JP3544072B2

JP3544072B2 - 経口組成物

Info

Publication number: JP3544072B2
Application number: JP22592596A
Authority: JP
Inventors: 徹宮秋; 君枝柳
Original assignee: カネボウ株式会社; カネボウフーズ株式会社
Priority date: 1996-08-07
Filing date: 1996-08-07
Publication date: 2004-07-21
Anticipated expiration: 2016-08-07
Also published as: JPH1052239A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイドロキシシトリックアシッドを含有しているにもかかわらず、ＨＣＡ特有の収斂味や塩味等が効果的にマスキングされた風味良好な経口組成物（但し、飲料は除く）及びハイドロキシシトリックアシッドのマスキング剤（但し、飲料用途は除く）に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、健康志向の観点から、年齢、性別に関わらずダイエットに対する関心が高まっており、ダイエットに好適な食品も種々開発されている。この中で、最近特に注目を集めている素材として、ガルシニア・カンボジアがある。
ガルシニア・カンボジアは、別名マラバールタマリンド、ゴラカ等とも呼ばれる南アジア産の植物（果実）であり、古くからカレー等の調味料（酸味料）、食品保存剤（魚の保存等）等に使用されている。
このガルシニア・カンボジアの主に果皮には、主要な酸として下記化学式（化１）で示されるハイドロキシシトリックアシッド（ＨｙｄｒｏｘｙｃｉｔｒｉｃＡｃｉｄ、（−）−Ｈｙｄｒｏｘｙｃｉｔｒａｔｅ）（以下「ＨＣＡ」と記す）が含まれている。
【０００３】
【化１】

【０００４】
ＨＣＡは、▲１▼脂質合成・脂肪蓄積の阻害、▲２▼炭水化物のグリコーゲン化、▲３▼エネルギー代謝促進、▲４▼食欲抑制等の作用効果を有し、しかも天然物由来であることから、安全性の高いダイエット素材である。このため、ダイエット用食品と称して、ＨＣＡを添加した各種サプリメント、キャンディ、ゼリー、飲料等の食品が上市されている。
【０００５】
ところが、ＨＣＡ自体は、独特の収斂味を伴う強い酸味等を有している。
しかも、安定性が悪く、容易に加水分解して下記化学式（化２）に示されるようなラクトン型になってしまうので、通常、安定性や保存性を高める目的で、カルシウムや食塩等の塩類が添加されて製品化されている。
そのため、ＨＣＡを添加した食品は、ＨＣＡ自体の収斂味やカルシウムや塩類等のＨＣＡ添加物の塩味等が付与されて風味が損なわれ、製造時の風味調整が難しくなる。また、このような食品は連続して長時間喫食しにくい。
そこで、市販のＨＣＡ含有食品の中には、ＨＣＡ添加量を減らすことにより、収斂味や塩味等を抑制しているものがあるが、この場合、その食品を喫食してもＨＣＡの一日摂取推奨量（一般的に７５０ｍｇ／日以上）分を摂取できず、充分な作用効果を得ることができないという問題がある。
【０００６】
【化２】

【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ＨＣＡを含有しているにもかかわらず、収斂味や塩味等が効果的にマスキングされた風味良好な食品を提供するにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、ハイドロキシシトリックアシッドを含有する経口組成物において、風味改良成分としてベリー類を配合することを特徴とする経口組成物（但し、飲料は除く）、及びベリー類を含有することを特徴とするハイドロキシシトリックアシッドのマスキング剤（但し、飲料用途は除く）によって達成される。
【０００９】
すなわち、本発明者らは、ＨＣＡを含有する食品特有の収斂味、塩味等を、違和感なくマスキングし、好ましい風味に調整し得る風味改良成分について検討した結果、ベリー類を配合すると、マスキング効果が強く表れ、しかも、ＨＣＡの収斂味とベリー類の風味とが微妙に相互作用して良好な風味に調整しうることを見い出し、本発明に到達した。
【００１０】
次に本発明を詳しく説明する。
本発明の経口組成物に含有されるＨＣＡとしては、特に限定するものではなく、例えば、市販のガルシニア・カンボジアエキス、ガルシニア・カンボジアパウダー、タマリンドエキス等の名称で市販されているものを用いればよい。
具体的には、例えばインターヘルス社のタマリンドエキス（商品名「シトリマックスＨＣＡ−４５０−Ｌ」（ＨＣＡ２５％含有、Ｃａ不含））や、タマリンドエキスパウダー（商品名「シトリマックスＨＣＡ−５００−Ｆ」（ＨＣＡ４７．５％含有））等が挙げられる。
【００１１】
次に、風味改良成分として配合されるベリー類の種類としては、例えば、ラズベリー，ブラックベリー，メイベリー，ローガンベリー，ロインベリー，ヤングベリー，ボイセンベリー，テイベリー，クラウドベリー，アークティックラズベリー，サーモンベリー等の木イチゴ類や、スグリ，フサスグリ，グーズベリー等のスグリ類や、ブルーベリー，クランベリー，アサマベリー，ホワトルベリー，ワイルドベリー等のコケモモ類の他、グミ類、クワの実、クロウベリー、クロミノウグイスカグラ、ストロベリー等が挙げられる。
これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。中でも、ブルーベリーは、マスキング効果が特に高いので好適である。
【００１２】
上記ベリー類は、果肉そのものや、果汁、もしくはこれらの濃縮エキスやパウダー等に適宜加工したものを添加してもよいし、あるいは、ベリー類から抽出される香気成分（例えば、リモネン、ヘキサノール、ヘキサナール、エチルブチレート、ｚ−３−ヘキセノール、リナロール、エチルマルトール、γ−デカラクトン、２−メチル−ブチリックアシッド等を適宜組み合わせたもの）や、ベリー類の色素（主成分アントシアニン）等の加工原料を用いてもよい。
特に、香気成分はマスキング効果が高いので好適である。
例えば、香料由来の風味が主体となる食品（チューインガム、キャンディ等）に対しては、香気成分を少なくとも含有し、これに好ましくは果肉，果汁もしくはこれらの加工品を配合することがマスキング効果を高める点で望ましい。
【００１３】
ベリー類の添加量は、添加する食品の種類によっても異なるが、例えば、チューインガムに添加する場合、重量比でＨＣＡが１に対して、濃縮エキス，果汁等の場合は、固形分換算重量で０．０５以上添加すればマスキング効果を充分に得られる点で好ましい。
また、香気成分を香料としてチューインガムに添加する場合は、重量比でＨＣＡが１に対して、香料を０．１３以上添加することがマスキング効果を充分に得られる点で好ましい。
【００１４】
上記ベリー類の添加方法としては、特に限定するものではなく、予めＨＣＡ含有エキスを調製する際にエキスに添加しておいてもよいし、あるいは経口組成物の原料を混合する際に、ＨＣＡ含有エキスとは別に添加混合してもよい。
【００１５】
なお、本発明の経口組成物の種類は特に限定するものではなく、例えば、一般的な食品
として、チューインガム，キャンディ，錠菓，ゼリー，グミ等の菓子類又は、これらに適宜糖衣を施したもの（糖衣層にＨＣＡが含まれてもよい）や、パン，クッキー等のベーカリー類、餅，飯，パスタ等の穀粉・澱粉食品類、ペットシュガー等の糖類またはその加工品等が挙げられる。更に、上記のような食品に限らず、経口投与される医薬品の錠剤，粉薬，液状薬等も含まれる。
【００１６】
【発明の効果】
以上のように、本発明の経口組成物（但し、飲料は除く）は、ＨＣＡを含有しているにもかかわらず、風味改良成分としてベリー類を含有しているので、ＨＣＡ特有の収斂味や塩味等が効果的にマスキングされており、しかも、ＨＣＡの収斂味とベリー類の風味とが微妙に相互作用し、好ましい風味に調整されている。
従って、ＨＣＡを、その各種作用を遺憾なく発揮できる程度に含有していても、風味良好で長時間味わうことができる。

【００１７】
次に本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
〈実施例１〜６、比較例〉
表１の組成で常法に基づきブロック状チューインガム（３１．０ｍｍ×１２．３ｍｍ×９．５ｍｍ大，１個重量４．３ｇ）を製造した。
ＨＣＡエキスパウダーは、チューインガムの他の原料とともに添加混合することによりチューインガムに配合した。これを専門パネラー２０名にて喫食し、風味について官能評価した。その結果を表１に併せて示す。
【００１８】
【表１】

【００１９】
表１の結果から、実施例はいずれもＨＣＡ特有の収斂味、塩味等が充分マスキングされ、好ましい風味に調整されていた。また、少量のベリー類香料の使用でＨＣＡのマスキングができるため、チューインガムの食感が損なわれておらず、良好な噛み心地を有していた。
これに対し、比較例品は、ＨＣＡ特有の収斂味，塩味等が強く感じられ、好ましくなかった。

Claims

ハイドロキシシトリックアシッドを含有する経口組成物において、風味改良成分としてベリー類を配合することを特徴とする経口組成物（但し、飲料は除く）。
ベリー類を含有することを特徴とするハイドロキシシトリックアシッドのマスキング剤（但し、飲料用途は除く）。