JP3542843B2 - 更生タイヤの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、トレッドゴムへの熱影響を抑制しつつリトレット部材を貼着でき、品質を高めるとともに加硫時における加硫時間を短縮でき、経済的に製造しうる更生タイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用タイヤ、殊にトラック、バス用など重荷重用タイヤにあっては、タイヤ経費節減のため、トレッド部が摩耗することにより用済みとなったタイヤを、トレッド部を交換し再利用を図るいわゆる更生タイヤが増加しつつある。
【0003】
従来、タイヤを更生するには、図5に示すように摩耗又は破損したトレッド部を取除いた台タイヤaに新品タイヤと略同質のリトレット部材bを貼合わせた後、この台タイヤaとリトレット部材bとを加硫金型dを用いて加硫成形し、両者を接着するとともに、リトレット部材bにトレッド溝eを加工するなどトレッド部の成形加工を併せて行うリモールド方式による更生方法が用いられていた。
【0004】
しかし前記リモールド方式では、未加硫のトレッド部材と加硫済みの台タイヤとを同時に加硫するため、加硫後のタイヤは、トレッド部と台タイヤとの間にゴム特性値に差が生じることとなり、接地圧に不均等が生じがちであるため、新品タイヤに比べて耐摩耗性、耐偏摩耗性が低く耐久性に劣る。
【0005】
そこで、リトレット部材として予めパターンを形成しかつ加硫を施したリトレット用のゴムを台タイヤに貼付け更生タイヤを製造するいわゆるプリキュア方式が提案されている。
【0006】
この方式を用いた場合は、前記リトレット部材は加硫済みであることによって、最終の加硫工程は台タイヤとリトレット部材とを接着剤などを用いて貼合わせてかつ両者をシート状のエンベロープで覆った台タイヤを加硫する方法である。
【0007】
このプリキュア方式は、前述のリモールド方式のような大掛りな加硫金型を必要とせず簡易な装置でしかも複数個同時に加硫できるなど製法上の利点があり、しかもプリキュア方式により更生されたタイヤは、トレッド再生ゴムシート及び台タイヤはともに加硫済みの部材を用いてかつ両部材を接合しかつ一体化し形成されたものであるため、均質なタイヤが得られることにより、リモールド方式で更生されたタイヤに比べて耐摩耗性、耐偏摩耗性に優れ耐久性が高まるという利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このプリキュア方式は、両部材の接合に際し、台タイヤとリトレット部材とを嵌め合わせてかつ全体を加熱する方法であるため、又台タイヤのトレッド部及びリトレット部材はともに熱伝導度の低いゴムを用いて形成されているため、境界面を加熱するためには、台タイヤ、リトレット部材ともに高温に加温する必要があり、又接合面全体を均等温度に加温することは、作業上困難を伴う。このように、トレッド部を過温することによって、トレッドゴムが変質し、ゴムの物性値が低下するため、耐摩耗性が劣るという問題がある。
【0009】
発明者は前記問題点の解決を図るべく研究を重ねた結果、カーカス、ベルト層などのタイヤ補強部材にスチールコードを用いて形成したタイヤにおいては、このスチールコードに外部からの電磁誘導による渦電流を生じさせスチールコードを発熱させることにより接合面を効率よく、かつトレッドゴムを過熱することなく昇温させうることを見出し本発明を完成させたのである。
【0010】
本発明は、台タイヤとリトレット部材とをトレッドゴムのゴム特性を低下させることなく接合でき、品質を高めかつ加硫時間を節減でき経済的に製造しうる更生タイヤの製造方法の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カーカスおよびベルト層又はバンド層などのタイヤ補強部材を有する台タイヤのトレッド更生面に、加硫されたリトレット部材を貼着する更生タイヤの製造方法であって、
前記台タイヤは、前記トレッド更生面に近い前記タイヤ補強部材をスチールコードを用いて形成し、かつ前記台タイヤのトレッド更生面とリトレット部材との間に生ゴム系接着剤からなる接着層を介在させるとともに、
前記スチールコードからなるタイヤ補強部材を、高周波加熱により加熱することにより接着層を加硫し、台タイヤと、リトレット部材とを一体化することを特徴とする更生タイヤの製造方法である。
【0012】
なお、タイヤ補強部材としてスチールコードを用いて形成されたカーカス、ベルト層、さらにはバンド層にスチールコードを用いた場合にはそのバンド層を含めそれらの何れであってもよい。
【0013】
又高周波加熱に必要な高周波電力は周波数が10kHz〜3MHz、出力が500W〜50kwの範囲とするのが好ましい。
【0014】
【作用】
リトレット部材は、予め加硫されているため、更生タイヤとして形成されたトレッド部はゴム質が緻密となり耐摩耗性に優れた更生タイヤを形成しうる。
【0015】
本発明の製造方法は、台タイヤのトレッド更生面とリトレット部材との間に生ゴム系接着剤からなる接着層を介在させるとともに、スチールコードからなるタイヤ補強部材を高周波加熱により加熱することにより接着層を加硫し、一体化する方法である。
【0016】
これによって、スチールコードは電磁誘導により生じた電流により、周囲のトレッドゴムに比してより早期にかつより高温に、しかも高効率で昇温し、これによってスチールコードの熱は、その近傍に位置する接着層を効率よく加熱することが出来る。このように接着層を加熱しかつ加硫することによって、台タイヤとリトレット部材とは強固に一体化される。
【0017】
従って、従来のプリキュア方式のように台タイヤのトレッド部及びリトレット部材の全体を高温に加温する必要がないため、トレッドゴムの変質を防止できゴム特性値を保持しうることによって、従来の更生タイヤに比して耐摩耗性が向上する。さらに加硫時間が短縮される結果、製造コストの低減を図りうる。
【0018】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1、2において更生タイヤ1は、トレッド面21が摩耗し用済みとなった空気入りタイヤの残存トレッド部をバフ等を用いて削除することにより得られたトレッド更生面4を有する台タイヤ2と、この台タイヤ2に貼着されるリトレット部材3とからなる。
【0019】
前記台タイヤ2には、トレッド部22の両端からタイヤ半径方向内方へのびるサイドウォール部23、23と、各サイドウォール部23の半径方向内方端に位置する前記ビード部24とを具え、又各ビード部24、24間には、前記トレッド部22からサイドウォール部23を通り両端がビード部24のビードコア25の回りで折返して係止されるトロイド状のカーカス6が架け渡されるとともに、その半径方向外側かつトレッド部22内方には強靭なベルト層7が円周方向に巻装され、タイヤを補強しかつ必要な剛性を付与している。
【0020】
本実施例では前記カーカス6及びベルト層7によって台タイヤ2を補強する補強部材9を形成する。なおベルト層7の半径方向外側にベルト層7のリフティングを防止するバンド層8(図1に一点鎖線で示す)を設けた場合にはこのバンド層8も前記補強部材9に含まれる。
【0021】
前記カーカス6は、本例では、1枚のカーカスプライからなり、カーカスプライは、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミドなどの有機繊維又はスチールコードからなるカーカスコードをタイヤ赤道Cに対して70〜90°の角度で傾けて並置したラジアル、又はセミラジアル配列として形成される。
【0022】
ベルト層7は、本例では、2枚のベルトプライ7A、7Bからなり、各ベルトプライ7A、7Bは、スチールコードを間隔を有して平行に配したベルトコードを各ベルトプライ7A、7B間では互いに交差する向きに配している。
【0023】
なお前記ベルト層7は、前記トレッド更生面4と小距離を隔ててかつ該トレッド更生面と略平行にのびている。
【0024】
リトレット部材3は、前記トレッド更生面4と向き合う内向き面12と更生タイヤ1のトレッド面13とを有するリング状体をなす。又、トレッド面13には、周方向にのびる周方向溝を含む溝27が設けられ、このリトレット部材3は、台タイヤ2に嵌め合わせに先立ち前記溝27を含め定められた形状に予め成形されるとともに、加硫処理が施される。
【0025】
なお、リトレット部材3は、台タイヤ2のトレッドゴムと略同質のゴムからなり、又加硫処理を行うことによって前記トレッドゴムと同質のゴム特性を具える。
【0026】
前記台タイヤ2とリトレット部材3とを貼着する手順について説明する。本例では次に述べる工程により従って施行される。
【0027】
(1)台タイヤ2の前記トレッド更生面4に接着剤を塗布し接着層10を形成する。接着剤としては加硫可能な生ゴム系接着剤が用いられる。
【0028】
(2)台タイヤ2の更生面4を囲んでかつ前記接着層10の外周に沿ってリトレット部材3を嵌め合わせる。
【0029】
(3)図3、図4に示すように高周波誘導コイル15を収容した複数の加熱具16…をリトレット部材3のトレッド面21に沿って配設する。
【0030】
(4)加熱具16の前記高周波誘導コイル15に高周波電流を通電し、その通電によりベルト層7のスチールコードを電磁誘導により発熱させ、このスチールコードに生じた熱により前記接着層を加温し、加硫することにより、台タイヤ2とリトレット部材3とを接着し一体化する。
【0031】
前記加熱具16は、リトレット部材3を囲んで周方向に複数個、本例では12ケ配されかつ該リトレット部材3のトレッド面13を押圧する押圧面30の対向側に、加熱具16を囲むリング状の基枠31からこの加熱具16に向かってのびるロッドを有する押圧具32が取付けられる。又前記基枠31は、台タイヤ2及びリトレット部材3の装脱を容易とするため、複数片本例では3片に分離可能に形成される。
【0032】
高周波誘導コイル15に通電される高周波電力は、通常の四輪車両用の更生タイヤにおいて、周波数を10kHz〜3MHz、出力を500W〜50kwとするのが好ましい。又これらの周波数、出力を調整することによって、スチールコードの発熱量、スチールコードの発熱に至るまでに要する時間、さらにはスチールコードからの電熱により加熱される接着層の昇温温度等を規制することが出来る。
【0033】
又、通電により加熱する際には、嵌め合わされた台タイヤ2及びリトレット部材3の両側面を図4に示す如く断熱シート33、33によって覆うことにより、熱の発散を防止し、熱効率を高める。
【0034】
然して、高周波誘導コイル15に通電することにより、その電磁誘導によりベルト層7のスチールコードが発熱する。なお、台タイヤ2のトレッドゴム、及びリトレット部材3は、不伝導体のゴム材によって形成されているため電磁誘導による発熱は少なく、前記スチールコードのみが昇温することとなる。
【0035】
又、トレッド更生面4はベルト層7に近接して形成されかつ両者は略平行にのびているため、スチールコードの発熱による熱は、効率よく接着層10を昇温することが出来、接着層10の昇温により台タイヤ2とリトレッド部材3とは溶着しかつ加硫され強固に一体化される。
【0036】
なお、前記高周波誘導コイルは、リトレット部材3のトレッド面13に沿って周方向に巻回するよう形成してもよい。
【0037】
さらに、前記補強部材9において、カーカス6にスチールコードからなるカーカスコードを用いて形成することが出来、このようにスチールコードからなるカーカス6によって形成した場合は、ベルト層7を含めてリトレットすることが可能となる。
【0038】
又、ベルト層7の半径方向外側に図1に一点鎖線で示すようにスチールコードを用いたバンド層8を設けた場合には、このバンド層8のスチールコードが誘導発熱することにより、接着層10を昇温できるため、ベルト層7に有機繊維コードを採用することが可能となる。
このように本発明の方法は種々な態様に変形しうる。
【0039】
【発明の効果】
叙上の如く本発明の更生タイヤの製造方法は、台タイヤの補強部材にスチールコードを用いかつ予め加硫されたリトレット部材と台タイヤとの間に接着層を介在させるとともに、この補強部材を高周波数加熱により加熱し接着層を加硫することを要旨とする方法であるため、トレッドゴムなどのゴム材の特性を劣化させることなく、接着層を加温しかつ加硫でき、これによって完成された更生タイヤの品質を高めるとともに、トレッド部を全面的に加熱する従来の方法に比べて熱エネルギーを節減でき、加硫時間の短縮が可能となることによってコストダウンを図りうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により製造された更生タイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】その要部を示す分解断面図である。
【図3】高周波加熱に用いる装置の一例を示す正面図である。
【図4】その部分断面図である。
【図5】従来の更生タイヤの加硫方法の概要を示す断面図である。
【符号の説明】
1 更生タイヤ
2 台タイヤ
3 リトレット材
4 トレッド更生面
6 カーカス
7 ベルト層
8 バンド層
9 補強部材
10 接着層
【産業上の利用分野】
本発明は、トレッドゴムへの熱影響を抑制しつつリトレット部材を貼着でき、品質を高めるとともに加硫時における加硫時間を短縮でき、経済的に製造しうる更生タイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用タイヤ、殊にトラック、バス用など重荷重用タイヤにあっては、タイヤ経費節減のため、トレッド部が摩耗することにより用済みとなったタイヤを、トレッド部を交換し再利用を図るいわゆる更生タイヤが増加しつつある。
【0003】
従来、タイヤを更生するには、図5に示すように摩耗又は破損したトレッド部を取除いた台タイヤaに新品タイヤと略同質のリトレット部材bを貼合わせた後、この台タイヤaとリトレット部材bとを加硫金型dを用いて加硫成形し、両者を接着するとともに、リトレット部材bにトレッド溝eを加工するなどトレッド部の成形加工を併せて行うリモールド方式による更生方法が用いられていた。
【0004】
しかし前記リモールド方式では、未加硫のトレッド部材と加硫済みの台タイヤとを同時に加硫するため、加硫後のタイヤは、トレッド部と台タイヤとの間にゴム特性値に差が生じることとなり、接地圧に不均等が生じがちであるため、新品タイヤに比べて耐摩耗性、耐偏摩耗性が低く耐久性に劣る。
【0005】
そこで、リトレット部材として予めパターンを形成しかつ加硫を施したリトレット用のゴムを台タイヤに貼付け更生タイヤを製造するいわゆるプリキュア方式が提案されている。
【0006】
この方式を用いた場合は、前記リトレット部材は加硫済みであることによって、最終の加硫工程は台タイヤとリトレット部材とを接着剤などを用いて貼合わせてかつ両者をシート状のエンベロープで覆った台タイヤを加硫する方法である。
【0007】
このプリキュア方式は、前述のリモールド方式のような大掛りな加硫金型を必要とせず簡易な装置でしかも複数個同時に加硫できるなど製法上の利点があり、しかもプリキュア方式により更生されたタイヤは、トレッド再生ゴムシート及び台タイヤはともに加硫済みの部材を用いてかつ両部材を接合しかつ一体化し形成されたものであるため、均質なタイヤが得られることにより、リモールド方式で更生されたタイヤに比べて耐摩耗性、耐偏摩耗性に優れ耐久性が高まるという利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このプリキュア方式は、両部材の接合に際し、台タイヤとリトレット部材とを嵌め合わせてかつ全体を加熱する方法であるため、又台タイヤのトレッド部及びリトレット部材はともに熱伝導度の低いゴムを用いて形成されているため、境界面を加熱するためには、台タイヤ、リトレット部材ともに高温に加温する必要があり、又接合面全体を均等温度に加温することは、作業上困難を伴う。このように、トレッド部を過温することによって、トレッドゴムが変質し、ゴムの物性値が低下するため、耐摩耗性が劣るという問題がある。
【0009】
発明者は前記問題点の解決を図るべく研究を重ねた結果、カーカス、ベルト層などのタイヤ補強部材にスチールコードを用いて形成したタイヤにおいては、このスチールコードに外部からの電磁誘導による渦電流を生じさせスチールコードを発熱させることにより接合面を効率よく、かつトレッドゴムを過熱することなく昇温させうることを見出し本発明を完成させたのである。
【0010】
本発明は、台タイヤとリトレット部材とをトレッドゴムのゴム特性を低下させることなく接合でき、品質を高めかつ加硫時間を節減でき経済的に製造しうる更生タイヤの製造方法の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カーカスおよびベルト層又はバンド層などのタイヤ補強部材を有する台タイヤのトレッド更生面に、加硫されたリトレット部材を貼着する更生タイヤの製造方法であって、
前記台タイヤは、前記トレッド更生面に近い前記タイヤ補強部材をスチールコードを用いて形成し、かつ前記台タイヤのトレッド更生面とリトレット部材との間に生ゴム系接着剤からなる接着層を介在させるとともに、
前記スチールコードからなるタイヤ補強部材を、高周波加熱により加熱することにより接着層を加硫し、台タイヤと、リトレット部材とを一体化することを特徴とする更生タイヤの製造方法である。
【0012】
なお、タイヤ補強部材としてスチールコードを用いて形成されたカーカス、ベルト層、さらにはバンド層にスチールコードを用いた場合にはそのバンド層を含めそれらの何れであってもよい。
【0013】
又高周波加熱に必要な高周波電力は周波数が10kHz〜3MHz、出力が500W〜50kwの範囲とするのが好ましい。
【0014】
【作用】
リトレット部材は、予め加硫されているため、更生タイヤとして形成されたトレッド部はゴム質が緻密となり耐摩耗性に優れた更生タイヤを形成しうる。
【0015】
本発明の製造方法は、台タイヤのトレッド更生面とリトレット部材との間に生ゴム系接着剤からなる接着層を介在させるとともに、スチールコードからなるタイヤ補強部材を高周波加熱により加熱することにより接着層を加硫し、一体化する方法である。
【0016】
これによって、スチールコードは電磁誘導により生じた電流により、周囲のトレッドゴムに比してより早期にかつより高温に、しかも高効率で昇温し、これによってスチールコードの熱は、その近傍に位置する接着層を効率よく加熱することが出来る。このように接着層を加熱しかつ加硫することによって、台タイヤとリトレット部材とは強固に一体化される。
【0017】
従って、従来のプリキュア方式のように台タイヤのトレッド部及びリトレット部材の全体を高温に加温する必要がないため、トレッドゴムの変質を防止できゴム特性値を保持しうることによって、従来の更生タイヤに比して耐摩耗性が向上する。さらに加硫時間が短縮される結果、製造コストの低減を図りうる。
【0018】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1、2において更生タイヤ1は、トレッド面21が摩耗し用済みとなった空気入りタイヤの残存トレッド部をバフ等を用いて削除することにより得られたトレッド更生面4を有する台タイヤ2と、この台タイヤ2に貼着されるリトレット部材3とからなる。
【0019】
前記台タイヤ2には、トレッド部22の両端からタイヤ半径方向内方へのびるサイドウォール部23、23と、各サイドウォール部23の半径方向内方端に位置する前記ビード部24とを具え、又各ビード部24、24間には、前記トレッド部22からサイドウォール部23を通り両端がビード部24のビードコア25の回りで折返して係止されるトロイド状のカーカス6が架け渡されるとともに、その半径方向外側かつトレッド部22内方には強靭なベルト層7が円周方向に巻装され、タイヤを補強しかつ必要な剛性を付与している。
【0020】
本実施例では前記カーカス6及びベルト層7によって台タイヤ2を補強する補強部材9を形成する。なおベルト層7の半径方向外側にベルト層7のリフティングを防止するバンド層8(図1に一点鎖線で示す)を設けた場合にはこのバンド層8も前記補強部材9に含まれる。
【0021】
前記カーカス6は、本例では、1枚のカーカスプライからなり、カーカスプライは、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミドなどの有機繊維又はスチールコードからなるカーカスコードをタイヤ赤道Cに対して70〜90°の角度で傾けて並置したラジアル、又はセミラジアル配列として形成される。
【0022】
ベルト層7は、本例では、2枚のベルトプライ7A、7Bからなり、各ベルトプライ7A、7Bは、スチールコードを間隔を有して平行に配したベルトコードを各ベルトプライ7A、7B間では互いに交差する向きに配している。
【0023】
なお前記ベルト層7は、前記トレッド更生面4と小距離を隔ててかつ該トレッド更生面と略平行にのびている。
【0024】
リトレット部材3は、前記トレッド更生面4と向き合う内向き面12と更生タイヤ1のトレッド面13とを有するリング状体をなす。又、トレッド面13には、周方向にのびる周方向溝を含む溝27が設けられ、このリトレット部材3は、台タイヤ2に嵌め合わせに先立ち前記溝27を含め定められた形状に予め成形されるとともに、加硫処理が施される。
【0025】
なお、リトレット部材3は、台タイヤ2のトレッドゴムと略同質のゴムからなり、又加硫処理を行うことによって前記トレッドゴムと同質のゴム特性を具える。
【0026】
前記台タイヤ2とリトレット部材3とを貼着する手順について説明する。本例では次に述べる工程により従って施行される。
【0027】
(1)台タイヤ2の前記トレッド更生面4に接着剤を塗布し接着層10を形成する。接着剤としては加硫可能な生ゴム系接着剤が用いられる。
【0028】
(2)台タイヤ2の更生面4を囲んでかつ前記接着層10の外周に沿ってリトレット部材3を嵌め合わせる。
【0029】
(3)図3、図4に示すように高周波誘導コイル15を収容した複数の加熱具16…をリトレット部材3のトレッド面21に沿って配設する。
【0030】
(4)加熱具16の前記高周波誘導コイル15に高周波電流を通電し、その通電によりベルト層7のスチールコードを電磁誘導により発熱させ、このスチールコードに生じた熱により前記接着層を加温し、加硫することにより、台タイヤ2とリトレット部材3とを接着し一体化する。
【0031】
前記加熱具16は、リトレット部材3を囲んで周方向に複数個、本例では12ケ配されかつ該リトレット部材3のトレッド面13を押圧する押圧面30の対向側に、加熱具16を囲むリング状の基枠31からこの加熱具16に向かってのびるロッドを有する押圧具32が取付けられる。又前記基枠31は、台タイヤ2及びリトレット部材3の装脱を容易とするため、複数片本例では3片に分離可能に形成される。
【0032】
高周波誘導コイル15に通電される高周波電力は、通常の四輪車両用の更生タイヤにおいて、周波数を10kHz〜3MHz、出力を500W〜50kwとするのが好ましい。又これらの周波数、出力を調整することによって、スチールコードの発熱量、スチールコードの発熱に至るまでに要する時間、さらにはスチールコードからの電熱により加熱される接着層の昇温温度等を規制することが出来る。
【0033】
又、通電により加熱する際には、嵌め合わされた台タイヤ2及びリトレット部材3の両側面を図4に示す如く断熱シート33、33によって覆うことにより、熱の発散を防止し、熱効率を高める。
【0034】
然して、高周波誘導コイル15に通電することにより、その電磁誘導によりベルト層7のスチールコードが発熱する。なお、台タイヤ2のトレッドゴム、及びリトレット部材3は、不伝導体のゴム材によって形成されているため電磁誘導による発熱は少なく、前記スチールコードのみが昇温することとなる。
【0035】
又、トレッド更生面4はベルト層7に近接して形成されかつ両者は略平行にのびているため、スチールコードの発熱による熱は、効率よく接着層10を昇温することが出来、接着層10の昇温により台タイヤ2とリトレッド部材3とは溶着しかつ加硫され強固に一体化される。
【0036】
なお、前記高周波誘導コイルは、リトレット部材3のトレッド面13に沿って周方向に巻回するよう形成してもよい。
【0037】
さらに、前記補強部材9において、カーカス6にスチールコードからなるカーカスコードを用いて形成することが出来、このようにスチールコードからなるカーカス6によって形成した場合は、ベルト層7を含めてリトレットすることが可能となる。
【0038】
又、ベルト層7の半径方向外側に図1に一点鎖線で示すようにスチールコードを用いたバンド層8を設けた場合には、このバンド層8のスチールコードが誘導発熱することにより、接着層10を昇温できるため、ベルト層7に有機繊維コードを採用することが可能となる。
このように本発明の方法は種々な態様に変形しうる。
【0039】
【発明の効果】
叙上の如く本発明の更生タイヤの製造方法は、台タイヤの補強部材にスチールコードを用いかつ予め加硫されたリトレット部材と台タイヤとの間に接着層を介在させるとともに、この補強部材を高周波数加熱により加熱し接着層を加硫することを要旨とする方法であるため、トレッドゴムなどのゴム材の特性を劣化させることなく、接着層を加温しかつ加硫でき、これによって完成された更生タイヤの品質を高めるとともに、トレッド部を全面的に加熱する従来の方法に比べて熱エネルギーを節減でき、加硫時間の短縮が可能となることによってコストダウンを図りうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により製造された更生タイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】その要部を示す分解断面図である。
【図3】高周波加熱に用いる装置の一例を示す正面図である。
【図4】その部分断面図である。
【図5】従来の更生タイヤの加硫方法の概要を示す断面図である。
【符号の説明】
1 更生タイヤ
2 台タイヤ
3 リトレット材
4 トレッド更生面
6 カーカス
7 ベルト層
8 バンド層
9 補強部材
10 接着層
Claims (3)
- カーカスおよびベルト層又はバンド層などのタイヤ補強部材を有する台タイヤのトレッド更生面に、加硫されたリトレット部材を貼着する更生タイヤの製造方法であって、
前記台タイヤは、前記トレッド更生面に近い前記タイヤ補強部材をスチールコードを用いて形成し、かつ前記台タイヤのトレッド更生面とリトレット部材との間に生ゴム系接着剤からなる接着層を介在させるとともに、
前記スチールコードからなるタイヤ補強部材を、高周波加熱により加熱することにより接着層を加硫し、台タイヤと、リトレット部材とを一体化することを特徴とする更生タイヤの製造方法。 - 前記スチールコードからなるタイヤ補強部材は、ベルト層であることを特徴とする請求項1記載の更生タイヤの製造方法。
- 前記高周波加熱は、高周波電力の周波数が10kHz〜3MHz、出力が500W〜50KWであることを特徴とする請求項1記載の更生タイヤの製造方法。
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