JP3543019B2 - 加熱方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は加熱方法に関する。更に詳述すると、本発明は、燃焼による発生熱を熱源にして加熱や熱処理・溶解などを行う加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱炉や熱処理炉、均熱炉、溶解炉、溶湯保持炉などといった燃焼ガスの顕熱を利用する熱設備において一般に採られる従来の省エネルギー対策は、利用されないで廃棄される熱エネルギをできるだけ小さく抑える技術、即ち空気予熱器やエコノマイザとして知られている排熱回収設備で比較的低温(低品位)のエネルギを回収するものである。
【0003】
また、最近では回収された熱エネルギを燃焼器・炉内に再び戻して燃焼システム全体の高いエネルギ利用効率を実現する努力がなされている。例えば、図に示すように、炉101の出口に熱交換器102を設置して炉101から排出する熱で燃焼用空気を間接的に、あるいは輻射変換体をおいて熱放射を利用して直接的に熱交換して燃焼用空気を予熱する方法がある。このとき、熱回収量は、熱入力量・燃焼量を変えなければ、そのまま発熱量の増加に相当することになり、燃焼温度を増加させる効果を持つ。この熱回収方法は熱循環量を増加させると燃焼温度が上昇し、さらに燃焼温度の上昇はさらに熱循環量を増加させるという、いわゆる回路や制御でいうところの正のフィードバックとなる。この正のフィードバックは伝熱と熱損失などの負のフィードバックによってバランスするが、負のフィードバックの多い燃焼設備の中の熱フローとしては有効な熱流制御の方法である。
【0004】
ここで、燃焼温度を熱回収しないときと同じ温度レベルにするために熱入力量を小さくすることは、省エネルギー技術と見なされている。即ち、空気予熱器での被加熱物は常温の空気であり、これらの温度を上げることは燃焼速度の向上につながり、着火の安定性が改善される。燃焼温度を高レベルに保つことで希薄燃焼や低品位燃料の利用が可能となり、さらに工夫によってはNOx低減効果を期待できるため注目されている技術ではある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蓄熱や熱交換、熱放射による熱回収法は正のフィードバックを形成しているため、燃焼量一定で低熱損失、低加熱量の場合のプロセスでは燃焼領域から出るガス温度は非常に高くなる。このことは燃焼反応領域に接する材料の耐熱性や炉からの熱損失量の増大という問題を起こし、これが正のフィードバックの利用限界となる。また、熱回収しないときと同じ程度の排熱量に抑えて炉の熱効率を低下させないために高温の炉出口ガスから熱を回収して排ガス温度を低く保つことを困難にしている。
【0006】
この熱回収を行った場合の炉内のエネルギー分布(A)と温度分布(B)として図に模式的に示す。これによると、燃焼速度の上昇や比熱の温度依存性、解離現象による総合比熱の増加によって温度パターンは高温では少し変化するが、図の(B)に破線で示した熱回収のないときの温度分布を回収熱に相当する分だけおおよそ高温側にシフトしたものとなる。つまり、温度パターンはほぼそのままで燃焼の最高温度と空間平均温度は上昇することになる。
【0007】
因みに、こういった熱設備における省エネルギー対策の基本は、熱装置に供給された熱エネルギーを合理的に利用し、その損失を最小化することである。即ち、ある熱装置の熱エネルギー損失の最小化を具体的に実現するには、伝熱効率を高めて必要入熱量を低減する「高効率伝熱による伝熱量の最大化」と、廃熱回収率を高めて出熱量を低減する「高効率廃熱回収による廃熱量の最小化」との二条件を同時に満足させることが必要となる。
【0008】
ここで、高効率伝熱による伝熱量の最大化とは、伝熱効率改善によって熱装置への供給熱エネルギー量を低減させる手法である。そのためには平均熱流束を増大させなければならないので、伝熱係数の増大と温度場の温度Tの増加が基本となる。したがって、熱装置への供給熱エネルギー量一定の条件で、もし炉内全体の温度レベルTを最大許容値(TMAXまで高められるのであれば、伝熱量は増加する。そして、増加した伝熱量を前と同じ量に戻すには、熱装置への供給熱エネルギー量を減少させればよい。これが「高効率伝熱による伝熱量の最大化」による省エネルギーである。
【0009】
しかし、従来の通常燃焼技術では炉内温度レベルTを高めようとすると必ず局所的に許容最大値(TMAXを越えるような領域T(x,y,z,t)>(TMAXが生じる。つまり通常燃焼で乱流拡散火炎を安定に燃焼継続させるためには保炎領域の形成が必須である。そのため、通常燃焼では保炎領域を中心に高温域が生じるので、熱装置内に不可避的に偏りの大きい温度分布T(x,y,z,t)が形成されることになる。その結果、これが制約条件となって、平均熱流束の改善、即ち適正な高温場形成の手法は実現性に乏しいと考えられ、あまり着目されることはなかった。それ故、従来型の省エネルギー技術は、廃ガス顕熱の回収すなわち「高効率廃熱回収による廃熱量の最小化」にその努力を傾注せざるを得なかったといえる。
【0010】
また、熱回収のみを行う方式と高温予熱空気だけを用いた比較的小さなガス循環率の燃焼方法に共通することは、炉温上昇に伴って、火炎領域からの被加熱物に対する放射伝熱量はT に比例する性質によって飛躍的に増加することである。しかし、ガス循環方式に比較して炉内流動ガスの熱容量は小さく炉内容積の一部の高温ガス部分からの伝熱が被加熱物へ与える熱量の大部分を担うこととなる。温度低下した他の領域のガスはそのまま炉外に排出するにはまだ温度が高すぎる理由から炉内に留め、被加熱物へのわずかな伝熱と保温のために利用されている。このため、炉の大部分の容積の伝熱に寄与する割合が小さいにも関わらず、一般的な炉は必要以上の容積を持つことになる。炉をコンパクト化すると炉出口のガス温度が高くなり、熱回収量を十分に大きくしないと排熱量Qexh が増加し、炉の熱効率1−Qexh /Qfを低下させることになる。
【0011】
更に、炉内出口温度・循環ガス温度並びに酸化剤としての燃焼用空気の予熱温度が600℃以下の場合、1ないし1.5のガス循環量で失火の領域に位置することになるので、循環ガス量を増大させる強循環を行うことができない。
【0012】
そこで、本発明は、省エネルギーを可能とする加熱方法、より具体的には高効率伝熱と高効率廃熱回収を同時に達成することが可能な加熱方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の加熱方法は、炉外へ排出される燃焼排ガスから回収される顕熱を利用して約800℃以上の高温に予熱された酸化剤と燃料とを炉内に別々に噴射し、酸化剤の供給側において高温の酸化剤と炉内で加熱を終了した高温の既燃ガスの一部を混入させてから既燃ガスを炉内へ再び投入させると共に、燃料の供給側において既燃ガスの一部を噴射直後の燃料に混入し、その後既燃ガスの一部と混合した酸化剤と燃料とが炉内で混合させられて燃焼し、炉内へ供給される燃料と酸化剤の量以上のガスが炉内を強力に循環することで炉内の最高温度の低下と炉全体の温度分布を平坦化するようにしている。
【0014】
ここで、燃焼用空気の予熱は、ハニカム構造のセラミック蓄熱体を用い、短時間の周期の切換で燃焼排ガスと燃焼用空気とを交互に蓄熱体に通過させることによって燃焼排ガスの顕熱を高効率で燃焼用空気に伝達させる蓄熱式熱交換装置で行うことが好ましい。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、被加熱物を通過させるチューブを炉壁に沿って炉長方向に配管した加熱炉の一端の炉壁に、炉外へ排出される燃焼排ガスから回収される顕熱を利用して予熱された酸化剤を噴出するノズルと燃焼排ガスを排出するノズルとを円周方向に間隔をあけて複数ずつ配置する一方、これらノズルと対向する反対側の半球状の炉壁の中央に燃料ノズルを配置し、酸化剤を加熱炉の両端の中心軸よりも側壁側に向けて噴出させてその酸化剤の流れに一部の燃焼ガスを吸引して混合しながら炉壁に沿って燃料ノズル側へ流すと共に、燃料を燃焼ガス排出ノズルが配置されている方向に噴射して、酸化剤の流れの内側を酸化剤の噴出ノズルへ向けて流れる燃料ガスと酸化剤とを向流接触させてその境界面に生じる大きな速度差の下で速やかに混合すると同時に火炎の熱をチューブ内を流れる被加熱物に一様に与える一方、燃焼した後のガス及び燃料と混合されなかった酸化剤の一部を中心軸に向け燃料の噴射側で燃料の流れ方向に反転させて噴射直後の燃料と混合させて燃料の一部と燃焼反応を起こさせながら酸化剤噴射ノズル側へ流し、燃焼ガスの一部を燃焼排ガスの排出ノズルから炉外へ取り出しその顕熱を燃焼用空気の予熱に回収した後に排出させ、燃焼ガスの一部を前記酸化剤の噴流及び燃料噴流と共に炉内を循環させることによって炉内へ供給される燃料と酸化剤の量以上のガスが炉内を強力に循環するようにしている。
【0016】
【作用】
これまで用いられてきた通常燃焼では燃焼用空気温度は予熱されてもせいぜい500〜600℃以下と低かった。このため、これまでの燃焼装置は、燃焼反応を継続するための保炎機構を必要とし、燃焼安定性の低下や火炎吹き飛びが生じない範囲以上には燃料や燃焼用空気の供給速度を高速化することができず、大きな制約が存在している。
【0017】
しかし、空気予熱温度を高温化すると、それに連れてその断熱火炎温度が上昇し、高温での燃焼が起こる。約800℃以上の高温に予熱された燃焼用空気を利用した燃焼を行う際、燃焼時の騒音が極めて低いとの結果が実験的に得られた。この燃焼低騒音性からも推定されるように、燃焼状態は超安定である。そして、この燃焼状態の超安定性は、還元燃焼や希薄燃焼の安定制御を可能とするので、均一な還元雰囲気の温度場生成さらには排ガス希釈を伴う希薄燃焼による窒素酸化物生成抑制などを可能とする。
【0018】
即ち、燃焼用空気が約800℃以上の高温になることによって、図6に示されるように広い範囲の混合気濃度が安定に燃焼可能となる。炉入口における混合気の酸素濃度はガス循環率によっても変化するが、通常、5%〜10%の範囲となる。しかも、燃焼用空気と燃料とはほぼ平行に炉内に噴射され、かつ空気は高速で噴射される。しかし、炉に流入する空気・燃料と循環ガスの混合気の温度がその気体の着火温度より十分に高いので、着火ミス、吹き飛び、保炎不良、燃焼振動という燃焼の不安定性を起こさない。この可燃範囲の拡大は燃焼特性と伝熱特性に著しい影響を及ぼす。例えば、燃焼用空気温度が自己着火温度より高い混合気であれば、着火過程において外部からの着火熱源が不要となる。そして、炉内に平行に噴射される燃焼用空気と燃料とは燃料反応が炉内の広い領域で多量の不活性ガスと混合した高温の低酸素濃度の下に緩慢に進行する。このため、流体供給に関する従来の制約条件に妨げられることなく、熱装置の最適設計の観点から供給速度を選択することができる。流体を高速供給できればそのモーメンタムによって、加熱空間の広い領域において炉内ガス循環量をこれまでよりも格段に増加させることができる。その結果、炉内ガス温度差が低減し、温度場の超平坦化が可能になる。
【0019】
また、炉内ガス温度Tは、様々な要因によって定まり、断熱火炎温度、熱損失、抜熱量そして燃焼量や空気温度などが一定とした場合には、炉内ガス循環流量とその流動形態によって大きく影響を受ける。例えば、断熱火炎温度が2000℃で、炉内循環ガス温度が1200℃の場合には、明らかに炉内ガス循環による希釈によって火炎温度は低下する。つまり、炉内に形成される最高温度領域が、もし炉内ガス循環により希釈されればその最高温度の値は希釈割合と希釈ガス温度に応じて低下する。ここで、希釈ガス温度が一定で断熱火炎温度が異なる場合、同じ希釈割合に対する温度低下は炉内ガス温度が高いほど少なくなる。このことは、断熱火炎温度が高くなるほど、炉内ガス循環による希釈率を増加させないと同じ温度に保持できないことを意味する。実際には温度が場所と時間により様々に異なる炉内ガスによって複雑な希釈割合が生じているが、希釈率、希釈ガス温度そして断熱火炎温度は炉内ガス温度Tに対してこのように相互に影響を及ぼす関係にある。そこで、熱伝熱率や炉内ガス温度をガス負荷量を増加させることで平均化することができれば、従来よりも大量のガスを流動させることができ、炉内の温度や濃度の均一化が可能になる。
【0020】
また、請求項3の発明の場合、酸化剤が炉内壁面に衝突した後、この壁面に沿って燃料の流れとは逆方向に流れる。また、燃料ガスは酸化剤の流れの内側を燃焼ガス排出ノズルが配置されている方向へ向けて流れつつ酸化剤と混合されて燃焼反応を起こす。このとき、燃料と酸化剤とは向流接触するためその境界面に大きな速度差が生まれ、速やかに混合すると同時に特定の火炎形状をつくらずに炉内全域で燃焼反応を起こしてその火炎の熱をチューブ内を通過する被加熱物に一様に与える。しかも、未反応の酸化剤を含む燃焼ガスはその流れを燃料の噴射側で燃料の流れ方向に反転させて再び酸化剤噴射ノズル及び燃焼ガス排出ノズル側へ流れる。そして、炉内での加熱を終了した後の高温の既燃ガスの一部は酸化剤の噴流及び燃料噴流と共に再び燃料ノズル側へ供給されて炉内を循環する。また、一部の既燃ガスは酸化剤の複数本の噴流の間を通り抜けるようにして炉外へ蓄熱体を介して排出される。これによって、炉内には高温の既燃ガスの循環が起こり炉内循環ガス量を増大させる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の構成を図面に示す一実施例に基づいて詳細に説明する。
【0022】
本発明の加熱方法は、約800℃以上の高温に予熱された燃焼用空気と燃料とを炉内にほぼ平行にかつ燃焼用空気の噴射速度を高速として噴射し、炉内で混合させて燃焼させる一方、高温の既燃ガスを高速空気流の高い運動量によって炉内で多量に循環させると共に高温の既燃ガスの一部を高速で強制循環させることによって炉内の最高温度の低下と炉全体の温度分布を平坦化するようにしている。ここで、燃焼用空気の予熱方法としては、短時間の周期の切換で燃焼排ガスと燃焼用空気とを交互に蓄熱体に通過させることによって燃焼排ガスの顕熱を高効率で燃焼用空気に伝達させる蓄熱式熱交換装置で行うことが好ましい。
【0023】
図1に本発明の加熱方法を実施する加熱設備の一例を示す。この加熱設備は、炉1の入り口側と出口側とを連結して炉内の既燃ガス・燃焼排ガスを循環させる循環路2と、炉内での熱伝達を果たした燃焼排ガスの顕熱を回収して燃焼用空気の予熱に用いる空気予熱器3と、高温に予熱された燃焼用空気と循環する燃焼排ガスとを混合する混合器4とを設けて、炉1から排出される燃焼排ガスの持つ顕熱を回収すると共に不活性ガスとして高温の燃焼排ガスを入口に戻し、高温に予熱された燃焼用空気と共に高速で炉1内へ噴射させるようにしている。炉1内を流れるガスの量は、投入された空気と燃料の量に循環する量を加えたものになり、流動性の強化に伴って混合の促進や対流伝熱量の増加を図るようにしたものである。このエネルギー状態を図2に炉内のエンタルピ分布(A)と温度分布(B)として模式的に示す。エンタルピ分布は高温に予熱された燃焼用空気を用いただけの場合のエネルギー状態を示す図9の(A)と同じ形となるが、本発明の加熱方法によるとエネルギーレベルの上昇は流動量の増加とともにもたらされるため、熱だけを回収する方法と異なり温度が上昇することはなく平坦に近づく。
【0024】
また、図7に他の実施例を示す。この実施例は、酸化剤と燃料とを対向させた位置で別々に炉内に噴射させるようにしたもので、水素リフォーマ(水素製造装置)、エチレンクラッカー、石油改質用ヒータの加熱装置に適用した場合に好適である。この加熱装置は、円筒状の加熱炉10の内部に被加熱流体を通過させるチューブ11を炉壁12に沿って配管し、その両端の中心軸13上に、燃焼用空気などの酸化剤を噴出する複数のノズル14,…,14と燃料ノズル15とを対向配置し、酸化剤を中心軸13から側壁12に向けて噴出し、燃料を酸化剤の噴出ノズル14,…,14に向けて炉内の中心軸13方向に噴射するようにしている。酸化剤を噴出する複数のノズル14,…,14は、本実施例の場合、円周方向に配置された複数個のポートとから成り、燃焼用空気を供給する給気系と燃焼排ガスを炉外へ排出するための排気系とを交互に各ポートに連通させる流路切替装置17によって、1つおきに酸化剤を噴射させる一方、その間のポートから燃焼排ガスを排出させるようにしている。各ポート(ノズル)14には、蓄熱体例えばハニカム形状のセラミック16が内装され、燃焼排ガスを通過させる際に蓄えた熱で燃焼用空気を予熱するように設けられている。また、流路切替装置17としては特定のものに限られるものではなく、四方弁や複数の電磁弁を組み合わせたものでも良いが、本出願人によって先に提案された特願平5−198776号、特願平5−269437号や国際公開WO94102784号に開示された流路切替装置の使用が好ましい。また、流路切替装置17とノズル14,…,14との間に介在される蓄熱体16は、各ポート14毎に独立したものである必要はなく、ハニカムセラミックスのような互いに独立したセル孔を各数有する蓄熱体16の場合には、1つのブロックの一部分に流路切替によって酸化剤を供給する一方、他の領域に燃焼排ガスを通過させてその顕熱を蓄熱体16で回収するように設けても良い。この場合、流路切替装置17を駆動することによって蓄熱体16に燃焼排ガスと酸化剤とを交互に流し、燃焼排ガスで加熱された部分に酸化剤を通して約800℃以上の高温に予熱してから炉内へ噴射される。また、燃料ノズル15は炉の中心軸13上に配置され、他端側の酸化剤ノズル14へ向けて燃料を噴射するように設けられている。ここで、燃料ノズル15側には立ち上げ時に燃料ノズル15から噴射される燃料を燃焼させるための空気を噴射するスタートアップ用エアノズル18が設けられている。
【0025】
以上のように構成された加熱装置によると、複数のノズル14,…,14から炉内壁面12に向けて噴射された酸化剤は炉内壁面12に衝突した後、この壁面12に沿って燃料の流れとは逆方向に流れる。また、燃料ガスは酸化剤の流れの内側を酸化剤の噴出ノズル14,…,14へ向けて流れつつ酸化剤と混合されて燃焼反応を起こす。このとき、燃料と酸化剤とは向流接触するためその境界面に大きな速度差が生まれ、速やかに混合すると同時に火炎の熱をチューブ11内を流れる被加熱物に一様に与える。しかも、燃焼した後のガス及び燃料と混合されなかった酸化剤の一部はその流れを中心軸13に向け燃料の噴射側で燃料の流れ方向に反転させて燃料と燃焼反応を起こしながら再び酸化剤噴射ノズル14,…,14側へ流れるが、ノズル14,…,14の近傍で酸化剤の複数本の噴流の間を通り抜けるようにして排気系と連通するノズル(ポート)14を通って炉外へ取り出され、蓄熱体16を通ってその顕熱を回収された後に排出される。また、一部の燃焼を終えたガスは、排気されることなく再び酸化剤の流れに吸引されて炉内へ投入される。これによって、炉内へ供給される燃料と酸化剤の量以上のガスが炉内を強力に循環することとなる。このとき、対向噴射される燃料と酸化剤との流れは直接に衝突しないで安定した流動状態を形成し炉内循環ガス量を増大させる。
【0026】
以下、その加熱原理を詳細に説明する。
まず、常温の燃料と空気を加熱炉内に導入して燃焼させる場合について説明する。排ガスの持つエネルギーをリサイクルしない方法では、常温の燃料と空気を加熱路内に導入して燃焼させる。特に図示していないが、炉内の温度上昇は燃焼による熱でもたらされ、常温の空気と燃料は混合して炉内最高温度まで上昇する。温度は火炎の存在する領域(燃焼領域)までの狭い空間で常温から最高温度まで変化する。そして、被加熱物質への伝熱によって温度が降下し炉から排出される。
【0027】
このときの熱とガス量のバランスは単純にこの数式1
【数1】
Figure 0003543019
で表せる。ここで、mは単位時間当たりの質量流量、Qは熱量であり、添字のa,fは空気と燃料を表し、minは炉に流入する空気と燃料の質量流量の和、Qcold,Qloss,Qexh はそれぞれ炉に流入する空気と燃料の保有熱量の和、損失熱、排ガスの保有熱を表す。Qm,Qfはそれぞれ被加熱物の持ち出す熱と、単位時間に炉に流入する燃料の燃焼熱量を表し、加熱の熱効率はQm/Qfと定義する。
【0028】
に示す熱のみを回収する方法は、炉101から排出する熱を熱交換器102により空気や燃料、被加熱物の予熱に利用する方法である。この熱回収方法として炉101の出口に熱交換器102を設置して燃焼用空気を加熱したり、輻射変換体をおいて熱放射を利用する方法がある。
【0029】
このときの熱バランスは、数式1の両辺に熱回収分を加えて、
【数2】
Figure 0003543019
と表せる。Qevは排気で空気を加熱する熱交換器によって回収される熱量である。
熱回収しない時と比較すると、上述の数式2に示すように熱回収の効果は発熱量が +Qevに増加したことに相当することになり、燃焼温度を増加させる効果を持つ。
【0030】
熱回収量をQevとすると熱回収しないときと同一の入力では数式2に示すように熱回収量は発熱量の増加Qf+Qevに相当することになり、燃焼温度を増加させる効果を持つ。この熱回収方法は熱循環量を増加させると燃焼温度が上昇し、さらに燃焼温度の上昇はさらに熱循環量を増加させ、制御回路でいうところの正のフィードバックとなる。この系は正のフィードバックがあるにもかかわらず、同時に伝熱と熱損失などの負のフィードバックがあることによって安定しており、燃焼設備の中の熱フローとしては有効な熱流制御の方法である。
【0031】
空気予熱器での被加熱物は常温の空気であり、これらの温度を上げることは燃焼速度の向上につながり、火炎の安定性が改善される。この技術は、燃焼温度を高く保つことで希薄燃焼や低品位燃料の利用が可能となり、さらに工夫によってはNOx低減効果を期待できるため注目されている技術ではあるが、その基本コンセプトは従来の省エネ技術である。
【0032】
蓄熱や熱交換、熱放射による熱回収法は正のフィードバックを形成しているため、燃焼量一定で低熱損失、低加熱量の場合のプロセスでは燃焼領域から出るガス温度は非常に高くなる。このことは燃焼反応領域に接する材料の耐熱性や炉からの熱損失量の増大という問題を起こし、これが正のフィードバックの利用限界となる。また、熱回収しないときと同じ程度の排熱量に抑えて炉の熱効率を低下させないために高温の炉出口ガスから熱を回収して排ガス温度を低く保つことを困難にしている。
【0033】
に、熱回収を行った場合の炉内のエネルギー分布(A)と温度分布(B)として模式的に示す。燃焼速度の上昇や比熱の温度依存性、解離現象による総合比熱の増加によって温度パターンは高温では少し変化するが、図の(B)に破線で示した熱回収のないときの温度分布を回収熱に相当する分だけおおよそ高温側にシフトしたものとなる。つまり、温度パターンはほぼそのままで燃焼の最高温度と空間平均温度は上昇することになる。
【0034】
これに対し本発明の加熱方法は、例えば図1に示すように、炉出口ガスの持つ顕熱を回収すると共に不活性ガスである高温の既燃ガス・燃焼排ガスを入口に戻す方法であるため、炉内を流れるガスの流量は投入された空気と燃料の量に循環する量を加えたものになり、流量の増加に伴って混合の促進や対流伝熱量の増加が期待できる。このエネルギー状態を、図2に炉内のエンタルピ分布(A)と温度分布(B)として模式的に示す。エンタルピ分布は図の(A)と同じ形となるがこのエンタルピレベルの上昇は流量の増加とともにもたらされるため、熱だけを回収する方法と異なり、最高温度が上昇することはなく平坦に近づく。
【0035】
図2の(B)において、実際には循環ガス量の増大によって炉内のガス流動が激しくなり、温度分布はさらに平滑になると予想される。
【0036】
ガス循環が存在すると、単位時間当たりの質量流量と熱のバランスは、数式2の両辺にガス循環分(添字rec )を加えた数式3となる。
【数3】
Figure 0003543019
ここで、ガス循環によって出口から回収される熱量に対し、入口に戻される熱量の割合を熱の戻り率αと定義すると、ガス循環中の熱損失は(1−α)Qrec となる。尚、ここでは簡略化のため炉出口温度Tout をもって炉内平均温度Tmeanの代表値としている。
【0037】
次いで、図1に示す本発明の熱回収とガス循環をともに行う燃焼システムについての熱収支計算を行うと以下の通りとなる。
【0038】
まず、流入熱量について言及する。炉の入口部は空気予熱器と循環ガス混合器とから構成されているとする。まず、空気予熱器では空気と排ガス間で熱交換が行われる。熱交換量は、空気と燃料の流入温度をTcold、2つの流体の混合気の温度をTmix として、数式4で表される。
【0039】
【数4】
Figure 0003543019
(Cm)inは投入された空気と燃料の熱容量の和である。また、ξp は空気予熱器の熱交換係数であり、熱貫流率K、熱交換器の長さL、2つの流体の熱容量の逆数和をbとして、ξp =e−bKLで表される量である。空気予熱器出口の保有熱量と温度は、数式5で表される。
【0040】
【数5】
Figure 0003543019
ここで、比熱Cはガス組成にかかわらず一定となる。続いてこの高温空気は、ガス混合器で排ガスと混合する。ここで、ガス循環率Rを投入燃料と単位時間当たりの空気流量の和minに対する単位時間当たりのガス循環量mrec の比として定義すると、次の数式6のようになる。
【0041】
【数6】
Figure 0003543019
循環ガスの質量流量が流入する空気と燃料の合計質量流量のR倍とし、上述の数式5と同様にそれぞれの質量当たりの比熱がほぼ同じ値を持つと仮定すれば、熱量と温度は数式7で表される。
【0042】
【数7】
Figure 0003543019
となる。この混合後の気体の酸素モル濃度xo(in2)は、流入空気と、循環ガスの酸素モル濃度をそれぞれxo(in) 、xo(rec)とすると、ほぼ次の数式8のように与えることができる。
【0043】
【数8】
Figure 0003543019
循環ガスが完全燃焼していれば、この量は簡単に求められる。ここで、0.98は酸素濃度のモル分率と質量分率の換算率であり、φを当量比としてxo(rec)〜(φ−1)xo(in1)の関係がある。xo(in2)は炉入口の酸素濃度であるので、この酸素濃度で燃焼が起こる。つまり、ガス循環率が増大すると、o(in2)は小さくなり、多量の高温不活性ガス中での低酸素・低燃料濃度燃焼、すなわち超希薄燃焼となる。
【0044】
次いで、燃焼の計算について言及する。ここで、熱バランスのみの計算を行うので、詳細な燃焼プロセスには立ち入らない。前述のように燃焼プロセスが‘火炎面’の存在が疑問であり、極めて低い酸素濃度中であると言うあまり知見のない状態下で起こるため燃焼によって上昇する温度を正確に評価することは困難である。しかし、通常のように層流熱拡散速度が乱流混合速度に比較して小さいとすると、単純に、数式9で表すように、
【数9】
Figure 0003543019
となる。温度差△Tf=(Tfmax −Tin2 )右辺の第2項が燃焼による温度上昇分である。Qf は単位時間に炉に流入する燃料の燃焼熱量であるので、この温度上昇分は当量比によって変化する。数式7を考慮してもRの増加とともに△Tfは小さくなり、ほぼ1+Rに逆比例することになる。つまり、循環ガス量が増加すると燃焼による温度上昇は炉内流動ガス量に逆比例して小さくなり、炉内温度の軸方向分布は平坦化してくる。
【0045】
更に、加熱熱量の計算について言及する。炉内で被加熱物質を加熱する場合、熱は対流伝熱Qconvと放射伝熱Qrad によってもたらされる。ここでは計算のため、放射伝熱と対流伝熱の比をf=Qrad /Qconvとすると、数式10で表される。
【0046】
【数10】
Figure 0003543019
このfは流動とガス、被加熱物温度の関数であり実際の場ではかなり複雑な現象に支配されている。しかし、性能評価計算を簡単に行うため、以下の簡略化を行うものとする。ここでは、
▲1▼参照ガス温度Tgref =2000K、参照被加熱物温度Tmref =600Kのときfref =2として計算し、Cr=0.17×10−9とする。
▲2▼fは被加熱物の温度Tmとガス温度Tgの2つで決まる。
▲3▼図3のように、被加熱物の温度とガス温度の比rの変化は、時間と共に単
調に増加する部分と、一定に推移する部分とを組み合わせたものとする。
と仮定すると、次の数式11が導かれる。
【0047】
【数11】
Figure 0003543019
ここで、φCGは放射率や形態係数を含む係数、σはステファン−ボルツマン定数、hは熱伝達率である。
【0048】
炉入口から出口に至るまでの間の被加熱物温度の時間履歴は、図3のように、炉に流入してr1 からすぐに単調に増加し、終了値r2 に達して一定となり炉から出てゆくものとする。この単調に増加する時間区間の全体に対する割合をτとすると、積分平均によって受熱量を計算する関数は、数式12に示すように、
【数12】
Figure 0003543019
とできる。流入するガスと被加熱物の温度をそれぞれTginとTminとすると、ガスの出口温度Tgout と被加熱物の出口温度Tmout は伝熱量Qmを仮定すれば求められるので、ガスと被加熱物とが平行流であるとすれば、r1 =Tmin/Tgin,r2 =Tmout /Tgout を計算できる。
【数13】
Figure 0003543019
【0049】
そこで、改めて放射伝熱の時間平均割合[f(r)]ave を計算し、必要な系の温度をすべて求めた後、数式14で算出した対流伝熱量から加熱量Qmを数式10で再計算し、収束値を求める。ここで、対流伝熱は、被加熱物を示す添字mを付けてe−bmKmLm をξm とおき、Tmix を混合温度として被加熱物系の伝熱量Qconvを数式14の通り、
【数14】
Figure 0003543019
とする。この計算では、ξm に含まれる熱貫流率Km(対流熱伝達率に対応)は炉内のガスの流動様式や被加熱物の形状によって変わる。すなわち、ガス循環率がRモデルでは見積もることが困難な関数であるが、収束計算ではこのξm を定数とした。
【0050】
炉の出口での流出熱量Qout は、数式15に示す通り、
【数15】
Figure 0003543019
となる。
【0051】
ガス循環方式であっても炉出口のガス温度は高いため、熱交換器を設けて燃焼用空気を予熱する。ここでの計算は、数式16に示す通り、熱交換器から排出される熱量Qexh および熱交換器の排ガス温度Texh を、炉出口ガスからの熱回収量Qevと排ガス温度Tout から算出することができる。
【数16】
Figure 0003543019
【0052】
以上の計算をまとめると、ガス循環を伴う系において炉各部の温度は、比熱の温度依存性を無視すると、次の数式17に整理される。
【数17】
Figure 0003543019
ここで、△Tf,△Tm,△Tloss,Tout はそれぞれ燃焼による温度上昇、加熱による温度降下、熱損失による温度降下、循環前のガス温度であり、図1に示す添字と対応している。△Trec =Tin2 −Tin1 はガス循環による温度上昇であり、循環量を増加させるとこの量が増加することに応じて、燃焼による温度上昇△Tfのガス温度の上昇に寄与する割合は減少してくる。
【0053】
被加熱物の熱容量(Cm)m を燃焼ガスの熱容量(Cm)gas の3倍とし、加熱の係数ξm を0.7、ガス循環率R、ガス循環での熱の戻り率αをパラメータとして、ガス循環を行ったときの炉の熱収支から求めた炉最高温度Tfmax と炉内平均温度Tmの変化を図4に、炉の熱効率Qm/Qfを図5に結果の一例として示す。
【0054】
これらの図のように、ガス循環率を増加させると熱容量の増加のために火炎の最高温度は大きく低下する。同じようにガス温度低下に伴い炉の熱効率も減少してくる。しかし、特に炉の熱効率を減少させる原因にはガス循環率よりもガス循環における熱損失の増大の方が影響することがわかる。
【0055】
ガス循環率Rの増加と共にTfmax は低下してくるが炉内平均温度Tmeanはほとんど低下せず、Tfmax はTmeanに近づき炉内温度分布は平均化してくる。
【0056】
ガス循環率Rが小さい時(R<1)には、熱の戻り率αが減少しても、(1−α)で示される熱損失が小さいため、αの減少に対してTfmax やTmeanはあまり減少しない。つまり、ガス循環の保有熱量のわずかな割合であれば、この熱を他に利用しても影響がないことになるが、Rが大きい時には炉内平均温度が影響を受けることになる。
【0057】
以上説明したように、本発明の加熱方法では、炉内の平均ガス流量が炉に流入する空気(+燃焼)ではなくガス循環流量分だけ増加し、かつ現在の材料技術では炉の入口での予熱後の空気温度を800〜1200℃と高く設定できるため、高温のままでガス循環量を増加でき、相対的に燃焼による温度上昇分を300〜500℃と小さく抑えることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の加熱方法によると、熱再循環により得られる超高温予熱空気を直接燃焼に導入することによって燃焼制御特性を大幅に高めると共に炉内での熱伝達に寄与された後の燃焼排ガスを強循環させて高速で噴射される高温の燃焼用空気と炉内に再び導入させて炉内ガスの流動化を活発としているので、高効率伝熱による伝熱量の最大化と、廃熱回収率を高めて出熱量を低減する高効率廃熱回収による廃熱量の最小化との二条件を同時に満足させることができ、炉内温度の高温化と平坦化を実現できる。
【0059】
即ち、ガス循環量の増大に伴って炉内に特定の火炎領域を形成しなくなる。このことは、酸化剤と燃料とを流入時に混合させる方法を採らず、燃料と酸化剤を別々に流入しても燃焼不安定は起こらず、燃焼反応が炉内の広い領域で進行することを意味する。このため、従来の火炎面を形成する燃焼ではなく空間燃焼(火炎面上下流の温度差が通常の燃焼に比較して非常に小さくなり、多量の不活性ガスと混合した高温の低酸素濃度の気体が燃料と混合して燃焼が進行するため、火炎面という概念が定義し難くなるのでこのように呼ぶ)となり、温度の均一性が特別に強い流動性を持たせなくなくとも実現できる。しかも、ガス循環率の大きな上述の高温空間燃焼では炉内最高温度も炉出口温度も低下するため、熱効率を低下させることもない。よって、流動ガス量の増大による流動促進の影響を差し引いても炉内温度を均一化することができ、さらにガス量増加による流動促進効果は温度分布均一化を促進させることになる。
【0060】
また、本発明の加熱方法によると、酸化剤と燃料の接する特定の反応領域が存在しないため、炉内最高温度は従来の拡散燃焼で存在した最高温度より低下する。しかも、炉内温度差は小さく炉内平均温度も上昇する。ここで、炉最高温度の低下は放射伝熱量の低下を来すことになるが、それ以上に炉内温度の均一化が被加熱物への伝熱に有効な炉空間の体積割合を従来よりも大きくすることの効果は大きいことになる。同時に、空気予熱器の負荷を上げず、さらに加熱の熱効率を損なうことなく炉容積の少ない炉の設計をも可能にしている。
【0061】
よって、本発明の加熱方法は、炉内温度の均一化によって、炉内温度差が小さくなるため炉構造物に対する熱ストレスを小さくし、かつ最高温度の低下によって従来の耐熱技術で十分に対応できるようにするとともに局所高温によるダメージを小さくできる。また、炉内平均温度の上昇を可能とするため、炉内全体が加熱のために利用でき、同一被加熱物への対流伝熱量の増加をもたらす。
【0062】
また、通常の加熱では、被加熱物の不均一加熱が制約条件となり、燃焼負荷率(ガス流量/燃焼室体積)がそれほど大きくとられていない。その制約条件を炉内ガス温度の平坦化によって解決できるので、燃焼負荷率を従来よりも高くとれ、炉容積の縮小または生産性の向上が可能となる。
【0063】
更に、本発明の加熱方法によると、燃料の流入位置を酸化剤(空気)の流入口に対して適当な配置をとることで、炉内ガスと燃料との適正な混合を可能にし、低NOx、低未燃分(CO、すす)燃焼のために必要となる炉内雰囲気制御を実現できる。
【0064】
更に、請求項3の発明の場合、酸化剤の流れと燃料の流れとが対向流であっても直接に衝突しないので、加熱した後の高温の既燃ガスの安定した炉内循環が起こり、循環ガス量を一層増大させることができ、炉内最高温度の低下と炉内平均温度の向上並びに炉内温度の均一化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱方法の一例を説明する説明図である。
【図2】本発明の加熱方法を実施した場合のエネルギー状態を説明する図で、(A)は炉内のエネルギー分布を、(B)は炉内の温度分布をそれぞれ示している。
【図3】本発明の加熱方法を実施した場合のガスによる被加熱物の加熱に対するガス温度比の履歴を示す模式図である。
【図4】本発明の加熱方法を実施した場合のガス循環量と最大及び平均の温度との関係を示す図で、(A)は火炎の最高温度との関係を、(B)は炉出口のガス温度との関係をそれぞれ示している。
【図5】本発明の加熱方法を実施した場合のガス循環量と加熱効率との関係を示す図である。
【図6】可燃範囲に及ぼす予熱空気温度の影響を示すグラフである。
【図7】本発明の加熱方法を適用した他の加熱装置の実施例を示す概略図で、(A)は縦断面図、(B)は側面図である。
【図8】従来の排熱を回収する加熱システムの一例を示す説明図である。
【図9】図の加熱方法を実施した場合のエネルギー状態を説明する図で、(A)は炉内のエネルギー分布を、(B)は炉内の温度分布をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 炉
2 循環路
3 空気予熱器
4 混合器

Claims (3)

  1. 炉外へ排出される燃焼排ガスから回収される顕熱を利用して約800℃以上の高温に予熱された酸化剤と燃料とを炉内に別々に噴射し、前記酸化剤の供給側において前記高温の酸化剤と前記炉内で加熱を終了した高温の既燃ガスの一部を混入させてから前記既燃ガスを炉内へ再び投入させると共に、前記燃料の供給側において前記既燃ガスの一部を噴射直後の前記燃料に混入し、その後前記既燃ガスの一部と混合した酸化剤と燃料とが前記炉内で混合させられて燃焼し、炉内へ供給される燃料と酸化剤の量以上のガスが炉内を強力に循環することで前記炉内の最高温度の低下と炉全体の温度分布を平坦化することを特徴とする加熱方法。
  2. 前記酸化剤の予熱は、ハニカム構造のセラミック蓄熱体を用い、短時間の周期の切換で前記燃焼排ガスと前記酸化剤とを交互に前記蓄熱体に通過させることによって前記燃焼排ガスの顕熱を高効率で前記酸化剤に伝達させる蓄熱式熱交換装置で行うことを特徴とする請求項1記載の加熱方法。
  3. 被加熱物を通過させるチューブを炉壁に沿って炉長方向に配管した加熱炉の一端の炉壁に、炉外へ排出される燃焼排ガスから回収される顕熱を利用して予熱された前記酸化剤を噴出するノズルと前記燃焼排ガスを排出するノズルとを円周方向に間隔をあけて複数ずつ配置する一方、これらノズルと対向する反対側の半球状の炉壁の中央に燃料ノズルを配置し、前記酸化剤を前記加熱炉の両端の中心軸よりも側壁側に向けて噴出させてその酸化剤の流れに一部の燃焼ガスを吸引して混合しながら前記炉壁に沿って前記燃料ノズル側へ流すと共に、前記燃料を前記燃焼ガス排出ノズルが配置されている方向に噴射して、前記酸化剤の流れの内側を前記酸化剤の噴出ノズルへ向けて流れる前記燃料ガスと前記酸化剤とを向流接触させてその境界面に生じる大きな速度差の下で速やかに混合すると同時に火炎の熱を前記チューブ内を流れる被加熱物に一様に与える一方、燃焼した後のガス及び燃料と混合されなかった酸化剤の一部を前記中心軸に向け前記燃料の噴射側で燃料の流れ方向に反転させて噴射直後の燃料と混合させて燃料の一部と燃焼反応を起こさせながら酸化剤噴射ノズル側へ流し、燃焼ガスの一部を前記燃焼排ガスの排出ノズルから炉外へ取り出しその顕熱を燃焼用空気の予熱に回収した後に排出させ、前記燃焼ガスの一部を前記酸化剤の噴流及び前記燃料噴流と共に炉内を循環させることによって炉内へ供給される燃料と酸化剤の量以上のガスが炉内を強力に循環することを特徴とする請求項1または2記載の加熱方法。
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