JP3545954B2 - 樹脂配合比検出方法および樹脂注入装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数種類の液状成分を混合して得られる液状樹脂を硬化させる前に、硬化剤などの配合比を検出する樹脂配合比検出方法、および樹脂配合比の検出機能を備える樹脂注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体回路基板や半導体素子などでは、耐湿性などを向上し、信頼性を高めるためにシリコン樹脂などで覆うポッティングなどと呼ばれる処理が施されることがある。このような工程では、注入前には樹脂は固まりにくく、注入後は樹脂が速やかに固まることが要望される。樹脂としては主剤と硬化剤とを混合し、混合した後では迅速に液状樹脂が固化するような2液硬化型の樹脂が多く用いられている。このような2液硬化型の樹脂を用いる場合には、硬化剤の配合比を適切な範囲に保つことが重要である。硬化剤の配合比が適切な範囲から外れると、硬化の反応が進まなかったり、硬化後の樹脂の特性が悪くなったりするおそれがあるからである。
【0003】
2液硬化型樹脂のような混合液体中の成分混合比を検出する先行技術は、たとえば特開平2−49143、特開平2−107948、特開平2−141645、特開平4−242148などに開示されている。特開平2−49143、特開平2−107948、特開平2−141645では、液状の混合燃料の混合比を、発光ダイオードが照射する赤外光を混合燃料と透光体との界面で反射する際に、混合比に対応して変化する臨界角に応じて強度が変化する現象を利用して、混合比を検出している。特開平4−242148には、前述のような混合比を検出するためのセンサユニットを、射出成形で製造することに関連する先行技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の先行技術では、混合燃料の混合比を赤外光によって連続的に計測しながら、混合燃料を燃焼させる際の点火時期などを制御するデータとしている。2液硬化樹脂などは、硬化前でも燃料などに比較して粘度が高く、界面での反射などを利用しての光学的な混合比の検出方法を適用することはできない。たとえば2液硬化型のシリコン樹脂では、主剤に対する硬化剤の比率が硬化剤一部に対して主剤が30部〜100部、すなわち1:30〜1:100のように混合比率が高くなり、硬化剤の割合が非常に小さいので、臨界角に基づく混合比の検出が可能であったとしても、その精度は必ずしも良好ではないはずである。
【0005】
主剤と混合剤との配合比について、適切な検出方法が確立されていないので、従来は混合後の樹脂を一定時間放置し、硬化を実際に確認して、配合比が適切であるか否かを判断している。硬化剤が不足しているようなときには、硬化の進行も遅れるので、硬化剤をさらに追加して、適切な範囲となるように再調整することもある程度は可能である。しかしながら、硬化剤が過剰になると、一般には硬化が急速に進み、主剤をさらに追加して適切な硬化剤の配合比になるように調整することは非常に困難である。また、一定時間後の硬化した状態でしか配合比を確認することができないので、時間のロスが大きい。量産の装置であれば、タクトが延びてしまう。もしくは、確認せずにそのまま生産を行い、硬化後の生産品の状態で判断しなければならないために、硬化剤が不足して未硬化となると、多大のロスを生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、実際に樹脂を硬化させないでも硬化剤などの配合比を迅速に検出することができる樹脂配合比検出方法、および樹脂の配合比を検出しながら樹脂を所定の部位に送出して注型などを行うことができる樹脂注入装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数種類の液状成分を混合して得られる樹脂に対し、予め定める液状成分の配合比を検出する方法であって、
該液状成分中に、紫外線のエネルギを受けて、可視光を発光し紫外線照射後も緩慢に減衰しながら可視光を発光する蓄光剤を予め定める一定の密度で分散させておき、
該液状成分を他の液状成分と混合した後で、紫外線を照射し、該蓄光剤からの発光強度に基づいて該液状成分の配合比を検出することを特徴とする樹脂配合比検出方法である。
【0008】
本発明に従えば、複数種類の液状成分を混合して得られる樹脂に対し、予め定める液状成分については紫外線によって発光する蓄光剤を予め定める一定の密度で分散させておく。混合後の樹脂に紫外線を照射すれば、蓄光剤からの発光強度に基づいて、全体に対する蓄光剤の存在量を検出することができ、液状成分に対する密度から、蓄光剤を分散させておいた液状成分の配合比を検出することができる。
【0010】
また、配合比を検出する液状成分中に分散される蓄光剤は、紫外線のエネルギを受けて可視光を発光する蛍光剤であるので、混合後の樹脂の内部から発光させることができ、界面の性状の影響を受けずに、配合比を容易に検出することができる。
【0012】
また、配合比を検出する液状成分中には、紫外線照射後も緩慢に減衰しながら可視光を発光する蓄光剤を分散させておくので、発光強度の検出を紫外線照射と必ずしも同時に行う必要はなく、安定に配合比の検出を行うことができる。
【0013】
また本発明は、前記予め定める液状成分は硬化剤であり、
前記樹脂は、該硬化剤の添加によって硬化する主剤を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、硬化剤に紫外線を受けて発光する物質を一定の密度で分散させておいて、主剤と混合比で硬化させるので、紫外線の照射後硬化剤の添加量を適切に検出し、樹脂の硬化などの反応を有効に制御することができる。
【0015】
さらに本発明は、蓄光剤入の硬化剤と主剤とを混合させて液状樹脂を生成する混合器と、
混合器で混合された液状樹脂を、所定部位に吐出して硬化させるための注入ノズルと、
液状樹脂を混合器から注入ノズルに導く経路の途中に設けられ、液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射器と、
該経路で紫外線照射器の下流側に設けられ、液状樹脂中の蓄光剤から放出される光束を受光する受光素子と、
受光素子によって受光される光束に基づいて、液状樹脂中の硬化剤の配合比を算出する演算回路とを含むことを特徴とする樹脂注入装置である。
【0016】
本発明に従えば、混合器で混合された主剤と硬化剤とは、注入ノズルに導かれて所定の部位に吐出されて硬化する。主剤と硬化剤とを混合する混合器から注入ノズルまで混合された樹脂を導く経路の途中には、樹脂に紫外線を照射する紫外線照射器と、紫外線が照射された樹脂中から発生される光を受光する受光素子が設けられる。受光素子によって受光される光束は蓄光剤の量に対応するので、受光素子の出力から、硬化剤の配合比を算出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の概略的な構成を示す。図1(a)は、2液硬化樹脂で、主剤に対する硬化剤の配合比を検出する基本的な構成を示し、図1(b)は図1(a)の基本的な構成を応用した2液型樹脂注入装置の構成を示す。図1(a)に示すように、紫外線照射部1から紫外線を照射し、受光素子部2で光を受光すると、紫外線が照射される混合樹脂3中の蓄光剤4から発光する光が受光される。蓄光剤4は、紫外線が照射されると、そのエネルギによって励起され、緩慢に減衰する状態で緑や青の可視光を発光し、最終的に発光しなくなるまで続ける。
【0018】
蓄光剤4入の混合樹脂3にUVランプなどを含む紫外線照射部1から紫外線を照射すると、蓄光剤4を構成する原子の電子が励起され、可視光を放出しながら徐々に元の軌道に戻る。このような蓄光剤から発光される光束をフォトダイオードなどの受光素子部2で取込むことによって、混合樹脂3での樹脂の配合比を検出することができる。なお、発光後の蓄光剤4aからの光束を受光する受光素子部2の周辺は、遮光部5で覆って、外部からの光が入ってこないようにしておく。受光素子部2は、遮光部5に設けられる開口部6に臨み、発光後の蓄光剤4aから発光される光束を受ける。発光後の蓄光剤4aからの光束を受光するために、混合樹脂の進行方向7に関し、紫外線照射部1の下流側に受光素子部2を配置する。
【0019】
図1(b)は、図1(a)に示すようにして混合樹脂3の配合比を検出する機能を有する樹脂注入装置10についての概略的な構成を示す。図1(a)の混合樹脂3は、たとえば2液硬化型のシリコン樹脂であり、主剤は主剤容器11に貯留される。硬化剤は硬化剤容器11に貯留される。硬化剤中には、一定の密度で蓄光剤4が分散されている。主剤容器11からの主剤と硬化剤容器12からの硬化剤とは、混合器13で混合され、注入ノズル14に導かれてポッティングなどを行う所定の部位に吐出される。図1(a)に示すような紫外線照射部1や受光素子部2は、混合器13から注入ノズル14に混合樹脂が導かれる経路に沿って配置される。制御装置15は、受光素子部2が受光する光束の単位面積当たりの強度などに基づいて、混合樹脂中に含まれる硬化剤の配合比を算出する。制御装置15は、算出される配合比に従って配合比が一定になるように、バルブ16,17の開度のフィードバック制御を行う。
【0020】
図2は、本発明の実施の他の形態として、図1(a)に示す紫外線照射部1と受光素子部2とを用い、混合樹脂3の単位断面積当たりの光束を測定することによって、流量を検出する原理を示す。本実施形態のような原理に基づき、図1(b)の制御装置15で、混合樹脂の流量も算出することができる。
【0021】
図1(a)に示すような蓄光剤4は、長残光性蛍光の1種である。一般的な夜光塗料として用いられる蛍光体としては、たとえばZnS(硫化亜鉛)にCu(銅)を添加した物質が知られている。しかしながら、このような蛍光物質は、残光時間が1〜2時間程度しかない。長時間の発光が必要な場合には、放射性物質であるPm(プロメチウム)が添加される。しかしながら、取扱いに注意を要する放射性物質であるので、その応用は大変限定されてしまう。
【0022】
本実施形態の蓄光剤は、複数種類の希土類を添加して、従来の蛍光剤の10倍以上の輝度と残光時間とを実現し、6〜8時間にわたって光の放出を続けることができる。発光する光は、緑や青の系統であり、たとえば520nmの発光ピーク波長を有する。D65の光を200Lxの照度で4分間照射した後、20分経過後の輝度は、約300mcd/m2となる。これに対し、従来のZnSでは、20mcd/m2程度となる。0.32mcd/m2に減衰するまでに要する時間である残光時間は、2000分以上であり、従来のZnSの200〜400分に比較して非常に長くなっている。このような蓄光剤4は、170〜200メッシュ程度の微細な粉末となっており、混合樹脂3に用いる硬化剤中に分散させることができる。蓄光剤4として用いることができる商品としてはたとえば東京インテリジェントネットワーク株式会社から長残光性蛍光体として発売されていたり、ケミテック株式会社からピカリコという商標で発売されている蓄光材料を用いることができる。
【0023】
図3は、図1(a)の受光素子部2が検出する光束の強度と硬化剤の配合比との関係を示す。標準的な配合比に対して、光束との対応関係を予め求めておけば、光束から配合比を容易に算出することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数成分を混合して得られる樹脂中で、予め定める液状成分については、紫外線を照射した後で発光する蓄光剤を一定の密度で分散させておくので、混合後の液状樹脂に紫外線を照射すれば、発光の強度から蓄光剤が分散されている液状成分の配合率を算出することができる。
【0025】
また、液状成分中に分散させる蓄光剤は、紫外線によって可視光を発光する蛍光剤であるので、紫外線の照射で配合比に対応する強度の発光を生じさせることができる。
【0026】
また、蛍光剤として蓄光剤を用い、紫外線照射後も発光状態を長期間継続するので、配合比の検出を安定に行うことができる。
また、本発明によれば、実際に樹脂を硬化させないでも、主剤と硬化剤との配合比を迅速に検出して適切か否かを判断することができる。
【0027】
さらに本発明によれば、混合器で主剤と混合する硬化剤中に蓄光剤を分散させておき、混合後の液状樹脂に紫外線を照射して、液状樹脂中に含まれる硬化剤の配合比を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の他の形態の原理的な構成を示す図である。
【図3】図1の実施形態で混合樹脂硬化剤の配合と受光する光束の強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 紫外線照射部
2 受光素子部
3 混合樹脂
4 蓄光剤
10 樹脂注入装置
13 混合器
14 注入ノズル
15 制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数種類の液状成分を混合して得られる液状樹脂を硬化させる前に、硬化剤などの配合比を検出する樹脂配合比検出方法、および樹脂配合比の検出機能を備える樹脂注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体回路基板や半導体素子などでは、耐湿性などを向上し、信頼性を高めるためにシリコン樹脂などで覆うポッティングなどと呼ばれる処理が施されることがある。このような工程では、注入前には樹脂は固まりにくく、注入後は樹脂が速やかに固まることが要望される。樹脂としては主剤と硬化剤とを混合し、混合した後では迅速に液状樹脂が固化するような2液硬化型の樹脂が多く用いられている。このような2液硬化型の樹脂を用いる場合には、硬化剤の配合比を適切な範囲に保つことが重要である。硬化剤の配合比が適切な範囲から外れると、硬化の反応が進まなかったり、硬化後の樹脂の特性が悪くなったりするおそれがあるからである。
【0003】
2液硬化型樹脂のような混合液体中の成分混合比を検出する先行技術は、たとえば特開平2−49143、特開平2−107948、特開平2−141645、特開平4−242148などに開示されている。特開平2−49143、特開平2−107948、特開平2−141645では、液状の混合燃料の混合比を、発光ダイオードが照射する赤外光を混合燃料と透光体との界面で反射する際に、混合比に対応して変化する臨界角に応じて強度が変化する現象を利用して、混合比を検出している。特開平4−242148には、前述のような混合比を検出するためのセンサユニットを、射出成形で製造することに関連する先行技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の先行技術では、混合燃料の混合比を赤外光によって連続的に計測しながら、混合燃料を燃焼させる際の点火時期などを制御するデータとしている。2液硬化樹脂などは、硬化前でも燃料などに比較して粘度が高く、界面での反射などを利用しての光学的な混合比の検出方法を適用することはできない。たとえば2液硬化型のシリコン樹脂では、主剤に対する硬化剤の比率が硬化剤一部に対して主剤が30部〜100部、すなわち1:30〜1:100のように混合比率が高くなり、硬化剤の割合が非常に小さいので、臨界角に基づく混合比の検出が可能であったとしても、その精度は必ずしも良好ではないはずである。
【0005】
主剤と混合剤との配合比について、適切な検出方法が確立されていないので、従来は混合後の樹脂を一定時間放置し、硬化を実際に確認して、配合比が適切であるか否かを判断している。硬化剤が不足しているようなときには、硬化の進行も遅れるので、硬化剤をさらに追加して、適切な範囲となるように再調整することもある程度は可能である。しかしながら、硬化剤が過剰になると、一般には硬化が急速に進み、主剤をさらに追加して適切な硬化剤の配合比になるように調整することは非常に困難である。また、一定時間後の硬化した状態でしか配合比を確認することができないので、時間のロスが大きい。量産の装置であれば、タクトが延びてしまう。もしくは、確認せずにそのまま生産を行い、硬化後の生産品の状態で判断しなければならないために、硬化剤が不足して未硬化となると、多大のロスを生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、実際に樹脂を硬化させないでも硬化剤などの配合比を迅速に検出することができる樹脂配合比検出方法、および樹脂の配合比を検出しながら樹脂を所定の部位に送出して注型などを行うことができる樹脂注入装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数種類の液状成分を混合して得られる樹脂に対し、予め定める液状成分の配合比を検出する方法であって、
該液状成分中に、紫外線のエネルギを受けて、可視光を発光し紫外線照射後も緩慢に減衰しながら可視光を発光する蓄光剤を予め定める一定の密度で分散させておき、
該液状成分を他の液状成分と混合した後で、紫外線を照射し、該蓄光剤からの発光強度に基づいて該液状成分の配合比を検出することを特徴とする樹脂配合比検出方法である。
【0008】
本発明に従えば、複数種類の液状成分を混合して得られる樹脂に対し、予め定める液状成分については紫外線によって発光する蓄光剤を予め定める一定の密度で分散させておく。混合後の樹脂に紫外線を照射すれば、蓄光剤からの発光強度に基づいて、全体に対する蓄光剤の存在量を検出することができ、液状成分に対する密度から、蓄光剤を分散させておいた液状成分の配合比を検出することができる。
【0010】
また、配合比を検出する液状成分中に分散される蓄光剤は、紫外線のエネルギを受けて可視光を発光する蛍光剤であるので、混合後の樹脂の内部から発光させることができ、界面の性状の影響を受けずに、配合比を容易に検出することができる。
【0012】
また、配合比を検出する液状成分中には、紫外線照射後も緩慢に減衰しながら可視光を発光する蓄光剤を分散させておくので、発光強度の検出を紫外線照射と必ずしも同時に行う必要はなく、安定に配合比の検出を行うことができる。
【0013】
また本発明は、前記予め定める液状成分は硬化剤であり、
前記樹脂は、該硬化剤の添加によって硬化する主剤を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、硬化剤に紫外線を受けて発光する物質を一定の密度で分散させておいて、主剤と混合比で硬化させるので、紫外線の照射後硬化剤の添加量を適切に検出し、樹脂の硬化などの反応を有効に制御することができる。
【0015】
さらに本発明は、蓄光剤入の硬化剤と主剤とを混合させて液状樹脂を生成する混合器と、
混合器で混合された液状樹脂を、所定部位に吐出して硬化させるための注入ノズルと、
液状樹脂を混合器から注入ノズルに導く経路の途中に設けられ、液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射器と、
該経路で紫外線照射器の下流側に設けられ、液状樹脂中の蓄光剤から放出される光束を受光する受光素子と、
受光素子によって受光される光束に基づいて、液状樹脂中の硬化剤の配合比を算出する演算回路とを含むことを特徴とする樹脂注入装置である。
【0016】
本発明に従えば、混合器で混合された主剤と硬化剤とは、注入ノズルに導かれて所定の部位に吐出されて硬化する。主剤と硬化剤とを混合する混合器から注入ノズルまで混合された樹脂を導く経路の途中には、樹脂に紫外線を照射する紫外線照射器と、紫外線が照射された樹脂中から発生される光を受光する受光素子が設けられる。受光素子によって受光される光束は蓄光剤の量に対応するので、受光素子の出力から、硬化剤の配合比を算出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の概略的な構成を示す。図1(a)は、2液硬化樹脂で、主剤に対する硬化剤の配合比を検出する基本的な構成を示し、図1(b)は図1(a)の基本的な構成を応用した2液型樹脂注入装置の構成を示す。図1(a)に示すように、紫外線照射部1から紫外線を照射し、受光素子部2で光を受光すると、紫外線が照射される混合樹脂3中の蓄光剤4から発光する光が受光される。蓄光剤4は、紫外線が照射されると、そのエネルギによって励起され、緩慢に減衰する状態で緑や青の可視光を発光し、最終的に発光しなくなるまで続ける。
【0018】
蓄光剤4入の混合樹脂3にUVランプなどを含む紫外線照射部1から紫外線を照射すると、蓄光剤4を構成する原子の電子が励起され、可視光を放出しながら徐々に元の軌道に戻る。このような蓄光剤から発光される光束をフォトダイオードなどの受光素子部2で取込むことによって、混合樹脂3での樹脂の配合比を検出することができる。なお、発光後の蓄光剤4aからの光束を受光する受光素子部2の周辺は、遮光部5で覆って、外部からの光が入ってこないようにしておく。受光素子部2は、遮光部5に設けられる開口部6に臨み、発光後の蓄光剤4aから発光される光束を受ける。発光後の蓄光剤4aからの光束を受光するために、混合樹脂の進行方向7に関し、紫外線照射部1の下流側に受光素子部2を配置する。
【0019】
図1(b)は、図1(a)に示すようにして混合樹脂3の配合比を検出する機能を有する樹脂注入装置10についての概略的な構成を示す。図1(a)の混合樹脂3は、たとえば2液硬化型のシリコン樹脂であり、主剤は主剤容器11に貯留される。硬化剤は硬化剤容器11に貯留される。硬化剤中には、一定の密度で蓄光剤4が分散されている。主剤容器11からの主剤と硬化剤容器12からの硬化剤とは、混合器13で混合され、注入ノズル14に導かれてポッティングなどを行う所定の部位に吐出される。図1(a)に示すような紫外線照射部1や受光素子部2は、混合器13から注入ノズル14に混合樹脂が導かれる経路に沿って配置される。制御装置15は、受光素子部2が受光する光束の単位面積当たりの強度などに基づいて、混合樹脂中に含まれる硬化剤の配合比を算出する。制御装置15は、算出される配合比に従って配合比が一定になるように、バルブ16,17の開度のフィードバック制御を行う。
【0020】
図2は、本発明の実施の他の形態として、図1(a)に示す紫外線照射部1と受光素子部2とを用い、混合樹脂3の単位断面積当たりの光束を測定することによって、流量を検出する原理を示す。本実施形態のような原理に基づき、図1(b)の制御装置15で、混合樹脂の流量も算出することができる。
【0021】
図1(a)に示すような蓄光剤4は、長残光性蛍光の1種である。一般的な夜光塗料として用いられる蛍光体としては、たとえばZnS(硫化亜鉛)にCu(銅)を添加した物質が知られている。しかしながら、このような蛍光物質は、残光時間が1〜2時間程度しかない。長時間の発光が必要な場合には、放射性物質であるPm(プロメチウム)が添加される。しかしながら、取扱いに注意を要する放射性物質であるので、その応用は大変限定されてしまう。
【0022】
本実施形態の蓄光剤は、複数種類の希土類を添加して、従来の蛍光剤の10倍以上の輝度と残光時間とを実現し、6〜8時間にわたって光の放出を続けることができる。発光する光は、緑や青の系統であり、たとえば520nmの発光ピーク波長を有する。D65の光を200Lxの照度で4分間照射した後、20分経過後の輝度は、約300mcd/m2となる。これに対し、従来のZnSでは、20mcd/m2程度となる。0.32mcd/m2に減衰するまでに要する時間である残光時間は、2000分以上であり、従来のZnSの200〜400分に比較して非常に長くなっている。このような蓄光剤4は、170〜200メッシュ程度の微細な粉末となっており、混合樹脂3に用いる硬化剤中に分散させることができる。蓄光剤4として用いることができる商品としてはたとえば東京インテリジェントネットワーク株式会社から長残光性蛍光体として発売されていたり、ケミテック株式会社からピカリコという商標で発売されている蓄光材料を用いることができる。
【0023】
図3は、図1(a)の受光素子部2が検出する光束の強度と硬化剤の配合比との関係を示す。標準的な配合比に対して、光束との対応関係を予め求めておけば、光束から配合比を容易に算出することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数成分を混合して得られる樹脂中で、予め定める液状成分については、紫外線を照射した後で発光する蓄光剤を一定の密度で分散させておくので、混合後の液状樹脂に紫外線を照射すれば、発光の強度から蓄光剤が分散されている液状成分の配合率を算出することができる。
【0025】
また、液状成分中に分散させる蓄光剤は、紫外線によって可視光を発光する蛍光剤であるので、紫外線の照射で配合比に対応する強度の発光を生じさせることができる。
【0026】
また、蛍光剤として蓄光剤を用い、紫外線照射後も発光状態を長期間継続するので、配合比の検出を安定に行うことができる。
また、本発明によれば、実際に樹脂を硬化させないでも、主剤と硬化剤との配合比を迅速に検出して適切か否かを判断することができる。
【0027】
さらに本発明によれば、混合器で主剤と混合する硬化剤中に蓄光剤を分散させておき、混合後の液状樹脂に紫外線を照射して、液状樹脂中に含まれる硬化剤の配合比を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の他の形態の原理的な構成を示す図である。
【図3】図1の実施形態で混合樹脂硬化剤の配合と受光する光束の強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 紫外線照射部
2 受光素子部
3 混合樹脂
4 蓄光剤
10 樹脂注入装置
13 混合器
14 注入ノズル
15 制御装置
Claims (3)
- 複数種類の液状成分を混合して得られる樹脂に対し、予め定める液状成分の配合比を検出する方法であって、
該液状成分中に、紫外線のエネルギを受けて、可視光を発光し紫外線照射後も緩慢に減衰しながら可視光を発光する蓄光剤を予め定める一定の密度で分散させておき、
該液状成分を他の液状成分と混合した後で、紫外線を照射し、該蓄光剤からの発光強度に基づいて該液状成分の配合比を検出することを特徴とする樹脂配合比検出方法。 - 前記予め定める液状成分は硬化剤であり、
前記樹脂は、該硬化剤の添加によって硬化する主剤を含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂混合比検出方法。 - 蓄光剤入の硬化剤と主剤とを混合させて液状樹脂を生成する混合器と、
混合器で混合された液状樹脂を、所定部位に吐出して硬化させるための注入ノズルと、
液状樹脂を混合器から注入ノズルに導く経路の途中に設けられ、液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射器と、
該経路で紫外線照射器の下流側に設けられ、液状樹脂中の蓄光剤から放出される光束を受光する受光素子と、
受光素子によって受光される光束に基づいて、液状樹脂中の硬化剤の配合比を算出する演算回路とを含むことを特徴とする樹脂注入装置。
Priority Applications (1)
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