JP3540942B2 - 扁平コアレスモータ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、移動体通信機のサイレントコール手段として用いられる扁平コアレス振動モータあるいは情報機器のディスク駆動部やピックアップ送り機構等に用いられる扁平コアレスモータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の扁平コアレスモータとしては、図3あるいは図4に示すようなものがあった。図3、図4とも扁平コアレス振動モータを一例として挙げたものであり、図3では、浅い円筒型のケーシング21の中央部を内側にバーリングすることにより軸保持部21aが設けられている。この軸保持部21aに一端を圧入した直径0.8ミリ程度の軸22が配される。この軸22には、3個の空心コイル23a,23bおよび23cを60度の配置ピッチで片側に片寄らせて高摺動性樹脂Jで一体成形してなる偏心ロータ24が直接回転自在に支承されている。この偏心ロータ24の前記ケーシング21との空隙側には、さらに略半月型のタングステン粉末をポリアミド樹脂にバインドして射出成形したウエイト25を両面粘着層を介して接着している。
【0003】
この他側には、印刷配線板からなる平板コミュテータ26が一様に添設されている。また、前記偏心ロータ24に磁界を与えるためにわずかな空隙を介して臨ませたリング状のネオジムマグネット27は、90度開角で4極等分着磁されブラケット28に載置されており、このマグネット27の内側において、ブラシベース29が樹脂で前記ブラケット28と一体成形されている。このブラシベース29にはターミナル30が植設され、このターミナル30に基端がスポットされた一対のブラシ31が配され、このブラシ31の自由端が前記平板コミュテータ26に適切な圧力で摺接されるようになっている。
【0004】
また、図4においては、ブラケット28の中央に細手の軸22を固定し、この軸22に高摺動性樹脂にて一体化した偏心ロータ24を回転自在に支承している。この偏心ロータ24には、さらに3個の電機子コイル23a、23bおよび23cが配置ピッチ60゜で互いに重畳しないように片側に偏倚して配されるのは上記と同様で、これらの電機子コイルの外周より出ないようにして印刷配線板からなる平板コミュテータ26を一体化し、その外方にウェイト25が凸部を延在させるように配されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図3に示すような構成では、ウェイトの配置スペースをある程度確保することができるので、ウェイト自体の重量を大に設定できることは可能であるが、その割に重心の移動量を大きくとることができず、振動量を大にすることが難しい。しかも、モータが軸方向に厚型化してしまう嫌いがあり、それを避けようとすると、今度は電機子コイルの巻線に制限を来すことになり、モータの使用電圧範囲が狭まってしまい、ユーザーにとっては非常に扱いずらいものになってしまう。
【0006】
また、図4に示す構成では、ウェイト自体の重量の割に比較的ロータ重心の移動量を大きくとることができるが、そのウェイトの配置スペースを確保するためにマグネットの外径を通常に比べて小さくしておかなければならず、その分モータとしての効率が悪化してしまう。さらに、このような構造では、モータの小径化にしたがって、マグネットが必要以上に小さくなってしまうことから、その小径化が難しく、また、各部材間での接触による当り音が懸念されることから、各部材の寸法を厳しく管理しなければならない。
【0007】
そこで、この発明は、上記のような問題点を解決して、モータが不必要に厚型化することなく振動量を大にでき、またはロータ自体を安定して回転させることのできる扁平コアレスモータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記のような従来の構成において、に前記ロータに配されたコンミテータとを備えた扁平コアレスモータにおいて、前記ロータは一側に前記複数の電機子コイルの一側全面が載置されるよう印刷配線板が添設され、前記ロータの外周には、一側の面が前記印刷配線板から延長され略同一面となり、当該ロータと略同一の厚みからなる密度6〜18のウェイトが配されてなることを特徴とする扁平コアレスモータであって、この構成により上記課題を解決してなるもので、偏心ロータであれば、モータ自体を不必要に厚型化させることなくロータ重心の移動量を大にすることができ、しかも、マグネットを必要以上に小さくさせることなく、したがってモータの小径化が容易となり、円板状ロータであれば、イナーシャを大とすることができるので、ロータの回転振れあるいは回転むらを抑えロータを安定して回転させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の好ましい実施の形態としては、請求項1に示すように、複数個の電機子コイルを合成樹脂で一体成形してなるロータと、このロータの中心に配される軸と、この軸を介して前記ロータを回転自在に支承するハウジングと、このハウジングの一部に配されて前記ロータに磁束を供給するマグネットと、このマグネットの内方において前記ハウジングの一部に配されたブラシと、このブラシの先端が摺接するように前記ロータに配されたコンミテータとを備えた扁平コアレスモータにおいて、前記ロータの外周には、当該ロータと略同一の厚みからなる密度6〜18のウェイトが配されてなるものである。
また、請求項2に示すように、前記ロータは偏心ロータからなるものある。
また、請求項3に示すように、前記ロータは円板状ロータからなるものであってもよい。
【0010】
さらに、請求項4に示すように、前記ウェイトは、複合エンジニアリングプラスチックからなる合成樹脂を一体成形により形成したものがよい。
また、請求項5に示すように、前記ウェイトは、金属加工により形成されたものでも差し支えない。
そして、請求項6に示すように、前記ロータの外周には凹部が設けられるとともに、該凹部に対応して前記ウェイトには凸部が形成され、この凸部と前記凹部を係合させることにより前記ウェイトをロータに装着させてなるのが効果的である。
【0011】
【実施例】
図1は、本発明における扁平コアレス振動モータを一例とした要部断面図であり、図2は、図1における偏心ロータの斜視図である。
同図において、ブラケット8の中央部に形成されたバーリング部に軸2を固定し、この軸2に低摩擦係数でかつ密度1.5程度の高摺動性樹脂にて内側を一体化した偏心ロータ4を回転自在に支承している。この偏心ロータ4には、さらに3個の電機子コイル3a,3bおよび3cが配置ピッチ60゜で互いに重畳しないように片側に偏倚して配されるのは上記と同様で、これらの電機子コイル3a,3bおよび3cの外周には、高密度複合エンジニアリングプラスチック5がロータ4とほぼ同一の厚みで配されている。
【0012】
なお、細手の軸2の先端は、ケース1の透孔1aに摺動性ワッシャ12を介して食い込ませることにより側方の衝撃に耐えられるようになっている。
そして、ロータ4の一側には、印刷配線板からなる平板コミュテータ6が一様に添設されており、また、偏心ロータ24に磁界を与えるためにわずかな空隙を介して臨ませたリング状のネオジムマグネット7が、90度開角で4極等分着磁されてブラケット8に載置されている。このマグネット7の内側において、ブラシベース9には基端が導通接続された一対のブラシ11が配され、このブラシ11の自由端が平板コミュテータ6に適切な圧力で摺接されるようになっている。
【0013】
また、図2に示すように、偏心ロータ4は基本的には、平面形状が従来と変わらず、すなわち、3個の電機子コイル3a,3bおよび3cを配置ピッチ60゜で互いに重畳しないように片側に偏倚させてなるものであるが、これらの電機子コイル3a,3bおよび3cを一体成形する樹脂として外周側を密度6〜18の高密度複合エンジニアリングプラスチック(タングステン粉末をポリアミドでバインドしたもの)からなるウェイト5を用い、内側を密度1,5程度の樹脂Lにしている。
このようにすれば、ウェイトをマグネット側に突出させずに済むため、マグネットを必要以上に小さくすることもなく、モータとしての小径化が容易に実現できることになる。
【0014】
また、ウェイト5の一体成形時、ロータ4との外れ、特に軸方向のずれを防止するために、ウェイト5に凸部5aを形成しておき、この凸部5aに係合する凹部をロータ4の外周に設けておくのがよい。その他、このような外れ防止のための係合部は、図2中、符号Kとして想像線で示すように、各コイル間の2箇所に設けられた突起であっても差し支えない。また、ウェイト5は上述したような樹脂成形品の他に金属加工品であっても問題無く、コイルの配置スペース、巻線の自由度等に配慮して、コイルの外周部分におけるウェイト装着面を幾分外方へ逃がしておくとよい。
【0015】
また、上記実施例では偏心ロータを有する扁平コアレス振動モータについて詳述しているが、円板状ロータを有する通常の扁平コアレスモータにおいて本発明を適用することにも何ら問題となるところはない。
すなわち、円板状ロータの外周に樹脂成形あるいは金属加工よりなるウェイトを配することにより、イナーシャを大とすることができるので、ロータの回転振れあるいは回転むらを抑えロータを安定して回転させることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更して実施可能である。例えば、上記実施例では含油軸受を省くことができるので、軸固定型モータについて詳述しているが、軸回転型モータに適用できるは勿論である。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ロータの外周に、当該ロータと略同一の厚みからなり、密度6〜18の複合エンジニアリングプラスチックあるいは金属加工により形成されたウェイトを配することにより構成したので、偏心ロータであれば、モータ自体を不必要に厚型化させることなくロータ重心の移動量を大にすることができ、しかも、マグネットを必要以上に小さくさせることもないので、モータの小型、小径化が容易となる。また、円板状ロータであれば、イナーシャを大とすることができるので、ロータの回転振れあるいは回転むらを抑えロータを安定して回転させることができる。
【0017】
また、ロータの外周には凹部が設けられるとともに、該凹部に対応してウェイトには凸部が形成され、この凸部と凹部を係合させることによりウェイトをロータに装着させるようにしたので、ロータとの外れ、特に軸方向のずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における扁平コアレス振動モータを一例とした要部断面図である。
【図2】図1における偏心ロータの斜視図である。
【図3】従来における扁平コアレス振動モータを一例とした要部断面図である。
【図4】従来における他の扁平コアレス振動モータを一例とした要部断面図である。
【符号の説明】
1,21…ケース
2,22…シャフト
4,24…ロータ
5,25…ウェイト
5a…凸部
6,26…コンミテータ
7,27…マグネット
8,28…ブラケット
K…突起
Claims (5)
- 複数個の電機子コイルを合成樹脂で一体成形してなるロータと、このロータの中心に配される軸と、この軸を介して前記ロータを回転自在に支承するハウジングと、このハウジングの一部に配されて前記ロータに磁束を供給するマグネットと、このマグネットの内方において前記ハウジングの一部に配されたブラシと、このブラシの先端が摺接するように前記ロータに配されたコンミテータとを備えた扁平コアレスモータにおいて、前記ロータは一側に前記複数の電機子コイルの一側全面が載置されるよう印刷配線板が添設され、前記ロータの外周には、一側の面が前記印刷配線板から延長され略同一面となり、当該ロータと略同一の厚みからなる密度6〜18のウェイトが配されてなることを特徴とする扁平コアレスモータ。
- 前記ロータは、前記複数の電機子コイルが円周方向に偏って配置されると共に、前記ウエイトは偏って配置された電機子コイルの外周部分に設けられた偏心ロータからなる請求項1記載の扁平コアレスモータ。
- 前記ロータは、前記複数の電機子コイルが円周方向に均等に配置されると共に、前記ウエイトはロータの全周に設けられた円板状ロータからなる請求項1記載の扁平コアレスモータ。
- 前記ウェイトは、複合エンジニアリングプラスチックからなる合成樹脂を一体成形により形成したものである請求項1乃至3記載の扁平コアレスモータ。
- 前記ロータの外周には凹部が設けられるとともに、該凹部に対応して前記ウェイトには凸部が形成され、この凸部と前記凹部を係合させることにより前記ウェイトをロータに装着
させてなる請求項1記載の扁平コアレスモータ。
Priority Applications (1)
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JP16613898A JP3540942B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 扁平コアレスモータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16613898A JP3540942B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 扁平コアレスモータ |
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JPH11341772A JPH11341772A (ja) | 1999-12-10 |
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JP16613898A Expired - Fee Related JP3540942B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 扁平コアレスモータ |
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JP4921092B2 (ja) * | 2006-09-26 | 2012-04-18 | 東京パーツ工業株式会社 | 軸方向空隙型ロータと該ロータを備えた軸方向空隙型コアレスモータ。 |
-
1998
- 1998-05-28 JP JP16613898A patent/JP3540942B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11341772A (ja) | 1999-12-10 |
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