砕米などの固形粉体物を所定の圧力の雑用空気とともに噴出・撒布させて、その衝撃による機械的エネルギーにて洗浄を行う方法などを行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の過給機の洗浄方法では、初期の段階における洗浄時では効果のある除去が行えるが、完全に燃焼残さ物を除去することは不可能であり、洗浄作業を定期的に繰り返し行っても、付着した燃焼残さ物は徐々に堆積状態となり、過給機及び機関の性能を完全に回復させることが困難である問題がある。
【0006】
このようなことから、定期的に過給機を分解し洗浄するオーバーホール作業が必要となるが、このオーバーホール作業も、非常に煩雑な作業であり、工期が長大となる問題があり、容易に付着する燃焼残さ物を取り除く方法が望まれている。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、内燃機関による燃焼残さ物がタービン内のノズルリング部分に容易に付着することがなく、過給機及び内燃機関の出力性能を低下させることのない排気タービン過給機の構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の排気タービン過給機の構造は、軸心方向に内燃機関2の排気を導く複数のタービン静翼18が、リング状プレート16の一方の面16aに配設され、該リング状プレート16の他方の面16bがタービン入口ケース6内の取付面6aと対接して固設されるノズルリング15を備えた排気タービン過給機1の構造において、前記ノズルリング15の前記リング状プレート16の他方の面16bおよびまたは該他方の面16bと対接する前記タービン入口ケース6の取付面6aに凹溝状の通路20が形成され、該通路20内に前記タービン入口ケース6の外部よりエアが流入される構成としている。
【0009】
前記各タービン静翼18における前記排気の流出側となる前記リング状プレート16の内周16d側に、該リング状プレート16の他方の面16b側の前記通路20と一方の面16aとを連通して該リング状プレート16を貫通するとともに、前記一方の面16aにおける開口19aが、前記タービン静翼18の翼面18bにおける前記排気の流れにて生じる負圧の発生する面18bに向いて形成される噴出孔19を有する構造とし、該噴出孔19より前記エアが噴出される構成とすることを特徴とする。
【0010】
また、前記通路20内に流入されるエアは、コンプレッサにて圧縮されて供給される構成としてもよく、さらには、コンプレッサにて圧縮されるとともに、冷却器にて冷却されて供給される構成としてもよい。
【0011】
さらに、前記コンプレッサは、前記排気タービン過給機1を構成するコンプレッサ4よりなり、前記内燃機関2へ供給するエアの一部を前記通路20内に流入させる構成としてもよい。
【0012】
また、前記各タービン静翼18における前記排気の流出側の端縁18aが、前記リング状プレート16の板面に対して所定の角度に傾斜して形成される構造としてもよい。
【0013】
このような構成により、通路20内に流入されるエアがノズルリング15を冷却することとなり、また、この通路20内のエアを噴出孔19より噴出させることで、このノズルリング15のタービン静翼18への燃焼残さ物の付着を低下させることとなる。
また、通路20内に流入されるエアをコンプレッサ4にて圧縮させ、かつ冷却器13にて冷却させることにより、タービン静翼18への燃焼残さ物の付着をさらに防ぐことが可能となる。
さらに、タービン静翼18の排気の流出側端縁18aを傾斜形成させたことにより、この排気の流れによる負圧発生面が減少され、このことからも燃焼残さ物の付着を抑えることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による排気タービン過給機の構造の実施の形態を示す側断面図、図2は同排気タービン過給機のノズルリング部分の拡大断面図、図3は同拡大斜視図である。
【0015】
排気タービン過給機1は、図4に示すように、ディーゼル機関などの内燃機関2に併設されており、図1に示すように、ラジアル式のタービン3と遠心式のコンプレッサ4とで略構成されている。
【0016】
タービン3は、内燃機関2の排気を、各気筒2aに接続されている排気管5を介してタービン入口ケース6より軸心方向に導入してタービン3内のタービン動翼7を回転駆動させるとともに、このタービン動翼7と同軸に設けられているコンプレッサ4側のインペラ8を回転させるようになっている。
【0017】
また、コンプレッサ4側では、フィルタサイレンサ9を備えた空気吸込口10から取り込まれるエアを、回転するインペラ8と遠心力によって圧力を高め、コンプレッサ出口ケース11より送出し、この圧縮されたエアを給気管12を介して内燃機関2の各気筒2aに供給させるようになっている。
【0018】
なお、給気管12の中途には、図4に示すように、水冷式の冷却器13が配設されており、コンプレッサ4にて圧縮されたエアを冷却して内燃機関2に供給させるようになっている。
【0019】
また、給気管12の冷却器13の出口側に近接する中途には、図4に示すように、後述するタービン3側のノズルリング15へ冷却されたエアを送出する冷却エア配管14が分岐接続されている。
【0020】
次に、前述したタービン3には、図1に示すように、タービン動翼7の外周に位置するタービン入口ケース6内にノズルリング15が固設されている。
【0021】
このノズルリング15は、環状の円板よりなるリング状プレート16と、このリング状プレート16と一体に成形される複数のタービン静翼18で構成されている。
【0022】
各タービン静翼18は、図3に示すように、リング状プレート16の一方の面16aに対して立設するように設けられているとともに、リング状プレート16の外周縁16cから内周縁16dにかけて所定の角度に傾斜した略放射状に配設されており、外周縁16c側から内周縁16d側へ、すなわち軸心方向であるタービン動翼7に排気を導くようにそれぞれが設けられている。
【0023】
また、各タービン静翼18は、図2及び図3に示すように、リング状プレート内周側16dとなる排気の流出側の端縁18aが、リング状プレート16の板面(16a)上の垂線に対して所定の角度、例えば、40〜60°好ましくは40°傾斜して略台形状に形成されている。
【0024】
また、このリング状プレート16の他方の面16bには、図3に示すように、やや内周側16dに位置して、周方向に連続する凹溝状の通路20Aが形成されている。
【0025】
さらに、このノズルリング15には、リング状プレート16を貫通し、このリング状プレート16の一方の面16aと他方の面16b側の通路20Aとを連通する噴出孔19が穿設されている。
【0026】
この噴出孔19は、少なくとも1つ又は複数、本実施の形態では、図3に示すように、2個1組で構成され、各タービン静翼18における前記排気の流出側となる前記リング状プレート16の内周側16dに位置して配設され、一方の面16aにおける開口19aが、タービン静翼18の翼面における排気の流れにて生じる負圧の発生する面となる一方の翼面18bに近接しこの翼面18bに向くように形成されている。
【0027】
また、このノズルリング15が固設されるタービン入口ケース6内の取付面6aには、ノズルリング15のリング状プレート16に形成される通路20Aと対向するように、環状に連続した凹溝状の通路20Bが形成されており、すなわち、この取付面6aの通路20Bとノズルリング15の通路20Aの各通路により、図2に示すような断面略円形の連続した通路20が環状に形成されるようになっている。
【0028】
このタービン入口ケース6内に形成される通路20Bの中途には、図1及び図2に示すように、タービン入口ケース6を貫通する接続孔21が穿設され、このタービン入口ケース6の外側面に接続口21aが開口形成されている。
【0029】
この接続口21aには、前述した給気管12の中途に分岐接続されている冷却エア配管14の先端が接続されている。
【0030】
そして、この冷却エア配管14により、コンプレッサ4で圧縮され冷却器13にて冷却された内燃機関2への給気のためのエアの一部が、接続孔21を介して通路20内に流入するようになっている。
なお、この冷却エア配管14には、中途にストップ弁が設けられている。
【0031】
次に、以上のように構成された排気タービン過給機1の動作について説明する。
【0032】
まず、前述したように、この排気タービン過給機1は、タービン3に、内燃機関2の排気が排気管5を介してタービン入口ケース6より導入されてタービン3内のタービン動翼7が回転駆動し、このタービン動翼7に同軸に設けられているコンプレッサ4側のインペラ8が回転して、コンプレッサ4の空気吸込口10から取り込まれるエアを、インペラ8によって圧力を高め、コンプレッサ出口ケース11より送出し、この圧縮されたエアを冷却器13にて冷却した後、給気管12を介して内燃機関2の各気筒2aに供給させる。
【0033】
同時に、コンプレッサ4にて圧縮され冷却器13にて冷却されたエアの一部が、給気管12の中途に分岐接続された冷却エア配管14によってタービン3側へ送られ、タービン入口ケース6の接続孔21を介して、通路20内に流入する。
【0034】
すると、この通路20内に流入されるエアにより、ノズルリング15が冷却され、また、このノズルリング15のリング状プレート16に穿設されている各噴出孔19よりエアが各タービン静翼18の翼面18bに向けて噴出される。
【0035】
このノズルリング15のタービン静翼18は、タービン入口ケース6よりタービン動翼7へ排気を導き流入させるために、このタービン動翼7の周囲から排気をスムーズに軸心方向に流れるよう軸心を通る放射線に対して所定の角度に傾斜させ流入角を設けた構造となっていることから、このタービン静翼18の一方の翼面18bにおける排気の流出側(16d)に負圧が発生するが、この流出側の端縁18aが傾斜形成されており、かつ噴出孔19より噴出されるエアが翼面18bに当たることにより、負圧部分の発生が減少されることとなる。
【0036】
これにより、排気中に含まれるカーボンやバナジウム,ナトリウム,鉄などの化合物などの燃焼残さ物がタービン静翼18の翼面18bに付着せず、この燃焼残さ物は排気とともにタービン動翼7へと流出される。
【0037】
また、リング状プレート16及び各タービン静翼18が通路20内のエアにより冷却され、ノズルリング15が高温にならないことからも、タービン静翼18の翼面18bに対して燃焼残さ物が付着しにくくなることとなる。
【0038】
なお、燃焼残さ物は排気とともに、タービン動翼7を回転駆動させ通過したのち、排気ディフューザ22を介しタービン3の外部、例えば煙突より排出される。
【0039】
従ってこのように構成された排気タービン過給機1の構造では、タービン3における内燃機関2の排気をタービン動翼7に導くノズルリング15に、エアが流入される通路20A(20)と、各タービン静翼18の翼面18bにエアを噴出させる噴出孔19を設けるとともに、タービン静翼18の流出側の端縁18aを所定角度に傾斜形成させたことにより、従来各タービン静翼18の翼面18bに付着し堆積していた内燃機関2の排気中に含まれるカーボンなどの燃焼残さ物が、この翼面18bに対して付着が起こりにくくなり、従来のように堆積してしまう不具合が減少することから、排気の流入及び流出が困難とならず、この過給機1及び内燃機関2の出力性能を低下させることがなくなる。
【0040】
また、この過給機1及び内燃機関2の通常の運転中に、燃焼残さ物の付着が防止されることから、この排気タービン過給機1の保守・点検の頻度を減少させることが可能となり、洗浄のために過給機1及び内燃機関2を停止させたり、また機関出力を弱めるなどの煩雑な作業が不要となる。そして、このことから、タービン3の洗浄作業が軽減されることとなる。
【0041】
さらに、各タービン静翼18に噴出させるエアを、コンプレッサ4にて圧縮され冷却器13にて冷却された内燃機関2に供給させるためのエアの一部を用いることから、排気タービン過給機1として無駄な構成がなく、また、複雑な機構を有せず、効率のよいものとなる。
【0042】
また、上述したように、タービン静翼18がエアにより冷却させられることから、このタービン静翼18は排気による高温に曝されないこととなり、このタービン静翼18の材質について、耐熱温度を従来より低く設定でき、これにより、安価な材料を選定して製作が可能となることとなる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、タービン静翼18の翼面18bに対して噴出されるエアを、コンプレッサ4にて圧縮した後に冷却器13にて冷却したエアを用いる例について述べたが、このエアは、冷却する以前のコンプレッサ4にて圧縮されたエアを用いる構成としてもよい。
この場合、図5に示すように、コンプレッサ4のコンプレッサ出口ケース11から延出する給気管12の中途の配管14’を分岐接続し、この配管14’をタービン3のタービン入口ケース6に設けられた接続孔21に接続させ、圧縮されたエアを通路20内に流入させる構成とする。
【0044】
また、上述した実施の形態では、タービン静翼18の翼面18bに対して噴出されるエアを、この排気タービン過給機1を構成するコンプレッサ4にて圧縮し冷却器13にて冷却したエアを用いる例について述べたが、これらコンプレッサ及び又は冷却器を排気タービン過給機1とは別構成、すなわち別体に構成されるコンプレッサ等を用いエアを送る構造としてもよい。
【0045】
【実施例】
次に、上述した実施の形態における、具体的な実施例について説明する。
【0046】
まず、この実施例において用いる排気タービン過給機1の基本性能は、
最大許容過給機回転速度:36000rpm
最大許容圧力比:4.0
タービン入口許容排気ガス温度:650℃
空気流量(π=3):1.92〜3.55m/s
適用機関出力:1075〜1995kW,1460〜2715PS
過給機乾燥質量:500kg
とされる。
【0047】
また、計測機器としては、シース熱電対を用いた温度計測器であり、温度計測位置は、図6に示すように、ノズルリング15における各タービン静翼18の2か所、本実施例ではタービン3の排気入口3aに最も近接した位置のタービン静翼18Aと、最も離れた位置のタービン静翼18Bの各排気流出側(16d)の負圧の発生する翼面18bに、図7に示すように、前記シース熱電対30をそれぞれ貼着固定し、これら翼面18bの表面温度を計測し、同時に、タービン3の排気入口3aにおける内燃機関2の排気ガスの温度を計測する。
なお、シース熱電対30は、翼面18bにステンレス箔31にて被覆固定させる。
【0048】
そして、上記仕様において、21000rpm,25000rpm,29000rpm,32000rpm,36000rpmの各過給機回転速度時にてタービン静翼18の翼面18bの表面温度を計測するとともに、各回転数におけるノズルリング15へのエアの供給を、供給なし,過給機1のコンプレッサ4のエアを使用,外部のコンプレッサのエアを使用、の3条件として、それぞれの条件において各計測を行い、2か所のタービン静翼18の表面温度とタービン排気入口3aにおける排気ガス温度との関係を求めるとともに、総合効率、タービン容量、及びタービン効率の各性能について求める。
なお、ノズルリング15へ供給されるエアの各条件における噴出のための圧力は同一とする。
【0049】
【表1】
Figure 0003547593
【0050】
【表2】
Figure 0003547593
【0051】
【表3】
Figure 0003547593
【0052】
なお、この表3において、32000rpm及び36000rpmの過給機回転数では、エアの圧力が不足していたために計測不能であった。
【0053】
上記各表に基づき2か所のタービン静翼18A,18Bの表面温度とタービン3の排気入口3aにおける排気ガス温度との関係を図8に示す。
【0054】
この図8によれば、熱電対30の貼着位置及び貼着方法等により結果が異なると思われるがエアを用いた冷却効果は、タービン排気入口3a位置における排気温度に比べ、10〜15℃の低下となる結果であった。
なお、冷却エアの温度が、過給機1のコンプレッサ4のエアと、外部のコンプレッサのエアとでは異なっているが、これらに冷却効果の差は生じない結果となった。
また、この図8中に描かれている翼表面温度480℃を示す線は、未燃焼物の付着が著しくなる温度を示している。
【0055】
また、上記条件におけるこの排気タービン過給機1の性能を図9〜11に示す。
【0056】
図9(a)(b)(c)の各図は、圧力比PRに対するタービン効率ηtur,コンプレッサ効率ηcomp,過給機総合効率ηallとの関係を示す図である。
この図9の各効率曲線、特に圧力比PRと過給機総合効率ηallとの関係を示す図9(c)によれば、ノズルリング15へ供給されるエアを過給機1のコンプレッサ4のエアを用いた場合には、外部のコンプレッサにてエアを供給させる場合や、エアを供給させない場合に比べて損失分の約1%のみ総合効率が低下することとなる。
なお、図9(a)に示すタービン効率ηtur,図9(b)に示すコンプレッサ効率ηcomp,図9(c)に示す過給機総合効率ηallは、それぞれ次式のように求められる。
【0057】
【数1】
Figure 0003547593
【0058】
ここで、PRは圧力比、Tはコンプレッサ入口温度(K)、Tはコンプレッサ出口温度(K)、Tはタービン入口温度(K)、Erは膨張比である。
また、圧力比PRは、Pb/Pa=コンプレッサ出口圧力(絶対圧力)/コンプレッサ入口圧力(絶対圧力)より求められており、表1〜3に示される圧力比と同じ圧力比である。
【0059】
また、図10は、タービン無次元流量に対する膨張比Erの関係を表しており、タービン容量に関しては、エアを用いて冷却を行う場合と、エアを使用しない場合とで、上記各条件においてタービン容量は変わらない結果が得られた。
【0060】
さらに、図11は、ノズル面積に対するタービン効率を示す図であり、単独運転試験の結果であるが、この図によれば、比較として描かれているエア噴出のない通常の排気タービン過給機における曲線に比べ、ノズル面積が小さい場合にはタービン効率が低下することのない結果を得られた。
【0061】
以上の結果のまとめを以下に示す。
1)ノズルリング15を冷却することにより、タービン静翼18の翼面表面温度を約10〜15℃低下させることが可能となる。
2)冷却させるためのエアの温度を変えても、タービン静翼18における冷却効果は変わらない。
3)各タービン静翼18の流出側の端縁18aを傾斜形成させても、排気タービン過給機1としての性能は低下することがない。
4)エアによる冷却が行われるノズルリング15を使用しないタービンとする場合は、タービン排気入口3aにおける排気ガス温度を485〜490℃(内燃機関のシリンダ出口で380〜390℃)以下に保つ構成とすれば、タービン静翼18の翼面18bにカーボンなどの燃焼残さ物が付着しにくくなると思われる。
【0062】
従って、上記結果により、ノズルリング15へのエアを流入させる通路を設け、ノズルリング15を冷却させるとともに、タービン静翼の流出側端縁を傾斜形成させる構造としても、過給機の効率やタービン容量に大きく変化することがなく、また、このような構造とすることで、内燃機関2の排気中の燃焼残さ物がタービン静翼18の翼面18bに付着しにくくなることとなる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による排気タービン過給機の構造によれば、内燃機関の排気をタービン動翼に導くノズルリングのリング状プレートの他方の面およびまたはこの他方の面と対接するタービン入口ケースの取付面に、エアが流入される通路を設けたことにより、このノズルリングを通過する内燃機関の排気の温度に対してノズルリングを冷却させることが可能となり、これによりノズルリングの各タービン静翼に対して、排気中に含まれる燃焼残さ物が高温下で衝突することがなくなるので、この燃焼残さ物が付着しづらくなるという効果が得られる。
【0064】
また、ノズルリングの各タービン静翼の翼面における排気の流れにて生じる負圧の発生する翼面にエアを噴出させる噴出孔をリング状プレートに設け、前記通路内のエアを用いる構成としたことで、前記タービン静翼の翼面に発生していた負圧部分が乱されることとなり、これにより、従来、この翼面に付着し堆積していた燃焼残さ物は吹き飛ばされることとなり、付着することがなくなる効果を得られる。
【0065】
さらに、タービン静翼の流出側の端縁を所定角度に傾斜形成させたことにより、排気の流出側部分において負圧の発生する部分が減少、すなわちその面積が減少され、これにより、タービン静翼の翼面には燃焼残さ物が付着しづらくなる効果を得られる。
【0066】
そして、これらのことから、従来各タービン静翼の翼面に付着し堆積していた内燃機関の排気中に含まれるカーボンなどの燃焼残さ物が、この翼面に対して付着が起こりにくくなり、従来のように堆積してしまう不具合が減少することから、排気の流入及び流出が困難とならず、この過給機及び内燃機関の出力性能を低下させることがなくなるという効果が得られる。
【0067】
また、この過給機及び内燃機関の通常の運転中に、燃焼残さ物の付着が防止されることから、この排気タービン過給機の保守・点検の頻度を減少させることが可能となり、洗浄のために過給機及び内燃機関を停止させたり、また機関出力を弱めるなどの煩雑な作業が不要となる効果が得られる。そして、このことから、タービンの洗浄作業が軽減されることとなる効果があり、すなわち、燃焼残さ物を除去する対処作業となる洗浄作業ではなく、この燃焼残さ物の付着,堆積の予防が行える過給機の構造を得ることのできる効果がある。
【0068】
さらに、各タービン静翼に噴出させるエアを、コンプレッサにて圧縮され冷却器にて冷却された内燃機関に供給させるためのエアの一部を用いる構成とすることにより、排気タービン過給機として無駄な構成がなく、また、複雑な機構を有せず、効率のよいものが得られる効果がある。
【0069】
また、上述したように、タービン静翼がエアにより冷却させられることから、このタービン静翼は排気による高温に晒されないこととなり、このタービン静翼の材質について、耐熱温度を従来より低く設定でき、これにより、安価な材料を選定して製作が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気タービン過給機の構造の実施の形態を示す側断面図
【図2】同排気タービン過給機のノズルリング部分の拡大断面図
【図3】同拡大斜視図
【図4】同排気タービン過給機と内燃機関との構成を示す概略図
【図5】他の実施の形態による排気タービン過給機と内燃機関との構成を示す概略図
【図6】本発明による排気タービン過給機の構造の一実施例のノズルリングの正面図
【図7】同ノズルリングのタービン静翼の側面図
【図8】同実施例におけるタービン静翼の表面温度とタービン排気入口における排気ガス温度との関係を示すグラフ
【図9】同実施例における排気タービン過給機の総合効率を示すグラフ
【図10】同タービン容量を示すグラフ
【図11】同タービン効率を示すグラフ
【図12】従来のタービンノズル翼を示す斜視図
【符号の説明】
1…排気タービン過給機
2…内燃機関
3…タービン
4…コンプレッサ
6…タービン入口ケース
6a…取付面
13…冷却器
15…ノズルリング
16…リング状プレート
16a…一方の面
16b…他方の面
16d…内周
18…タービン静翼
18a…端縁
18b…一方の翼面
19…噴出孔
20…通路

Claims (5)

  1. 軸心方向に内燃機関の排気を導く複数のタービン静翼が、リング状プレートの一方の面に配設され、該リング状プレートの他方の面がタービン入口ケース内の取付面と対接して固設されるノズルリングを備えた排気タービン過給機の構造において、前記ノズルリングの前記リング状プレートの他方の面およびまたは該他方の面と対接する前記タービン入口ケースの取付面に凹溝状の通路が形成され、該通路内に前記タービン入口ケースの外部よりエアが流入される構成になり、
    前記各タービン静翼における前記排気の流出側となる前記リング状プレートの内周側に、該リング状プレートの他方の面側の前記通路と一方の面とを連通して該リング状プレートを貫通するとともに、前記一方の面における開口が、前記タービン静翼の翼面における前記排気の流れにて生じる負圧の発生する面に向いて形成される噴出孔を有し、該噴出孔より前記エアが噴出されることを特徴とする排気タービン過給機の構造。
  2. 前記通路内に流入されるエアは、コンプレッサにて圧縮されて供給されることを特徴とする請求項記載の排気タービン過給機の構造。
  3. 前記通路内に流入されるエアは、コンプレッサにて圧縮されるとともに、冷却器にて冷却されて供給されることを特徴とする請求項1又は2記載の排気タービン過給機の構造。
  4. 前記コンプレッサは、前記排気タービン過給機を構成するコンプレッサよりなり、前記内燃機関へ供給するエアの一部を前記通路内に流入させることを特徴とする請求項2又は3記載の排気タービン過給機の構造。
  5. 前記各タービン静翼における前記排気の流出側の端縁が、前記リング状プレートの板面に対して所定の角度に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の排気タービン過給機の構造。
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