JP3540746B2 - 改善された品質のセルロースパルプの製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は改善された引張強さ、引裂強さ、光散乱、及び低結束繊維含量を持つ紙を与える改善されたセルロースパルプの調製のための方法、及びその調製のための装置に関する。
【0002】
先行技術の説明
サーモメカニカルパルプ(TMP)及びケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)のようなセルロースパルプの調製において、繊維は互いに離ればなれにありリグニンを含まない。離解工程は繊維切断ができるだけ避けられるような方式で実行されねばならない。なぜなら長繊維はそのパルプから調製される紙に高引裂抵抗性を与えるからである。なお一緒にくっつく繊維はいわゆる結束繊維を形成し、これが抄紙機におけるウェブ切断または製造される紙の品質低下を起こす。高引張強さを得るために、かつオフセット印刷において紙が水で湿潤させられる時の繊維の立上りを避けるために、繊維間の強力な結合が必要とされる。良好な結合能力を持つ繊維を確保するために、繊維は繊維壁が軟化されるように展開、すなわち処理されねばならず、外部薄層、すなわち一次壁の殆どが除去され、フィブリルが二次壁から解放されるように繊維の表面が処理されねばならない。それにより二次壁間のより良好な接触が得られ、リグニンリッチな疎水細胞間層のいずれの残留物も除去される。しなやかな繊維はコーティング、特に軽量コーテッド・ペーパーに適した滑らかな表面を持つ紙を完成するための必要条件である。
【0003】
スクリーニング部門から来るパルプは紙の製造に適した繊維と、不完全処理繊維及び結束繊維のような更に処理されるか、または砂や樹皮粒のようなシステムから除去されねばならないいずれかの物質、の両者を含む。また細胞間層と一次壁の小片、二次壁からのフィブリルの一部、柔細胞、及び切断繊維の短片からなるある量の微細物がある。微細物質の多くは紙の強度及び光散乱能を増やす。良好な結合能力を持つ繊維を分離するためにスクリーンまたはハイドロサイクロンを使用することが提案されている。スクリーンは粒子寸法により分離し、ハイドロサイクロンは比表面積により分離する。しかし、スクリーンリジェクトはまた長繊維を含み、これは回収されるべきである。リジェクトリファイニングは繊維の結合能力を増やす。
【0004】
ハイドロサイクロンの繊維分級能力に特に影響を及ぼす因子は圧力降下、リジェクト比、ハイドロサイクロン形状寸法、及びパルプスラリー供給濃度である。
【0005】
発明の概要
本発明は改善されたセルロースパルプの調製のための方法に関し、そこでは離解されたセルロースパルプが結束繊維の除去のためにスクリーンされ、低結合能力を持つ繊維がハイドロサイクロンで除去され、ハイドロサイクロン処理からのリジェクトがリジェクトリファイナーで処理されるものであって、その方法は次の特徴:
a)ハイドロサイクロンのベース端流出直径(Db)が14mmより小さい、
b)内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離(Lu)が400mmより大きい、及び
c)ハイドロサイクロンの頂点開口を通る容積流量(Qa)と入口開口を通る容積流量(Qf)の間の比が間隔0.10−0.60内にあるように調節されている、
の組合せを特徴とする。
【0006】
この方法によればハイドロサイクロンで繊維結合能力による満足な分級を得ること及び改善された引張強さ、引裂強さ、光散乱、及び表面平滑性を持つ紙を産出するパルプを調製することができる。
【0007】
この発明の方法の改変法において、ベース端流出開口内の中央にかつ軸方向に置かれた円形断面のブロッキング装置(B)の配置が上記パラメーターa)と置き替えられており、この方法を更に改良して改善された引張強さ、引裂強さ、光散乱、及び表面平滑性に加えて、非常に低い結合繊維含量をも持つ紙を産出することができる。
【0008】
この改良された方法はかくして離解されたセルロースパルプが結合繊維の除去のためにスクリーンされ、低結合能力を持つ繊維が残留結合繊維と共にハイドロサイクロンで除去され、ハイドロサイクロン処理からのリジェクトがリファイナーで処理されるところの改良セルロースパルプの調製のための方法に帰すことができ、前記方法は次の特徴:
a)ハイドロサイクロンの内部ベース流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離(Lu)が400mmより大きく保たれている、
b)ハイドロサイクロンの頂点開口を通る容積流量(Qa)と入口開口を通る容積流量(Qf)の間の比が0.08から0.60の間隔内にあるように調節されている、及び
c)ハイドロサイクロンのベース流出通路が中央にかつ軸方向に配置された円形断面のブロッキング装置(B)を備えており、このブロッキング装置の直径(Dd)のベース流出開口の直径(Db)に対する比が0.1から1.2の間隔内に保たれている、
の組合せを特徴とする。
【0009】
この発明はまたセルロースパルプがスクリーンされるところの方法の適用のための低結合能力を持つ繊維の分離をするハイドロサイクロンCとハイドロサイクロンCからのリジェクトをリファイニングする装置RRを含む装置に帰すことができ、次の特徴:
a)ハイドロサイクロンのベース端流出直径Dbが14mmより小さい、
b)ハイドロサイクロンの内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離Luが400mmより大きい、
c)ハイドロサイクロンの入口開口を通る容積流量Qfに関するハイドロサイクロンの頂点開口を通る容積流量Qaを比Qa/Qfが間隔0.10−0.60内にあるように確立するための手段P,V、
の組合せを特徴とする。
【0010】
この発明は非常に低い結合繊維含量をもたらすこの発明の方法の適用のための改変装置を含み、そこではハイドロサイクロンのベース流出通路が中央にかつ軸方向に配置された円形断面のブロッキング装置Bを備えている。この改変装置はかくしてセルロースパルプがスクリーンされるこの発明の方法の適用のための低結合能力を持つ繊維の分離をするハイドロサイクロンCとハイドロサイクロンCからのリジェクトをリファイニングする装置RRを含む装置に帰すことができ、この装置は次の特徴:
a)ハイドロサイクロンの内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離Luが400mmより大きい、
b)ハイドロサイクロンの入口開口を通る容積流量Qfに関するハイドロサイクロンの頂点開口を通る容積流量Qaを比Qa/Qfが0.08から0.60の間隔内にあるように確立するための手段P,V、及び
c)ハイドロサイクロンのベース端流出通路が中央にかつ軸方向に配置された円形断面のブロッキング装置Bを備えており、このブロッキング装置の直径Ddのベース流出開口の直径Dbに対する比が0.1から1.2の間隔内にある、
の組合せを特徴とする。
【0011】
上記及び下記における表現“ハイドロサイクロン”はいわゆる多段ハイドロサイクロン集成装置を含む一つまたは数個の並列に相互連結されたハイドロサイクロンを意味することを意図している。
【0012】
特にTMP及びCTMPに適用可能であるけれども、この発明の方法及び装置は改良された結合能力が望ましいときは叩解されたケミカルパルプ及びリサイクル繊維から作られたパルプのような、他のタイプのセルロースパルプと共に使用されることもできる。
【0013】
間隔0.10−0.60内にあるべき比Qa/Qfは好ましくは処理されるパルプに依り、特定の限度内に保たれることができる。ケミカルパルプに対しては比Qa/Qfは好ましくは0.10−0.25であり、しかるにTMPに対しては対応する好ましい間隔は0.20−0.40であり、CTMPに対しては0.10−0.30である。
【0014】
低結合能力を持つ繊維の分離方法は一つまたは各段階で異なるQa/Qf比を持つ数個のハイドロサイクロン段階で実施されることができ、もし、例えば二つのハイドロサイクロン段階が用いられるなら、第一段階の比Qa/Qfは間隔0.10−0.40内に保たれることができ、しかるに第二段階の比は0.05−0.25のような低い水準に保たれることができる。
【0015】
低結合能力を持つ繊維の分離のためのハイドロサイクロンの寸法に対しては、ブロッキング装置が用いられないときは、長さ(Lc)と最大円錐直径(Dc)の間の好適比は間隔5.2−6.5内に保たれ、ベース流出直径(Db)と最大円錐直径(Dc)の間の比は間隔0.10−0.20内に保たれ、頂点流出直径(Da)と最大円錐直径(Dc)の間の比は間隔0.18−0.30内に保たれ、かつベース流出直径(Db)と頂点流出直径(Da)の間の比は1より小さく保たれる。
【0016】
ブロッキング装置が用いられるときは、ハイドロサイクロンの寸法は間隔0.10−0.26内に保たれているベース流出直径(Db)と最大円錐直径(Dc)の間の比を除き上述と同じである。
【0017】
端(E)におけるブロッキング装置の直径(Dd)のベース流出開口の直径(Db)に対する比は好ましくはブロッキング装置がハイドロサイクロンのベース端の中央出口管(T)内に配置されておりベース流出開口からハイドロサイクロン室中に軸方向に延びているときは0.1から0.9の間隔内に保たれる。かかる延長は好ましくはベース流出開口の直径(Db)の0から5倍であることができる。またブロッキング装置をハイドロサイクロンのベース端の中央管(T)内に配置し、ベース流出開口から流れ方向にベース流出開口の直径(Db)の0から5倍の距離でこの管内にその端(E)を入れるように軸方向に延ばすこともできる。後者の場合また中央管(T)を流れ方向に広くし、ブロッキング装置の端(E)の直径(Dd)をベース流出開口の直径(Db)より大きくすることも可能である。
【0018】
この発明によれば、低結合能力を持つ繊維の分離のためのハイドロサイクロンからのリジェクトを砂、樹皮及び重い粒子の分離のために設計された一つまたはそれ以上のハイドロサイクロンで処理するのが適しており、この処理は一つまたはそれ以上のハイドロサイクロン段階で実施されることができる。この場合比Qa/Qfが間隔0.05−0.10内に保たれ、ベース流出直径(Db)と頂点流出直径(Da)間の比は1より大きく保たれることが好ましい。
【0019】
図面の簡単な説明
図1はこの発明の方法と装置の適用のためのプラントを概略的に示し、そこでは結束繊維、不満足な結合能力を持つ繊維、及び樹皮がパルプから分離される。
図2はこの発明によるハイドロサイクロンの側面図を概略的に示す。
図3はベース端から見た、図2のハイドロサイクロンの図を示す。
図4は一端が中心管内に位置し、ブロッキング装置のこの端の直径がベース流出開口の直径より大きい中心管内に配置されたブロッキング装置を示す。
図5は低結合能力を持つ繊維の分離のための互いに連結された二つのハイドロサイクロン段階を概略的に示す。
図6は分級における三段階のハイドロサイクロンを示す。
【0020】
好適実施例の説明
図1はサーモメカニカルパルプ(TMP)の分級のための装置システムを示し、そこではリファイナーから来たパルプが結束繊維、不十分に展開された繊維、砂、及び樹皮の分離のために処理される。
【0021】
スクリーンされ、洗浄され、予熱されたチップが二つのリファイナー段階R1とR2(各段階は幾つかのリファイナーを並列に含むことができる)でファイバライズされる。パルプは水で3−4%の濃度に希釈され、レーテンシィチェストL1に導かれ、ここでリファイニング工程に起因する繊維内の種々の形の機械的応力(レーテンシィ)が解放される。パルプは次いでスクリーンS(このスクリーン板は穴またはスロットのいずれかを持つ)を通して約1.5%の濃度でポンプ輸送され、そこで結束繊維の殆どが分離される。未展開繊維は砂、樹脂、及びスクリーンSによりアクセプトされた如何なる短結束繊維と一緒にサイクロンカスケードを形成する特別のハイドロサイクロンC1とC2により展開繊維から分離され、弁V4を通して引き出される。従って、弁V1を通して出る物質は主として良好な結合潜在能力の良く展開された繊維と微細物からなる。パルプ懸濁液はポンプP1とP2によりサイクロンを通してポンプ輸送される。
【0022】
弁V4を通してC2を離れるフラクションは未展開繊維、短結束繊維、砂、及び樹皮を含む。それはポンプP3,P4、及びP5により供給される段階D1,D2及びD3からなるサイクロンカスケードに通される。これらのサイクロンは繊維物質から砂と樹皮の効率的な分離を与えるように設計されている。弁V5を通して離れるD1からのアクセプトはスクリーンSからの結束繊維含有リジェクトと合体し、合体した流れはシックナーUを介して特別のリジェクトリファイナーRRに送られる。
【0023】
ここで、繊維はそれらの結合能力を強化するために今一つの処理を与えられ、繊維はファイバライズされる。パルプはリジェクトリファイナーからレーテンシィチェストL2に行き、そこから主流に戻され、そこでそれは再びSでスクリーンされ、C1で分級される。シックナーUでパルプから引き出された水はレーテンシィチェストL2での希釈のために使用されることができる。第一通過で分離されまだ十分に展開されていないまたはファイバライズされていない繊維と結束繊維は再びリジェクトリファイナーに送られる。弁V10を通してシステムを離れる段階D3のサイクロンからの最終リジェクトは砂と他の重い非繊維物質を含む。
【0024】
ケミメカニカルパルプ(CTMP)のためのシステムは本質的に同じ設計のものであり−主たる差は主流リファイナー前のウッドチップの処理、及びこれらのリファイナーが操作される方式にある。
【0025】
分級のためのサイクロン
主流ハイドロサイクロンC1とC2は主として低結合能力の繊維を分離する。スクリーンで起こるのとは対照的に、これらのサイクロンでは繊維長による分級がない。また、砂及び他のタイプの重い異物は短結束繊維と一緒に分離される。結合能力による分級と重い異物の分離の結合工程は部分的にはサイクロンの特別の設計を通して、部分的にはサイクロンを特別の方式で運転することにより達成される。
【0026】
サイクロンの設計としては、それらの寸法は、TMPから結束繊維、砂、及び樹皮を分離するために使用されるフォワードハイドロサイクロンで一般的なものから全く異なっている。通常のサイクロンは150−300mmの最大円錐直径Dc(図2参照)と1000−1200mmの長さLcを持つが、分級ハイドロサイクロンC1とC2の対応寸法はDc=80mmであり、Lc=475mmである。更に、入口と二つの出口の両者の直径は非常に重要である。この装置で使用され図1に示されたサイクロンにおける以下の表1及び表2に与えられた寸法は満足しうる分級効果をもたらすことが立証されており、一方重い異物もまた効率的に分離される:
【表1】
【0027】
表1と表2による寸法を持ち、以下に述べる条件で操業されるハイドロサイクロンにおいて、良好な結合能力を持つ繊維−すなわち大きな比表面積の柔軟な繊維−の殆どがベース開口を通って離れ、一方未展開繊維は砂と結束繊維と共に頂点開口を主として通過する。
【0028】
比Db/Daは非常に重要な設計パラメーターである。TMPとCTMPを浄化するために使用される通常のサイクロンにおいては、この比はしばしば2に近いが、この発明で使用される分級ハイドロサイクロンにおいてはそれは1より小さい。この点に関して、これらのサイクロンは軽い異物、例えばプラスチックスを繊維から分離するために使用されるハイドロサイクロン、いわゆるリバースサイクロンに似ている。しかし、そのようなハイドロサイクロンが通常の方式で操業されるとき、浄化された繊維(アクセプト)は頂点開口を通って離れ、異物(リジェクト)は比較的少量の繊維と一緒にベース出口を通って離れる。ここに述べられた分級サイクロンにおいては、以下に述べられるように、繊維は全く異なる流れパターンをとる。
【0029】
二つの開口のそれぞれを通って離れるであろう種々の繊維と異物がどれ程であるかはサイクロン中の液体の分配により決定される。この分配(容積流スプリットとも呼ばれる)は比Xq=Qa/Qfにより与えられ、ここでQaは頂点開口を通る容積流量であり、Qfはサイクロンへの供給容積流量である。非常に強い結合能力を持つ繊維は常にベース開口に行き、非常に弱い結合能力を持つ繊維は常にこの発明により設計されたサイクロンの頂点開口に行く。しかし、パラメーターXqはこれらの二つの極端間の結合能力を持つ繊維がどのように分配されるかについて強力な影響を持つ。Xqにおける、すなわち頂点を通って離れる流れの相対量における増大はベースフラクション内の低展開繊維の低含量を導くが、同時に良く展開された繊維のより多くが頂点フラクションを離れるであろう。総合結果に関しては、段階C1のサイクロンを良く展開された繊維の少量部が頂点フラクションと同伴させられるような態様で操業するのが通常有利であり、それによりベースフラクション内の完全に展開されていない繊維の含量が非常に低くなる。これはまた実際的に全ての砂と樹皮、及び他の重いものが図1の弁V4を通してハイドロサイクロンD1に通過させられることを確実とするであろう。この量はもちろん主リファイナーR1とR2をどのように操業するように選択するかにかかっている。弁V1,V2,V3、及びV4はハイドロサイクロンC1とC2の流れ分配を制御するために使用される。
【0030】
TMPとCTMPを浄化するための通常のシステムにおいて、C1位置におけるサイクロンに対するXqは通常およそ0.10である。このため、対応C2段階はかなり少ない流れがC1から来るので、この発明の分級システムにおけるものより顕著に小さい。従ってサイクロン自体が目的に適していないという事実は別として、与えられた通常の設備においてC1における頂点流量を増加することによって顕著な分級を得ることは実際には不可能である。今一つの重要なプロセス操作パラメーターはこの発明の分級システムにおけるC1のサイクロンへの供給物の濃度である。一般に、分級効率は高濃度におけるよりも低濃度においてより高い。他方で、低濃度はまた大きな流れ容積をもたらす。分級ハイドロサイクロンのための最適供給濃度は従って通常0.3−1.2%の範囲にあろう。
【0031】
前節等で与えられたサイクロン寸法と操作条件により、繊維分級は表3に従って起こる。これは表面積と柔軟性により、繊維材料がどのサイクロン開口により優先的に離れるかを示す。繊維がより柔軟であり、それらの比表面積が大きい程、ベース出口を通って離れる傾向がより強い。柔軟でありまた大きな表面積(繊維壁内の部分的に解放されたフィブリルのために)を持つ繊維が最良の結合能力を持つ。
【表2】
【0032】
高比重量の異物の分離のためのサイクロン
図1の弁V4を通してハイドロサイクロンC2を離れる流れは大部分は砂、樹皮、及び繊維の比重量を越える比重量を持つ他の異物と一緒に、未展開繊維と結束繊維からなる。この重い物質は段階D1,D2、及びD3のハイドロサイクロンにより繊維物質から分離される。これらのサイクロンはC1とC2のそれらとは異った設計をされており、他の値のXqで、通常0.05−0.10で操業される。図2に関するそれらの主寸法は表4に示されている。
【表3】
【0033】
サイクロン室の長さLcは475mmである。かくして、これらのサイクロンは通常のシステムで砂等の分離のために通常適用されるところの例えばDc=150−300mmでLc=1000−1200mmのものより小さい。分級ハイドロサイクロンC1とC2のいずれとも対照的に、それらのベース出口はそれらの頂点出口より広く、すなわちDb/Daは1より大きい。これらのハイドロサイクロンのベース端流出部にブロッキング装置はない。
【0034】
この発明が以下の例により示される。
【0035】
例1.
図1による新聞印刷用紙用TMPを作るための工場において、サイクロンC1とC2の容積流分割のための異なる値の組を持つ二つの場合でのパルプ試料が取られた。試料採取位置は図5に示される。各試料は比引張強さ、比引裂強さ、及び光散乱係数について試験された。試験結果は表5と表6に与えられており、ここで、
D=比引張強さ Nm/g
R=比引裂強さ Nm2/kg
L=光散乱係数 m2/kg
各試験実施で用いられた容積流分割Xqもこれらの表中に示されている。
【表4】
表中のデータは用いられた容積流分割の両者において、主ライン−位置2−内のこの発明により処理されたパルプが全ての三つの品質パラメーターについて流入パルプ−位置1−よりかなり高い、すなわちより良い、値を持つこと、及び更なる処理のために通過されるパルプ−位置4−がずっと弱くかつより小さな光散乱を与えることを明らかに示す。
【0036】
例2.
分級ハイドロサイクロンからのベース及び頂点フラクション間の強度の大きな差は頂点フラクション中の微細物のずっと低い含量のためであり、またそこの微細物は恐らくベースフラクション中のそれらよりより小さい強度増大能力を持つことが示唆された。しかし、この仮説は否定されることが、以下の試験で示される:
試料は上述と同じ製造ラインのサイクロン段階C1中のベース及び頂点フラクションから取られ、比引張強さが全試料及びBauer−McNett分級機で繊維長により分割された試料の両者で測定された。16−30メッシュフラクション、すなわち16メッシュスクリーンを通過し30メッシュスクリーン上に保持される繊維は、結束繊維も微細物も含まない(結束繊維は16メッシュにより保持され、一方微細物は30メッシュを通過する)。このフラクション(これはこの試験では全試料の約15%を構成する)の比引張強さは繊維が如何に展開されたかの良好な尺度であると考えられる。以下の表7に示される観察された比引張強さ値は全試料並びに頂点流からの16−30及び50−200メッシュフラクションがベース流のそれらに比べて、より劣る品質のものであったことを明らかに示す。従ってベースと頂点流の間の強度差は微細物の量または品質における差に起因しないことが明らかである。
【表5】
【0037】
例3.
新聞印刷用紙用TMPがパルプ中の低結合能力を持つ繊維の量及びそれと共に分級の必要性とそれに続くリファイニング装置の寸法を決定するために実験室試験で分級された。分級は図6による三段階で実施された。用いられたハイドロサイクロンは図1に述べたハイドロサイクロンCと同じタイプのものであった。試料が取られ比引張強さについて試験された。これらの試みのために、繊維流分割Xmがまた容積流分割Xqに加えて報告される。Xmはサイクロンの頂点パルプ流量と供給パルプ流量の間の比として規定される。結果は表8に示される。
【表6】
表8は新聞印刷用紙用パルプが分級されたとき、全ての三つの段階からのベースフラクションはサイクロン1に供給された原パルプより高い比引張強さを持っていたことを示す。サイクロン3からの頂点フラクションはシステムに流れるパルプの25%を含んでおり、非常に低い比引張強さを持っていた。このフラクションはリファイナーでの更なる処理を必要とする非常に低い結合能力の繊維から主としてなると仮定することができる。
【0038】
例4.
LWC(計量コーテッドペーパー)用TMPがパルプ中の低結合能力を持つ繊維の量及び分級の必要性とそれに続くリファイニング装置の寸法の決定のために実験室試験で分級された。分級は図6により実施された。用いられたハイドロサイクロンは図1に述べたハイドロサイクロンCと同じタイプのものであった。試料が取られ比引張強さについて試験され、繊維分割Xmが報告された。LWC用パルプは新聞印刷用紙用TMPよりずっと高い主ラインリファイナーへのエネルギー入力で通常離解され、これが完全に展開された繊維の大比率をもたらす。従って分級の効果はより低いと予想できる。試験の結果は表9に示される。
【表7】
表9の結果は驚くべきことに、サイクロン1のベースフラクションのみならずサイクロン2のベースフラクションもまたシステムへのパルプ供給物が持つより高い比引張強さを持っていたことを示す。システムへのパルプ供給物の16%を構成するサイクロン3からのリジェクトは原パルプよりかなり低い比引張強さを示した。従って、この発明による分級はLWCのために用いられるTMPに対してさえ有利である。
【0039】
上の例において、この発明はハイドロサイクロンからのリジェクトのための別個のリファイナーを用いて説明される。しかし、この発明によれば、ハイドロサイクロンからのリジェクトを主ラインのリファイナーに戻すこともできる。
【0040】
例5.
図1による新聞印刷用紙用TMPを製造するための工場において、パルプ試料がブロッキング装置を持たない(A)及びブロッキング装置を持つ(B)ハイドロサイクロンC1のベース流出流から及び頂点流出流から取られた。試料は比引張強さ、光散乱係数、及び結束繊維分離について試験された。入口濃度は0.52%であり、Xq=0.25であった。試験(A)においてハイドロサイクロンは表1に与えられた寸法を持ち、一方試験(B)においてブロッキング装置を持つハイドロサイクロンは表2に与えられた寸法とベース流出開口と同じレベルにブロッキング装置端を持っていた。結果は表10に与えられ、そこではD=比引張強さNm/g、L=光散乱係数m2/kg、及びS=長さがそれぞれ2と4mmの結束繊維に対する%での結束繊維分離効率である:
【表8】
表中のデータは上述のブロッキング装置が用いられる時に改変例(B)により処理されたパルプがかなり改善された結束繊維分離効率を持つことを明らかに示す。また引張強さ及び光散乱係数の改善もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法と装置の適用のためのプラントを概略的に示し、そこでは結束繊維、不満足な結合能力を持つ繊維、及び樹皮がパルプから分離される。
【図2】この発明によるハイドロサイクロンの側面図を概略的に示す。
【図3】ベース端から見た、図2のハイドロサイクロンの図を示す。
【図4】一端が中心管内に位置し、ブロッキング装置のこの端の直径がベース流出開口の直径より大きい中心管内に配置されたブロッキング装置を示す。
【図5】低結合能力を持つ繊維の分離のための互いに連結された二つのハイドロサイクロン段階を概略的に示す。
【図6】分級における三段階のハイドロサイクロンを示す。
Claims (33)
- 改善されたセルロースパルプの調製方法であって、離解されたセルロースパルプが結束繊維の除去のためにスクリーンされ、低結合能力を持つ繊維がハイドロサイクロン(C)中で除去され、ハイドロサイクロン(C)処理からのリジェクトがリファイナーで処理されるものにおいて、次の特徴:
a)ハイドロサイクロン(C)のベース端流出直径(Db)が14mmより小さい、
b)内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離(Lu)が400mmより大きい、及び
c)頂点開口を通る容積流量(Qa)と各ハイドロサイクロン(C)の入口開口(単数または複数)を通る容積流量(Qf)の間の比が間隔0.10−0.60内にあるように調節されている、
の組合せを特徴とする方法。 - ハイドロサイクロン(C)処理からのリジェクトが別個のリファイナー段階で処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- セルロースパルプがケミカルパルプであり、比Qa/Qfが主分級段階で間隔0.10−0.25内に保たれることを特徴とする請求項1−2に記載の方法。
- セルロースパルプがサーモメカニカルパルプ(TMP)であり、比Qa/Qfが間隔0.20−0.40内に保たれることを特徴とする請求項1−2に記載の方法。
- セルロースパルプがサーモメカニカルパルプ(TMP)であり、比Qa/Qfが間隔0.15−0.35内に保たれることを特徴とする請求項1−2に記載の方法。
- セルロースパルプがケミメカニカルパルプ(CTMP)であり、比Qa/Qfが間隔0.10−0.30内に保たれることを特徴とする請求項1−2に記載の方法。
- 低結合能力を持つ繊維の分離が幾つかの異なるハイドロサイクロン(C)段階で実施されることを特徴とする請求項1−6に記載の方法。
- 二つのハイドロサイクロン(C)段階が用いられ、それにより第一段階のQa/Qfが間隔0.10−0.40内に保たれ、第二段階のQa/Qfが間隔0.05−0.25内に保たれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- ハイドロサイクロン(C)室の長さ(Lc)とハイドロサイクロン(C)の最大内部円錐直径(Dc)の間の比が間隔5.2−6.5内に保たれることを特徴とする請求項1−8に記載の方法。
- ハイドロサイクロン(C)のベース流出直径(Db)と最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔0.10−0.20内に保たれることを特徴とする請求項1−9に記載の方法。
- ハイドロサイクロン(C)の頂点流出直径(Da)と最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔0.18−0.30内に保たれることを特徴とする請求項1−10に記載の方法。
- ハイドロサイクロン(C)のベース流出直径(Db)と頂点流出直径(Da)の間の比が1より小さく保たれることを特徴とする請求項1−11に記載の方法。
- 低結合能力を持つ繊維の分離のためのハイドロサイクロン(C)からのリジェクトが砂、樹皮、及び重い粒子の分離のために設計されたハイドロサイクロン(D)で処理されることを特徴とする請求項1−12に記載の方法。
- 重い粒子の分離のためのハイドロサイクロン(D)における頂点開口を通る容積流量(Qa)と入口開口を通る容積流量(Qf)の間の比が間隔0.05−0.10内に保たれ、ベース流出直径(Db)と頂点流出直径(Da)の間の比が1より大きく保たれることを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 重い粒子の分離が幾つかのハイドロサイクロン(D)段階で実施されることを特徴とする請求項13−14に記載の方法。
- 改善されたセルロースパルプの調製方法であって、離解されたセルロースパルプが結束繊維の除去のためにスクリーンされ、低結合能力を持つ繊維がハイドロサイクロン(C)で除去され、かつハイドロサイクロン(C)処理からのリジェクトがリファイナーで処理されるものにおいて、次の特徴:
a)ハイドロサイクロン(C)の内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離(Lu)が400mmより大きく保たれている、
b)各ハイドロサイクロン(C)の頂点開口を通る容積流量(Qa)と入口開口(単数または複数)を通る容積流量(Qf)の間の比が0.08から0.60の間隔内にあるように調節されている、及び
c)各ハイドロサイクロン(C)のベース端流出通路が中央にかつ軸方向に配置された円形断面のブロッキング装置(B)を備えており、このブロッキング装置の端(E)における直径(Dd)のベース流出開口の直径(Db)に対する比が0.1から1.2の間隔内に保たれている、
の組合せを特徴とする方法。 - ブロッキング装置(B)の直径(Dd)のベース流出開口の直径(Db)に対する比が0.1から0.9の間隔内に保たれていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
- ブロッキング装置(B)がハイドロサイクロン(C)のベース端の中央出口管(T)内に配置されており、ベース流出開口からハイドロサイクロン(C)室中に軸方向に延びていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
- ブロッキング装置(B)がベース流出開口の直径(Db)の0から5倍の距離だけハイドロサイクロン(C)室中へ延びるように配置されていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
- ブロッキング装置(B)がハイドロサイクロン(C)のベース端の中央出口管(T)内に配置されており、その端(E)をこの管内に入れて軸方向に延びていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
- ブロッキング装置(B)の端(E)がベース流出開口から流れ方向にベース流出開口の直径(Db)の0から5倍の距離に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 中央管(T)が流れ方向に広くなっており、ブロッキング装置(B)の端(E)の直径(Dd)がベース流出開口の直径(Db)より大きく保たれていることを特徴とする請求項20−21に記載の方法。
- セルロースパルプがスクリーンされる請求項1−14に記載の方法の適用のための装置であって、低結合能力を持つ繊維の分離のためのハイドロサイクロン(C)とハイドロサイクロン(C)からのリジェクトをリファイニングするための装置(R)を含むものにおいて、次の特徴:
a)ハイドロサイクロン(C)のベース端流出直径(Db)が14mmより小さい、
b)ハイドロサイクロン(C)の内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離(Lu)が400mmより大きい、
c)各ハイドロサイクロン(C)の入口開口(単数または複数)を通る容積流量(Qf)に関するハイドロサイクロン(C)の頂点開口を通る容積流量(Qa)を比Qa/Qfが間隔0.10−0.60内にあるように確立するための手段(P,V)、
の組合せを特徴とする装置。 - ハイドロサイクロン(C)室の長さ(Lc)とハイドロサイクロン(C)の最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔5.2−6.5内にあり、ハイドロサイクロン(C)のベース流出直径(Db)と最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔0.10−0.20内にあり、ハイドロサイクロン(C)の頂点流出直径(Da)と最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔0.18−0.30内にあり、かつベース流出直径(Db)と頂点流出直径(Da)の間の比が1より小さいことを特徴とする請求項23に記載の装置。
- セルロースパルプがスクリーンされる請求項16−22に記載の方法の適用のための装置であって、低結合能力を持つ繊維の分離のためのハイドロサイクロン(C)、及びハイドロサイクロン(C)からのリジェクトをリファイニングするための装置(R)を含むものにおいて、次の特徴:
a)ハイドロサイクロン(C)の内部ベース端流出開口と頂点開口の最狭部の間の距離(Lu)が400mmより大きい、
b)各ハイドロサイクロン(C)の入口開口(単数または複数)を通る容積流量(Qf)に関する各ハイドロサイクロン(C)の頂点開口を通る容積流量(Qa)を比Qa/Qfが間隔0.08−0.60内にあるように確立するための手段(P,V)、
c)ハイドロサイクロン(C)のベース端流出通路が中央にかつ軸方向に配置された円形断面のブロッキング装置(B)を備えており、このブロッキング装置の直径(Dd)のベース流出開口の直径(Db)に対する比が0.1から1.2の間隔内にある、
の組合せを特徴とする装置。 - 端(E)におけるブロッキング装置(B)の直径(Dd)のベース流出開口の直径(Db)に対する比が0.1から0.9の間隔内に保たれていることを特徴とする請求項25に記載の装置。
- ブロッキング装置(B)がハイドロサイクロン(C)のベース端の中央出口管(T)内に配置され、ベース流出開口からハイドロサイクロン(C)室中へ軸方向に延びていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
- ブロッキング装置(B)の端(E)がハイドロサイクロン(C)室中にベース流出開口の直径(Db)の0から5倍の距離に配置されていることを特徴とする請求項27に記載の装置。
- ブロッキング装置(B)Bがハイドロサイクロン(C)のベース端の中央出口管(T)内に配置され、この管内にその端(E)を入れて軸方向に延びていることを特徴とする請求項25に記載の装置。
- ブロッキング装置(B)の端(E)がベース流出開口から流れ方向にベース流出開口の直径(Db)の0から5倍の距離に配置されていることを特徴とする請求項29に記載の装置。
- 中央管(T)が流れ方向に広くなっており、ブロッキング装置(B)の端(E)の直径(Dd)がベース流出開口の直径(Db)より大きく保たれていることを特徴とする請求項29−30に記載の装置。
- ハイドロサイクロン(C)室の長さ(Lc)とハイドロサイクロン(C)の最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔5.2−6.5内にあり、ベース流出直径(Db)と最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔0.15−0.35内にあり、頂点流出直径(Da)と最大円錐直径(Dc)の間の比が間隔0.18−0.30内にあり、かつベース流出面積と頂点流出面積の間の比が1より小さいことを特徴とする請求項25−31に記載の装置。
- さらにハイドロサイクロン(C)からのリジェクトの処理のための砂、樹皮及び重い粒子の分離のためのハイドロサイクロン(D)を含むことを特徴とする請求項23−32に記載の装置。
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