JP3542592B2 - 核酸ポリメラーゼ増幅 - Google Patents
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Description
本発明は、分子生物学の分野及び生化学の関連領域で使用される新しいクラスの試薬に関する。これらの試薬の広く一般的な有用性は、核酸を含む反応での2価のカチオン、マグネシウム(Mg2+)及びカルシウム(Ca2+)の広範な役割に基づく。マグネシウムカチオンは、特に核酸鎖のアニーリングパターン、DNA、RNA又はRNA/DNAの二次又は三次構造、及び2価のカチオンと複合体を作る一般的傾向のあるヌクレオチドの性質に影響する。
加えて、2価のカチオンは核酸鎖をそれらの成分モノマーのヌクレオチド及びヌクレオシドに分解する広範囲のヌクレアーゼ酵素の機能を緩和するのに非常に重要であり、又、それらの成分ヌクレオチドからDNA及びRNA鎖をまとめるDNA及びRNAポリメラーゼ酵素の作用にも重要である。核酸ポリメラーゼの機能の速度、プロセッシビティー(processivity)(鋳型鎖に沿って前進反応を続ける傾向)、正確度及び間違った又は異常な塩基配列或は置換ヌクレオチドへのトレランスが、反応媒体中のマグネシウム濃度の変化により影響することはよく知られている。
長年にわたって、種々の他の2価のカチオン、特にマンガンはマグネシウムに置き換えることができ、しばしば少し低濃度でその作用を実質的に再現すると思われて来た。しかしながら、マグネシウムはありきたりの安価な試薬であるので、又、これらのカチオン置換は生化学的に何らの新規な又は有用な付加的結果を達成しなかったので、そのような置換の工業的適用はなかった。さらに遷移金属の多くの2価のカチオンは、これらの還元体が遷移金属カチオンを還元し沈殿する傾向があるので、適当な作用には幾つかのポリメラーゼ酵素によって必要とされるイオウ保護体(thioprotectant)及び還元体、例えばβ−メルカプトエタノール及びジチオトレイトール(DTT)、に耐えることができない。
しかしながら、本発明者等は、非常に驚くべきことに、ある明らかでない因子を調節すると、そして幾つかの一般的でないカチオン、特に3価のカチオンをマグネシウム又はカルシウム又はそれらの混合物の代わりに用いると、幾つかの新しくて非常に有用な効果を達成できることを発見した。これらのカルシウムはDTT又はβ−メルカプトエタノールにより還元されないことが有益である。幾つかのそのような3価のカチオンは、幾つかの酵素で例えばカルシウムと置換することができ、酵素阻害効果を発揮することが判った。この方法でヌクレアーゼ酵素を阻害することが可能であることが本発明者等により示された。
しかしながら、最も重要なことに本発明者等は、多くの3価のカチオンが幾つかの核酸ポリメラーゼ酵素のプロセッシビティー(processivity)を実際に増加することができるという驚くべき科学的発見をなした。幾つかの病原性レトロウイルス、例えばエイズを起こすHIVウイルスにより用いられる逆転写酵素の場合、DNA生成の速度を増すこと及び酵素により作られるRNA鋳型のDNAコピーの平均長を増加することが可能である。これは、例えばRNA鋳型によりDNAを生成する能力を有する何らかのウイルス逆転写酵素を有するかどうかを見るため、そして人が血液のHIV感染を受けているかどうかを知るため、潜在的に感染したヒト血液の試料を検定したい場合に最も重要である。
反応において、マグネシウムの代わりに適当な3価のカチオンを使用することは、従って二重の有用な効果がある。同時に、それは通常は逆転写酵素(RT)反応の生成物を破壊する傾向のあるヌクレアーゼを阻害し、プロセッシビティー(processivity)、従ってウイルスDNAの生成の速度を増加する。このように、2価カチオンとしてのマグネシウムにより、ゆるやかに生成されるDNAはしばしばヌクレアーゼにより破壊され、そのため検出することができない。従って、検定はRTが比較的大量に存在するまで感染を検出することができない。しかしながら、適当なカチオン置換を用いると、診断上重要なDNAが急速に生成し、ヌクレアーゼにより破壊されるのが少なくなるようであり、従って診断生成物従って、二つの相乗作用の方法での検定の感度を増す。
二次又は三次構造の核酸アニーリング、初回免疫及び折りたたみの操作は、又、分子生物学の全領域で巨大な工業上の重要性を有するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用の分野で、極めて大きな重要性を有する。適当なキレート化剤と共に置換カチオン又はカチオンの混合物を使用することは、PCR反応の幾つかの局面を操作するのに用いることができる。
PCRにおいて、反応の最も重要な点は、核酸ポリメラーゼ、例えば高温度、例えば72℃で機能的であるTaqポリメラーゼ(サーモフィラズ・アクアティクスから)又は、ポリメラーゼ、例えば低温でのみ用いることができるがより正確であるT4 DNAポリメラーゼを含む。単一DNA鎖の多数のコピーを作るために、DNA鎖、単量体ヌクレオチド、及び問題のDNAに対し幾らかの相捕性を有する長さ30−50塩基対プライマー鎖と共に、少量のTaqを反応ウエル中に置く。
混合物を三段階サイクルを経て取り、そこでそれを92℃に加熱してDNAをその分離単一鎖に変性し、次いで55℃に冷却してプライマーに鋳型のアニーリングを行ない、次いで72℃に上げて鋳型をコピーするためTaqがプライマーを延ばさせるようにする。次いで二つの得られるDNA鎖を、約20サイクル後、沢山のコピーが存在し、反応が停滞期に入りはじめるまで四コピーを得る同じサイクル等を経て取る。
出口で加えた少量のTaqポリメラーゼが全ての百万またはその程度の鎖を速やかにコピーできなくなるので、停滞期(plateau)が起きる。非常に多くの単一鎖が存在するので、多くの鎖がプライマーよりもむしろ他の単一鎖にアニールし、従ってTaqが働きかけるさらされた鋳型の量を限定することも起きる。
3価(例えばスカンジウム、イットリウム及びランタニド系の成分)とのカチオン置換又は有用な2価(Mn、Pd、Co、Cu、Sr)との置換は、幾つかの方法にPCRを用いることができる。停滞期は上昇させることができ、従って、Taq又はT4 DNAポリメラーゼの速度及びプロセッシビティー(processivity)を増加することにより収量を増加し、これによりコピーするのは鋳型の総数によって仲々抑制し得ない。プライマーよりもむしろ単一鎖がアニールする傾向に作用することも可能であり、そして再び停滞期を作用しうる。プロセッシビティー(processivity)を増加することからの付加的利益は、ポリメラーゼが鋳型の全コピーを完全にするであろうことから、より長い鋳型で使用する能力である。ある状況では、最も正確な転写物が見られるので転写の正確度の操作も可能であり、他方、変化したプライマーは最終生成物DNAに望ましい配列を付加するのに用いることができることを保証するのが重要である。
プライマー及び鎖アニーリングへの効果も重要であり、そこで高温度で短いプライマー(例えば12−15bp)を用いること、又はサイクルの第三段階を避けるために72℃でアニーリングさせることが望ましい。カチオン効果に感受性のあるPCRにおける他の重要な現象は、プライマー−ダイマー汚染による及び「非鋳型指定」プライマー拡張によるノイズである。アニーリング緊縮性における変調は、プライマー上に修飾配列をわざわざアニーリングするために、又、生成物のゲル電気泳動分析の単一関連均一バンドを生成する能力により示されるような問題のDNAにとっても反応の基本的選択性及び特異性において重要である。
RT検定での、及びPCRでの用途に加えて、これらの試薬は、又、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼ及びプライマー/鋳型相互反応が顕著に現れる分子生物学及び生化学での非常に種々の他の有用な反応でも用いうる。これらは、DNA合成酵素、遺伝修飾、遺伝子治療、遺伝子挿入又は他の遺伝試験、クローニング反応、組立てベクター、初回抗原刺激、ニック翻訳、鎖の標識化及び非常に種々の他の反応を含む。
これらの試薬の特異な特徴は、ある種のランタニド又は他の関連成分又は通常、ヌクレアーゼと呼ばれるある種の細胞内酵素を阻害する特別な能力を有する同様に作用する小分子のこれまで知られていない用途であり、そのあるものは、又、ある種の核酸ポリメラーゼ、例えばHIVの逆転写酵素のプロセッシビティー(processivity)を改良する(例えば活性を刺激する)能力を有する。
医者又は実験化学者は、しばしばヒト免疫不全ウイルスの存在について血液又は他の組織の試料を試験する問題に直面する。そのような試験を実施するために現在広く用いられる二つの計画がある。一つのそのような計画は、p24と呼ばれるHIVの典型的な蛋白の存在を検出するために抗体を用いることを含む。これらの検定は、高価な特別の抗体試薬を必要とし、変異が起きると、そのp24蛋白は用いた抗体試薬により認識され得ないHIVの新しい株を生ずる効力の喪失にさらされる。
HIVを検出するための別の試みは、潜在的にはるかに特異的、感受性であり、そして変異による変調に対し免疫性であるが、この完全な潜在力は利用するのが困難なことが証明された。この方法はウイルスの逆転写酵素(RT)の使用を含む。RT酵素は三つの重要な作用を有し、ウイルスの存在がそれらに依存する。このことによりこれらの作用のいずれをもこわす変異がウイルスを非存在とする。
RT酵素の幾つかの分子は、RNAの特別の鎖中で暗号化されるウイルスのゲノムの二つのコピーと一緒にウイルスのヌクレオカプシド中に含まれる。ヒト細胞の侵入によって、RT酵素は活性化され、徐々にRNA鎖の単一鎖cDNAコピーを造る(「RNA−依存DNAポリメラーゼ」)。次に、RT酵素の「リボヌクレアーゼH」作用は元のRNA鋳型鎖を切断する最後に「DNA−依存DNAポリメラーゼ」作用は、相捕DNA鎖を造り、ヒト細胞が次に複製を開始するときはいつも、ヒト細胞のDNA遺伝物質に挿入できるウイルスゲノムの最終二本鎖DNAコピーを生成する。
RT酵素の非常にユニークな「RNA−依存DNAポリメラーゼ」作用、その良い例はポッツにより(アルドビニ,A及びウォーカー,B.D.編集「テクニックス・イン・HIVリサーチ」103−106頁、ストックトン・プレス,N.Y.1990)報告されている、を検出する多くのよく知られた検定が開発された。これらは広く用いられる一方、それらは低レベルの感染を検出する点で、p24検定と同じような感受性を有しない。実際、多くの報告は、p24 ELISAアッセイ法がRTに基づくアッセイ法よりも10ないし100倍感受性であることを示す。
しかしながら、わずか25HIV陽性担体がスクリーンされた10,000臨床試料中に見出されうるのでELISA技術は99%正確であり、そのような群から100の間違った陽性結果がある。これは各正しい結果につき4つの不正な結果を意味し、その全ては第二の方法でスクリーンされなければならない。又、病気の患者の血液中の血清p24抗原レベルと感染ウイルスの量の間には劣った相関がある。高い感受性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、この第二段階を擁護して来た。しかしながら、ELISA技術は又、RT検定がPCRよりもずっと適するであろう第二の速くて安価なスクリーニング技術によってのみ検出されうる間違った負のリスクを負う。
感受性RT検定を開発するのに関心をもつ第二の理由は、逆転写酵素がエイズに対する唯一存在する投薬についての標的であり、現在、新規な特異的逆転写酵素インヒビターを発見するために1000の化合物から10をスクリーンする大きな努力がなされつつあり、又、HIV感染患者の処置のための新しい治療法を開発するためにこれらの試薬の種々の組合わせをスクリーンする大きな努力がなされている。
薬物のスクリーニングの努力においてRT検定に適用する一連の限定は、測定されたRT活性と真の感染性又は存在するウイルス粒子の数との間の関係での重要な変異性に関係する。これらの変調は、幾つかの細胞系又は患者血清での種々のヌクレアーゼ又は他の阻害物質の存在による。それは正しくこれらの限定並びに本明細書においた記載される本発明により示される低感受性の問題である。
精製酵素及び注意深く選択された補助因子による純インビトロ条件下で、RT酵素検定は少量の酵素に非常に感受性である。しかしながら、感受性は検定を「細胞フリー上清」又は感染したヒトの血清について実施すると大きく減少する。この感受性の減少の原因は完全には明らかでなく、血漿又は細胞フリー培養上清の複合生化学セッティングで種々の交互反応及び汚染があると考えられて来た。
DNA又はRNA鋳型を切断又は破壊しRT酵素に逆に働く幾つかのヌクレアーゼ酵素が存在するかも知れないという幾つかの示唆があった。ヌクレアーゼが非常に効果的であると、それはRTにより生成される全てのDNAをそれが生されるのと同じ速さで破壊したかも知れない。これらの条件下では、検定は試料中のウイルスの存在を検定するのに間違って失敗したであろう。しかしながら、通常はヌクレアーゼは生成したDNAの量で相対的減少を生じ、しかしこの減少の量は知られていなかった。
検定の基本的考えは、ポリアデノシンRNAの鋳型にオリゴdT(8−12)プライマーDNAを供給し、KCl、MgCl2、ジチオトレイトール、pH8.0緩衝液、例えばトリス、及びデタージェント、例えばNP−40を加えてウイルスを破壊し、含まれたRT酵素を露出することである。32P放射標識dTTP(デオキシチミジン三リン酸)を加えると、RT酵素はRNA鋳型に対し、32P標識一本鎖ポリdTDNAを作り始める。90分後、反応生成物の試料をDNAがペーパーに付着するDE81ワットマンペーパー上にドットする。未結合の32PdTTPを洗浄除去し、次いでβ−カウントし、RNA鋳型に対し生成する又は予備的評価用のオートラジオグラフィにより暴露されるDNAの量を測定する。
本明細書に記載される方法が、32P、3H、35S又は他の種々の放射標識で標識化されたヌクレオチドと共に用いることができることに注意すべきである。加えて、brdU(5−ブロモ−2'−デオキシウリジン三リン酸)で、又はジゴキシゲニンで標識化したヌクレオチドを用いることが可能である。本発明者等は、免疫試薬検出用の放射活性ヌクレオチド標識によって検出用のRT反応を実施した。
幾つかのランタニド、例えばスカンジウムが本発明者等によってRT酵素のプロセッシビティー(processivity)を増加することが示されたことにも注意を要する。酵素は通常、RNA鋳型の二次又は三次構造に依存する特徴的な点で切られたDNAの多数の小断片を生成する。1mMでの種々のランタニドの存在で、又は低親和キレート化剤、例えばニトリロ三酢酸と金属緩衝試薬の存在で、特に2価カチオンを供給しない場合、RT酵素は与えられた量の時間でより多くのDNA転写物を生じ、これらの転写物は、平均して2価カチオン、例えばMg2+の存在下の反応から得られるものよりも長い(図1参照)。
プロセッシビティー(processivity)によるこの直接効果によって、ヌクレアーゼを阻害することにより得られる付加的効果に依存して、これらのランタニド増加試薬は、たとえ精製された、微生物的にクローン化されたRT酵素を用いる場合でも用いることが可能である。さらに、このプロセッシビティー(processivity)効果は、ランタニド試薬をポーストマン等により記載される(ジャーナル・オブ・バイオロロジカル・メソーズ31:181−188,1991)免疫RT抗体の手段により細胞培養上清又は血清から分離する場合でも、非常に有用であることを意味する。
3族(IUPAC)元素、例えばSc、Y或はランタニド、特にランタン又はスカンジウムのイオンが反応混合物に依存すると、逆転写酵素によるcDNAの生成速度は500%に増加することを発見した。さらに、検定はごく少量の酵素にも感受性となる。ランタンがカルシウム依存酵素を阻害することはよく知られている。又、多くのヌクレアーゼがそれらの活性に関しカルシウム依存であることも知られている。従って、例えばランタン又は他の幾つかのヌクレアーゼ阻害剤を反応混合物に導入することにより、ヌクレアーゼがブロックされ、DE81ペーパー上での新たに合成されたcDNAの回収が劇的に増加する。
ランタンの最も劇的な増加効果は、精製酵素の検定では見られない。というのは高精製調製品には典型的にヌクレアーゼが存在しないからである。ある増加効果は、プロセッシビティー(processivity)の効果のために、依然見られうる。しかしながら、これらの酵素は、細胞フリー上清及び血漿に可変的に存在する。従って、逆転写酵素検定の均一性、適合性及び感受性を改良するために、新規な反応緩衝混合物又は「カクテル」を調製する。これらの抗ヌクレアーゼカクテルは、血清又は細胞フリー上清で或は細胞内部でのヌクレアーゼ酵素による分解からDNA又はRNAを保護するのに重要である広範囲の他の検定又は遺伝子導入に用いることができる。
不適合なDNA合成を行うHIVから高能力のRTの利点を取ることにより、上清又は血清の検定でRTの選択性を得る手順もある。このことは、ポリrA鋳型に対するポリdG鎖を作るRTの能力を指し、ポリrA鋳型に対してポリdA鎖を作る能力を含む。この不適合な組合せは、ランタニド試薬により促進し、上清又は血清に存在するかも知れない他の核酸ポリメラーゼによって作られるDNA鎖の検出を避けるのを助ける利益をもたらすことができる。
非常に多くの金属カチオンによるRT検定をポッズ方法(上述)を修飾することにより実施でき、種々の元素の化学により課せられる溶解性に対する特別な要求に適応できる。ジチオトレイトール(DTT)又は高pHは遷移金属を直ちに沈殿させ、従って例えば検定を0ないし4℃で行った場合、DTTによることなく良好な活性を示すテミン及びミズタニの方法、ネイチャー266:1211−1213(1970)を用いるのが適当である。pH7.3の緩衝液はほとんどのカチオンに、又、酵素に許容される。銅カチオンはHEPES緩衝液中で沈殿するがトリス中では沈殿しない。第一鉄及び第二鉄カチオンは4.0よりも大きなpHで不溶性であり、イオンは、「金属緩衝」キレート化剤を用いることなく大きく減少した有効濃度でこれらの検定に用いることができない。ランタニドは、カチオン対dTTPのモル比が1:2より大のとき、pHが8.2より大であり、カチオンモル濃度が1ミリモルに等しいかそれより小である場合を除きdTTP(デオキシチミジン三リン酸)の存在で沈殿する。
酵素のVmaxは通常増加する。しかしながらレトロウイルス逆転写酵素のインビトロ研究は、RTがかなりの時間繰り返してその鋳型を「フォーリングオフ」(falling off)するのを増すことを示した;アルオード等、バイロロジィ,183、611−619(1991)参照。完全な転写が完了するまで鋳型に付着し続けることにより慣用の高忠実度ポリメラーゼにより似せてRTを作用させる酵素形での変調は、cDNA生成の速度をはっきりと上昇させるように見える。理論により結合することを望むことなく、これは高活性の理由を明らかにする機構でありうる。
本発明は、この効果が必ずしも酵素自体への直接効果ではないが、「増幅(amplification)」の発見に基づく。それはむしろプロセッシビティー(processivity)の増強である。当業者により当然でもあり、直ちに認められるように、ある実験作用は、どれが増強されたプロセッシビティー(processivity)が要求される酵素と共に用いるのに好ましいイオンであるかを確立するのに必要でありうる。
影響するポリメラーゼは、レトロウイルス、例えばAMV又はHIV逆転写酵素でありうる。特に、逆転写酵素(RT)にとって、これは比較的反応しないRT検定を、レトロウイルス例えばHIV−1、HIV−2及びHTLV−1について血液生成物をスクリーニングするのに用いることができる潜在的診断キットにする適用を有する。それは、又それらの存在が予想されるが検定法がない条件でレトロウイルス(確認された及び未確認の)の証拠を探すのに潜在的に用いることもできる。「HIVネガティブAIDS」についての現在の関係は、一つのそのような実施例である。それは、又、RTを測定するのが非常に困難で、これが非常に有用な実験器具である研究で普通に用いられる多くのレトロウイルス(そのあるものは遺伝子治療に用いうる)について研究応用を有する。
ポリメラーゼ連鎖反応は、広範囲の研究と診断応用を有し、これを増強する方法は極めて貴重である。その方法は、PCR含有酵素、所持性、アニーリング温度、一次結合操作等の種々の局面を適正化しうる。核酸ポリメラーゼ及び他の酵素が第三族及び他のイオンの範囲に対し特異的応答を有するように見える。本発明の次の局面では、複数(通常3、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5)のイオンを、どの酵素が試料中に存在するか、応答の特徴的「指紋」から確認する検定に用いる。
適切な試験方法を本明細書に記載する。本発明のいずれの検定も、キレート剤及び/又は適当な緩衝液の存在でしばしば、実施されよう。そのような材料の例を以下に示す。
逆転写のための基本的必要物は、イオウ保護剤、例えばDTT、用の絶対必要物、鋳型としてのポリrAのオリゴdT感作鎖の採択、pH8.0近くに存在する至適pH、及び2価カチオン、例えばMn2+又はMg2+用の必要物を含む。本検定において、2価カチオンは最初の「カクテル」から省略する。代わりに2価又は3価カチオンの望ましい混合物を、全ての望ましいキレート剤、例えばNTA、EDTA、EGTA又はDTPAと共に用い、0.05N HClでの望ましい最終強度を10倍まで上げ、次いでRTをカクテルに加えたのちに、検定混合物に加える。本ファッションにおいて、選択ランタニド3価カチオン又は他の選択カチオンは、反応を実際に開始させるのに用いる。ある種の2価カチオンを用いる場合、DTTの使用を避けることが必要である。このような場合では、反応は0−4℃で実施し、通常行なわれるような37℃では行ってはならず、反応時間は倍加しなければならない。
「マクロアッセイ」検定は、標識化dTTPを含む反応物のカクテルの調製を含む。デタージェント、例えばNP−40をウイルスを不活性化するのに用い、ウイルス粒子当りRTの100コピーまで含むヌクレオカプシドコアのアンコーティングを行う。処理ウイルス試料を、次いでカクテルに加え、カチオンを加えてポリrA鋳型に対する放射標識チミジン鎖を合成させる。この反応は、90分後、冷10%TCA、ピロリン酸塩及び未標識オリゴdT又はtRNAの添加により停止する。次いでTCA沈殿をGF/Aガラスミクロフィルターに注ぎ、5%TCAで十分に洗浄する。標識化沈殿DNA鎖をフィルターに採取し、一方、未結合ヌクレオチドを洗浄、除去する。最後にフィルターをエタノールで洗浄することにより乾燥し、シンチレーションバイアルに移し、シンチラントでカウントする。この方法は1日当り約30試料しか実施できない。その利点は反応の正確なタイミング及びそれが定量的であろう期待値である。
RTについてのミクロアッセイは反応を停止し、未結合ヌクレオチドからDNAを分離するより簡単な技術を用いる。最初のカクテルは実質的に同一であるが、反応は96ウエルプレート中少量で行う。90分後、レプリケーター又は多重チャンネルピペッターを用い、ワットマンDE−81ペーパー(ジエチルアミノエチル又はDEAEセルロース)上にドットする。ドッティング後、DE−81シート空気乾燥後、反応が停止する。DNAはDE−81ペーパーの電荷を帯びた表面に付着するが、未結合ヌクレオチドは2XSSC(生理食塩クエン酸ナトリウム)の数回のリンスにより容易に洗浄、除去される。これらの技術では、ペーパーを最終的にエタノールでリンスし、乾燥し、96の小片にカットし、それらはそれぞれカウント用にシンチレイションバイアル中に置く。
ウシ血清アルブミンを含有させることは逆転写酵素を安定化し試料中に存在するプロテアーゼを減少させるために理論的に有用である。しかしながら、高価に調製されたリボヌクレアーゼフリーBSAを用いる場合でも、それは変異性を増加させ最大RT活性レベルを現実に減少させるので、このカクテルから省かれる。
本技術は、キャンベラ・パッカードマトリックス96による検定に最少修飾で用いうる。しかしながら、多数の試料を実施する場合、幾つかの役立つ変更を行うことができる。主として2価カチオンを最初の反応カクテルから省き、0.1mM DETAを加える。従って、ウイルス試料をカクテルに加えると、反応は直ちには開始しない。EDTAは二つの方法で役立つ。それは媒体中に存在する全てのマグネシウムを包含するが、それはカルシウムをも含む。この後者の工作は、3価カチオンの添加前、多くの細胞に存在するカルシウム依存ヌクレアーゼの阻害に役立つ。カルシウムに対するEDTAの親和性(logK=10.7)はマグネシウムに対するもの(logK=8.7)よりずっと大であるので、カルシウムはたとえカルシウムを後で付加的に加えても依然結合しているであろう。3価カチオンはマグネシウム又はカルシウムを置換しうるがそれら自身の保護効果を発揮する。
EGTA(シグマE4378)は大きな特異親和性(Caに対しlogK=11.0、Mgに対しlogK=5.2)を与えるが、その溶解性はより少で、試薬について濃縮プレミックスを調製するのに用いるにはより問題である。EGTAは、(RT反応に効果がないN−メチルグルカミンの同量を加えることによって)そのメグルミン塩としてEGTAを作り上げることにより可溶性に導くことができる。しかしながら、EGTAは、反応の未熟な開始を防止するために培養媒地に存在するマグネシウムを作るために必要であるこの技術のためにはEDTAよりも効果的でない。
このターニオン(tarnion)において、非常に多くの試料を、反応を開始させることに関係なく、数時間にわたりウエルに導くことができる。RT自体は、この短い間隔で室温では非常に安定であるが、完全トレーを正確な検定を行う前に冷却又は凍結できる。検定行使のために全てのトレーを完全にまとめる場合、最初にトレーを37℃に上げ、次いでカチオン溶液を加えることにより反応を開始する。この技術は、検定試料を5μl定量で個々の試験管から取る場合に特に有用である。本ステップは検定トレー当り45分を要し、完全な感染ウイルスの転移を含みうる。マグネシウムの付加は多重チャンネルピペッターにより行うことができ、トレー当りわずか2−3分しか要しない。
正確な検定は、5分間隔でマグネシウムの添加により各トレーを開始し、20トレーの連続「飛行(flight)」として行う。各トレーでの反応は100分間行う。このファッションで、最初のトレーは、最後の(20番目の)トレーがマグネシウムの添加により開始した直後にその100分インキュベーションを完了する。反応は、乾燥のためにDE−81ペーパー上にドットすることにより停止する。別法として、より正確な反応の停止を多重チャンネルピペッターを用いることにより、ドッティング前に250mMピロリン酸塩中1mM冷dTTPの停止溶液を5μl/ウエル加えて達成できる。
実施例1
カクテル
各96ウエルトレーは4mlのRTカクテルを必要とする。以下に表示した必要物は20トレー検定行使用の80mlのカクテルを調製するための量を含む。全試薬はリボヌクレアーゼ活性を含まない清浄さを有する「分子生物学」グレードを購入しうる。カクテルを40μl量、ウエルに加える。次いで試料を5μl容量加え、最後に2価カチオンを5μl容量加える。表示される濃度は、50μlのこの最終運行容量に基づく。
カクテルの最終容量は80mlまで上り、それを0.22μ又は0.45フィルターを通過させる。完全なカクテルは巨大バッチ作ることができ、20トレイ実験について80mlアリコートで、又は単一トレイ実験について4mlアリコートで、−20℃にて凍結保存する。
ヌクレオチド
カクテルについての最終試薬は標識チミジン5'三リン酸(dTTP)で、これは3H標識(t1/2=12.3年)又は32P標識(t1/2=14.3年)しうるか又は免疫標識(例えばジコキシゲニン)しうる。トリチウム標識dTTPを用いる場合(例えばアマーシャムTRK.576)は、これを、保存のために凍結する前にカクテルに加えるのが便利である。
トリチウム32Pより小エネルギーアイソトープであり、そのためキャンベラーパッカード・マトリックス96は同量の32Pにより産生されたカウントの約1/5を検出し、それゆえより高い濃度のトリチウム標識ヌクレオチドは、低活性が予期される(例えばT細胞よりもむしろ感染マクロファージの場合)ある検定で要求されうる。この感受性の喪失のあるものは、32Pによるものの(5−10)約半分であるトリチウムによる非常に低い背景(0−5)によりとりもどされ、これは多分、ペーパーに残っているごく少量の未結合ヌクレオチドが、トリチウムを用いたときに有効に検出されないからである。
トリチウムは、幾つかのウエルが他のものよりずっと高い活性を有することが期待される場合、トリチウムは全ての「こぼれ(spill over)」活性を最小にするので、本当に好ましい。32Pからのより張力なβ−粒子は、ウエル間の約0.5%ないし1%の潜在クロストークを起こす96ウエルグリッドで、隣接箇所の検出器領域に渡ることができる。従って、特にランタニドによる強力な促進のセッティングで、トリチウムよりも32Pを用いると比較的わずかな利点がありうる。
ほとんどのシンチレーションカウンターに関連するキャンベラ・パッカード96−マトリックスにより達成される一般的な低背景カウントの理由から、他の技術により要求されるよりも少しの放射核種を使用することが可能である。背景カウントは機械から機械に変るが、トリチウム及び32Pについて、共に60−100のシンチレーションカウンター背景が普通である。32Pの2.5μCi/mlの最終濃度が全く適切である。アマーシャムは400Ci/mモルの活性及び10mCi/mlの濃度で25μlにて250μCiとして32P−dTTPを与える(PB10167)。この量は、使用前に80mlアリコートまで増すことができる。
トリチウムによるマトリックス96の低効率は全く超低背景によりなされる。それにもかかわらず、トリチウムは検定についての適当な感受性を確認するために5ないし10μCi/mlの濃度で用いることが必要であろう。
非放射活性標識の検定は、ヌクレアーゼフリーBSA又は非特異抗体でDE−81ペーパーに結合している非特異蛋白をブロックしたのち、ジゲトキシゲニン基本反応についてベーリンガー・マンハイムよりの製造者指示に従う。
開始及び停止溶液
反応を開始させるための2価カチオンは、金属塩化物を12mlの濾過0.05NHClに加えることにより10−50mM溶液として提供する。低ノイズの最適結果は10mMランタンで得られ、最高活性は10mMスカンジウムで得られる。最適「停止溶液」は12ml dH2O中、5mg dTTP(シグマT8635)及び1.1gピロリン酸塩(シグマS9515)として作る。これは正確な停止時間が必要な場合に、5μl量加えて反応を停止する。
洗浄溶液
洗浄用に、20XSSCを700gのNaCl(シグマS3014)及び250gのクエン酸三ナトリウム(シグマC8532)を3.5lのdH2Oに加え、最終容量を4lにすることにより調製できる。これは数百のプレートに十分な洗浄を与える。
検定プロトロール
1. DE−81のシート(48×57cm)を6つの断片(3つは24×15cmで、3つは32×15cm)にカットし、レーザープリンターによりシート上に96ウエルパターンをプリントする。シートは、シート当り3又は4の96ウエルグリッドパターンをプリントして用いる。使用の際に、個々の同定を検定の開始前に鉛筆で各グリッド上に記載すべきである。
2. 標識dTTPをカクテルに加え、次いで標識96ウエルトレイ(「組織培養処理」トレイを除く)に加え、40μl/ウエルの完全カクテルを与える。トレイは凍結し、β−遮蔽箱(シグマS4144又はノージン6740−1108)に貯蔵しうる。
3. 細胞フリー組織培養上清、清澄血漿、又は組換え酵素(ウエル当り1−5単位)をウエルに5μlアリコート加える。この工程は、試料が、96ウエル形式に組立てることができる細いミクロ試験管に蓄え、多重チャンネルピペッターによりカクテルに移すことができるならば、非常に簡単にできる。
4. トレイをインキュベーター内に置き37℃に上げる。40ラックの96ピペットチップが、20トレイ検定の実施に必要である。
5. 5分間隔で、トレイをインキュベーターから取り出し、多重チャンネルピペッターで5μlのカチオン溶液を各ウエルに加えることにより反応を開始する。カチオンの添加は、ピペッターに注意してポンピングすることにより良く混合することが重要である。トレイをインキュベーターに返し、次のトレイをカチオン添加のために取り出す。
6. 100分の最後で全20トレイは全て反応続行でインキュベーター内にあるべきである。最初のトレイは今やそのインキュベーションを終了し、ドットするためにインキュベーターから取り出すことができる。
7. 試料は、多重チャンネルピペッターを用いドット当り5μlの容量で適当なグリット位置にDE−81ペーパー上にドットする。ドットするためのアリコートを取り出す前にピペッターによる簡単な混合のための時間があろう。未結合のヌクレオチドの幾らかが付着することとなりうるので、この段階の間、ピペットチップでDE−81ペーパーを穿刺又は掻破するのを避けるために注意しなければならない。5μl容量で良好な精度でピペッターを用いることが重要である。BCL7000(ベーリンガー・マンハイム)は良好に荷動し、グリッドへのドットの容易な整列を確かにする厳格にピペットで計ったチップ(シグマP5161)を用いる。
8. 3又は4の96ウエルパターンの各シートは十分にドットされるので、ハンガーとして用いるために部分的に曲がっていないペーパークリップで一角を穿刺することにより乾燥するのを遅らせうる。
9. 全ての20プレートが完了し、全てのシートが乾燥すると、されらは大きなパイレックス皿で一緒に洗浄しうる。シートは、洗浄に先だち、シート当りそれぞれ2又は3グリッドを含むようカットしなければならない。洗浄工程は、全シートを一緒に洗浄しても非常に低い背景となるよう十分に能率的である。
10. 各洗浄には、20XSSCをdH2Oで1:10に希釈する。1lの得られる2XSSCを皿に注ぎ、DE−81シートを浸漬する。トレイを5分間緩やかに撹拌し、洗浄液を流し出す。これを4つの皿について繰り返す。回転ミキサー台を用いることができる。
11. 最後にそれぞれ1分間95−100%エタノールで2つの皿を実施することが必要である。もし水で湿っていると、使ったときDE−81ペーパーはちぎれるので、たとえシンチレーション溶液を用いないでもこの段階が必要である。しかしながら、エタノールで湿らせると、それは大きな湿潤力を有する。エタノールを注ぎ出したのち、シートは緩やかに浴から持ち上げて再び曲がっていないペーパークリップで吊して乾燥する。4つのグリップを伴うシートは非常に重いので、湿っているとちぎれることなく吊すことはできないであろう。そしてこれが、シートを洗浄する前にわずかに2又は3グリッドを含むようカットしなければならない理由である。
12. 完全に乾燥すると、各96ウエルパターンはキャンベラ・パッカード・マトリックス96機械で1分でカウントできる。検定の感受性は10μCi/mlの32P−dTTPを用いることにより、又、10μlの試料のアリコートを二倍にすることにより増加することができる。
実施例2
RT活性は種々のカチオンを用いて比較した。添付図面は、イオン半径の順に並べたカチオンによる、一価(Li)及び3価(Al、Sc、Lu、Y、Tb、Gd、Ce、La)カチオンによるHIV−1逆転写酵素活性を示す。検定はAl3+を150mM HEPES、pH7.3で行った外は、150mMトリス、pH8.2中2mM DTTにより34℃で行った。比較のために、種々の2価カチオンを、Cu2+を150mMトリス、pH7.5で行った外は、150mM HEPES、pH7.5中、DTTを存在させることなく0−4℃で行った。種々の完全緩衝液を75mM KCl、ポリ−rA5μg/ml、オリゴdT(12−18)5μg/ml、過酸化物フリーNP−40 0.05%及び[32P]dTTP 5μCi/mlを有する脱イオン、金属フリー水中で作った。種々のカクテルを100μl/ウエルの容量で96ウエルプレートに移し、次いでプレートを凍結した。金属溶液を0.1N HCl中250mMに調製し、次いで0.1N HCl中の一連の希釈液を作り、種々の最終濃度に種々の金属を含む96ウエルプレートを並べる。次いでRTカクテルプレートを解凍し、20μlのHIV感染細胞フリー上清を1組のプレートに加え、一方、コントロールの組は、同一の培養物及び媒体からの20μlの未感染細胞フリー上清を入れた。各完全緩衝液チャンネル用の内部コントロールウエルは、共に10単位の精製MoMuLV RT(ファルマシア)及び20μlの細胞フリー未感染上清を入れた。反応は、種々の金属カチオン希釈液及びMgCl2希釈液を8μl容量で、各緩衝液/DTT/温度条件でHIV、MoMuLV及びコントロールウエルに、適当な位置に、多重チャンネルピペッターを用い移入することにより開始した。反応開始後、2時間(34℃プレート)又は4時間(0−4℃プレート)でDE81ワットマンペーパー上の予め番号を付した配列位置への5μlドット移行を乾燥し、洗浄し、四角にカットし、5mlのシンチラント中、β−カウントした。図に示される結果について、各コントロールからの活性をその対応する検定ウエルについての値(MoMuLV内部コントロールには示さず)から引く。Cu、Co、Ni、Zn、Mn、Pd及びMgについての比較試験は、約1200に最大RT活性(Mnについて)を示した。他の結果はより低かった。
加えて、ゲルを実施し、大きさにより分けられた絞切り型のDNA長断片を示した。Mg、Mn、La、Lu、Y、Tb、Tb+Mg及びSc+Mgの比較で、ごくわずかな中断点があり、第3族元素のみによるチャンネル実施で、より長いDNA断片があった。
実施例3
検定を実施し、70℃でTaqポリメラーゼの進歩増強を示した。一方、Mgはc.160の平均トリチウムカウントを示し、Co、Cu、Ni、Mn及びLaについての対応カウントは低く、Sc、Ce、Nd及びYについては、それぞれ約470、440、260及び180であった。
実施例4
検定を実施し、AMV及びHIV逆転写酵素について、種々の第3族、2価及び遷移金属イオンを用い進歩効果を示した。各酵素は、以下の表に示すように特徴的パターンの効果を示した。
加えて、2価のカチオンは核酸鎖をそれらの成分モノマーのヌクレオチド及びヌクレオシドに分解する広範囲のヌクレアーゼ酵素の機能を緩和するのに非常に重要であり、又、それらの成分ヌクレオチドからDNA及びRNA鎖をまとめるDNA及びRNAポリメラーゼ酵素の作用にも重要である。核酸ポリメラーゼの機能の速度、プロセッシビティー(processivity)(鋳型鎖に沿って前進反応を続ける傾向)、正確度及び間違った又は異常な塩基配列或は置換ヌクレオチドへのトレランスが、反応媒体中のマグネシウム濃度の変化により影響することはよく知られている。
長年にわたって、種々の他の2価のカチオン、特にマンガンはマグネシウムに置き換えることができ、しばしば少し低濃度でその作用を実質的に再現すると思われて来た。しかしながら、マグネシウムはありきたりの安価な試薬であるので、又、これらのカチオン置換は生化学的に何らの新規な又は有用な付加的結果を達成しなかったので、そのような置換の工業的適用はなかった。さらに遷移金属の多くの2価のカチオンは、これらの還元体が遷移金属カチオンを還元し沈殿する傾向があるので、適当な作用には幾つかのポリメラーゼ酵素によって必要とされるイオウ保護体(thioprotectant)及び還元体、例えばβ−メルカプトエタノール及びジチオトレイトール(DTT)、に耐えることができない。
しかしながら、本発明者等は、非常に驚くべきことに、ある明らかでない因子を調節すると、そして幾つかの一般的でないカチオン、特に3価のカチオンをマグネシウム又はカルシウム又はそれらの混合物の代わりに用いると、幾つかの新しくて非常に有用な効果を達成できることを発見した。これらのカルシウムはDTT又はβ−メルカプトエタノールにより還元されないことが有益である。幾つかのそのような3価のカチオンは、幾つかの酵素で例えばカルシウムと置換することができ、酵素阻害効果を発揮することが判った。この方法でヌクレアーゼ酵素を阻害することが可能であることが本発明者等により示された。
しかしながら、最も重要なことに本発明者等は、多くの3価のカチオンが幾つかの核酸ポリメラーゼ酵素のプロセッシビティー(processivity)を実際に増加することができるという驚くべき科学的発見をなした。幾つかの病原性レトロウイルス、例えばエイズを起こすHIVウイルスにより用いられる逆転写酵素の場合、DNA生成の速度を増すこと及び酵素により作られるRNA鋳型のDNAコピーの平均長を増加することが可能である。これは、例えばRNA鋳型によりDNAを生成する能力を有する何らかのウイルス逆転写酵素を有するかどうかを見るため、そして人が血液のHIV感染を受けているかどうかを知るため、潜在的に感染したヒト血液の試料を検定したい場合に最も重要である。
反応において、マグネシウムの代わりに適当な3価のカチオンを使用することは、従って二重の有用な効果がある。同時に、それは通常は逆転写酵素(RT)反応の生成物を破壊する傾向のあるヌクレアーゼを阻害し、プロセッシビティー(processivity)、従ってウイルスDNAの生成の速度を増加する。このように、2価カチオンとしてのマグネシウムにより、ゆるやかに生成されるDNAはしばしばヌクレアーゼにより破壊され、そのため検出することができない。従って、検定はRTが比較的大量に存在するまで感染を検出することができない。しかしながら、適当なカチオン置換を用いると、診断上重要なDNAが急速に生成し、ヌクレアーゼにより破壊されるのが少なくなるようであり、従って診断生成物従って、二つの相乗作用の方法での検定の感度を増す。
二次又は三次構造の核酸アニーリング、初回免疫及び折りたたみの操作は、又、分子生物学の全領域で巨大な工業上の重要性を有するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用の分野で、極めて大きな重要性を有する。適当なキレート化剤と共に置換カチオン又はカチオンの混合物を使用することは、PCR反応の幾つかの局面を操作するのに用いることができる。
PCRにおいて、反応の最も重要な点は、核酸ポリメラーゼ、例えば高温度、例えば72℃で機能的であるTaqポリメラーゼ(サーモフィラズ・アクアティクスから)又は、ポリメラーゼ、例えば低温でのみ用いることができるがより正確であるT4 DNAポリメラーゼを含む。単一DNA鎖の多数のコピーを作るために、DNA鎖、単量体ヌクレオチド、及び問題のDNAに対し幾らかの相捕性を有する長さ30−50塩基対プライマー鎖と共に、少量のTaqを反応ウエル中に置く。
混合物を三段階サイクルを経て取り、そこでそれを92℃に加熱してDNAをその分離単一鎖に変性し、次いで55℃に冷却してプライマーに鋳型のアニーリングを行ない、次いで72℃に上げて鋳型をコピーするためTaqがプライマーを延ばさせるようにする。次いで二つの得られるDNA鎖を、約20サイクル後、沢山のコピーが存在し、反応が停滞期に入りはじめるまで四コピーを得る同じサイクル等を経て取る。
出口で加えた少量のTaqポリメラーゼが全ての百万またはその程度の鎖を速やかにコピーできなくなるので、停滞期(plateau)が起きる。非常に多くの単一鎖が存在するので、多くの鎖がプライマーよりもむしろ他の単一鎖にアニールし、従ってTaqが働きかけるさらされた鋳型の量を限定することも起きる。
3価(例えばスカンジウム、イットリウム及びランタニド系の成分)とのカチオン置換又は有用な2価(Mn、Pd、Co、Cu、Sr)との置換は、幾つかの方法にPCRを用いることができる。停滞期は上昇させることができ、従って、Taq又はT4 DNAポリメラーゼの速度及びプロセッシビティー(processivity)を増加することにより収量を増加し、これによりコピーするのは鋳型の総数によって仲々抑制し得ない。プライマーよりもむしろ単一鎖がアニールする傾向に作用することも可能であり、そして再び停滞期を作用しうる。プロセッシビティー(processivity)を増加することからの付加的利益は、ポリメラーゼが鋳型の全コピーを完全にするであろうことから、より長い鋳型で使用する能力である。ある状況では、最も正確な転写物が見られるので転写の正確度の操作も可能であり、他方、変化したプライマーは最終生成物DNAに望ましい配列を付加するのに用いることができることを保証するのが重要である。
プライマー及び鎖アニーリングへの効果も重要であり、そこで高温度で短いプライマー(例えば12−15bp)を用いること、又はサイクルの第三段階を避けるために72℃でアニーリングさせることが望ましい。カチオン効果に感受性のあるPCRにおける他の重要な現象は、プライマー−ダイマー汚染による及び「非鋳型指定」プライマー拡張によるノイズである。アニーリング緊縮性における変調は、プライマー上に修飾配列をわざわざアニーリングするために、又、生成物のゲル電気泳動分析の単一関連均一バンドを生成する能力により示されるような問題のDNAにとっても反応の基本的選択性及び特異性において重要である。
RT検定での、及びPCRでの用途に加えて、これらの試薬は、又、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼ及びプライマー/鋳型相互反応が顕著に現れる分子生物学及び生化学での非常に種々の他の有用な反応でも用いうる。これらは、DNA合成酵素、遺伝修飾、遺伝子治療、遺伝子挿入又は他の遺伝試験、クローニング反応、組立てベクター、初回抗原刺激、ニック翻訳、鎖の標識化及び非常に種々の他の反応を含む。
これらの試薬の特異な特徴は、ある種のランタニド又は他の関連成分又は通常、ヌクレアーゼと呼ばれるある種の細胞内酵素を阻害する特別な能力を有する同様に作用する小分子のこれまで知られていない用途であり、そのあるものは、又、ある種の核酸ポリメラーゼ、例えばHIVの逆転写酵素のプロセッシビティー(processivity)を改良する(例えば活性を刺激する)能力を有する。
医者又は実験化学者は、しばしばヒト免疫不全ウイルスの存在について血液又は他の組織の試料を試験する問題に直面する。そのような試験を実施するために現在広く用いられる二つの計画がある。一つのそのような計画は、p24と呼ばれるHIVの典型的な蛋白の存在を検出するために抗体を用いることを含む。これらの検定は、高価な特別の抗体試薬を必要とし、変異が起きると、そのp24蛋白は用いた抗体試薬により認識され得ないHIVの新しい株を生ずる効力の喪失にさらされる。
HIVを検出するための別の試みは、潜在的にはるかに特異的、感受性であり、そして変異による変調に対し免疫性であるが、この完全な潜在力は利用するのが困難なことが証明された。この方法はウイルスの逆転写酵素(RT)の使用を含む。RT酵素は三つの重要な作用を有し、ウイルスの存在がそれらに依存する。このことによりこれらの作用のいずれをもこわす変異がウイルスを非存在とする。
RT酵素の幾つかの分子は、RNAの特別の鎖中で暗号化されるウイルスのゲノムの二つのコピーと一緒にウイルスのヌクレオカプシド中に含まれる。ヒト細胞の侵入によって、RT酵素は活性化され、徐々にRNA鎖の単一鎖cDNAコピーを造る(「RNA−依存DNAポリメラーゼ」)。次に、RT酵素の「リボヌクレアーゼH」作用は元のRNA鋳型鎖を切断する最後に「DNA−依存DNAポリメラーゼ」作用は、相捕DNA鎖を造り、ヒト細胞が次に複製を開始するときはいつも、ヒト細胞のDNA遺伝物質に挿入できるウイルスゲノムの最終二本鎖DNAコピーを生成する。
RT酵素の非常にユニークな「RNA−依存DNAポリメラーゼ」作用、その良い例はポッツにより(アルドビニ,A及びウォーカー,B.D.編集「テクニックス・イン・HIVリサーチ」103−106頁、ストックトン・プレス,N.Y.1990)報告されている、を検出する多くのよく知られた検定が開発された。これらは広く用いられる一方、それらは低レベルの感染を検出する点で、p24検定と同じような感受性を有しない。実際、多くの報告は、p24 ELISAアッセイ法がRTに基づくアッセイ法よりも10ないし100倍感受性であることを示す。
しかしながら、わずか25HIV陽性担体がスクリーンされた10,000臨床試料中に見出されうるのでELISA技術は99%正確であり、そのような群から100の間違った陽性結果がある。これは各正しい結果につき4つの不正な結果を意味し、その全ては第二の方法でスクリーンされなければならない。又、病気の患者の血液中の血清p24抗原レベルと感染ウイルスの量の間には劣った相関がある。高い感受性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、この第二段階を擁護して来た。しかしながら、ELISA技術は又、RT検定がPCRよりもずっと適するであろう第二の速くて安価なスクリーニング技術によってのみ検出されうる間違った負のリスクを負う。
感受性RT検定を開発するのに関心をもつ第二の理由は、逆転写酵素がエイズに対する唯一存在する投薬についての標的であり、現在、新規な特異的逆転写酵素インヒビターを発見するために1000の化合物から10をスクリーンする大きな努力がなされつつあり、又、HIV感染患者の処置のための新しい治療法を開発するためにこれらの試薬の種々の組合わせをスクリーンする大きな努力がなされている。
薬物のスクリーニングの努力においてRT検定に適用する一連の限定は、測定されたRT活性と真の感染性又は存在するウイルス粒子の数との間の関係での重要な変異性に関係する。これらの変調は、幾つかの細胞系又は患者血清での種々のヌクレアーゼ又は他の阻害物質の存在による。それは正しくこれらの限定並びに本明細書においた記載される本発明により示される低感受性の問題である。
精製酵素及び注意深く選択された補助因子による純インビトロ条件下で、RT酵素検定は少量の酵素に非常に感受性である。しかしながら、感受性は検定を「細胞フリー上清」又は感染したヒトの血清について実施すると大きく減少する。この感受性の減少の原因は完全には明らかでなく、血漿又は細胞フリー培養上清の複合生化学セッティングで種々の交互反応及び汚染があると考えられて来た。
DNA又はRNA鋳型を切断又は破壊しRT酵素に逆に働く幾つかのヌクレアーゼ酵素が存在するかも知れないという幾つかの示唆があった。ヌクレアーゼが非常に効果的であると、それはRTにより生成される全てのDNAをそれが生されるのと同じ速さで破壊したかも知れない。これらの条件下では、検定は試料中のウイルスの存在を検定するのに間違って失敗したであろう。しかしながら、通常はヌクレアーゼは生成したDNAの量で相対的減少を生じ、しかしこの減少の量は知られていなかった。
検定の基本的考えは、ポリアデノシンRNAの鋳型にオリゴdT(8−12)プライマーDNAを供給し、KCl、MgCl2、ジチオトレイトール、pH8.0緩衝液、例えばトリス、及びデタージェント、例えばNP−40を加えてウイルスを破壊し、含まれたRT酵素を露出することである。32P放射標識dTTP(デオキシチミジン三リン酸)を加えると、RT酵素はRNA鋳型に対し、32P標識一本鎖ポリdTDNAを作り始める。90分後、反応生成物の試料をDNAがペーパーに付着するDE81ワットマンペーパー上にドットする。未結合の32PdTTPを洗浄除去し、次いでβ−カウントし、RNA鋳型に対し生成する又は予備的評価用のオートラジオグラフィにより暴露されるDNAの量を測定する。
本明細書に記載される方法が、32P、3H、35S又は他の種々の放射標識で標識化されたヌクレオチドと共に用いることができることに注意すべきである。加えて、brdU(5−ブロモ−2'−デオキシウリジン三リン酸)で、又はジゴキシゲニンで標識化したヌクレオチドを用いることが可能である。本発明者等は、免疫試薬検出用の放射活性ヌクレオチド標識によって検出用のRT反応を実施した。
幾つかのランタニド、例えばスカンジウムが本発明者等によってRT酵素のプロセッシビティー(processivity)を増加することが示されたことにも注意を要する。酵素は通常、RNA鋳型の二次又は三次構造に依存する特徴的な点で切られたDNAの多数の小断片を生成する。1mMでの種々のランタニドの存在で、又は低親和キレート化剤、例えばニトリロ三酢酸と金属緩衝試薬の存在で、特に2価カチオンを供給しない場合、RT酵素は与えられた量の時間でより多くのDNA転写物を生じ、これらの転写物は、平均して2価カチオン、例えばMg2+の存在下の反応から得られるものよりも長い(図1参照)。
プロセッシビティー(processivity)によるこの直接効果によって、ヌクレアーゼを阻害することにより得られる付加的効果に依存して、これらのランタニド増加試薬は、たとえ精製された、微生物的にクローン化されたRT酵素を用いる場合でも用いることが可能である。さらに、このプロセッシビティー(processivity)効果は、ランタニド試薬をポーストマン等により記載される(ジャーナル・オブ・バイオロロジカル・メソーズ31:181−188,1991)免疫RT抗体の手段により細胞培養上清又は血清から分離する場合でも、非常に有用であることを意味する。
3族(IUPAC)元素、例えばSc、Y或はランタニド、特にランタン又はスカンジウムのイオンが反応混合物に依存すると、逆転写酵素によるcDNAの生成速度は500%に増加することを発見した。さらに、検定はごく少量の酵素にも感受性となる。ランタンがカルシウム依存酵素を阻害することはよく知られている。又、多くのヌクレアーゼがそれらの活性に関しカルシウム依存であることも知られている。従って、例えばランタン又は他の幾つかのヌクレアーゼ阻害剤を反応混合物に導入することにより、ヌクレアーゼがブロックされ、DE81ペーパー上での新たに合成されたcDNAの回収が劇的に増加する。
ランタンの最も劇的な増加効果は、精製酵素の検定では見られない。というのは高精製調製品には典型的にヌクレアーゼが存在しないからである。ある増加効果は、プロセッシビティー(processivity)の効果のために、依然見られうる。しかしながら、これらの酵素は、細胞フリー上清及び血漿に可変的に存在する。従って、逆転写酵素検定の均一性、適合性及び感受性を改良するために、新規な反応緩衝混合物又は「カクテル」を調製する。これらの抗ヌクレアーゼカクテルは、血清又は細胞フリー上清で或は細胞内部でのヌクレアーゼ酵素による分解からDNA又はRNAを保護するのに重要である広範囲の他の検定又は遺伝子導入に用いることができる。
不適合なDNA合成を行うHIVから高能力のRTの利点を取ることにより、上清又は血清の検定でRTの選択性を得る手順もある。このことは、ポリrA鋳型に対するポリdG鎖を作るRTの能力を指し、ポリrA鋳型に対してポリdA鎖を作る能力を含む。この不適合な組合せは、ランタニド試薬により促進し、上清又は血清に存在するかも知れない他の核酸ポリメラーゼによって作られるDNA鎖の検出を避けるのを助ける利益をもたらすことができる。
非常に多くの金属カチオンによるRT検定をポッズ方法(上述)を修飾することにより実施でき、種々の元素の化学により課せられる溶解性に対する特別な要求に適応できる。ジチオトレイトール(DTT)又は高pHは遷移金属を直ちに沈殿させ、従って例えば検定を0ないし4℃で行った場合、DTTによることなく良好な活性を示すテミン及びミズタニの方法、ネイチャー266:1211−1213(1970)を用いるのが適当である。pH7.3の緩衝液はほとんどのカチオンに、又、酵素に許容される。銅カチオンはHEPES緩衝液中で沈殿するがトリス中では沈殿しない。第一鉄及び第二鉄カチオンは4.0よりも大きなpHで不溶性であり、イオンは、「金属緩衝」キレート化剤を用いることなく大きく減少した有効濃度でこれらの検定に用いることができない。ランタニドは、カチオン対dTTPのモル比が1:2より大のとき、pHが8.2より大であり、カチオンモル濃度が1ミリモルに等しいかそれより小である場合を除きdTTP(デオキシチミジン三リン酸)の存在で沈殿する。
酵素のVmaxは通常増加する。しかしながらレトロウイルス逆転写酵素のインビトロ研究は、RTがかなりの時間繰り返してその鋳型を「フォーリングオフ」(falling off)するのを増すことを示した;アルオード等、バイロロジィ,183、611−619(1991)参照。完全な転写が完了するまで鋳型に付着し続けることにより慣用の高忠実度ポリメラーゼにより似せてRTを作用させる酵素形での変調は、cDNA生成の速度をはっきりと上昇させるように見える。理論により結合することを望むことなく、これは高活性の理由を明らかにする機構でありうる。
本発明は、この効果が必ずしも酵素自体への直接効果ではないが、「増幅(amplification)」の発見に基づく。それはむしろプロセッシビティー(processivity)の増強である。当業者により当然でもあり、直ちに認められるように、ある実験作用は、どれが増強されたプロセッシビティー(processivity)が要求される酵素と共に用いるのに好ましいイオンであるかを確立するのに必要でありうる。
影響するポリメラーゼは、レトロウイルス、例えばAMV又はHIV逆転写酵素でありうる。特に、逆転写酵素(RT)にとって、これは比較的反応しないRT検定を、レトロウイルス例えばHIV−1、HIV−2及びHTLV−1について血液生成物をスクリーニングするのに用いることができる潜在的診断キットにする適用を有する。それは、又それらの存在が予想されるが検定法がない条件でレトロウイルス(確認された及び未確認の)の証拠を探すのに潜在的に用いることもできる。「HIVネガティブAIDS」についての現在の関係は、一つのそのような実施例である。それは、又、RTを測定するのが非常に困難で、これが非常に有用な実験器具である研究で普通に用いられる多くのレトロウイルス(そのあるものは遺伝子治療に用いうる)について研究応用を有する。
ポリメラーゼ連鎖反応は、広範囲の研究と診断応用を有し、これを増強する方法は極めて貴重である。その方法は、PCR含有酵素、所持性、アニーリング温度、一次結合操作等の種々の局面を適正化しうる。核酸ポリメラーゼ及び他の酵素が第三族及び他のイオンの範囲に対し特異的応答を有するように見える。本発明の次の局面では、複数(通常3、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5)のイオンを、どの酵素が試料中に存在するか、応答の特徴的「指紋」から確認する検定に用いる。
適切な試験方法を本明細書に記載する。本発明のいずれの検定も、キレート剤及び/又は適当な緩衝液の存在でしばしば、実施されよう。そのような材料の例を以下に示す。
逆転写のための基本的必要物は、イオウ保護剤、例えばDTT、用の絶対必要物、鋳型としてのポリrAのオリゴdT感作鎖の採択、pH8.0近くに存在する至適pH、及び2価カチオン、例えばMn2+又はMg2+用の必要物を含む。本検定において、2価カチオンは最初の「カクテル」から省略する。代わりに2価又は3価カチオンの望ましい混合物を、全ての望ましいキレート剤、例えばNTA、EDTA、EGTA又はDTPAと共に用い、0.05N HClでの望ましい最終強度を10倍まで上げ、次いでRTをカクテルに加えたのちに、検定混合物に加える。本ファッションにおいて、選択ランタニド3価カチオン又は他の選択カチオンは、反応を実際に開始させるのに用いる。ある種の2価カチオンを用いる場合、DTTの使用を避けることが必要である。このような場合では、反応は0−4℃で実施し、通常行なわれるような37℃では行ってはならず、反応時間は倍加しなければならない。
「マクロアッセイ」検定は、標識化dTTPを含む反応物のカクテルの調製を含む。デタージェント、例えばNP−40をウイルスを不活性化するのに用い、ウイルス粒子当りRTの100コピーまで含むヌクレオカプシドコアのアンコーティングを行う。処理ウイルス試料を、次いでカクテルに加え、カチオンを加えてポリrA鋳型に対する放射標識チミジン鎖を合成させる。この反応は、90分後、冷10%TCA、ピロリン酸塩及び未標識オリゴdT又はtRNAの添加により停止する。次いでTCA沈殿をGF/Aガラスミクロフィルターに注ぎ、5%TCAで十分に洗浄する。標識化沈殿DNA鎖をフィルターに採取し、一方、未結合ヌクレオチドを洗浄、除去する。最後にフィルターをエタノールで洗浄することにより乾燥し、シンチレーションバイアルに移し、シンチラントでカウントする。この方法は1日当り約30試料しか実施できない。その利点は反応の正確なタイミング及びそれが定量的であろう期待値である。
RTについてのミクロアッセイは反応を停止し、未結合ヌクレオチドからDNAを分離するより簡単な技術を用いる。最初のカクテルは実質的に同一であるが、反応は96ウエルプレート中少量で行う。90分後、レプリケーター又は多重チャンネルピペッターを用い、ワットマンDE−81ペーパー(ジエチルアミノエチル又はDEAEセルロース)上にドットする。ドッティング後、DE−81シート空気乾燥後、反応が停止する。DNAはDE−81ペーパーの電荷を帯びた表面に付着するが、未結合ヌクレオチドは2XSSC(生理食塩クエン酸ナトリウム)の数回のリンスにより容易に洗浄、除去される。これらの技術では、ペーパーを最終的にエタノールでリンスし、乾燥し、96の小片にカットし、それらはそれぞれカウント用にシンチレイションバイアル中に置く。
ウシ血清アルブミンを含有させることは逆転写酵素を安定化し試料中に存在するプロテアーゼを減少させるために理論的に有用である。しかしながら、高価に調製されたリボヌクレアーゼフリーBSAを用いる場合でも、それは変異性を増加させ最大RT活性レベルを現実に減少させるので、このカクテルから省かれる。
本技術は、キャンベラ・パッカードマトリックス96による検定に最少修飾で用いうる。しかしながら、多数の試料を実施する場合、幾つかの役立つ変更を行うことができる。主として2価カチオンを最初の反応カクテルから省き、0.1mM DETAを加える。従って、ウイルス試料をカクテルに加えると、反応は直ちには開始しない。EDTAは二つの方法で役立つ。それは媒体中に存在する全てのマグネシウムを包含するが、それはカルシウムをも含む。この後者の工作は、3価カチオンの添加前、多くの細胞に存在するカルシウム依存ヌクレアーゼの阻害に役立つ。カルシウムに対するEDTAの親和性(logK=10.7)はマグネシウムに対するもの(logK=8.7)よりずっと大であるので、カルシウムはたとえカルシウムを後で付加的に加えても依然結合しているであろう。3価カチオンはマグネシウム又はカルシウムを置換しうるがそれら自身の保護効果を発揮する。
EGTA(シグマE4378)は大きな特異親和性(Caに対しlogK=11.0、Mgに対しlogK=5.2)を与えるが、その溶解性はより少で、試薬について濃縮プレミックスを調製するのに用いるにはより問題である。EGTAは、(RT反応に効果がないN−メチルグルカミンの同量を加えることによって)そのメグルミン塩としてEGTAを作り上げることにより可溶性に導くことができる。しかしながら、EGTAは、反応の未熟な開始を防止するために培養媒地に存在するマグネシウムを作るために必要であるこの技術のためにはEDTAよりも効果的でない。
このターニオン(tarnion)において、非常に多くの試料を、反応を開始させることに関係なく、数時間にわたりウエルに導くことができる。RT自体は、この短い間隔で室温では非常に安定であるが、完全トレーを正確な検定を行う前に冷却又は凍結できる。検定行使のために全てのトレーを完全にまとめる場合、最初にトレーを37℃に上げ、次いでカチオン溶液を加えることにより反応を開始する。この技術は、検定試料を5μl定量で個々の試験管から取る場合に特に有用である。本ステップは検定トレー当り45分を要し、完全な感染ウイルスの転移を含みうる。マグネシウムの付加は多重チャンネルピペッターにより行うことができ、トレー当りわずか2−3分しか要しない。
正確な検定は、5分間隔でマグネシウムの添加により各トレーを開始し、20トレーの連続「飛行(flight)」として行う。各トレーでの反応は100分間行う。このファッションで、最初のトレーは、最後の(20番目の)トレーがマグネシウムの添加により開始した直後にその100分インキュベーションを完了する。反応は、乾燥のためにDE−81ペーパー上にドットすることにより停止する。別法として、より正確な反応の停止を多重チャンネルピペッターを用いることにより、ドッティング前に250mMピロリン酸塩中1mM冷dTTPの停止溶液を5μl/ウエル加えて達成できる。
実施例1
カクテル
各96ウエルトレーは4mlのRTカクテルを必要とする。以下に表示した必要物は20トレー検定行使用の80mlのカクテルを調製するための量を含む。全試薬はリボヌクレアーゼ活性を含まない清浄さを有する「分子生物学」グレードを購入しうる。カクテルを40μl量、ウエルに加える。次いで試料を5μl容量加え、最後に2価カチオンを5μl容量加える。表示される濃度は、50μlのこの最終運行容量に基づく。
カクテルの最終容量は80mlまで上り、それを0.22μ又は0.45フィルターを通過させる。完全なカクテルは巨大バッチ作ることができ、20トレイ実験について80mlアリコートで、又は単一トレイ実験について4mlアリコートで、−20℃にて凍結保存する。
ヌクレオチド
カクテルについての最終試薬は標識チミジン5'三リン酸(dTTP)で、これは3H標識(t1/2=12.3年)又は32P標識(t1/2=14.3年)しうるか又は免疫標識(例えばジコキシゲニン)しうる。トリチウム標識dTTPを用いる場合(例えばアマーシャムTRK.576)は、これを、保存のために凍結する前にカクテルに加えるのが便利である。
トリチウム32Pより小エネルギーアイソトープであり、そのためキャンベラーパッカード・マトリックス96は同量の32Pにより産生されたカウントの約1/5を検出し、それゆえより高い濃度のトリチウム標識ヌクレオチドは、低活性が予期される(例えばT細胞よりもむしろ感染マクロファージの場合)ある検定で要求されうる。この感受性の喪失のあるものは、32Pによるものの(5−10)約半分であるトリチウムによる非常に低い背景(0−5)によりとりもどされ、これは多分、ペーパーに残っているごく少量の未結合ヌクレオチドが、トリチウムを用いたときに有効に検出されないからである。
トリチウムは、幾つかのウエルが他のものよりずっと高い活性を有することが期待される場合、トリチウムは全ての「こぼれ(spill over)」活性を最小にするので、本当に好ましい。32Pからのより張力なβ−粒子は、ウエル間の約0.5%ないし1%の潜在クロストークを起こす96ウエルグリッドで、隣接箇所の検出器領域に渡ることができる。従って、特にランタニドによる強力な促進のセッティングで、トリチウムよりも32Pを用いると比較的わずかな利点がありうる。
ほとんどのシンチレーションカウンターに関連するキャンベラ・パッカード96−マトリックスにより達成される一般的な低背景カウントの理由から、他の技術により要求されるよりも少しの放射核種を使用することが可能である。背景カウントは機械から機械に変るが、トリチウム及び32Pについて、共に60−100のシンチレーションカウンター背景が普通である。32Pの2.5μCi/mlの最終濃度が全く適切である。アマーシャムは400Ci/mモルの活性及び10mCi/mlの濃度で25μlにて250μCiとして32P−dTTPを与える(PB10167)。この量は、使用前に80mlアリコートまで増すことができる。
トリチウムによるマトリックス96の低効率は全く超低背景によりなされる。それにもかかわらず、トリチウムは検定についての適当な感受性を確認するために5ないし10μCi/mlの濃度で用いることが必要であろう。
非放射活性標識の検定は、ヌクレアーゼフリーBSA又は非特異抗体でDE−81ペーパーに結合している非特異蛋白をブロックしたのち、ジゲトキシゲニン基本反応についてベーリンガー・マンハイムよりの製造者指示に従う。
開始及び停止溶液
反応を開始させるための2価カチオンは、金属塩化物を12mlの濾過0.05NHClに加えることにより10−50mM溶液として提供する。低ノイズの最適結果は10mMランタンで得られ、最高活性は10mMスカンジウムで得られる。最適「停止溶液」は12ml dH2O中、5mg dTTP(シグマT8635)及び1.1gピロリン酸塩(シグマS9515)として作る。これは正確な停止時間が必要な場合に、5μl量加えて反応を停止する。
洗浄溶液
洗浄用に、20XSSCを700gのNaCl(シグマS3014)及び250gのクエン酸三ナトリウム(シグマC8532)を3.5lのdH2Oに加え、最終容量を4lにすることにより調製できる。これは数百のプレートに十分な洗浄を与える。
検定プロトロール
1. DE−81のシート(48×57cm)を6つの断片(3つは24×15cmで、3つは32×15cm)にカットし、レーザープリンターによりシート上に96ウエルパターンをプリントする。シートは、シート当り3又は4の96ウエルグリッドパターンをプリントして用いる。使用の際に、個々の同定を検定の開始前に鉛筆で各グリッド上に記載すべきである。
2. 標識dTTPをカクテルに加え、次いで標識96ウエルトレイ(「組織培養処理」トレイを除く)に加え、40μl/ウエルの完全カクテルを与える。トレイは凍結し、β−遮蔽箱(シグマS4144又はノージン6740−1108)に貯蔵しうる。
3. 細胞フリー組織培養上清、清澄血漿、又は組換え酵素(ウエル当り1−5単位)をウエルに5μlアリコート加える。この工程は、試料が、96ウエル形式に組立てることができる細いミクロ試験管に蓄え、多重チャンネルピペッターによりカクテルに移すことができるならば、非常に簡単にできる。
4. トレイをインキュベーター内に置き37℃に上げる。40ラックの96ピペットチップが、20トレイ検定の実施に必要である。
5. 5分間隔で、トレイをインキュベーターから取り出し、多重チャンネルピペッターで5μlのカチオン溶液を各ウエルに加えることにより反応を開始する。カチオンの添加は、ピペッターに注意してポンピングすることにより良く混合することが重要である。トレイをインキュベーターに返し、次のトレイをカチオン添加のために取り出す。
6. 100分の最後で全20トレイは全て反応続行でインキュベーター内にあるべきである。最初のトレイは今やそのインキュベーションを終了し、ドットするためにインキュベーターから取り出すことができる。
7. 試料は、多重チャンネルピペッターを用いドット当り5μlの容量で適当なグリット位置にDE−81ペーパー上にドットする。ドットするためのアリコートを取り出す前にピペッターによる簡単な混合のための時間があろう。未結合のヌクレオチドの幾らかが付着することとなりうるので、この段階の間、ピペットチップでDE−81ペーパーを穿刺又は掻破するのを避けるために注意しなければならない。5μl容量で良好な精度でピペッターを用いることが重要である。BCL7000(ベーリンガー・マンハイム)は良好に荷動し、グリッドへのドットの容易な整列を確かにする厳格にピペットで計ったチップ(シグマP5161)を用いる。
8. 3又は4の96ウエルパターンの各シートは十分にドットされるので、ハンガーとして用いるために部分的に曲がっていないペーパークリップで一角を穿刺することにより乾燥するのを遅らせうる。
9. 全ての20プレートが完了し、全てのシートが乾燥すると、されらは大きなパイレックス皿で一緒に洗浄しうる。シートは、洗浄に先だち、シート当りそれぞれ2又は3グリッドを含むようカットしなければならない。洗浄工程は、全シートを一緒に洗浄しても非常に低い背景となるよう十分に能率的である。
10. 各洗浄には、20XSSCをdH2Oで1:10に希釈する。1lの得られる2XSSCを皿に注ぎ、DE−81シートを浸漬する。トレイを5分間緩やかに撹拌し、洗浄液を流し出す。これを4つの皿について繰り返す。回転ミキサー台を用いることができる。
11. 最後にそれぞれ1分間95−100%エタノールで2つの皿を実施することが必要である。もし水で湿っていると、使ったときDE−81ペーパーはちぎれるので、たとえシンチレーション溶液を用いないでもこの段階が必要である。しかしながら、エタノールで湿らせると、それは大きな湿潤力を有する。エタノールを注ぎ出したのち、シートは緩やかに浴から持ち上げて再び曲がっていないペーパークリップで吊して乾燥する。4つのグリップを伴うシートは非常に重いので、湿っているとちぎれることなく吊すことはできないであろう。そしてこれが、シートを洗浄する前にわずかに2又は3グリッドを含むようカットしなければならない理由である。
12. 完全に乾燥すると、各96ウエルパターンはキャンベラ・パッカード・マトリックス96機械で1分でカウントできる。検定の感受性は10μCi/mlの32P−dTTPを用いることにより、又、10μlの試料のアリコートを二倍にすることにより増加することができる。
実施例2
RT活性は種々のカチオンを用いて比較した。添付図面は、イオン半径の順に並べたカチオンによる、一価(Li)及び3価(Al、Sc、Lu、Y、Tb、Gd、Ce、La)カチオンによるHIV−1逆転写酵素活性を示す。検定はAl3+を150mM HEPES、pH7.3で行った外は、150mMトリス、pH8.2中2mM DTTにより34℃で行った。比較のために、種々の2価カチオンを、Cu2+を150mMトリス、pH7.5で行った外は、150mM HEPES、pH7.5中、DTTを存在させることなく0−4℃で行った。種々の完全緩衝液を75mM KCl、ポリ−rA5μg/ml、オリゴdT(12−18)5μg/ml、過酸化物フリーNP−40 0.05%及び[32P]dTTP 5μCi/mlを有する脱イオン、金属フリー水中で作った。種々のカクテルを100μl/ウエルの容量で96ウエルプレートに移し、次いでプレートを凍結した。金属溶液を0.1N HCl中250mMに調製し、次いで0.1N HCl中の一連の希釈液を作り、種々の最終濃度に種々の金属を含む96ウエルプレートを並べる。次いでRTカクテルプレートを解凍し、20μlのHIV感染細胞フリー上清を1組のプレートに加え、一方、コントロールの組は、同一の培養物及び媒体からの20μlの未感染細胞フリー上清を入れた。各完全緩衝液チャンネル用の内部コントロールウエルは、共に10単位の精製MoMuLV RT(ファルマシア)及び20μlの細胞フリー未感染上清を入れた。反応は、種々の金属カチオン希釈液及びMgCl2希釈液を8μl容量で、各緩衝液/DTT/温度条件でHIV、MoMuLV及びコントロールウエルに、適当な位置に、多重チャンネルピペッターを用い移入することにより開始した。反応開始後、2時間(34℃プレート)又は4時間(0−4℃プレート)でDE81ワットマンペーパー上の予め番号を付した配列位置への5μlドット移行を乾燥し、洗浄し、四角にカットし、5mlのシンチラント中、β−カウントした。図に示される結果について、各コントロールからの活性をその対応する検定ウエルについての値(MoMuLV内部コントロールには示さず)から引く。Cu、Co、Ni、Zn、Mn、Pd及びMgについての比較試験は、約1200に最大RT活性(Mnについて)を示した。他の結果はより低かった。
加えて、ゲルを実施し、大きさにより分けられた絞切り型のDNA長断片を示した。Mg、Mn、La、Lu、Y、Tb、Tb+Mg及びSc+Mgの比較で、ごくわずかな中断点があり、第3族元素のみによるチャンネル実施で、より長いDNA断片があった。
実施例3
検定を実施し、70℃でTaqポリメラーゼの進歩増強を示した。一方、Mgはc.160の平均トリチウムカウントを示し、Co、Cu、Ni、Mn及びLaについての対応カウントは低く、Sc、Ce、Nd及びYについては、それぞれ約470、440、260及び180であった。
実施例4
検定を実施し、AMV及びHIV逆転写酵素について、種々の第3族、2価及び遷移金属イオンを用い進歩効果を示した。各酵素は、以下の表に示すように特徴的パターンの効果を示した。
Claims (12)
- ランタニウムまたはスカンジウムイオンを含むことを特徴とする、核酸ポリメラーゼ活性増幅用剤。
- さらにヌクレアーゼ活性を阻害するためのものである、請求項1の剤。
- 増幅が、Mg又はMnの存在下の活性の2倍以上である、請求項1または2の剤。
- イオンがスカンジウムイオンである請求項1ないし3のいずれかの剤。
- イオンがランタンイオンである請求項1ないし3のいずれかの剤。
- ポリメラーゼがDNAポリメラーゼである請求項1ないし5のいずれかの剤。
- ポリメラーゼがAMV逆転写酵素である請求項1ないし5のいずれかの剤。
- ポリメラーゼがHIV逆転写酵素である請求項1ないし5のいずれかの剤。
- ポリメラーゼ又はそれについての鋳型を含むことが予想される試料を、インビトロで検定するための、請求項1ないし8のいずれかの剤。
- 血液試料中のAIDSを検出するための請求項9の剤。
- 容器が、核酸ポリメラーゼ及び鋳型、緩衝液、並びにスカンジウムまたはランタンイオンを提供する化合物を含む、一緒に包装された2または3個以上の容器のキット。
- ポリメラーゼが、請求項6ないし8のいずれかで定義されるものである、請求項11のキット。
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