JP3545221B2 - 収差発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に情報を記録再生する光ピックアップ、情報再生装置及び情報記録装置の技術分野に属し、より詳細には、光ビームを用いて情報を記録再生する際に発生する球面収差を補償する光ピックアップ、情報再生装置及び情報記録装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ビームを用いて情報の記録再生を行う記録媒体は、その情報記録面を保護するために当該光ビーム対して透明な保護層を有している。
【0003】
そして、当該記録媒体に対して情報を記録再生する場合には、当該光ビームを記録媒体の情報記録面上に対物レンズを用いて微小に絞り込むことにより当該情報記録面上の情報ピットを検出したり、又は当該情報記録面上に新たな情報マークを形成して情報を記録する。
【0004】
一方、当該対物レンズを用いて光ビームを当該情報記録面に集光する場合には、当該光ビームを記録媒体における上記保護層内を透過させる必要があり、この場合に当該保護層と光ビームが通過する空気との間に屈折率の差があることに起因して当該光ビームの情報記録面からの反射光内にいわゆる球面収差が発生することとなる。
【0005】
ここで、当該保護層に起因する球面収差の発生について図13を用いて説明する。
【0006】
今、図13において、情報記録面1bの表面に透明な保護層1aが形成されている光ディスク1に対して情報を記録再生すべく光ビームBを集光して照射する場合において、当該光ビームBにおける等位相面Wに着目すると、当該等位相面Wの形状は、空気中(屈折率n=1とする。)を光ビームBが伝播している間は図13に示すように一定形状を保っているが、当該光ビームBが保護層1a中に進入すると、保護層1aの屈折率は一般に空気よりも大きいため(例えば、屈折率=1.5程度)、光ビームB全体としては更に集光されることとなる。
【0007】
そして、この保護層1aの中では、図13に示すように、光ビームBのうち、周辺部の光路Aと中央付近の光路A’とではその長さが異なることとなる。従って、この保護層1aの中では、その等位相面Wについて、光ビームBの周辺部付近の等位相面がその中央付近の等位相面よりも遅れ、結果として、等位相面が等位相面W1のように本来の等位相面W2に比して歪む。この結果、当該保護層1aの中では光ビームBに球面収差が発生するのである。
【0008】
なお、当該保護層1aの厚さに変化(一枚の記録媒体の保護層内における部分的な厚さの変化又は記録媒体毎の厚さの変化(この場合には、一枚の記録媒体内では保護層の厚さは一定となる。)の双方を含む。)があるときは、その厚さの変化に伴って当該球面収差の量も変化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述した球面収差が発生している場合には、光ビームのその光軸からの距離に応じて像点が変化することとなり、当該光ビームを集光する光ディスク1上に正確な結像が得られないという問題点を生じる。
【0010】
更に、当該球面収差が保護層の厚さの変化に伴って変動する場合には、上記結像の位置が時間と共に変化することとなり、光ディスク1上の結像状態が益々悪化することとなる。
【0011】
更に、近年では、保護層の厚さが異なる二種類以上の記録媒体(例えば、従来のCD(Compact Disk)と、当該CDよりも記録容量を向上させたDVD等)に対して一の光ピックアップを用いて情報の記録再生を行う場合も多くあり、この場合に各保護層毎にその厚さに対応して発生している球面収差を有効に補償する必要も生じている。
【0012】
そこで、本発明は、上記の各問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、光ビームに対して透明な保護層により発生する球面収差を効果的に補償し得ると共に、当該保護層の厚さが変化することにより当該球面収差が変化してもこれを有効に補償し得る収差発生装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光ディスク等の記録媒体に照射する光ビームに発生する球面収差を打ち消すための打消収差を前記光ビームに発生させる収差発生装置であって、前記光ビームを有限系の光ビームに変換する変換レンズ等の変換手段と、変換後の前記光ビームを透過すると共に、当該光ビームの透過方向の長さを変えることにより当該光ビームに前記打消収差を発生させる楔光学素子等の発生手段と、を備え、前記発生手段に変換後の前記光ビームが入射する当該発生手段の入射面と当該発生手段から前記光ビームが射出する当該発生手段の射出面とが互いに平行で且つ夫々当該光ビームの光軸に垂直であり、当該発生手段が、前記入射面を有すると共に、前記光軸に対して傾斜し且つ前記入射した光ビームを透過する第1傾斜面を有する第1楔光学素子等の第1光学手段と、前記射出面を有すると共に、予め設定された所定長さの間隙を介して当該第1傾斜面に対向し前記第1光学手段を透過した前記光ビームを透過する第2傾斜面を有し、前記第1光学手段に対して相対的に移動可能である第2楔光学素子等の第2光学手段と、発生させるべき前記打消収差に対応して前記第2光学手段を前記第2傾斜面に平行な方向に移動させるアクチュエータコイル等の移動手段と、により構成され、前記打消収差以外に前記発生手段において発生する他の収差を打ち消す収差発生部等の打消手段を更に備えて構成されている。
【0014】
よって、発生手段の光ビームの透過方向の長さを変えることにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、情報の記録再生時において効果的に球面収差を打ち消すことができる。
また、発生させるべき打消収差に対応して第2光学手段を第2傾斜面に平行な方向に第1光学手段に対して相対的に移動させることにより発生手段としての光ビームの透過方向の長さを変え、これにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、確実に球面収差を打ち消すことができる。
更に、第1光学手段と第2光学手段とが非接触であるので、第2光学手段を第1光学手段に対して移動させる場合にも、記録媒体の厚さが高速に変化して球面収差が変動しても、これに追随して当該球面収差を打ち消すことができると共に、第1傾斜面と第2傾斜面とが擦り合わされることにより各傾斜面における傷の発生を防止できる。
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の収差発生装置において、前記打消手段は、前記間隙を前記光ビームが透過することにより当該光ビームに発生するコマ収差を打ち消すコマ収差を発生させる収差発生部等のコマ収差発生手段であるように構成される。
【0021】
よって、第1光学手段と第2光学手段との間隙が空気層であり、当該空気層により発生するコマ収差をコマ収差発生手段により打ち消すので、光ビームの球面収差を確実に打消し且つコマ収差の発生をも防止できる。
【0022】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の収差発生装置において、前記打消手段は、前記間隙及び前記コマ収差発生手段を前記光ビームが透過することにより当該光ビームに発生する非点収差を打ち消す非点収差を発生させる収差発生部等の非点収差発生手段を含むように構成される。
【0023】
よって、第1光学手段と第2光学手段との間の間隙及びコマ収差発生手段により発生する非点収差を非点収差発生手段により打ち消すので、光ビームの球面収差を確実に打消し且つコマ収差及び非点収差の発生をも防止できる。
【0024】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、光ディスク等の記録媒体に照射する光ビームに発生する球面収差を打ち消すための打消収差を前記光ビームに発生させる収差発生装置であって、前記光ビームを有限系の光ビームに変換する変換レンズ等の変換手段と、変換後の前記光ビームを透過すると共に、当該光ビームの透過方向の長さを変えることにより当該光ビームに前記打消収差を発生させる楔光学素子等の発生手段を備え、前記発生手段に変換後の前記光ビームが入射する当該発生手段の入射面と当該発生手段から前記光ビームが射出する当該発生手段の射出面とが互いに平行で且つ夫々当該光ビームの光軸に垂直であり、前記発生手段が、前記入射面を有すると共に、前記光軸に対して傾斜し且つ前記入射した光ビームを透過する第1傾斜面を有する第1楔型光学素子等の第1光学手段と、前記射出面を有すると共に、前記第1傾斜面に対して予め設定された所定の角度を有し且つ前記第1光学手段を透過した前記光ビームを透過する第2傾斜面を備え、前記第1光学手段に対して相対的に移動可能である第2楔型光学素子等の第2光学手段と、発生させるべき前記打消収差に対応して前記第2光学手段を前記第2傾斜面に平行な方向に移動させるアクチュエータコイル等の移動手段と、により構成されている。
【0025】
よって、発生手段の光ビームの透過方向の長さを変えることにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、情報の記録再生時において効果的に球面収差を打ち消すことができる。
また、発生させるべき打消収差に対応して第2光学手段を第2傾斜面に平行な方向に第1光学手段に対して相対的に移動させることにより発生手段としての光ビームの透過方向の長さを変え、これにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、確実に球面収差を打ち消すことができる。
【0026】
また、第1光学手段と第2光学手段とが非接触であるので、第2光学手段を第1光学手段に対して移動させる場合に、記録媒体の厚さが高速に変化して球面収差が変動しても、これに追随して当該球面収差を打ち消すことができると共に、第1傾斜面と第2傾斜面とが擦り合わされることにより各傾斜面における傷の発生を防止できる。
【0027】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の収差発生装置において、前記所定角度は、前記光ビームが前記発生手段を透過する際における非点収差の発生を防止する角度であるように構成される。
【0028】
よって、他の部材を不要とせずに光ビームにおける非点収差の発生を防止しつつ確実に当該光ビームにおける球面収差を打ち消すことができる。
【0029】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の収差発生装置において、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間の間隙を前記光ビームが透過することにより当該光ビームに発生するコマ収差を打ち消すコマ収差を発生させる収差発生部等のコマ収差発生手段を更に含むように構成される。
【0030】
よって、第1光学手段と第2光学手段との間の間隙により発生するコマ収差をコマ収差発生手段により打ち消すので、光ビームの球面収差を確実に打消し且つコマ収差及び非点収差の発生をも防止できる。
【0031】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の収差発生装置において、前記変換手段は、平行光である前記光ビームを拡散光に変換して前記入射面に入射させる変換レンズ等の第1変換手段と、前記発生手段から射出された前記光ビームを平行光に変換して前記記録媒体に照射する変換レンズ等の第2変換手段と、により構成されている。
【0032】
よって、平行光である光ビームを拡散光に変換した後に打消収差を発生させ、その後に当該光ビームを平行光に戻すので、発生手段に入射する前の光ビームの直径を発生手段透過後の光ビームの直径よりも小径とすることができ、光ビームを生成する照射手段を小型化することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施の携帯について、図面に基づいて説明する。
【0040】
(I)第1実施形態
次に、本発明に係る第1実施形態について、図1乃至図6を用いて説明する。
【0041】
なお、以下に説明する第1実施形態は、球面収差を補償すると共に非点収差法によるフォーカスサーボ制御を行いつつ光ディスク上に記録された情報を再生する情報再生装置に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0042】
また、図1は実施形態に係る情報再生装置の概要を示すブロック図であり、図2は本発明に係る収差補正部の構成を示すブロック図であり、図3は実施形態のディテクタの形状を示す平面図であり、図4は球面エラー信号を生成すると同時に非点収差法によるフォーカスエラー信号等も生成する信号処理部の概要構成を示すブロック図であり、図5は球面エラー信号の波形の例を示す図であり、図6はディテクタの形状の他の例を示す平面図である。
【0043】
更に、実施形態における光ディスクには、再生すべき情報が予め記録されているものとする。
【0044】
先ず、全体構成及び動作について、図1を用いて説明する。
【0045】
図1に示すように、実施形態の情報再生装置Pは、照射手段としてのレーザダイオード8と、偏光ビームスプリッタ4と、コリメータレンズ3と、収差発生装置としての収差補正部9と、λ/4板45と、集光手段としての対物レンズ2と、光ビームBに対して透明な上記保護層1aを有する記録媒体としての光ディスク1と、集光レンズ5と、集光された光ビームBに対して非点収差を発生させるシリンドリカルレンズ6と、受光手段としてのディテクタ7と、フォーカスサーボ制御用のアクチュエータ10と、信号処理部11と、再生部12と、アンプ13及び15と、ドライバ14及び16と、により構成される。
【0046】
この構成において、対物レンズ2、アクチュエータ10、λ/4板45、収差補正部9、コリメータレンズ3、偏光ビームスプリッタ4、集光レンズ5、シリンドリカルレンズ6及びディテクタ7により実施形態の光ピックアップPUが形成されている。
【0047】
更に、当該構成において、光ビームBは、レーザダイオード8から射出されると、偏光ビームスプリッタ4、コリメータレンズ3、収差補正部9、λ/4板45、対物レンズ2を介して光ディスク1に照射される。そして、照射された光ビームBは光ディスク1の保護層1aを通過し、その情報記録面1bにより反射された後に再び保護層1aを通過し、その後、対物レンズ2、λ/4板45、収差補正部9、コリメータレンズ3、偏光ビームスプリッタ4、集光レンズ5及びシリンドリカルレンズ6を介してディテクタ7上に照射される。
【0048】
次に、情報再生装置Pの動作について説明する。
【0049】
先ず、レーザダイオード8は、記録再生用の光ビームBを射出する。
【0050】
そして、偏光ビームスプリッタ4は、射出された光ビームBを反射する。
【0051】
次に、コリメータレンズ3は、反射された光ビームBを平行光に変換する。
【0052】
そして収差補正部9は、平行光となった光ビームBがその光路上で保護層1aを透過することにより含まれる球面収差を打ち消すための球面収差を光ビームBに対して与える。
【0053】
次に、λ/4板45は、収差補正部9を透過した光ビームBの偏光面及び当該光ビームBの光ディスク1からの反射光の偏光面を夫々回転させる。
【0054】
そして、対物レンズ2は、偏波面が回転された光ビームBを光ディスク1内の情報記録面1b上に集光する。
【0055】
次に、集光レンズ5は、光ディスク1により反射されて偏光面が回転することにより、対物レンズ2、λ/4板45、収差補正部9、コリメータレンズ3及び偏光ビームスプリッタ4を透過した光ビームBをディテクタ7上に集光する。
【0056】
更に、シリンドリカルレンズ6は、集光された光ビームBに対して非点収差を発生させる。
【0057】
その後、ディテクタ7は、非点収差が与えられた光ビームBを受光して受光信号Spを生成し、信号処理部11に入力する。
【0058】
そして、信号処理部11は、後述する処理により、上記光ビームBに生じている球面収差の量及び極性を示す球面エラー信号Skeを生成してアンプ13に出力すると共に、光ディスク1上に記録されている再生すべき情報に対応するRF(Radio Frequency)信号Srfを後述する処理により生成して再生部12に出力し、更に非点収差法に基づくフォーカスエラー信号Sfeを後述する処理により生成してアンプ15に出力する。
【0059】
これにより、再生部12は、RF信号Srfに基づいて当該光ディスク1に記録されている情報に対応する再生信号Spuを生成して図示しない外部のスピーカ又はディスプレイ等に出力する。
【0060】
また、アンプ15は、入力されたフォーカスエラー信号Sfeを所定の増幅率で増幅し、増幅エラー信号Safを生成してドライバ16に出力する。
【0061】
そして、ドライバ16は、増幅エラー信号Safに基づいて、フォーカスサーボ制御を行うべくアクチュエータ10を駆動するための駆動信号Sdfを生成し、当該アクチュエータ10に出力する。
【0062】
これにより、アクチュエータ10は、駆動信号Sdfに基づいて、対物レンズ2を光ビームBの光軸L(図1中一点鎖線で示す。)と平行な方向に駆動し、フォーカスエラー信号Sfeがゼロレベルとなるようにフォーカスサーボ制御を行う。
【0063】
一方、アンプ13は、入力された球面エラー信号Skeを所定の増幅率で増幅し、増幅エラー信号Sakを生成してドライバ14に出力する。
【0064】
そして、ドライバ14は、増幅エラー信号Sakに基づいて、球面エラー信号Skeで示される量及び極性を有する球面収差を補償すべく収差補正部9を駆動するための駆動信号Sdk(球面エラー信号Skeで示される球面収差量及び極性に対応し、且つ後述する第2楔光学素子53を移動することにより所望の球面収差を光ビームBに与えることが可能な振幅レベル及び極性を有している。)を生成し、当該収差補正部9に出力する。
【0065】
これにより、収差補正部9は、駆動信号Sdkに基づき、通過する光ビームBに対して球面エラー信号Skeに対応する球面収差を打ち消すことができるような球面収差を与える。
【0066】
なお、図1においては、本発明に係る部分のみを示したが、実際の情報再生装置Pには、この他に、光ビームBの照射位置に対していわゆるトラッキングサーボ制御を施すトラッキングサーボ制御部や、情報再生装置Pの動作全体を制御するCPU、或いは、必要な情報を入力するための入力操作部等が含まれている。
【0067】
次に、第1実施形態に係る収差補正部9の構成及び動作について、図2を用いて説明する。
【0068】
図2に示すように、第1実施形態の収差補正部9は、変換手段としての変換レンズ50と、変換手段及び第2変換手段としての変換レンズ51と、発生手段及び第1光学手段としての第1楔光学素子52と、発生手段及び第2光学手段としての第2楔光学素子53と、移動手段としてのアクチュエータコイル54及び55と、移動手段としての永久磁石56及び57と、により構成されている。
【0069】
この構成において、変換レンズ50は、変換レンズ51から射出される光ビームBを平行光とするべく光軸Lに平行な方向に移動しつつコリメータレンズ3を介して入射してきた光ビームBを集光して有限系(平行光以外の光ビームを示す。以下同じ。)の光ビームBに変換して第1楔光学素子52に入射させる。
【0070】
そして、第1楔光学素子52は、有限系の光ビームBが入射する入射面52aとこれを射出する第1傾斜面としての射出面52bとを備えており、当該入射面52aが光軸Lに垂直となると共に射出面52bが光軸Lに対して後述する大きさの角度βを有するように形成されている。
【0071】
次に、第2楔光学素子53は、第1楔光学素子52を透過した光ビームBが入射する第2傾斜面としての入射面53aとこれを射出する射出面53bとを備えており、当該射出面53bが光軸Lに垂直となると共に入射面53aが上記射出面52bと平行となるように形成されている。
【0072】
そして、第1楔光学素子52は光ピックアップPUの図示しない筐体に固定されており、一方第2楔光学素子53は、その入射面53aが上記射出面52bに面接触すると共に、当該入射面53aに平行な方向(図2中、両太矢印により示す。)に移動可能なように形成されている。
【0073】
なお、第1楔光学素子52及び第2楔光学素子53は、均質で同一な光学材料により夫々形成されている。
【0074】
一方、変換レンズ51は、変換レンズ50を固定とした場合に、当該変換レンズ51から射出される光ビームBを平行光とするべく光軸Lに平行な方向に移動しつつ第2楔光学素子53から射出された光ビームBを平行光(無限系の光ビームともいう。以下同じ。)に変換してλ/4板45に入射させる。
【0075】
このとき、アクチュエータコイル54及び55に対しては上記駆動信号Sdkが入力されており、当該駆動信号Sdkと上記永久磁石56及び57が発生させている磁気との相互作用により第2楔光学素子53を上述した入射面53a(すなわち、射出面52b)に平行な方向に移動させる。
【0076】
ここで、上述したアクチュエータコイル54及び55と永久磁石56及び57との相互作用により第2楔光学素子53が移動すると、結果として入射面52aと射出面53bとの間の距離LL(すなわち、第1楔光学素子52と第2楔光学素子53とを合わせた光学素子全体の光軸L方向の長さ)が変化する。そして、この距離LLが変化すると、変換レンズ50から射出された光ビームBに対して当該変化した距離LLに対応する量及び極性を有する球面収差が与えられる。
【0077】
ここで、第1実施形態の収差補正部9においては、上述した距離LLの変化により光ビームBに与えられる球面収差を、光ビームBが上記保護層1aを通過すると共に再度収差補正部9を透過して光ディスク1に到達するまでに当該光ビームBに発生する球面収差を打ち消すような球面収差とすべく、上記駆動信号Sdkを生成してアクチュエータコイル54及び55に印加し、これにより上述した打ち消し作用のある球面収差が発生するように第2楔光学素子53を移動させる。
【0078】
また、第1楔光学素子52及び第2楔光学素子53における上記角度β(射出面52b及び入射面53aの光軸Lに対する角度β)については、上述した打ち消し作用のある球面収差を発生させるに足る距離LLの変化が得られる角度とされる。
【0079】
なお、第2楔光学素子53の移動態様として具体的には、保護層1aが厚くなる方向に変化した場合には第2楔光学素子53は図2中下方向(すなわち、距離LLが短くなる方向)に移動され、逆に保護層1aが薄くなる方向に変化した場合には第2楔光学素子53は図2中上方向(すなわち、距離LLが長くなる方向)に移動される。また、夫々の移動量については、当該移動により所望の球面収差が与えられるように駆動信号Sdkの振幅が設定されて入力されることにより当該駆動信号Sdkの振幅に対応した量だけ第2楔光学素子53が移動する。
【0080】
次に、第1実施形態における上記球面エラー信号Skeの生成のためのディテクタ7及び信号処理部11の構成及び動作について、図3乃至5を用いて説明する。
【0081】
第1実施形態の情報検出装置Pにおいては、シリンドリカルレンズ6によって非点収差が与えられた光ビームBを、図3に示すように部分ディテクタ7a乃至7fに八分割されたディテクタ7を用いて受光し、更に、以下の式に基づいて球面収差の量及び極性を示す上記球面エラー信号Skeを生成する。すなわち、
【数1】
Ske=(「7a」+「7c」+「7f」+「7h」)−(「7b」+「7d」+「7e」+「7g」) … (1)
なお、式(1)において、「7a」は部分ディテクタ7aからの出力信号の出力値を、「7b」は部分ディテクタ7bからの出力信号の出力値を、「7c」は部分ディテクタ7cからの出力信号の出力値を、「7d」は部分ディテクタ7dからの出力信号の出力値を、「7e」は部分ディテクタ7eからの出力信号の出力値を、「7f」は部分ディテクタ7fからの出力信号の出力値を、「7g」は部分ディテクタ7gからの出力信号の出力値を、「7h」は部分ディテクタ7hからの出力信号の出力値を夫々示している。
【0082】
ここで、このような構成により球面エラー信号Skeが生成されるのは、球面収差が発生している光ビームBに対して非点収差を与えると、ディテクタ7上における光ビームBの照射領域の強度の分布がその球面収差の量及び極性に対応して変化することによるものである。より具体的には、保護層1aの厚さが厚くなる方向に変化すると、図3に示すディテクタ7において、部分ディテクタ7e及び7gの出力信号レベルが部分ディテクタ7f及び7hの出力信号レベルよりも高くなると共に、部分ディテクタ7d及び7bの出力信号レベルが部分ディテクタ7a及び7cの出力信号レベルよりも高くなる。
【0083】
一方で、保護層1aの厚さが薄くなる方向に変化すると、図3に示すディテクタ7において、部分ディテクタ7e及び7gの出力信号レベルが部分ディテクタ7f及び7hの出力信号レベルよりも低くなると共に、部分ディテクタ7d及び7bの出力信号レベルが部分ディテクタ7a及び7cの出力信号レベルよりも低くなる。
【0084】
更に、保護層1aの厚さが設計値(理想値)である場合には、部分ディテクタ7a乃至7dの出力信号はほぼ零となると共に、部分ディテクタ7e乃至7hの出力信号は相互にほぼ等しい値となる。
【0085】
第1実施形態では、このことを利用して、上述した式(1)により球面エラー信号Skeを生成する。
【0086】
なお、この球面エラー信号Skeが生成される原理については、本願出願人が先に出願した特願平10−221701号の願書に添付した明細書における段落番号「0040」乃至「0065」に詳しい。
【0087】
次に、上述した原理に基づく球面エラー信号Skeの生成を含む信号処理部の構成及び動作について図4及び図5を用いて説明する
図4に示すように、信号処理部11は、加算器20乃至28と、減算器29及び30と、により構成されている。
【0088】
このとき、加算器20に対しては、部分ディテクタ7aからの受光信号Spと部分ディテクタ7cからの受光信号Spとが入力されるように、当該部分ディテクタ7a及び部分ディテクタ7cが加算器20に接続されている。
【0089】
また、加算器21に対しては、部分ディテクタ7dからの受光信号Spと部分ディテクタ7bからの受光信号Spとが入力されるように、当該部分ディテクタ7d及び部分ディテクタ7bが加算器21に接続されている。
【0090】
更に、加算器22に対しては、部分ディテクタ7eからの受光信号Spと部分ディテクタ7gからの受光信号Spとが入力されるように、当該部分ディテクタ7e及び部分ディテクタ7gが加算器22に接続されている。
【0091】
次に、加算器23に対しては、部分ディテクタ7hからの受光信号Spと部分ディテクタ7fからの受光信号Spとが入力されるように、当該部分ディテクタ7h及び部分ディテクタ7fが加算器23に接続されている。
【0092】
また、加算器24に対しては、加算器20の出力信号と加算器23の出力信号とが入力されるように、当該加算器20及び23が加算器24に接続されている。
【0093】
更に、加算器25に対しては、加算器21の出力信号と加算器22の出力信号とが入力されるように、当該加算器21及び22が加算器25に接続されている。
【0094】
更にまた、加算器26に対しては、加算器20の出力信号と加算器22の出力信号とが入力されるように、当該加算器20及び22が加算器26に接続されている。
【0095】
また、加算器27に対しては、加算器21の出力信号と加算器23の出力信号とが入力されるように、当該加算器21及び23が加算器27に接続されている。
【0096】
そして、加算器28に対しては、加算器24の出力信号と加算器25の出力信号とが入力されるように、当該加算器24及び25が加算器28に接続されている。これにより、加算器28からは、各部分ディテクタ7a乃至7hからの受光信号Spを全て加算した信号、すなわち、光ディスク1に記録されている情報に対応するRF信号Srfが出力されることとなる。
【0097】
一方、減算器29に対しては、加算器24の出力信号が正端子に入力されると共に加算器25の出力信号が負端子に入力されるように、当該加算器24及び25が減算器29に接続されている。これにより、減算器29からは、部分ディテクタ7a、7c、7h及び7fからの各受光信号Spの和信号から部分ディテクタ7b、7d、7e及び7gからの各受光信号Spの和信号を減算した信号、すなわち、上述した式(1)に基づく球面エラー信号Skeが出力されることとなる。
【0098】
このときの球面エラー信号Skeの波形について、図5を用いて説明すると、光ディスク1における保護層1aの厚さtの変化(設計値(理想値)0.6mmを中心とした変化)に伴って、略S字形の球面エラー信号Skeが生成される。そして、このS字形の球面エラー信号Skeを用いることにより、いわゆるクローズドループを有するサーボ制御系により迅速且つ正確に球面収差を補償することが可能となるのである。
【0099】
なお、図5に示す球面エラー信号Skeは、保護層1aの厚さtが一の光ディスク1内の部分毎に異なっている場合においては、光ディスク1の回転に伴って図7に示す球面エラー信号Skeの全体が出力されることとなるが、一の光ディスク1内の保護層1aの厚さtは当該光ディスク1内で一定であるが、その厚さt自体が本来の理想値からずれている場合には、図7に示す球面エラー信号Skeのうち、一の厚さtに対応する球面エラー信号Skeのみが常に出力されることとなる。
【0100】
次に、減算器30に対しては、加算器26の出力信号が正端子に入力されると共に加算器27の出力信号が負端子に入力されるように、当該加算器26及び27が減算器30に接続されている。これにより、減算器30からは、部分ディテクタ7a、7c、7e及び7gからの各受光信号Spの和信号から部分ディテクタ7b、7d、7h及び7fからの各受光信号Spの和信号を減算した信号、すなわち、公知の非点収差法を用いたフォーカスエラー信号Sfeが出力されることとなる。その後は、上述したドライバ16及びアクチュエータ10の動作により、フォーカスエラー信号Sfeがゼロレベルとなるようにフォーカスサーボ制御が行なわれる。
【0101】
以上説明したように、第1実施形態の情報再生装置Pにおける収差補正部9の動作によれば、第1楔光学素子52と第2楔光学素子53とを合わせた部分全体としての光ビームBの透過方向の距離LLを変えることにより、保護層1aにより光ビームBに発生する可能性のある球面収差を打ち消すための球面収差を当該光ビームBに発生させるので、情報の記録再生時において効果的に保護層1aにより光ビームBに発生する球面収差を打ち消すことができる。
【0102】
また、第1楔光学素子52を固定とすると共に打ち消すべき球面収差に対応して第2楔光学素子53を入射面53aに平行な方向に移動させることにより、第1楔光学素子52と第2楔光学素子53とを合わせた部分全体としての光ビームBの透過方向の距離LLを変え、これにより球面収差を打ち消すので、簡易な構成で確実に保護層1aにより光ビームBに発生する球面収差を打ち消すことができる。
【0103】
なお、上述の第1実施形態においては、ディテクタ7の分割形状を図3に示すような形状としたが、これ以外に、例えば、図6(a)にディテクタ7’として示すように、部分ディテクタ7e’乃至7h’により構成される領域の形状を円形としても良い。
【0104】
この場合でも、部分ディテクタ7e’乃至7h’を含む領域は、光ビームBの反射光のディテクタ7上における照度強度分布の保護層1aの厚さtの変化に起因した変化に対応する広さ(すなわち、当該照射範囲内の中央部の照射強度が強い部分を含むような広さ)とされる。
【0105】
この場合には、部分ディテクタ7e”乃至7h”を含む領域の形状が円形であるので、光ビームBにおけるビーム形状及びその照射強度分布に対応してより正確に球面収差の量及び極性を検出することができる。
【0106】
また、ディテクタ7の分割形状について、図6(b)にディテクタ7”として示すように、部分ディテクタ7e”乃至7h”により構成される領域の形状を八角形としても良い。
【0107】
この場合でも、図6(a)の場合と同様に、部分ディテクタ7e”乃至7h”を含む領域は、光ビームBの反射光のディテクタ7上における照度強度分布の保護層1aの厚さtの変化に起因した変化に対応する広さとされる。
【0108】
この場合には、部分ディテクタ7e”乃至7h”を含む領域の形状が八角形であるので、光ビームBにおけるビーム形状及びその照射強度分布に対応してより正確に球面収差の量及び極性を検出することができると共に、ディテクタ7”を簡易に形成することができる。
【0109】
更に、上述の第1実施形態では、第1楔光学素子52と第2楔光学素子53とを密着させた場合について説明したが、これ以外に、当該第1楔光学素子52と第2楔光学素子53との間に例えば液状の潤滑流体を充填し、当該潤滑流体の屈折率を第1楔光学素子52又は第2楔光学素子53の材料と同じ屈折率としてもよい。
【0110】
この場合には、図2における距離LLの長さが変化する範囲を、当該第1楔光学素子52又は第2楔光学素子53を大型化することなく広げることができる。
【0111】
(II)第2実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第2実施形態について、図7を用いて説明する。
【0112】
上述した第1実施形態においては、収差補正部9内の第1楔光学素子52と第2楔光学素子53とを密着させる構成としたが、第2実施形態では、第1楔光学素子と第2楔光学素子との間に所定長さの間隙(空気層)を設ける。
【0113】
すなわち、第2実施形態の情報再生装置においては、その収差補正部9’を、第1実施形態と同様の変換レンズ50及び51と、発生手段及び第1光学手段としての第1楔光学素子60と、発生手段及び第2光学手段としての第2楔光学素子61と、第1実施形態と同様のアクチュエータコイル54及び55と、第1実施形態と同様の永久磁石56及び57と、コマ収差発生手段としての収差発生部64と、により構成する。
【0114】
また、収差発生部64は、光ピックアップPUの筐体に固定されている第3楔光学素子62及び第4楔光学素子63により構成されている。
【0115】
なお、収差補正部9’以外の第2実施形態の情報再生装置の構成は、上記第1実施形態の情報再生装置Pの構成と全く同一であるので、細部の説明は省略する。
【0116】
図7に示す構成において、変換レンズ50は、第1実施形態の場合と同様に移動しつつコリメータレンズ3を介して入射してきた光ビームBを集光して有限系の光ビームBに変換して第3楔光学素子62に入射させる。
【0117】
そして、第3楔楔光学素子62は、有限系の光ビームBが入射する入射面62aとこれを射出する射出面62bとを備えており、当該入射面62aが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0118】
次に、第4楔光学素子63は、第3楔光学素子62を透過した光ビームBが入射する入射面63aとこれを射出する射出面63bとを備えており、当該射出面63bが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0119】
更に、第1楔光学素子60は、第4楔光学素子63を透過した光ビームBが入射する入射面60aとこれを射出する第1傾斜面としての射出面60bとを備えており、当該入射面60aが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0120】
最後に、第2楔光学素子61は、第1楔光学素子60を透過した光ビームBが入射する第2傾斜面としての入射面61aとこれを射出する射出面61bとを備えており、当該射出面61bが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0121】
ここで、上記射出面60bと入射面61aについては、当該入射面61aが第1実施形態における入射面53aと同じ光軸Lに対する角度βを有するように形成されており、更に、射出面60bは、当該入射面61aに対して図7に示す角度αを有するように形成されている。このとき、当該角度αは、第1楔光学素子60と第2楔光学素子61を光ビームBが透過する間に当該光ビームBに非点収差が発生しないような角度として実験等により予め算出された角度である。
【0122】
更に、第3楔光学素子62における射出面62bと第4楔光学素子63の入射面63aについては、夫々に、当該第3楔光学素子62及び第4楔光学素子63の形状が、上記第1楔光学素子60及び第2楔光学素子61を光軸Lを中心として上下が逆となるように180度回転させた形状となるように設定されている。
【0123】
この構成により、上記第1楔光学素子60と第2楔光学素子61との間にある間隙Sにより光ビームBに発生するコマ収差(第2楔光学素子66が移動しても当該間隙Sの長さは変わらないので、発生するコマ収差量は一定である。)を、第3楔光学素子62と第4楔光学素子63との間にある間隙S’により光ビームBに発生するコマ収差により相殺することが可能となる。
【0124】
これに加えて、第1楔光学素子60は光ピックアップPUの筐体に固定されており、一方第2楔光学素子61は、入射面61aに平行な方向(図7中、両太矢印により示す。)に移動可能なように形成されている。
【0125】
なお、第1楔光学素子60及び第2楔光学素子61並びに第3楔光学素子62及び第4楔光学素子61は、夫々均質で相互に同一な光学材料により形成されている。
【0126】
一方、変換レンズ51は、第1実施形態の場合と同様に移動しつつ第2楔光学素子61から射出された光ビームBを元の平行光に変換してλ/4板45に入射させる。
【0127】
このとき、アクチュエータコイル54及び55に対しては第1実施形態と同様に上記駆動信号Sdkが入力されており、当該駆動信号Sdkと上記永久磁石56及び57が発生させている磁気との相互作用により第2楔光学素子61を上述した入射面61aに平行な方向に移動させる。
【0128】
ここで、第1実施形態と同様に第2楔光学素子61が移動すると、結果として入射面60aと射出面61bとの距離LLが変化する。そして、この距離LLの変化により変換レンズ50から射出された光ビームBに対して当該変化した距離LLに対応する量及び極性を有する球面収差、すなわち、光ビームBが上記保護層1aを通過すると共に再度収差補正部9’を透過してディテクタ7に到達するまでに当該光ビームBに発生する球面収差を打ち消すような球面収差が与えられる。
【0129】
なお、第2楔光学素子61の移動態様として具体的には、第1実施形態と同様に、保護層1aが厚くなる方向に変化した場合には第2楔光学素子61は図7中下方向に移動され、逆に保護層1aが薄くなる方向に変化した場合には第2楔光学素子61は図7中上方向に移動される。また、夫々の移動量については、当該移動により所望の球面収差が与えられるように駆動信号Sdkの振幅が設定されて入力されることにより当該駆動信号Sdkの振幅に対応した量だけ第2楔光学素子61が移動する。
【0130】
以上説明したように、第2実施形態の収差補正部9’の動作によれば。第1楔光学素子60を固定とすると共に打ち消すべき球面収差に対応して第2楔光学素子61をその入射面61aに平行な方向に移動させることにより、第1楔光学素子60と第2楔光学素子61とを合わせた部分全体としての光ビームBの透過方向の長さを変え、これにより球面収差を打ち消すので、簡易な構成で確実に保護層1aにより光ビームBに発生する球面収差を打ち消すことができる。
【0131】
また、第1楔光学素子60と第2楔光学素子61とが非接触であるので、第2楔光学素子61を第1楔光学素子60に対して移動させる場合に、保護層1aの厚さが高速に変化して球面収差が変動しても、これに追随して当該球面収差を打ち消すことができると共に、射出面60bと入射面61aとが擦り合わされることにより各面における傷の発生を防止できる。
【0132】
また、第1楔光学素子60と第2楔光学素子61の間、及び第3楔光学素子62と第4楔光学素子63との間の間隙に夫々起因して発生するコマ収差を相互に相殺できると共に当該各間隙の角度αが非点収差の発生を防止できる角度であるので光ビームBを結果的に概ね無収差とすることができる。
【0133】
(III)第3実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第3実施形態について、図8を用いて説明する。
【0134】
上述した第2実施形態においては、収差補正部9’内の第1楔光学素子60と第2楔光学素子61との間に間隙を設け、且つ射出面60bと入射面61a(又は射出面62bと入射面63a)との間の角度を角度αとした場合について説明したが、第2実施形態では、第1楔光学素子と第2楔光学素子との間の間隙(空気層)を平行な面に挟まれた間隙とする。
【0135】
すなわち、第3実施形態の情報再生装置においては、その収差補正部9”を、第1実施形態と同様の変換レンズ50及び51と、発生手段及び第1光学手段としての第1楔光学素子65と、発生手段及び第2光学手段としての第2楔光学素子66と、第1実施形態と同様のアクチュエータコイル54及び55と、第1実施形態と同様の永久磁石56及び57と、打消手段及びコマ収差発生手段としての収差発生部70と、非点収差発生手段としてのシリンドリカルレンズ69と、により構成する。
【0136】
また、収差発生部70は、光ピックアップPUの筐体に固定されている第3楔光学素子67及び第4楔光学素子68により構成されている。
【0137】
なお、収差補正部9”以外の第3実施形態の情報再生装置の構成は、上記第1実施形態又は第2実施形態の情報再生装置の構成と全く同一であるので、細部の説明は省略する。
【0138】
図8に示す構成において、変換レンズ50は、第1実施形態又は第2実施形態と同様に移動しつつコリメータレンズ3を介して入射してきた光ビームBを集光して有限系の光ビームBに変換しシリンドリカルレンズ69に入射させる。
【0139】
そして、シリンドリカルレンズ69は、上記第1楔光学素子65と第2楔光学素子66との間の後述する間隙並びに第3楔光学素子67と第4楔光学素子68との間の後述する間隙において発生する一定の非点収差(当該非点収差が一定なのは、後述するように第2楔光学素子66が移動してもその間隙の長さが一定であることに起因している。)を打ち消すための非点収差を光ビームBに発生させた後、第3楔光学素子67へ入射させる。
【0140】
次に、第3楔楔光学素子67は、有限系の光ビームBが入射する入射面67aとこれを射出する射出面67bとを備えており、当該入射面67aが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0141】
更に、第4楔光学素子68は、第3楔光学素子67を透過した光ビームBが入射する入射面68aとこれを射出する射出面68bとを備えており、当該射出面68bが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0142】
次に、第1楔光学素子65は、第4楔光学素子68を透過した光ビームBが入射する入射面65aとこれを射出する第1傾斜面としての射出面65bとを備えており、当該入射面65aが光軸Lに垂直となるように形成されている。
【0143】
最後に、第2楔光学素子66は、第1楔光学素子65を透過した光ビームBが入射する第2傾斜面としての入射面66aとこれを射出する射出面66bとを備えており、当該射出面66bが光軸Lに垂直で第1楔光学素子65の入射面65aと平行となるように形成されている。
【0144】
ここで、上記射出面65bと入射面66aについては、共に第1実施形態における入射面53aと同じ光軸Lに対する角度βを有するように(すなわち、射出面65bと入射面66aとが平行となるように)形成されている。
【0145】
更に、第3楔光学素子67における射出面67bと第4楔光学素子68の入射面68aについても、相互に平行で、且つ当該第3楔光学素子67及び第4楔光学素子68の形状が、上記第1楔光学素子65及び第2楔光学素子66を光軸Lを中心として上下が逆となるように180度回転させた形状となるように設定されている。
【0146】
この構成により、第2実施形態と同様に、上記第1楔光学素子65と第2楔光学素子66との間にある間隙Sにより光ビームBに発生するコマ収差(第2実施形態と同様に、第2楔光学素子66が移動しても当該間隙Sの長さは変わらないので発生するコマ収差量は一定である。)を、第3楔光学素子67と第4楔光学素子68との間にある間隙S’により光ビームBに発生するコマ収差により相殺することが可能となる。
【0147】
これに加えて、第1楔光学素子65は光ピックアップPUの筐体に固定されており、一方第2楔光学素子66は、入射面66aに平行な方向(図8中、両太矢印により示す。)に移動可能なように形成されている。
【0148】
なお、第1楔光学素子65及び第2楔光学素子66並びに第3楔光学素子67及び第4楔光学素子68は、夫々均質で相互に同一な光学材料により形成されている。
【0149】
一方、変換レンズ51は、第1実施形態又は第2実施形態の場合と同様に移動しつつ第2楔光学素子66から射出された光ビームBを元の平行光に変換してλ/4板45に入射させる。
【0150】
このとき、アクチュエータコイル54及び55に対しては第1実施形態又は第2実施形態と同様に上記駆動信号Sdkが入力されており、当該駆動信号Sdkと上記永久磁石56及び57が発生させている磁気との相互作用により第2楔光学素子66を上述した入射面66aに平行な方向に移動させる。
【0151】
ここで、第1実施形態又は第2実施形態と同様に第2楔光学素子66が移動すると、結果として入射面65aと射出面66bとの距離LLが変化する。そして、この距離LLの変化により変換レンズ50から射出された光ビームBに対して当該変化した距離LLに対応する量及び極性を有する球面収差、すなわち、光ビームBが上記保護層1aを通過すると共に再度収差補正部9”を透過してディテクタ7に到達するまでに当該光ビームBに発生する球面収差を打ち消すような球面収差が与えられる。
【0152】
なお、第2楔光学素子66の移動態様として具体的には、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、保護層1aが厚くなる方向に変化した場合には第2楔光学素子66は図8中下方向に移動され、逆に保護層1aが薄くなる方向に変化した場合には第2楔光学素子66は図8中上方向に移動される。また、夫々の移動量については、当該移動により所望の球面収差が与えられるように駆動信号Sdkの振幅が設定されて入力されることにより当該駆動信号Sdkの振幅に対応した量だけ第2楔光学素子66が移動する。
【0153】
以上説明したように、第3実施形態の収差補正部9”の動作によれば、第1楔光学素子65を固定とすると共に打ち消すべき球面収差に対応して第2楔光学素子66をその入射面66aに平行な方向に移動させることにより、第1楔光学素子65の入射面65aと第2楔光学素子66の射出面66bと距離LLを変え、これにより光ビームBに発生する球面収差を打ち消すので、簡易な構成で確実に保護層1aにより光ビームBに発生する球面収差を打ち消すことができる。
【0154】
また、第1楔光学素子65と第2楔光学素子66とが非接触であるので、第2楔光学素子65を第1楔光学素子66に対して移動させる場合に、保護層1aの厚さが高速に変化して球面収差が変動しても、これに追随して当該球面収差を打ち消すことができると共に、射出面65bと入射面66aとが擦り合わされることにより各面における傷の発生を防止できる。
【0155】
更に、第1楔光学素子65と第2楔光学素子66の間の間隙、及び第3楔光学素子67と第4楔光学素子68との間の間隙に夫々起因して発生するコマ収差を相互に相殺できる。
【0156】
更に、第1楔光学素子65と第2楔光学素子66の間の間隙、及び第3楔光学素子67と第4楔光学素子68との間の間隙に夫々起因して発生する非点収差をシリンドリカルレンズ69により発生させる非点収差により打ち消すので、結果的に光ビームBを概ね無収差とすることができる。
【0157】
(IV)第4実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第4実施形態について、図9を用いて説明する。
【0158】
上述した各実施形態においては、平行光として入射した光ビームBを変換レンズ50によって収束光とし、必要な球面収差を与えた後に変換レンズ51により平行光に戻す構成としたが、第4実施形態では、平行光として入射した光ビームBを拡散光に変換し、必要な球面収差を与えた後に変換レンズ51により再度平行光に戻す。
【0159】
なお、以下に説明する第4実施形態は、第1実施形態の収差補正部9に上記した構成を適用した場合の実施形態である。
【0160】
図9に示すように、第4実施形態の情報再生装置における収差補正部9’”は、第1実施形態の収差補正部9における変換レンズ50に代えて、平行光として入射してくる光ビームBを拡散させる第1変換手段としての凹レンズ71を備えて構成されている。
【0161】
これにより、光ビームBを拡散光に変換した後に第1楔光学素子52及び第2楔光学素子53に入射させる。
【0162】
その後は、上述した第1実施形態と同様の第1楔光学素子52及び第2楔光学素子53の動作により必要な球面収差が与えられ、これにより保護層1aにおいて発生する球面収差が打ち消される。
【0163】
その他の第4実施形態の情報再生装置の動作は、第1実施形態の情報再生装置Pと同様であるので、細部の説明は省略する。
【0164】
以上説明したように、第4実施形態の収差補正部の動作によれば、第1実施形態の情報再生装置Pにおける収差補正部9の効果に加えて、平行光である光ビームBを拡散光に変換した後に第1楔光学素子52及び第2楔光学素子53により球面収差を発生させ、その後に当該光ビームBを平行光に戻すので、収差補正部9’”に入射する前の光ビームBの直径を第1楔光学素子52及び第2楔光学素子53透過後の光ビームBの直径よりも小径とすることができ、コリメータレンズ3を小型化することができる。
【0165】
なお、上述した第4実施形態における凹レンズ71は、第2及び第3実施形態における変換レンズ50に代えて配置しても当該第2及び第3実施形態の効果に加えて、コリメータレンズ3を小型化できるという効果を奏する。
【0166】
(V)第5実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第5実施形態について、図10を用いて説明する。
【0167】
上述した各実施形態においては、変換レンズ50又は51は夫々に当該変換レンズ51から射出される光ビームBが平行光となるように当該光ビームBの光軸Lに平行に移動させていたが、その移動量は、各実施形態における楔光学素子の屈折率と距離LLが決まれば一意的に決定できる。
【0168】
そこで、第5実施形態においては、上記第1実施形態の収差補正部9における第2楔光学素子53の移動量と変換レンズ50の移動量とを同一とし、更に変換レンズ50部分の光ビームBの光軸Lの方向と第2楔光学素子53の移動方向とを一致させることにより、当該第1実施形形態の収差補正部9においては別個に必要であった第2楔光学素子53用のアクチュエータ部(アクチュエータコイル54及び永久磁石56並びにアクチュエータコイル55及び永久磁石57)と変換レンズ50用のアクチュエータ部とを一つのアクチュエータ部で兼用し収差補正部9としての簡素化を図る。
【0169】
すなわち、図10に示すように、第5実施形態の情報再生装置における収差補正部9Aは、第1実施形態の収差補正部9における変換レンズ50に代わるコリメータレンズ76と第2楔光学素子53とを一の支持具77により支持し、これらをアクチュエータコイル54及び永久磁石56を用いて同時に移動させる。そして、この場合に、コリメータレンズ76における光ビームBの光軸と第2楔光学素子53との移動方向を同一とするため、反射ミラー75を用いて光ビームBの光軸Lを屈曲させる。
【0170】
その他の第5実施形態の情報再生装置の動作は、第1実施形態の情報再生装置Pと同様であるので、細部の説明は省略する。
【0171】
以上説明したように、図10に示す収差補正部9Aの構成によれば、コリメータレンズ76と第2楔光学素子53とを同一のアクチュエータコイル54及び永久磁石56を用いて同時に移動させることにより収差補正部9Aとして簡素化を図ると共に光ビームBに発生する球面収差を打ち消す球面収差を発生させつつ且つ変換レンズ51から射出する光ビームBを平行光とすることができる。
【0172】
(VI)第6実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第6実施形態について、図11を用いて説明する。
【0173】
上述した第5実施形態においては、コリメータレンズ76と第2楔光学素子53とを同一のアクチュエータ部を用いて移動させる構成を上記第1実施形態の収差補正部9に適用した場合について説明したが、これ以外に、当該構成は、図7に示す第2実施形態の収差補正部9’に対して適用することも可能である。
【0174】
すなわち、図11に示すように、第6実施形態の情報再生装置における収差補正部9Bは、第2実施形態の第2楔光学素子61と、変換レンズ51と、第2楔光学素子61における入射面61a対して第2実施形態における角度αと同じ角度を有する射出面78bを有すると共に入射面77bを有する第1楔光学素子78と、当該入射面77bに対して上記角度αを有する射出面79bを有すると共に、光ビームBの光軸Lを第5実施形態の反射ミラー75と同様に屈曲させ、更に当該屈曲した光軸Lに垂直な入射面79aを有する第3楔光学素子79と、を備える。
【0175】
更に、第3楔光学素子79における射出面79bと第1楔光学素子78の入射面78aについては、当該射出面79bと入射面78aとの光軸Lに対する関係が、射出面78bと入射面61aとの光軸Lに対する関係を当該光軸Lを中心として上下が逆となるように180度回転させた形状となるように設定されている。
【0176】
このとき、アクチュエータコイル54及び永久磁石56は、支持具77を介してコリメータレンズ76及び第2楔光学素子61を同じ方向に同じ移動量で移動させる。
【0177】
なお、この第6実施形態の場合には、上記各実施形態における距離LLに相当するのは、上記射出面61bと入射面79aとの光軸Lに沿った距離である。
【0178】
その他の第6実施形態の情報再生装置の動作は、第2実施形態の情報再生装置と同様であるので、細部の説明は省略する。
【0179】
以上説明したように、図11に示す収差補正部9Bの構成によれば、第2実施形態の情報再生装置の効果に加えて、収差補正部9Bとして簡素化を図ると共に光ビームBに発生する球面収差を打ち消す球面収差を発生させつつ且つ変換レンズ51から射出する光ビームBを平行光とすることができる。
【0180】
なお、上述した第5及び第6実施形態の構成は、同様に第3実施形態の収差補正部9”又は第4実施形態の収差補正部9”’に対しても適用可能である。
【0181】
(VII)変形形態
上述した実施形態は、本発明を情報再生装置Pに対して適用した場合の実施形態について説明したが、これ以外に、本発明は、光ディスク1に予め記録されているアドレス情報等の記録制御情報を検出し、当該検出した記録制御情報に基づいて当該光ディスク1に情報を記録するための情報記録装置に対して適用することもできる。
【0182】
すなわち、図12に示すように、図1に示す情報再生装置Pの構成に加えて、再生部12から出力される再生信号Spu(この再生信号Spuが上記した記録制御情報を含んでいることとなる。)に基づいて記録制御を行う記録手段としてのCPU41と、CPU41からの制御信号Scに基づいて外部から入力されている記録すべき記録信号Srを変調し、レーザダイオード8の出力値を当該記録信号Srに対応した値とするための変調信号Srrを生成する記録手段としてのエンコーダ40と、を備える情報記録装置Rに対しても本発明を適用することができる。
【0183】
この場合、レーザダイオード8の出力値(すなわち、光ビームBの強度)が変調信号Srrに基づいて強度変調され、当該強度変調された光ビームBが上記記録制御情報に含まれている光ディスク1のアドレス情報に対応する位置に照射されることにより、当該照射位置に変調信号Srrに対応した形状の情報ピットが形成されて記録信号Srが光ディスク1に記録されることとなる。
【0184】
この情報記録装置Rの動作によれば、球面収差が的確に補償されることにより記録制御情報を含む受光信号Spが正確に再生されるので、正確に記録すべき情報を光ディスク1上に記録することができる。
【0185】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、発生手段の光ビームの透過方向の長さを変えることにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、情報の記録再生時において効果的に球面収差を打ち消すことができる。
【0186】
従って、発生している球面収差を効果的に打ち消して正確に情報の記録再生を行うことができる。
【0187】
また、記録媒体における保護層を通過することにより球面収差が発生する場合において、当該保護層の厚さが変化することにより当該球面収差が変化しても、これを有効に打ち消して情報の記録再生を正確に行うことができる。
更に、発生させるべき打消収差に対応して第2光学手段を第2傾斜面に平行な方向に第1光学手段に対して相対的に移動させることにより発生手段としての光ビームの透過方向の長さを変え、これにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、確実に球面収差を打ち消すことができる。
更にまた、第1光学手段と第2光学手段とが非接触であるので、第2光学手段を第1光学手段に対して移動させる場合にも、記録媒体の厚さが高速に変化して球面収差が変動しても、これに追随して当該球面収差を打ち消すことができると共に、第1傾斜面と第2傾斜面とが擦り合わされることにより各傾斜面における傷の発生を防止できる。
【0191】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、当該空気層により発生するコマ収差をコマ収差発生手段により打ち消すので、光ビームの球面収差を確実に打消し且つコマ収差の発生をも防止できる。
【0192】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、第1光学手段と第2光学手段との間の間隙及びコマ収差発生手段により発生する非点収差を非点収差発生手段により打ち消すので、光ビームの球面収差を確実に打消し且つコマ収差及び非点収差の発生をも防止できる。
【0193】
請求項4に記載の発明によれば、発生手段の光ビームの透過方向の長さを変えることにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、情報の記録再生時において効果的に球面収差を打ち消すことができる。
従って、発生している球面収差を効果的に打ち消して正確に情報の記録再生を行うことができる。
また、記録媒体における保護層を通過することにより球面収差が発生する場合において、当該保護層の厚さが変化することにより当該球面収差が変化しても、これを有効に打ち消して情報の記録再生を正確に行うことができる。
更に、発生させるべき打消収差に対応して第2光学手段を第2傾斜面に平行な方向に第1光学手段に対して相対的に移動させることにより発生手段としての光ビームの透過方向の長さを変え、これにより光ビームに打消収差を発生させて球面収差を打ち消すので、確実に球面収差を打ち消すことができる。
【0194】
また、第1光学手段と第2光学手段とが非接触であるので、第2光学手段を第1光学手段に対して移動させる場合に、記録媒体の厚さが高速に変化して球面収差が変動しても、これに追随して当該球面収差を打ち消すことができると共に、第1傾斜面と第2傾斜面とが擦り合わされることにより各傾斜面における傷の発生を防止できる。
【0195】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、他の部材を不要とせずに光ビームにおける非点収差の発生を防止しつつ確実に当該光ビームにおける球面収差を打ち消すことができる。
【0196】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4又は5に記載の発明の効果に加えて、第1光学手段と第2光学手段との間の間隙により発生するコマ収差をコマ収差発生手段により打ち消すので、光ビームの球面収差を確実に打消し且つコマ収差及び非点収差の発生をも防止できる。
【0197】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、平行光である光ビームを拡散光に変換した後に打消収差を発生させ、その後に当該光ビームを平行光に戻すので、発生手段に入射する前の光ビームの直径を発生手段透過後の光ビームの直径よりも小径とすることができ、光ビームを生成する照射手段を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の情報再生装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の収差補正部の概要構成を示すブロック図である。
【図3】ディテクタの分割形状の例を示す平面図である。
【図4】信号処理部の細部構成を示すブロック図である。
【図5】球面エラー信号の波形例を示す図である。
【図6】ディテクタの分割形状の例を示す平面図であり、(a)は第1例を示す平面図であり、(b)は第2例を示す平面図である。
【図7】第2実施形態の収差補正部の概要構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施形態の収差補正部の概要構成を示すブロック図である。
【図9】第4実施形態の収差補正部の概要構成を示すブロック図である。
【図10】第5実施形態の収差補正部の概要構成を示すブロック図である。
【図11】第6実施形態の収差補正部の概要構成を示すブロック図である。
【図12】変形形態の情報記録装置の概要構成を示すブロック図である。
【図13】球面収差の発生を説明する図である。
【符号の説明】
1…光ディスク
1a…保護層
1b…情報記録面
2…対物レンズ
3、76…コリメータレンズ
4…偏光ビームスプリッタ
5…集光レンズ
6、69…シリンドリカルレンズ
7、7’、7”…ディテクタ
7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h、7a’、7b’、7c’、7d’、7e’、7f’、7g’、7h’、7a”、7b”、7c”、7d”、7e”、7f”、7g”、7h”…部分ディテクタ
8…レーザダイオード
9、9’、9”、9’”、9A、9B…収差補正部
10…アクチュエータ
11…信号処理部
12…再生部
13、15…アンプ
14、16…ドライバ
20、21、22、23、24、25、26、27、28…加算器
29、30…減算器
40…エンコーダ
41…CPU
45…λ/4板
50、51…変換レンズ
52、60、65、78…第1楔光学素子
52a、53a、60a、61a、62a、63a、65a、66a、67a、68a、78a、79a…入射面
52b、53b、60b、61b、62b、63b、65b、66b、67b、68b、78b、79b…射出面
53、61、66…第2楔光学素子
62、67、79…第3楔光学素子
63、68…第4楔光学素子
54、55…アクチュエータコイル
56、57…永久磁石
64、70…収差発生部
71…凹レンズ
75…反射ミラー
77…支持具
Sdf、Sdk…駆動信号
Saf、Sak…増幅エラー信号
Sp…受光信号
Sfe…フォーカスエラー信号
Ske…球面エラー信号
Srf…RF信号
Spu…再生信号
Sc…制御信号
Sr…記録信号
Srr…変調信号
S、S’…間隙
B…光ビーム
L…光軸
R…情報記録装置
P…情報再生装置
W、W1、W2…等位相面
PU…光ピックアップ
Claims (7)
- 記録媒体に照射する光ビームに発生する球面収差を打ち消すための打消収差を前記光ビームに発生させる収差発生装置であって、
前記光ビームを有限系の光ビームに変換する変換手段と、
変換後の前記光ビームを透過すると共に、当該光ビームの透過方向の長さを変えることにより当該光ビームに前記打消収差を発生させる発生手段と、
を備え、
前記発生手段に変換後の前記光ビームが入射する当該発生手段の入射面と当該発生手段から前記光ビームが射出する当該発生手段の射出面とが互いに平行で且つ夫々当該光ビームの光軸に垂直であり、
当該発生手段が、
前記入射面を有すると共に、前記光軸に対して傾斜し且つ前記入射した光ビームを透過する第1傾斜面を有する第1光学手段と、
前記射出面を有すると共に、予め設定された所定長さの間隙を介して当該第1傾斜面に対向し前記第1光学手段を透過した前記光ビームを透過する第2傾斜面を有し、前記第1光学手段に対して相対的に移動可能である第2光学手段と、
発生させるべき前記打消収差に対応して前記第2光学手段を前記第2傾斜面に平行な方向に移動させる移動手段と、により構成され、
前記打消収差以外に前記発生手段において発生する他の収差を打ち消す打消手段を更に備えることを特徴とする収差発生装置。 - 請求項1に記載の収差発生装置において、
前記打消手段は、前記間隙を前記光ビームが透過することにより当該光ビームに発生するコマ収差を打ち消すコマ収差を発生させるコマ収差発生手段であることを特徴とする収差発生装置。 - 請求項2に記載の収差発生装置において、
前記打消手段は、前記間隙及び前記コマ収差発生手段を前記光ビームが透過することにより当該光ビームに発生する非点収差を打ち消す非点収差を発生させる非点収差発生手段を含むことを特徴とする収差発生装置。 - 記録媒体に照射する光ビームに発生する球面収差を打ち消すための打消収差を前記光ビームに発生させる収差発生装置であって、
前記光ビームを有限系の光ビームに変換する変換手段と、
変換後の前記光ビームを透過すると共に、当該光ビームの透過方向の長さを変えることにより当該光ビームに前記打消収差を発生させる発生手段と、
を備え、
前記発生手段に変換後の前記光ビームが入射する当該発生手段の入射面と当該発生手段から前記光ビームが射出する当該発生手段の射出面とが互いに平行で且つ夫々当該光ビームの光軸に垂直であり、
前記発生手段が、
前記入射面を有すると共に、前記光軸に対して傾斜し且つ前記入射した光ビームを透過する第1傾斜面を有する第1光学手段と、
前記射出面を有すると共に、前記第1傾斜面に対して予め設定された所定の角度を有し且つ前記第1光学手段を透過した前記光ビームを透過する第2傾斜面を備え、前記第1光学手段に対して相対的に移動可能である第2光学手段と、
発生させるべき前記打消収差に対応して前記第2光学手段を前記第2傾斜面に平行な方向に移動させる移動手段と、
により構成されていることを特徴とする収差発生装置。 - 請求項4に記載の収差発生装置において、
前記所定角度は、前記光ビームが前記発生手段を透過する際における非点収差の発生を防止する角度であることを特徴とする収差発生装置。 - 請求項4又は5に記載の収差発生装置において、
前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間の間隙を前記光ビームが透過することにより当該光ビームに発生するコマ収差を打ち消すコマ収差を発生させるコマ収差発生手段を更に含むことを特徴とする収差発生装置。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の収差発生装置において、
前記変換手段は、
平行光である前記光ビームを拡散光に変換して前記入射面に入射させる第1変換手段と、
前記発生手段から射出された前記光ビームを平行光に変換して前記記録媒体に照射する第2変換手段と、
により構成されていることを特徴とする収差発生装置。
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