JP3546509B2 - 内燃機関における燃料供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料ポンプによって加圧された燃料を、燃料噴射弁を介して吸気管に向けて噴射供給する内燃機関における燃料供給装置に関し、そのうち特に、複数の燃料噴射弁が取着され、それらの燃料噴射弁に燃料を分配する燃料分配管の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレッシャーレギュレターを、燃料タンク内あるいは燃料タンクの近傍に配置し、プレッシャーレギュレターと燃料タンクとを接続するリターン配管を廃止した燃料供給装置は特開平6−129325号公報に示される。
かかる燃料供給装置によると、燃料タンク内の燃料は、燃料ポンプによって燃料分配管内へ圧送され、燃料噴射弁より吸気管に向けて噴射される。燃料分配管から各燃料噴射弁に燃料を分配する各コネクタの少なくとも1つを燃料分配管内の上部に開口させる。
燃料分配管上流の燃料配管より分岐した燃料パイプを燃料分配管の上部に設置し、この燃料パイプと燃料分配管とを連通部絞りによって連通する。
以上によると、空気及びベーパーガスは、燃料パイプに貯留された後に連通部絞りを介して燃料分配管内に少しづつ導入され、コネクタを介して燃料噴射弁より燃料とともにこの空気が吸気管内へ排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の燃料供給装置によると、燃料パイプ内に貯留された空気は、連通部絞りを介して微細化されて燃料分配管内に流入するものであるが、この連通部絞りが単一に設けられていることから、燃料パイプ内に貯留した空気を効果的に微細化することができない。
これは、1の燃料噴射弁は連通部絞りに対向して配置されるものの残余の燃料噴射弁は直接的に連通部絞りに対向して配置されるものでなく、残余の燃料噴射弁の動作時において生起する脈動圧力を直接的に連通部絞りに作用させることができないからである。
又、微細化された空気が流入する燃料分配管は長手方向に延びるものであり、連通部絞りが開口する側の燃料分配管内における空気の微細化は図られるものの後流側の燃料分配管内の空気にあっては徐々に集合して大きな気泡となる傾向があり、全ての燃料噴射弁から微細化された空気を均一に排出することができない。更に又、燃料パイプと燃料分配管とが格別に用意され、それらが連通部絞り、あるいは鋼管配管からの分岐部によって接続されなければならないこと及び燃料分配管内にはその長手方向に複数のコネクタを突出して設けなければならないこと、から製造コストが上昇して好ましいものではない。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、プレッシャーレギュレターが燃料タンク内あるいは燃料タンクの近傍に配置されて、燃料リターン配管が廃止された燃料供給装置において、
燃料分配管内に貯まる、燃料ポンプから給送されてきた空気あるいは燃料分配管が内燃機関によって暖められたことによって貯留されるベーパーを、確実に燃料分配管内において微細化し、この微細化された空気を燃料噴射弁より吸気管内に向けて排出し、空気やベーパーによる燃料噴射量の低下を防止することのできる燃料供給装置を提供することを第1の目的とする。
又、前記燃料噴射装置を安価に提供することを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
前記目的を達成する為に、本発明の燃料供給装置は、燃料タンク内の燃料を、燃料ポンプ、プレッシャーレギュレター、メインフィルターを介して燃料分配管に取着された燃料噴射弁に供給し、燃料噴射弁より吸気管内に向けて燃料を噴射する内燃機関における燃料供給装置において、
スリーブは、上方が上底部によって閉塞され、下方が開口部をもって開口する内方流路を備えた筒状部と、
上底部から外方に向かって開口するオリフィス通路と、
オリフィス通路より下方の筒状部に穿設された連通孔と、
により形成され、
前記スリーブを、燃料分配管に取着された燃料噴射弁の上流側に配置し、少なくともスリーブのオリフィス通路と、連通孔とを、燃料分配管の燃料流路内に開口配置したことを第1の特徴とする。
【0006】
又、本発明は、前記スリーブの上底部に穿設されたオリフィス通路を複数設けたことを第2の特徴とする。
【0007】
又、本発明は、前記スリーブの上底部の内面を、重力方向の上方位置に向かう傾斜面5Jとし、該傾斜面の上方位置近傍にオリフィス通路を開口したことを第3の特徴とする。
【0008】
又、本発明は、前記スリーブの上底部を、上方位置に向かう円錐面とし、該円錐面の重力方向における上方位置の円錐頂部にオリフィス通路を開口したことを第4の特徴とする。
【0009】
又、本発明は、前記スリーブの上底部に穿設せるオリフィス通路を、燃料分配管の燃料流路の内周壁の近傍に開口したことを第5の特徴とする。
【0010】
又、本発明は、前記スリーブの連通孔及びオリフィス通路に濾過部材を配置したことを第6の特徴とする。
【0011】
【作用】
上記請求項1記載の発明によると、燃料ポンプから給送される燃料中に含まれる空気は燃料分配管の燃料流路内へ流入し、次いでスリーブの連通孔からスリーブの内方流路内に流入する。
燃料噴射弁の開閉動作によると、燃料噴射弁には燃料の流入側に向かう脈動圧が生起し、この脈動圧はスリーブの内方流路内に作用し、内方流路内に流入した空気はオリフィス通路によって微細化される。
この微細化された空気の一部は、内方流路から燃料噴射弁に向かう燃料中に混入して燃料噴射弁より吸気管内へ噴射されて排出され、一方残余の微細化された空気はオリフィス通路から再び燃料分配管の燃料流路内へと噴出される。
この燃料流路内の微細化された空気は、連通孔より再びスリーブの内方流路内へと流れこみ、この燃料によく混合された微細化された空気は燃料噴射弁より噴射されて排出される。
【0012】
又請求項2記載の発明によれば、スリーブの内方流路内に多くの空気が流入した際、複数のオリフィス通路によって空気を微細化することができるものである。
【0013】
又請求項3記載の発明によれば、スリーブの内方流路内に流入した空気は、傾斜面に沿って流れ、傾斜面の上部に穿設されるオリフィス通路に向かって集合される。
一方、スリーブの内方流路内に作用する脈動圧もまた傾斜面に沿うとともに傾斜面の上部に向かって指向するので、強い脈動圧をオリフィス通路に加えることができ、オリフィス通路による空気の微細化を一層向上できる。
特に燃料噴射弁が機関に対して傾斜して配置されるとき有効である。
【0014】
又、請求項4記載の発明によれば、スリーブの内方流路内に流入せる空気は、円錐面に沿って流れ、円錐頂部に穿設されるオリフィス通路に向かって集合される。
一方、内方流路内に作用する脈動圧もまた円錐面に沿うとともに円錐頂部に向かって指向するので、強い脈動圧をオリフィス通路に加えることができ、オリフィス通路による空気の微細化を一層向上できる。
【0015】
又、請求項5記載の発明によれば、スリーブのオリフィス通路から燃料流路内に向けて噴出される微細化された空気は、噴出速度をもって燃料分配管の内周壁に向かって衝突するので空気の微細化は一層促進され、この微細化された空気は連通孔より再びスリーブの内方流路内へと流入する。
【0016】
更に請求項6記載の発明によれば、燃料流路から燃料噴射弁に向かう燃料中に含まれる異物は、連通孔及びオリフィス通路に備えられた濾過部材によって濾過されるもので、燃料噴射弁に備えられるストレーナを格別に用意する必要がなくなったものである。これによってコスト低減を図れる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明になる内燃機関における燃料供給装置の一実施例について図1、図2、図3により説明する。
図1は燃料噴射弁が取着された燃料分配管の縦断面図、図2は図1のA−A線における縦断面図、図3はスリーブの拡大縦断面図、である。
1は、図1において左右方向に延びる燃料分配管であり、その内方には燃料流路2が穿設され、その左方の開口には燃料ジョイントFが取着される。
そして、燃料分配管1には燃料流路2内に開口する燃料噴射弁取付け孔3が穿設されるもので、本実施例における燃料噴射弁取付け孔3は、燃料分配管1の右方から左方に向かい、一番目の燃料噴射弁取付け孔3から四番目の燃料噴射弁取付け孔3迄、4個穿設された。
【0018】
Jは前記燃料噴射弁取付け孔3に取着される公知の燃料噴射弁であり、燃料噴射弁Jの上流側流路J1内にはネットよりなる濾過部材を備えた筒状のストレーナ4が嵌合配置される。
【0019】
そして、5は空気を微細化する役目をなすスリーブであり、以下よりなる。スリーブ5を図3により説明する。
スリーブ5は、上方が上底部5Aによって閉塞され、下方が開口部5Bにて開口する筒状部5Cよりなる有底筒形状をなし、その内方には内方流路5Dを備える。
そして上底部5Aには、内方流路5Dと外方とを連通するオリフィス通路5Eが貫通して穿設され、さらにオリフィス通路5Eより下方の筒状部5Cには内方流路5Dと外側方とを連通する連通孔5Fが穿設される。
本例にあっては4個の連通孔5Fが穿設された。
又、内方流路5Dの下方に環状に形成された環状凹部5Gは後述するようにストレーナ4の外周の突部に嵌合する際に用いられる。
【0020】
そして、燃料噴射弁Jの燃料分配管1への取りつけは次のように行なわれる。まず、燃料噴射弁Jの上方に開口する上流側流路J1内にストレーナ4が嵌合配置される。
これによるとストレーナ4の上部は、燃料噴射弁Jの上方端より突出して配置され、燃料噴射弁Jの上流側流路J1はストレーナ4の流路4Aを介して上方に向かって開口する。
次にストレーナ4の上部の外周に向けて、スリーブ5の内方流路5Dを嵌合する。
このときスリーブ5の環状凹部5Gが、ストレーナ4の上部外周に設けた環状突部4Bに嵌合することにより、スリーブ5をストレーナ4に確実に固定できたものであり、かかる状態においてスリーブ5の連通孔5F及びオリフィス通路5Eは、ストレーナ4より上方位置にあり、燃料噴射弁Jの上流側流路J1は、ストレーナ4の流路4Aを介してスリーブ5の内方流路5Dに連なる。
以上によって燃料噴射弁Jの上流端にストレーナ4、スリーブ5が一体的に配置された。
【0021】
そして、かかる燃料噴射弁Jを燃料噴射弁取付け孔3内に挿入配置する。かかる挿入時において、燃料噴射弁取付け孔3と燃料噴射弁Jとの間には気密の為のOリングが配置される。
以上によって、燃料分配管1に燃料噴射弁Jが取着されたもので、このとき、スリーブ5は燃料分配管1の燃料流路2内の重力方向における上方へ向かって突出して配置され、スリーブ5の連通孔5F及びオリフィス通路5Eは燃料流路2内へ開口して配置される。
【0022】
かかる燃料噴射弁Jが取着された燃料分配管1は燃料供給装置として以下の如く内燃機関(以下単に機関)に取着される。
機関のシリンダブロック10の上面に配置されたシリンダヘッド11には、燃焼室12に連なる吸気ポート13と排気ポート14とが開口し、この吸気ポート13には、吸気管15と絞り弁を備えたスロットルボデー16が接続され、さらにスロットルボデー16の上流側にはエアクリーナ17が配置される。
そして、吸気管15には、燃料分配管1に取着された燃料噴射弁Jの先端部が挿入配置され、燃料噴射弁Jの噴孔(図示せず)が吸気管15内に向かって開口する。
【0023】
18は内部に燃料が貯留される燃料タンクであり、19は燃料タンク18内の燃料を吸入して吐出する燃料ポンプであり、20は燃料ポンプ19から吐出される燃料圧力を大気圧又は吸気管負圧に対して一定に保つ働きをするプレッシャーレギュレターであり、燃料タンク18内もしくは燃料タンク18の近傍に配置される。
21は燃料中に含まれる異物を除去するメインフィルターである。
【0024】
そして、燃料タンク18内の燃料は、燃料ポンプ19にて加圧され、プレッシャーレギュレター20、メインフィルター21、燃料ジョイントFを介して燃料分配管1の燃料流路2内へ給送される。
以上は図4に明示される。
【0025】
次にその作用について説明する。
機関の運転時において、燃料ポンプ19から給送される燃料は、燃料ジョイントFから燃料分配管1の燃料流路2内へ流入し、次いでスリーブ5の連通孔5Fからスリーブ5の内方流路5D内へ流入するとともにストレーナ4の流路4Aをへて燃料噴射弁Jの上流側流路J1へと流れ、然る後に燃料噴射弁Jにてその量が制御されて吸気管15内へと噴射される。
【0026】
一方、前記燃料分配管1の燃料流路2内へ給送される燃料中には、何らかの理由によって空気が含まれるもので、この燃料中に含まれる空気は、燃料流路2からスリーブ5の連通孔5Fを介してスリーブ5の内方流路5D内へと流入する。これは前述の如く燃料流路2からスリーブ5を介して燃料噴射弁Jに向けて燃料の流れが生じるからである。
そして、スリーブ5の内方流路5D内へ流入した空気は、自身が有する浮力によって内方流路5Dの上方に移動する。すなわちスリーブ5の上底部5Aに空気は集合する。このとき空気が微細であればその浮力は小さいもので、燃料とともに燃料噴射弁Jに向かって流れ、燃料噴射弁Jから吸気管15に向かって噴射される燃料とともに排出される。
【0027】
一方、機関の運転と同期して燃料噴射弁Jが動作することによると、燃料噴射弁Jのニードル弁は弁座孔を断続的に開閉動作するものであり、(ニードル弁、弁座孔は公知であるので図示されない)これによると燃料噴射弁Jの上流側流路J1に向けて脈動圧を発生する。
そして、この脈動圧は上流側流路J1からストレーナ4の流路4Aを介してスリーブ5の内方流路5Dへと作用する。
【0028】
以上によると、スリーブ5の内方流路5Dの上底部5Aに集合した空気は、前記脈動圧を受けるもので、脈動圧を受けた空気は、オリフィス通路5Eによってその通路面積が絞られることから大きな圧力変化を受け、空気はオリフィス通路5Eによって微細な気泡に細分化される。
【0029】
そして、この微細化された気泡の一部は、浮力が大きく減少することから燃料噴射弁Jが燃料を噴射する際、その燃料とともにスリーブ5の内方流路5D、ストレーナ4を介して燃料噴射弁Jに向かって流下し、燃料噴射弁Jから吸気管15に向けて噴射されて排出され、残余の微細化された気泡は、オリフィス通路5Eから燃料分配管1の燃料流路2内に向けて噴出される。
この燃料流路2内へ噴出された微細化された気泡は、再びスリーブ5の連通孔5Fからスリーブ5の内方流路5D内へと流れこみ、この微細化された気泡は、スリーブ5の内方流路5D内を流れる燃料とよく混合して燃料噴射弁Jより噴射される燃料とともに吸気管15内へ噴出される。
仮にオリフィス通路5Eから燃料流路2に噴出された気泡が集合して大きな空気に成長した際、この空気は、連通孔5Fを介して再びスリーブ5の上底部5Aに集合し、前記と同様に脈動圧によって微細化される。
【0030】
以上のように、燃料ポンプ19から給送される燃料中に含まれる空気は、スリーブ5の内方流路5Dの上底部5Aに集合し、上底部5Aに開口するオリフィス通路5Eにおいて燃料噴射弁Jに生起する脈動圧によって微細化される。
そして、この微細化された気泡は、燃料噴射弁Jより吸気管15内に向けて噴射され、しかも燃料噴射弁Jから排出される空気が微細であって且つ極めて少量づつに制限されるので、燃料噴射弁Jの噴射時において、空気の噛みこみによる燃料噴射量の低下が抑止される。
【0031】
而して、プレッシャーレギュレター20を燃料タンク18又は燃料タンク18の近傍に配置した際において、燃料分配管1中にある空気は自動的に微細化されて燃料噴射弁Jより順次排出されるので、燃料分配管1内に空気が滞留したり、あるいは大きな気泡の空気が一気に燃料噴射弁Jから排出されるという不具合は解消される。
【0032】
尚、燃料分配管1は機関の比較的近傍に配置され、機関の熱を受けることから燃料分配管1が暖められてその内部にベーパーが発生することがあるが、かかるベーパーにあっても前記と同様に微細化されて燃料噴射弁Jより噴射される燃料とともに吸気管15内へ排出される。
【0033】
又、上記発明によると、燃料分配管1内の空気を微細化する為に新たな構成として単にスリーブ5を燃料噴射弁Jの上端に配置すればよいので、燃料分配管1の構造を従来のものから格別に変更する必要がないもので、その実施が極めて容易に行なえるものである。
特に機関の気筒数が3気筒、4気筒、6気筒と変わっても複雑な燃料分配管1を格別に用意する必要がない。
【0034】
又、スリーブ5を燃料噴射弁Jの上端に直接的に配置したことによると、燃料噴射弁Jに生起する脈動圧をスリーブ5のオリフィス通路5Eに向けて直接的に作用させることができるもので、オリフィス通路5Eによる空気の微細化を効果的に行なうことができたものである。
【0035】
又、スリーブ5は有底筒状であって、連通孔5Fとオリフィス通路5Eとを備えればよいもので、合成樹脂材料を用いて射出成形にてスリーブ5を安価に製作できるものである。
又、燃料噴射弁Jへのスリーブ5の取りつけは、単に燃料噴射弁Jの上部に嵌合すればよいので、その組付けは極めて容易なものであり、上記とあいまって製造コストの上昇を抑止できたものである。
更には、オリフィス通路5Eは比較的小径に選定されるので、メンテナンスが必要となるが、かかる際においてスリーブ5を燃料噴射弁Jより取り外すことによってその作業を簡単に行なうことができる。
【0036】
又、図1,図2,図4、に示す如く、スリーブ5の上底部5Aに穿設されたオリフィス通路5Eを、燃料分配管1の燃料流路2の内周壁2Aの近傍に開口したことによると、オリフィス通路5Eから燃料流路2内へ噴出される微細化された気泡は、速度をもって内周壁2Aに衝突するので、この衝突エネルギーによって気泡は更に微細化され、燃料流路2内において気泡が大きく成長することが抑止される。
従って、この微細化された気泡が再びスリーブ5内へ流入して燃料噴射弁Jより吸気管15内へ排出される。
【0037】
又、図5に示された実施例は第1の実施例とスリーブのオリフィス通路が異なる。同一構造部分は同一符号を使用する。
本例において、スリーブ5の上底部5Aには複数のオリフィス通路5E1,5E2,5E3が穿設された。
このように、複数のオリフィス通路を設けたことによると、連通孔5Fから多量の空気が内方流路5D内に流入した際、それぞれのオリフィス通路によって空気を分担して一気に微細化することができる。
又、複数のオリフィス通路の通路径は単一に設けたオリフィス通路の通路径に比較して小径とすることができるもので、これによるとオリフィス通路における圧力低下を抑止でき、空気を微細化するに好適である。
【0038】
又、図6に示された実施例は、第1の実施例とスリーブの上底部が異なる同一構造部分は同一符号を使用する。
本例において、スリーブ5の上底部5Aの内面は重力方向の上方位置に向かう傾斜面5Jとする。
すなわち図6において、左方が高く、右方が低い左上りの傾斜面5Jとした。
そして、傾斜面5Jの上方位置近傍にオリフィス通路5Eが穿設される。
すなわち、図6において、内面の左方の頂部にオリフィス通路5Eが穿設される。
かかる傾斜面5Jを備えたスリーブ5が装着された燃料噴射弁Jは、図7に示すように燃料噴射弁Jが斜め左下方に向けて配置する際において効果的である。
すなわち、かかる配置状態において、傾斜面5Jは上下方向にのびる壁面をなし、その上方位置にオリフィス通路5Eが開口する。
以上によると、スリーブ5の内方流路5D内に流入した空気は上下方向にのびる傾斜面5Jに沿って上方へ集中して流れ、上方位置に開口するオリフィス通路5Eに空気が集合する。一方、内方流路5D内に作用する脈動圧もまた傾斜面5Jに沿って上方のオリフィス通路5Eに向かって集中的に作用するもので、燃料噴射弁Jが斜め下方に向かって配置されたものにおいて、内方流路5D内に流入した空気を効果的に微細化できたものである。
尚、傾斜面5Jの傾斜する方向は吸気管15に対する燃料噴射弁Jの配置によって適宜選定される。
【0039】
又、図8に示された実施例は、第1の実施例とスリーブの上底部が異なる。
同一構造部分は同一符号を使用する。
スリーブ5の上底部5Aの内面に、上方に向かう円錐面5Kを形成し、円錐面5Kの上部、すなわち円錐頂部5Lにオリフィス通路5Eを開口したことによると、内方流路5D内に流入した空気は円錐面5Kに沿って上方へ移動し、その円錐頂部5Lに開口するオリフィス通路5Eに確実に集合する。一方、内方流路5D内に作用する脈動圧もまた円錐面5Kに沿うとともに円錐頂部5Lに向かって集中的に作用するので、空気の微細化を一層向上できる。
【0040】
図9にはスリーブ5の更に他の実施例を示す。
スリーブ5は、上方が上底部5Aによって閉塞され、下方が開口部5Bにて開口する筒状部5Cよりなる有底筒形状をなし、その内方には内方流路5Dを備える。筒状部5Cの中間部には係止鍔部5Pが形成される。
そして上底部5Aには、内方流路5Dと外方とを連通するオリフィス通路5Eが貫通して穿設され、さらにオリフィス通路5Eより下方の筒状部5Cには内方流路5Dと外側方とを連通する連通孔5Fが穿設される。
そして、前記連通孔5F、オリフィス通路5Eには、網、スポンジ、濾紙、等の濾過部材20が配置される。
本実施例にあっては、スリーブ5は合成樹脂材料を射出成形することで製作され、射出成形時において、連通孔5F、オリフィス通路5Eに網が一体形成された。
そして、燃料噴射弁Jの上流側流路J1内に向けてスリーブ5の筒状部5Cを嵌入し、スリーブ5の係止鍔部5Pを燃料噴射弁Jの上端上に係止する。
【0041】
上記スリーブ5によると、燃料分配管1の燃料流路2内に流入した空気の微細化は、第1の実施例と同様の作用をなすものであるが、本例にあっては、スリーブ5の連通孔5F及びオリフィス通路5Eに濾過部材20が配置され、スリーブ5から燃料噴射弁Jに向かう燃料中に含まれる異物が前記濾過部材20によって濾過されるので、別部材からなるストレーナを廃止することができ、部品点数の削減と組みつけ工数の削減を達成でき、もって製造コストの低減を図ることができたものである。
【0042】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載のものによると、燃料分配管の燃料流路内に流入した空気は、燃料噴射弁が動作して燃料流れが生ずることによってスリーブの連通孔からスリーブ内の内方流路内に流入し、この空気は自身が有する浮力によって内方流路の上底部に集合する。
そして燃料噴射弁によって生起する脈動圧が内方流路に直接的に作用することから空気はオリフィス通路によって効果的に微細化され、この微細化された気泡が燃料噴射弁より噴射される燃料とともに吸気管内に向けて排出される。
而して、燃料噴射弁の燃料噴射量に影響を与えることなく燃料分配管内にある空気を排出できたものである。
又、燃料噴射弁によって生起する脈動圧のエネルギーは内方流路及びオリフィス通路における空気の微細化エネルギーとして使用される為にこの脈動圧は減衰されるもので、これによると、燃料分配管の上流側の配管内への脈動伝達を低減し、騒音の効果的な低減を図ることができたものである。
又、スリーブは有底円筒状をなす極めて単純な構造であり、そのスリーブを単に燃料噴射弁の上端に配置すればよいのでその製造コストの上昇を抑止することができたものである。
又、機関の気筒数に応じて燃料噴射弁の数が変わっても、燃料噴射弁とスリーブは一対一で取着されるので燃料分配管を大きく変更する必要がない。
更に又、燃料噴射弁に生起した脈動圧を、スリーブの内方流路に直接的に作用させることができたので、オリフィス通路による空気の微細化を効果的に行なえるものである。
又、オリフィス通路のメンテナンスはスリーブを燃料噴射弁より取り外すことによって行なえるのでメンテナンス作業が容易である。
【0043】
又、請求項2記載のものによると、スリーブの内方流路内に多量の空気が流入した際において、空気を一気に微細化できるとともにオリフィス通路に加わる圧力低下を抑止できて効果的に空気を微細化できる。
【0044】
又、請求項3記載のものによると、スリーブの内方流路内に流入する空気、及び内方流路内に作用する脈動圧を傾斜面に沿ってオリフィス通路に向かって集合させることができるので、内方流路内に流入する空気を効果的に微細化できる。
【0045】
又、請求項4記載のものにあっては、内方流路内に流入する空気及び内方流路内に作用する脈動圧を円錐頂部に向けて集合できるので、空気の微細化を効果的に行なえるものである。
【0046】
又、請求項5記載のものにあっては、オリフィス通路から燃料分配管の内周壁に向かって、微細化された気泡が噴出されて衝突するので、この気泡は衝突エネルギーによって更に微細化され、燃料流路から再びスリーブ管内へ流入する間において気泡が大きく成長することが抑止される。
【0047】
又、請求項6記載のものにあっては、スリーブにストレーナ機能を一体的にもたせたので、従来格別に配置されていたストレーナを廃止することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関における燃料供給装置に用いられる燃料分配管の一実施例を示す要部縦断面図。
【図2】図1のA−A線における要部縦断面図。
【図3】図1において使用されるスリーブの縦断面図。
【図4】図1に示された燃料分配管を内燃機関に装着した状態を示す系統図。
【図5】スリーブの他の実施例が取着された燃料噴射弁の要部縦断面図。
【図6】スリーブの他の実施例が取着された燃料噴射弁の要部縦断面図。
【図7】図6に示されるスリーブが取着された燃料噴射弁を内燃機関に装着した状態を示す系統図。
【図8】スリーブの他の実施例が取着された燃料噴射弁の要部縦断面図。
【図9】スリーブの更に他の実施例が取着された燃料噴射弁の要部縦断面図。
【符号の説明】
1 燃料分配管
2 燃料流路
2A 内周壁
5 スリーブ
5A 上底部
5B 開口部
5C 筒状部
5D 内方流路
5E オリフィス通路
5F 連通孔
5J 傾斜面
5K 円錐面
5L 円錐頂部
20 濾過部材

Claims (6)

  1. 燃料タンク内の燃料を、燃料ポンプ、プレッシャーレギュレター、メインフィルターを介して燃料分配管に取着された燃料噴射弁に供給し、燃料噴射弁より吸気管内に向けて燃料を噴射する内燃機関における燃料供給装置において、
    スリーブ5は、上方が上底部5Aによって閉塞され、下方が開口部5Bをもって開口する内方流路5Dを備えた筒状部5Cと、
    上底部5Aから外方に向かって開口するオリフィス通路5Eと、
    オリフィス通路5Eより下方の筒状部5Cに穿設された連通孔5Fと、
    により形成され、
    前記スリーブ5を、燃料分配管1に取着された燃料噴射弁Jの上流側に配置し、少なくともスリーブ5のオリフィス通路5Eと、連通孔5Fとを、燃料分配管1の燃料流路2内に開口配置したことを特徴とする内燃機関における燃料供給装置。
  2. 前記スリーブ5の上底部5Aに穿設されたオリフィス通路5Eを複数設けたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関における燃料供給装置。
  3. 前記スリーブ5の上底部5Aの内面を、重力方向の上方位置に向かう傾斜面5Jとし、該傾斜面の上方位置近傍にオリフィス通路5Eを開口したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関における燃料供給装置。
  4. 前記スリーブ5の上底部5Aを、上方位置に向かう円錐面5Kとし、該円錐面の重力方向における上方位置の円錐頂部5Lにオリフィス通路5Eを開口したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関における燃料供給装置。
  5. 前記スリーブ5の上底部5Aに穿設せるオリフィス通路5Eを、燃料分配管1の燃料流路2の内周壁2Aの近傍に開口したことを特徴とする内燃機関における燃料供給装置。
  6. 前記スリーブ5の連通孔5F及びオリフィス通路5Eに濾過部材20を配置したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関における燃料供給装置。
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