JP3543156B2 - 液封入式防振マウント - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動車のエンジン等の振動発生体を防振的に支承するのに用いる液封入式防振マウントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
振動に対する減衰機能は容積可変の室内に封入した液体により坦持させ、一方、振動絶縁性は液体封入のための室壁を形成するゴム弾性体からなる防振基体によって坦持させ、低周波振動に対する減衰係数が大きく、かつ高周波振動に高い絶縁性を有する特性を持つ液封入式防振マウントは従来から知られており、例えば実開平5−47576号公報によって開示されている。
【0003】
かかる防振マウントは、図2に示すように、筒状本体金具16の上部開口部にゴム弾性体からなる防振基体17を、下部開口部にシール状態にダイヤフラム18を夫々取着せしめて液室19を形成すると共に、該液室19を、外周の溝部20と上記本体金具16の内面とでオリフィス21を形成する仕切板23にて分割し、一方、上記本体金具16の下端部に椀状の取付金具24を取着せしめてダイヤフラム18との間に空気室22を形成した構造を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の防振マウントでは、上記仕切板23がオリフィスの一部を構成していることから仕切板23の形状が複雑となって、この仕切板23のプレス成形が難しくかつコスト高になり、さらに仕切板自体の重量もかさむという問題がある。
【0005】
本発明は叙上の如き実状に対処し、前記仕切板をオリフィスとは切り離して形成することにより、上記仕切板の形状を簡素化して軽量化を実現すると共に、さらにそのプレス等による成形を容易ならしめてマウントのコストダウンを図ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記目的に適合する本発明の液封入式防振マウントの特徴は、有底筒状の取付金具の開口部に本体金具を介してゴム弾性体からなる防振基体を取着せしめて液室を形成する一方、この液室を、オリフィスを具備せしめて仕切板により上下に分割した液封入式防振マウントであって、上記仕切板を、上記取付金具の海面との間に所定の空隙を有して遊挿される逆さ椀状の筒状体にて形成し、この筒状体の開口部にダイヤフラムを取着せしめて筒状体内部を空気室となすと共に、該筒状体の周面に沿って中間筒を配設し、その上部を本体金具と共に取付金具にかしめ止めして上記ダイヤフラムを上記筒状体と中間筒との間に延在せしめて両者の間をシール状態にし、かつ上記取付金具との空隙に、上記中間筒と、この中間筒外面および取付金具内面とで前記オリフィスを形成する溝部をもつ筒状のゴム弾性体とを配設したところにある。
【0007】
【作用】
上記本発明の防振マウントにおいては、オリフィスを前記筒状ゴム弾性体と中間筒、および取付金具とにより形成し、前記仕切板を上記オリフィスとは完全に切り離したことから、この仕切板の形状を逆さ椀状の簡素なものとすることができ、これによりその軽量化を実現すると共に、仕切板のプレス等の成形を容易かつ低コストにて行なわしめることが可能となる。
【0008】
【実施例】
以下、さらに添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0009】
図1は本発明実施例の液封入式防振マウントを示す断面図であり、この防振マウントは、立設した有底筒状の取付金具1の開口部に、本体金具2を介して、ゴム弾性体からなる防振基体3を液密に取着することによって、取付金具1の内部に液室4を形成している。この液室4は、仕切板5によって、上側液室6と下側液室7とに分割されており、これら上側液室6と下側液室7とは環状のオリフィス8を介して互いに通じ合っている。
【0010】
一方、上記本発明実施例の防振マウントにおいては、上記仕切板5を、上記取付金具1の内面との間に所定の空隙を有して遊挿される逆さ椀状の筒状体9にて形成すると共に、この筒状体9の開口部にダイヤフラム10を取着せしめて筒状体9内部を空気室11となし、さらに上記取付金具1との空隙に、上記筒状体9の周面に沿う中間筒12と、この中間筒12の外面および取付金具1の内面とで前記オリフィス8を形成する筒状のゴム弾性体13とを配設している。
【0011】
上記仕切板5を形成する筒状体9は、内部に空気室を形成しうる剛性さえ有していれば、金属製のプレス成形品でも、また、樹脂成形品でもこれを形成することが可能である。
【0012】
他方、上記ダイヤフラム10は、上記筒状体9の開口部から連続して延出し、この筒状体9外周面と中間筒12の内周面との間に介在して、この間のシールと、筒状体9の中間筒12への固定とを行っている。このダイヤフラム10は、中間筒12と、加硫接着しておいてもよいが、接着を省略することも可能である。また、上記中間筒12はその上部が、前記本体金具2の下部と共に前記取付金具1の上部によってかしめ止めされている。
【0013】
そして、上記オリフィス8は、この実施例では、中間筒12の外周面に加硫接着された前記筒状ゴム弾性体13の溝部14と、前記取付金具1および中間筒12とによって区画形成されている。また、このオリフィス8は、この実施例では、取付金具1の内周を半周する程度に形成されているが、らせん状に全周またはそれ以上形成して、オリフィス流長を変更することも可能である。
【0014】
なお、図において仮想線で示す15は取付用ボルトであり、この防振マウントの車両シャーシー側への取付は、このボルト15によるものであっても、あるいは取付金具1のブラケット(図示せず)への圧入によるものであっても可能である。
【0015】
しかして、本発明実施例の液封入式防振マウントにおいては、オリフィス8を前記筒状ゴム弾性体13と中間筒12、および取付金具1とによって形成し、前記仕切板5を上記オリフィス8とは完全に切り離したことから、この仕切板5の形状を逆さ椀状の簡素なものとすることができ、これによりその軽量化を実現すると共に、仕切板5のプレス成形や、あるいは樹脂成形を容易かつ低コストにて行なわしめることが可能である。
【0016】
また、上記仕切板5は、中間筒12によって支持されており、仕切板5自体は前記取付金具1のかしめ部分まで延長されることがないことから、この点においても上記軽量化が促進され、防振マウントの軽量化に寄与することが可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液封入式防振マウントは、液室の仕切板を、マウントの取付金具の内面との間に所定の空隙を有して遊挿される逆さ椀状の筒状体にて形成すると共に、この筒状体の開口部にダイヤフラムを取着せしめて筒状体内部を空気室となすと共に、筒状体の周面に沿って中間筒を配設し、上記ダイヤフラムを筒状体と中間筒の間に延在せしめてシールし、かつ上記取付金具との空隙に、上記中間筒と、この中間筒外面および取付金具内面とで前記オリフィスを形成する溝部をもつ筒状のゴム弾性体とを配設したものであり、オリフィスを上記筒状ゴム弾性体の溝部と中間筒、および取付金具とによって形成し、上記仕切板を上記オリフィスとは完全に切り離したことから、この仕切板の形状を上記逆さ椀状の簡素なものとすることができ、これにより仕切板および防振マウントの軽量化を実現し、かつ、中間筒を本体金具,取付金具と一体化したため、各部構成が安定的に保持されると共に仕切板のプレス等の成形を容易にかつ低コストにて行なわしめるとの顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の液封入式防振マウントを示す断面図である。
【図2】従来の液封入式防振マウントを示す断面図である。
【符号の説明】
1 取付金具
2 本体金具
3 防振基体
4 液室
5 仕切板
6 上側液室
7 下側液室
8 オリフィス
9 筒状体
10 ダイヤフラム
11 空気室
12 中間筒
13 筒状ゴム弾性体
14 溝部
15 取付用ボルト
Claims (1)
- 有底筒状の取付金具の開口部に本体金具を介してゴム弾性体からなる防振基体を取着せしめて液室を形成する一方、この液室を、オリフィスを具備せしめて仕切板により上下に分割した液封入式防振マウントにおいて、上記仕切板を、上記取付金具の内面との間に所定の空隙を有して遊挿される逆さ椀状の筒状体にて形成し、この筒状体の開口部にダイヤフラムを取着せしめて筒状体内部を空気室となすと共に、該筒状体の周面に沿って中間筒を配設し、その上部を本体金具と共に取付金具にかしめ止めして上記ダイヤフラムを上記筒状体と中間筒との間に延在せしめて両者の間をシール状態にし、かつ上記取付金具との空隙に、上記中間筒外面および取付金具内面とでオリフィスを形成する溝部をもつ筒状のゴム弾性体を配設したことを特徴とする液封入式防振マウント。」
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