JP3544760B2 - 光ディスク装置の対物レンズ駆動装置 - Google Patents

光ディスク装置の対物レンズ駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ディスクに光スポットを投射して光学的な情報の記録、再生の少なくともいずれかを行なう光ディスク装置の対物レンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスク装置として、厚みや記録密度が異なる等、異種目的、異種光学特性の光ディスクを総合的に処理可能な光ヘッド装置の開発が重要視されている。このような光ヘッド装置の一例として、特開平6−333255号公報においては、厚み等が異なる複数種の光ディスクの記録、再生が可能となるように、それぞれの光ディスクに対応した複数種の対物レンズを備えておき、これらの対物レンズは、対象とする光ディスクがセットされたときに、光スポットが記録面において収束するように設定しておき、これらの対物レンズに共通の発光部からの光を分光した光束を同時に入射し、光ディスクからの反射光は、焦点のあったもの、すなわちその対物レンズで対象としている光ディスクがセットされている場合にのみ十分な光量の光束が得られるようにしたものが提案されている。
【0003】
また、特開平7−37259号公報には、複数種の光ディスクに対応し、複数種の対物レンズを切換使用するため、対物レンズへの光束の途中に設けたミラーの角度を切り換えることにより、セットされた光ディスクに対応した対物レンズにのみ光束が入射するように構成したものが提案されている。
【0004】
その他、従来の異種光学特性の光ディスク対応の対物レンズ駆動装置として、トラッキング方向に移動し位置設定される可動台上に、フォーカス方向に突出した軸を設け、該軸に円盤状のレンズホルダを回動自在に取付け、該レンズホルダに、異なる光学特性の光ディスク対応の2個の対物レンズを周方向に間隔を持たせて固着し、該レンズホルダを周方向に回動させることにより、対物レンズを切り換える構造のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平6−333255号公報に記載のように、対物レンズの切り換え手段を持たず、目標とする反射光にセットした光ディスクからのみ所定量以上の光量が得られるようにしたものは、複数種の対物レンズに常に光束が入射されるので、例えば対物レンズが2個でレーザパワーが等しい場合には、対物出射パワーが1/2、受光素子面上の光量は1/4に減ってしまうので、対物レンズが1個の場合に比較して大きなレーザパワーが必要になる。
【0006】
一方、特開平7−37259号公報に記載のように、ミラーの角度を変えて対物レンズの1つにのみ光束を入射するものは、レーザパワーを大きくする必要はないという利点がある。しかしながら、このように光束を入射する対物レンズを選択使用するものにおいては、ミラーの角度のずれにより、受光素子面上で何十μmもスポットがずれ、信号を十分に認識できなくなる場合がある等、光軸のずれが生じ易いという問題点がある。
【0007】
また、軸を中心としてレンズホルダを回動させて対物レンズを切り換える構造のものにおいては、対物レンズ上のトラッキングコイルとフォーカシングコイルに可動台上の回路に接続するためのリード線が、対物レンズ選択の際の回動によって捩じられて物理的な力がリード線に加わり、リード線が断線しやすくなるという問題点がある。また、対物レンズをトラッキング方向に動かす必要があるため、どの対物レンズが選択されているかが不明である。また、レンズホルダを回動させて対物レンズを切り換え、この切り換えた状態において、可動台側に固定した永久磁石とレンズホルダとの対面位置が、対物レンズの切り換えによって異なるため、少なくともトラッキングコイルは異種光学特性の光ディスク対応に2種類設けて切り換え使用する構成とせざるをえず、また、トラッキングコイル切り換えのためのスイッチが必要となるので、回路構成が複雑になるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記した問題点に鑑み、複数種の対物レンズのうち、セットした光ディスクに対向した対物レンズのみを選択使用するようにした光ディスク装置の対物レンズ駆動装置において、レンズホルダ回動式のものにおける前記不具合がなく、光軸のずれ、すなわち記録面および受光面におけるスポットのずれを生じない構造の対物レンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、光ディスクのトラッキング方向に移動されて位置制御される可動台上に、光学部を搭載して記録、再生の少なくともいずれかを行なう光ディスク装置において、
複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを、トラッキング方向に並べてレンズホルダに固着し、
前記光学部より発せられる唯一の光線の光軸に対して、前記複数種の対物レンズの1つの光軸が一致するように、前記可動台に対して前記レンズホルダをトラッキング方向にシフトさせる対物レンズ切換装置を備え、
前記対物レンズ切換装置は、前記可動台の移動のガイドとなるシャフトに、前記レンズ ホルダを導電性弾性線材を介して支持する支持体を移動自在に取付けて構成した
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、前記支持体を磁性体により構成し、
前記可動台上における前記支持体のトラッキング方向の両側に、前記支持体を吸着して対物レンズの切換えを行なう電磁石を設けた
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを、トラッキング方向に並べてレンズホルダに固着し、
フォーカス方向の必要駆動範囲の一番大きな対物レンズの必要駆動範囲内に、他の対物レンズの必要駆動範囲が収まるように各対物レンズのフォーカス方向の位置を異なる位置に設定した
ことを特徴とする。
【0012】
また請求項4の発明は、前記対物レンズ駆動装置に用いる対物レンズに関するのものであって、複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを一体に形成したものである。
【0013】
【作用】
請求項1、2の発明においては、対物レンズ切換装置により、対物レンズを固着したレンズホルダをトラッキング方向にシフトさせて位置決めすることによって、使用する対物レンズを1つの光線の光軸に一致させ、これにより、使用する対物レンズを選択する。
【0014】
請求項3の発明においては、複数種の対物レンズのうち、フォーカス方向の必要駆動範囲の一番大きな駆動範囲内に、他の対物レンズの駆動範囲が収まるように各対物レンズの位置を設定したので、全ての対物レンズに対する必要駆動範囲が、必要駆動範囲が一番大きな対物レンズの必要駆動範囲以下に収まる。
【0015】
請求項4の発明においては、複数種の対物レンズを一体に形成したので、複数個の対物レンズの取付け誤差による光軸の向きの不一致が起きるおそれがない。
【0016】
【実施例】
図1(A)は本発明による対物レンズ駆動装置の前提となる構成の一例を示す平面図、図1(B)はその側面図である。図1において、1は光ディスク2のトラッキング方向に移動されて位置制御される可動台であり、該可動台1上には、レーザ等からなる発光部や光ディスク2からの反射光の受光部等からなる光学部3が搭載される。4はレンズホルダ、5a、5bは種類の異なる複数の光ディスクに対して該レンズホルダ4上に固着された種類の異なる対物レンズである。
【0017】
前記レンズホルダ4は、可動台1に固定された駆動装置ベース6と、その上に設置された対物レンズ切換装置7と、導電性弾性線材8とを介して、可動台1上に取付けられる。該対物レンズ切換装置7は、前記駆動装置ベース6上に固定された固定部材9と、図2(A)の横断面図に示すように該固定部材9にトラッキング方向に設けた矩形の貫通穴9aに移動自在に貫挿された断面矩形の支持ロッド10と、該貫通穴9aの中央部の拡大部9b内の内壁に固定したコイル11と、該コイル11を貫挿するように支持ロッド10の中央部に固定して設けた永久磁石12と、支持ロッド10の左右両端近傍に固定された基板13と、前記駆動装置ベース6に前記支持ロッド10の両端面に対面するように固定したストッパ14a、14bとからなる。前記支持ロッド10の左右に固定した基板13にはそれぞれ上下2本ずつ前記導電性弾性線材8の基端部が半田付けにより固定され、これらの左右各2本の線材8の先端部に前記レンズホルダ4の左右両側部が固定され、レンズホルダ4は該4本の線材8により弾性的に支持され、トラッキング方向(図1(A)および図2(C)、(D)に矢印Tで示す)およびフォーカス方向(図1(B)の矢印Fで示す)に移動可能である。
【0018】
前記レンズホルダ4は四角形をなし、前記対物レンズ5a、5bは、レンズホルダ4の中央部に、トラッキング方向に並べて固着される。また、該レンズホルダ4のトラッキング方向に対して直角方向、すなわち光ディスク2の接線方向の両端部には、それぞれ、矩形をなすフォーカシングコイル15a、15bと、トラッキングコイル16a、16bとが固定され、これらのコイルはレンズホルダ4と一体的に移動する。17a、17bは永久磁石であり、該各永久磁石17a、17bは前記フォーカシングコイル15a、15bおよびトラッキングコイル16a、16bにそれぞれ対面するように、駆動装置ベース6に固定したヨーク18a、18bにそれぞれ固着して設けられる。フォーカシングコイル15a、15bは直列に電気的に接続され、4本の導電性弾性線材8のうちの2本に接続され、トラッキングコイル16a、16bも直列に接続されて導電性弾性線材8の他の2本に電気的に接続される。
【0019】
19は可動台1に固定された反射ミラーであり、該反射ミラー19は光学部3からの光線20を対物レンズ5aまたは5bに対して入射し、光ディスク2からの反射光を光学部3に戻すものである。
【0020】
図1(A)において、21a、21bは、支持ロッド10に押されて作動することにより、支持ロッド10の位置を検出するスイッチである。
【0021】
この対物レンズ駆動装置において、対物レンズ切換装置7のコイル11に図2(A)のa方向に通電すると、支持ロッド10が矢印bで示すようにシフトし、図3(A)に示すように、駆動装置ベース6上に固定された一方のストッパ14aとスイッチ21aのノブに該支持ロッド10の一端が当接した状態となり、この状態においては、図2(C)に示すように、光学部3より発せられる唯一の光線20の光軸に対して、一方の対物レンズ5aの光軸が一致する。また、コイル11に前記a方向と反対方向に通電すると、図3(B)に示すように、支持ロッド10が矢印bの反対方向にシフトして支持ロッド10の反対側の端部が別のストッパ14bおよびスイッチ21bのノブに当接した状態となり、この状態においては、図2(D)に示すように、前記光線20の光軸に対して、他方の対物レンズ5bの光軸が一致する。前記スイッチ21a、21bの作動による電気信号の発生により、所定の対物レンズが選択され、かつ正しい位置に移動したか否かが明確になるため、誤動作を防止することができる。なお、対物レンズ5a、5bの光軸の光線20の光軸に対するずれは、±0.1mmの範囲に収まるように設定する。
【0022】
このように、対物レンズ5a、5bをレンズホルダ4と共にシフトし位置決めすることによって対物レンズ5aまたは5bの光軸を光学部3からの光線20の光軸と一致させる構成とすることにより、従来例のように反射ミラーの角度を変更して対物レンズの選択を行う場合に比較して、対物レンズを選択する切換装置に高い位置決め精度が要求されず、光軸の一致を容易に、誤差少なく実現することができる。
【0023】
このようにして対物レンズ5a、5bのシフト後は、光ディスク2の面振れや偏心に応じて対物レンズ5a、5bを適正位置に移動させるため、フォーカシングコイル15a、15bやトラッキングコイル16a、16bに導電性弾性線材8を介して通電してフォーカス制御、トラッキング制御を行なう。すなわち、トラッキングコイル16aまたは16bは、それぞれ永久磁石17aまたは17bによる磁束と鎖交し、これらトラッキングコイル16a、16bに前記導電性弾性線材8を介して通電することにより、トラッキング方向について、レンズホルダ4が微小範囲について位置制御され、また、フォーカシングコイル15a、15bに通電すると、永久磁石17aまたは17bによる磁束との鎖交により、レンズホルダ4はフォーカス方向に位置制御され、目標とするスポットに光束が集中するように制御される。
【0024】
本発明においては、導電性弾性線材8と共にレンズホルダ4を移動させるため、対物レンズ5a、5bの切り換えの際に、フォーカシングコイル15a、15bやトラッキングコイル16a、16bと導電性弾性線材8との接続用リード線に無理な力がかからず、リード線断線のおそれがない。なお、基板13と駆動装置ベース6との間をリード線により接続した場合、このリード線は取付けスペースに余裕があり、しかも回動による捩じれは起こらないため、断線のおそれはない。また、レンズホルダ4と共に導電性弾性線材8も移動させて対物レンズ5a、5bの切り換えを行う構成であるため、支持ロッド10を固定した状態で対物レンズ5a、5bのフォーカス制御、トラッキング制御がなされ(なお、レンズホルダ回動式の場合には、フォーカス制御、トラッキング制御に伴い、レンズホルダが軸を中心として軸方向に摺動し、かつ軸を中心として回動する)、いずれの対物レンズ5a、5bが選択されているかの検出が、スイッチ21a、21bによって検出可能であり、対物レンズの切り換え状態を確実に表示できる。また、2種の対物レンズ5a、5bに対応して1種のトラッキングコイル16a、16bが共通に使用でき、かつトラッキングコイル16a、16bの切り換えのためのスイッチが不要となるので、回路構成を簡素化できる。
【0025】
ここで、図3(A)、(B)に示すように、レンズホルダ4の位置をいずれに切換えても、フォーカシングコイル15a、15bおよびトラッキングコイル16a、16bはいずれもそのトラッキング方向の全幅にわたってそれぞれ永久磁石17aまたは17bに対面するように、永久磁石17a、17bのトラッキング方向の幅を、レンズホルダ4の移動量にフォーカシングコイル15a、15b並びにトラッキングコイル16a、16bの幅を加えた長さ以上に設定することにより、フォーカシングコイル15a、15bおよびトラッキングコイル16a、16bへの通電時にこれらのコイル電流と磁束との作用により発生する力がレンズホルダ4に作用する点は、レンズホルダ4の位置の変化にかかわらず一定となる。これにより、レンズホルダ4における電磁力の作用点と重心との不一致によってレンズホルダ4に回転力が作用することが防止され、対物レンズ5a、5bの光軸が傾くことが防止され、前記光線20の光軸を対物レンズ5a、5bの光軸と一致させることができる。
【0026】
本発明を実施する場合、レンズホルダ4を駆動するためのフォーカシングコイル15a、15bやトラッキングコイル16a、16bを駆動装置ベース6側に設け、レンズホルダ4側に永久磁石17a、17bを固定してもよい。このように逆の配置にする場合には、フォーカシングコイルやトラッキングコイルのトラッキング方向の幅は、レンズホルダ4側に固定する永久磁石のトラッキング方向の幅とトラッキング方向の移動量の和以上の幅とすることにより、前記した理由でレンズホルダ4の傾きを防止できる。
【0027】
また、対物レンズ切換装置7は、図1におけるストッパ14a、14bに電磁石を用い、支持ロッド10に磁性体を用いて、いずれかの電磁石によって磁性体でなる支持ロッド10を吸引して位置決めするようにしてもよい。また、プランジャで支持ロッド10を移動させる構成とすることもできる。また、支持ロッド10は断面矩形ではなく、断面円形としてもよい。また、支持ロッド10をシフトさせた後は、コイル11に電流を流し続けなくとも、支持ロッド10がストッパ14aまたは14bに常時当接し、対物レンズ5aまたは5bが所定の位置に保持される機構を設けてもよい。
【0028】
図4は対物レンズ5a、5bのレンズホルダ4における本発明によるフォーカス方向の設置例を説明するもので、図4(A)に示すように、光ディスク2Aと光ディスク2Bの厚みやセット位置がZ1で示す幅だけずれ、対応する対物レンズ5a、5bのフォーカシングコイル15a、15bへの通電による必要駆動範囲の大きさが異なる場合、仮に一方の対物レンズ5aを実線位置にセットし、他方の対物レンズ5bを二点鎖線で示す位置に設定し、光ディスク側最端部の位置をcとdのように一致させた場合には、図4(B)に示すように、必要駆動範囲が大きい方の対物レンズ5aの必要駆動範囲Z3(eはその中立点)に対し、対物レンズ5bの必要駆動範囲Z4(fはその中立点)は、対物レンズ5aの必要駆動範囲を逸脱し、全体としての必要駆動範囲はZ5となり、広い駆動範囲を必要とする。
【0029】
そこで、対物レンズ5bを図4(A)の実線で示すように、その光ディスク側最端部gと前記対物レンズ5aの光ディスク側最端部cよりも光ディスク寄りに前記差Z2の分だけ近づける(ここで、図4(A)のL1、L2はワーキング・ディスタンスであり、それぞれ対物レンズ5a、5bと光ディスク2A、2Bとの隙間である)ことにより、図4(C)に示すように、対物レンズ5bの必要駆動範囲Z4(hはその中立点)を、対物レンズ5aの必要駆動範囲Z3内に収めることができる。
【0030】
このように、必要駆動範囲が最大となる対物レンズの必要駆動範囲内に他の対物レンズの必要駆動装置を収めた対物レンズの配置とすることにより、対物レンズ5a、5bの全体としての必要駆動範囲を狭くし、その結果、導電性弾性線材8等の過度の曲がりによるレンズホルダ4の傾きを小さくおさえ、これにより前記光線20の光軸と対物レンズ5a、5bの光軸とのずれをおさえることができる。また、レンズホルダ4の必要駆動範囲を小さくおさえることにより、対物レンズ駆動装置の負担を小さくすることができる。なお、このような対物レンズの相対的な位置関係は、前記可動の反射ミラーの使用によって対物レンズを選択するもの等にも適用できる。
【0031】
図5(A)は対物レンズ5a、5bを1個ずつレンズホルダ4に分割配置した例であり、図5(B)は本発明により対物レンズ5a、5bを一体に形成したものである。図5(A)のレンズ取付け構造によれば、それぞれの対物レンズ5a、5bの取付け面A、Bに対する取付け角度誤差が対物レンズ5a、5b間で発生するため、それぞれの光軸P1とQ1の向きを一定方向に揃えることが難しくなる。一方、図5(B)に示すように、2個の対物レンズ5a、5bを1つにまとめて形成すれば、取付け面Cは1つであり、それぞれの光軸P2、Q2のずれは成形時の誤差のみであり、上記のような取付け誤差は発生しないため、光軸の向きを一定方向に容易に揃えることができ、その結果、光線と対物レンズの光軸のずれを小さくすることができる。また、対物レンズを1個ずつ並べた時のトラッキング方向のレンズの中心間距離は、図5(A)に示す分割配置の場合の距離t1より図5(B)に示すt2まで狭めることができるので、トラッキング方向のレンズホルダ4の移動量を短くすることができ、レンズホルダ4や対物レンズ切換装置7の規模を小さくすることができる。
【0032】
図6は本発明の一実施例であり、可動台1の移動のガイドとなるシャフト22を、前記レンズホルダ4を導電性弾性線材8を介して支持する支持体10Aを移動自在に取付けて構成することにより、シャフト2を可動台1と支持体10Aのガイドに共用したものである。該支持体10Aは磁性材により構成し、可動台1上に固定した駆動装置ベース6上における支持体10 A のトラッキング方向の両側に固定した電磁石23a、23bにより支持体10Aを吸着することにより、レンズホルダ4が導電性弾性線材8と共に移動し、これにより対物レンズ5a、5bが切り換えられるようにしたものである。このようなシャフト22共用の構造とすれば、構造が簡略化され、小型化に寄与できる。
【0033】
本発明において、レンズホルダ4は実施例で示したように導電性弾性線材8によって片持ち式に支持するのではなく、両端が駆動装置ベース6で支持された導電性弾性線材8の中間部にレンズホルダを支持させてもよい。また、本発明で対象とする光ディスクは光記録だけではなく、光磁気記録を行うものであってもよい。また、駆動装置ベース6は可動台1の一部として形成されたものであってもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1、2によれば、複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを、トラッキング方向に並べてレンズホルダに固着し、光学部より発せられる唯一の光線の光軸に対して、前記複数種の対物レンズの1つの光軸が一致するように、前記可動台に対して前記レンズホルダをトラッキング方向にシフトさせる対物レンズ切換装置を設けたので、対物レンズの位置合わせはトラッキング方向のみでよく、光軸のずれ、すなわち記録面および受光面におけるスポットのずれを生じない対物レンズ駆動装置を提供できる。
【0035】
また、複数の対物レンズに対してトラッキングコイルが共通に使用でき、かつトラッキングコイルの切り換えのためのスイッチが不要となるので、回路構成を簡素化できる。また、可動台のガイドのためのシャフトを、レンズホルダの支持体のガイド用シャフトに共用したので、構造が簡略化され、小型化に寄与できる。
【0036】
請求項3によれば、複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを、トラッキング方向に並べてレンズホルダに固着し、前記複数種の対物レンズのフォーカス方向の必要駆動範囲の一番大きな対物レンズ範囲内に、他の対物レンズの必要駆動範囲が収まるように各対物レンズの位置を設定したので、複数の対物レンズ全体の必要駆動範囲を狭くすることができ、その結果、光線の光軸と対物レンズの光軸とのずれをおさえることができる。また、レンズホルダの必要駆動範囲を小さくおさえることにより、対物レンズ駆動装置の負担を小さくすることができる。
【0037】
請求項4によれば、複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを一体に形成したので、各対物レンズの光軸の向きを一定方向に容易に揃えることができ、その結果、光線と対物レンズの光軸のずれを小さくすることができる。また、対物レンズの中心間距離を狭くすることができるので、トラッキング方向のレンズホルダの移動量を短くすることができ、レンズホルダの規模を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明による対物レンズ駆動装置の前提構成の一例を示す平面図、(B)はその一部破断側面図である。
【図2】(A)は図1の対物レンズ駆動装置の一部を示す横断面図、(B)が該対物レンズ切換装置に用いるコイルを示す斜視図、(C)、(D)は該対物レンズ駆動装置における対物レンズ切換え動作を説明する反射ミラーおよび対物レンズの斜視図である。
【図3】(A)、(B)は図1、図2の装置における対物レンズ切換え動作を説明する対物レンズ駆動装置の平面図である。
【図4】(A)は前記における対物レンズのフォーカス方向の設置例を説明する図、(B)は2つの対物レンズの光ディスク側最端部の位置を合わせた場合の対物レンズの必要駆動範囲を示す平面図、(C)は本発明により一方の対物レンズの光ディスク側最端部の位置を光ディスク側に近接させた場合の対物レンズの必要駆動範囲を示す平面図である。
【図5】(A)は対物レンズを1個ずつレンズホルダに分割配置した例を示す断面図、(B)は本発明により2つの対物レンズを一体に形成したものを示す断面図である。
【図6】本発明の対物レンズ駆動装置の一実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
1:可動台、2:光ディスク、3:光学部、4:レンズホルダ、5a、5b:対物レンズ、6:駆動装置ベース、7:対物レンズ切換装置、8:導電性弾性線材、9:固定部材、10:支持ロッド、10 A: :支持体、11:コイル、12:永久磁石、13:基板、14a、14b:ストッパ、15a、15b:フォーカシングコイル、16a、16b:トラッキングコイル、17a、17b:永久磁石、18a、18b:ヨーク、19:反射ミラー、20:光線、21a、21b:スイッチ、22:シャフト、23a、23b:電磁石

Claims (4)

  1. 光ディスクのトラッキング方向に移動されて位置制御される可動台上に、光学部を搭載して記録、再生の少なくともいずれかを行なう光ディスク装置において、
    複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを、トラッキング方向に並べてレンズホルダに固着し、
    前記光学部より発せられる唯一の光線の光軸に対して、前記複数種の対物レンズの1つの光軸が一致するように、前記可動台に対して前記レンズホルダをトラッキング方向にシフトさせる対物レンズ切換装置を備え、
    前記対物レンズ切換装置は、前記可動台の移動のガイドとなるシャフトに、前記レンズホルダを導電性弾性線材を介して支持する支持体を移動自在に取付けて構成した
    ことを特徴とする光ディスク装置の対物レンズ駆動装置。
  2. 請求項1に記載の光ディスク装置の対物レンズ駆動装置において、
    前記支持体を磁性体により構成し、
    前記可動台上における前記支持体のトラッキング方向の両側に、前記支持体を吸着して対物レンズの切換えを行なう電磁石を設けた
    ことを特徴とする光ディスク装置の対物レンズ駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の光ディスク装置の対物レンズ駆動装置において、
    複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを、トラッキング方向に並べてレンズホルダに固着し、
    フォーカス方向の必要駆動範囲が一番大きな対物レンズの必要駆動範囲内に、他の対物レンズの必要駆動範囲が収まるように各対物レンズのフォーカス方向の位置を異なる位置に設定した
    ことを特徴とする光ディスク装置の対物レンズ駆動装置。
  4. 請求項ないし3の何れかに記載の光ディスク装置の対物レンズ駆動装置において、
    複数種の光ディスクに対応した複数種の対物レンズを一体に形成した
    ことを特徴とする光ディスク装置の対物レンズ駆動装置。
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