JP3547235B2 - 導電性接続部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は導電性接続部材に関し、さらに詳しくは、EMI規制対策として電装部の接地強化のために用いられる導電性接続部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
接地端子を有する筐体と電装部の導電性筐体との接地強化を図る場合、アース板として板バネ等の導電性接続部材が用いられる。
【0003】
このような板バネ状の接続部材は、例えば、金属性カバーと本体フレームの間、着脱可能なユニットのフレームと本体フレームの間、あるいはシェル型開閉機構における上フレームと下フレームの間に取り付けられる。従来の接続部材の例を図6及び図7に示す。接続部材110、120では、取り付け孔111、121を有する固定接続部112、122が例えば、接地端子を有する筐体と電気的に接続固定され、他方側の押圧接続部113、123が電装部の導電性筐体に対して押圧状態に付勢され電気的に接続される。なお、この例では双方の筐体はその表面が略平行に配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した金属性カバー、フレーム等の筐体は、通常、メッキ等によりその表面に防錆処理が施されてあり、接地強化として上記接続部材を用いた場合、接続部材の接地導通性が低下して接地効果が十分に発揮されないことがある。この場合、接続部材の取り付け時に、あるいは事前に前記筐体の表面処理層を剥がしたり削り取ったりする作業が必要となる。
また、上記した板バネ状の接続部材は、線接触あるいは面接触で相手側の筐体に接地導通される形状を有していても、実際には点接触で相手方に接触している場合が多く、接続部材の接地導通性が低下して接地効果が十分に発揮されないことがある。
【0005】
この発明の課題は、多様な筐体に対して接地効果が高くかつ取り付けが容易な導電性接続部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、一方側には接地端子を有する筐体と電気的に接続固定される固定接続部を、他方側には電装部の導電性筐体に対して押圧状態に付勢され電気的に接続される押圧接続部をそれぞれ有する、弾性体からなる接地用導電性接続部材であって、押圧接続部側には導電性を有する突起部が設けられ、この突起部が筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、押圧接続部が筐体と電気的に接続されることと、押圧接続部の先端が分岐されて複数の弾性片として延出して形成され、突起部が前記各弾性片にそれぞれ形成されてなることとを特徴とする導電性接続部材が提供される。
【0007】
この発明における接地端子とは、筐体を大地と同電位に保つために配設される接地用部材の接続部位全般をいい、導電性のフレームを用いる場合には前記接地用部材と電気的に接続可能な部位であればよい。
この発明における接地端子を有する筐体とは、電装部を収納保持するフレームあるいはケース等の筐体をいい、その材質は金属、プラスチックス等の導体、半導体、不良導体、絶縁体であってもよい。
この発明における固定接続部とは、導電性接続部材が接地端子を有する筐体に対してボルト、リベット等による締結あるいは、半田付け等による接着、圧着等により導通性を保持して固定される部位をいう。
【0008】
この発明における電装部とは、基板回路等を有する電気的回路構成部材全般をいう。
この発明における導電性筐体とは、電装部を収納保持するフレームあるいはケース等の筐体をいい、その材質は鉄、アルミニウム、ステンレス等の導電性金属が挙げられる。
この発明における押圧接続部とは、導電性接続部材が電装部の導電性筐体に対して押圧状態で付勢されることにより、導電性接続部材の一部と導電性筐体表面とが導電性を保持して圧接固定される部位をいう。押圧接続部において導電性接続部材が広い接地面積を有することが好ましい。
【0009】
この発明における弾性体とは、押圧状態で付勢されたとき、その一部と導電性筐体表面とが導電性を保持したまま圧接固定され得るに足る弾性(可撓性)を有する部材であり、例えば、板バネからなるものが挙げられる。
この発明における突起部は、導電性筐体表面の表面処理層を貫通し得る鋭利かつ強固な形状、材質からなることが好ましく、具体的には、導電性接続部材の一部を加工して形成された突起、例えば、半押し、切り起こし、バーリング等によるもの、導電性接続部材の一部に植設されたスタッド等が挙げられる。
【0010】
導電性接続部材は、突起部が複数の突起を備えてなるのが好ましい。
この突起は押圧接続部が導電性筐体表面に押圧状態で付勢される際、広い接地面積を確保するに足る弾性を有することが好ましい。
導電性接続部材は、突起部が筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に押圧されることにより押圧接続部が筐体と電気的に接続されるのが好ましい。
この発明における表面処理層とは、防錆用の皮膜を形成するために金属表面に施されたメッキ層、塗膜等をいう。
この発明における導電性接続部材は、押圧接続部の先端が分岐されて複数の弾性片として延出して形成され、突起部が前記各弾性片にそれぞれ形成されてなる。
【0011】
さて、この発明にかかる導電性接続部材は、例えば、導電性接続部材の固定接続部が接地端子を有する筐体に固定された後、押圧接続部が電装部の導電性筐体に接続される。押圧接続部側に設けられた導電性を有する突起部が、導電性筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、導電性接続部材の弾性により導電性筐体表面に圧接され押圧接続部が筐体と電気的に接続される。
突起部が複数の突起を備えておれば、押圧接続部が導電性筐体表面に押圧状態で付勢される際、突起が弾性で押圧変形し広い接地面積を確保することができる。
【0012】
突起部が筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に押圧されることにより押圧接続部が筐体と電気的に接続されるよう構成されておれば、導電性接続部材で接地強化を行う際、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
この発明における導電性接続部材にあっては、押圧接続部の先端が分岐されて複数の弾性片として延出して形成され、突起部が前記各弾性片にそれぞれ形成されているので、導電性筐体表面に凹凸がある場合でも、筐体表面の起伏に沿って各弾性片が独立して撓み、導電性筐体表面に圧接されるので、広い接地面積を確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、この発明の一つの実施形態による導電性接続部材を示す。各図のa及びbは、正面及びその側面を示す。
図1及び図2(取り付けられた状態を示す)の導電性接続部材10は、一方側には接地端子を有する筐体51と電気的に接続固定される固定接続部11を、他方側には電装部の導電性筐体52に対して押圧状態に付勢され電気的に接続される押圧接続部12をそれぞれ有する板バネ13により構成されている。板バネ13は導電性を有するバネ鋼を材料とする板状小片であり、略「く」字状に屈曲されている。
【0014】
固定接続部11には締結用のボルト孔11aが形成され、押圧接続部12はその先端が外方に湾曲する湾曲部12aが形成されている。湾曲部12aの上部には、複数の突起14aが板バネ13の幅方向に略等間隔で整列してなる突起部14が形成されている。それぞれの突起14aは、板バネ13が図中上方に向かって切り起こされた「切り起こし」からなり、その先端が鋭角で形成されている。湾曲部12aからの突起14aの高さ(切り起こしの長さ)は、約1〜5mmである。
【0015】
固定接続部11が一方の筐体51にボルト孔11aを介して固定された後、押圧接続部12が他方の導電性筐体52に接続される。突起部14が、筐体52表面に押圧状態に付勢されたとき、板バネ13の弾性により筐体52表面に圧接される。突起部14が複数の突起14aを備え、各突起14aが板バネ13本体及び突起自体の弾性で押圧変形するため、押圧接続部12と筐体との間に広い接地面積が確保され高い接地効果が得られる。
また、各突起14aの先端が筐体52表面に施された表面処理層を貫通して筐体に圧接されるので、押圧接続部12を筐体表面に押し付けるだけで、電気的な接続が可能となり、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
【0016】
図3の導電性接続部材20では、押圧接続部22の先端に形成された湾曲部22aを含む押圧接続部22全体が板バネ23の屈曲部26から分岐して複数の弾性片25として延出している。湾曲部22aの上部には、複数の突起24aが板バネ23の幅方向に所定の間隔で整列してなる突起部24が形成されている。それぞれの突起24aは、板バネ23が図中上方に向かって切り起こされた切り起こしからなり、その先端が鋭角で形成されている。
【0017】
固定接続部21が一方の筐体にボルト孔21aを介して固定された後、押圧接続部22が他方の導電性筐体に接続される際、突起部24が、導電性筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、板バネ23の弾性により導電性筐体表面に圧接され、この筐体表面に凹凸がある場合でも、筐体表面の起伏に沿って各弾性片25が独立して撓み、導電性筐体表面に追従して圧接されるので、広い接地面積を確保することができる。また、各突起24aの先端が導電性筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に接続されるので、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
【0018】
図4の導電性接続部材30では、押圧接続部32の全体が板バネ33の屈曲部36から分岐して複数の弾性片35として延出し、かつ各弾性片35は板バネ33の幅方向に向かって1本おきに屈曲部36からの延出方向が、外方または内方のいずれかに延びるよう、屈曲部36において異なる屈曲角度で屈曲されている。さらに、屈曲部36から内方に延出する弾性片35bは、延出方向における略中央部で外方に屈曲されている。各弾性片35a、35bの先端部には1〜3本の突起34aが板バネ33の幅方向に連続的に整列してなる突起部34が形成されている。それぞれの突起34aは、その先端が鋭角に形成されている。
【0019】
固定接続部31が一方の筐体にボルト孔31aを介して固定された後、押圧接続部32が他方の導電性筐体に接続される際、突起部34が、導電性筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、板バネ33の弾性により導電性筐体表面に圧接されが、この筐体表面に凹凸がある場合でも、筐体表面の起伏に沿って各弾性片35が独立して撓み、導電性筐体表面に追従して圧接されるので、広い接地面積を確保することができる。また、各突起34aの先端が導電性筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に接続されるので、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
【0020】
図5の導電性接続部材40では、平坦に形成された押圧接続部42が板バネ43の屈曲部46から分岐して複数の弾性片45として延出している。押圧接続部42の上部には、複数の突起44aが板バネ43の長さ方向に所定の間隔で整列してなる突起部44が形成されている。それぞれの突起44aは、屈曲部46の内方(図中左上方)側から穿設された「バーリング」からなり、その先端は環状かつ刃状の開口部により鋭利に形成されている。
【0021】
固定接続部41が一方の筐体にボルト孔41aを介して固定された後、押圧接続部42が他方の導電性筐体に接続される際には、突起部44が導電性筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、板バネ43の弾性により導電性筐体表面に圧接されが、この筐体表面に凹凸がある場合でも、筐体表面の起伏に沿って各弾性片45が独立して撓み、導電性筐体表面に追従して圧接されるので、広い接地面積を確保することができる。また、各突起44aの先端が導電性筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に接続されるので、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
【0022】
このように上記した各実施態様では、各導電性接続部材が弾性を有する板バネで形成され、押圧接続部が板バネの一部を加工して形成された突起部を備えているので、押圧接続部が導電性筐体表面に押圧状態で付勢される際、突起が弾性で押圧変形し広い接地面積を確保することができる。
突起部14、24、34、44が筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に押圧されることにより押圧接続部12、22、32、42が筐体と電気的に接続されるよう構成されておれば、導電性接続部材で接地強化を行う際、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
押圧接続部22、32、42の先端が分岐されて複数の弾性片25、35a,35b、45として延出して形成され、突起部24、34、44が各弾性片25、35a,35b、45にそれぞれ形成されておれば、導電性筐体表面に凹凸がある場合でも、筐体表面の起伏に沿って各弾性片25、35a,35b、45が独立して撓み、導電性筐体表面に追従して圧接されるので、広い接地面積を確保することができる。
【0023】
【発明の効果】
本願発明による導電性接続部材では、押圧接続部側に設けられた導電性を有する突起部が、導電性筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、導電性接続部材の弾性により導電性筐体表面に圧接され押圧接続部が筐体と電気的に接続される。したがって、導電性筐体に対してEMI規制に対応する高い接地効果が得られ、導電性接続部材の取り付けも容易である。
また、押圧接続部の先端が分岐されて複数の弾性片として延出して形成され、突起部が前記各弾性片にそれぞれ形成されているので、導電性筐体表面に凹凸がある場合でも、筐体表面の起伏に沿って各弾性片が独立して撓み、導電性筐体表面に圧接されるので、広い接地面積を確保することができる。
【0024】
突起部が複数の突起を備えておれば、押圧接続部が導電性筐体表面に押圧状態で付勢される際、突起が弾性で押圧変形し広い接地面積を確保することができる。
突起部が筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に押圧されることにより押圧接続部が筐体と電気的に接続されるよう構成されておれば、導電性接続部材で接地強化を行う際、表面処理層を別途に剥がしたり削り取ったりする作業が不要となる。
【0025】
したがって本願発明では、多様な筐体に対して接地効果が高くかつ取り付けが容易な導電性接続部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施態様による導電性接続部材の正面図(a)及びその側面図(b)。
【図2】図1の導電性接続部材の取り付け状態を示す図1(a)に対応する図。
【図3】この発明の他の実施態様による導電性接続部材の正面図(a)及びその側面図(b)。
【図4】さらに他の実施態様による導電性接続部材の正面図(a)及びその側面図(b)。
【図5】さらに他の実施態様による導電性接続部材の正面図(a)及びその側面図(b)。
【図6】従来の導電性接続部材の一つの実施態様を示す斜視図。
【図7】従来の導電性接続部材の他の実施態様を示す斜視図。
【符号の説明】
10、20、30、40 導電性接続部材
11、21、31、41 固定接続部
12、22、32、42 押圧接続部
13、23、33、43 板バネ
14、24、34、44 突起部
14a、24a、34a、44a 突起
25、35a,35b、45 弾性片
51 接地端子を有する筐体
52 導電性筐体
Claims (3)
- 一方側には接地端子を有する筐体と電気的に接続固定される固定接続部を、他方側には電装部の導電性筐体に対して押圧状態に付勢され電気的に接続される押圧接続部をそれぞれ有する、弾性体からなる接地用導電性接続部材であって、
押圧接続部側には導電性を有する突起部が設けられ、この突起部が筐体表面に押圧状態に付勢されたとき、押圧接続部が筐体と電気的に接続されることと、押圧接続部の先端が分岐されて複数の弾性片として延出して形成され、突起部が前記各弾性片にそれぞれ形成されてなることとを特徴とする導電性接続部材。 - 突起部が複数の突起を備えてなる請求項1に記載された導電性接続部材。
- 突起部が筐体表面に施された表面処理層を貫通して筐体に押圧されることにより押圧接続部が筐体と電気的に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載された導電性接続部材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP31108195A JP3547235B2 (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | 導電性接続部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31108195A JP3547235B2 (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | 導電性接続部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09153719A JPH09153719A (ja) | 1997-06-10 |
JP3547235B2 true JP3547235B2 (ja) | 2004-07-28 |
Family
ID=18012900
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31108195A Expired - Lifetime JP3547235B2 (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | 導電性接続部材 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3547235B2 (ja) |
-
1995
- 1995-11-29 JP JP31108195A patent/JP3547235B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH09153719A (ja) | 1997-06-10 |
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