JP3543421B2 - 電磁燃料噴射弁及びその組立方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は燃料噴射弁にかかり、特に、内燃機関用燃料噴射弁に好適な電磁式の燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料噴射弁において、特開平5−280440 号公報に示されるようにコア上部から入ってきた燃料はコイルボビンとコア,コイルボビンとケースとの間のゴム製のOリングでコイル部に燃料が行かないようにシールされる構造のため、コアとコイルボビンを別工程でアッセンブリした後にケースに入れ、加締め、更にその上部にコイルボビンから出た端子を取り囲むモールドを成形している。また、その後コイルボビンとは反対側のケース内部に所定のストローク,エアギャップが出るように調整されたノズル,可動弁,ストッパが挿入され加締められる。上記構造によると部品点数,組立工数,調整工数が多く、更に各部品の精度も高いものが必要になり、コストアップの要因となっている。また、近年の排気ガス規制の対応や代替え燃料対応のため諸添加剤入り燃料や、アルコール燃料などが採用されているがボビンの樹脂部を透過した燃料によるコイルの断線が予想され、信頼性向上が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
コイル部を覆う部品点数が少なく、樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響の懸念を無くすことができる信頼性の高い噴射弁を提供することである。望ましくは、組立工数が少なく、調整工数の少ない噴射弁であり、添加剤や、アルコール等を含む燃料や粗悪燃料が使用されてもコイルの断線に至らない信頼性の高い噴射弁を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、可動鉄心と弁座を収納したノズルホルダと固定鉄心との両者が非磁性材の環状のスペーサによって接合して一体の組み体を構成すると共に、電磁式燃料噴射弁を構成するボビン体はコネクタ及びプレートと共に一体の成形体としてモールド成形し、プレートには一部に径方向に延びる溝を設け、この溝の部分が一部欠落するリング形状とし、その結果成形体がプレートの溝を埋めると共にプレートの表裏を被い、コネクタとコイルとがプレートの溝を埋める成形体部を通して電気的に接続され、成形体で覆われていないプレートの外周部に外周ケースの一端が加締め付けられて電磁燃料噴射弁の外郭を形成するよう構成し、且つノズルホルダと固定鉄心との組み体の外周にコネクタ及びプレートと共に一体の成形体としてモールド成形されたボビン体を組み付けた。
【0005】
【作用】
上記手段により、コイル部を覆う部品点数が減る。また、樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響の懸念が無くなる。時には、コイル部を覆う外装モールドの部品が必要なくなる。固定鉄心とノズルホルダを非磁性材を介して全周接合することで、固定鉄心内部を通る燃料が外に洩れないようシールできる。また、固定鉄心とノズルホルダを非磁性材を介して接合した組立体に、コイル要素とノズルユニットをケースに順に組み込んでいく構造の為、組立工数が少なくてすむ。ノズルユニットをノズルホルダと別体にしているため、可動弁のストロークを組み立てながら調整,固定ができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1〜図19により説明する。図1は燃料が図の上方から入って下方のノズル部から噴射するトップフィードタイプである。磁気回路は磁性材製内筒部としての固定鉄芯(以下コアと呼ぶ)1,プレート2,磁性材製外筒部としてのケース3,プランジャ4からなり、コア1の内部には、プランジャ4とボール弁5からなる計量弁ユニットをノズル6のシート面7に押圧するスプリング8,スプリング荷重を調整固定するスプリングアジャスタ12、及びコア1上端にはフィルタ13が設けられる。また、コア1とプレート2,ケース3の間には磁気回路を励磁するところのコイル9,外部からの信号をコイル9に伝えるコネクタ10,コイル9とコネクタ10,プレート2を一体成形したコネクタボビン11で構成されるコイル要素としての組立体が設けられる。ケース3下方には、プランジャ4とボール弁5からなる弁体と、プランジャ4をガイドするガイド14と、シート面7,燃料旋回溝15及びオリフィス33を持つノズル6とを内部に持つノズルホルダ16を設けている。このノズルホルダ16とコア1の間には非磁性材よりなるスペーサ17が設けられ、コア1とスペーサ17,ノズルホルダ16とスペーサ17でそれぞれ接合、シールされている。更にノズルホルダ16とケース3は接合されている。
【0007】
上記構成のもとに各部品や、個別のアッセンブリの特徴について以下に説明する。コア1とスペーサ17,ノズルホルダ16の接合は、図2,図3,図4に示すが、その接合部の内部から外部に燃料が漏れないように全周接合されている。接合方法は図3のように、レーザ溶接やビーム溶接によりスペーサ17の外周からコア1まで透過,溶融するように全周溶接する。或いは図4に示すように外周接点部19を全周溶接する方法や、各隙間をロー付けする方法で行う。ケース3とノズルホルダ16の接合もレーザ溶接やビーム溶接によりケース3の外周からノズルホルダ16まで透過,溶融するように全周溶接する。或いはケース3下端とノズルホルダ16の接点部20を全周溶接する方法や、隙間21をロー付けする方法で行う。ケース3とノズルホルダ16は図5に示すように一体化構造ケース21の場合もあり、この場合の接合は図6に示すように、ケース21とスペーサ17の接合はケース21外周よりスペーサ17まで透過,溶融するレーザ溶接,ビーム溶接で行ったり、隙間をロー付けする方法で対応する。次に可動部を説明する。図1における可動部は、図8に示すように磁気回路の一部となるプランジャ部4−1と、ガイド14内で摺動ガイドして内部に燃料通路22とその外周部と連通する燃料通路穴23をもつロッド部4−2からなり、ボール弁5と接合される。ボール弁5とプランジャ4は抵抗溶接やレーザ溶接,ビーム溶接により結合される。この可動部は図9のようにプランジャ24とロッド25を別体に構成する事もあり、2者の接点部で溶接等により結合する構造となる。この別体の場合プランジャ24とロッド25の材料は異なる事もある。また可動部は、その動作においてコア1とプランジャ4端面が直接衝突する構造であり、コア1端面27とプランジャ4端面28の両方、またはいずれか一方に表面処理を施し、硬化させる。表面処理の具体的方法は、Ni−P等のNi系合金メッキ,Crメッキで、数ミクロンから数十ミクロンの範囲内で付ける。可動部のロッド部4−2,25に開けられた燃料通路穴23は、ガイド14よりコイル側の位置に少なくとも1個以上開けられる。ガイド14は、内側に可動部をガイドするガイド孔29の他に、外周に1面以上の平面31を持ちノズルガイド16との間に燃料通路30を形成する。また、ガイド14のノズル6側端面には図13に示すような中心方向に向き、偏心した旋回溝32を持ち燃料に旋回力を与えシート面7へ燃料を供給する。旋回溝32は図12,図14に示すようにノズル6側に設ける事もあり同一効果をもたらす。ガイド14とノズル6は外周に一部を溶接等により接合したうえでノズルガイド16の下方から(図10のC方向)挿入組み立てる。ノズル部組は所定の可動部のストロークがでるところでノズルガイド16に接合する。この方法としては、ノズル部組を挿入して行きながら可動部をストロークさせ、ノズル16のオリフィス33を通して下方より変位計、例えば非接触のレーザ変位計でボール弁5の変位を計測しながら所定のストロークかどうかを判定するものである。図15はコネクタ10とプレート2を一体成形したコネクタボビン11の構造を示す。コイル9を巻いたコネクタボビン11は、コア1に挿入する形でケース3内部に組み込みケース3の固定部36で加締められる。プレート2は図16に示すようなコネクタ10を通す溝部34があるリング形状で、内径部35はコア1に圧入か或いは極力隙間が小さくなるような中間ばめとなる寸法関係となっている。また、コネクタボビン11のコイルと反対側端部36aは、外付けされる燃料パイプ(図示していない)との燃料シールのためのOリング37を収納する溝の片側壁を形成し、同様に段差部38は、噴射弁押さえ用のインシュレータ39を収納する壁を形成する。
【0008】
上記図1の構成のもとに、噴射弁の動作を説明する。コイル9に電気信号が印加されると、コア1,プレート2,ケース3,ノズルホルダ16,プランジャ4で磁気回路が構成され、プランジャ4が、ロッド部4−2をガイド14でガイドしてコア1側に吸引される。プランジャ4はボール弁5と一体に結合されており、プランジャ4が移動することでボール弁5も移動して、ノズル6のシート面7から離れ開弁する。ここで、プランジャ4はコア1の端面27に直接衝突するまで移動する。燃料はここには記載のないポンプなどにより加圧調整され、コア1上部40よりコア1,アジャスタ12の内部、プランジャ4内部の燃料通路22,プランジャ4の燃料通路穴23,ガイド14外周の燃料通路30,ノズル6上部の旋回溝32を通ってシート面7に供給される。シート面7に供給された燃料はボール弁5が開弁したときに、旋回力を与えられた形でオリフィス33を通って噴射弁の外へ噴射される。
【0009】
ここでコア1とノズルホルダ16の間には、上記のように非磁性材で構成されるスペーサ17が外部に対して気密を保ちながら結合されているため、燃料がコイル部や噴射弁の外部に出ない構造になっている。このため、従来のように燃料シールのためのOリングや、コイル部を覆う外装モールドの部品が必要なく部品点数が減り、非磁性金属の結合のため樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響、具体的にはコイル断線の懸念がなくなる。コア部は従来の形状に比べパイプ形状のコア1とスペーサ17と二分割し、しかも、コア1上端のOリング溝の壁もコネクタボビン11端部36aで形成しているため余分な段差がなく加工工数が少なくてすむ。コネクタボビン11は、従来の、ボビンにコイルを巻き、ケース,コアなどと組み立てた後にコネクタを曲げて、コネクタ回りのモールドを成形する複数の工程を1度にすることができ組み立て工数が低減できる。さらに、組立は、ケース3にコア1とスペーサ17とノズルホルダ16を一体にした部組品、及び、コイル9を巻いたコネクタボビン11を上方から挿入組み立て(積層タイプ)加締めるため、少ない組立工数ですむ。可動部やノズルについては、ノズル6とガイド14を結合したものに可動部を入れ、ノズルホルダ16の下方より可動部のストロークを検出しながら挿入していき、所定のストロークのところでノズルを固定するため、ストローク調整のための精密な単品の加工精度や、多くの調整工数は必要ない。プランジャ4とコア1の衝突部は、両面か或いは片面をメッキにて硬化させているため耐久劣化は少なくすることが出きる。
【0010】
図17は、燃料入り口40をノズル部41に設け、可動部外周に燃料を供給するボトムフィードタイプの構造の例である。他の特徴は上記のトップフィードタイプと同様である。
【0011】
図19は本発明の噴射弁を吸気管51に取り付けたシステム全体の図である。燃料ポンプ53で燃料タンク54から圧送,プレッシャレギュレータで調圧された燃料が噴射弁55に供給され、空気量検出機56,スロットルバルブ57の開度,冷却水温計58,O2 センサ59等からの信号をベースにコントロールユニット60で演算処理された信号が噴射弁に供給され、燃料が噴射される。
【0012】
図18は本発明の噴射弁を吸気管51に取り付けた状態の図である。本発明の噴射弁は小型(小径)であるため、エンジンからの熱がこもり難く、噴射弁に及ぼす熱的影響が少なく噴射量が安定し、エンジンの安定性がよい。また、ノズル部52が長くすることができるため、ノズル部52から出た噴霧を吸気バルブに向かって噴く自由度が増し壁面流を減少できる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、コイル部を覆う部品点数が減る。また、樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響の懸念を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の噴射弁の断面図である。
【図2】本発明の一実施例のコア,スペーサ,ノズルボルダの結合した図である。
【図3】本発明の一実施例の溶接状況。
【図4】本発明の他の実施例の溶接状況。
【図5】本発明の他の実施例のケースとノズルホルダ一体構造。
【図6】本発明の他の実施例のケースとノズルホルダ一体構造の場合の溶接状況。
【図7】本発明の一実施例のコアとプランジャ。
【図8】本発明の一実施例のコアとプランジャ。
【図9】本発明の他の実施例の可動部の構造。
【図10】本発明の一実施例のノズル部分。
【図11】本発明の一実施例のガイドとノズル。
【図12】本発明の他の実施例のガイドとノズル。
【図13】本発明の一実施例のガイドの端面形状。
【図14】本発明の他の実施例のノズルの上面形状。
【図15】
本発明の一実施例のコネクタボビンの構造。
【図16】
本発明の一実施例のプレート。
【図17】
本発明の他の実施例のボトムフィードタイプの噴射弁構造。
【図18】
本発明の一実施例の噴射弁が吸気管にとりついた状態。
【図19】
本発明の一実施例の噴射弁が取り付いたエンジンシステム。
【符号の説明】
1…コア、2…プレート、3…ケース、4…プランジャ、5…ボール弁、6…ノズル、7…シート面、8…スプリング、9…コイル、11…コネクタボビン、17…スペーサ。
【産業上の利用分野】
本発明は燃料噴射弁にかかり、特に、内燃機関用燃料噴射弁に好適な電磁式の燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料噴射弁において、特開平5−280440 号公報に示されるようにコア上部から入ってきた燃料はコイルボビンとコア,コイルボビンとケースとの間のゴム製のOリングでコイル部に燃料が行かないようにシールされる構造のため、コアとコイルボビンを別工程でアッセンブリした後にケースに入れ、加締め、更にその上部にコイルボビンから出た端子を取り囲むモールドを成形している。また、その後コイルボビンとは反対側のケース内部に所定のストローク,エアギャップが出るように調整されたノズル,可動弁,ストッパが挿入され加締められる。上記構造によると部品点数,組立工数,調整工数が多く、更に各部品の精度も高いものが必要になり、コストアップの要因となっている。また、近年の排気ガス規制の対応や代替え燃料対応のため諸添加剤入り燃料や、アルコール燃料などが採用されているがボビンの樹脂部を透過した燃料によるコイルの断線が予想され、信頼性向上が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
コイル部を覆う部品点数が少なく、樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響の懸念を無くすことができる信頼性の高い噴射弁を提供することである。望ましくは、組立工数が少なく、調整工数の少ない噴射弁であり、添加剤や、アルコール等を含む燃料や粗悪燃料が使用されてもコイルの断線に至らない信頼性の高い噴射弁を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、可動鉄心と弁座を収納したノズルホルダと固定鉄心との両者が非磁性材の環状のスペーサによって接合して一体の組み体を構成すると共に、電磁式燃料噴射弁を構成するボビン体はコネクタ及びプレートと共に一体の成形体としてモールド成形し、プレートには一部に径方向に延びる溝を設け、この溝の部分が一部欠落するリング形状とし、その結果成形体がプレートの溝を埋めると共にプレートの表裏を被い、コネクタとコイルとがプレートの溝を埋める成形体部を通して電気的に接続され、成形体で覆われていないプレートの外周部に外周ケースの一端が加締め付けられて電磁燃料噴射弁の外郭を形成するよう構成し、且つノズルホルダと固定鉄心との組み体の外周にコネクタ及びプレートと共に一体の成形体としてモールド成形されたボビン体を組み付けた。
【0005】
【作用】
上記手段により、コイル部を覆う部品点数が減る。また、樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響の懸念が無くなる。時には、コイル部を覆う外装モールドの部品が必要なくなる。固定鉄心とノズルホルダを非磁性材を介して全周接合することで、固定鉄心内部を通る燃料が外に洩れないようシールできる。また、固定鉄心とノズルホルダを非磁性材を介して接合した組立体に、コイル要素とノズルユニットをケースに順に組み込んでいく構造の為、組立工数が少なくてすむ。ノズルユニットをノズルホルダと別体にしているため、可動弁のストロークを組み立てながら調整,固定ができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1〜図19により説明する。図1は燃料が図の上方から入って下方のノズル部から噴射するトップフィードタイプである。磁気回路は磁性材製内筒部としての固定鉄芯(以下コアと呼ぶ)1,プレート2,磁性材製外筒部としてのケース3,プランジャ4からなり、コア1の内部には、プランジャ4とボール弁5からなる計量弁ユニットをノズル6のシート面7に押圧するスプリング8,スプリング荷重を調整固定するスプリングアジャスタ12、及びコア1上端にはフィルタ13が設けられる。また、コア1とプレート2,ケース3の間には磁気回路を励磁するところのコイル9,外部からの信号をコイル9に伝えるコネクタ10,コイル9とコネクタ10,プレート2を一体成形したコネクタボビン11で構成されるコイル要素としての組立体が設けられる。ケース3下方には、プランジャ4とボール弁5からなる弁体と、プランジャ4をガイドするガイド14と、シート面7,燃料旋回溝15及びオリフィス33を持つノズル6とを内部に持つノズルホルダ16を設けている。このノズルホルダ16とコア1の間には非磁性材よりなるスペーサ17が設けられ、コア1とスペーサ17,ノズルホルダ16とスペーサ17でそれぞれ接合、シールされている。更にノズルホルダ16とケース3は接合されている。
【0007】
上記構成のもとに各部品や、個別のアッセンブリの特徴について以下に説明する。コア1とスペーサ17,ノズルホルダ16の接合は、図2,図3,図4に示すが、その接合部の内部から外部に燃料が漏れないように全周接合されている。接合方法は図3のように、レーザ溶接やビーム溶接によりスペーサ17の外周からコア1まで透過,溶融するように全周溶接する。或いは図4に示すように外周接点部19を全周溶接する方法や、各隙間をロー付けする方法で行う。ケース3とノズルホルダ16の接合もレーザ溶接やビーム溶接によりケース3の外周からノズルホルダ16まで透過,溶融するように全周溶接する。或いはケース3下端とノズルホルダ16の接点部20を全周溶接する方法や、隙間21をロー付けする方法で行う。ケース3とノズルホルダ16は図5に示すように一体化構造ケース21の場合もあり、この場合の接合は図6に示すように、ケース21とスペーサ17の接合はケース21外周よりスペーサ17まで透過,溶融するレーザ溶接,ビーム溶接で行ったり、隙間をロー付けする方法で対応する。次に可動部を説明する。図1における可動部は、図8に示すように磁気回路の一部となるプランジャ部4−1と、ガイド14内で摺動ガイドして内部に燃料通路22とその外周部と連通する燃料通路穴23をもつロッド部4−2からなり、ボール弁5と接合される。ボール弁5とプランジャ4は抵抗溶接やレーザ溶接,ビーム溶接により結合される。この可動部は図9のようにプランジャ24とロッド25を別体に構成する事もあり、2者の接点部で溶接等により結合する構造となる。この別体の場合プランジャ24とロッド25の材料は異なる事もある。また可動部は、その動作においてコア1とプランジャ4端面が直接衝突する構造であり、コア1端面27とプランジャ4端面28の両方、またはいずれか一方に表面処理を施し、硬化させる。表面処理の具体的方法は、Ni−P等のNi系合金メッキ,Crメッキで、数ミクロンから数十ミクロンの範囲内で付ける。可動部のロッド部4−2,25に開けられた燃料通路穴23は、ガイド14よりコイル側の位置に少なくとも1個以上開けられる。ガイド14は、内側に可動部をガイドするガイド孔29の他に、外周に1面以上の平面31を持ちノズルガイド16との間に燃料通路30を形成する。また、ガイド14のノズル6側端面には図13に示すような中心方向に向き、偏心した旋回溝32を持ち燃料に旋回力を与えシート面7へ燃料を供給する。旋回溝32は図12,図14に示すようにノズル6側に設ける事もあり同一効果をもたらす。ガイド14とノズル6は外周に一部を溶接等により接合したうえでノズルガイド16の下方から(図10のC方向)挿入組み立てる。ノズル部組は所定の可動部のストロークがでるところでノズルガイド16に接合する。この方法としては、ノズル部組を挿入して行きながら可動部をストロークさせ、ノズル16のオリフィス33を通して下方より変位計、例えば非接触のレーザ変位計でボール弁5の変位を計測しながら所定のストロークかどうかを判定するものである。図15はコネクタ10とプレート2を一体成形したコネクタボビン11の構造を示す。コイル9を巻いたコネクタボビン11は、コア1に挿入する形でケース3内部に組み込みケース3の固定部36で加締められる。プレート2は図16に示すようなコネクタ10を通す溝部34があるリング形状で、内径部35はコア1に圧入か或いは極力隙間が小さくなるような中間ばめとなる寸法関係となっている。また、コネクタボビン11のコイルと反対側端部36aは、外付けされる燃料パイプ(図示していない)との燃料シールのためのOリング37を収納する溝の片側壁を形成し、同様に段差部38は、噴射弁押さえ用のインシュレータ39を収納する壁を形成する。
【0008】
上記図1の構成のもとに、噴射弁の動作を説明する。コイル9に電気信号が印加されると、コア1,プレート2,ケース3,ノズルホルダ16,プランジャ4で磁気回路が構成され、プランジャ4が、ロッド部4−2をガイド14でガイドしてコア1側に吸引される。プランジャ4はボール弁5と一体に結合されており、プランジャ4が移動することでボール弁5も移動して、ノズル6のシート面7から離れ開弁する。ここで、プランジャ4はコア1の端面27に直接衝突するまで移動する。燃料はここには記載のないポンプなどにより加圧調整され、コア1上部40よりコア1,アジャスタ12の内部、プランジャ4内部の燃料通路22,プランジャ4の燃料通路穴23,ガイド14外周の燃料通路30,ノズル6上部の旋回溝32を通ってシート面7に供給される。シート面7に供給された燃料はボール弁5が開弁したときに、旋回力を与えられた形でオリフィス33を通って噴射弁の外へ噴射される。
【0009】
ここでコア1とノズルホルダ16の間には、上記のように非磁性材で構成されるスペーサ17が外部に対して気密を保ちながら結合されているため、燃料がコイル部や噴射弁の外部に出ない構造になっている。このため、従来のように燃料シールのためのOリングや、コイル部を覆う外装モールドの部品が必要なく部品点数が減り、非磁性金属の結合のため樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響、具体的にはコイル断線の懸念がなくなる。コア部は従来の形状に比べパイプ形状のコア1とスペーサ17と二分割し、しかも、コア1上端のOリング溝の壁もコネクタボビン11端部36aで形成しているため余分な段差がなく加工工数が少なくてすむ。コネクタボビン11は、従来の、ボビンにコイルを巻き、ケース,コアなどと組み立てた後にコネクタを曲げて、コネクタ回りのモールドを成形する複数の工程を1度にすることができ組み立て工数が低減できる。さらに、組立は、ケース3にコア1とスペーサ17とノズルホルダ16を一体にした部組品、及び、コイル9を巻いたコネクタボビン11を上方から挿入組み立て(積層タイプ)加締めるため、少ない組立工数ですむ。可動部やノズルについては、ノズル6とガイド14を結合したものに可動部を入れ、ノズルホルダ16の下方より可動部のストロークを検出しながら挿入していき、所定のストロークのところでノズルを固定するため、ストローク調整のための精密な単品の加工精度や、多くの調整工数は必要ない。プランジャ4とコア1の衝突部は、両面か或いは片面をメッキにて硬化させているため耐久劣化は少なくすることが出きる。
【0010】
図17は、燃料入り口40をノズル部41に設け、可動部外周に燃料を供給するボトムフィードタイプの構造の例である。他の特徴は上記のトップフィードタイプと同様である。
【0011】
図19は本発明の噴射弁を吸気管51に取り付けたシステム全体の図である。燃料ポンプ53で燃料タンク54から圧送,プレッシャレギュレータで調圧された燃料が噴射弁55に供給され、空気量検出機56,スロットルバルブ57の開度,冷却水温計58,O2 センサ59等からの信号をベースにコントロールユニット60で演算処理された信号が噴射弁に供給され、燃料が噴射される。
【0012】
図18は本発明の噴射弁を吸気管51に取り付けた状態の図である。本発明の噴射弁は小型(小径)であるため、エンジンからの熱がこもり難く、噴射弁に及ぼす熱的影響が少なく噴射量が安定し、エンジンの安定性がよい。また、ノズル部52が長くすることができるため、ノズル部52から出た噴霧を吸気バルブに向かって噴く自由度が増し壁面流を減少できる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、コイル部を覆う部品点数が減る。また、樹脂を透過する燃料によるコイル部への悪影響の懸念を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の噴射弁の断面図である。
【図2】本発明の一実施例のコア,スペーサ,ノズルボルダの結合した図である。
【図3】本発明の一実施例の溶接状況。
【図4】本発明の他の実施例の溶接状況。
【図5】本発明の他の実施例のケースとノズルホルダ一体構造。
【図6】本発明の他の実施例のケースとノズルホルダ一体構造の場合の溶接状況。
【図7】本発明の一実施例のコアとプランジャ。
【図8】本発明の一実施例のコアとプランジャ。
【図9】本発明の他の実施例の可動部の構造。
【図10】本発明の一実施例のノズル部分。
【図11】本発明の一実施例のガイドとノズル。
【図12】本発明の他の実施例のガイドとノズル。
【図13】本発明の一実施例のガイドの端面形状。
【図14】本発明の他の実施例のノズルの上面形状。
【図15】
本発明の一実施例のコネクタボビンの構造。
【図16】
本発明の一実施例のプレート。
【図17】
本発明の他の実施例のボトムフィードタイプの噴射弁構造。
【図18】
本発明の一実施例の噴射弁が吸気管にとりついた状態。
【図19】
本発明の一実施例の噴射弁が取り付いたエンジンシステム。
【符号の説明】
1…コア、2…プレート、3…ケース、4…プランジャ、5…ボール弁、6…ノズル、7…シート面、8…スプリング、9…コイル、11…コネクタボビン、17…スペーサ。
Claims (1)
- 電磁燃料噴射弁本体の内部に固定された励磁コイル、外部からの信号を前記励磁コイルに伝えるコネクタ及び前記励磁コイルを保持するボビン体を有し、
前記励磁コイルが取り囲む固定鉄心、前記励磁コイルを取り囲む外周ケース、前記固定鉄心と前記外周ケースとに接するプレート及び前記固定鉄心と対向して運動する可動鉄心の少なくとも4者によって磁気回路を構成し、
前記励磁コイルが可動鉄心を励磁する事で固定鉄心側に吸引され、可動鉄心と一体の弁を弁座から離脱させることで、弁座近辺に供給された燃料を噴射する構造を有すると共に、前記可動鉄心と前記弁座を収納したノズルホルダと前記固定鉄心との両者が非磁性材の環状のスペーサによって接合されて一体の組み体を成し、
前記プレートは一部に径方向に延びる溝を有し、この溝の部分が一部欠落するリング形状を成し、
前記ボビン体は前記コネクタ及びプレートと共に一体の成形体としてモールド成形されており、
その結果前記成形体が前記プレートの前記溝を埋め、前記プレートの表裏を被っており、
前記コネクタと前記コイルとが前記プレートの前記溝を埋める成形体部を通して電気的に接続されており、
成形体で覆われていない前記プレートの外周部に、前記外周ケースの一端が加締め付けられて、当該電磁燃料噴射弁の外郭を形成しており、
前記ノズルホルダと前記固定鉄心との組み体の外周に前記コネクタ及びプレートと共に一体の成形体としてモールド成形された前記ボビン体を組み付けたことを特徴とする電磁燃料噴射弁。
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JP15130895A JP3543421B2 (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | 電磁燃料噴射弁及びその組立方法 |
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