JP3540998B2 - 電動車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動車両として、例えば、特開平10−99378号公報に記載された電動車椅子は、介護者が車体を押し引きする操作力と、この操作力に基づいてモータで発生させた駆動力とによって推進される。ここで、介護者の操作力の方向及び大きさは、介護者用のハンドルに設けた操作力検知手段により検知され、介護者がこのハンドルに加えた操作力が所定の設定値を超えると、モータにより駆動力が生じる。なお、このような操作力検知手段は、車輪に沿って設けられたハンドリムに内蔵することもできる。
【0003】
上記のような電動車椅子では、介護者がハンドルに付与する操作力若しくは搭乗者自身がハンドリムに付与する操作力が操作力検知手段によって検知され、その検知結果に応じた駆動力がモータにより提供される。従って、例えば上り坂においては、操作力に応じた前進方向への駆動力がモータにより提供され、操作者の負担は軽減される。また、下り坂においては、操作者が後退方向への操作をすることにより、モータに逆方向への駆動力を発生させて、電動車椅子の加速を防止する。従って、操作者の負担は軽減される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の電動車両では、例えば下り坂において操作者がある程度の速度を維持したい場合に、重力により車輪が進行方向に回転しようとする力と、車輪を逆方向に回転させようとする駆動力とのバランスをとるのが難しい。その結果、操作力が不安定となって車両の挙動を安定させることができない。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、坂道でも電動車両の操作力を安定させて、操作性を向上させる制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動車両の制御装置は、操作者により電動車両に与えられる操作力の方向と大きさとを検知する操作力検知手段と、前記電動車両における車輪の回転方向及び回転量を検知する回転方向検知手段と、前記操作力検知手段によって検知された操作力に基づいた駆動力を、前記車輪を駆動するモータに発生させるとともに、前記回転方向検出手段の検知に基づいて、前記車輪が同一の回転方向に所定量回転し、かつ、その回転方向が、前記操作力検知手段によって検知された操作力に対応する回転方向と一致しないと判断した場合、当該車輪を駆動するモータによって発電制動力を発生させる制御部とを備えたものである。
上記のように構成された電動車両の制御装置において、制御部は、車輪の回転方向と、操作力に対応する回転方向とが互いに一致しないと判断した場合、モータに発電制動力を発生させて減速を行う。従って、坂道を走行中に操作者が進行方向と逆の操作力を加えれば、発電制動力が発生して操作者の操作力負担が軽減される。このため、必要以上に大きな操作力を加えることなく車両の速度が抑制される。また、制御部は、車輪が同一の回転方向に所定量回転しなければ発電制動力を発生させないので、登坂時の一時停止で車輪が一時的に逆転しても、所定量回転しない限り発電制動力の発生が抑制される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図13及び図14は、それぞれ、本発明の第1の実施形態による電動車両の制御装置を搭載した電動車椅子の側面図及び背面図である。図13及び図14において、電動車椅子の車体1は、複数のパイプ部材からなるフレーム2と、モータ及び減速機構等を内蔵した左右一対の駆動部ユニット3とによって構成されている。一対の駆動輪4(図13は輪郭のみを略記)は各駆動部ユニット3に取り付けられ、一対のキャスタ5は車体1の前部に取り付けられている。アームレスト6は、左右のフレーム2の上部に取り付けられている。左右のフレーム2間には、座シートS1及び背シートS2(図14)が張設されている。背シートS2の背面側には、バッテリポケットP1及び制御部ポケットP2が設けられている。
【0007】
車体1の後方最上部には、略水平に操作部(グリップ)7が設けられ、その下部にブレーキレバー8が取り付けられている。操作部7は内部に操作力検知部としての例えばポテンショメータを有しており、電動車椅子を押し引きする介護者の操作力を検知することができるようになっている。なお、ポテンショメータに代えて、ストレインゲージを含むブリッジ回路を用いてもよい。また、介護者なしでも電動補助ができるタイプの電動車椅子では、駆動輪4のハンドリム(図示せず)に操作力検知部が設けられ、この操作力検知部により、搭乗者がハンドリムに与える操作力が検知される。
上記ブレーキレバー8は、他のブレーキレバー9とワイヤ10を介して連係しており、どちらか一方からのブレーキ操作により、機械的に駆動輪4を制動することができる。
【0008】
図14において、上記バッテリポケットP1及び制御部ポケットP2にはそれぞれ、バッテリ11及び制御部12が収納されている。バッテリ11と制御部12とは、ケーブルC1により互いに接続されている。また、制御部12と、左右の駆動部ユニット3及び左右の操作部7とは、それぞれ、ケーブルC2,C3及びケーブルC4,C5によって接続されている。
【0009】
図1は、制御装置の電気回路接続図である。車体1の右側に設けられているものには符号にRを付けて表記し、車体1の左側に設けられているものには符号にLを付けて表記している。駆動部ユニット3R及び3L内のモータはそれぞれ、31R及び31L(31で総称する。)とする。また、操作部7R及び7L内の操作力検知部は、それぞれ71R及び71Lとする。
図1において、制御部12のケースの表面には、スイッチ13及び表示灯14が設けられている(図14も参照)。なお、図1におけるケーブルC1〜C5はそれぞれ、図14において示したものに相当する。
【0010】
上記制御部12内には、制御回路121、電源回路122、駆動回路123R及び123Lが設けられており、相互に接続されている。電源回路122には、バッテリ11から直流電圧が供給される。電源回路122は、供給された直流電圧に基づいて、制御回路121並びに駆動回路123R及び123Lに所定の電源電圧を供給する。制御回路121は、スイッチ13及び表示灯14と接続されており、スイッチ13のオン操作によって作動し、表示灯14を点灯させる。なお、制御部ポケットP2(図14)の上部には透明な柔らかいカバーが設けられており、このカバー越しにスイッチ13の操作や、表示灯14の点灯確認が可能である。
【0011】
駆動回路123R及び123Lは、例えば半導体スイッチング素子のブリッジ回路を含んでおり、電源回路122から供給された直流電圧を、制御回路121から供給されたPWM信号に基づいてスイッチングし、モータ31R及び31Lを駆動する。また、電気制動時における駆動回路123R及び123Lは、モータ31R及び31Lが回転している状態で電圧の供給を停止するとともに、例えばPWM信号のHレベルの期間に各巻線端子を短絡し、Lレベルの期間に開放する。これにより、モータ31R及び31Lは、PWM信号のデューティ比に応じた発電制動を行う状態となる。
【0012】
制御回路121は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ等を含むものであり、操作力検知部71R及び71Lから入力される操作力に相当する操作力信号をディジタル値に変換した後、所定の処理を施す。操作力検知部71R及び71Lは、介護者が付与した押し引きの操作力をそれぞれ独立に検知して、操作力信号を発生させる。操作力検知部71R及び71Lはそれぞれ、操作部7R及び7Lが操作されていない中立位置を基点としてそこから前方又は後方に操作部7R及び7Lが操作されたとき、その操作力に従って出力値を変化させる。例えば、操作力が付与されていない状態の中立位置では、操作力信号は所定の値(通常、0でない値)である。前進方向への操作力が操作部7R及び7Lに付与されたときは、その操作力に応じて操作力信号の電圧値が上記所定の値から増加する。後退方向への操作力が操作部7R及び7Lに付与されたときは、その操作力に応じて操作力信号の電圧値は上記所定の値から減少する。
【0013】
制御回路121は、操作力検知部71R及び71Lと共に操作力検知手段を構成しており、上記のように変化する操作力信号から上記所定の値を減算して得られる操作力検知信号に基づいて、モータ31R及び31Lの駆動又は制動を行う。
なお、操作部7R及び7Lに付与された操作力は、モータ31R及び31Lの発生する駆動力とは別に、それ自体が、それぞれ車体1を介して左右の駆動輪4(図13,図14)に伝達され、人力による駆動力となる。
【0014】
上記モータ31R及び31Lの各々は、3相ブラシレスモータであり、ステータ側に3個のホール素子Hが内蔵されている(図1)。ホール素子Hは、ロータの回転に応じてパルスを出力する。このパルスは、対応する駆動回路123R及び123Lを介して、制御回路121に送られる。制御回路121は単位時間あたりのパルス数をカウントすることにより、モータ31R及び31Lの回転速度、すなわち、電動車椅子の速度を検知する。また、制御回路121は、3個のホール素子Hと共に回転方向検出手段を構成しており、ホール素子Hから出力されるパルスの位相に基づいて、モータ31R及び31Lの回転方向、すなわち、対応する左右の駆動輪4の回転方向を検知する。
なお、ホール素子Hの出力によらず、モータ31R,31L又は駆動輪4に付帯してタコジェネレータ等の速度センサを設けてもよい。この場合は、タコジェネレータの出力電圧により速度が、出力電圧の極性により回転方向が、それぞれ検出される。
【0015】
次に、制御回路121の動作について詳細に説明する。
図2は、制御回路121のCPU(以下、単にCPUという。)によって実行されるモータ駆動又は制動のためのルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは図示しないメインルーチンから高速に繰り返し実行される。まず、ステップS1においてCPUは、付与された操作力に対応して操作力検知部71R及び71Lより出力される操作力信号の値から、操作力が付与されていないときの操作力信号の値を減算する処理(入力値変換)を行う。これにより、操作力検知部71Rに対する操作力に対応する操作力検知信号FinRと、操作力検知部71Lに対する操作力に対応する操作力検知信号FinLとが得られる。図10は、このときの「操作力」対「操作力検知信号」の関係を示すグラフである。操作力が付与されていないとき操作力検知信号は0であり、前進方向(押し方向)の操作力が付与されたときは一定勾配で増加する正の値となり、後退方向(引き方向)の操作力が付与されたときは、上記一定勾配で負の方向に増加する値となる。従って、前進又は後退の識別は操作力検知信号の正負をもって、また、操作力の大きさは操作力検知信号の絶対値によって検知することができる。なお、図10において、操作力の「+Fs」及び「−Fs」は、所定の設定値である。
【0016】
次にCPUは、ステップS2において、操作力変動量を算出する。操作力変動量を算出するには、まず、ステップの実行回数をtとして、ステップS1で得られる操作力検知信号の現在値FinR(t)と前回値FinR(t−1)との差dFinR(t)、及び、現在値FinL(t)と前回値FinL(t−1)との差dFinL(t)求める。すなわち、
dFinR(t)=FinR(t)−FinR(t−1) ...(1)
dFinL(t)=FinL(t)−FinL(t−1) ...(2)
とする。これを基に、操作力変動量dFinRT及びdFinLTを以下の演算により求める。
dFinRT={dFinR(t)+dFinRT(t−1)}/2 ...(3)
dFinLT={dFinL(t)+dFinLT(t−1)}/2 ...(4)
【0017】
次に、CPUはステップS3において、モータへの要求動作(以下mstという。)を設定する。図3は、このステップS3の内容を示すサブルーチンである。このサブルーチンは、操作力検知部71R,71L及びこれに対応する左右の駆動輪4に関して、左右それぞれに実行される。
まず、ステップS3−1において、CPUは操作力検知信号FinR及びFinLに基づいて操作力方向の判断を行う。また、ホール素子Hの出力に基づいて駆動輪4の回転方向の判断を行う。次に、ステップS3−2において、CPUは、操作力方向と駆動輪4の回転方向とが同じであるか否かの判断を行う。この判断結果がイエスである場合、CPUはmstを「アシスト」に設定し(ステップS3−3)、ノーの場合にはmstを「ブレーキ」に設定する(ステップS3−4)。こうして、左右両輪に関して、それぞれmstが設定される。
【0018】
図2に戻り、ステップS4においてCPUは、操作力検知信号FinR又はFinLの各絶対値が、前述の所定値Fsより大きいか否かを判断する。この判断結果がイエスすなわち所定値を超える操作力FinR又はFinLが付与されている場合、CPUはステップS6の駆動モードにジャンプする。一方、ノーの場合、CPUはステップS5において、操作力変動量dFinRT又はdFinLTの各絶対値が所定値Fsd(<<Fs)より大きいか否かを判断する。当該ステップS5は、操作者(介護者)が手を離している状態を検出するために設けられている。この判断結果がイエスの場合、操作者は操作をしていると認定し、CPUはステップS6において駆動モードを実行する。また、ノーの場合は、操作者は手を離していると認定し、CPUは制動モード(ステップS10)を実行する。制動モードの実行により、発電制動力は0から最大値まで増大する。従って、操作者が操作部7R及び7Lから手を離すと、最大の発電制動力が発生して、車両は急速に減速される。
【0019】
図4は、上記ステップS6の駆動モードの内容を示すサブルーチンである。このサブルーチンは、左右の駆動輪4に関してそれぞれに実行される。図において、CPUはまず、制御回路121から左右の駆動回路123R及び123Lに供給される駆動力信号FoutR及びFoutL(モータ31R及び31Lが発生する駆動力に相当する。)について、FoutR=0又はFoutL=0が成り立つか否かを判断する(ステップS6−1)。この論理が成り立たないのは、既に左右の駆動力信号(0以外の)を出力中である場合であり、その場合は既に駆動力の方向が決まっているため、CPUはステップS6−3にジャンプする。一方、駆動力信号FoutR及びFoutLのいずれか1つでも0であれば、CPUはステップS6−2に進む。ステップS6−2においてCPUは、駆動力信号が0である方の操作力検知信号FinR又はFinLの符号(正負)を参照して、対応するモータ31R又は31Lを正転させるのか、逆転させるのかを決定する。なお、駆動モードに入った初期の時点では、双方のモータ31R及び31Lについて、正転・逆転の決定が行われる。
【0020】
続いてCPUは、ステップS6−3において、駆動力変化量dFaの算出を行う。駆動力変化量dFaとは、モータ31が発生する駆動力の基になる駆動力信号Faの変化量である。駆動力信号Faは、図2のフローチャートの実行回数をtとして、
Fa(t)=Fa(t−1)+dFa ...(5)
と表される。すなわち、駆動力信号Faは、駆動力変化量dFaの累積値として表される。従って、駆動力信号Faは駆動力変化量dFaが正のとき増加し、負のとき減少する。また、モータ31の駆動方向は、駆動力信号Faが正のとき正転方向であり、負のとき逆転方向である。
なお、実際には後のステップS6−4において後述の補整が行われるため、上記駆動力信号Faは、最終的に出力されるものではないが、基本的な駆動力の指令値として取り扱うことができる。
【0021】
上記駆動力変化量dFaは、例えば、駆動力変化量の比例成分dFapに所定の係数kを乗じて求められる。すなわち、
dFa=k・dFap ...(6)
である。駆動力変化量の比例成分dFapは、例えば図11に示す関数に従って算出される。この関数は、以下のように表される。
Fin>Fsのとき、
dFap=KDFAP_H・(Fin−Fs) ...(7)
Fs−Fh≦Fin≦Fsのとき、
dFap=0 ...(8)
Fin<Fs−Fhのとき、
dFap=KDFAP_L・(Fin−(Fs−Fh)) ...(9)
但し、Fs及びFhは所定の設定値、KDFAP_H及びKDFAP_Lは所定の定数である。
【0022】
続いて、CPUは、左右協調補整を行う(ステップS6−4)。左右協調補整とは、直進性を高めるための既知の補整方法である。図5は、左右協調補整の内容と、続くステップS6−5(図4,図5)における駆動力信号の算出との対応関係とを示した図である。図において、ar,bl,br及びalは所定の補整係数(0から1までの正の数)であり、予め制御回路121(図1)に設定されている。これらの補整係数と、車両の右側における駆動力変化量dFa_r及び左側における駆動力変化量dFa_lとに基づいて、右側の補整変化量dFa_rw及び左側の補整変化量dFa_lwが算出される。すなわち、変化量dFa_rに補整係数arを乗じたものと、変化量dFa_lに補整係数brを乗じたものとの和が補整変化量dFa_rwである。また、変化量dFa_lに補整係数alを乗じたものと、変化量dFa_rに補整係数blを乗じたものとの和が補整変化量dFa_lwである。
【0023】
ステップS6−5(図5)において、右側での前回の駆動力信号Fa_r(t−1)と補整変化量dFa_rwとの和が次に出力される駆動力信号Fa_r(t)となる。また、左側での前回の駆動力信号Fa_l(t−1)と補整変化量dFa_lwとの和が次に出力される駆動力信号Fa_l(t)となる。
最後にCPUは、駆動力信号Fa_r(t)及びFa_l(t)をPWM信号に変換し、駆動力信号FoutR及びFoutLとして、それぞれ駆動回路123R及び123L(図1)に供給する(図4のステップS6−5)。これらの駆動力信号FoutR及びFoutLに基づいて、モータ31R及び31Lが駆動される。
【0024】
図2に戻り、ステップS7においてCPUは、左右のモータによる発電制動力brkR及びbrkLについて、brkR>0、又は、brkL>0であるか否かを判断する。判断結果がイエスすなわち既に発電制動力brkが発生している場合、CPUはステップS9に進み、判断結果がノーの場合はステップS8に進む。なお、初めは発電制動力brkが発生していないので、CPUはステップS8に進む。ステップS8においてCPUは、左右のmstが共に「ブレーキ」となっているか否かを判断し、判断結果がイエスであればステップS9を実行する。一方、判断結果がノーとなるのは、左右のmstが共に「アシスト」の場合、及び、左右のmstのうち一方が「アシスト」であり、他方が「ブレーキ」である場合である。前者の場合は当然に、ステップS9の下り坂ブレーキモードを実行する必要はなく、CPUはステップS11を実行する。また、後者の場合は、車両がその場で旋回しようとしている。このような場合に「ブレーキ」側で発電制動力を発生させると、急な旋回を促すことになり却って危険である。そこで、このような場合には、ステップS9の下り坂ブレーキモードを実行せず、CPUはステップS11を実行する。
【0025】
上記ステップS9における下り坂ブレーキモードについて、図6のサブルーチンを参照して詳細に説明する。なお、図6におけるステップS9−6がさらに図7に示すサブルーチンを構成しており、ステップS9−9がさらに図8に示すサブルーチンを構成している。
図6のステップS9−1においてCPUは、操作力検知信号FinR及びFinLについて、|FinR|≦Fs、及び、|FinL|≦Fsが成り立つか否かを判断する。判断結果がイエスである場合、CPUはステップS9−2に進み、左右の駆動輪4(又はモータ31)の回転数(回転速度)が0であるか否かを判断する。ステップS9−1及びS9−2において判断結果がノーである場合、CPUはステップS9−5に進み、カウンタbrk・offを、brk・off=0とした後、ステップS9−6に進む。
【0026】
一方、ステップS9−2における判断結果がイエス、すなわち車両が停止状態であるときは、ステップS9−3においてbrk・offの値を1増加させる。次にCPUは、brk・offの値が30以上かどうかを判断し(ステップS9−4)、イエスであればbrkR=0,brkL=0として(ステップS9−11)当該ルーチンを終える。また、ノーであれば、CPUはステップS9−6に進む。従って、カウンタbrk・offが30カウントになるまで当該ルーチンが実行されても車両が停止の状態であれば、発電制動力brkが0になる。これにより、停止後の再スタート時に発電制動力brkが残っていて発進しにくい、という状態を回避することができる。
【0027】
ステップS9−6において、しかるべき発電制動力の設定(詳細後述)を行った後、CPUはステップS9−7において、左右のmstのいずれかが「アシスト」であるか否かを判断する。判断結果がノーであればCPUはステップS9−9においてbrkR及びbrkLの協調補整(詳細後述)を実行する。一方、判断結果がイエスであれば、CPUはステップS9−8に進み、mstが「アシスト」であった側の操作力検知信号Finについて、|Fin|>Fintであるか否かを判断する。ここで、Fintは所定値である。判断結果がノーであれば、CPUはステップS9−9を実行する。ステップS9−9の実行後に、CPUは、ステップS9−10においてブレーキ力信号(PWM信号)の算出を行い、当該ルーチンを終了する。一方、ステップS9−8における判断結果がイエス、すなわち、左右のmstのうち一方が「アシスト」であり、かつ、その操作力が所定値Fintより大きい場合には、車両が発電制動力を発生させた状態で旋回しようとしている。この場合、mstが「アシスト」である方の発電制動力が減少していくため、brkR及びbrkLの協調補整を行うことは好ましくない。そこで、ステップS9−8における判断結果がイエスの場合、CPUはステップS9−9を実行せず、ステップS9−10を実行して当該ルーチンを終了する。
【0028】
上記サブルーチン中のサブルーチンについて図7及び図8を参照して説明する。図7は、発電制動力の設定(図6のステップS9−6)のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。このフローチャートも、左右両輪に関してそれぞれに実行される。まず、CPUはステップS9−6−1において、mstが「ブレーキ」であるか否かを判断する。「ブレーキ」であればCPUはさらにステップS9−6−2においてbrk>0であるか否かを判断する。brk>0であればCPUは、ステップS9−6−3において操作力検知信号Fin(FinR,FinL)に対応する領域を図12の(a)に示すグラフに基づいて判別し、発電制動力の変化量を決定する。
【0029】
図12の(a)において、横軸は操作力検知信号Finの絶対値であり、縦軸は発電制動力brkの変化量dbrkである。例えば、0≦|Fin|<1のとき変化量は0、1≦|Fin|<2のとき変化量は2、2≦|Fin|<3のとき変化量は5というようにして変化量が求められる。なお、4≦|Fin|のとき変化量は30となる。このような、操作力検知信号に対する変化量の変化特性は、マクロ的に見れば2次関数的なものであり、操作力検知信号Finの絶対値の増加に伴って変化量が加速的に増加する特性を構成している。このような特性により、発電制動力brkの迅速な応答性が確保される。なお、操作力検知信号が0≦|Fin|<1のように小さいとき変化量を与えないこととしたのは、操作者の意図が必ずしも明確に反映されない微小な操作力に対して発電制動力が過敏に応答することを防止するためである。
【0030】
続いて、CPUはステップS9−6−4(図7)において発電制動力brkの算出を行う。ここでは、変化量dbrkは図12の(a)に示した正の値であり、brkは累積的に増加する。
一方、ステップS9−6−1においてmstが「ブレーキ」でなければ(すなわち「アシスト」であれば)、CPUはステップS9−6−5において操作力検知信号Finに対応する領域を図12の(b)のグラフに基づいて判別し、ステップS9−6−6において発電制動力brkの算出を行う。(b)のグラフは、発電制動力brkの変化量dbrkの符号が(a)のグラフとは逆であり、操作力を付与するほど、変化量dbrkの絶対値が負の方向に増大して、発電制動力brkが減少する。従って、左右のmstが「アシスト」であっても発電制動力brkが発生している(残っている)状態(brk>0)であれば、まず、発電制動力brkを徐々に小さくしていく。これにより、発電制動力brkが急に解除されることがなくなり、安全であるとともに車両の挙動の安定を損なわない。
また、ステップS9−6−2において判断結果がノーであれば、CPUはステップS9−6−7においてbrkを初期値に設定する。これにより、brk≦0になると、発電制動力brkは初期値に戻される。従って、最初に作用する発電制動力は一定である。
【0031】
次に、ステップS9−6−8においてCPUは、brk<0であるか否かを判断し、ノーであればステップS9−6−10にジャンプし、イエスであればステップS9−6−9でbrk=0としてからステップS9−6−10に進む。ステップS9−6−10においてCPUは、brk>brk・maxであるか否かを判断する。ここで、brk・maxとは、brkとして設定できる最大値である。brk>brk・maxでなければCPUはそのまま当該ルーチンの処理を終えるが、brk>brk・maxであればbrk=brk・maxすなわちbrkの値を最大値に制限して処理を終える。
【0032】
図8は、発電制動力の協調補整(図6のステップS9−9)のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。まず、ステップS9−9−1において、CPUはbrkR>brkLであるか否かを判断する。ここで、ノーの場合、CPUはステップS9−9−2において補整定数をbrkRに加算した後、ステップS9−9−3において再びbrkR>brkLであるか否かの判断を行う。ここでノーであればそのまま処理を終え、イエスであれば、ステップS9−9−4においてbrkRを強制的にbrkR=brkLとした後、処理を終える。一方、ステップS9−9−1においてイエスであれば、CPUはステップS9−9−5において補整定数をbrkLに加算した後、ステップS9−9−6においてbrkL>brkRであるか否かの判断を行う。ここでノーであればそのまま処理を終え、イエスであれば、ステップS9−9−7においてbrkLを強制的にbrkL=brkRとした後、処理を終える。このようなサブルーチンの実行により、左右両輪に関して発生する発電制動力brkのうち、小さい方の発電制動力brkは、ルーチンの実行回数に応じて逐次増大し、最終的に他方と一致する。こうして、左右両輪に対する制動力は、互いに協調するように補整され、車両の挙動の安定に寄与する。
【0033】
以上のようにして下り坂ブレーキモードの処理(図2のステップS9)を終えると、CPUは図2のステップS11において、モータ動作信号の決定を行う。図9は、このステップS11のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンも左右両輪に関してそれぞれ実行される。ステップS11−1においてCPUは、brk=0であるか否かを判断する。CPUは、判断結果がイエスであれば、モータ動作信号を「アシスト」に設定して(ステップS11−2)処理を終え、ノーであれば「ブレーキ」に設定して(S11−3)処理を終える。
【0034】
最後にCPUは、図2のステップS12において、上記のモータ動作信号に応じて、PWM信号を駆動回路123R及び123Lに出力する。モータ動作信号が「アシスト」であれば、図4のステップS6−5において算出された駆動力信号のPWM信号が出力される。駆動回路123R及び123LはPWM信号に応じてモータ31R及び31Lを駆動する。また、モータ動作信号が「ブレーキ」であれば、図6のステップS9−10において算出されたブレーキ力信号のPWM信号が出力される。駆動回路123R及び123LはPWM信号に応じてモータ31R及び31Lを制動する。制動により、操作者の操作力負担が軽減されるので、操作者は必要以上に大きな操作力を加えることなく、車両の速度を抑制することができる。従って、車両の挙動が安定し、坂道における操作性が向上する。
【0035】
なお、モータ制御は左右両輪に関してそれぞれ行われるため、一方のモータが駆動され、他方のモータが制動される場合もある(例えば下り坂での旋回)。
また、上記の実施形態において「下り坂ブレーキモード」は下り坂を前進しながら降りる状態を想定して説明したが、上り坂において車体を後退させながら降りる場合にも、同様の動作が行われる。この場合は、重力によって後退する車両に対して前進方向への操作力が付与されることにより、回転方向と操作力方向との不一致が生じ、mstが「ブレーキ」の状態となる。
【0036】
次に、第2の実施形態による電動車両の制御装置について図15〜図20を参照して説明する。なお、図15〜図20に示す内容以外は、第1の実施形態と同様である。
図15は、第1の実施形態における図2に相当するフローチャートである。図2と同一の処理を行うステップには同一のステップ符号を付している。図16は、駆動輪4の回転方向の判別を行うフローチャートであり、当該フローチャートは、ホール素子H(図1)からパルスが出力される毎に実行される。なお、このフローチャートの実行時間はパルスの発生周期より十分に短い。パルスは、例えば駆動輪4のサイズが22インチの場合、約1.8cmの前進又は後退で1パルス出力される。
【0037】
図16において、CPUは、ステップS01で現時点での駆動輪4の回転方向の検知を行い、検知した回転方向の現在情報をmcwとする。続いてCPUは、当該mcwを、回転方向の前回情報であるmcw_bkと比較する(ステップS02)。ここで、両者が相異なる場合は回転量mcw_cntを0にセットして(ステップS03)、回転方向の現在情報mcwを、前回情報mcw_bkとして記憶する(ステップS07)。
【0038】
一方、ステップS02において、mcwとmcw_bkとが互いに一致した場合、CPUは回転量mcw_cntを1増加させ(ステップS04)、増加させたmcw_cntが所定値MCW_FIXより大きいか否かを判断する(ステップS05)。この所定値MCW_FIXは例えば5であり、これは、車体の移動距離でいえば、22インチの駆動輪4の場合、9cm(1.8cm×5)に相当する。mcw_cntがMCW_FIX以下である場合、CPUはステップS07に進み、回転方向の現在情報mcwを、前回情報mcw_bkとして記憶する。一方、ステップS05においてmcw_cntがMCW_FIXより大きい場合、CPUはステップS06に進み、回転方向の現在情報mcwを、確定した回転方向の情報brs_mcwとする。また、回転量mcw_cntを所定値MCW_FIXとする。
【0039】
以上のステップS01〜S07までの処理によりCPUは、回転方向が変化しない場合には回転量mcw_cntを一定限度まで積算しつつ、確定した回転方向の情報brs_mcwを保有している。一方、回転方向が変化した場合には、回転量mcw_cntをリセットしてカウントを開始し、カウントした回転量mcw_cntが所定値MCW_FIXを超えたとき初めて、そのときの回転方向を、確定した回転方向の情報brs_mcwとして扱う。従って、回転方向が変化した場合でも、変化後の回転量が所定値を超えなければ、その回転方向は確定した回転方向として認知されない。
【0040】
次に、図15に示すフローチャートについて説明する。まずCPUは、第1の実施形態の場合と同様に、ステップS1で入力値変換を、ステップS2で操作力変動量の算出をそれぞれ行う。次にCPUは、モータへの要求動作の設定を行う(ステップS3)。要求動作は、後述するmst及びbrs_mstによって表される。図17は、上記ステップS3の内容を示すサブルーチンである。図において、CPUは、操作力検知信号FinR及びFinLに基づいて操作力方向の判断を行う(ステップS3−A)。次に、CPUは、下り坂ブレーキモードへの移行決定(ステップS3−B)及び、ブレーキ力の増減決定(ステップS3−C)を行う。
【0041】
下り坂ブレーキモードへの移行決定とは、図18のサブルーチンに示す内容である。すなわち、CPUは、操作力方向と、確定した回転方向の情報brs_mcwとが互いに一致するか否かを判断し(ステップS3−B1)、一致する場合はbrs_mstを「アシスト」に設定し(ステップS3−B2)、一致しない場合はbrs_mstを「ブレーキ」に設定する(ステップS3−B3)。
また、ブレーキ力の増減決定とは、図19のサブルーチンに示す内容である。すなわち、CPUは、操作力方向と、回転方向の現在情報mcwとが互いに一致するか否かを判断し(ステップS3−C1)、一致する場合はmstを「アシスト」に設定し(ステップS3−C2)、一致しない場合はmstを「ブレーキ」に設定する(ステップS3−C3)。
このようにして、左右両輪の各々に対して、brs_mst及びmstが設定される。これらは、後述の処理において使用される情報となる。
【0042】
図15に戻り、CPUは、ステップSAにおいてbrk_cntが0より大きいか否かを判断する。brk_cntとは、制動モードでの発電制動力であり、詳細は後述する。この判断結果がノーであれば、以下、第1の実施形態の場合と同様にステップS4〜S7,S9,S11,S12の処理が行われる。第1の実施形態と異なるのは、ステップS7で判断結果がノーであった場合に進むステップSBにおける判断内容である。すなわち、CPUはステップSBにおいて左右のbrs_mst(mstではなく)が共に「ブレーキ」であるか否かを判断し、イエスならばステップS9へ進み、ノーならばステップS11に進む。ここで、左右のbrs_mstが共に「ブレーキ」であるということは、左右両輪のそれぞれについて、操作力方向と、確定した回転方向の情報brs_mcwとが互いに一致しない状態であることを意味する。
【0043】
このように、mstではなくbrs_mstに基づいてステップSBの判断が行われることには以下のような意義がある。
例えば、介護者が電動車椅子を前進方向に操作しながら上り坂を進むとき、電動車椅子はmst=アシストの状態であり、介護者の押す力に電動補助を加えた状態で登坂している。ここで、登坂途中に介護者が前進方向への操作力をある程度維持したまま電動車椅子を一時停止させた場合、重力により駆動輪4がわずかに逆転する。この逆転により、操作力方向と駆動輪4の回転方向とは互いに逆になり、mstは「ブレーキ」に設定される。従って、もし、第1の実施形態と同様にステップSBの判断にmstを用いていたならば、下り坂ブレーキモードS9が実行され、発電制動力が発生する。この状態で介護者が再度登坂を開始しようとすると、残っている発電制動力brkにより、モータ動作信号がすぐには「アシスト」に変わらないため(図9参照)、介護者には重い負担がかかる。
これに対して、brs_mstに基づいてステップSBの判断を行うと、上記のようなわずかな逆転ではbrs_mstが変化しないので、下り坂ブレーキモードへの移行が行われない。従って、モータ動作信号は「アシスト」に維持されており、介護者が再度登坂を開始しようとすると即座に、電動補助が開始される。このため、介護者には負担がかからない。
【0044】
なお、下り坂ブレーキモードにおける発電制動力の設定(図7参照)に関しては、第1の実施形態と同様であり、ステップS9−6−1では、mstを判断に用いる。ここで仮に、mstではなく、brs_mstを判断に用いたとすると、以下のような弊害を生じる。
例えば、車体を坂の上方向に向けたまま、介護者が後ずさりして降りることにより、いわば、バックで坂を降りている状態であるとする。この状態においては、介護者の操作力方向と、駆動輪4の回転方向とが互いに逆になるため、下り坂ブレーキモードが実行される。ここで、介護者が登坂に転じようとすると、操作力方向と駆動輪4の回転方向とが互いに一致するが、brs_mstは駆動輪4が所定距離移動しなければブレーキからアシストに変化しない。従って、所定距離移動するまでは、図7におけるステップS9−6−6が実行されず、発電制動力brkが減少しない。これでは、車体が重く、介護者の負担が大きい。これに対して、mstは、登坂に転じると即座にブレーキからアシストに変化する。従って、ステップS9−6−1にmstを用いることにより、登坂に転じると直ちに発電制動力brkが減少し始め、介護者の負担を軽減することができる。
【0045】
上記のように、第2の実施形態では、操作力方向と駆動輪4の回転方向とが互いに一致するか否かの判断に、迅速に応答して変化するmstと、所定の回転量を条件として変化するbrs_mstとの2種類の要素を用意し、これらを使い分けることにより、状況に応じた最適な制御を可能としている。
【0046】
次に、ステップSC(図15)の制動モードについて説明する。図20は、制動モードの内容を示すフローチャートである。例えば、下り坂を前向きで降りているであって、下り坂ブレーキモードを実行してから介護者が手を離したことにより制動モードに入ったとする。まずCPUは、ステップSC−1において、前述のbrk_cntが0であるか否かを判断する。通常、最初に制動モードに入ったときは、brk_cnt=0であるので、CPUはステップSC−2に進み、左右の発電制動力brkL及びbrkRを互いに比較し、大きい方の値をbrkとする(ステップSC−3及びSC−4)。次にCPUは、このbrkを、初期値brk_basisとして保存するとともに、制動モードでの発電制動力brk_cntとする(ステップSC−5)。
【0047】
続いてCPUは、車両の速度等に基づいて発電制動力の変化量d_brk_cntの算出を行い(ステップSC−6)、これを発電制動力brk_cntの初期値に加算(変化量が負の場合は減算)して新たな発電制動力brk_cntとし(ステップSC−7)、これに基づいてブレーキ力信号(PWM信号)の算出を行う(ステップSC−8)。次に、ステップSC−9においてCPUは発電制動力brk_cntが初期値brk_basisより小さくなったか否かを判断する。判断結果がノーの場合はそのままルーチンを終了し、イエスの場合は発電制動力brk_cnt及び初期値brk_basisを共に0とする(ステップSC−10)。
【0048】
ステップSC−10を実行することなく上記制動モードの1回目の実行が終わった場合において、次に図15のステップSAが実行されると、判断結果はイエスとなり、制動モード(ステップSC)が繰り返し実行される。また、ステップSC−10を実行することなく2回目以降の制動モードの実行に入った場合は、ステップSC−1において発電制動力brk_cntが0でないため、ステップSC−6にジャンプして以下同様な処理が行われる。
一方、ステップSC−10を実行した後、次に図15のステップSAが実行されると、brk_cnt=0であるから判断結果はノーとなり、操作力検知信号及び操作力変動量についての判断が行われる(図15のステップS4,S5)。従って、介護者が再び操作力を付与していれば、下り坂ブレーキモードが実行可能となる。操作力がまだ付与されていない場合(手を離したままの場合)は、図15のステップS5からステップSCに進み、再び制動モードが実行される。この場合、図20のステップSC−1において、brk_cnt=0であるため、ステップSC−1からSC−2へ進み、以下同様な処理が繰り返される。
【0049】
上記のような制動モードの処理によれば、ステップSC−7において、発電制動力brk_cntの初期値とは、ステップSC−5において設定された下り坂ブレーキモードの発電制動力brkである。従って、下り坂ブレーキモードにおける発電制動力が、制動モードにおける最初の発電制動力として引き継がれる。このため、制動モードに移行直後に、ブレーキ抜け(ブレーキ力が一時的に失われること)が生じることはない。
また、制動モードでは、下り坂ブレーキモードにおける発電制動力brkをbrk_basis及びbrk_cntに置き換え(ステップSC−5)、brk_cntに基づいて制動モードでのブレーキ力信号の算出を行っている。従って、下り坂ブレーキモードにおける発電制動力brkの値は、制動モードで変更されることなく温存される。そして、制動モードから再び下り坂ブレーキモードに戻ると、温存された発電制動力brkに基づいて新たな発電制動力の設定が行われ(図7)、その発電制動力に基づいて下り坂ブレーキモードが実行される。このため、制動モードから下り坂ブレーキモードに復帰直後に、ブレーキ抜けが生じることはない。
【0050】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の電動車両の制御装置によれば、制御部は、車輪の回転方向と、操作力に対応する回転方向とが互いに一致しないと判断した場合、モータに発電制動力を発生させて減速を行うので、坂道を走行中に操作者が進行方向と逆の操作力を加えれば、発電制動力が発生して操作者の操作力負担が軽減される。従って、必要以上に大きな操作力を加えるこ となく車両の速度が抑制される。この結果、車両の挙動が安定し、坂道における操作性が向上する。また、制御部は、車輪が同一の回転方向に所定量回転しなければ発電制動力を発生させないので、登坂時の一時停止で車輪が一時的に逆転しても、所定量回転しない限り発電制動力の発生が抑制される。従って、かかる一時停止からの再登坂開始時に、直ちにモータによる電動補助を行うことができ、これによって操作性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による電動車両の制御装置の電気回路図である。
【図2】上記制御装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートにおけるステップS3の動作内容を示すフローチャートである。
【図4】図2のフローチャートにおけるステップS6の動作内容を示すフローチャートである。
【図5】図4のフローチャートにおけるステップS6−4及びS6−5の動作内容を示すフローチャートである。
【図6】図2のフローチャートにおけるステップS9の動作内容を示すフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートにおけるステップS9−6の動作内容を示すフローチャートである。
【図8】図6のフローチャートにおけるステップS9−9の動作内容を示すフローチャートである。
【図9】図2のフローチャートにおけるステップS11の動作内容を示すフローチャートである。
【図10】上記制御装置における、操作力と操作力検知信号の関係を示すグラフである。
【図11】上記制御装置における、操作力検知信号Finと駆動力変化量dFapとの関係を示すグラフである。
【図12】操作力検知信号Finの絶対値と発電ブレーキ力の変化量dbrkとの関係を示すグラフであり、(a)はモータへの要求動作が「ブレーキ」の場合を、(b)はモータへの要求動作が「アシスト」の場合を、それぞれ示している。
【図13】上記制御装置を搭載した電動車椅子の側面図である。
【図14】上記制御装置を搭載した電動車椅子の背面図である。
【図15】第2の実施形態の制御装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施形態の制御装置において、駆動輪の回転方向の判別を行うフローチャートである。
【図17】図15のフローチャートにおけるステップS3の動作内容を示すフローチャートである。
【図18】図17のフローチャートにおけるステップS3−Bの動作内容を示すフローチャートである。
【図19】図17のフローチャートにおけるステップS3−Cの動作内容を示すフローチャートである。
【図20】図15のフローチャートにおけるステップSCの動作内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
12 制御部
31R,31L モータ
71R,71L 操作力検知部
121 制御回路
123R,123L 駆動回路
H ホール素子
Claims (1)
- 操作者により電動車両に与えられる操作力の方向と大きさとを検知する操作力検知手段と、
前記電動車両における車輪の回転方向及び回転量を検知する回転方向検知手段と、
前記操作力検知手段によって検知された操作力に基づいた駆動力を、前記車輪を駆動するモータに発生させるとともに、前記回転方向検出手段の検知に基づいて、前記車輪が同一の回転方向に所定量回転し、かつ、その回転方向が、前記操作力検知手段によって検知された操作力に対応する回転方向と一致しないと判断した場合、当該車輪を駆動するモータによって発電制動力を発生させる制御部と
を備えたことを特徴とする電動車両の制御装置。
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