JP3546397B2 - 磁気結合ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気結合ポンプ、詳しくは、内燃機関を搭載した自動車、電気自動車などの冷却系統に使用されるウォータポンプなどとして適用可能な磁気結合ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、磁気結合ポンプは図2(a)および図2(b)に示されるように、流体の吸込口1と吐出口2とを有するポンプケーシング3を備え、このポンプケーシング3は隔壁4により上記吸込口1、吐出口2側に位置するポンプ室5とモータ室6とに仕切られる。ポンプ室5には羽根車7が配され、一方、モータ室6には羽根車7を回転させるモータ8が配される。羽根車7は、拡径先端部9aを有する回転軸部9と、この回転軸部9の拡径先端部9aを取り囲むように設けられた環状の永久磁石部10とを備え、また、合成樹脂製の隔壁4には、回転軸部9と接触する軸受面11、11aが形成されている。そして、モータ8に回転磁界を発生させることにより、永久磁石部10がこの回転磁界に追従して回転することで羽根車7が回転し、この羽根車7の回転により流体を吸込口1からポンプ室5に吸い込み、吐出口2から吐き出すように構成されている。。
【0003】
回転磁界を発生させるためのモータ8は、隔壁4の軸受部12を取り巻くように配置された複数の電磁石8aと、磁界形成のための磁気プレート13から構成される。この磁気プレート13は予め永久磁石部10の作用により電磁石8aに吸着された後、カバー体14により同芯に保持される構成になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、軸受面11、11aの円筒度を確保するため回転軸部9が大径と小径の段付きに形成され、軸受面11、11aは大小の細長い孔形状とならざるを得ず、磁気プレート13が電磁石8aに吸着される際、磁気プレート13の中心孔15と軸受部12の小径の外周面12aとの隙間Hが大きくなり、図3のように芯ズレを生じて吸着され、カバー体14を組み付ける時、カバー体14の磁気プレートガイド部16に磁気プレート13が干渉して組み付かない事態が生ずることがある。磁気プレート13を電磁石8aから外すには極めて大きな力が必要で、吸着させ直すには多大な時間が必要であった。また、組付後の電磁石8aとの相対位置に差が生じ易く磁界形成において磁束のもれが多かった。その上、上述のように、隔壁4に設けられた軸受面11、11aは大小の細長い孔形状のため成形時の熱歪によって変形し易く、軸受面の寸法精度を確保し難いという弱点を有していた。
【0005】
そこで本発明は、磁気結合ポンプ組付時、磁気プレートとカバー体の磁気プレートガイド部との干渉を無くすとともに、樹脂製隔壁の回転軸部の成形時の熱歪による変形を無くすことができる磁気結合ポンプを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題の解決を目的としてなされた請求項1の発明は、ポンプケーシングを合成樹脂製の隔壁によりポンプ室とモータ室とに仕切り、前記ポンプ室に羽根車を配すると共に前記モータ室に前記羽根車を回転させるモータを配してなる磁気結合ポンプであって、前記羽根車は回転軸部と、該回転軸部を取り囲むように設けられた環状の永久磁石部とを備え、前記モータに回転磁界を発生させ前記永久磁石部を追従回転させることにより前記羽根車を回転させる磁気結合ポンプにおいて、前記隔壁に設けられ、前記回転軸部を軸支する軸受部の外周面に、複数のリブを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記複数のリブを3箇所以上で、等分割位置に設けられたことを特徴とする。また、請求項3の発明は、前記複数のリブの外周部が磁気プレートの中心孔に遊嵌するよう構成されたことを特徴とする。
【0008】
【作用・効果】
上述のように、回転軸部を軸支する軸受部の外周面に複数のリブを設けて補強したことにより、軸受部が成形時の熱歪により変形することが少なくなり、軸受面の精度、特に円筒度が従来に比較して向上する。なお、複数のリブの形態としては、3箇所以上のリブを等分割に周配置することが熱歪防止には最も効果的であるが、軸受部の形状により分割位置は適宜変更してもよい。また、前記リブの外周部を磁気プレートの中心孔のガイド面として機能させることにより、リブの外周部と磁気プレートの中心孔の隙間hをできる限り小さくすることが可能となり、従来のようにカバー体の磁気プレートガイド部との干渉が無くなり、磁気プレート組付時の吸着のやり直し作業が無くなり組付性が向上すると共に、磁気プレートを精度良く位置決めすることができるので、磁束のもれが少ない磁界が形成され、モータの性能向上が図られる。なお、従来のカバー体に設けられていた磁気プレートガイド部は不要となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1(a)は本発明の一実施形態に係る磁気結合ポンプの縦断面図で、図1(b)は断面A−Aである。本実施形態に係る磁気結合ポンプは、流体の吸込口1と吐出口2とを有するポンプケーシング3を備える。このポンプケーシング3は、Oリング4で気密性を保持された合成樹脂製の隔壁9により、吸込口1、吐出口2側に位置するポンプ室5とモータ室6とに仕切られている。ポンプ室5には羽根車7が配されている。羽根車7は基板部71を備え、この基板部71の前面に複数の羽根72が同一円周上に等間隔で形成されている。基板部71の中央部には回転軸部73の拡径先端部74が固定されると共に、この拡径先端部74を取り囲むように円周方向にNS着磁面を有する環状の永久磁石部75および円環状の磁気プレート76がそれぞれ固定されている。
【0010】
回転軸部73の拡径先端部74の後方には細径部77が設けられ、この細径部77は隔壁9の凹部91に収容されている。細径部77は太径の第1軸部78と細径の第2軸部79とからなり、第1軸部78および第2軸部79の後端部はそれぞれ凹部91の第1ラジアル軸受面92および第2ラジアル軸受面93と間隙を持ちながら接触可能に構成されている。また、回転軸部73の拡径先端部74の後面74aは凹部91の前端に形成された環状の突出部94のスラスト軸受面95と接触支持されている。
【0011】
隔壁凹部91の第1ラジアル軸受面92と第2ラジアル軸受面93との間には、第1ラジアル軸受面92と同一径の内周面96と、この内周面96から第2ラジアル軸受面93に至る傾斜面97とが形成されており、上記内周面96および傾斜面97と、第2軸部79の外周面および段差面81とで空間11が形成されている。そして、隔壁9には、この空間11のエアーを永久磁石部75の後面75a側に抜くためのエアー抜き穴98が形成されている。また、凹部91の後端面には、回転軸部73の後端面73aと間隙を持って突起面91aが形成されている。この突起面91aは、スラスト軸受面95が摩耗したとき回転軸部73の後端面73aと接触開始し、接触開始後は、スラスト軸受面95と共働してスラスト軸受として機能し、スラスト軸受面95の摩耗を遅らせるものである。
【0012】
一方、モータ室6には羽根車7を回転させるモータ10が配される。モータ10は、隔壁9の凹部91を取り巻くように同一円周上に等間隔で配置された複数の電磁石101と円環状の磁気プレート102とから構成され、モータ室6を閉塞するためのカバー体13により、円錐コイルばね16を介してポンプケーシング3に挟着されている。各々の電磁石101は、コア103とコア103の外周に配されたボビン104に巻かれたコイル105とから構成され、コア103の前端面103aは永久磁石部75の後面75aと対向している。また、モータ室6には回路基板14が配されている。この回路基板14には、複数の電磁石101への通電を制御して回転磁界を発生させるための制御回路が実装されており、回路基板14はボビン104から前方へ突出した複数の係止部15によってモータ室6に固定される。また、第1ラジアル軸受面92および第2ラジアル軸受面93の外周面18には複数のリブ17が等分割に配置されて設けられており、このリブ17の外周部19は磁気プレート102の中心孔20に遊嵌するよう構成される。なお、リブ17の数、周分割配置または断面形状は実施例に限定されず、数は少なくとも3以上ならばその機能を損なわず、分割位置も等分割が最も効果的であるが軸受部の形状に応じて適宜変更してもよく、また、断面形状も矩形だけでなく三角形、長円等自由に選択できる。
【0013】
次に、上記の構成の磁気結合ポンプの作用を説明する。モータ10に通電して回転磁界を発生させると、永久磁石部75がこの回転磁界に追従して回転することで羽根車7が回転し、該羽根車7の回転により流体が吸込口1からポンプ室5内に吸い込まれ、吐出口公2から吐出口される。そして、隔壁9の第1ラジアル軸受面92および第2ラジアル軸受面93が樹脂成形時の熱歪による変形が無く精度良く形成されるので、回転軸部73が円滑に回転する。また、組付に際して磁気プレート102の位置を同芯に精度良く磁気吸着することができるので、磁気プレート組付時の吸着のやり直し作業が無くなり組付性が向上すると共に、磁界形成がより確実に行われ磁束のもれが少なくなってモータの性能向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の一実施形態に係る磁気結合ポンプの縦断面図である。図1(b)はその断面A−A図である。
【図2】図2(a)は従来の磁気結合ポンプの縦断面図である。図2(b)はその断面B−B図である。
【図3】従来の磁気結合ポンプの組付時の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
3 ポンプケーシング
5 ポンプ室
6 モータ室
7 羽根車
9 隔壁
10 モータ
13 磁気プレート
17 リブ
18 外周面
19 外周部
20 中心孔
73 回転軸部
74 拡径先端部
75 永久磁石部
92 第1ラジアル軸受面
93 第2ラジアル軸受面
102 磁気プレート

Claims (3)

  1. ポンプケーシングを合成樹脂製の隔壁によりポンプ室とモータ室とに仕切り、前記ポンプ室に羽根車を配すると共に前記モータ室に前記羽根車を回転させるモータを配してなる磁気結合ポンプであって、前記羽根車は回転軸部と、該回転軸部を取り囲むように設けられた環状の永久磁石部とを備え、前記モータに回転磁界を発生させ前記永久磁石部を追従回転させることにより前記羽根車を回転させる磁気結合ポンプにおいて、前記隔壁に設けられ、前記回転軸部を軸支する軸受部の外周面に、複数のリブを設けたことを特徴とする磁気結合ポンプ。
  2. 前記複数のリブが3箇所以上で、等分割位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載の磁気結合ポンプ。
  3. 前記複数のリブの外周部が磁気プレートの中心孔に遊嵌するよう構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の磁気結合ポンプ。
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