JP3545533B2 - 脂肪酸アミドとレチノールもしくはレチニルエステルとを含有するスキンケア組成物 - Google Patents

脂肪酸アミドとレチノールもしくはレチニルエステルとを含有するスキンケア組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪酸アミドとレチノールもしくはレチニルエステルとを含有するスキンケア組成物およびこの組成物を用いるスキンコンディショニング法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レチノール(ビタミンA)は、人体にて自然に生ずると共に正常な上皮細胞の分化に必須である内生化合物である。天然および合成のビタミンA誘導体は各種の皮膚障害の処置に広範に使用されており、さらに皮膚回復もしくは更新剤として使用されている。レチノイン酸は各種の皮膚症状、たとえば座瘡、皺、乾癬、老斑および変色を処置すべく使用されている[たとえばA.Vahlquist等、J.Invest.Dermatol.、第94巻、D.B.HollandおよびW.J.Cunliffe(1990)、第496〜498頁;C.N.Ellis等、「皮膚におけるレチノールの薬理学」、バゼル、カルガー、第3巻(1989)、第249〜252頁;N.J.Lowe等、「皮膚におけるレチノールの薬理学」、第3巻(1989)、第240〜248頁;PCT特許出願WO 93/19743号参照]。レチノールおよびレチニルエステル(たとえば酢酸レチニルおよびパルミチン酸レチニル)はレチノイン酸よりも処方/安定化が容易である。残念ながら、レチノールおよびレチニルエステルは皮膚に利益を与えるにはレチノイン酸よりも効果が低い。本発明は部分的に、レチノールもしくはレチニルエステルと脂肪酸アミドとの或る種の組合せ物がケラチノサイトの増殖および分化に相乗的改善をもたらすという知見に基づいている。レチノールもしくはレチニルエステルと組合せた脂肪酸アミドの作用はレチノイン酸に類似する。したがって、脂肪酸アミドとレチノールもしくはレチニルエステルとの混合物はレチノイン酸に類似するが、レチノイン酸よりも使用が容易である。
【0003】
ソーンフェルト(米国特許第5,057,501号)は、セスキテルペン化合物と約0.025〜約35%のモノカルボン酸、エステルもしくはアミドとを含有する組成物での丘疹鱗層症および湿疹症の処置方法を開示している。これら組成物はレチノイドをも含むことができる。ソーンフェルトは、或る種のレチノイド、すなわちイソトレチノイン、トレチノイン、エトレチン(これらは全てレチノイン酸の立体異性型である)およびエトレチネート(トリメトキシフェニルレチノイン酸のエステル)が丘疹鱗層症に対し効能を有すると教示している。PCT特許出願WO/9325177号(プロクター・アンド・ギャンブル社)は、特定種類の非環式カルボキサミド冷却剤を含有すると共にたとえばレチノイン酸およびその誘導体(たとえばcisおよびtrans)のようなレチノイドをも含みうる組成物を皮膚に局部塗布することを開示している。PCT特許出願WO/9403156号(ローン・プーラン社)は、リノール酸もしくはその誘導体を活性成分として含有する不純な皮膚(たとえば丘疹、膿疱もしくは面疱に侵された皮膚)を処置および予防するための局部組成物を開示している。この組成物もまた0.025〜0.1重量%のトレチノインを含有することができる。ヨーロッパ特許出願第0 388 275号(ピエール・ファベル・コスメチク社)は、アルキルカルボキサミドとレチノイン酸亜鉛であり得る亜鉛塩とを含有する脂漏症を処置する組成物を開示している。
【0004】
クラウス等(米国特許第5,216,148号)は腫瘍、皮膚病および皮膚老化を処置および防止するための特定複合カルボキサミドの使用を開示している。Van Scott等(米国特許第4,380,549号)およびYu等(米国特許第4,363,815号)は、ヒドロキシ酸もしくはそのアミドによる座瘡、乾燥、フレーク状、鱗皮状の皮膚の処置を開示している。EP 582,458号はN,N−(1,4Cアルキル)ラウラミドの使用を開示している。EP559,304号は少なくとも25個の炭素原子のヒドロカルビル鎖を有するアミドを皮膚平滑剤として使用することを開示している。Beauquey等(米国特許第5,308,551号)は、特に成分として8〜16C脂肪酸の1〜4Cアルカノールアミドを含有するスキンウォッシングおよびコンディショニング組成物を開示している。英国特許明細書第1,126,289号(ホフマン・ラ・ロッシュ社)は、ビタミンAアルコールもしくはビタミンAエステルと乳化剤とアルコールもしくはモノカルボン酸のジアルキルアミド(たとえばN,N−ジエチルアセタミド、N,N−ジメチルアセタミドもしくはN,N−ジメチルホルムアミド)から選択される溶剤とを含有した保存ビタミン製剤を開示している。このビタミン製剤は極めて高いビタミン含有量、すなわち最小濃度が250,000I.U.ビタミンA/mLである。さらに、上記英国特許第1,126,289号に開示されたアミドは本発明の範囲に入らない。
【0005】
上記に引用した技術は、脂肪酸アミドとレチノールもしくはレチニルエステルとの相乗的組合せ物に基づくスキンコンディショニング組成物を開示していない。上記に引用した技術はいずれもレチノイン酸に対する効果的代替物のニーズに答えていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の課題は、レチノールもしくはレチニルエステルと或る種の脂肪酸アミドとの組合せ物を含有するスキンコンディショニング組成物を提供することにある。
【0007】
さらに本発明の課題は、或る種の脂肪酸アミドとレチノールもしくはレチニルエステルとの混合物を活性系として含有した組成物による皮膚のコンディショニング法を提供することにある。
【0008】
さらに本発明の他の課題は、化粧組成物におけるレチノイン酸の代替物を提供することにある。
【0009】
本発明のこれらおよび他の課題は、以下の詳細な説明および実施例から明かとなるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、
(a)約0.001〜約10%のレチノールおよびレチニルエステルと、
(b)約0.0001〜約50%の脂肪酸アミド(ここで脂肪酸は少なくとも6個の炭素原子を有する)と、
(c)化粧上許容しうるベヒクルと
を含有するスキンコンディショニング組成物を部分的に含む本発明により解決される。
【0011】
本明細書で用いる「コンディショニング」と言う用語は、角質層の柔軟性を増大させると共に一般に皮膚の質を向上させる乾燥皮膚、光損傷皮膚、皺の発生、老斑、老化皮膚の予防および処置を意味する。これら組成物は皮膚剥離および上皮分化を改善すべく使用することができる。
【0012】
本発明の製品における脂肪酸アミドの存在はレチノールもしくはレチニルエステルの性能を実質的に向上させ、すなわち活性増強剤は細胞増殖および分化に影響を及ぼすレチノールもしくはレチニルエステルの能力を実質的に向上させる。脂肪酸アミドは単独使用すれば皮膚利益を向上させる作用を全くまたは殆ど示さない。皮膚利益における実質的向上は、アミドをレチノールもしくはレチニルエステルと組合せた場合にのみ実現される。要するに、本発明は少なくとも部分的に、レチノールもしくはレチニルエステルと或る種の脂肪酸アミドとの間の相乗的な相互作用の発見に基づいている。
【0013】
本発明の好適具体例においてはレチノールもしくはレチニルエステルをC〜C24脂肪酸のアミド、特に好ましくはC〜C24脂肪酸のモノ−もしくはジ−アルカノールアミドと組合せて用いる。
【0014】
本発明によれば、レチノールもしくはレチニルエステルを含有する組成物に有効量の脂肪酸アミドを含ませることにより組成物の性能が実質的に向上する。或いは、脂肪酸アミドを含有する組成物に低レベルのレチノールもしくはレチニルエステルを含ませて、アミドを含まない同様な処方物の性能に等しくすることもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物は、第1必須成分としてレチノールもしくはレチニルエステルよりなる群から選択される化合物を含有する。「レチノール」と言う用語は次のレチノールの異性体を包含する:全trans−レチノール、13−cis−レチノール、11−cis−レチノール、9−cis−レチノール、3,4−ジデヒドロ−レチノール。好適異性体は全trans−レチノール、13−cis−レチノール、3,4−ジデヒドロ−レチノール、9−cis−レチノールである。広く市販されているため全trans−レチノールが最も好適である。
【0016】
レチニルエステルはレチノールのエステルである。「レチノール」という用語は上記した通りである。本発明に使用するのに適するレチニルエステルはレチノールのC〜C30エステル、好ましくはC〜C20エステル、特に好ましくは、より一般的に入手しうるためC、CおよびC16エステルである。レチニルエステルの例は限定はしないが次のものを包含する:パルミチン酸レチニル、蟻酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、ラウリン酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、オレイン酸レチニル。
【0017】
本発明に使用するのに好適なエステルはパルミチン酸レチニル、酢酸レチニルおよびプロピオン酸レチニルから選択される。何故なら、これらは最も市販入手しやすく、したがって最も安価なためである。
【0018】
レチノールもしくはレチニルエステルは本発明の組成物中に約0.001〜約10%の量、好ましくは約0.01〜約1%の量、より好ましくは約0.01〜約0.5%の量で使用される。
【0019】
本発明による組成物の第2必須成分は脂肪酸アミドである。本発明の1部として、短鎖カルボン酸のアミドはレチノールもしくはレチニルエステルの性能を向上させないことが判明した。したがって、本発明は少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪酸のアミドを包含する。適する脂肪酸は飽和および不飽和の直鎖もしくは分枝鎖脂肪酸を包含する。適する脂肪酸は一般に8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜20個の炭素原子、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する。何故なら、長鎖の脂肪酸アミドが皮膚のコンディショニングにつき一層有利なためである。本発明の最も好適な具体例において、必須脂肪酸が皮膚に栄養を与えるので、必須脂肪酸のアミドが用いられる。必須脂肪酸の例は限定はしないがリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、γ−リノレン酸、ホモ−γ−リノレン酸およびその混合物を包含する。セラミドへの先駆体でもあるためリノール酸が最も好適である。
【0020】
本発明に使用するのに適したアミドは単純アミド(すなわち−CONH基を有するもの)、N−アルキルアミド、N,N−ジアルキルアミド、モノ−アルカノールアミドおよびジ−アルカノールアミドとすることができる。適するアルキルもしくはアルカノール基は1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子、特に好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。本発明に包含される好適アミドは特に必須脂肪酸のモノ−およびジ−アルカノールアミドである。アルカノールアミドがアルキルアミドよりも一般的に入手しやすい。
【0021】
好適脂肪酸アミドはリノール酸、パルミチン酸およびココナッツ油のモノ−およびジ−エタノールアミドから選択される。
【0022】
アミドは本発明の組成物中に約0.0001〜約50%、好ましくは約0.01〜約10%、特に好ましくは約0.1〜約5%の範囲の量にて含ませる。
【0023】
本発明の組成物におけるレチノールと脂肪酸アミドとの比は一般に約200:1〜約1:50の範囲、好ましくは約100:1〜約1:50、特に好ましくは約50:1〜1:50の範囲である。
【0024】
本発明の組成物におけるレチニルエステルと脂肪酸アミドとの比は一般に約3500:1〜約1:300の範囲、好ましくは約300:1〜約1:300、特に好ましくは約50:1〜約1:50の範囲である。
【0025】
適宜の皮膚利益材料および化粧添加物
油または油性物質を乳化剤と一緒に存在させて、油中水型エマルジョンもしくは水中油型エマルジョンを主として使用する乳化剤の平均親水性−親油性バランス(HLB)に基づき生成させることができる。
【0026】
各種の活性成分を本発明の化粧組成物に存在させることができる。各種の活性成分を本発明の化粧組成物に存在させることもできる。活性成分とは、皮膚軟化剤以外および単に組成物の物理特性を向上させるだけの成分を除く皮膚もしくは毛髪利益剤として規定される。この種類に限定しないが、一般例は日焼け防止剤、タンニング剤を包含する。
【0027】
日焼け防止剤は紫外光を阻止すべく一般的に用いられる物質を包含する。化合物の例はPABAの誘導体、シンナメートおよびサリチレートである。たとえばメトキシ桂皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られる)を使用することができる。メトキシ桂皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンはそれぞれパルソールMCXおよびベンゾフェノン−3として市販されている。エマルジョン中に使用される日焼け防止剤の正確な量は、日光のUV線からの所望保護程度に応じて変化することができる。
【0028】
他の好適な適宜成分は必須脂肪酸(EFA)、すなわち全細胞の形質膜形成に必須であるような脂肪酸から選択され、ケラチノサイトにおいてEFA欠乏は細胞を増殖過多にする。EFAの補給はこれを修正する。さらにEFAは上皮の脂質生合成を向上させると共に、上皮のバリヤ形成のため脂質を与える。好ましくは必須脂肪酸はリノール酸、γ−リノレン酸、ホモ−γ−リノレン酸、コロンビン酸、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、γ−リノレン酸、チムノドン酸、ヘキサエン酸およびその混合物から選択される。
【0029】
皮膚軟化剤が本発明の化粧組成物中にしばしば混入される。この種の皮膚軟化剤のレベルは全組成物に対し約0.5〜約50重量%、好ましくは約5〜30重量%の範囲とすることができる。皮膚軟化剤はエステル、脂肪酸およびアルコール、ポリオール並びに炭化水素のような一般的化学種類として分類することができる。
【0030】
エステルはモノ−もしくはジ−エステルとすることができる。脂肪酸ジ−エステルの許容しうる例はアジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ダイマー酸ジイソプロピル(diisopropyl dimerate)およびコハク酸ジオクチルを包含する。許容しうる分枝鎖脂肪酸エステルはミリスチン酸2−エチル−ヘキシル、ステアリン酸イソプロピルおよびパルミチ酸イソステアリルを包含する。許容しうる三塩基酸エステルはトリリノール酸トリイソプロピルおよびクエン酸トリラウリルを包含する。許容しうる直鎖脂肪酸エステルはパルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチル、エルカ酸オレイルおよびオレイン酸ステアリルを包含する。好適エステルはココ−カプリレート/カプレート(ココ−カプリレートとココ−カプレートとの配合物)、プロピレングリールミリスチルエーテルアセテート、アジピン酸ジイソプロピルおよびオクタン酸セチルを包含する。
【0031】
適する脂肪族アルコールおよび脂肪酸は10〜20個の炭素原子を有する化合物を包含する。たとえばセチル、ミリスチル、パルミチルおよびステアリルアルコールおよび酸のような化合物が特に好適である。
【0032】
皮膚軟化剤として作用しうるポリオールには線状および分枝鎖のアルキルポリヒドロキシル化合物がある。たとえばプロピレグリコール、ソルビトールおよびグリセリンが好適である。さらに、たとえばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのような高分子ポリオールも有用である。ブチレングリコールおよびプロピレングリコールも浸透増強剤として特に好適である。
【0033】
皮膚軟化剤として作用しうる炭化水素の例は12〜30個の炭素原子の炭化水素鎖を有するものである。特定例は鉱油、石油ゼリー、スクアレンおよびイソパラフィンを包含する。
【0034】
本発明の化粧組成物における機能成分の他の種類は増粘剤である。増粘剤は一般に組成物に対し0.1〜20重量%、好ましくは約0.5〜10重量%の量で存在させる。増粘剤の例はB.F.グッドリッチ・カンパニー社からカルボポール(商標)として入手しうる架橋したポリアクリレート物質である。たとえばキサンタンガム、カラギーナン、ゼラチン、カラヤガム、ペクチンおよびイナゴガムのようなガム類も用いることができる。或る種の環境にて、増粘機能はシリコーンもしくは皮膚軟化剤としても作用する材料により得ることもできる。たとえば、10センチストークスを越えるシリコーンガムおよびたとえばステアリン酸グリセロールのようなエステル類は二重の機能を有する。
【0035】
粉末も本発明の化粧組成物に混入することができる。これら粉末はチョーク、タルク、フラー土、カオリン、澱粉、スメクタイト粘土、化学改質した珪酸マグネシウムアルミニウム、有機改質したモンモリロナイト粘土、水和珪酸アルミニウム、融合シリカ、アルミニウム澱粉オクテニルスクシネートおよびその混合物を包含する。
【0036】
他の少量添加成分をも化粧組成物に添加することができる。これら成分は着色剤、不透明化剤および香料を包含する。これら物質の量は組成物に対し0.001〜20重量%の範囲とすることができる。
【0037】
組成物の用途
本発明による組成物は主として人間の皮膚に局部塗布するための製品、特に皮膚をコンディショニングすると共に平滑化させ、さらに皺もしくは老化皮膚の出現を防止もしくは減少させる薬剤として使用される。
【0038】
使用に際し、たとえば1〜5mLの少量の組成物を適する容器もしくはアプリケータから皮膚の露出域に施し、必要に応じ手もしくは指または適する器具により皮膚上へ展延させかつ/または皮膚中に擦込む。
【0039】
製品形態および包装
本発明の局部皮膚処理組成物は4,000〜10,000mPasの粘度を有するローション、10,000〜20,000mPasの粘度を有する液状クリーム、または20,000〜100,000mPasもしくはそれ以上の粘度を有するクリームもしくはゲルとして処方することができる。組成物はその粘度および消費者による用途目的に適する容器に包装することができる。たとえばローションまたは液状クリームは壜またはロール−ボールアプリケータまたはカプセルに包装することができ、或いは噴射剤噴出エアロゾル器具または指操作に適するポンプを装着した容器に包装することもできる。組成物がクリームであれば、これは単に非変形性の瓶またはたとえばチューブもしくは蓋付ジャーのような絞出容器に貯蔵することができる。
【0040】
したがって本発明は、上記の化粧上許容しうる組成物を含有する密閉容器をも提供する。
【0041】
【実施例】
以下、特定実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0042】
材料および方法
細胞培養
トリプシン処理により新生児の包皮から分離したヒト ケラチノサイトをジュルベッコ改変イーグル(DME)ハムスF12(1:1)培地/10%胎児牛血清にて照射3T3マウス繊維芽細胞の存在下に増殖させてケラチノサイト集落の分裂を確立した。細胞を上記の条件下でその第2継代まで増殖させると共に、将来使用すべく凍結状態に保った。凍結された第2継代のケラチノサイトを解凍させ、上記培地に接種して5日間にわたり増殖させた後、これらをクロネチックス・コーポレーション社、サンジエゴ、CAからの0.15mMのCaを含有する血清フリーMCDB153系培地(ケラチノサイト増殖培地(KGM))またはギブコ社からの0.09mMのCaを含有するケラチノサイト血清フリー培地(KSFM)に切り換えた。7日目に細胞が80〜90%集合した際、これらをトリプシン処理すると共に血清フリー培地に各種の実験のため接種した。
【0043】
チミジン分析
H−チミジン取込およびケラチノサイト増殖
培養したケラチノサイトによるH−チミジンの組込をケラチノサイト増殖の分析として用いた。チミジンは4種のデオキシヌクレオシドの1種であって、DNA(すなわち動物界における遺伝子情報の普遍的ライブラリー)のモノマー単位である。たとえばケラチノサイトのような体細胞の細胞分裂に先立ち、細胞分裂を受ける細胞の完全ゲノムが複製される。これは細胞による大規模のDNA合成を伴い、両娘細胞が遺伝子物質の同一コピーを受け入れることを可能にする。H−チミジンが細胞分裂の準備に際しDNAを合成しつつあるケラチノサイトの培地に含まれると、標識されたヌクレオシドは新たに合成されたDNAに組込まれる。細胞集団へのH−チミジンの組込み程度はこの細胞集団によるDNA合成の割合に比例し、したがってその細胞増殖の尺度となる。
【0044】
ケラチノサイト(上記のように培養)を24穴プレートに、培地1mLにおける穴1個当たり40,000個の細胞の密度にて接種した。4日間にわたり培養した後、すなわち細胞が60〜70%集合するまで、培地を交換した。試験化合物を培地交換の24時間後に各穴に添加し(3反復)、次いで4時間後に50μLの培地における1μCiのH−チミジンを穴1個当たりに添加した。細胞をさらに24時間培養した。培地を細胞から除去し、10%氷冷トリクロロ酢酸(TCA)を添加すると共に、プレートを氷上で30分間培養した。細胞を5%TCAにより5回洗浄し、500μLの0.1M NaOHに少なくとも1時間(一般に1晩)かけて溶解させた。これら調製物を0.1MのHClで中和した。50μLの細胞調製物を用いて全蛋白含有量を測定した。DNAのH標識からの1分間当たりの崩壊(DPM)を、900μLの細胞調製物の液体シンチレーション計数により決定した。チミジン組込の結果をDPM/μg蛋白質として表わした。
【0045】
トランスグルタミナーゼ分析
トランスグルタミナーゼ分析およびケラチノサイト分化
上皮における最終分化の過程に際し、角質エンベロプ(CE)として知られる厚さ15nmの蛋白質の層を細胞外周の内表面に形成させる。CEは、上皮で発現される少なくとも2種の異なるトランスグルタミナーゼ(TGアーゼ)の作用により触媒されるNε −(γ−グルタミル)リジン イソジペプチド結合の形成により互いに架橋された多数の異なる蛋白質で構成される。TGアーゼIは上皮の分化した層(特に顆粒層)にて豊富に発現されるが、未分化の基礎上皮には存在しない。したがってTGアーゼIは、一層分化した状態を示す高TGアーゼIレベルでの上皮ケラチノサイト分化の有用なマーカーである。TGアーゼI抗体を用いるELISAに基づくTGアーゼIの分析を使用して、以下の実施例で培養ケラチノサイトの分化状態を評価した。
【0046】
ケラチノサイト(上記のように培養)を96穴プレートに、200μLの培地における穴1個当り3,000個の細胞の密度で接種した。4日間にわたり培養した後、培地を試験化合物を含有する培地に交換した(1試験当り6反復)。細胞をさらに72時間にわたり培養し、その後に培地を吸引すると共にプレートを−70℃で貯蔵した。これらプレートを凍結器から取出し、細胞をPBSで洗浄した。100μLの無菌水を添加し、細胞を−70℃での凍結により凍結し、次いで解凍させた。これら細胞を室温(R/T)にてPBS/3%BSA(洗浄緩衝液、牛血清アルブミン)と共に1時間培養し、次いで新鮮な洗浄緩衝液で洗浄した。細胞を洗浄緩衝液にて1:300で希釈されたアメルシャム社から得られた50μLの一次抗体モノクローナル抗ヒトトランスグルタミナーゼ(IgGマウス)と共に37℃にて1時間培養し、次いで洗浄緩衝液で2回洗浄した。次いで細胞を洗浄緩衝液にて1:200で希釈した50μLの二次抗体(Feb断片、ペルオキシダーゼ結合抗−マウスIgG、アメルシャム社から入手)と共に37℃で1時間培養し、次いで洗浄緩衝液により2回洗浄した。細胞を基質溶液(10mLの0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.0)における4mgのo−フェニレンジアミンおよび3.3μLの30%H)と共にR/Tにて暗所(アルミニウム箔の下)で5分間培養した。反応を50μLの4N HSOの添加により停止させた。試料の吸光度をプレート読取器で492nmにて読取った。6反復のうち4反復を両抗体で処理し、2反復を二次抗体のみで処理した(すなわち酵素結合Abのバックグランド結合を決定するため)。TGアーゼのレベルを、各処理からの読取値からバックグランドを引算し、両Abに露出した各反復につき平均±s.d.を求めて決定した。
【0047】
実施例1
レチノイン酸はケラチノサイト分化状態を
変化させるのにレチノールよりも効果的である
A. 種々の濃度にてレチノイン酸もしくはレチノールを添加してから24時間後のH−チミジン/μg可溶性蛋白の組込みに対する作用を検査した。得られた結果を表1Aに要約する。
【0048】
【表1】
Figure 0003545533
【0049】
試験した全てのレチノイン酸の濃度、すなわち2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mはエタノールコントロール、並びに2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mの各レチノール処理のいずれかの両者よりもケラチノサイト増殖を顕著に増大させ、しかも投与量に依存した。これは、レチノイン酸が上皮増殖に対しレチノールよりも大きい刺激作用を有することに一致する。
【0050】
B. レチノイン酸およびレチノールを添加した後のトランスグルタミナーゼレベルに対する作用を検査した。得られた結果を表1Bに要約する。
【0051】
【表2】
Figure 0003545533
【0052】
試験した全てのレチノイン酸の濃度、すなわち2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mはエタノールコントロールよりもケラチノサイト分化を減少させ、これは対応する2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mレチノール処理のそれぞれよりも顕著に大きな程度であった。トランスグルタミナーゼレベルの減少はレチノイン酸およびレチノールの両者につき投与量に依存した。これは、レチノイン酸が上皮分化に対する抑制作用をレチノールよりも多く有することに一致する。
【0053】
実施例2
リノレオイル−ジエタノールアミド(リノレオイル−DEA)およびレチノール
は相乗作用してケラチノサイト増殖を増大させると共に分化を抑制する
A. 試験化合物を添加してから24時間後におけるH−チミジン/μg可溶性蛋白質の組込みに対する作用を検査し、3回の独立実験の結果を組合せて各エタノールコントロールに対して基準化させた。得られた結果を表2Aに要約する。
【0054】
【表3】
Figure 0003545533
【0055】
2.5×10−8Mのレチノイン酸はエタノールコントロール(26%)および2.5×10−8M レチノール処理(24%)の両者よりもケラチノサイトチミジン組込みを顕著に増大させた。2.5×10−8M ROHおよび10−9M リノレオイル−DEAのそれぞれはケラチノサイト増殖に対し低い顕著でない刺激作用を示した。しかしながら、2.5×10−8Mレチノール+10−9Mリノレオイル−DEAの組合せはエタノール(22%)および2.5×10−8Mレチノール(17%)の各処理よりもケラチノサイト増殖を顕著に増大させた。したがってリノレオイル−DEAおよびレチノールは相乗作用してケラチノサイト増殖をレチノイン酸の刺激作用に近似するレベルまで増大させる。
【0056】
B. トランスグルタミナーゼ1(TG1)レベルに対する作用を試験化合物での72時間処理につき検査し、3回の独立実験の結果を組合せて各エタノールコントロールに対して基準化させた。得られた結果を表2Bに要約する。
【0057】
【表4】
Figure 0003545533
【0058】
2.5×10−7M レチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルの抑制に極めて有効であった(コントロールレベルの28%まで)。さらに2.5×10−7レチノールもTG1レベルを抑制したが(コントロールの59%まで)、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−6Mリレノオイル−DEA自身もケラチノサイトTG1レベルを抑制した。しかしながら2.5×10−7Mレチノール+10−6Mリノレオイル−DEAの組合せはケラチノサイトTG1を検出しえないレベルまで完全に抑制した。したがってリノレオイル−DEAとレチノールとは相乗作用して、レチノイン酸の作用と同様にケラチノサイト分化を抑制する。
【0059】
実施例3
リノレオイル−DEAとパルミチン酸レチニルとはケラチノサイト
増殖を相乗的に増大させると共に分化を抑制した
A. H−チミジンの組込みに対するリノレオイル−DEAおよびレチニルエステル(パルミチン酸レチニル)の作用を検査した。得られた結果を表3Aに要約する。
【0060】
【表5】
Figure 0003545533
【0061】
レチノイン酸の陽性コントロールはエタノールコントロール(17%)および2.5×10−7Mパルミチン酸レチニル処理(6%)の両者よりもケラチノサイト チミジン組込みを顕著に増大させた。10−8Mリノレオイル−DEAはケラチノサイト増殖に対し作用を示さなかった。2.5×10−7Mパルミチン酸レチニルは、この実験にてコントロールよりもケラチノサイト チミジン組込みを増大させた。しかしながら、2.5×10−7Mパルミチン酸レチニル+10−8Mレノレオイル−DEAの組合せはエタノール(18%)および2.5×10−7Mパルミチン酸レチニル(7%)の両処理よりもケラチノサイト増殖を顕著に増大させた。したがってリノレオイル−DEAとパルミチン酸レチニルとは相乗作用して、ケラチノサイト増殖をレチノイン酸の刺激作用に近似するレベルまで増大させた。
【0062】
B. パルミチン酸レチニルおよびリノレオイル−DEAでの処理に関するTG1に対する作用を検査した。得られた結果を表3Bに要約する。
【0063】
【表6】
Figure 0003545533
【0064】
2.5×10−7Mレチノイン酸は、ケラチノサイトTG1レベルを抑制するのに最も効果的な処理であった(コントロールレベルの33%まで)。2.5×10−7Mパルミチン酸レチニルもTG1レベルをコントロールレベルの82%まで抑制したが、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−6Mリノレオイル−DEA自身ではケラチノサイトTG1レベルに対し極めて僅かの作用しか示さなかった。しかしながら、2.5×10−7Mパルミチン酸レチニル+10−6Mリノレオイル−DEAの組合せはケラチノサイトTG1レベルをコントロールレベルの21%まで抑制した。したがってリノレオイル−DEAとパルミチン酸レチニルとは相乗作用してケラチノサイト分化をレチノイン酸の作用に類似して抑制した。
【0065】
実施例4
ココイル−DEA、ココイル−MEA、パルミトイル−MEAおよび
リノレオイル−MEAはそれぞれレチノールと相乗作用する
A. レチノールおよびココイル−ジエタノールアミド(ココイル−DEA)(すなわち脂肪酸アミドの他の例)での処理に関するTG1に対する作用を検査した。得られた結果を表4Aに要約する。
【0066】
【表7】
Figure 0003545533
【0067】
2.5×10−7Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルをコントロールレベルの33%まで抑制した。2.5×10−7レチノールもTG1レベルをコントロールレベルの82%まで抑制したが、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−7Mココイル−DEA自身はTG1レベルに対する作用を示さなかった。2.5×10−7M ROH+10−7Mココイル−DEAの組合せはTG1レベルをコントロールレベルの17%まで抑制した。したがって、この組合せはレチノールもしくはココイル−DEAの単独による組合せ作用よりも大きいケラチノサイトTG1レベルに対する作用を示した。レチノールとココイル−DEAとは、ケラチノサイトに対し相乗作用してTG1レベルを増大させた。
【0068】
B. レチノールおよびココイル−モノエタノールアミド(ココイル−MEA)(すなわち脂肪酸アミドの他の例)での処理に関するTG1に対する作用を検査した。得られた結果を表4Bに要約する。
【0069】
【表8】
Figure 0003545533
【0070】
2.5×10−8Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルをコントロールレベルの29%まで抑制した。2.5×10−8レチノールもTG1レベルをコントロールレベルの44%まで抑制したが、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−8Mココイル−MEA自身はTG1レベルに対し実質的に作用を示さなかった。2.5×10−8M ROH+10−8Mココイル−MEAの組合せはTG1レベルをコントロールレベルの33%まで抑制し、したがってこの組合せは各単独での処理よりもケラチノサイトTG1レベルに対し大きい作用を示した。レチノールとココイル−MEAとは相乗作用してケラチノサイトTG1レベルを抑制する。
【0071】
C. レチノールおよびパルミトイル−モノエタノールアミド(パルミトイル−MEA)(すなわち他の脂肪酸アミド)のH−チミジンのケラチノサイトによる組込みに対する作用を検査した。得られた結果を表4Cに要約する。
【0072】
【表9】
Figure 0003545533
【0073】
2.5×10−8Mレチノイン酸は、エタノールコントロール(16%)および2.5×10−8Mレチノール処理(15%)の両者よりもケラチノサイト チミジン組込みを顕著に増大させた。10−8Mパルミトイル−MEAも2.5×10−8Mレチノールもコントロールと対比してケラチノサイト増殖に対する作用を示さなかった。しかしながら、2.5×10−8Mレチノール+10−6Mパルミトイル−MEAの組合せは、エタノールコントロール(11%)および2.5×10−8Mレチノール処理(10%)の両者よりもケラチノサイト増殖を顕著に増大させた。したがってパルミトイル−MEAとレチノールとは相乗作用して、ケラチノサイト増殖をレチノイン酸の刺激作用に近似するレベルまで増大させた。
【0074】
D. リノレオイル−モノエタノールアミド(リノレオイル−MEA)を添加してから24時間後のH−チミジン/μg可溶性蛋白質の組込みに対する作用を検査し、その結果をエタノールコントロールに対し基準化した。得られた結果を表4Dに要約する。
【0075】
【表10】
Figure 0003545533
【0076】
2.5×10−8Mレチノイン酸は、エタノールコントロール(47%)および2.5×10−8Mレチノール処理(41%)の両者よりもケラチノサイト チミジン組込みを顕著に増大させた。10−9Mリノレオイル−MEAはケラチノサイト増殖に対し抑制作用を示した。しかしながら、2.5×10−8Mレチノール+10−9Mリノレオイル−MEAの組合せは、エタノール(39%)および2.5×10−8Mレチノール(33%)処理の両者よりもケラチノサイト増殖を顕著に増大させた。したがってリノレオイル−MEAとレチノールとは相乗作用して、ケラチノサイト増殖をレチノイン酸の刺激作用に近似するレベルまで増大させた。
【0077】
実施例5
リノール酸およびリノール酸のメチルエステルは
レチノールとの相乗作用を示さない
A. レチノールおよびリノール酸での処置に関するTG1に対する作用を検査した。得られた結果を表5Aに要約する。
【0078】
【表11】
Figure 0003545533
【0079】
2.5×10−7Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルをこの実験にて完全に抑制した。2.5×10−7MレチノールもTG1レベルをコントロールレベルの39%まで抑制したが、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−6Mリノール酸はTG1を刺激すると思われた。2.5×10−8M ROH+10−8Mリノール酸の組合せは、レチノール処理の効果(すなわちTG1抑制に関する)を減少させた。したがってレチノールとリノール酸との間には相乗作用が観察されなかった。
【0080】
B. レチノールおよびリノール酸メチル(すなわちリノール酸エステルの例)での処理に関するTG1に対する作用を検査した。得られた結果を表5Bに要約する
【0081】
【表12】
Figure 0003545533
【0082】
2.5×10−8Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルを抑制した(コントロールレベルの32%まで)。2.5×10−8MレチノールもTG1レベルをコントロールレベルの69%まで抑制したが、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−8Mリノール酸メチル自身はTG1を2.5×10−8Mレチノールと同じ程度まで抑制したが、2.5×10−8Mレチノイン酸ほど良好でなかった。2.5×10−8M ROH+10−8Mリノール酸メチルの組合せは、レチノールもしくはリノール酸メチルのいずれの単独処理よりもケラチノサイトTG1レベルに対し作用を示さなかった。したがってレチノールとリノール酸のメチルエステルとの間には相乗作用が観察されなかった。
【0083】
実施例6
短鎖脂肪酸アミド(すなわちC 、C およびC
はレチノールとの相乗作用を示さなかった
A. トランスグルタミナーゼ1(TG1)レベルに対する作用をレチノールおよびホルムアミド(C脂肪酸アミド)での72時間処理に関して検査し、その結果を表6Aに示す。
【0084】
【表13】
Figure 0003545533
【0085】
2.5×10−7Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルの抑制に極めて有効であった(コントロールレベルの28%まで)。2.5×10−7MレチノールもTG1レベルをコントロールの71%まで抑制したが、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−7MホルムアミドはケラチノサイトTG1レベルに対し低い抑制作用を示した。2.5×10−7Mレチノール+10−7Mパルミトイル−DEAはコントロール処理と対比してケラチノサイトTG1レベルに対し作用を示さず、実際に2.5×10−7Mレチノール単独よりも顕著に低い効果を示した。したがってホルムアミドとレチノールとは、相乗作用してケラチノサイト分化を抑制しない。
【0086】
B. トランスグルタミナーゼ1(TG1)レベルに対する作用をレチノールおよびアセタミド(C2脂肪酸アミド)での72時間処理に関して検査し、その結果を表6Bに示す。
【0087】
【表14】
Figure 0003545533
【0088】
2.5×10−7Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルの抑制に有効であった(コントロールレベルの46%まで)。2.5×10−7MレチノールもTG1レベルを抑制したが(コントロールの65%まで)、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−7MアセタミドはケラチノサイトTG1レベルに対し作用を示さなかった。2.5×10−7Mレチノール+10−7Mパルミトイル−DEAもケラチノサイトTG1レベルに対しコントロール処理と対比して効果を示さず、実際に2.5×10−7Mレチノール単独よりも顕著に低い効果であった。したがってアセタミドとレチノールとは、相乗作用してケラチノサイト分化を抑制しない。
【0089】
C. トランスグルタミナーゼ1(TG1)レベルに対する作用をペンタノイル−DEA(C脂肪酸アミド)およびレチノールでの72時間処理に関して検査し、その結果を表6Cに示す。
【0090】
【表15】
Figure 0003545533
【0091】
2.5×10−7Mレチノイン酸はケラチノサイトTG1レベルの抑制に極めて有効的であった(コントロールレベルの20%まで)。2.5×10−7MレチノールもTG1レベルを抑制したが(コントロールの67%まで)、レチノイン酸ほど効果的でなかった。10−7Mペンタノイル−DEA自身はケラチノサイトTG1レベルに対し作用を示さなかった。さらに2.5×10−7Mレチノール+10−7Mペンタノイル−DEAのみがケラチノサイトTG1を2.5×10−7Mレチノール単独の場合と同様なレベルまで抑制した。したがってペンタノイル−DEAとレチノールとは、相乗作用してケラチノサイト分化を抑制しない。
【0092】
実施例7
レチノールおよび脂肪酸アミドにより誘発されるケラチノサイト増殖
の相乗的向上は200:1〜1:50の範囲の
ROH:脂肪酸アミドの比にて最も効果的である
レチノールおよびリノレオイル−DEAを異なる量比で添加してから24時間後のH−チミジン/μg可溶性蛋白質の組込みに対する作用を、レチノールの有益性の向上に最も効果的であったレチノール:リノレオイル−DEA比の範囲を決定すべく、検査した。これらを等モル濃度(レチノールに対し)におけるレチノイン酸の作用およびレチノールとリノレオイル−DEAの各単独の作用と比較した。得られた結果を表7Aに示す。
【0093】
【表16】
Figure 0003545533
【0094】
レチノイン酸処理を陽性コントロールとして作用させ、試験したレチノイン酸の全濃度、すなわち2.5×10−7M、2.5×10−8Mはエタノールコントロールおよび2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mのレチノール処理のそれぞれの両方よりもケラチノサイト増殖を顕著に増大させた。レチノールとリノレオイルとの8種の組合せ物を2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mのレチノール濃度および10−6M、10−7M、10−9Mおよび10−10 Mのリノレオイル−DEA濃度につき検査した。したがってレチノール:リノレオイル−DEAの比は表7Bに示すように2000:1〜1:500の範囲であった。
【0095】
【表17】
Figure 0003545533
【0096】
表7Bに示した増加は、ROHおよびリノレオイル−DEA処理の%コントロールチミジン組込みに等しい。8種の組合せのうち6種はチミジン組込み/可溶性蛋白質における相乗的増加を示した。増大した細胞増殖はp<0.05にてこれら処理の5種につき統計上有意であり、他のものはp<0.07において有意であった。この傾向は明瞭であり、すなわち200:1〜1:50の範囲の比におけるレチノールとリノレオイル−DEAとの組合せはケラチノサイト細胞増殖を相乗的に増大させる。
【0097】
ケラチノサイトに対するレチノールと脂肪酸アミドとの組合せ物の有利な作用はレチノール:脂肪酸アミドの比が200:1〜1:50の範囲である組合せ物から得られると判明した。
【0098】
実施例8
レチニルエステルおよび脂肪酸アミドにより誘発される
ケラチノサイト分化の相乗的抑制は3500:1〜1:300の
範囲のRE:脂肪酸アミドの比にて最も効果的である
パルミチン酸レチニルの利益を増大させるのに最も効果的であるパルミチン酸レチニル:リノレオイル−DEAの比の範囲を決定するため、異なる量比におけるパルミチン酸レチニルおよびリノレオイル−DEAの添加の後にTGアーゼに対する作用を検査した。これらを数種の濃度におけるレチノイン酸の作用、並びにパルミチン酸レチニルおよびリノレオイル−DEAの単独の作用と比較し、それらの結果を表8Aおよび表8Bに示す。
【0099】
【表18】
Figure 0003545533
【0100】
【表19】
Figure 0003545533
【0101】
【表20】
Figure 0003545533
【0102】
レチノイン酸処理を陽性コントロールとして用い、試験したレチノイン酸の全濃度、すなわち2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mはエタノールコントロールおよび2.5×10−7M、2.5×10−8Mおよび2.5×10−9Mパルミチン酸レチニル処理のそれぞれの両者と対比してケラチノサイトTGアーゼレベルを顕著に減少させた。パルミチン酸レチニルとリノレオイル−DEAとの16種の組合せ物を2.5×10−6Mおよび2.5×10−7M、2.5×10−8M、2.5×10−9Mおよび2.5×10−10 Mのパルミチン酸レチニル濃度および10−6M、10−7M、10−8M、10−9Mおよび10−10 Mのリノレオイル−DEA濃度につき検査した。したがってパルミチン酸レチニル:リノレオイル−DEAのw/w比は表8Cに示したように35000:1〜1:3000の範囲であった。
【0103】
【表21】
Figure 0003545533
【0104】
表8Cに示した相乗的減少は、パルミチン酸レチニル+リノレオイル−DEA処理の%コントロールTGアーゼと個々のパルミチン酸レチニルおよびリノレオイル−DEA処理の組合せ減少との間の差に等しい。これら組合せ物の14種はTGアーゼ レベルの相乗的減少を示した。これら14種の組合せ物における減少TGアーゼは統計上有意であった。この傾向は明瞭であり、3500:1〜1:300の範囲の比におけるパルミチン酸レチニルとリノレオイル−DEAとの組合せ物はケラチノサイト分化を相乗的に減少させる。
【0105】
実施例1〜8は、レチノイン酸が投与量に応じてチミジン組込みを増大させると共に皮膚ケラチノサイトにおけるトランスグルタミナーゼIレベルを減少させたことを示す。換言すれば、レチノイン酸はケラチノサイト増殖を増大させると共にケラチノサイト分化を減少させた。実施例1〜8においては陽性コントロールとしてのレチノイン酸と参照化合物とを使用し、これに対し他の化合物を比較分析した。レチノールはレチノイン酸よりもケラチノサイト分化の抑制につき顕著に低い効果を示し、ケラチノサイト増殖の増大には完全に無効であった。
【0106】
しかしながら実施例1〜8の予想外の結果は、培養ケラチノサイトに対するレチノールの作用がレチノールもしくはレチニルエステルを脂肪酸アミド(すなわちそれ自身では殆どまたは全く作用を示さない化合物)と組合せることによりレチノイン酸のレベルに達するレベルまで増大させうることであった。上記の結果は、或る種の長鎖脂肪酸アミドがレチノールもしくはレチニルエステルと相乗的に作用してケラチノサイト増殖を増大させると共にケラチノサイト分化を減少させ、レチノイン酸の作用に類似することを示す。
【0107】
ケラチノサイトに対するレチノールもしくはレチニルエステルの利益の増強は脂肪酸アミドに限定された。遊離脂肪酸も脂肪酸エステルもレチノールと組合せて相乗作用を示さなかった。
【0108】
ケラチノサイトに対するレチノールと脂肪酸アミドとの組合せ物の有利な作用は、レチノール:脂肪酸アミドの比が200:1〜1:50である組合せ物から得られると判明した。同様に、レチニルエステル:脂肪酸アミドの有効比は3500:1〜1:300の範囲であると判明した。
【0109】
実施例9
この実施例は、本発明による組成物を含む高い内相の油中水型エマルジョンを示す。
【0110】
【表22】
Figure 0003545533
*:ブリッジ92はポリオキシエチレン(2)オレイルエーテルである。
【0111】
実施例10
この実施例は本発明の組成物を含む水中油型クリームを示す。
【0112】
【表23】
Figure 0003545533
*:ブリッジ56はセチルアルコールPOE(10)であり、
アルホール16RDはセチルアルコールである。
【0113】
実施例11
この実施例は本発明の組成物を含むアルコール性ローションを示す。
【0114】
【表24】
Figure 0003545533
実施例12
この実施例は本発明の組成物を含む他のアルコール性ローションを示す。
【0115】
【表25】
Figure 0003545533
実施例13
この実施例は本発明の組成物を含む日焼け止めクリームを示す。
【0116】
【表26】
Figure 0003545533
実施例14
この実施例は本発明の組合せ物を含む非水性スキンケア組成物を示す。
【0117】
【表27】
Figure 0003545533
1:少なくとも50,000の分子量と25℃にて少なくとも10,000
センチストークスの粘度とを有するジメチルシリコーンポリマー
(GEC社から入手)
2:ジメチルシロキサン環式五量体(ダウ・コーニング・コーポレーション
社から入手)
3:ジメチルシロキサン四量体(ダウ・コーニング・コーポレーション社か
ら入手)。
【0118】
以上、本発明を特定例につき説明したが、これらは単に例示のみを意図するものであることが了解されよう。したがって本発明の思想および範囲を逸脱することなく多くの改変をなしうることが当業者には了解されよう。

Claims (10)

  1. (a)レチノールおよびレチニルエステルよりなる群から選択される0.001〜10%の化合物と、
    (b)0.0001〜50%の脂肪酸アミド(ここで脂肪酸は12〜18個の炭素原子を有する)と、
    (c)化粧上許容しうるベヒクルとからなり、
    レチノールと脂肪酸アミドとの比が200:1〜1:50の範囲であり、またはレチニルエステルと脂肪酸アミドとの比が3500:1〜1:300であることを特徴とするスキンコンディショニング組成物。
  2. 脂肪酸が必須脂肪酸である請求項1に記載の組成物。
  3. アミドが未置換アミド、N−アルキルアミド、N,N−ジアルキルアミドおよびその混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
  4. アミドがN−アルカノールアミド、N,N−ジアルカノールアミドおよびその混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
  5. N−アルカノールアミドがN−エタノールアミドである請求項4に記載の組成物。
  6. N,N−ジアルカノールアミドがN,N−ジエタノールアミドである請求項4に記載の組成物。
  7. レチニルエステルがパルミチン酸レチニル、酢酸レチニルおよびプロピオン酸レチニル並びにその混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
  8. 成分(a)がレチノールである請求項1に記載の組成物。
  9. 成分(a)がレチニルエステルである請求項1に記載の組成物。
  10. 脂肪酸アミドがリノレオイルモノエタノールアミド、リノレオイルジエタノールアミド、パルミトイルモノエタノールアミド、パルミトイルジエタノールアミド、ココイルモノエタノールアミド、ココイルジエタノールアミドおよびその混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
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