JP3546250B2 - 波形管用継手 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管壁が、管軸方向において断面方形壁部分と断面円形壁部分とが交互に形成され、断面円形壁部分に環状突条部を備えた２本の合成樹脂製波形管どうしを接続連結するために用いる波形管用継手に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、合成樹脂波形管には多種多様のものがあり、また、それぞれの管構造に適した連結用継手も多種多様のものが製造され使用されている。これらの継手には、継手本体を筒状に形成したものと二つ割り状に形成したものとに大別することができる。本発明は、後者の二つ割り状に形成した継手の範疇に入るものである。
【０００３】
而して、従来の管継手は、これら筒状のものも、二つ割状のものも、何れのものにあっても、連結される管体の外周径または外周形よりも大径または大形のものであった。即ち、連結される管体の外周から継手が外側に突出する形態のものであった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、管体は継手によって連結された部分が大きく大形になるため、少なくとも継手の存在する部分においては、複数本の管体どうしを非連結部分と同様に密着状態で並列配管させたり、積み上げ配管させることができないのが常であり、寧ろ当然のこととして常識化していた。
【０００５】
しかしながら、本発明は、前記のように、管壁が、管軸方向において断面方形壁部分と断面円形壁部分とが交互に形成され、断面円形壁部分に環状突条部を備えた合成樹脂製波形管を対象とする継手であって、管体どうしを接続連結させても、連結部において継手が外周方向に突出して大形になることのない継手と、その連結方法とを提供し、継手連結部分が存在しても、複数本の管体どうしを非連結部分と同様に密着状態で並列配管させたり、積み上げ配管させることができる手段をここに提供しようとするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
該目的を達成するための本発明の構成を、実施例説明に使用した符号を用いて説明すると、本発明にいう波形管用継手の構成は、管壁１が、管軸方向において断面方形壁部分２と断面円形壁部分３とが交互に形成され、断面円形壁部分３に環状突条部４を備えた合成樹脂製波形管体Ｐに用いる継手であって、半円弧状の二分割体とされた合成樹脂製の継手本体１０と、半円弧状部２１の両端部分から外周方向に突出するフランジ縁２２，２２を備えた弾性素材製の水密用パッキング２０とからなり、前記継手本体１０は、幅方向の両側縁部１４，１４を残してその間の部分が前記水密用パッキング２０を受け入れる凹入溝１３とされ、周方向の両端部１２，１２が締め付け用ボルト穴１５，１５を備え、前記水密用パッキング２０は、半円弧状部２１の幅方向中央部分が内面側に突出する突出部２３とされ、両側縁部が外周面側に凹入する凹入部２４，２４とされ、かつ、前記継手本体１０への取り付け状態において、該両側凹入部２４，２４が継手本体１０における前記両側縁部１４，１４よりも外周面側に凹入し、周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、継手本体１０の両端部１２，１２の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に適宜厚さｔだけ突出している構成としたものである。
【０００７】
また、連結方法の構成は、前記のように管壁１が、管軸方向において断面方形壁部分２と断面円形壁部分３とが交互に形成され、断面円形壁部分３に環状突条部４を備えた合成樹脂製波形管体Ｐの連結方法であって、継手本体１０が半円弧状の二分割体とされ、その周方向の両端部１２，１２に締め付け用ボルト穴１５，１５を備えた継手を用い、連結する二つの管体Ｐ，Ｐの断面円形壁部分３，３の前記環状突条部４，４を残して切断した管端どうしを、前記断面方形壁部分２，２を周方向において同一姿勢として突き合わせた連結部上に水密用パッキング２０を介在させ、二つの継手本体１０，１０を管体Ｐ，Ｐの方形壁部分２の対角線上において締め付け連結させる構成としたものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
前記の構成とした波形管用継手を実施するに当たっては、継手本体１０が１８０度角の正半円よりも少し小さい１７６度〜１７８度程度の半円に形成されているものとして、使用時の締め付け力が全周にわたり易いようにして実施したり、該継手本体１０の外形を、管体Ｐにおける断面方形壁部分２の外周形とほぼ同一かそれよりも少し小形のものとしたりして実施することができる。また、水密用パッキング２０にあっては、前記突出部２３の内面に、周方向に沿って突出する２本のリブｒ，ｒを形成してあるものとしたり、２本一組とする一対のリブを備えているものとして実施することができ、該水密用パッキング２０の両端部の片方または両方の表面部ｆに、同パッキング２０の突出部２３の内面側に向かって終端するリブＲを備えているものとして実施することができる。また、該水密用パッキング２０の両端部の外側への突出厚さｔは、０．１〜１．０ｍｍの範囲内、殊に、０．２〜０．５ｍｍの範囲内で突出しているものとして実施するのが水密状態を確実に維持させ易い点で好ましい。
【０００９】
本発明にいう継手本体１０を形成する合成樹脂素材は、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン，ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニール等の熱可塑性の硬質樹脂、樹脂素材をガラス繊維で強化させたＦＲＰ等が好ましく、殊に経時劣化しにくく、引っ張り耐力に優れた素材を選択使用するのがよい。また、水密用パッキング２０の素材は、天然ゴム・合成ゴムのほか、弾性を備えた軟質の合成樹脂素材を用いることができる。また、継手本体１０と水密用パッキング２０とはそれぞれ別体として形成し、両者を接着させて一体物としてもよく、使用時に両者を嵌合させて用いる形態のものとしても実施することができる。
【００１０】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面に基づいて説明する。図１乃至図９は本発明にいう波形管用継手と連結対象とした管体を示した図である。図１は継手の全体形状を示した斜視図、図２はパッキングと継手本体の単体形状を示した斜視図である。図３乃至図５は管体を示す正面図と断面図、図６は継手の形状を説明するための側面図、図７は継手の管体への取付け手段を説明する側面図、図８及び図９は管体への取付け状態を示す縦断面図と斜視図である。
【００１１】
該実施例に示した継手は、図１及び図２にみられるように、半円弧状の二分割体としてある硬質ポリ塩化ビニール樹脂製の単体成型品の２個一組の継手本体１０，１０と、半円弧状に形成した本体部分２１の両端部分から外周方向に突出するフランジ縁２２，２２を一体的に備えている形状とした合成ゴム製の単体成型品である２個一組の水密用パッキング２０，２０とによって形成してある。
【００１２】
この継手本体１０は、二つを対向させたとき、外形が概略八角形で、内形が円形となる形状に形成された半割り体であって、図２にみられるように、幅方向の両側縁部１４，１４を残してその間の部分が前記水密用パッキング２０を受け入れる凹入溝１３とされ、周方向の両端部１２，１２が締め付け用ボルト穴１５，１５を備えている。また、図２にみられるように、凹入溝１３の周方向の両端部には、前記パッキング２０のフランジ縁２２を受け入れる凹入段部１６を形成してある。
【００１３】
更に該実施例の継手本体１０は、その全体を正半円よりも少し小さい半円状に形成してあり、連結使用時に締め付け力が全体に伝わり易いようにしてある。また、その外形を、図７及び図９に見られるように、後記の管体Ｐにおける断面方形壁部分２の外周形よりも少し小さい形状に形成してある。
【００１４】
前記水密用パッキング２０は、半円弧状に形成された本体部分２１の外面がほぼ平滑で、その幅方向中央部分が厚肉に形成されていて内面側に突出する突出部２３を備え、その両側縁部分が薄肉に形成されていて外周面側に凹入する凹入部２４，２４とされ、その幅が前記継手本体１０における凹入溝１３の幅と合致する幅に形成されている。
【００１５】
このパッキング２０は、図１にみられるように、前記継手本体１０への取り付け状態において、該両側凹入部２４，２４が継手本体１０における前記両側縁部１４，１４よりも外周面側に凹入し、これらの両側縁部１４，１４と前記中央突出部２３との間で、後記管体Ｐの円形壁３の中間部分に形成してある環状突条部４を受け入れる幅をもった窪み溝を形成する。このように、凹入部２４，２４に管体における環状突条部４，４を嵌合させることによって、連結時における管体の軸線方向の移動を確実に阻止させ、その接当周面で水密状態を維持することができるように、環状突条部４，４を強固に挟持させる。更に、該パッキング２０はその周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、図６に示したように、継手本体１０の両端部１２，１２の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に０．１〜１．０ｍｍ、好ましくは０．２〜０．５ｍｍの厚さｔだけ、外側に突出するように設定してある。このようにすることによって、継手本体１０，１０どうしの連結使用時において、対向するパッキング２０，２０の表面部ｆ，ｆどうしを確実に接当し強固に圧接し合うようにし、この接当面でも水密性を維持し易いようにしてある。
【００１６】
更に該実施例のパッキング２０には、図１及び図２に見られるように、前記突出部２３の内面に、適宜の間隔を隔てて周方向に沿って突出する２本のリブｒ，ｒを形成してある。このリブｒ，ｒにより、管体の切断端近くを確実に挟持させることができ、管周方向の水密性がより一層確実に得られるようにしてある。このリブｒ，ｒは、２本宛て一組として形成してもよい。また、該実施例に示した水密用パッキング２０は、両端部の片方の表面部ｆにも、同パッキング２０の突出部２３の内面側に向かって終端する半円弧状のリブＲも形成してある。この半円弧状リブＲは、その終端と前記２本の内面側リブｒ，ｒの終端とを連続させてある。このことによって、使用時におけるパッキング２０，２０の対向する表面部ｆ，ｆどうしの接当面での水密性をより一層確実に維持させ易いようにしてある。なお、該実施例のパッキング２０では、他方の表面部ｆには、この半円弧状リブＲは形成してない。しかし、必要であれば、他方の表面部にも形成してあるものとして実施してもよい。
【００１７】
而して、該実施例に示した管継手を使用する対称の管体は、図３乃至図５にみられるように、管壁１の形状が、管軸方向において断面方形壁部分２と断面円形壁部分３とを交互に配置してあり、断面円形壁部分３の外径が断面方形壁部分２よりも小径とされていて、図３の正面視で凹凸波形状に形成されている管体Ｐであって、断面円形壁部分３の管軸方向の中間部分に角形の環状突条部４が形成され、更に、該突条部４と方形壁部分２との中間部分に切断用目印線５，５を形成してある合成樹脂製の波形管である。該実施例の管体Ｐでは、該切断用目印線５は、突条部４側から方形壁部分２側に向かって僅かに大径となる傾斜壁６，６の終端によって形成してある。しかしながら、該目印線５は、任意適宜の公知手段で形成すればよい。
【００１８】
このような構造とした波形管Ｐに対して、前記の構造とした継手を使用するには、図３及び図８にみられるように、連結する２本の波形管体Ｐ，Ｐをそれぞれ前記環状突条部４を残して隣る切断用目印線５に沿って切断し、この切断端面どうしを突き合わせ、この管端に位置する両管体Ｐ，Ｐの環状突条部４，４を、継手本体１０の凹入溝１３内に取り付けたパッキング２０の前記凹入部２４，２４に嵌合させ、これを図６，図７に示したように、その両端表面部Ｆ，Ｆが略４５度角線上に沿うように傾斜配置して、それぞれの締め付け用ボルト穴１５…を利用してボルトｂ…で締め付け連結させる。
【００１９】
このように、半割り状とした継手本体１０，１０を、その連結する対向面を略４５度角に添わせた傾斜状態で連結させることにより、各継手本体１０，１０の連結用ボルト穴１５，１５を形成した端部１２，１２を、管体Ｐの方形壁部分２における対角線部分のデッド空間を利用して連結させることができるので、連結部分が、連結する管体Ｐ，Ｐの方形壁部分２の範囲内で、即ち、少なくとも方形壁部分２が形成する仮想外周面から突出することのない状態で連結させることができる。
【００２０】
図１０及び図１１は、それぞれ別の実施例について示したもので、図１０に示した実施例は、継手本体１０の外形形状を円弧状に形成したものであり、図１１に示した実施例は、継手本体１０に形成した凹入溝１３を、幅方向の中間部分に内面側に突出した突出梁１３ａを備えているものとし、パッキング２０における左右の凹入部２４，２４が背面側に突出して厚肉に形成され、締め付け使用時にクッション性が向上するようにしたものである。
【００２１】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこの実施例のみに限定されるものではない。即ち、これらの実施例に示したものの他、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【００２２】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にいう波形管用継手は、管壁の形状が管軸方向において断面方形壁部分と断面円形壁部分とが交互に形成されていて、断面円形壁部分に環状突条部を備えた合成樹脂製波形管だけを対象とした継手であって、二分割体とした合成樹脂製の継手本体の内面に凹入溝を形成して、弾性素材製の水密用パッキングを受け入れるようにし、該パッキングの継手本体への取り付け状態において、パッキングの両側凹入部が継手本体の両側縁部よりも外周面側に凹入したものとしてあるので、この凹入部分に管体における環状突条部を嵌合させることができ、管体の軸線方向の移動を確実に阻止させることができると同時に、その接当周面で管体の強固な挟持による水密状態の維持を図ることができる。更に、該パッキングにおける周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、継手本体における両端部の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に適宜厚さｔだけ突出している構成としてあるので、使用時において、対向するパッキングの表面部ｆ，ｆどうしが強力に集中的に圧縮されることとなり、容易かつ迅速に確実な水密状態に管体を接続ができるという顕著な効果を有する。
【００２３】
更に、連結方法にあっては、前記の継手を用いて、連結する二つの管体の断面円形壁部分の環状突条部を残して切断した管端どうしを、断面方形壁部分を周方向において同一姿勢として突き合わせた連結部上において、水密用パッキングを介在させて、二つの継手本体を、管体の方形壁部分の対角線上において締め付け連結させるようにしたものであるから、各継手本体の端部を、管体の方形壁部分における対角線部分のデッド空間を利用して連結させることとなるので、連結部分が、連結する管体の方形壁部分の範囲内で連結することができ、少なくとも管体の方形壁部分が形成する仮想外周面から大きく突出することのない状態で連結させることができる。したがって、従来では不可能であった、管体の接続連結部分が存在しても、複数の管体どうしを蛇行させることなく、平行配管させたり積層配管させることが可能となるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例の継手の斜視図。
【図２】同継手の継手本体とパッキングとの斜視図。
【図３】対象波形管の正面図。
【図４】図３におけるＡ−Ａ線断面図。
【図５】図３におけるＢ−Ｂ線断面図。
【図６】継手の分離状態を示す側面図。
【図７】継手の管体への連結方法を説明する側面図。
【図８】継手の管体への連結状態を示す縦断面図。
【図９】継手の管体への連結状態を示す斜視図。
【図１０】別実施例の継手を示す図７相当部分の側面図。
【図１１】別実施例の継手を示す中央横断面図。
【符号の説明】
１ 管壁
２ 方形壁部分
３ 円形壁部分
４ 環状突条部
１０ 継手本体
１２ 周方向端部
１３ 凹入溝
１４ 側縁部
１５ ボルト穴
２０ 水密用パッキング
２１ 本体部分
２２ フランジ縁
２３ 中央突出部
２４ 凹入部
Ｐ 管体
Ｆ 継手本体の表面部
ｆ パッキングの表面部
Ｒ 表面部のリブ
ｒ 突出部のリブ
ｔ 突出厚さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、管壁が、管軸方向において断面方形壁部分と断面円形壁部分とが交互に形成され、断面円形壁部分に環状突条部を備えた２本の合成樹脂製波形管どうしを接続連結するために用いる波形管用継手に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、合成樹脂波形管には多種多様のものがあり、また、それぞれの管構造に適した連結用継手も多種多様のものが製造され使用されている。これらの継手には、継手本体を筒状に形成したものと二つ割り状に形成したものとに大別することができる。本発明は、後者の二つ割り状に形成した継手の範疇に入るものである。
【０００３】
而して、従来の管継手は、これら筒状のものも、二つ割状のものも、何れのものにあっても、連結される管体の外周径または外周形よりも大径または大形のものであった。即ち、連結される管体の外周から継手が外側に突出する形態のものであった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、管体は継手によって連結された部分が大きく大形になるため、少なくとも継手の存在する部分においては、複数本の管体どうしを非連結部分と同様に密着状態で並列配管させたり、積み上げ配管させることができないのが常であり、寧ろ当然のこととして常識化していた。
【０００５】
しかしながら、本発明は、前記のように、管壁が、管軸方向において断面方形壁部分と断面円形壁部分とが交互に形成され、断面円形壁部分に環状突条部を備えた合成樹脂製波形管を対象とする継手であって、管体どうしを接続連結させても、連結部において継手が外周方向に突出して大形になることのない継手と、その連結方法とを提供し、継手連結部分が存在しても、複数本の管体どうしを非連結部分と同様に密着状態で並列配管させたり、積み上げ配管させることができる手段をここに提供しようとするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
該目的を達成するための本発明の構成を、実施例説明に使用した符号を用いて説明すると、本発明にいう波形管用継手の構成は、管壁１が、管軸方向において断面方形壁部分２と断面円形壁部分３とが交互に形成され、断面円形壁部分３に環状突条部４を備えた合成樹脂製波形管体Ｐに用いる継手であって、半円弧状の二分割体とされた合成樹脂製の継手本体１０と、半円弧状部２１の両端部分から外周方向に突出するフランジ縁２２，２２を備えた弾性素材製の水密用パッキング２０とからなり、前記継手本体１０は、幅方向の両側縁部１４，１４を残してその間の部分が前記水密用パッキング２０を受け入れる凹入溝１３とされ、周方向の両端部１２，１２が締め付け用ボルト穴１５，１５を備え、前記水密用パッキング２０は、半円弧状部２１の幅方向中央部分が内面側に突出する突出部２３とされ、両側縁部が外周面側に凹入する凹入部２４，２４とされ、かつ、前記継手本体１０への取り付け状態において、該両側凹入部２４，２４が継手本体１０における前記両側縁部１４，１４よりも外周面側に凹入し、周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、継手本体１０の両端部１２，１２の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に適宜厚さｔだけ突出している構成としたものである。
【０００７】
また、連結方法の構成は、前記のように管壁１が、管軸方向において断面方形壁部分２と断面円形壁部分３とが交互に形成され、断面円形壁部分３に環状突条部４を備えた合成樹脂製波形管体Ｐの連結方法であって、継手本体１０が半円弧状の二分割体とされ、その周方向の両端部１２，１２に締め付け用ボルト穴１５，１５を備えた継手を用い、連結する二つの管体Ｐ，Ｐの断面円形壁部分３，３の前記環状突条部４，４を残して切断した管端どうしを、前記断面方形壁部分２，２を周方向において同一姿勢として突き合わせた連結部上に水密用パッキング２０を介在させ、二つの継手本体１０，１０を管体Ｐ，Ｐの方形壁部分２の対角線上において締め付け連結させる構成としたものである。
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【発明の実施の形態】
前記の構成とした波形管用継手を実施するに当たっては、継手本体１０が１８０度角の正半円よりも少し小さい１７６度〜１７８度程度の半円に形成されているものとして、使用時の締め付け力が全周にわたり易いようにして実施したり、該継手本体１０の外形を、管体Ｐにおける断面方形壁部分２の外周形とほぼ同一かそれよりも少し小形のものとしたりして実施することができる。また、水密用パッキング２０にあっては、前記突出部２３の内面に、周方向に沿って突出する２本のリブｒ，ｒを形成してあるものとしたり、２本一組とする一対のリブを備えているものとして実施することができ、該水密用パッキング２０の両端部の片方または両方の表面部ｆに、同パッキング２０の突出部２３の内面側に向かって終端するリブＲを備えているものとして実施することができる。また、該水密用パッキング２０の両端部の外側への突出厚さｔは、０．１〜１．０ｍｍの範囲内、殊に、０．２〜０．５ｍｍの範囲内で突出しているものとして実施するのが水密状態を確実に維持させ易い点で好ましい。
【０００９】
本発明にいう継手本体１０を形成する合成樹脂素材は、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン，ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニール等の熱可塑性の硬質樹脂、樹脂素材をガラス繊維で強化させたＦＲＰ等が好ましく、殊に経時劣化しにくく、引っ張り耐力に優れた素材を選択使用するのがよい。また、水密用パッキング２０の素材は、天然ゴム・合成ゴムのほか、弾性を備えた軟質の合成樹脂素材を用いることができる。また、継手本体１０と水密用パッキング２０とはそれぞれ別体として形成し、両者を接着させて一体物としてもよく、使用時に両者を嵌合させて用いる形態のものとしても実施することができる。
【００１０】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面に基づいて説明する。図１乃至図９は本発明にいう波形管用継手と連結対象とした管体を示した図である。図１は継手の全体形状を示した斜視図、図２はパッキングと継手本体の単体形状を示した斜視図である。図３乃至図５は管体を示す正面図と断面図、図６は継手の形状を説明するための側面図、図７は継手の管体への取付け手段を説明する側面図、図８及び図９は管体への取付け状態を示す縦断面図と斜視図である。
【００１１】
該実施例に示した継手は、図１及び図２にみられるように、半円弧状の二分割体としてある硬質ポリ塩化ビニール樹脂製の単体成型品の２個一組の継手本体１０，１０と、半円弧状に形成した本体部分２１の両端部分から外周方向に突出するフランジ縁２２，２２を一体的に備えている形状とした合成ゴム製の単体成型品である２個一組の水密用パッキング２０，２０とによって形成してある。
【００１２】
この継手本体１０は、二つを対向させたとき、外形が概略八角形で、内形が円形となる形状に形成された半割り体であって、図２にみられるように、幅方向の両側縁部１４，１４を残してその間の部分が前記水密用パッキング２０を受け入れる凹入溝１３とされ、周方向の両端部１２，１２が締め付け用ボルト穴１５，１５を備えている。また、図２にみられるように、凹入溝１３の周方向の両端部には、前記パッキング２０のフランジ縁２２を受け入れる凹入段部１６を形成してある。
【００１３】
更に該実施例の継手本体１０は、その全体を正半円よりも少し小さい半円状に形成してあり、連結使用時に締め付け力が全体に伝わり易いようにしてある。また、その外形を、図７及び図９に見られるように、後記の管体Ｐにおける断面方形壁部分２の外周形よりも少し小さい形状に形成してある。
【００１４】
前記水密用パッキング２０は、半円弧状に形成された本体部分２１の外面がほぼ平滑で、その幅方向中央部分が厚肉に形成されていて内面側に突出する突出部２３を備え、その両側縁部分が薄肉に形成されていて外周面側に凹入する凹入部２４，２４とされ、その幅が前記継手本体１０における凹入溝１３の幅と合致する幅に形成されている。
【００１５】
このパッキング２０は、図１にみられるように、前記継手本体１０への取り付け状態において、該両側凹入部２４，２４が継手本体１０における前記両側縁部１４，１４よりも外周面側に凹入し、これらの両側縁部１４，１４と前記中央突出部２３との間で、後記管体Ｐの円形壁３の中間部分に形成してある環状突条部４を受け入れる幅をもった窪み溝を形成する。このように、凹入部２４，２４に管体における環状突条部４，４を嵌合させることによって、連結時における管体の軸線方向の移動を確実に阻止させ、その接当周面で水密状態を維持することができるように、環状突条部４，４を強固に挟持させる。更に、該パッキング２０はその周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、図６に示したように、継手本体１０の両端部１２，１２の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に０．１〜１．０ｍｍ、好ましくは０．２〜０．５ｍｍの厚さｔだけ、外側に突出するように設定してある。このようにすることによって、継手本体１０，１０どうしの連結使用時において、対向するパッキング２０，２０の表面部ｆ，ｆどうしを確実に接当し強固に圧接し合うようにし、この接当面でも水密性を維持し易いようにしてある。
【００１６】
更に該実施例のパッキング２０には、図１及び図２に見られるように、前記突出部２３の内面に、適宜の間隔を隔てて周方向に沿って突出する２本のリブｒ，ｒを形成してある。このリブｒ，ｒにより、管体の切断端近くを確実に挟持させることができ、管周方向の水密性がより一層確実に得られるようにしてある。このリブｒ，ｒは、２本宛て一組として形成してもよい。また、該実施例に示した水密用パッキング２０は、両端部の片方の表面部ｆにも、同パッキング２０の突出部２３の内面側に向かって終端する半円弧状のリブＲも形成してある。この半円弧状リブＲは、その終端と前記２本の内面側リブｒ，ｒの終端とを連続させてある。このことによって、使用時におけるパッキング２０，２０の対向する表面部ｆ，ｆどうしの接当面での水密性をより一層確実に維持させ易いようにしてある。なお、該実施例のパッキング２０では、他方の表面部ｆには、この半円弧状リブＲは形成してない。しかし、必要であれば、他方の表面部にも形成してあるものとして実施してもよい。
【００１７】
而して、該実施例に示した管継手を使用する対称の管体は、図３乃至図５にみられるように、管壁１の形状が、管軸方向において断面方形壁部分２と断面円形壁部分３とを交互に配置してあり、断面円形壁部分３の外径が断面方形壁部分２よりも小径とされていて、図３の正面視で凹凸波形状に形成されている管体Ｐであって、断面円形壁部分３の管軸方向の中間部分に角形の環状突条部４が形成され、更に、該突条部４と方形壁部分２との中間部分に切断用目印線５，５を形成してある合成樹脂製の波形管である。該実施例の管体Ｐでは、該切断用目印線５は、突条部４側から方形壁部分２側に向かって僅かに大径となる傾斜壁６，６の終端によって形成してある。しかしながら、該目印線５は、任意適宜の公知手段で形成すればよい。
【００１８】
このような構造とした波形管Ｐに対して、前記の構造とした継手を使用するには、図３及び図８にみられるように、連結する２本の波形管体Ｐ，Ｐをそれぞれ前記環状突条部４を残して隣る切断用目印線５に沿って切断し、この切断端面どうしを突き合わせ、この管端に位置する両管体Ｐ，Ｐの環状突条部４，４を、継手本体１０の凹入溝１３内に取り付けたパッキング２０の前記凹入部２４，２４に嵌合させ、これを図６，図７に示したように、その両端表面部Ｆ，Ｆが略４５度角線上に沿うように傾斜配置して、それぞれの締め付け用ボルト穴１５…を利用してボルトｂ…で締め付け連結させる。
【００１９】
このように、半割り状とした継手本体１０，１０を、その連結する対向面を略４５度角に添わせた傾斜状態で連結させることにより、各継手本体１０，１０の連結用ボルト穴１５，１５を形成した端部１２，１２を、管体Ｐの方形壁部分２における対角線部分のデッド空間を利用して連結させることができるので、連結部分が、連結する管体Ｐ，Ｐの方形壁部分２の範囲内で、即ち、少なくとも方形壁部分２が形成する仮想外周面から突出することのない状態で連結させることができる。
【００２０】
図１０及び図１１は、それぞれ別の実施例について示したもので、図１０に示した実施例は、継手本体１０の外形形状を円弧状に形成したものであり、図１１に示した実施例は、継手本体１０に形成した凹入溝１３を、幅方向の中間部分に内面側に突出した突出梁１３ａを備えているものとし、パッキング２０における左右の凹入部２４，２４が背面側に突出して厚肉に形成され、締め付け使用時にクッション性が向上するようにしたものである。
【００２１】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこの実施例のみに限定されるものではない。即ち、これらの実施例に示したものの他、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【００２２】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にいう波形管用継手は、管壁の形状が管軸方向において断面方形壁部分と断面円形壁部分とが交互に形成されていて、断面円形壁部分に環状突条部を備えた合成樹脂製波形管だけを対象とした継手であって、二分割体とした合成樹脂製の継手本体の内面に凹入溝を形成して、弾性素材製の水密用パッキングを受け入れるようにし、該パッキングの継手本体への取り付け状態において、パッキングの両側凹入部が継手本体の両側縁部よりも外周面側に凹入したものとしてあるので、この凹入部分に管体における環状突条部を嵌合させることができ、管体の軸線方向の移動を確実に阻止させることができると同時に、その接当周面で管体の強固な挟持による水密状態の維持を図ることができる。更に、該パッキングにおける周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、継手本体における両端部の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に適宜厚さｔだけ突出している構成としてあるので、使用時において、対向するパッキングの表面部ｆ，ｆどうしが強力に集中的に圧縮されることとなり、容易かつ迅速に確実な水密状態に管体を接続ができるという顕著な効果を有する。
【００２３】
更に、連結方法にあっては、前記の継手を用いて、連結する二つの管体の断面円形壁部分の環状突条部を残して切断した管端どうしを、断面方形壁部分を周方向において同一姿勢として突き合わせた連結部上において、水密用パッキングを介在させて、二つの継手本体を、管体の方形壁部分の対角線上において締め付け連結させるようにしたものであるから、各継手本体の端部を、管体の方形壁部分における対角線部分のデッド空間を利用して連結させることとなるので、連結部分が、連結する管体の方形壁部分の範囲内で連結することができ、少なくとも管体の方形壁部分が形成する仮想外周面から大きく突出することのない状態で連結させることができる。したがって、従来では不可能であった、管体の接続連結部分が存在しても、複数の管体どうしを蛇行させることなく、平行配管させたり積層配管させることが可能となるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例の継手の斜視図。
【図２】同継手の継手本体とパッキングとの斜視図。
【図３】対象波形管の正面図。
【図４】図３におけるＡ−Ａ線断面図。
【図５】図３におけるＢ−Ｂ線断面図。
【図６】継手の分離状態を示す側面図。
【図７】継手の管体への連結方法を説明する側面図。
【図８】継手の管体への連結状態を示す縦断面図。
【図９】継手の管体への連結状態を示す斜視図。
【図１０】別実施例の継手を示す図７相当部分の側面図。
【図１１】別実施例の継手を示す中央横断面図。
【符号の説明】
１ 管壁
２ 方形壁部分
３ 円形壁部分
４ 環状突条部
１０ 継手本体
１２ 周方向端部
１３ 凹入溝
１４ 側縁部
１５ ボルト穴
２０ 水密用パッキング
２１ 本体部分
２２ フランジ縁
２３ 中央突出部
２４ 凹入部
Ｐ 管体
Ｆ 継手本体の表面部
ｆ パッキングの表面部
Ｒ 表面部のリブ
ｒ 突出部のリブ
ｔ 突出厚さ
Claims (7)
- 管壁(1)が、管軸方向において断面方形壁部分(2)と断面円形壁部分(3)とが交互に形成され、断面円形壁部分(3)に環状突条部(4)を備えた合成樹脂製波形管体(P)に用いる継手であって、半円弧状の二分割体とされた合成樹脂製の継手本体(10)と、半円弧状部(21)の両端部分から外周方向に突出するフランジ縁(22)，(22)を備えた弾性素材製の水密用パッキング(20)とからなり、前記継手本体(10)は、幅方向の両側縁部(14)，(14)を残してその間の部分が前記水密用パッキング(20)を受け入れる凹入溝(13)とされ、周方向の両端部(12)，(12)が締め付け用ボルト穴(15)，(15)を備え、前記水密用パッキング(20)は、半円弧状部(21)の幅方向中央部分が内面側に突出する突出部(23)とされ、両側縁部が外周面側に凹入する凹入部(24)，(24)とされ、かつ、前記継手本体(10)への取り付け状態において、該両側凹入部(24)，(24)が継手本体(10)における前記両側縁部(14)，(14)よりも外周面側に凹入し、周方向両端部の表面部ｆ，ｆが、継手本体(10)の両端部(12)，(12)の表面部Ｆ，Ｆよりも外側に適宜厚さｔだけ突出している構成とされた波形管用継手。
- 継手本体(10)が正半円よりも少し短い半円に形成されている請求項１に記載の波形管用継手。
- 継手本体(10)が、管体(P)における断面方形壁部分(2)の外周形とほぼ同一かそれよりも小形に形成されている請求項１または２に記載の波形管用継手。
- 水密用パッキング(20)が、前記突出部(23)の内面に、周方向に沿って突出する２本のリブｒ，ｒを備えている請求項１乃至３の何れかに記載の波形管用継手。
- 水密用パッキング(20)が、前記両端部の少なくとも一方の表面部ｆに、当該パッキング(20)の突出部(23)の内面側に向かって終端するリブＲを備えている請求項１乃至４の何れかに記載の波形管用継手。
- 水密用パッキング(20)の前記外側突出厚さｔが、０．１〜１．０ｍｍとされている請求項１乃至５の何れかに記載の波形管用継手。
- 管壁(1)が、管軸方向において断面方形壁部分(2)と断面円形壁部分(3)とが交互に形成され、断面円形壁部分(3)に環状突条部(4)を備えた合成樹脂製波形管体(P)の連結方法であって、継手本体(10)が半円弧状の二分割体とされ、その周方向の両端部(12)，(12)に締め付け用ボルト穴(15)，(15)を備えた継手を用い、連結する二つの管体(P)，(P)の断面円形壁部分(3)，(3)の前記環状突条部(4)，(4)を残して切断した管端どうしを、前記断面方形壁部分(2)，(2)を周方向において同一姿勢として突き合わせた連結部上に水密用パッキング(20)を介在させ、二つの継手本体(10)，(10)を管体(P)，(P)の方形壁部分(2)の対角線上において締め付け連結させる連結方法。
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