JP3543967B2 - 走査型プローブ顕微鏡探針とその作製方法、ならびにその探針を備えた走査型プローブ顕微鏡およびそれ用いた分子加工法 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡探針とその作製方法、ならびにその探針を備えた走査型プローブ顕微鏡およびそれ用いた分子加工法 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、化学反応を利用して固体表面を分析・加工するための「分子間力顕微鏡」の探針とその製造方法、ならびにその探針を備えた走査型プローブ顕微鏡およびそれを用いた分子加工法に関する。
【0002】
(背景技術)
先鋭な探針を固体表面に近接させてオングストロームの精度で一定範囲を走査し、この時探針と固体表面との間に働く相互作用を測定することにより固体の表面情報を調べる測定装置を走査型プローブ顕微鏡という。測定する相互作用の種類により様々な走査型プローブ顕微鏡が提案されており、例えば、相互作用がトンネル電流の場合は走査型トンネル顕微鏡、原子間力の場合は原子間力顕微鏡、磁気力の場合は磁気力顕微鏡などがある。
【0003】
このなかで、走査型プローブ顕微鏡の探針先端部に化学センサー機能を有する分子や触媒分子を固定し、これらの分子と被測定分子との間に働く化学的相互作用や触媒作用を利用して、分子の化学的な情報を調べたり加工したりする “分子間力顕微鏡”が提案されている(特許公報第2653597、特許公報第2561396、中川;触媒39巻、p628−635、1997年)。原子間力顕微鏡の探針にセンサー分子が固定された分子間力顕微鏡の原理を以下に示す。ここで、化学センサー機能とは、有機分子の化学的な性質を分析する機能をいう。化学的な性質は一般に、分子の立体構造や分子の有する官能基により決まり、化学センサー機能を有するセンサー分子はこのような構造や官能基を特異的に調べることができる。
【0004】
図11は原子間力顕微鏡の原理図である。試料はX,Y,Z方向に伸縮可能な圧電素子(154)上に固定されており、試料(153)の上部には先端曲率半径数十ナノメートルの探針(114)がある。探針(114)はてこ部(152)の先端に固定されている。試料(153)と探針(114)間に力が働くとてこ部(152)がたわむ。このたわみは、てこ部(152)で反射するレーザー光線(151)の反射角の変化を二分割フォトダイオード(155)で測定することにより評価できる。従って、試料と探針間に働く力は、たわみ量とてこ部のバネ定数の積から計算できる。このように、圧電素子を用いて試料をX−Y平面内の特定の領域を走査しながら試料と探針とに働く力を測定することにより、試料の表面情報を調べることができる。
【0005】
たとえば、試料と探針との間の力が一定になるように圧電素子のZ方向の動きにフィードバックをかけながらX−Y領域を走査し、圧電素子のX,Y,Zの関係を調べることにより、試料の凹凸を評価することが可能である。ここで、センサー分子を探針先端に固定し、他種類の分子が存在する基材上を測定すれば、特定の分子の位置を調べることが可能である。すなわち、センサー分子が、ある分子(分子Aと定義)とのみ強い引力を及ぼすものであれば、他種類の分子の存在する基材上をこの探針で測定すれば、分子Aの位置を分子レベルの分解能で調べることができる。さらに、探針に触媒分子を固定しておけば、特定の分子を加工することも可能である。
【0006】
分子間力顕微鏡を用いればDNAの塩基配列を決定することも可能である。すなわち、探針にDNAを構成する塩基であるアデニンを固定し、基材上に固定した一本鎖DNAを測定した場合、アデニンはDNA中のチミンのみと大きな引力が働くため、DNA内のチミンの位置が特定できる。同様に、それぞれ、チミン、グアニン、シトシンを固定した探針を用いて測定することにより、DNA中の塩基の配列を調べることが可能である。
【0007】
従来の分子間力顕微鏡の探針には分子が固定されており、その分子は探針表面全てを覆っていた。そのため、測定時に、探針と試料間の距離を正確に制御しておかないと探針上の多数の分子が被測定分子と接触し、測定分解能が低下するという問題があった。また、同様に、分子間力顕微鏡を用いた分子加工においても、探針に固定されている多数の分子が多数の被測定分子と相互作用をするため、一個の分子を加工することは困難であった。以下に、従来の分子間力顕微鏡の課題を詳しく説明する。
【0008】
図12は、分子間力顕微鏡を用いて固体表面上に固定された分子A(163)の位置を調べる場合の模式図を示したものである。探針を固体表面に押しつけると固体表面と探針表面には弾性変形が起こり、探針上の多数の分子(162)が、例えば接近した2個の試料分子A(163)およびB(164)と相互作用を起こしてしまい、これらの二つの分子の位置を識別できない。
【0009】
図13は分子間力顕微鏡を用いて一本鎖DNA(173)中の塩基であるアデニン(174)の位置を決める場合の概念図である。探針(171)にはアデニンと特異的な相互作用を起こす塩基であるチミン(172)が固定されている。原理的には、このチミンと相互作用を及ぼすアデニンの位置を調べることにより、DNA中のアデニン(174)の位置を調べることが可能である。しかし、探針(171)が試料に近づき過ぎると、探針上の二個以上のチミン(172)がDNA鎖(173)の二個以上のアデニン(174)と特異的な相互作用を及ぼしてしまい、DNA鎖(173)中のアデニンの位置を識別することが困難となってしまう。
【0010】
さらに、図14は分子間力顕微鏡を用いて基材上に固定されたタンパク質薄膜を加工する場合を示した図である。探針(181)にはタンパク質を分解する酵素であるペプチターゼが固定してある。この場合、探針と試料との間に働く力が大き過ぎると、多数のペプチターゼがタンパク質薄膜と接触してしまい、分子レベルの範囲で加工することが困難となる。
【0011】
以上の問題を解決するには、先端曲率半径がオングストローム程度の探針にセンサー分子や触媒を固定すればよいことは自明である。曲率半径が最も小さい探針の候補としてカーボンナノチューブが提案されている。近年、AFMの探針にカーボンナノチューブを固定し、さらにカーボンナノチューブに有機分子を固定する方法が提案されている(D.Hongjieら、Nature;vol.384,p147,1996)。しかし、カーボンナノチューブでさえも先端曲率半径2.6nmであるため、探針先端部の試料と面する領域(先端面)に形成される分子は数百個程度となり、上述したことと同様に、探針と試料間の力を厳密に制御しないと、探針上の多数の分子が試料分子と相互作用を及ぼしてしまう。
【0012】
(発明の開示)
本発明は、走査型プローブ顕微鏡の探針に関し、この探針は、近位端および遠位先端部を備え、上記遠位先端部は、固定された試料に面する先端面を備え、そして少なくとも上記先端面の上に、少なくとも1つの単分子層が積層され、上記先端面の上にある最表面の単分子層中またはこの最表面の単分子層上に、化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置されている。
【0013】
好ましくは、上記先端面の上に複数の単分子層が積層され、この複数の単分子層を構成する単分子層の各々の分子密度は、上記先端面から外側に向かうに従って小さくなっている。
【0014】
好ましくは、上記少なくとも1つの単分子層は共有結合により積層されている。
【0015】
好ましくは、上記少なくとも1つの単分子層は有機分子から形成され、上記先端面の上にある最表面の単分子層に含まれる分子数は100以下である。
【0016】
好ましくは、本発明の探針は、複数の単分子層を有し、この複数の単分子層の各々に配置される化学センサー機能または触媒機能を有する分子は互いに異なる。
【0017】
本発明は、1つの局面で、導電性のポリマーを含む被覆層を備え、この被覆層内に無機触媒および有機触媒からなる群から選択される触媒を含む走査型プローブ顕微鏡の探針に関する。
【0018】
好ましくは、本発明の探針は、上記被覆層の上に積層される少なくとも1つの有機分子膜をさらに備え、最表面の有機分子膜中またはその上に化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置されている。
【0019】
好ましくは、上記被覆層内の触媒の機能と、上記化学センサー機能または触媒機能を有する分子の機能は互いに異なる。
【0020】
本発明は、1つの局面で、上記走査型プローブ顕微鏡の探針の製造方法に関し、この方法は、(a)探針に単分子層を積層する工程、および(b)該単分子層の上に別の単分子層を積層するか、または該単分子層に含まれる分子の分子構造を改変する工程を包含する。
【0021】
好ましくは、上記工程(b)は、上記単分子層に含まれる分子の末端を、置換効率1未満の化学反応によって官能基に置換すること、およびこの官能基と、この官能基に結合する分子を結合することを包含する。
【0022】
好ましくは、上記単分子層は有機分子から形成され、上記工程(b)は、探針の遠位先端部を触媒作用を有する固体表面に接触させることを包含し、それによって上記探針の遠位先端部の先端面上にある有機分子のみを反応させて改変する。
【0023】
好ましくは、上記単分子層は有機分子から形成され、上記工程(b)は、触媒作用のある領域が少なくとも1つ存在する固体表面上を探針で走査すること、および上記探針が上記領域と接触または接近したときに、上記探針の遠位先端部の先端面上にある有機分子のみを反応させて改変することを包含する。
【0024】
好ましくは、上記単分子層は有機分子から形成され、この有機分子は、基質となる物質の存在下で固体触媒と接触したとき化学反応によって分子構造が変わり、上記工程(b)は、上記基質の存在しない状態で探針を上記固体触媒の表面に向かって接近させ、次いで遠ざける往復運動を繰り返して、上記探針と上記固体触媒とを接近距離を調整すること、次いで上記基質の存在下でこの接近距離に上記探針と上記固体触媒とを接近させ、それによって上記有機分子の分子構造を変化させて改変することを包含する。
【0025】
好ましくは、上記の方法は、上記改変した有機分子に、化学センサー機能または触媒機能を有する有機分子を結合させる工程をさらに包含し得る。
【0026】
本発明は、1つの局面で、走査型顕微鏡の探針の製造方法に関し、この方法は、電気化学的に重合するモノマー溶液に探針を浸漬する工程、および上記探針に電圧を印加し上記モノマーを重合して被覆層を形成する工程を包含する。
【0027】
好ましくは、上記モノマー溶液は触媒分子を含む。
【0028】
好ましくは、上記方法は、被覆層を備えた探針を、触媒分子を含む溶液または分散液に浸漬する工程、および上記探針に電圧を印加することによって上記触媒分子を上記被覆層に取り込む工程をさらに包含する。
【0029】
本発明は、1つの局面で、探針を備えた走査型プローブ顕微鏡を用いて目的の分子を加工する方法に関し、この探針は、触媒分子が取り込まれた、導電性高分子を含む被覆層を備え、そしてこの方法は、上記探針を目的に分子に接近させる工程、上記導電性高分子に電圧を印加することによって、上記触媒分子を上記目的の分子に噴出し化学反応を引き起こす工程を包含する。
【0030】
本発明は、また上記の探針、上記探針と上記試料との相対的な位置を制御する手段、および上記探針と上記試料間の相互作用を検出する手段を備えた、走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0031】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明で用いる走査型プローブ顕微鏡の探針は、原子間力顕微鏡の探針、走査型トンネル顕微鏡の探針、磁気力顕微鏡の探針、走査型電気化学顕微鏡の探針などを使用することができる。最も一般的には原子間力顕微鏡の探針が用いられる。この探針はフォトリソグラフィー法により作ることができ、材質はシリコンや窒化シリコンがよく使われる。また探針の先端曲率半径は20−30nm程度である。さらに、カーボンナノチューブやウィスカーを探針として用いることも可能である。この場合は、これらをフォトリソグラフィー法で作製したシリコンや窒化シリコンの探針にエポキシ樹脂で固定する。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態1の走査型プローブ顕微鏡の探針を図1に示す。探針(1)には2層以上の単分子層(1、2、3、4、5)が積層されている。本明細書で用いる用語「単分子層」は、特定の分子が界面に一分子の厚さで配置された状態をいい、代表的には単分子膜を含む。図1に示されるように、積層された単分子層に含まれる分子の密度は、探針の表面から外側に向かうに従って小さくなっている。その結果、探針先端最表面の単分子層中の分子の数を最小限に押さえることができる。探針の最表面にある分子をセンサー分子や触媒分子(6)にすることにより、原理的に一個の分子の化学構造を測定したり加工したりすることが可能となる。また、最表面の単分子層に化学センサー機能や触媒機能を有する分子を固定しても、同様な機能を探針に付与することが可能である。また、単分子層は探針と積層されている単分子層との間、および積層されている各単分子層間が共有結合していれば、測定時や加工時において単分子層が探針から脱落することがないので、探針を繰り返し使用することができる。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態2の走査型プローブ顕微鏡の探針を図2に示す。図2の(A)に示すように、探針(1)の表面に有機単分子層(20)が形成されており、探針の先端部の試料と面する領域(先端面)の上にある100以下の分子から構成される単分子層が化学センサー機能を有するかもしくは触媒機能を有するので、原理的に試料中の一個の分子の化学構造を測定または加工することができる。なお、本明細書で用いる用語「先端面」または「探針先端面」は、探針先端部の試料と面する領域をいう。また、探針先端面上にある単分子層に化学センサー機能または触媒機能を有する分子を結合しても同様な機能を探針に付与することが可能である。また、単分子層と探針、および積層されている各単分子層間が共有結合していれば、測定時や加工時において単分子層が探針から脱落することがないので、探針を繰り返し使用することができる。
【0034】
図2の(B)は、探針先端面の上に、異なる化学センサー機能または触媒機能を有する二種以上の分子で単分子層(21、21’)を形成した場合を模式的に示す。探針先端面の上にある単分子層に、異なる化学センサー機能または触媒機能を有する二種以上の分子を結合しても同様な機能を探針に付与することが可能である。このような探針は、それぞれの機能分子が異なる化学センサー機能または触媒機能を有するので、探針による試料の一度の走査によって、異なる操作を同時に行うことが可能となる。
【0035】
(実施の形態3)
本実施の形態3の走査型プローブ顕微鏡の探針を図3に示す。図3の(A)に示されるように、探針の表面は導電性のポリマー(30)で被覆され、ポリマー内には無機触媒および有機触媒から選択される触媒(31)が含まれていることを特徴とする。図3の(B)は、導電性のポリマー(30)を含む被覆層の上に少なくとも1つの有機分子膜(32)を積層し、探針の先端面の上にある最表面の有機分子膜に化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置される例を示す。図3の(B)では、機能分子(33)が有機分子膜(32)に結合して示されている。そして導電性ポリマー(30)内の触媒(31)と探針の先端面の上にある最表面の有機分子膜に配置される機能分子(33)が、それぞれ異なる機能を有するため、探針による試料の一度の走査によって、異なる操作を同時に行うことが可能となる。
【0036】
(実施の形態4)
次に、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の一番目の作製方法は、図4で示すように、探針(1)に第一層目の単分子層(42)を積層する工程、置換効率1未満の化学反応により単分子層(42)に含まれる一部の分子の末端基を別の官能基に置換する工程、置換された官能基(43)と結合する分子から構成される第二層目の単分子層(44)を形成する工程、同様に、第二層目(44)に第三層目の単分子層を積層して2層以上の単分子層を積層した探針を作製する工程からなることを特徴とする。
【0037】
例えば、先端曲率半径20nmの探針先端面にアルキル鎖を有する第一層目の単分子層(42)が被覆率100%で形成されていれば、ここには約1万個の分子を含む単分子層が存在することになる。この単分子層(42)に置換効率0.5で2層目の単分子層(44)を形成し、同様に置換効率0.5で三層目の単分子層といったように次々に積層していくと、探針先端面上の11層目の単分子層に含まれる分子の数は約10個程度になる。
【0038】
このような構造を本明細書では、「ピラミッド構造」と呼ぶ。
【0039】
探針表面に作製する第一層目の単分子層(42)は、自己集積化方法で作製することができる。例えば、分子末端にチオール基(−SH)やクロロシリル基(Si−Cl)、アルコキシシリル基(Si−OR;Rはメチル基、エチル基などのアルキル基)を有する長鎖分子が溶解した溶液中に探針を一定時間浸漬反応させることにより単分子層(42)を探針表面に形成することが可能である。
【0040】
なお、分子末端がチオール基の場合は、あらかじめ探針表面を金で被覆しておく必要がある。これらの単分子層の中でも、分子末端がクロロシリル基を有する分子である場合、探針と強固に化学結合をするため、耐久性に優れた単分子層が形成できる。ここで、単分子層に含まれる分子の他の分子末端がビニル基(C=C)、ブロモ基(−CBr)であれば、次の工程でこの分子末端を、アミノ基(−NH)、カルボキシル基(−COOH)、シラノール基(−SiOH)、水酸基(−OH)等の反応性の高い官能基に置換し易い。そして、置換効率を1未満にすると、第一層目の単分子層に含まれる一部の分子の分子末端が反応性の高い官能基に置換される。
【0041】
次に、置換された官能基に反応して結合する分子を用いて二層目の単分子層を形成する。例えばクロロシリル基やアルコキシリル基を有する分子ならば、上述した官能基と反応して化学結合を作ることができる。また、例えば、一層目に含まれる分子の分子末端がアミノ基に置換されたならば、カルボキシル基を有する第二層目の分子とペプチド結合(−NH−CO−)を形成できる。以下同様に、第二層目の単分子層に含まれる分子の分子末端を1未満の反応効率で反応性の高い官能基に置換した後、第三層目の単分子層を形成する。このようにしてゆくと、最も外側の単分子層の分子密度が低い多層構造を形成することができる。そして、外側の単分子層にセンサー機能や触媒機能を付与すれば、原理的には分子一個の化学構造を調べたり加工を行ったりできる。
【0042】
また、最も外側の単分子層に含まれる分子にDNAの塩基、抗体、蛋白質などの分子を結合させても良い。ところで、図4では探針先端面に最も外側の分子が存在する様になっているが、探針先端面に分子が無い場合もある。このような場合は、外側の分子が存在する探針の領域を被測定試料に近接する様に探針をその長軸またはそれに垂直な任意の軸を中心に回転または移動すればよい。この場合、試料に最も近接した部分が探針先端面となる。
【0043】
(実施の形態5)
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の二番目の作製方法は、探針に有機単分子層を形成する工程、探針先端面を、触媒作用を有する固体表面に接触させることにより、探針先端面にある有機単分子層を化学反応させる工程からなることを特徴とする。ここで、探針が固体表面と接触する部分を制御することにより、探針先端面の単分子層のみの化学構造を改変することが可能となる。そして、この改変された部分に化学センサー機能もしくは触媒機能を有する分子を固定することにより、探針の先端面のみに化学センサー機能や触媒機能を付与することが可能となる。
【0044】
この例を図5に示す。探針(1)には第一番目の探針の作製方法で用いた自己集積化単分子層(52)を積層する。そして、単分子層に含まれる分子の他の分子末端が特定の固体触媒(53)と接触したときに化学反応が起こるような官能基にしておく。例えば、分子末端をアジド基(−CN)にすれば、この官能基は、水素ガスを含む溶液中で白金(53)に接触すると、アミノ基に置換される。従って、水素ガスを含んだ水溶液中で探針先端を白金板に近づけると、白金板に接触した探針部先端面の単分子層に含まれる分子の末端がアミノ基に置換される。このアミノ基を介してセンサー分子や触媒分子(55)を結合すれば、探針先端面のみにセンサー分子や触媒分子が存在することになり、原理的には一個の分子の化学構造を調べたり加工したりすることが可能となる。
【0045】
さらに、上記のように探針先端面に第1のセンサー分子または触媒分子を結合した後、探針をその長軸またはそれに垂直な任意の軸を中心として回転または移動させてさらに上記の操作をもう一度行うことにより、探針先端面の異なる部位に異なる機能を持つ第2のセンサー分子または触媒分子を配置することが可能となる。このように、探針先端面に異なる機能を持つ複数種のセンサー分子や触媒分子を配置することにより、探針による試料の一度の走査によって、異なる操作を同時に行うことが可能となる。
【0046】
(実施の形態6)
探針と触媒の接触を調整するためには、三番目の作製方法がより有用である。すなわち、まず探針表面上に有機単分子層を形成し、次に、触媒作用のある領域が少なくとも一カ所以上存在する固体表面上を探針で走査し、探針が触媒領域のある箇所に接触または接近したときに、探針先端面のみの有機分子を化学反応させる。この方法では、探針が触媒以外の表面を走査しているときに探針と固体間の距離を調整しおけば、探針と触媒作用を持つ固体との接触面積を正確に制御でき、その結果、特定の探針先端面のみの単分子層の化学構造を変換することが可能となる。そして、この変換された部分に化学センサー機能もしくは触媒機能を有する分子を固定することにより、探針先端面のみに化学センサー機能や触媒機能を付与することが可能となる。
【0047】
(実施の形態7)
さらに、探針と触媒の接触を調整するためには、四番目の作製方法も有用である。すなわち、有機単分子層を走査型プローブ顕微鏡の探針表面上に形成する。この単分子層は所定の基質の存在下で触媒と接触すると反応する。次に、探針を前記固体触媒表面に向かって接近しその後遠ざかる往復運動を繰り返して探針と固体触媒との再接近距離を調整し、その後基質を探針と前記固体触媒近傍に存在させて、探針が前記固体触媒と再接近したときに探針先端面の有機単分子層の化学構造を変化させる。
【0048】
この方法を用いれば、探針と触媒作用を持つ固体との接触面積を正確に制御でき、その結果、特定の探針先端面のみの単分子層の化学構造を改変することが可能となる。そして、この改変された部分に化学センサー機能もしくは触媒機能を有する分子を結合することにより、探針先端面のみに化学センサー機能や触媒機能を付与することが可能となる。
【0049】
(実施の形態8)
本発明の走査型プローブ顕微鏡の五番目の探針の作製方法は、電気化学的に重合するモノマーと触媒分子が溶解した溶液に導電性の探針を浸漬し、探針に電圧を加えることによりモノマーを探針上で重合させて被覆層を形成すると同時に触媒分子も前記被覆層中に取り込ませることを特徴とする。
【0050】
(実施の形態9)
本発明の走査型プローブ顕微鏡の六番目の探針の作製方法は、導電性の探針を電気化学的に重合するモノマー溶液に浸漬し、探針に電圧を加えることによりモノマーを探針表面上で重合させて被覆層を形成する工程、探針を触媒分子の溶解した溶液中に浸漬し、探針に電圧を加えて溶液中の触媒分子を静電引力により上記被覆層中に取り込ませる工程からなることを特徴とする。第五番目と六番目の探針の作製方法では、電気化学的に重合するモノマーとしてピロールやアニリンを用いることができる。モノマーを溶解する溶媒としては水溶液や有機溶剤に電解質を溶かしたものを用いる。触媒分子がタンパク質の場合は、緩衝溶液が適している。緩衝溶液では、溶液に含まれる塩が電解質として作用し、タンパク質の変性を抑制するからである。探針へのモノマーの重合は、溶媒に対して一定の電圧を探針に印加すればよく、探針へ形成する重合膜(被覆層)の膜厚は、電圧の印加時間や電解により探針に流れる総電荷量を制御することにより行う。
【0051】
また、本発明は、探針の先端面以外にもセンサー分子や触媒分子が配置された探針でも原理的に有機分子一個を加工できる探針と加工方法を提供する。図6に、その一例を示してある。探針(1)には電圧を印加できる導電性材料を用いる。従って、走査型電気化学顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡の探針を用いることが好ましい。探針(1)の表面上にはポリピロールやポリアニリン、ポリジアセチレンなどの導電性高分子(62)が被覆され、この高分子の中には触媒分子(63)が取り込まれている。そして、触媒分子(63)が電荷を有する場合、探針(1)に電圧を加えることにより触媒分子(63)は探針(1)から吐出される。電荷を有する触媒分子を選ぶことは容易である。例えば、酵素を用いる場合は、酵素の等電点と異なるpHの水溶液中では酵素は正か負のどちらかに帯電する。
【0052】
また、触媒(63)が白金微粒子の場合も同様に、水溶液のpHを制御することにより微粒子に電荷を持たせることが可能である。探針(1)を加工したい分子の近傍に近づけて探針に電圧を加えると触媒分子(63)は吐出されるが、その吐出方向はバラバラで、加工したい分子に近づくものもあれば、近づかずに溶液中に拡散していくものもある。また、膜中の電界が大きいほど触媒の吐出速度は大きくなる。一方、探針(1)の先端では曲率半径が小さいため電界が集中し、触媒(63)の吐出速度が大きくなる。この結果、探針(1)を試料分子にできるだけ近づけてから探針に電圧を加えると、探針先端面にある触媒分子のみを加工したい分子に近づけ、他の部分の触媒分子は溶液中に拡散させることが可能である。従って、この探針と加工方法を用いれば、原理的には一個の分子のみを加工することが可能となる。
【0053】
さらに、実施の形態8および9で示した重合膜(被覆層)は、表面にアミノ基などの官能基が存在している。これらの官能基を利用して、先に記載の本願の第一番目の探針の作製方法で用いた材料、つまり一方の末端にクロロシリル基やアルコキシシリル基を持つ有機分子をこれらの官能基と反応させることにより、被覆層表面に有機分子膜を積層することが可能である。さらに、有機分子の他の分子末端を、アジド基など他の分子末端が特定の固体触媒と接触したときに化学反応が起こるような官能基にしておくことにより、先に記載の本願の第二番目の探針の作製方法を用いて、探針先端面にのみセンサー分子や触媒分子を結合することも可能である。このとき、導電性ポリマー内の無機触媒または有機触媒と、有機分子膜に配置されるセンサー分子または触媒分子の機能を異なるものにしておけば、探針による試料の一度の走査によって、探針先端面のセンサー分子や触媒分子を用いた操作を行った後、探針に電圧を加え、導電性ポリマー内の無機触媒または有機触媒を吐出させることにより、異なる操作を同時に行うことが可能となる。なお、導電性ポリマー層の表面に積層される有機分子膜は、非常に粗な構造をしているので、探針に電圧を加えて触媒分子を吐出する操作を妨げることはない。
【0054】
以上本発明の実施の形態を示したが、以下の実施例でさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例によって制限されない。
【0055】
以下、本発明を実施例により具体的に例示する。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
【0056】
(実施例1)
窒化シリコン製の原子間力顕微鏡の探針をオゾン存在下で紫外線を照射して表面を洗浄した。次に、第一層目の単分子層を形成するために、18−ジメチリシリルオクタデシルトリクロロシラン(H(CHSi(CH18SiCl)が1vol%溶解したn−ヘキサデカンとクロロホルムの混合溶液(体積比4:1)に探針を1時間浸漬した。次に、探針を取り出しクロロホルムで洗浄した。これらの作業は、乾燥窒素ガスで満たされたグローブボックス中で行った。この結果、探針表面にはH(CHSi(CH18Si−Oの第一層目単分子が形成された。次に、この探針を水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)とメタノール混合溶液中に約10分浸漬処理した後水洗した。この結果、第一層目の一部の単分子層の分子末端はシラノール基(SiOH)となった。
【0057】
次に、この探針を16−ビニルヘキサデシルトリクロロシラン(CH=CH(CH16SiCl)が1vol%溶解したn−ヘキサデカンとクロロホルムの混合溶液(体積比4:1)に1時間浸漬した。次に、探針を取り出しクロロホルムで洗浄した。これらの作業は乾燥窒素ガスで満たされたグローブボックス中で行った。この結果、探針にCH=CH(CH16Si−Oの第二層目単分子層が積層され、その膜密度、つまり単分子層中に含まれる分子の密度は第一層目の単分子層よりも小さくなった。次に、この探針をジボランが1mol/lの濃度で溶解したテトラヒドロフラン溶液で約10秒反応させた。この作業は、アルゴン雰囲気中で行った。次に、この探針を過酸化水素水(H)と水酸化ナトリウム(NaOH)の混合溶液(過酸化水素水30vol%、水酸化ナトリウム0.1mol/l)で1分反応させた。この結果、第二層目の単分子層に含まれる分子の一部の分子末端がアルコール基(COH)に変換された。次に探針を10−ブロモデシルトリクロロシラン(BrCH(CHSiCl)が1vol%溶解したn−ヘキサデカンとクロロホルムの混合溶液(体積比4:1)に1時間浸漬した。
【0058】
次に、探針を取り出しクロロホルムで洗浄した。これらの作業は乾燥窒素ガスで満たされたグローブボックス中で行った。この結果、BrCH(CHSi−Oの第三層目単分子層が形成され、その膜密度は第二層目単分子層よりも小さくなった。次にこの探針を、ジメチルホルムアミド25mlにNaNが200mg溶解した溶液に探針を1時間浸漬させて再びジメチルホルムアミドで探針を洗浄した。この操作により第三層目の一部の単分子層に含まれる分子の分子末端のBrがNに置換された。次に、10gのLiAlHが溶解した1リットルのエーテル溶液に探針を1晩浸漬した後、エステル溶液で洗浄した後10vol%の塩酸溶液に浸漬した。その後、この探針を(CN溶液に2時間浸漬した後、クロロホルムで洗浄した。その結果、Nに置換された分子末端はNHに置換された。
【0059】
なお、以上と同じ処理を探針と同じ材質の窒化シリコン基材表面にも行い、その表面に形成された有機分子膜をFT−IR法により分析した。その結果、第一層目の単分子層に含まれる分子の約1/1000に第二層目の分子が、第二層目の単分子層に含まれる分子の約1/10000に第三層目の分子が積層されていることが分かった。従って、探針上の有機分子膜も、一層目から三層目となるに従って層中に含まれる分子の密度が小さくなっていることが間接的に証明された。
【0060】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で最外層の単分子層に含まれる分子の末端がアミノ基である多層構造を探針に形成した。次いで、この探針をグルタルアルデヒドが2.5wt%溶解した水溶液に30分浸漬して水洗し、その後、酵素であるグルコースオキシターゼ(酵母由来)10wt%が溶解したpH=7.0のリン酸緩衝溶液に1時間浸漬した。この結果、多層膜の最表面の単分子層に含まれる分子の末端のアミノ基と酵素が共有結合した。
【0061】
(実施例3)
窒化シリコン製の原子間力顕微鏡の探針をオゾン存在下で紫外線を照射して表面を洗浄した。次に、10−ブロモデシルトリクロロシラン(BrCH(CHSiCl)が1vol%溶解したn−ヘキサデカンとクロロホルムの混合溶液(体積比4:1)に探針を1時間浸漬した。次に、探針を取り出しクロロホルムで洗浄した。これらの作業は乾燥窒素ガスで満たされたグローブボックス中で行った。その結果、10−ブロモデシル基を有する単分子層が探針に形成された。次に、ジメチルホルムアミド25mlにNaNが200mg溶解した溶液に探針を12時間浸漬させて再びジメチルホルムアミドで探針を洗浄した。この操作により単分子層に含まれる分子の末端BrをNに置換した。次に、AFM装置にこの探針を装着して、圧電素子を用いて探針を白金を蒸着したシリコン基板に近づけた。このとき、探針とシリコン基板はともに水素ガスを含む2−プロパノールに接触するように工夫しておいた。この結果、探針先端面にある単分子層に含まれる分子の末端が白金の触媒作用によってアミノ基(−NH)に置換された。
【0062】
なお、探針先端面にある単分子層がアミノ基に置換されたことは以下の測定を行って確認した。すなわち、図7で示すように、金でコートしたシリコン基板上に、オクタデカンチオール(CH(CH17SH)(72)と14−カルボニルヘキサデカンチオール(COOH(CH14SH)(71)のパターンを形成し、上記の方法で作製した探針を用いて摩擦力の分布を測定した。なお、メチル基とカルボキシル基の単分子層が区別できるように、メチル基を有する単分子層の炭素数はカルボキシル基を有する単分子層よりも4個多くした。
【0063】
エタノール中で測定した結果、カルボキシル基を有する単分子層上の摩擦力がメチル基を有する単分子層上の摩擦力よりも大きくなった。また、未処理の探針や、アミノ基に変換する前の単分子層が形成された探針を用いて同様の測定を行ったところ、パターン化された両者の単分子層の間で、摩擦力の差は測定できなかった。これは、アミノ基とカルボキシル基とのファンデルワールス力がアミノ基とメチル基との間のそれよりも大きく、その結果、摩擦力が大きくなったものと推測できる。従って、探針先端面の単分子層にはアミノ基が形成されているものと考えられる。
【0064】
さらに、上記の方法で作製した探針と14−カルボニルヘキサデカンチオールの単分子層の間でフォースカーブを測定した。フォースカーブは、試料をZ軸方向に周波数1Hzの周期で往復運動させて、探針と試料との接触と非接触を繰り返し行い、このときに探針に働く力と試料のZ方向の移動距離(探針−試料間の距離と相関がある)の関係を調べるものである。
【0065】
図8の(A)は、今回測定したフォースカーブの代表的なものである。フォースカーブはエタノール中で測定した。横軸は圧電素子のZ軸方向の移動距離で、今回は試料(83)が圧電素子の上に固定されているので試料の移動距離となる。また、縦軸はてこ部(82)のたわみであり、図中のZero Lineより上では探針(81)に斥力が働いててこ部(82)は試料側にたわみ、下では探針(81)に引力が働きてこ部(82)は試料と反対方向にたわむ。探針(81)と試料(83)が充分離れている状態(a)では、探針と試料間には力がほとんど働かないのでてこはたわまない。圧電素子を伸ばして試料(83)を探針側に近づけていくと、ファンデルワールス引力により探針(81)は突然試料(83)に接触して、(b)で示した状態となる。このようなことが起こるのは、てこ部(82)のバネ定数が探針(81)に働くファンデルワールス力の探針−試料間の微分値よりも小さいことが原因である。
【0066】
さらに圧電素子を伸ばして試料(83)を探針側に押しつけていくと、探針(81)には反発力が働きてこ部(82)は試料と逆方向にたわんだ状態(c)となる。次に、圧電素子を縮める。探針(81)と試料(83)が最初に接触したところまで圧電素子を縮めても探針(81)は試料(83)から離れない。さらに圧電素子を縮めて初めて探針(81)は試料(83)から離れる。この離れる瞬間を状態(d)で示してある。いったん試料(83)に接触した探針(81)を引き離すのに必要な力を吸着力と定義する。この吸着力は、探針(81)と試料(83)間に働くファンデルワールス力にほぼ等しい。今回測定したファンデルワールス力は探針先端のアミノ基とカルボキシル基との間に働く力が原因であると考えられる。
【0067】
図8の(B)は別のフォースカーブであるが、上述したフォースカーブとは以下の点で異なる。すなわち、探針(81)が試料(83)に接触してからの探針の試料への押しつけ量が異なる。このフォースカーブでは、押しつけ量が前述したものに比べて少ない。その一方、押しつけ量が異なると、探針(81)と試料(83)間の接触面積が異なる。すなわち、探針(81)により試料(83)が弾性変形して、押しつけ量が大きいほど探針と試料間の接触面積が大きくなる。今回のフォースカーブでは、押しつけ量が異なるにも関わらず、吸着力はほぼ同じ大きさであった。これは、探針先端面のみに存在するアミノ基が主にファンデルワールス力に寄与しており、その他の部分がファンデルワールス力には寄与していないことを意味する。従って、探針部先端面のみにアミノ基が形成されていることが証明された。
【0068】
参考として、実施例1と同様の方法により、探針全体に末端がアミノ基の単分子層を形成し、この探針を用いて末端がカルボキシル基の単分子膜との間でフォースカーブを測定した。すると、探針を試料単分子膜に押しつける力が大きいほど吸着力が大きくなった。このことは、末端がアミノ基の単分子層が探針全体を覆っていることを示す。
【0069】
(実施例4)
実施例3と同様の方法で単分子層に含まれる分子の末端がNHの単分子を探針に形成した。その後、この探針をグルタルアルデヒドが2.5wt%溶解した水溶液に30分浸漬した後水洗し、その後、酵素であるアミノペプチターゼ(牛尿細管由来)10wt%が溶解したpH=7.0のリン酸緩衝溶液に1時間浸漬した。この結果、分子末端がアミノ基である分子を含む単分子層に酵素が結合した。次に、この探針を用いてタンパク質薄膜の加工を試みた。このために、試料基板として、ラングミュア−ブロジェット法により牛血清アルブミンの単分子膜をシリコン基板上に固定した。なお、アルブミンは水/気体界面に吸着しやすいので、通常の方法によりシリコン基板上にアルブミンの単分子膜を形成することができる。
【0070】
次に、アルブミンの単分子膜が固定されたシリコン基板と先端面にアミノペプチターゼが固定された探針をともに緩衝溶液中に浸した。このとき、あらかじめ緩衝溶液にはポリペプチターゼの阻害剤を入れておいた。ここで、アミノペプチターゼはタンパク質のポリペプチド結合を加水分解する働きがある。次に、フォースカーブを測定し、探針と試料との接触面積が0.1×0.1nm程度になるように調整した。この状態で探針が試料のアルブミンの薄膜に接しても、阻害剤の影響で探針はアルブミンを加水分解しない。次に、この状態で、緩衝溶液を連続的に入れ替えて阻害剤を除去した。次に、再び阻害剤の溶解した緩衝溶液を連続的に入れ替えた。その後、フォースカーブを測定した点を中心として、20×20nmの範囲を探針−試料間の力を一定にして測定した。
【0071】
この結果、0.1×0.1nmの範囲のアルブミンが無くなり穴があいていることが観測された。参照として、酵素を固定していない探針を用いて同じことを行ってもアルブミンに穴は開かなかった。このことは、アミノペプチターゼを固定している探針先端面がアルブミンの単分子膜に接触すると酵素の作用によりアルブミンのポリペプチド結合を加水分解し、加水分解した化合物が水中に溶解したため穴が開いたことを示す。
【0072】
(実施例5)
実施例3と同様の方法でチッ化シリコン製の原子間力顕微鏡の探針に末端がNである分子を含む単分子層を形成した。また、白金薄膜のパターンの形成されたシリコン基板を形成した。このシリコン基板(91)は、図9で示すように、3×3μmの白金のパターン(92)が形成されている。次に、探針と基板を2−プロパノール溶液に浸漬し、探針で30×30μmの範囲を探針と基材間の力を一定に保ったまま測定した。すると、白金のパターン(92)が観測された。この測定条件では2−プロパノール中には水素が含まれていないので、探針が白金に接触した状態でも探針先端面のNはNHに置換されない。次に、探針を基材上を走査しながら、圧電素子のフィードバックを調整し探針と基板間の反発力が1.5nNになるように調整した。その後、2−プロパノール中に、基質として水素ガスを導入した。その結果、探針が白金に接触したときに探針先端面の単分子層のNはNHに置換された。
【0073】
実施例4と同様に末端がカルボキシル基である分子を含む単分子層上でフォースカーブを測定した。探針が試料単分子層に接触してから押しつける力を増やしていくと、吸着力が増大した。しかし、押しつける力を1.5nNより大きくしてももはや吸着力は増大しなかった。このことは、探針部先端面のみの単分子層末端がアミノ基に置換されていることの間接的な証明となる。なお、1.5nNの力で押しつけた場合の探針と試料との接触面積はHertzian contactの式(1)から計算できる。
【0074】
S=k×(P)2/3 (1)
ここで、Sは接触面積(nm)、Pは探針と試料との間の反発力(nN)、kは定数であり、探針と試料の弾性定数、および探針先端部の曲率半径により決まる。
【0075】
今回の実施例では、探針が窒化シリコン、試料基板がシリコンを用い、曲率先端半径が50nmであるので、kは2.3程度となる。従って、1.5nNの反発力ではS=3となる。従って、探針先端面の3nmの部分がアミノ基であるといえる。ここで、単分子層一分子の面積は0.25nmであるので、探針先端面に存在する分子12個の分子末端がアミノ基になっていると評価できる。
【0076】
(実施例6)
実施例5と同様の方法で末端がNHである分子を含む単分子層を探針に形成した。その後、この探針をグルタルアルデヒドが2.5wt%溶解した水溶液に30分浸漬した後水洗し、その後、酵素であるアミノペプチターゼ10wt%が溶解したpH=7.0のリン酸緩衝溶液に1時間浸漬した。この結果、単分子層に含まれる分子の末端がアミノ基である単分子層に酵素が結合した。また、実施例4と同様にタンパク質膜の加工を行った。ただし、フォースカーブ測定においては探針と試料タンパク質膜との接触面積は10×10nm以上とした。もし、探針全体にアミノペプチターゼが結合していたらならば、探針がタンパク質膜に接触した面積分だけ膜に孔が開くはずである。しかし、実際に加工された膜は1nm以下であった。このことは、探針先端面のみにアミノペプチターゼが固定されていることを示す。
【0077】
(実施例7)
実施例3と同様の方法で窒化シリコン製の原子間力顕微鏡の探針に末端がNである分子を含む単分子層を形成した。また、白金の薄膜をシリコン基板上に形成した。次に、探針と基板を2−プロパノール溶液に浸漬し、フォースカーブを測定した。フォースカーブは、x−y方向には試料を移動せず、z方向のみに上下往復運動をさせ、探針に働く力と試料の移動距離との関係を調べる方法である。フォースカーブを測定しながら、z方向の移動距離を調整することにより、探針と試料との間の接触面積を調整することができる。そこで、探針と白金との接触面積が1nmとなるようにフォースカーブを調整した。この状態で探針が白金に接触しても接触したNはNHには置換されない。ここで、2−プロパノール中に水素ガスを導入すると、白金に接触した1nmの面積にある単分子層末端のNがNHに置換された。なお、探針先端面のこの面積に存在する単分子層に含まれる分子の末端がNHに置換されたことは、実施例5と同様のフォースカーブ測定により確認した。
【0078】
(実施例8)
実施例7と同様の方法で末端がNHである分子を含む単分子層を探針に形成した。その後、この探針をグルタルアルデヒドが2.5wt%溶解した水溶液に30分浸漬した後水洗し、その後、酵素であるアミノペプチターゼ10wt%が溶解したpH=7.0のリン酸緩衝溶液に1時間浸漬した。この結果、末端がアミノ基である分子を含む単分子層に酵素が結合した。また、実施例4と同様にタンパク質膜の加工を行った。ただし、フォースカーブ測定においては探針と試料タンパク質膜との接触面積は10×10nm以上とした。もし、探針全体にアミノペプチターゼが固定されていたらならば、探針がタンパク質膜に接触した面積分だけ膜に孔が開くはずである。しかし、実際に加工された膜は1nm以下であった。このことは、探針先端面のみにアミノペプチターゼが結合していることを示す。
【0079】
(実施例9)
実施例7と同様の方法で末端がNHである分子を含む単分子層を探針に形成した。その後、この探針にデオキシリボヌクレアーゼ(牛膵臓由来)を実施例8と同じ方法により結合した。デオキシリボヌクレアーゼは、DNAのリン酸エステル結合を加水分解してDNAを切断する酵素である。
【0080】
次に、100塩基からなる一本鎖DNAを雲母基板上に固定した。以下にDNAの固定方法を示す。劈開した白雲母を水蒸気プラズマ処理により表面に水酸基を導入した。その後、雲母基板を3−アミノプロピルトリメトキシシランの1vol%のエタノール溶液に1時間浸漬後、エタノール、水の順序で洗った後、100℃で10分乾燥した。この操作により、雲母上には分子末端がアミノ基の単分子膜が形成される。その後、100塩基対からなる一本鎖DNAが1vol%溶解した純水に雲母を10分間浸漬して軽く水洗いした後室温で乾燥させた。中性の水溶液中では、雲母上の単分子層はアミノ基が電離してプラスに、DNAは負に帯電しているので、以上の方法によりDNAは雲母基板上に固定される。
【0081】
次に雲母基板と探針をpH=7のリン酸緩衝溶液に浸し、測定を行った。測定は、デオキシリボヌクレアーゼの阻害剤存下で行った。阻害剤存在下ではデオキシリボヌクレアーゼは酵素活性が無く、DNAと接触してもDNAを切断することはない。測定により、基板上でのDNAの存在する位置を見つけだした。そして、探針をDNA上に移動してDNA上でフォースカーブを測定した。フォースカーブ測定では、探針とDNAの接触面積は1nm以上に調整した。この状態で緩衝溶液を連続的に入れ替え、阻害剤を除いた。この状態では、探針がDNAに接触するとデオキシリボヌクレアーゼの作用によりDNAが加水分解されて切断される。その後、再び阻害剤の溶解した緩衝溶液に連続に入れ替え、再びDNAを測定した。その結果、DNAには切断箇所が見つかった。そして、その切断による切れ目の大きさは0.1nm以下であった。もしも、探針全体にデオキシリボヌクレアーゼが固定されていたならば、探針と接触したDNAの部分が加水分解されるので、切断の切れ目はもっと大きくなるはずである。今回の結果は、探針先端面のみにデオキシリボヌクレアーゼが固定されていることを示す。
【0082】
(実施例10)
白金で形成されたSTMの探針をピロール10mM、アミノペプチターゼ(牛細尿管由来。等電点pH=5.0)が1wt%溶解したpH=7のリン酸緩衝溶液に浸漬して、探針に0.7V(Ag/AgClの標準参照電極に対して)を1ms加えることにより、探針表面にポリペプチターゼを含有するポリピロール膜を形成した。
【0083】
(実施例11)
白金で形成されたSTMの探針をピロール10mM溶解したpH=7のリン酸緩衝溶液に浸漬して、探針に0.7V(Ag/AgClの参照電極に対して)を1ms加えることにより、探針の表面にポリピロール膜を形成した。次に、アミノペプチターゼ(牛細尿管由来。等電点pH=5.0)が10wt%溶解したpH=7.0のリン酸緩衝溶液に浸し、1.0Vの電圧(Ag/AgClの標準参照電極に対して)を探針に加えた。PH=7.0ではアミノペプチターゼは負に帯電しているので、電界に引かれてポリピロール内に引き込まれた。
【0084】
(実施例12)
導電性のAFMの探針を用意した。この探針は一般にAFMに用いられている探針に白金を蒸着することにより作製できる。本実施例で用いる走査型プローブ顕微鏡の基本的な構造はAFMと同一であるが探針に付加機能が加わっている。加わった付加機能を図10で説明する。この図では、AFMの基本的な制御機能は省略してある。探針(101)にはポテンショスタット装置(104)を介して対極(106)と参照電極(105)がつながっている。対極(106)は試料台を兼ねている。参照電極(105)は溶液に対して常に一定の電圧値を保っている。ポテンショスタット装置(104)は、探針(101)に参照電極(105)に対して一定の電圧を加えることができるため、探針(101)には溶液に対して一定の電圧を設定できる。そしてポテンショスタット装置(104)では、探針−参照電極間の抵抗は無限大であり、探針表面で発生する電気化学的な電流は探針−対極にのみ流れるようになっている。
【0085】
導電性のAFMの探針(101)をピロール10mM、デオキシリボヌクレアーゼ(牛膵臓由来。等電点pH=5.0)が1wt%溶解したpH=7のリン酸緩衝溶液に浸漬して、探針(101)に0.7V(Ag/AgClの標準参照電極(105)に対して)を1ms加えることにより、探針表面にデオキシリボヌクレアーゼを含有するポリピロール膜を形成した。
【0086】
次に、100塩基からなる一本鎖DNAを雲母基板上に固定した。以下にDNAの固定方法を示す。劈開した白雲母を水蒸気プラズマ処理により表面に水酸基を導入した。その後、雲母基板を3−アミノプロピルトリメトキシシランの1vol%のエタノール溶液に1時間浸漬後、エタノール、水の順序で洗った後、100℃で10分乾燥した。この操作により、雲母上には末端がアミノ基である分子を含む単分子膜が形成される。その後、100塩基対からなる一本鎖DNAが1vol%溶解した純水に雲母を10分間浸漬して軽く水洗いした後室温で乾燥させた。中性の水溶液中では、雲母上の単分子膜はアミノ基が電離してプラスに、DNAは負に帯電しているので、以上の方法によりDNAは雲母基板上に固定される。
【0087】
DNAの固定された雲母基板とAFMの探針をpH=7のリン酸緩衝溶液に浸し一本鎖DNAを測定した。測定は、探針(101)と試料(102)との間の反発力が一定になるように圧電素子(103)を調整しながら行った。そして、一本鎖DNAの存在する場所を見つけだした。次に探針がDNAの上に来た瞬間に、探針に1nsの間だけ参照電極(105)に対して−1.0Vの電圧を加えた(同時に探針(101)と対極(106)とが電気的に接合する)。その後再びDNAを観測したところ、DNAの一カ所が切断されていることが観測された。このことは、探針(101)に電圧を加えることによりピロール内のデオキシリボヌクレアーゼが溶液中に拡散し、特に、探針先端面のデオキシリボヌクレアーゼがDNAに接触して触媒作用によりDNAのリン酸エステル結合を加水分解したものと推測される。ここで、DNAの切断箇所が一カ所であることは、探針先端面から噴出されたデオキシリボヌクレアーゼのみがDNAに接触したことを示し、それ以外のデオキシリボヌクレアーゼはDNAに作用しなかったことを示す。なぜなら、もし多数のデオキシリボヌクレアーゼがDNAに作用したとすれば、DNAの切断箇所は多数存在することになるからである。以上のことより、本発明の探針により、分子レベルで微細な分子加工ができることが示された。
【0088】
(実施例13)
実施例3と同様の方法で、探針先端の単分子層に含まれる分子の末端をアミノ基に置換した後、実施例9と同様の方法で、探針の先端面にデオキシヌクレアーゼを固定した。次に探針の先端面をその長軸を中心に1度回転させ、もう一度実施例3と同様の方法で、デオキシリボヌクレアーゼが固定された部位と異なる部位にある単分子層に含まれる分子の末端をアミノ基に変換した。そして、10mMのカルボキシル基を導入したアデニンを含むヌクレオチドと、10mMの1ーエチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドとが溶解したpH=7.4のリン酸緩衝液を1時間反応させ、共有結合により、探針先端面のデオキシリボヌクレアーゼが固定された部位とは異なる部位に、アデニンを含むヌクレオチドを結合した。
【0089】
次に、実施例9と同様の方法で、30塩基からなる一本鎖DNAを雲母基板上に固定した。次に、探針と雲母基板をpH=7の緩衝液に浸し、デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤の存在下、探針と雲母基板との間に働く力が一定になるようにして圧電素子にフィードバックをかけながら雲母基板表面を走査して測定し、雲母基板上でDNAの存在する位置を見つけ出した。そして、探針をDNA上に移動して、探針先端面のアデニンを含むヌクレオチドが最も基板に接近する状態で、探針と基板表面間に働く力が一定になるように、探針と基板表面の間の距離を調製しながら、原子レベルの精度(0.1オングストロームの精度)でこの探針でDNA上を走査したところ7ヶ所において突起が測定された。これらは、以下のように解釈された。すなわち、探針に固定されたアデニンとDNA中のチミン間には水素結合による力が働き、この力は、この探針と他の塩基や基板表面間に働く力よりも充分大きく、そのため、探針は、DNA中のチミン上に来たとき、原子間力を一定にするためにDNAから大きく離れようとする。従って、従来のAFMでは見られない突起がDNA上に観測されたのである。そこで、この突起の位置にチミンがあると判断された。以上のことより、DNA上にある7ヶ所のチミンの位置が測定された。
【0090】
そこで、もう一度同じ探針を用いて、上記と同様に上記DNA上を走査し、3ヶ所目の突起、つまり、3ヶ所目のチミン上と判断された部位で、探針の走査を停止した。この位置で、デオキシリボヌクレアーゼが基板上のDNAと最も接近する状態にするように、探針の先端面をその長軸を中心に1度回転させた後、フォースカーブを測定した。フォースカーブ測定では、探針とDNAの接触面積は1nm以上に調整した。この状態で緩衝液を連続的に入れ替え、阻害剤を除いた。この結果、デオキシリボヌクレアーゼの作用により、DNAが切断された。つまり今回の結果により、本実施例による探針を用いることにより、DNAを意図する場所で自由に切断できることが示された。
【0091】
なお、今回は配列未知のDNAを基板上に固定したため、一旦DNA上を走査してチミンの位置を測定した後、もう一度走査し切断を行ったが、あらかじめ配列の分かっているDNAを基板上に固定した場合は、その必要は無く、一回の走査で切断を行うことが出来る。また、今回はアデニンを含むヌクレオチドを探針上に固定したため、チミンの位置が判別できたが、探針にチミン、グアニン、シトシンを含むヌクレオチドを固定した場合は、それぞれアデニン、シトシン、グアニンの位置を判別することが可能である。
【0092】
(実施例14)
実施例12と同様の方法で、導電性AFMの探針表面にデオキシリボヌクレアーゼを含有するポリピロール膜を形成した。次に、10−ブロモデシルトリクロロシランが1vol%溶解したn−ヘキサデカンとクロロホルムの混合液(体積比4:1)に探針を1時間浸漬した。次に、探針を取り出しクロロホルムで洗浄した。これらの作業は乾燥窒素ガスで満たされたグローブボックス中で行った。その結果、10ーブロモデシル基を有する有機分子膜が探針表面のポリピロール膜上に形成された。次に、ジメチルホルムアミド25mlにNaNが200mg溶解した溶液に探針を12時間浸漬させて再びジメチルホルムアミドで探針を洗浄した。この操作により有機分子膜に含まれる分子の分子末端BrをNに置換した。次に、AFM装置にこの探針を装着して、圧電素子を用いて探針を白金を蒸着したシリコン基板に近づけた。このとき、探針とシリコン基板はともに水素ガスを含む2−プロパノールに接触するように工夫しておいた。この結果、探針先端面のポリピロール膜上の有機分子膜に含まれる分子末端が白金の触媒作用によってアミノ基に置換された。そして、10mMのカルボキシル基を導入したアデニンを含むヌクレオチドと、10mMの1ーエチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドとが溶解したpH=7.4のリン酸緩衝液を1時間反応させ、共有結合により、探針先端面のポリピロール膜上の有機分子膜にグアニンを含むヌクレオチドを結合した。
【0093】
次に、実施例9と同様の方法で、30塩基からなる一本鎖DNAを雲母基板上に固定した。次に、探針と雲母基板をpH=7.0のリン酸緩衝溶液に浸し、探針と基板間の力が一定になるように圧電素子にフィードバックをかけながら雲母基板を走査して測定し、雲母基板上でDNAの存在する位置を見つけ出した。そして、実施例13と同様の測定を行ったところ、8ヶ所のシトシンの位置が判った。
【0094】
そこで、もう一度同じ探針を用いて、上記と同様にDNA上を走査し、4ヶ所目のシトシン上で、探針の走査を停止した。この位置で、探針に1nsの間だけ参照電極に対して−1.0Vの電圧を加えた。この結果、ピロール内のデオキシリボヌクレアーゼが溶液中に拡散し、特に先端面のデオキシリボヌクレアーゼがDNAに接触してDNAが切断された。つまり今回の結果により、本実施例による探針を用いることにより、DNAを意図する場所で自由に切断できることが示された。
【0095】
なお、今回は配列未知のDNAを基板上に固定したため、一旦DNA上を走査してシトシンの位置を測定した後、もう一度走査し切断を行ったが、あらかじめ配列の分かっているDNAを基板上に固定した場合は、その必要は無く、一回の走査で切断を行うことが出来る。また、今回はグアニンを含むヌクレオチドを探針上に固定したため、シトシンの位置が判別できたが、探針にアデニン、チミン、シトシンを含むヌクレオチドを固定した場合は、それぞれチミン、アデニン、グアニンの位置を判別することが可能である。
【0096】
(実施例15)
図15に本発明の走査型プローブ顕微鏡の概念図を示す。この装置は、探針(191)、この探針(191)を三次元方向に移動させ、探針(191)と試料との相対的な位置を制御するため手段(192)(例えば、圧電素子)、この位置制御手段(192)の動きを調節する信号制御装置(193)、探針−試料間の相互作用を検出する信号検出装置(194)、および位置制御手段(192)の動きや探針−試料間の相互作用のデータを処理し制御するコンピュータ(195)から構成される。探針(191)は、先に記載のセンサー分子または触媒分子を備えている。なお、探針−試料間の相互作用を検出するためには、実際は、この図で示した以外の装置が余分に必要であるが、ここでは省略してある。測定する相互作用としては、探針−試料間に働く力(原子間力、分子間力、静電気力、磁気力など)、探針−試料間に流れるトンネル電流、探針−試料間に発生するエバネッセント波などがある。この中でも、一般的には、探針−試料間に働く力が測定対象となる。また本実施例では試料は固定されていて探針が圧電素子により動く構成となっているが、逆に、試料が圧電素子により動き、探針が固定されている構成でも良い。
【0097】
探針(191)を試料に近づけた状態でX−Y平面の一定領域を走査しながら、探針−試料間に働く相互作用を測定することによって、試料表面の情報を調べることができる。また、探針(191)を試料(196)表面の任意の領域に運び、探針(191)で試料(196)表面を加工することが可能となる。例えば、探針(191)に特定の分子とのみ強く相互作用するセンサー分子を固定し、探針(191)と試料(196)間に働く力を測定すれば、試料表面の特定の分子の位置を検出できる。また、例えば、探針(191)に触媒機能を有する分子を結合し、探針(191)を試料表面に近づけることにより試料表面の特定の分子を加工することが可能となる。また、例えば、探針表面に触媒分子を含有する導電性ポリマー層を形成し、探針(191)を試料表面に近づけ、探針(191)に所定の電圧を加えて触媒分子を試料表面に吐出することにより、試料表面を加工することも可能である。
【0098】
なお、以上示した本実施の形態では有機単分子層としてクロロシラン系単分子層を用いたがこれに限る必要はなく、末端がアルコキシ基やチオール基を有する分子から形成した単分子層を用いることができることはいうまでもない。さらに、有機単分子層には主に酵素を固定したが、これに限らず、DNAの塩基配列を決めるための塩基、分子の特定の官能基を決定するための分子、抗体や抗原の位置を決定するための抗原と抗体などを固定できることはいうまでもない。
【0099】
(産業上の利用可能性)
以上のように、本発明は、探針先端面のみにセンサー機能や触媒機能を有する分子が固定された探針とその作製方法を提供する。また、探針先端面が原子レベルで先鋭でなくても、原理的に分子一個を加工することができる探針とその加工方法を提供する。本発明の探針は分子の分析や加工だけでなく、例えば、細胞膜内の蛋白質の位置、イオンチャンネルの位置、細胞への特定DNAの注入など、広く細胞や生物の組織などの分析加工などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の概略図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。1:走査型プローブ顕微鏡の探針、2:一層目の単分子層、3:二層目の単分子層、4:三層目の単分子層、5:四層目の単分子層、6:センサー機能または触媒機能を持つ分子。
【図2】図2は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の概略図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。1:走査型プローブ顕微鏡の探針、20:単分子層、21、21’:探針先端部の単分子層。
【図3】図3は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の概略図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。1:走査型プローブ顕微鏡の探針、30:導電性ポリマー、31:導電性ポリマー内に閉じこめられた触媒、32:有機分子膜、33:センサー機能または触媒機能を持つ分子。
【図4】図4は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の作製方法の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。1:走査型プローブ顕微鏡の探針、42:単分子層、43:置換した分子末端、44:二層目単分子層、45:置換した分子末端、46:センサー機能または触媒機能を持つ分子。
【図5】図5は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の探針の作製方法の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。1:走査型プローブ顕微鏡の探針、52:単分子層、53:固体触媒(Pt)、54:反応部分、55:センサー機能または触媒機能を持つ分子。
【図6】図6は、本発明の分子加工法の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。1:走査型プローブ顕微鏡の探針、62:導電性ポリマー、63:触媒、64:加工するDNA、65:正の電位をかけた探針、66:反応に寄与しないで溶液に拡散する触媒、67:反応に寄与する触媒、68:触媒が特定の塩基と反応している部分。
【図7】図7は、二種類の単分子膜がパターン上に固定された基材の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。71:COOH(CH14SH(面積3×3μm)、72:CH(CH17SH(面積3×3μm)。
【図8】図8は、本発明の探針を用いて測定されたフォーカスカーブを示すグラフを表した図であり、(A)は、アミノ基が固定された探針と分子末端がカルボキシル基の単分子膜間測定したフォースカーブを示すグラフを、そして(B)は、アミノ基が固定された探針と分子末端がカルボキシル基の単分子膜間測定したフォースカーブを示すグラフである。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。81:探針、82:てこ部。
【図9】図9は、白金がパターニングされたシリコン基板を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。91:シリコン基板、92:白金のパターン。
【図10】図10は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。101:白金がコートされた探針、102:試料、103:圧電素子、104:ポテンショスタット、105:参照電極、106:対極。
【図11】図11は、原子間力顕微鏡の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。114:探針、151:レーザ光線、152:てこ部、153、試料、154:圧電素子、155:二分割フォトダイオード。
【図12】図12は、従来の分子間力顕微鏡による分子AおよびBの測定を模式的に示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。161:走査型プローブ顕微鏡の探針、162:化学センサー機能を有する分子、163:分子A、164:分子B。
【図13】図13は、従来の分子間力顕微鏡による一本鎖DNAの測定を模式的に示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。171:走査型プローブ顕微鏡の探針、172:チミン、173:測定用DNA、174:アデニン、175:シトシン、176:グアニン。
【図14】図14は、従来の分子間力顕微鏡による蛋白質薄膜の加工を模式的に示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。181:走査型プローブ顕微鏡の探針、182:触媒機能を有する単分子層、183:加工する分子。
【図15】図15は、本発明の走査型プローブ顕微鏡の概略を示す図である。図中の参照番号はそれぞれ以下を示す。191:探針、192:圧電素子、193:信号制御装置、194:信号検出装置、195:コンピュータ、196:試料、197:信号線、198:圧電素子X軸方向伸縮制御信号、199:圧電素子Y軸方向伸縮制御信号、200:圧電素子Z軸方向伸縮制御信号。

Claims (18)

  1. 走査型プローブ顕微鏡の探針であって、
    近位端および遠位先端部を備え、
    該遠位先端部が、固定された試料に面する先端面を備え、そして
    前記先端面の上に複数の単分子層が積層され、該複数の単分子層を構成する単分子層の各々の分子密度が、該先端面から外側に向かうに従って小さくなっており、
    該複数の単分子層のうち最表面の単分子層中または該最表面の単分子層上の一部のみに、化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置される、探針。
  2. 前記複数の単分子層のうち、少なくとも1つの単分子層が共有結合により積層される、請求項1に記載の探針。
  3. 前記複数の単分子層のうち、少なくとも1つの単分子層が有機分子から形成され、上記先端面の上にある最表面の単分子層に含まれる分子数が100以下である、請求項1に記載の探針。
  4. 走査型プローブ顕微鏡の探針であって、
    近位端および遠位先端部を備え、
    該遠位先端部が、固定された試料に面する先端面を備え、そして
    少なくとも該先端面の上に、複数の単分子層が積層され、該先端面の上にある最表面の単分子層中または該最表面の単分子層上の一部のみに、化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置されており、
    化学センサー機能または触媒機能を有する複数の分子が互いに異なる単分子層に配置され、かつ該複数の分子が互いに異なる化学センサ機能または触媒機能を有する、探針。
  5. 導電性のポリマーを含む被覆層を備え、該被覆層内に無機触媒および有機触媒からなる群から選択される触媒を含む、走査型プローブ顕微鏡の探針。
  6. 該被覆層の上に積層される少なくとも1つの有機分子膜をさらに備え、最表面の有機分子膜中またはその上に、化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置される、請求項に記載の探針。
  7. 前記被覆層内の触媒の機能と、前記化学センサー機能または触媒機能を有する分子の機能が互いに異なる、請求項に記載の探針。
  8. 走査型プローブ顕微鏡の探針の製造方法であって、
    該探針は、
    近位端および遠位先端部を備え、
    該遠位先端部が、固定された試料に面する先端面を備え、そして
    少なくとも該先端面の上に、少なくとも1つの単分子層が積層され、該先端面の上にある最表面の単分子層中または該最表面の単分子層上の一部のみに、化学センサー機能または触媒機能を有する分子が配置される、探針であって、
    該探針の製造方法は、
    (a)探針に単分子層を積層する工程、および
    (b)該単分子層の上に別の単分子層を積層するか、または該単分子層に含まれる分子の分子構造を改変する工程を包含する、方法。
  9. 前記工程(b)が、前記単分子層に含まれる分子の末端を、置換効率1未満の化学反応によって官能基に置換すること、および該官能基と、該官能基に結合する分子を結合することを包含する、請求項に記載の方法。
  10. 前記単分子層が有機分子から形成され、前記工程(b)が、探針の遠位先端部を触媒作用を有する固体表面に接触させることを包含し、それによって該探針の遠位先端部の先端面上にある有機分子のみを反応させて改変する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記単分子層が有機分子から形成され、前記工程(b)が、触媒作用のある領域が少なくとも1つ存在する固体表面上を探針で走査すること、および該探針が該領域と接触または接近したときに、該探針の遠位先端部の先端面上にある有機分子のみを反応させて改変することを包含する、請求項に記載の方法。
  12. 前記単分子層が有機分子から形成され、該有機分子が、基質となる物質の存在下で固体触媒と接触したとき化学反応によって分子構造が変わり、前記工程(b)が、該基質の存在しない状態で探針を該固体触媒の表面に向かって接近させ、次いで遠ざける往復運動を繰り返して、該探針と該固体触媒とを接近距離を調整すること、次いで該基質の存在下で該接近距離に該探針と該固体触媒とを接近させ、それによって該有機分子の分子構造を変化させて改変することを包含する、請求項に記載の方法。
  13. 前記改変した有機分子に、化学センサー機能または触媒機能を有する有機分子を結合させる工程をさらに包含する、請求項10から12のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項7に記載の走査型顕微鏡の探針の製造方法であって、
    電気化学的に重合するモノマー溶液に探針を浸漬する工程、および
    該探針に電圧を印加し該モノマーを重合して被覆層を形成する工程を包含する、方法。
  15. 前記モノマー溶液が触媒分子を含む、請求項1に記載の方法。
  16. 被覆層を備えた探針を、触媒分子を含む溶液または分散液に浸漬する工程、および該探針に電圧を印加することによって該触媒分子を該被覆層に取り込む工程をさらに包含する。請求項1に記載の方法。
  17. 探針を備えた走査型プローブ顕微鏡を用いて目的の分子を加工する方法であって、該探針が、触媒分子が取り込まれた、導電性高分子を含む被覆層を備え、
    該探針を目的に分子に接近させる工程、
    該導電性高分子に電圧を印加することによって、該触媒分子を該目的の分子に噴出し化学反応を引き起こす工程を包含する、方法。
  18. 請求項1、4、7のいずれかに記載の探針、
    前記探針と前記試料との相対的な位置を制御する手段、および
    該探針と該試料間の相互作用を検出する手段を備えた、走査型プローブ顕微鏡。
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