JP3541497B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は医療診断に用いる超音波診断装置に関し、特に不均一媒質の影響を除去するために、探触子による受波信号の遅延時間分布を変更する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、探触子を構成する複数の配列素子による受波信号に遅延時間分布を与え、所定の方向に指向性を持つ超音波ビームを形成して被検体の断層像を得る。しかし、人体は不均一媒質であるため、高分解能の超音波ビームを形成するには、被検体にあわせて遅延時間分布を変化させる必要がある。
【0003】
これを図2で説明する。図2において21〜25は探触子の素子(e1〜e5)、61は反射体である。簡単のため受信のみで考えると、媒質が音速既知で均一ならば反射体61からの反射パルス波面は、理想的な波面62として素子21〜25(e1〜e5)に到達する。このとき、反射体61と素子21〜25(e1〜e5)の位置関係により素子23(e3)には最も早く、素子21(e1)、25(e5)には最も遅くパルスが到達する。そのため全てのパルスの到達時間をあわせるために、素子22、23、24(e2、e3、e4)が受信するパルスに適当な遅延を与える。これにより全パルスの到達時間をあわせた後、加算することにより、目的方向からの受信パルスのみを増幅し高分解能の断層像を形成する。音速既知の均一媒質ならば与えるべき遅延は解析的に求めることができる。
【0004】
素子21〜25(e1〜e5)と反射体61との距離をLi(1≦i≦5)、超音波診断装置の設定音速をc、素子21〜25(e1〜e5)の受波信号に与える遅延時間をτi(1≦i≦5)、Li(1≦i≦5)の中の最大値をLmaxとおけば、
τi=(Lmax−Li)/c …(数1)
である。しかし、実際には素子21〜25(e1〜e5)と反射体61との間に、不均一媒質64が存在するためにパルス波面は歪みを有する波面63になるので、各素子の受波信号に与える遅延時間を変化させなければならない。
【0005】
IEEE Transactions on Ultrasonics、Ferroelectrics、and Frequency Control、Vol.35、No.6、pp.758−767(1988年発行)では、超音波ビーム走査方向のみに素子分割された探触子を用いて、各素子受波信号の実相関演算により上記の歪みを有する波面を補正している。
【0006】
日本超音波医学会第58回研究発表会講演論文集、pp859−860(1991年発行)では、超音波ビーム走査方向のみに素子分割された探触子を用いて、各素子受波信号の高周波成分を除去した後、低周波成分の複素相関演算により上記の歪みを有する波面を補正している。
【0007】
日本超音波医学会第59回研究発表会講演論文集、pp253−254(1991年発行)、ならびにIEEE Transactions on Ultrasonics、Ferroelectrics、and FrequencyControl、Vol.41、No.5、pp.631−643(1994年発行)では、超音波ビーム走査方向、超音波ビーム走査方向に直交する方向の両者に素子分割された探触子を用いて歪みを有する波面の補正を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
IEEE Transactions on Ultrasonics、Ferroelectrics、and Frequency Control、Vol.35、No.6、pp.758−767(1988年発行)、ならびに日本超音波医学会第58回研究発表会講演論文集、pp859−860(1991年発行)では、撮像物体と探触子の間に超音波ビーム走査方向のみに不均一なシリコンゴムを挿入し故意に断層像を劣化させている。しかし、生体内での媒質の不均一は、超音波ビーム走査方向と超音波ビーム走査方向に直交する方向に分布しており、1方向のみでの不均一なシリコンゴムの挿入は、生体内での媒質の不均一を模擬するには不十分と考えられる。
【0009】
日本超音波医学会第59回研究発表会講演論文集、pp253−254(1991年発行)では、シリコンゴムを挿入しない断層像の画質改善を試みているが成功していない。その解決策として超音波ビーム走査方向と超音波ビーム走査方向に直交する方向に分割された探触子を用いた生体内での媒質の不均一の2方向での補正を提案し、相関演算の対象となる信号を受波した単一素子の幾何学的な重心位置の間の距離が、超音波ビーム走査方向に直交する方向に3mm以下であれば十分な補正が可能であるとしている。しかし、超音波ビーム走査方向の、相関演算の対象となる信号を受波した単一素子の幾何学的な重心位置の間の距離の最適化に関する記述は何もない。また、超音波ビーム走査方向に直交する方向の、相関演算の対象となる信号を受波した単一素子の幾何学的な重心位置の間の距離、3mmは、生体内での媒質の不均一の十分な補正には大きすぎると考えられる。
【0010】
IEEE Transactions on Ultrasonics、Ferroelectrics、and Frequency Control、Vol.41、No.5、pp.631−643(1994年発行)では、超音波ビーム走査方向と超音波ビーム走査方向に直交する方向の全素子間で相関演算を行い、歪み波面の補正を行っており、莫大な個数の相関器を必要としている。
【0011】
本発明の目的は、探触子が超音波ビーム走査方向と超音波ビーム走査方向に直交する方向に分割され、生体内での媒質の不均一の2方向における補正を相関演算により行う超音波診断装置において、相関演算の対象となる信号数を超音波ビーム走査方向、超音波ビーム走査方向に直交する方向の両者で最適化し、小さい回路規模の相関演算部により、生体内での媒質の不均一の補正を十分に行なう、超音波診断装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波診断装置は、被検体内に超音波パルスビームを送受信する複数の素子が、超音波パルスビームの走査方向とこの走査方向と直交する方向の2方向に配列されてなる探触子と、各素子で得る受波信号に遅延を与える第1の遅延部と、第1の遅延部の複数の出力信号を加算して、複数の加算信号を出力する第1の加算部と、第1の加算部の出力信号の間の相関演算を行う相関演算部と、加算信号に遅延を与える第2の遅延部と、第2の遅延部の出力信号を加算する第2の加算部とを有し、第2の遅延部の与える遅延が、相関演算部の演算結果に基づいて決定される超音波診断装置において、第1の加算部が出力する加算信号のそれぞれは、互いに等しい数の素子からなる素子群を構成する各素子で得る受波信号の和であり、走査方向で隣接する素子群の幾何学的な重心位置の間の距離のそれぞれと、走査方向に直交する方向で隣接する素子群の幾何学的な重心位置の間の距離のそれぞれと、がそれぞれ等しい距離であることに特徴を有し、さらに、走査方向、および走査方向と直交する方向で隣接する素子群の幾何学的な重心位置の間の距離が、1mm以上、2mm以下であり、走査方向に直交する方向の素子幅が、走査方向に直交する方向で隣接する素子群の、幾何学的な重心位置の間の距離に等しいことにも特徴がある。
【0013】
【作用】
上記の特徴により、超音波ビーム走査方向と超音波ビーム走査方向に直交する方向で生体内での媒質の不均一の補正を行う超音波診断装置において、相関演算を行なう信号数を超音波ビーム走査方向、超音波ビーム走査方向に直交する方向の両者で最適化し、小さい回路規模の相関演算部で生体内での媒質の不均一の補正が十分にできる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施例における超音波診断装置の構成を示す図である。図1において、1は探触子、2は第1の遅延部、3は第1の加算部、4は第2の遅延部、5は相関演算部、6は第2の加算部である。なお、実際の超音波診断装置では、表示部、増幅部、検波部等があるが、説明を簡単にするために省略してある。
【0016】
探触子1を構成する素子の数は、超音波ビーム走査方向にNa個、超音波ビーム走査方向に直交する方向にMa個であるとする。以下の説明では、超音波ビーム走査方向をX方向、超音波ビーム走査方向に直交する方向をY方向と呼ぶ。
【0017】
探触子1から、被検体内に超音波パルスを送信して、被検体内からの反射信号を各素子で受信する。第1の遅延部2は、被検体が音速既知の均一媒質であると仮定して、解析的に求められる初期遅延時間分布を各素子によって得る受信信号に付与する。以下の説明では、この初期遅延時間分布をフォーカス用遅延時間分布と呼ぶ。第1の遅延部2の出力信号の数は各素子による受信信号の数に等しく、Na×Maである。
【0018】
次に、第1の加算部3では、第1の遅延部2の出力信号を複数本まとめて加算し、相関演算の対象となる加算信号を相関演算部5に出力する。X方向で加算され得られた信号の数をNb、Y方向で加算され得られた信号の数をMbとると、第1の加算部3の出力信号の数は、Nb×Mbに減少する。
【0019】
本発明では、上記のようにして加算して得る信号のそれぞれは、いずれも、互いに等しい数の素子により受信された受波信号の和であり、これらの互いに等しい数の素子の群において、X方向で互いに隣接する素子群のそれぞれの幾何学的な重心位置の間の距離と、Y方向で互いに隣接する素子群のそれぞれの幾何学的な重心位置の間の距離と、がいずれも等しい距離を有しており、その距離は、1mm以上、2mm以下の範囲にある。
【0020】
図3は、図1に示す探触子1の超音波パルス送受信面を模擬的に表す。図3では、簡単のためNa=4、Ma=4とし、探触子1は2方向に配置される16個の素子E1〜E16からなり、各素子のX、Y両方向における大きさは0.75mmである。相関演算の対象となる加算された信号を求めるときに用いる、受波信号を得る素子の群は、(E1、E2、E3、E4)、(E5、E6、E7、E8)、(E9、E10、E11、E12)、(E13、E14、E15、E16)の4群である。これら各群の幾何学的な重心位置を、G1〜G4で示している。
【0021】
第1の加算部3では、上記の4群のそれぞれを構成する4素子で得る受信信号を加算して、加算され得る4個の信号(加算信号)を相関演算5に出力する。第1の加算部3の出力の数は、Nb=2、Mb=2となる。これらの加算信号はいずれも4素子からの受波信号の和であり、上記の4群において、隣接する素子群のX方向での幾何学的な重心位置の間の距離と、隣接する素子群のY方向での幾何学的な重心位置の間の距離は、いずれも1.5mmで等しい。即ち、G1とG3との間の距離、G2とG4との間の距離、G1とG2との間の距離、G3とG4との間の距離、はいずれも1.5mmで等しい。
【0022】
被検体が音速未知の不均一媒質である場合には、第1の遅延部2で与えたフォーカス用遅延時間分布のみでは、各素子で受信する受信信号の到達時間をそろえることができない。そこで、相関演算部5において、それぞれの加算信号間の時間差を検出し、第2の遅延部4において、第1の遅延部2で与えた遅延時間に追加する遅延時間として上記の検出された時間差を、各加算信号に与える。この結果、生体内での媒質の不均一から生じた各素子による受信信号の到達時間のばらつきが補正される。第2の遅延部4の出力信号のそれぞれが、第2の加算部6で加算され、目的方向に指向性を持つ超音波ビームが形成される。
【0023】
本発明では、第1の加算部3で複数の素子で得る受信信号を加算し、相関演算の対象となる信号の数を減少させるので、相関演算部5の回路規模が大幅に縮小できる。これを図4で説明する。図4で、7は加算信号間の時間差を検出する相関器、A1〜A4は、第1の加算部3で得た加算信号である。A1とA2との間、A1とA3との間、A3とA4との間、での時間差を相関器7で検出する。図4に示すように、相関演算部5に必要な相関器の数は、Nb×Mb−1=3個ですむ。
【0024】
図5に、第1の加算部3において複数の素子からの受信信号の和を求めず、第1の遅延部2の出力に対して、直接に相関演算を行う場合の相関器の接続を示す。図5において、素子E1〜E16は、図3に示す素子E1〜E16に対応しており、例えば、素子E1とE2とにより得る受信信号の間での時間差を、相関器7で検出する。図3に示す構成の探触子1の各素子によって得る受信信号を処理するに必要な相関器7の数は、図5に示すようにNa×Ma−1=15個である。即ち、図4の構成では、相関器7の数は、図5の構成で必要とする相関器7の数の1/5ですむ。
【0025】
ここで、生体内での媒質の不均一の補正の精度について考える。図3に示す探触子1では、補正の対象となる各素子による受信信号の数は、Na×Ma=16である。図4に示す相関器の接続で求められる時間差は3個であるから、16個の各素子による受信信号を、3個の時間差で補正することになる。しかし、図5に示す相関器の接続では、求められる時間差は15個であり、16個の各素子による受信信号を、15個の時間差で補正できる。従って、理論的には、図4の構成での時間差の補正の精度は、図5の構成での時間差の補正の精度より悪くなる。 即ち、回路を製作する観点からは、相関演算の対象となる信号の数は少ない方がコスト、装置構成が単純となるので望ましく、時間差の補正の精度を保持する観点からは、相関演算の対象となる信号の数は多い方が望ましいという、相反す側面がある。
【0026】
図1に示す装置構成では、相関演算の対象となる信号の数をX方向、Y方向の両者で最適化することにより、回路規模が小さく、各素子による受信信号の到達時刻の時間差の補正の精度が良好である。その理由を計算機シミュレーションに基づく計算結果を引用して説明する。
【0027】
計算機シミュレーションでは、超音波の周波数を3.5MHz、探触子のサイズを、X方向で14.08mm、Y方向で14.08mmとした。このサイズは、一般に市販されている超音波診断装置の代表的な探触子の仕様に相当する。ここで、被検体を走査したときにグレーティングローブと呼ばれる虚像が出現しないためには、超音波ビーム走査方向での素子幅は、λを超音波の波長として、λ/2以下でなければならない。周波数3.5MHzでは、λ=0.44mmであるから、シミュレーションでは、X方向での素子数を64とした。
【0028】
生体内での媒質の不均一は、探触子の直前での超音波パルスの時間移動面によりモデル化する。時間移動面は、探触子に到達した超音波パルスを時間軸上で正負方向に移動させ、解析的に求められる超音波パルスの到達時間に対し歪みを与える。生体試料における時間移動面の実測値が、Ultrasonic Imaging 14、pp.398−414に記述されており、実測された時間移動面は、最大移動時間が130±34nsec、移動時間のrms(root mean square)値が55±14nsec、移動時間の自己相関関数の半値幅が4.2±1.1mmである。計算機シミュレーションでは、上記の値を参考にし、時間移動面をランダムに発生させた。計算機上で発生した時間移動面は、最大移動時間が143nsec、移動時間のrms値が55nsec、移動時間の自己相関関数半値幅が4.4mmである。
【0029】
探触子の中心前方100mmに位置する点反射体に対し、探触子から超音波パルスを送受信し、受信信号の相関演算により時間移動面を推定した。推定誤差から、生体内での媒質の不均一補正後の超音波ビームを導き、探触子の中心前方50mmに中心が配置される直径10mmの球(球の内部には反射体が存在せず、球の外部には点反射体がランダムに一様分布している。)を、超音波ビームにより走査し画像化した。
【0030】
再構成された画像において、球の外部での画像信号のrms値と、球内部の画像信号のrms値との比を求め、断層像におけるS/Nを定義した。断層像のS/Nが大きいほど、球の抜けが良く、球の外部と内部とのコントラストが大きく、球が明確に識別され、高分解能であると判断する。Y方向での素子数を64、32、16、8、4、2、1と変化させて、球の画像を再構成して、断層像のS/Nを求めた。なお、ここでは第1の加算部3は、各素子からの受波信号を加算せずに、そのまま第2の遅延部4ならびに相関演算部5に出力した。従って、使用する相関器の個数は、64×(Y方向での素子数)−1である。なお、第1の遅延部2のフォーカス用遅延時間分布は、X、Yの両方向でλ/2の間隔で与える必要があるため、Y方向での素子数が、32以下である場合には、探触子1のY方向には音響レンズを装着し、フォーカス用遅延時間分布を与えるものとした。
【0031】
時間移動面が存在しない場合の断層像のS/Nは、30.1dB、時間移動面が存在し補正を行わない場合の断層像のS/Nは、16.5dBであった。Y方向での素子数が64、32、16、8、4、2、1である場合に対し、断層像のS/Nは、それぞれ31.3dB、31.3dB、31.0dB、28.0dB、24.3dB、21.1dB、19.8dBであった。図6に、Y方向での素子数に対する断層像のS/Nの結果をグラフにより示す。
【0032】
図6に示す結果から、Y方向での素子数が16以上の場合には、断層像のS/Nは一定であり、時間移動面が存在しない場合とほぼ等しく、Y方向での素子数が8以下では、断層像のS/Nが減少し始める。このことから、補正が十分に行え、かつ相関演算部の回路規模を小さくできるようなY方向での素子数は、8または16といえる。Y方向での素子数を64としても、第1の加算部2において、各素子の受波信号をY方向に加算することにより、相関器の個数を減少させることができる。しかし、Y方向での素子数が多い場合には、探触子自体の製造が非常に困難である上、仮に探触子1が製造できても、第1の遅延部2の回路規模が膨大になる。X、Yの両方向に64素子を有する探触子は、この10年以内には実現が不可能と考えられている。従って、Y方向での素子数は極力少なくすることが望ましい。
【0033】
以上の説明では、第1の加算部3では、各素子による受信信号の加算を行っていないので、加算信号は受信信号に等しく、加算信号を求めるときに用いた受信信号を得る素子群は、それぞれ単一の素子からなり、各素子群の重心位置の間の距離は、それぞれ単一素子の幅となるので、X方向で隣接する素子群の重心位置の間の距離は、0.22mm、Y方向で隣接する素子群の重心位置の間の距離は、Y方向での素子数が8のとき1.76mm、Y方向での素子数が16のとき0.88mmである。
【0034】
本発明では、加算信号を求めるときに用いた受信信号を得る素子群において、X方向で隣接する素子群の重心位置の間の距離と、Y方向で隣接する素子群の重心位置の間の距離とが、それぞれ等しい値である。次に、第1の加算部3でX方向において、各素子による受信信号を加算する計算機シミュレーションを行う。Y方向での素子数が8のときは8素子に関する受信信号を、Y方向での素子数が16のときは4素子に関する受信信号を、それぞれX方向で加算し、隣接する素子群の重心位置の間の距離を、X方向とY方向で等しくした。加算された信号の間で相関演算を行ない、時間移動面を推定し、補正された超音波ビームにより、上記の球の断層像を再構成した。
【0035】
X、Yの両方向の重心位置の間の距離が1.76mmのとき(63個の相関器を使用して)、断層像のS/Nは26.0dBであり、X方向の重心位置の間の距離が0.22mm、Y方向の重心位置の間の距離が1.76mmのときに(511個の相関器を使用して)、得た断層像のS/Nとほぼ等しい。X、Yの両方向の重心位置の間の距離が0.88mmのときは(255個の相関器を使用して)、断層像のS/Nは30.9dBであり、X方向の重心位置の間の距離0.22mm、Y方向の重心位置の間の距離0.88mmのときに(1023個の相関器を使用して)、得た層像のS/Nとほぼ等しい。
【0036】
つまり、断層像のS/Nは、隣接する素子群の重心位置の間のX方向での距離、Y方向での距離の大きい方の距離に支配されるため、Y方向での素子数が少なく、重心位置の間の距離がY方向に大きい場合は、X方向において各素子の受信信号を加算し、相関器の数を減らしても、補正の精度に影響を及ぼさないことがわかる。
【0037】
Y方向での素子数を8とし、第1の加算部3においてX方向に8個の素子の受信信号を加算し、補正を行った場合には、断層像のS/Nは26.0dBであり、使用した相関器の個数は63個であった。一方、第1の加算部3において、各素子の受信信号の加算を行わない場合、Y方向での素子数1個のときに使用する相関器の個数が63個であり、補正後の断層像のS/Nは19.8dBであった。
【0038】
つまりX、Yの両方向に相関演算の対象となる各素子による受信信号の数を最適化することにより、同じ相関器の個数の使用で、断層像S/Nが6dB以上向上している。以上のように、本発明が有効であることは、計算機シミュレーションにより明確に示された。
【0039】
ここで、補正を十分に行なうのに必要な、隣接する素子群の重心位置の間の距離を、時間移動面の最大空間周波数と関連づけて考察する。上記で説明した計算機シミュレーションに用いた時間移動面の最大空間周波数は、0.142(1(ライン)/mm)であった。X、及びY方向での、素子群の重心位置の間の距離が1.76mmである場合には、相関演算の対象となる受信信号の、探触子上でのサンプリング周波数が、0.568(1(ライン)/mm)であると考えることができる。つまり、補正に用いる受信信号の探触子上でのサンプリング周波数が、時間移動面の最大空間周波数の4倍である。
【0040】
同様にして、X、及びY方向での素子群の重心位置の間の距離が0.88mmである場合には、補正に用いる受信信号の探触子上でのサンプリング周波数が時間移動面の最大空間周波数の8倍である。
【0041】
結論として、補正に用いる受信信号の探触子上でのサンプリング周波数がX、及びY両方向で等しく、サンプリング周波数が時間移動面の最大空間周波数の4倍以上、8倍以下とすれば、小さい回路規模で補正を十分に行うことができる。なお、以上の実施例で説明した相関演算は、受波信号の実相関演算であっても、複素相関演算であっても、構わないことはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明によれば、超音波の走査方向と超音波の走査方向に直交する方向の2方向において、生体内での媒質の不均一を補正する超音波診断装置において、補正演算の対象となる受信信号の数を、超音波の走査方向と超音波の走査方向に直交する方向の2方向で最適化することにより、2方向での生体内での媒質の不均一補正を、小さい回路規模で十分に行なうことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である超音波診断装置の構成を示す図。
【図2】生体が、均一である場合と、不均一である場合の反射パルス波面を表す図。
【図3】本発明の実施例における探触子の超音波の送受信面を表す図。
【図4】本発明の実施例において、受波信号を加算し、加算された信号の間の相関演算を行う相関器の接続を示す図。
【図5】本発明の実施例において、受波信号に対し直接に相関演算を行う相関器の接続を示す図。
【図6】超音波の走査方向に直交する方向の素子数を変化させ撮像した球の断層像における断層像のS/Nを表す図。
【符号の説明】
1…探触子、2…第1の遅延部、3…第1の加算部、4…第2の遅延部、5…相関演算部、6…第2の加算部、7…相関器、21〜25…探触子の素子、61…反射体、62…理想的な反射パルス波面、63…歪みを有する反射パルス波面、64…不均一媒質、E1〜E36…探触子の素子、G1〜G4…素子群の幾何学的な重心位置、A1〜A4…加算された信号。

Claims (3)

  1. 被検体内に超音波パルスビームを送受信する複数の素子が、前記超音波パルスビームの走査方向と該走査方向と直交する方向の2方向に配列されてなる探触子と、前記各素子で得る受波信号に遅延を与える第1の遅延部と、該第1の遅延部の複数の出力信号を加算して、複数の加算信号を出力する第1の加算部と、該第1の加算部の出力信号の間の相関演算を行う相関演算部と、前記加算信号に遅延を与える第2の遅延部と、該第2の遅延部の出力信号を加算する第2の加算部とを有し、前記第2の遅延部の与える遅延が、前記相関演算部の演算結果に基づいて決定される超音波診断装置において、前記第1の加算部が出力する加算信号のそれぞれは、互いに等しい数の前記素子からなる素子群を構成する前記各素子で得る前記受波信号の和であり、前記走査方向で隣接する前記素子群の幾何学的な重心位置の間の距離のそれぞれと、前記走査方向に直交する方向で隣接する前記素子群の幾何学的な重心位置の間の距離のそれぞれと、がそれぞれ等しい距離であることを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記走査方向、および前記走査方向と直交する方向で隣接する前記素子群の幾何学的な重心位置の間の距離が、1mm以上、2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記素子の、前記走査方向に直交する方向の素子幅が、前記走査方向に直交する方向で隣接する前記素子群の、幾何学的な重心位置の間の距離に等しいことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
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