JP3541368B2 - 型取りシェル材料 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線科等において治療などの目的で患部を固定するための型取りシェル材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線治療においては、正常な組織細胞に対する照射量をできるだけ少くしながら、腫瘍等の病巣に対して大容量の放射線を照射するのが効率的であり、その為には、少ない線量の放射線を多方向から病巣に向けて、高精度に照射する必要がある。
高精度に放射線を照射する為には、患部を確実に固定し放射線による照射方向を計画どおりに正しく変更して行く必要があり、特に脳内の病巣に対する治療においては、照射に当って常に頭部を定位置に保つことが要求されている。
【0003】
このように定位置を保つために、頭部を固定するための顔面及び頭部に適合する型取りシェルが用いられている。
こうした型取りシェル材料として、出願人はポリカプロラクトンで形成したシ−ト材を提供し、多大の効率を上げてきた。このシ−ト材は常温では固形状であるが加温時には軟化し、伸びも大きいので印象性に優れているが、バックストレッチに乏しいため、使用に当って熟練を要する点があった。
また、これらの点を改良するために、トランスイソプレンのようなゴム系のシート材を使用することも提案されているが、使用に当たっての操作性は良いもののゴム弾性によって十分な印象性を得ることができず、未だ充分なものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、型取りシェル材料として十分な印象性を有すると共に、採型時の操作性を良くして、簡便かつ確実に型取りシェルを作ることができるものを得ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加温時において、軟化し、伸長性も大きくなり、伸長後の復元性は低いもので、常温(23℃)においては固形状となって充分な強度を有するシ−トであって、そのシ−トの周縁の少くとも3割から全周縁に、上記加温時において軟化して上記シ−トに対して相対的に伸び難くて復元性が高くかつ常温においては固形状で充分な強度を有するような周縁区帯を形成するものである。
この型取りシェル材料の中央部は加温時において上記の如く伸長性が大きくて良好な印象性を発揮し、その周縁区帯は中央部に対して相対的に伸び難く、復元性も高いので、周縁区帯を持っても伸び過ぎることがなく、全体として型取り操作を容易に行うことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
型取りシェル材料を形成するシ−ト1には、約50〜70℃程度に加温すると軟化し、大きく伸長することができる低融点熱可塑性材料を使用することができる。
こうした低融点熱可塑性材料には、分子量が約5〜10万程度の脂肪族ポリエステルがあり、例えばポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリカプロラクトン、ポリエチレンスベレ−ト、ポリエチレンセバケ−ト、ポリテトラメチレンアジペ−ト、ポリテトラメチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンサクシネ−ト、ポリヘキサメチレンオキサレ−ト、ポリヘキサメチレンピメレ−ト、ポリヘキサメチレンスベレ−ト、ポリヘキサメチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンアゼレ−ト、ポリオクタメチレンオキサレ−ト、ポリオクタメチレンサクシネ−ト、ポリオクタメチレングルタレ−ト、ポリオクタメチレンアジペ−ト、ポリオクタメチレンピメレ−ト、ポリオクタメチレンスベレ−ト、ポリオクタメチレンアゼレ−ト、ポリオクタメチレンセバケ−ト、ポリエイコサメチレンオキサレ−ト、ポリエイコサメチレンマロネ−ト、ポリエイコサメチレンサクシネ−ト、ポリエイコサメチレングルタレ−ト、ポリエイコサメチレンアジペ−ト、ポリエイコサメチレンピメレ−ト、ポリエイコサメチレンスベレ−ト、ポリエイコサメチレンアゼレ−ト、ポリエイコサメチレンセバケ−ト、ポリ2.2 ジメチルトリメチレンマロネ−ト、ポリ2.2 ジメチルトリメチレンサクシネ−ト、ポリデカメチレンオキサレ−ト、ポリデカメチレンサクシネ−ト、ポリデカメチレングルタレ−ト、ポリデカメチレンアジペ−ト、ポリデカメチレンピメレ−ト、ポリデカメチレンアゼレ−ト、ポリデカメチレンスベレ−ト、ポリデカメチレンセバケ−トなどがある。
【0007】
このシ−ト1は、加温時の伸長後においても殆んど復元性が見られないもので、後記するように幅25mm×長さ100mmのものを加温後に長さ150mmに伸長し、室温下での収縮性が約10%程度以下、好ましくは約8%程度以下であって、顔面、頭部等の形状に沿うようなモデリング性、印象性は良好である。
【0008】
上記シ−ト1の周縁部に形成する周縁区帯2は、上記加温時には軟化するが、中央部3に比べて伸び難くて復元性の高いものであり、上記シ−ト材料と同様に伸長した後の収縮率が約50〜100%程度になるものが好ましく、伸びても縮む性質があるので保形性に富んでおり、シ−ト材料の周縁部を規制しているので、この区帯を持っての採型操作が容易にできる。
【0009】
この周縁区帯は、上記カプロラクトン等のシ−ト1の周縁にX線、γ線、電子線などの活性エネルギ−を照射して架橋することによって得ることができ、照射量を変えることによって架橋の程度を変化させることができる。上記活性エネルギ−を照射する場合、上記周縁部を除く部分を鉛、鉄、アルミニウム、チタン、セラミック、テフロン、シリコンなどで覆うようにして行うと操作し易い。
【0010】
他の方法としては、上記シ−ト1の周縁を熱や溶剤で溶かし、ウレタンフイルム、メルトブロ−不織布、スパンレ−ス不織布、伸縮性織物、伸縮性編物などをその周縁部に接着したり、接着剤を使用して貼付けたりすることによって周縁区帯を形成することができる。また、上記活性エネルギ−の照射による架橋化と併用することもできる。
【0011】
この型取りシェル材料4は、図1に示すように顔面、頭部用には、約30×50cm程度の長方形状のシ−ト1に、その周縁の4辺に幅が約1〜10cm程度、好ましくは約3〜5cm程度の周縁区帯2を形成するようにするとよい。また、この周縁区帯は周縁の3辺に設けたり(図2)、対向する2辺に設けたりすることができるし(図3)、シ−トの周縁に周縁区帯が一定間隔を置いて不連続状に現われるように設けることもできる(図4)。これらの場合、周縁区帯2が周縁の3割以上を占めるようにすると好ましい。
また、このシェル材料は、使用部位に応じて、適宜大きさとすることができるもので、その形状も上記長方形のものに限らず、正方形、円形、楕円形、多角形その他の所望の形状にすることができる。
【0012】
この型取りシェル材料を使用する場合、50〜70℃程度の温湯に浸けたり、ホットプレ−トの上に置いて加温して軟化させる。軟化したらその周縁区帯2を持つようにすれば自重によってシェル材料4が伸び切ることもないので、これを使用したい顔面、頭部などの患部に拡げた状態で載せる。顔面に使用するものでは、シェル材料4の中央部3に鼻と口に対応するような孔5、6を予め設けておき、これを鼻と口に適応させるようにして使用するとよい。上記シェル材料4を顔面に適用するときは、上記の周縁区帯2を持って顔の上に載せて顎から額の部分を採形すると、中央部3はよく伸長し復元性も低いので患部の凹凸形状に沿って密着するようになる。このとき周縁区帯2は復元性があるので、材料の周縁部が伸びきってしまうようなことはなく、更に患部全体の形状に沿ってピッタリとしたものとなる(図5)。
【0013】
上記成形を行う時間の経過と共に、シェル材料の温度も下がり、軟化していたものが次第に硬化し、定形を保つことができるようになるので、患部から取外し(図6)、周縁の不用な部分を切り除くと、所望の型取りシェル9を得ることができる。
この型取りシェルには、適宜この放射線治療計画に沿って放射線を通過させる開口7を設けたり、補助具8を取付けたり、中心軸などのマ−ク付けをしたりする(図7)。
【0014】
治療に当っては、この型取りシェル9を患部にかぶせ、このシェルを使って治療台10に患部を固定11すれば、何時でも定位置を確保することができので、時間を置き、角度を変えながら行われる放射線の照射を正確に行うことができる(図8)。
また、このシェル材料は上記した放射線科以外にも、整形外科用やリハビリテ−ション科用の四肢、体幹の固定等に用いることができる。
【0015】
【実施例】
(例1)
30cm×50cm×3mmのポリカプロラクトンのシート(商品名:サ−モシェル、アルケア(株)製)に、20cm×40cm×5cmの鉛板を中心を合わせるように重ねて置き、100KV電子線照射装置によって10Mrad照射し、ポリカプロラクトンシートの周縁が幅5cmにわたって架橋された周縁区帯を有するシェル材料を得た。
このシェル材料を65℃のお湯に漬けて軟化させ、顔面に適用したところ、未架橋の中央部はフィット性がよく、周縁区帯は過度の伸長がなくフレ−ムとしての機能を十分に果たし、操作性が良かった。
【0016】
(例2)
30cm×50cm×3mmのポリカプロラクトンに直径5mmの孔を横1.5cm間隔、縦2.25cm間隔の千鳥状に設けたシート(商品名;サ−モシェル・穴あき、アルケア(株)製)に、上記例1と同様にして電子線を照射し、周縁区帯を有するシェル材料を得た。
このものも、例1と同様に顔面に対するフィット性と、操作性に優れたものであった。
【0017】
(例3)
30cm×50cm×3mmのポリカプロラクトンシート(同上)に、30cm×50cm×15μのウレタンフイルム(セイコ−化成(株)製のウレタンフイルム、引っ張り応力 2.5×106〜 2.9×106Pa)の中心を20cm×40cmの大きさに切り除いて額縁状にしたものをスプレ−接着剤で貼り合わせて周縁区帯を形成した。このものを、例1と同様にして顔面に適用したところ、シェル材料が自重で伸びるようなこともなく、フィット性も操作性も良好であった。
【0018】
(例4)
30cm×40cm×3mmのポリカプロラクトン(同上)の30cmの対向する2辺に、各々5cm×30cm×3mmのトランスイソプレンシ−トを突合わせて熱溶融で接着し、30cm×50cm×3mmのシェル材料を得た。
このものを例1と同様にして顔面に適用したところ、中央部はフィット性が良好で、両側のトランスイソプレン製の周縁区帯は柔軟であるが伸び過ぎず操作性が良好であった。
【0019】
(試験)
上記例1〜例4に記載したシェル材料の中央部と周縁区帯について軟化伸長後の収縮率を測定した。
比較例として、厚さ3mmのポリカプロラクトンシートを用いた。
(測定方法)
(1) 例1〜例4及び比較例について、各々幅25mm×長さ100mmの検体を作成した。
(2) 65℃のホットプレ−トの上に検体を載せ、10分間加温して軟化させた。
(3) 軟化した検体を剥離紙の上に移し、長さを150mmに伸長した。
(4) その後、常温(23℃)下に10分間放置した。
(5) 硬化した検体の長さを測定した。
(6) 収縮率を下式により求めた。
[(150mm−検体測定長)/ 150−100 mm] × 100(%)
(結果)
結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
(考察)
例1〜例4のものではシェル材料の中心部は軟化伸長後の収縮率が低くて復元性に乏しいのに対して、周縁区帯では収縮率が高くて復元性に富んでいることが判り、シェル材料として操作性に優れていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す平面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の他例の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明のシェル材料を顔面部に使用した工程を示す説明図である。
【図6】図5の次の工程を示す説明図である。
【図7】図6の工程を経て完成した型取りシェルの説明図である。
【図8】図7の型取りシェルを使用した治療の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シ−ト 2 周縁区帯
3 中央部 4 型取りシェル材料
5、6 孔 7 開口
8 補助具 9 型取りシェル
10 治療台
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線科等において治療などの目的で患部を固定するための型取りシェル材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線治療においては、正常な組織細胞に対する照射量をできるだけ少くしながら、腫瘍等の病巣に対して大容量の放射線を照射するのが効率的であり、その為には、少ない線量の放射線を多方向から病巣に向けて、高精度に照射する必要がある。
高精度に放射線を照射する為には、患部を確実に固定し放射線による照射方向を計画どおりに正しく変更して行く必要があり、特に脳内の病巣に対する治療においては、照射に当って常に頭部を定位置に保つことが要求されている。
【0003】
このように定位置を保つために、頭部を固定するための顔面及び頭部に適合する型取りシェルが用いられている。
こうした型取りシェル材料として、出願人はポリカプロラクトンで形成したシ−ト材を提供し、多大の効率を上げてきた。このシ−ト材は常温では固形状であるが加温時には軟化し、伸びも大きいので印象性に優れているが、バックストレッチに乏しいため、使用に当って熟練を要する点があった。
また、これらの点を改良するために、トランスイソプレンのようなゴム系のシート材を使用することも提案されているが、使用に当たっての操作性は良いもののゴム弾性によって十分な印象性を得ることができず、未だ充分なものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、型取りシェル材料として十分な印象性を有すると共に、採型時の操作性を良くして、簡便かつ確実に型取りシェルを作ることができるものを得ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加温時において、軟化し、伸長性も大きくなり、伸長後の復元性は低いもので、常温(23℃)においては固形状となって充分な強度を有するシ−トであって、そのシ−トの周縁の少くとも3割から全周縁に、上記加温時において軟化して上記シ−トに対して相対的に伸び難くて復元性が高くかつ常温においては固形状で充分な強度を有するような周縁区帯を形成するものである。
この型取りシェル材料の中央部は加温時において上記の如く伸長性が大きくて良好な印象性を発揮し、その周縁区帯は中央部に対して相対的に伸び難く、復元性も高いので、周縁区帯を持っても伸び過ぎることがなく、全体として型取り操作を容易に行うことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
型取りシェル材料を形成するシ−ト1には、約50〜70℃程度に加温すると軟化し、大きく伸長することができる低融点熱可塑性材料を使用することができる。
こうした低融点熱可塑性材料には、分子量が約5〜10万程度の脂肪族ポリエステルがあり、例えばポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリカプロラクトン、ポリエチレンスベレ−ト、ポリエチレンセバケ−ト、ポリテトラメチレンアジペ−ト、ポリテトラメチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンサクシネ−ト、ポリヘキサメチレンオキサレ−ト、ポリヘキサメチレンピメレ−ト、ポリヘキサメチレンスベレ−ト、ポリヘキサメチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンアゼレ−ト、ポリオクタメチレンオキサレ−ト、ポリオクタメチレンサクシネ−ト、ポリオクタメチレングルタレ−ト、ポリオクタメチレンアジペ−ト、ポリオクタメチレンピメレ−ト、ポリオクタメチレンスベレ−ト、ポリオクタメチレンアゼレ−ト、ポリオクタメチレンセバケ−ト、ポリエイコサメチレンオキサレ−ト、ポリエイコサメチレンマロネ−ト、ポリエイコサメチレンサクシネ−ト、ポリエイコサメチレングルタレ−ト、ポリエイコサメチレンアジペ−ト、ポリエイコサメチレンピメレ−ト、ポリエイコサメチレンスベレ−ト、ポリエイコサメチレンアゼレ−ト、ポリエイコサメチレンセバケ−ト、ポリ2.2 ジメチルトリメチレンマロネ−ト、ポリ2.2 ジメチルトリメチレンサクシネ−ト、ポリデカメチレンオキサレ−ト、ポリデカメチレンサクシネ−ト、ポリデカメチレングルタレ−ト、ポリデカメチレンアジペ−ト、ポリデカメチレンピメレ−ト、ポリデカメチレンアゼレ−ト、ポリデカメチレンスベレ−ト、ポリデカメチレンセバケ−トなどがある。
【0007】
このシ−ト1は、加温時の伸長後においても殆んど復元性が見られないもので、後記するように幅25mm×長さ100mmのものを加温後に長さ150mmに伸長し、室温下での収縮性が約10%程度以下、好ましくは約8%程度以下であって、顔面、頭部等の形状に沿うようなモデリング性、印象性は良好である。
【0008】
上記シ−ト1の周縁部に形成する周縁区帯2は、上記加温時には軟化するが、中央部3に比べて伸び難くて復元性の高いものであり、上記シ−ト材料と同様に伸長した後の収縮率が約50〜100%程度になるものが好ましく、伸びても縮む性質があるので保形性に富んでおり、シ−ト材料の周縁部を規制しているので、この区帯を持っての採型操作が容易にできる。
【0009】
この周縁区帯は、上記カプロラクトン等のシ−ト1の周縁にX線、γ線、電子線などの活性エネルギ−を照射して架橋することによって得ることができ、照射量を変えることによって架橋の程度を変化させることができる。上記活性エネルギ−を照射する場合、上記周縁部を除く部分を鉛、鉄、アルミニウム、チタン、セラミック、テフロン、シリコンなどで覆うようにして行うと操作し易い。
【0010】
他の方法としては、上記シ−ト1の周縁を熱や溶剤で溶かし、ウレタンフイルム、メルトブロ−不織布、スパンレ−ス不織布、伸縮性織物、伸縮性編物などをその周縁部に接着したり、接着剤を使用して貼付けたりすることによって周縁区帯を形成することができる。また、上記活性エネルギ−の照射による架橋化と併用することもできる。
【0011】
この型取りシェル材料4は、図1に示すように顔面、頭部用には、約30×50cm程度の長方形状のシ−ト1に、その周縁の4辺に幅が約1〜10cm程度、好ましくは約3〜5cm程度の周縁区帯2を形成するようにするとよい。また、この周縁区帯は周縁の3辺に設けたり(図2)、対向する2辺に設けたりすることができるし(図3)、シ−トの周縁に周縁区帯が一定間隔を置いて不連続状に現われるように設けることもできる(図4)。これらの場合、周縁区帯2が周縁の3割以上を占めるようにすると好ましい。
また、このシェル材料は、使用部位に応じて、適宜大きさとすることができるもので、その形状も上記長方形のものに限らず、正方形、円形、楕円形、多角形その他の所望の形状にすることができる。
【0012】
この型取りシェル材料を使用する場合、50〜70℃程度の温湯に浸けたり、ホットプレ−トの上に置いて加温して軟化させる。軟化したらその周縁区帯2を持つようにすれば自重によってシェル材料4が伸び切ることもないので、これを使用したい顔面、頭部などの患部に拡げた状態で載せる。顔面に使用するものでは、シェル材料4の中央部3に鼻と口に対応するような孔5、6を予め設けておき、これを鼻と口に適応させるようにして使用するとよい。上記シェル材料4を顔面に適用するときは、上記の周縁区帯2を持って顔の上に載せて顎から額の部分を採形すると、中央部3はよく伸長し復元性も低いので患部の凹凸形状に沿って密着するようになる。このとき周縁区帯2は復元性があるので、材料の周縁部が伸びきってしまうようなことはなく、更に患部全体の形状に沿ってピッタリとしたものとなる(図5)。
【0013】
上記成形を行う時間の経過と共に、シェル材料の温度も下がり、軟化していたものが次第に硬化し、定形を保つことができるようになるので、患部から取外し(図6)、周縁の不用な部分を切り除くと、所望の型取りシェル9を得ることができる。
この型取りシェルには、適宜この放射線治療計画に沿って放射線を通過させる開口7を設けたり、補助具8を取付けたり、中心軸などのマ−ク付けをしたりする(図7)。
【0014】
治療に当っては、この型取りシェル9を患部にかぶせ、このシェルを使って治療台10に患部を固定11すれば、何時でも定位置を確保することができので、時間を置き、角度を変えながら行われる放射線の照射を正確に行うことができる(図8)。
また、このシェル材料は上記した放射線科以外にも、整形外科用やリハビリテ−ション科用の四肢、体幹の固定等に用いることができる。
【0015】
【実施例】
(例1)
30cm×50cm×3mmのポリカプロラクトンのシート(商品名:サ−モシェル、アルケア(株)製)に、20cm×40cm×5cmの鉛板を中心を合わせるように重ねて置き、100KV電子線照射装置によって10Mrad照射し、ポリカプロラクトンシートの周縁が幅5cmにわたって架橋された周縁区帯を有するシェル材料を得た。
このシェル材料を65℃のお湯に漬けて軟化させ、顔面に適用したところ、未架橋の中央部はフィット性がよく、周縁区帯は過度の伸長がなくフレ−ムとしての機能を十分に果たし、操作性が良かった。
【0016】
(例2)
30cm×50cm×3mmのポリカプロラクトンに直径5mmの孔を横1.5cm間隔、縦2.25cm間隔の千鳥状に設けたシート(商品名;サ−モシェル・穴あき、アルケア(株)製)に、上記例1と同様にして電子線を照射し、周縁区帯を有するシェル材料を得た。
このものも、例1と同様に顔面に対するフィット性と、操作性に優れたものであった。
【0017】
(例3)
30cm×50cm×3mmのポリカプロラクトンシート(同上)に、30cm×50cm×15μのウレタンフイルム(セイコ−化成(株)製のウレタンフイルム、引っ張り応力 2.5×106〜 2.9×106Pa)の中心を20cm×40cmの大きさに切り除いて額縁状にしたものをスプレ−接着剤で貼り合わせて周縁区帯を形成した。このものを、例1と同様にして顔面に適用したところ、シェル材料が自重で伸びるようなこともなく、フィット性も操作性も良好であった。
【0018】
(例4)
30cm×40cm×3mmのポリカプロラクトン(同上)の30cmの対向する2辺に、各々5cm×30cm×3mmのトランスイソプレンシ−トを突合わせて熱溶融で接着し、30cm×50cm×3mmのシェル材料を得た。
このものを例1と同様にして顔面に適用したところ、中央部はフィット性が良好で、両側のトランスイソプレン製の周縁区帯は柔軟であるが伸び過ぎず操作性が良好であった。
【0019】
(試験)
上記例1〜例4に記載したシェル材料の中央部と周縁区帯について軟化伸長後の収縮率を測定した。
比較例として、厚さ3mmのポリカプロラクトンシートを用いた。
(測定方法)
(1) 例1〜例4及び比較例について、各々幅25mm×長さ100mmの検体を作成した。
(2) 65℃のホットプレ−トの上に検体を載せ、10分間加温して軟化させた。
(3) 軟化した検体を剥離紙の上に移し、長さを150mmに伸長した。
(4) その後、常温(23℃)下に10分間放置した。
(5) 硬化した検体の長さを測定した。
(6) 収縮率を下式により求めた。
[(150mm−検体測定長)/ 150−100 mm] × 100(%)
(結果)
結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
(考察)
例1〜例4のものではシェル材料の中心部は軟化伸長後の収縮率が低くて復元性に乏しいのに対して、周縁区帯では収縮率が高くて復元性に富んでいることが判り、シェル材料として操作性に優れていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す平面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の他例の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明のシェル材料を顔面部に使用した工程を示す説明図である。
【図6】図5の次の工程を示す説明図である。
【図7】図6の工程を経て完成した型取りシェルの説明図である。
【図8】図7の型取りシェルを使用した治療の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シ−ト 2 周縁区帯
3 中央部 4 型取りシェル材料
5、6 孔 7 開口
8 補助具 9 型取りシェル
10 治療台
Claims (5)
- 型取りされる形状に沿うように、加温時において軟化して伸び易くて復元性が低くかつ常温では固形状のシ−トの周縁の3割から全周縁に、上記加温時において軟化するが上記シ−トに対して相対的に伸び難くて復元性が高くかつ上記常温では固形状である周縁区帯を形成した型取りシエル材料。
- 上記シ−トはプラスチックで形成されており、上記周縁区帯を架橋することによって形成した請求項1記載の型取りシエル材料。
- 上記シ−トはプラスチックで形成されており、上記周縁区帯を柔軟性基材を配置することによって形成し、この柔軟性基材がプラスチックフイルム、不織布、編物または織物である請求項1記載の型取りシエル材料。
- 上記シ−トは50〜70℃に加温した軟化時において1.5倍に伸長した後の常温下での収縮率が10%以下であり、該シ−トの周縁区帯の上記収縮率が50〜100%である請求項1〜3のいずれかに記載の型取りシエル材料。
- 上記シ−トが脂肪族ポリエステルで形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の型取りシエル材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36157699A JP3541368B2 (ja) | 1999-12-20 | 1999-12-20 | 型取りシェル材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36157699A JP3541368B2 (ja) | 1999-12-20 | 1999-12-20 | 型取りシェル材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001170071A JP2001170071A (ja) | 2001-06-26 |
JP3541368B2 true JP3541368B2 (ja) | 2004-07-07 |
Family
ID=18474137
Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110812716A (zh) * | 2019-12-05 | 2020-02-21 | 于泽顺 | 一种肿瘤放疗用头颈部保护装置 |
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1999
- 1999-12-20 JP JP36157699A patent/JP3541368B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN110812716A (zh) * | 2019-12-05 | 2020-02-21 | 于泽顺 | 一种肿瘤放疗用头颈部保护装置 |
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JP2001170071A (ja) | 2001-06-26 |
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