JP3546045B2 - 磁気軸受制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はロータの安定な運転及びロータの不つりあい振動の抑制及び駆動電流の低減をはかる磁気軸受制御方法に関する
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受で支承されロータの各種の振動制御方式を図2〜図6に示す。尚、図6は、本件出願時点において未だ公開されていないものである。
【0003】
図2〜図6は以下の如き従来例である。
図2……サーボフィードバック制御方式としてよく知られた従来例図である。
図3……ABS(Automatic Balancing System)制御方式であり、特開昭52−93852号に記載されたものである。ABSは、回転同期振動成分をカットすることからNカットとも呼びうる。
図4……臨界減衰制御方式であり、特開昭52−93853号に記載されたものである。
図5……図4の方式を改良したものであってNクロス方式と呼ばれるものであり、特開昭61−262225号に記載されたものである。これは本件出願人によって提案された発明である。
図6……FF(Feed Forward)制御方式であり、先願である特願平3−1271845号に記載された発明である。これは本件出願人によって提案された発明である。
【0004】
以下、図2〜図6を個別に説明する。
図2……磁気軸受で支持された回転体(ロータ)は、その形状や外力等の影響で回転の中心位置(中立位置とも云う)からのずれを生ずるので、磁気軸受を制御して回転体位置を中心位置になるように制御する必要がある。図2で回転体1の左右上下に電磁石2X、2Yを設けておき、この電磁石2X、2Yへの励磁電流を制御することで回転体位置制御をはかる。そのために制御回路4X、4Y及びパワーアンプ5X、5Yを設けている。制御回路4X、4YはPID要素より成る制御回路である。制御回路4X、はX軸方向の変位センサ3Xからの検出変位量xを入力とし、制御回路4YはY軸方向の変位センサ3Yからの検出変位量yを入力とする。この変位量x及びyは回転中心からのずれを示す量であり、これを制御回路5X、5Yに入力する。制御回路5X、5Yは、ロータ1の中心位置からのずれに応じた制御電圧P、Pを出力し、これをパワーアンプ5X(左右の2つのコイル2Xに対応)、5Y(上下の2つのコイル2Yに対応)に入力し、コイル2X、2Yに中心からのずれをなくすような励磁電流i、iを流すことで、左右上下の中心位置からのロータのずれを補正する。
【0005】
制御回路5X、5Yを構成するPID要素とは、P(比例)、I(積分)、D(微分)を組み合わせたものである。この組合せの仕方によって、種々の制御特性を得る。
【0006】
図2のサーボフィードバック制御方式は、ロータを中立位置に保持するための基本制御法である。然るに、ロータのあらゆる回転数にわたって中立位置の維持が可能かというとそうではない。高速回転での曲げ共振点への対応ができないためである。
【0007】
ロータの回転数を上げてゆくと、剛体としての1次、2次の共振現象が現れる。更に回転数を上げてゆくとロータは剛体としての運動体から不つりあいを原因とする弾性体としての運動体の性質が現れる。この弾性体の性質を持つことによって曲げ1次、2次の共振現象が出現する。これらの共振現象が現れる回転数を共振周波数と呼ぶ。共振現象の出現する時点をを共振点と呼ぶ。剛体と弾性体との区別をなくし、剛体としての1次、2次の共振点を、単に1次、2次の共振点、(Nc1、Nc2)弾性体としての1次、2次の共振点を、単に3次、4次の共振点(Nc3、Nc4)と呼ぶこともある。かかる共振点と振幅との関係を図7に示す。
【0008】
図2のサーボフィードバック制御方式は、チューニングすることで回転周波数全域で中立位置に保持する制御が可能となる。ここで、チューニングとは、PIDによる制御特性を調整することを云う。しかし、実際には、図2のサーボフィードバック制御方式では、せいぜい剛体としての1次、2次の共振点での振動に対して、中立位置への保持が可能となる程度である。曲げ1次、2次の共振点及びその前後にわたっての中立位置への保持は、サーボフィードバック制御方式だけでは困難である。
【0009】
図3……図3は、図2にトラッキングフィルタ7を設けたこと、及びこの検出回転数x、yを制御回路4X、4Yの入力側に負帰還するようにしたこと、に特徴がある。トラッキングフィルタ7は変位信号x及びy、更に回転パルスを入力として回転同期成分x、y(これをN成分と呼ぶことが多い)を抽出する回路である。減算点9X、9Yは変位信号x、yから回転同期成分x、yに比例係数β(0か1かのいずれかの値)を乗算したβx、βyを差し引き、この結果を制御回路4X、4Yへ入力する回路である。
【0010】
図3の回路によれば、変位信号x、yから係数器20X、20Yにより比例係数βを乗じた回転同期成分βx、βyを差し引くことで、磁気軸受は回転同期の不つりあい振動には反応しないようになる。(振動絶縁)。よって、ばね定数Kと減衰定数Cは、回転同期成分に対してK=0、C=0となる。このABS制御をかける場合にはβ=1、かけない場合にはβ=0となる。β=1としてABS制御をかけると、その時の不つりあい振動の抑制のための電流が不要となる利点を持つ。このABS制御は、共振点通過中はかけずに(β=0)、共振点通過後にかける(β=1)ことが特徴である。ABS制御はオプションである。
【0011】
図4……図4は、図2の制御装置に微分回路6X,6Yと回転同期トラッキングフィルタ7とを設けて曲げモードの共振点での共振振幅をも小さく押さえることを目的とする。検出された変位信号x,yはPID形の制御回路4X,4Yに入力されるとともに、微分回路6X,6Yへも入力される。微分回路6XはKx+C(dx/dt)を算出することにより変位xの速度に比例した量を算出し、この量からロータ1の回転数Nに同期した成分
【数1】
Figure 0003546045
を回転同期トラッキングフィルタ7が検出する。ここでKはばね定数、Cは減衰定数である。同様に変位信号yから微分回路6Y、回転同期トラッキングフィルタ7は回転数Nに同期した成分
【数2】
Figure 0003546045
を検出する。こうして変位と速度の回転同期成分x,yのみを抽出し、回転数同期の不つりあい振動のみの制御を行う。この構成によれば、変位成分の大きさに応じた制御によって軸受剛性の調整が可能(これは、ばね定数Kの大きさで調整する)で、また速度成分の大きさによって軸受変位の減衰の調整が可能(これは減衰定数Cの大きさで調整する)となり、曲げモード共振点の振幅を小さく抑えることができる。しかし、この方式では、微分回路を必要とする。しかし一般に、数学的微分を電子回路で実現するには高周波ノイズの発生を誘発し、制約を伴うので、完全なものは無限で、模擬的なもので代用するしか仕方がないのが実情である。
【0012】
図5……図4の従来例では、速度検出に微分回路6X、6Yを用いたが、図5はこれを別の方法で検出するようにしたものである。図5はロータの不つりあい振動が前向きである場合の構成であり、x方向の微分は−y変位信号に比例し、y方向振動の微分はx変位信号に比例することを利用したものである。即ち図4の微分回路6X,6Yの出力の代わりにこれらの変位−y,xを用いたのが図5であり、各変位の速度の回転同期成分を回転同期トラッキングフィルタ7により取り出すことができる。これをクロスさせて係数器21X、21Yを介して制御回路4X、4Yの出力側の減算点、及び加算点に与える。
【0013】
Nクロス制御は、微分回路が完全に実現でき、不つりあい振動に対して、減衰定数CNを発生させたのと同等の効果を持つ。よって共振振幅を大幅に低減できることになる。従って、共振点通過中に使用されるオプション回路である。
【0014】
図6……新しい振動制限法を実現する回路である。前述の従来例は、トラッキングフィルタを設けたことで変位信号に依存して電流制御をはかることからフィードバック制御と呼べるものである。図8はこの変位信号x、yを使用するトラッキングフィルタを設けていないことから、FF制御法と呼ぶ。このFF制御は、フィードフォワードで加振力を与え、その加振力が不つりあいと逆位相になるように与え、不つりあいとキャンセルすることによって振動を低減しようとするものである。図6で、2相発振器10は、ロータ回転数Ωに対して回転パルスに同期した正弦波信号Asin(Ωt+φ)と余弦波信号Acos(Ωt+φ)を出力する。制御回路4Xの出力と余弦波信号Acos(Ωt+φ)に比例(係数器22X、22Yで与えられた比例係数γ)した量との加算を行い、これで電流制御を行い、制御回路4Yの出力と正弦波信号Asin(Ωt+φ)に比例(比例係数γ)した量との加算を行い、これで電流制御を行う。振幅Aと位相φを適当に選べば共振点において不つりあいによるアンバランス力をキャンセルするように加振でき、共振振幅を小さく押え得る。この加振をFF加振と呼ぶ。尚、図6の点線で示すように、制御回路4X、4Yの入力側に2相出力を与えてもよい。このFF制御もオプションである。
以上の図2〜図6に示した従来例及び先願の使用目的と使用回転数と制御電流(励磁電流)との関係を図8に示す。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭52−93853号に示された微分回路を用いる臨界減衰装置においては、変位信号(x、y)から速度信号(dx/dt、dy/dt)を作るための微分回路が必要となり、回路が複雑になる。また、不つりあい振動による危険速度通過時には振動振幅が大きく、磁気軸受に流す電流の増大するという問題がある。また、特開昭61−262225号のNクロスの制御においても、本来のPID制御回路に 共振振動の信号が流れるため、電流の増大という問題がある。これらの電流の増大はパワーアンプのダイナミックレンジを大きくすることを必要とし、これが実現困難になる。また、ABSを用いれば不つりあいによる回転数同期成分の振動がフィルタされ、電磁石コイルに流す電流をきわめて少なくすることができる。しかし、共振点を通過中に単独でABS制御をすると、振動が大きくなってしまうので、危険速度通過後に動作させざるを得ない。よって共振点である危険速度通過中にはABS制御は無力、PID制御回路のみとなり、大きな制御電流を必要としていた。
【0016】
細かく述べるとABS制御の効かせ方には、不つりあい振動の低減の以外のゆらぎなどの系の安定/不安定の問題を伴う。ABSの制御を効かせた時の振動応答の例を図9に示す。3次共振点付近でみるとABSのない時、あるいはABS制御の弱い時には共振振幅曲線は安定している。しかし、ABS制御を強くすると、3次共振点を通過後、振幅曲線が変動しており安定しない。即ち、共振点前後の付近においては、ABS制御を強く効かせることは非常に危険である。従って、共振点を十分に通過した後、この例では3次と4次の共振点の間で、ABS制御を効かせることが有効である。このように、現在の技術では、ABSは使用回転数範囲が共振領域を避けるように限定されている。
【0017】
従って、本発明の目的は、ABS制御をかけたままでも安定して共振点通過を可能にする磁気軸受の制御方法を提供することにある。
【0018】
更に、図8からわかるように、現状では共振点通過時に小さい電流で十分に振動を小さく抑える必要があるにもかかわらず、その実現ができていない。更に、ロータの振動制御にとって大切なことは、共振点通過回転数域などの振動を制御することが必要な回転数の時にはできるだけ小電流で振動を小さく抑えると共に、振動制御が必要でない回転数の時には徹底して電流を流さないことが必要である。 このように小電流で低振動を達成することが目標課題であり、省エネルギー運転は引いては機器の長寿命など他の多くの付帯的な利点を与え得る。
【0019】
従って、本発明の他の目的は、回転数同期の不つりあい振動の共振振幅を下げると共に、磁気軸受の電磁石コイルに流す電流を少なくすることにより、磁気軸受の耐力を向上させた磁気軸受の制御方法を提供することにある。
【0020】
更に本発明の目的は、徹底した省エネルギー運転を可能にする磁気軸受の制御方法を提供することにある。
【0021】
更に本発明の目的は、回転数に応じて予め定めた制御方式を適性に採用可能にする磁気軸受の制御方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は磁気軸受によって支持されたロータの回転中心からのX軸方向の変位量xとY軸方向の変位量yを検出する変位検出手段、前記ロータの回転パルスを入力として前記ロータの回転数に同期した成分x、yを前記変位量x、yから取り出すためのフィルタ手段、前記成分xに比例係数βで比例した量と前記変位量xとの差分量を入力として第1のABS用制御信号を出力する第1のABS用制御手段、前記成分yに前記比例係数βで比例した量と前記変位量yとの差分量を入力として第2のABS用制御信号を出力する第2のABS用制御手段、前記第1のABS用制御信号を増幅して前記磁気軸受の第1のコイルに流れる励磁電流を制御する第1の電力増幅手段、および前記第2のABS用制御信号を増幅して前記磁気軸受の第2のコイルに流れる励磁電流を制御する第2の電力増幅手段が用いられるABS制御方式を用い、このABS制御方式に対して、
前記変位検出手段、前記フィルタ手段、前記変位量xを入力として第1のNクロス用制御信号を出力する第1のNクロス用制御手段、前記変位量yを入力として第2のNクロス用制御信号を出力する第2のNクロス用制御手段、前記成分yに比例係数αで比例した量と前記第1のNクロス用制御信号との差分量を前記第1の電力増幅手段の入力とする手段、および前記成分xに前記比例係数αで比例した量と前記第2のNクロス用制御信号との加算量を前記第2の電力増幅手段の入力とする手段が用いられるNクロス制御方式;
前記変位検出手段、前記フィルタ手段、前記変位量xを入力として第1のNストレート用制御信号を出力する第1のNストレート用制御手段、前記変位量yを入力として第2のNストレート用制御信号を出力する第2のNストレート用制御手段、前記成分xに比例係数δで比例した量と前記第1のNストレート用制御信号との加算量を前記第1の電力増幅手段の入力とする手段、および前記成分yに前記比例係数δで比例した量と前記第2のNストレート用制御信号との加算量を前記第2の電力増幅手段の入力とする手段が用いられるNストレート制御方式;および前記変位検出手段、前記変位量xを入力として第1のFF用制御信号を出力する第1のFF用制御手段、前記変位量yを入力として第2のFF用制御信号を出力する第2のFF用制御手段、前記ロータの回転数に同期した正弦波信号と余弦波信号を出力する手段、前記正弦波信号に比例係数γで比例した量と前記第1のFF用制御信号との加算量を前記第1の電力増幅手段の入力とする手段または前記正弦波信号に比例係数γで比例した量を前記第1のFF用制御手段へ入力する前記変位量xに加算する手段、および前記余弦波信号に前記比例係数γで比例した量と前記第2のFF用制御信号との加算量を前記第2の電力増幅手段の入力とする手段または前記余弦波信号に前記比例係数γで比例した量を前記第2のFF用制御手段へ入力する前記変位量yに加算する手段が用いられるFF制御方式の各制御方式;の何れか一つまたは複数を組み合わせて用いるものとし、そしてその組み合わせ制御にあって、前記比例係数β、α、δ、γは前記ロータの回転数に対応させたスケジュールとして所定の値が予め設定されるものである磁気軸受制御方法を開示する。
【0030】
【作用】
本発明によれば、ABS制御をかけた状態でのNクロス制御やNストレート制御やFF制御の任意の選択のもとで、共振振幅の減衰、共振点の安定した通過、そして電磁石に流す電流の減少化をはかれる。
【0032】
【実施例】
(1)、Nストレート(図10)
図10は、本発明の制御方式を示す実施例である。
【0033】
本実施例は、係数器23(又はゲイン設定器)X、23Yで与えられる比例係数δを乗算した回転同期成分x、yを、制御回路4X、4Yの出力に加算した点が特徴である。
【0034】
ばね定数Kの強化が目的であり、それによって共振点をより高い方向にシフトする。共振点手前の回転数域で、より高い回転数へ共振点をシフトさせることにより、振動を低減できる。
【0035】
この制御方式は、Nクロス制御方式と対比され、Nストレート制御方式と呼べるものである。Nストレート制御方式は共振点前の回転数範囲で働くようなオプションとして使用する。
【0036】
比例係数δは、0≦δの範囲がよい。δ=0では、加算すべき量がδx=0、δy=0となり、Nストレートをかけない例となる。δ=大では加算すべき量が、x、yのδ倍となり、Nストレートそのものとなる。0<δの選択では、Nストレートの割合が変化する例となる。
【0037】
一方、比例係数δは、δ<0としてもよい。これは、共振点をより低い方へシフトさせ、共振回避により振動低減をはかる目的に使用する。
【0038】
(2)、ABS+Nクロス(図11)
図11は、その実施例図である。この実施例の目的は、ABS制御をかけたままで安定して共振点を通過させることである。トラッキングフィルタ7の出力x、yを入力加算点9X、9Y側に比例係数βを乗算して負帰還すると共に、比例係数αを乗算した量をクロスさせて制御回路4X、4Yの出力側に与えるようにしたものである。即ち、ABS制御によってPID制御回路においてはK=0、C=0にすると共に、Nクロス制御によって別途に減衰定数C(≠0)を与えて、共振振幅を磁気軸受の減衰のみによって制御しようとするものである。図11の制御方式は、共振点通過中の共振振幅低減に利用される。但し、β=1、α=大で、完全なABS制御とNクロス制御との併合制御が可能となるが、0≦β≦1、0≦αでα、βを適当に選ぶことで、併合の強さを任意に選択可能である。このα、βの選択は、回転パルスを取り込んだCPU20によって行う。
【0039】
図12は本実施例の回転同期トラッキングフィルタのチャンネルクロス制御とABS制御を同時に使った場合の実験データである。横軸に回転数を縦軸に振動振幅を示している。同図でONとは図11の動作をさせた時(α=大)、OFFとはチャンネルクロスを切った時(α=0に相当)のものである。ONにすることにより振動振幅は著しく低下し、OFFにすることにより振動振幅はもとの大きな振動に戻っていることが分かる。よって本実施例によれば、曲げモードの共振振幅も、適当な減衰が与えられることになり、小さい振幅で危険速度を通過させることが可能となる。
【0040】
図13は従来装置と比較したもので、横軸は共振時最大振幅で縦軸は制御電流である。同図から、メインのサーボ回路のみのPID制御よりも、Nクロスの場合は振動振幅、制御電流ともに大幅に低減されるが、図11の実施例(図中、本発明と記したもの)の場合はNクロスの場合よりもさらに小さい電流でよいことが明らかである。FF制御に対比しても電流は大幅に低下していることがわかる。尚、この本発明でのデータはβ=1、α=大の設定値で得たものである。これ以下の小さい電流は原理的に望めない。
【0041】
ところで、このような係数のとり方は共振振幅を小さく抑えるためのもので危険速度通過時のみに有効な手法である。危険速度をかなり通過した後は、このような方法は不要であり、ABSのみの制御が望まれる。よってβ≒1、α=0の選択がよい。よって図11のような構成をとれば、α、βの値を回転数範囲に応じて選択すれば全回転数域で制御電流極小の最も効率のよい制御が可能となる。
【0042】
(3)、ABS+Nクロス+FF(図14)
図14がこの実施例を示す図である。図11の回路に、2相/同期発振器10を付加してこの出力に比例係数γを乗算した値を制御回路4X、4Yの出力側に加算するようにしたことが特徴である。この回路は、ABS制御とNクロスとの併用をはかると同時に、FF制御を併用したものであり、共振点通過中の共振振幅のより一層の低減がはかれる。
【0043】
このような構成で回転数毎にα、β、γの比例係数をスケジュールに従って作用させると全回転数域で十分に小さな制御電流で運転が可能である。このスケジュールの一例を図15に示す。4次共振まで越えて運転する場合を想定してみよう。1次、2次共振点は未だ低速であるので必要に応じて共振点でNクロス(α)を使い共振以外では通常のPID制御にまかす。3次共振点では共振通過がかなり厳しくなると予想されるので、共振点付近ではNクロス(α)とABS(β)を併用する。そして3次と4次の共振点の間では、回転数はかなり高いので電流低減策が必要でABS(β)を作用させる。次に4次共振点通過になってくると、Nクロス(α)+ABS(β)のみでは作用力不足と考えられ、さらに強化するためにFF加振(γ)を投入する。そして4次共振点通過後は再びABS(β)のみの作用に非共振時の電流低減を図る。
【0044】
このように、回転数に応じてα、β、γの比例定数とスケジュールに従って変えることにより全回転数域で微小な電流による効率的な運転が可能である。比例係数α、β、γの設定については、運転前には計算等などにより各共振点が何回転に位置しているか解るので、このような回転数範囲を指定してα、β、γの効かせ方をスケジューリングすることは容易である。これらはCPU20で簡単に実現できる。尚、α、β、γは、0≦α≦大、0≦β≦1、0≦γ≦大の範囲で設定可能である。0に近づけばその係数に伴う制御が弱くなり、上限に近づければ逆に強くなる。
【0045】
(4)、ABS+Nストレート(図16)
図16がこの実施例を示す図である。ABS制御に図10のNストレート制御を併用させた実施例である。この実施例によって、ABS制御をかけた状態のもとで、共振点を高い方へシフトし、共振点との間の余裕度(マージン)を大きくできる利点を持つ。図16の実施例は、共振点手前の回転数での振幅低減に活用する。勿論、δは、0≦δ≦大の他に、δ≦0もとりうる。δが負の場合、共振点通過後の回転数で、共振点をもっと小さい方へ押しやり、共振点とのマージンを大きくして振動を低減できる。
【0046】
(5)、ABS+Nクロス+Nストレート(図17)
図17がこの実施例を示す図である。ABS制御をかけながら併せてNクロス制御及びNストレート制御をかけたものである。この実施例によって、電流の省略化及び振動振幅の減少をはかることができる。
【0047】
(6)、ABS+FF(図18)
図18がこの実施例を示す図である。ABS制御をかけながら、FF制御をはかったものである。
【0048】
(7)、ABS+Nストレート+FF(図20)
図20がこの実施例である。ABS制御をかけながらNストレート、FFとを併用させたものである。
【0049】
(8)、Nクロス+Nストレート+FF(又はいずれか2つの組合せ)(図19)
図19がこの実施例を示す図である。ABS制御はかけないで、Nクロス、Nストレート、FFとを併用させたものである。更にNクロスとNストレートの組合せ、NストレートとFFの組合せ、NクロスとFFの組合せもありうる。
【0050】
(9)、ABS+Nクロス+Nストレート+FF(図1)
図1にその実施例を示す。この実施例は、ABS、Nクロス、Nストレート、FFを回転数によって任意自在に用いて低振動、低電流化をはかることを目的とする。即ち、ロータ振動制御にとって大切なことは、共振点通過回転数域などの振動を制御することが必要な回転数の時にはできるだけ小電流で振動を小さく押えることである。又、振動制御が必要でない回転数の時には徹底して電流を流さないことである。このように小電流で低振動を達成することが目標課題であり、省エネルギー運転は機器の長寿命など他の多くの附帯的な利点を与え得る。従って、ロータの回転数域ごとにどのようなオプション機能を働かせるかが重要となる。不つりあい振動に関して言えば、共振点通過中の回転数域では十分な制御で系に減衰を与え振動を押えなくてはならない。一方、共振点以外の回転数域では不つりあい振動に対して何も制御しないことが得策である。
【0051】
コマが全く支えることなく自分で自立して回転する様と同一で、非共振点域では回転数成分で制御する必要はないと考えてよい。又、共振点に近くなりそれを避けたい様な場合には、回転同期成分のばね力を正に大きくして上に押しやったり、負に大きくして下に押しやったりする共振点マージンの拡大を図ることにより、共振振幅の増大を回避する制御も成立つはずである。図1の実施例は、このような共振点とのかね合いで回転数域に応じて制御することにより、回転数全域に亘って小駆動電流で、かつ低振動に押える磁気軸受制御を達成するものである。
【0052】
磁気軸受形遠心圧縮機などロータ振動制御に図1を採用した場合を以下で説明する。この種のロータの運転範囲は曲げ1次(Nc3)と曲げ2次(Nc4)共振点の間にとられることが多い。
ロータの浮上特性:非回転のロータ浮上技術のみであるから、X方向およびY方向のメインPID制御回路4がその任を担う。よって、浮上特性も含め剛体モード共振の比較的低周波数域の制御はPID制御回路に重きをおき、高周波数域の曲げモード共振制御は後述のオプションにもたせるとする分担方式が新たな改善策として考えられる。そうすると、チューニング作業は大幅に軽減される。現状ではロータの浮上特性も、剛体モードの共振点である低周波数域制御も、曲げモード共振の高周波域の制御もいずれもメインのPID制御回路4に負担させており、その分だけチューニングを難しくしている。ここでは、メインのPID制御は低周波数域制御に重点をおくタイプを使う。高周波数域制御はβ、α、δ、γの各係数で律せられるオプション回路にまかせる制御法を採用したのが本実施例である。
図21に本実施例でのオプション回路の投入計画を示す。はじめに、低周波数域の剛体モードの共振が現われる。これは通常ならメインのPID制御回路4に依ればよい。必要なら、Nクロスなどの共振振幅低減のオプションを挿入すれば良い。ここまでの制御は比較的容易にチューニング可能である。
【0053】
次に回転昇速させると、ロータの曲げ1次モードの危険速度(共振)が現われる。この時は、メインのPID制御回路4では減衰作用力が不十分なのでオプションを投入した方がベターである。
【0054】
仮に運転回転数域が曲げ1次(Nc3)共振点以下ならば、図21に示すように、Nストレートを使い曲げ1次共振点を少し上に押しやれば低振動が得られる。それでも不十分で共振点通過が必要なら、Nストレートを使用うことなく、Nクロスを使って早めに共振点を通過させるやり方をとる。このようなオプションを使っている場合は、メインのPID制御回路4は制御する必要がないので、ABS(Nカット、β)を働かせておくと良い。通常、磁気軸受形遠心圧縮機では曲げ1次モードと曲げ2次モードの間に運転範囲が設定されるので、曲げ1次モード共振点通過後はABSオプション制御のみで十分である。ABS機能で回転同期成分を抜き取る程度は深ければ深い程良く、(x−x,y−y)が理想であるが、(x−βx,y−βy)と0<β≦1を調整し、抜きとり量を調整してもよい。 運転回転数がさらに高く、曲げ2次モードの共振点に接近している場合にあっても、曲げ1次モードのときと同様の考えで、オプション機能投入の計画を立てることが可能である。
【0055】
このように曲げモード1次や2次共振点通過中に共振振幅を制御する場合にNクロスによる減衰定数Cの強化で不つりあい振動の低減を図ろうとしているため、メインのPID制御回路4からの回転同期振動の制御は必要としない。よってABS機能も効かせておくとよい。
【0056】
又、Nストレート機能によって共振点をシフトさせる場合も同様にNストレートによるばねKを強化させてるため、メインのPID制御回路4からの寄与は不用である。よってこの時もABS機能を効かせておくとよい。
いずれの場合も、ABS機能を完全にβ=1に設定するのが理想であるが、切替えに伴う不安定などを防止するため0<β<1の間の適当な値に設定することも実際には必要になる。いずれもβを0→1へと徐々に変化させ都合の良い値をABS機能値として設定すればよい。
【0057】
もちろん、NクロスからNストレートへ切り替える時など(α≠0,δ=0)→(α=0,δ≠0)の如く完全に理想的に変えるのではなく、両者について、αは大→小へ、δは小→大へと徐々にあるいは大小の度合を変える程度の方策が現実には望まれると思う。
【0058】
これらのα、β、δ、γをどのような値に設定変更していくかは現実のロータの回転などによって試験的に調整していけば良い。
例えば、βの調整:電流波形をモニターして、電流が例えば1/3程度軽減 されるように選ぶ。
αの調整:共振振幅が例えば1/3程度に減じ得るところを選ぶ。
δの調整:共振点近くの回転数で、振幅が1/2程度に減じ得るよ うな値を選ぶ。
γの調整:共振振幅が例えば1/2程度に減じるような位相φとゲ インγを選ぶ。
あるいは、シミュレーション計算により予め係数設定値を予測しておくことも可能である。
【0059】
共振点通過中にはFF加振をさらにオプション的に追加させることも可能である。しかし、実際にはFF加振によるアンバランスキャンセルに比べて、ABS+Nクロスの方が共振振幅を小にかつ電流も小にて共振点通過が可能なデータは図13に示した通りであり、FF加振を使用しなくてもよい場合もありうる。尚、ロータに新たにアンバランスが付加した場合には、すでにFF加振で調整したキャンセル方向の位相はマッチしなくなり、かえって振動を大きくする方向に加振する可能性もあり、FF加振機能の使い方には注意を要す。
【0060】
以上、示したように本項(9)の実施例では、トラッキンクセフィルタ7の出力信号を活用するオプション機能として、ABS機能の度合β、Nクロス機能の度合α、Nストレート機能の度合δ、FF加振機能の度合γなる係数を設ける。そして、これらの係数を回転数域に応じて、例えば共振点通過前、通過中、通過後などに応じて、変化させる戦略をスケジューリングによって制御することを特徴としている。このようにして全回転数域において常に小振動で小電流の最適な省エネルギーの磁気軸受制御が達成される。又、このオプション機能によってメインのPID制御回路4の負担が軽減され、チューニングが楽になる。すなわち、PID制御回路4の位相進みをできるだけ大きくもたせ、高周波で高ゲインとなりことに起因するサーボフィードバック系の発振現象に悩まされることがなくなる。
【0061】
このようなゲインスケジューリングによって、計画に従って係数器の係数を変化させていくことはコンピュータ(CPU)20を利用すれば簡単に実現できる。すなわち、図1に概念を示すように、ロータの回転数をCPU20で認識させ、回転数に応じて、記憶しているスケジュールに従ってゲインを変化させれば良い訳である。各係数器としては、ポテンショメータやゲイン調整可能なアンプや、或はディジタル設定器もありうる。そしてそれらに応じてCPU20は、機械的又は電子的に係数設定を行う。
ゲインスケジュールの実施例を図22に示す。
【0062】
図22(a)は、ABS機能(β)を併用しながら、曲げ1次や曲げ2次モードの共振通過中にはNクロス(α)の減衰力で振動を低減させる計画である。
【0063】
図22(b)は、剛体モードの共振点通過にNクロス(α)を使う。そして曲げ1次モード共振点付近では、その手前でアンバランスキャンセルのFF加振(γ)を投入し、いよいよ共振点通過時にNクロス(α)を投入する。もちろんABS機能(β)も併用しておく。このようにして曲げ1次モード共振点を通過し、曲げ2次モード共振まで行く。ここでは、曲げ2次モード共振点も上にシフトさせる戦略をとり、アンバランスキャンセルのFF加振(γ)を投入しながら、かつばね定数の強化を図るためNストレート(δ)を投入する例である。このように回転数域をきめ細かく区分し、その状況に応じた最適なオプション機能を併用かつ使い分けながらスケジューリングしていく例を示している。
【0064】
このようにいろいろなスケジュールが成り立つ。このスケジュールをCPU20のメモリに記憶させておき、その係数α、β、γ、δの度合を変化させれば容易に実現できる。
【0065】
図1はX方向とY方向のチャンネルを基本とした実際回路構成に従って説明したものである。複素数表現を導入し、これをもつと概念的に説明したものが図23である。
【0066】
図1において、X方向、Y方向の検出変位信号(x,y)からメインPID制御回路4、パワーアンプ5、電磁石コイル2は同一仕様で作られるのが基本で対称の形をしている。よって、表現を簡単にするため、複素数z=x+iyとおく。そして複素数の実数部にX方向チャンネル、虚数部にY方向チャンネルを相当させることによって回路図の表現も簡素化される。それが図23である。
【0067】
例えば図1に示すようにPID制御回路4の出力をX方向とY方向についてそれぞれ(x’,y’)とすると、
【数3】
Figure 0003546045
複素数z’=x’+iy’とおくと
【数4】
Figure 0003546045
となり、1チャンネルの表式になり、図23のメイン制御回路のようになる。
【0068】
このような複素数導入による簡素化はトラッキングフィルタ7出力部のクロス回路やストレート回路についても言える。今、図1でトラッキングフィルタの出力信号(x,y)に対して図23の複素数対応を
【数5】
Figure 0003546045
とする。そしてパワーアンプへの入力信号を(PX,PY)とすると、それに対して図23の複素数対応を
【数6】
Figure 0003546045
とする。そうすると図1では
【数7】
Figure 0003546045
だから
【数8】
Figure 0003546045
【0069】
図23の複素数対応から見ると、トラッキングフィルタ7出力に関するzからPへの伝達関数は
【数9】
Figure 0003546045
とおかれているので、
【数10】
Figure 0003546045
である。よって式(数8)と式(数10)を比らべれば解るように
【数11】
Figure 0003546045
よって
【数12】
Figure 0003546045
なる関係が成立する。図1のABSのβについても同様に処理できる訳で、結局X方向とY方向の2チャンネル表示の図1は、図23のように複素数を導入して1チャンネルの表示に簡素化できることがわかる。
よって、図23で説明すると、Nクロス機能を効かせた時はα≠0,δ=0だからθ=90°に設定したことに相当する。
【0070】
又、Nストレート機能を効かせた時にはα=0,δ≠0だからθ=0°に設定したことに相当する。
【0071】
図1で2相発振器10の場合も同様に、X方向およびY方向にcos波およびsin波が生成されるので、回転数Ω(rad/sec)とすると
【数13】
Figure 0003546045
となり、図23の複素数対応にはおいては2相発振器の出力は
【数14】
Figure 0003546045
と考えられ、 その振幅がA,位相がφされたものとして
【数15】
Figure 0003546045
の信号が発生され、Aとφを調整することにより、未知のアンバランスをキャンセルするような位相中を探し得る。
【0072】
このようにして、実際のXおよびY方向表現の図1は、複素数Z表現の導入によって図23のように概念的に1チャンネルの表現に変換されることになる。
回転数を監視しながら、マニュアルでフィードバック系に組まれているトラッキングフィルタ7の出力のゲインGと位相θとFF加振の量を示すゲインAと位相φを変化させることで実現できる。
【0073】
又、図23に概念を示すように、コンピュータ(CPU)で回転数を監視し、予め決められたゲイン位相のスケジュールに於いて、ゲインGとAおよび位相θとφを可変にしていくことによって常に最適な省エネルギー制御(小振動かつ小電流)が実現可能となる。
【0074】
(10)、コンピュータによるα、β、γ、δの設定(図24、25)
図1、図11等で示した CPU20によるα、β、γ、δの設定回路を図24に示す。これは一種のコンピュータであり、共通バス23にCPU20、主メモリ21、入力部22、出力部24を共通に接続した構成である。主メモリ21は、CPU20を動作させる本来のOS(オペレーティングシステム)等の他にスケジュールソフトを持つ。入力部22は回転パルスを取り込む回路である。出力部24は、CPU20で設定した係数(α、β、γ、δ)を出力する回路である。図24の回路によれば、CPU20は、入力部22からの回転パルスを次々に取り込み、スケジュールソフトを作動させて回転数に応じて定まる各係数α、β、γ、δをメモリ21から読み出す。これを出力部24を介して各係数の設定を行う。当然のことながら、図10ではδのみの設定、図11ではα、βの設定、図1ではα、β、γ、δの設定を行う。
【0075】
図25には、主メモリ21内に設けたスケジュール制御テーブル22を示す。このテーブル22を回転数をアドレスとしてアクセスすることで必要な係数の読み出しを行う。尚、スケジュールソフトは主メモリ21とは別に設けたROMに格納しておく例もある。
【0076】
(11)、コンピュータによる制御例(図26)
図10、図11、図1等では、パワーアンプ5X、5Yの前段回路はディスクリートな回路の例であった。このディスクリートな回路に代わって、コンピュータのソフト処理で行うことも可能である。この実施例が図26である。主メモリ21には、スケジュールソフトの他に、PID制御回路4X、4Yの機能、トラッキングフィルタ7の機能、各係数(α、β、γ、δ)設定器の機能、各種の加算、減算機能を達成する制御ソフトを持っている。そして、外部からの回転パルスを入力部22、変位を入力部26を介して取り込み、CPU20がこの制御ソフト及びスケジュールソフトを働かせて図1又は図10、図11等で定まる処理を実行する。この結果を出力部24を介してPx、Py指令として駆動部25に与える。駆動部25は、その指令から実際のPx、Pyを作り、これをパワーアンプ5X、5Yに与える。
【0077】
この実施例によれば、完全ソフト化を達成できた。尚、スケジュールソフト、制御ソフトは、ROM内に設けておく例もある。
【0078】
(12)、ABS制御のもとでのx、yのフィードバック形(図27〜図30)
ABS制御のかけ方を変形したものであり、回転同期トラッキングフィルタ7の出力信号x、yをもとの変位信号x、yから引くようにフィードバックする方法である。このフィードバックの量を示す比例定数をβ′とすると、先の図1等のβとの間には
【数16】
Figure 0003546045
の関係がある。よって、元信号x、yから完全に回転同期成分x、yを抜きとるためにはβ′=無限大となる。よって抜きとり量を増やす強いABSにするにはβ′はより大きな値にすればよい。
【0079】
このフィードバック形ABSでの実施例が図27〜図33であり、対応関係は以下の通りである。
図27…図1
図28…図16
図29…図14
図30…図11
図31…図18
図32…図17
図33…図20
かかる各種のフィードバック形ABSの実施例にあっても、CPU20によるスケジュール処理や図24や図26による処理をしてもよいことは云うまでもない。尚、フィードバック形ABSに関する請求項では、β′の代わりにβを示したが、これは記載上の便宜のためであることを断わっておく。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、共振点通過時の前向き振動に対する減衰力が向上できるので、不つりあい振動に対して小さい共振振幅で通過でき、ロータのバランス精度が多少悪くても共振点の安全な通過が可能となるので、バランス作業が簡略化される効果があり、また回転中にロータに異物が付着するなどのために不つりあいが大きくなっても、共振点通過が小さい振動で通過できるので、電磁石コイルに流す電流を小さくでき、パワーアンプの耐力が向上するという効果がある。
【0081】
更に、各比例係数α、β、γを回転数に応じて調整することで、回転数毎に最適制御(小電流、小振動)をはかることができる。このように常に小電流の運転が実現されることによってパワーアンプの電子回路の寿命が伸びる。磁気軸受にかかる力も軽減されるので、部品の寿命も伸びる。
【0082】
又、Nストレートのδ機能を用いることにより、共振点を上にシフトさせることができ、高速回転まで運転範囲を引き伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のABS制御とNクロス制御+Nストレート制御とFF制御との組合せ制御を行うための実施例図である。
【図2】従来のPID制御を示す図である。
【図3】従来のABS制御を示す図である。
【図4】従来の臨界制御を示す図である。
【図5】従来のNクロス制御を示す図である。
【図6】先願のFF制御を示す図である。
【図7】1次〜4次の共振点の説明図である。
【図8】従来及び先願での使用回転数範囲と制御電流との関係を示す図である。
【図9】ABS制御による振動応答図である。
【図10】本発明のNストレート制御を行うための実施例図である。
【図11】本発明のABS制御とNクロス制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図12】ABS制御とNクロス制御とのもとでの振動応答例図である。
【図13】各種の制御による共振時の振動振幅と駆動電流との関係を示すテストデータを示す図である。
【図14】本発明のABS制御とNクロス制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図15】図14の実施例でのタイムスケジュール例を示す図である。
【図16】本発明のABS制御とNストレート制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図17】本発明のABS制御とNクロス制御とNストレート制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図18】本発明のABS制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図19】本発明のNクロスとNストレート制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図20】本発明のABS制御とNストレート制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図21】図1の実施例でのスケジュール制御例を示す図である。
【図22】図1の他のスケジュール制御例を示す図である。
【図23】本発明の図1の実施例の等価回路を示す図である。
【図24】本発明のコンピュータ制御の実施例図である。
【図25】本発明のメモリテーブル例を示す図である。
【図26】本発明のコンピュータ処理による制御系統図である。
【図27】本発明のフィードバック形ABS制御とNクロス制御とNストレート制御とFF制御との組合せ制御を行うための実施例図である。
【図28】本発明のフィードバック形ABS制御とNストレート制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図29】本発明のフィードバック形ABS制御とNクロス制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図30】本発明のフィードバック形ABS制御とNクロス制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図31】本発明のフィードバック形ABS制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図32】本発明のABS制御とNクロス制御とNストレート制御との併用制御を行うための実施例図である。
【図33】本発明のABS制御とNストレート制御とFF制御との併用制御を行うための実施例図である。
【符号の説明】
2X、2Y 電磁コイル
4X、4Y PID要素を使った制御回路
5X、5Y パワーアンプ
7 トラッキングフィルタ
10 2相/同期発振器
20 CPU

Claims (1)

  1. 磁気軸受によって支持されたロータの回転中心からのX軸方向の変位量xとY軸方向の変位量yを検出する変位検出手段、前記ロータの回転パルスを入力として前記ロータの回転数に同期した成分x、yを前記変位量x、yから取り出すためのフィルタ手段、前記成分xに比例係数βで比例した量と前記変位量xとの差分量を入力として第1のABS用制御信号を出力する第1のABS用制御手段、前記成分yに前記比例係数βで比例した量と前記変位量yとの差分量を入力として第2のABS用制御信号を出力する第2のABS用制御手段、前記第1のABS用制御信号を増幅して前記磁気軸受の第1のコイルに流れる励磁電流を制御する第1の電力増幅手段、および前記第2のABS用制御信号を増幅して前記磁気軸受の第2のコイルに流れる励磁電流を制御する第2の電力増幅手段が用いられるABS制御方式を用い、このABS制御方式に対して、
    前記変位検出手段、前記フィルタ手段、前記変位量xを入力として第1のNクロス用制御信号を出力する第1のNクロス用制御手段、前記変位量yを入力として第2のNクロス用制御信号を出力する第2のNクロス用制御手段、前記成分yに比例係数αで比例した量と前記第1のNクロス用制御信号との差分量を前記第1の電力増幅手段の入力とする手段、および前記成分xに前記比例係数αで比例した量と前記第2のNクロス用制御信号との加算量を前記第2の電力増幅手段の入力とする手段が用いられるNクロス制御方式;
    前記変位検出手段、前記フィルタ手段、前記変位量xを入力として第1のNストレート用制御信号を出力する第1のNストレート用制御手段、前記変位量yを入力として第2のNストレート用制御信号を出力する第2のNストレート用制御手段、前記成分xに比例係数δで比例した量と前記第1のNストレート用制御信号との加算量を前記第1の電力増幅手段の入力とする手段、および前記成分yに前記比例係数δで比例した量と前記第2のNストレート用制御信号との加算量を前記第2の電力増幅手段の入力とする手段が用いられるNストレート制御方式;および
    前記変位検出手段、前記変位量xを入力として第1のFF用制御信号を出力する第1のFF用制御手段、前記変位量yを入力として第2のFF用制御信号を出力する第2のFF用制御手段、前記ロータの回転数に同期した正弦波信号と余弦波信号を出力する手段、前記正弦波信号に比例係数γで比例した量と前記第1のFF用制御信号との加算量を前記第1の電力増幅手段の入力とする手段または前記正弦波信号に比例係数γで比例した量を前記第1のFF用制御手段へ入力する前記変位量xに加算する手段、および前記余弦波信号に前記比例係数γで比例した量と前記第2のFF用制御信号との加算量を前記第2の電力増幅手段の入力とする手段または前記余弦波信号に前記比例係数γで比例した量を前記第2のFF用制御手段へ入力する前記変位量yに加算する手段が用いられるFF制御方式の各制御方式;
    の何れか一つまたは複数を組み合わせて用いるものとし、そしてその組み合わせ制御にあって、前記比例係数β、α、δ、γは前記ロータの回転数に対応させたスケジュールとして所定の値が予め設定されるものである磁気軸受制御方法。
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