JP3540049B2 - 位置検出装置及びその位置指示器 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電磁誘導作用を利用して位置指示器とタブレット間を接続しない、コードレスの位置検出装置およびその位置指示器に関するものである。特に、位置指示器の複数箇所の座表位置を検出し、あるいは位置指示器のタブレット面に対する回転角を検出することができる位置検出装置及びその位置指示器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置に関して特願昭61−213970号あるいは特開平3−189716号に開示される様に、センス部と位置指示器との間で電波をやりとりすることにより、タブレットとの位置指示器とのケーブルによる接続を無くした位置検出装置が知られている。
【0003】
しかし、この種の位置検出装置では一般に位置指示器における座標指示部を一箇所のみとしているため位置指示器のおかれている方向を入力するできない。これに対して、位置指示器の回転角を入力したいという要求がある。
【0004】
例えば、電子黒板に用いるイレーサーとしてはその作用面の形を長方形としたいという要求があり、これを実現するためには少なくとも長方形を認識するための2点の座表位置またはタブレット面に対するイレーサーの長方形の回転角度を検出する必要がある。
【0005】
また、2次元平面や3次元空間などのシミュレーション等において指示位置の座標値とともに、これを起点とする指示方向を入力したいという要求がある。
【0006】
これらの課題に対して、本出願人は特願平4−16953号(特開平5−210450号)において、それぞれ共振周波数の異なる複数個の共振回路を位置指示器内に設けて位置指示器の回転角度を検出可能としている。
【0007】
これ自体は優れたのものであるが、複数の周波数を用いるため構成が複雑となる問題がある。
【0008】
また、本出願人は特願昭63−224786号(特開平2−73418号)において、共振周波数をわずかにずらした複数個の共振回路を位置指示器に設け、この共振回路をスイッチで切替え、タブレット側では、該複数の共振回路からの位相の異なる位置信号を検出し、この検出信号によって複数位置を検出し、これに基づいて回転角を検出している。
【0009】
しかし、共振回路の切替えをタブレット側の動作とは別に行っているため、その切替え周期をタブレット側の座標検出の周期に比較して十分に長く取らなければならないため、時間的に無駄を生じて、動作効率が悪くなる問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの点を改良するもので、位置指示器内の複数箇所に設けられた位置指示用のコイルを、タブレット側からの1種類の周波数信号で位置検出動作と同期して選択・切替可能とした、構成が複雑化しない、しかも動作効率が高い位置検出装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、位置指示器の複数の位置指示部にそれぞれコイルを設けるとともに位置指示器にはこれらの複数のコイルのうちの一つを選択する手段が設けられており、選択されたコイルはタブレットとの電磁誘導作用によりその位置をタブレット側で検出するために用いる様に構成した。
【0012】
また、タブレットからは位置指示器内の複数のコイルより一つを選択するための指示信号を送信し、位置指示器側ではこの受信された指示信号に対応してコイルを選択するように構成した。
【0013】
【作用】
したがって、コイルの切替えをタブレット側の動作に同期させて行うことができるため、時間的に無駄がなく高速度で複数箇所の指示位置および回転角度を検出することができる。
【0014】
【実施例】
本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例の位置検出装置としてのタブレット1の要部回路構成図を示す。即ち、図1において、X軸に40本のループコイルX1〜X40が配置され、Y軸に40本のループコイルY1〜Y40が検出方向に互いに平行に図示の如く配置されている。このループコイルは各々のループコイルを選択する選択回路2に接続されている。この選択回路2は送受切替回路3に接続され、この送受切替回路3の受信側にはアンプ5が接続され、このアンプ5は検波回路6に接続されている。この検波回路6はローパス・フィルター7に接続され、このローパス・フィルター7はサンプルホールド回路8に接続され、このサンプルホールド回路8がA/D回路(アナログ・デジタル変換回路)9に接続され、このA/D回路9はCPU(中央処理装置)10に接続されている。このCPU10から制御信号が前記選択回路2、サンプルホールド回路8、A/D回路9および送受切替回路3にそれぞれ接続されている。また、図中11は位置指示器の共振回路の共振周波数に等しい周波数の正弦波交流信号を発生する発信器を示し、12は該交流信号を電流に変換する電流ドライバを示す。
【0016】
図2は、本発明の実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【0017】
図3は該位置指示器の外観およびコイルの配置図を示す。
【0018】
即ち、位置指示器15の2つの指示位置にインダクタンスの等しいコイル18および19が配置されている。また、コイル18とコイル19の一方の端子およびコンデンサ20の一方の端子はいづれも、電源回路24、検波回路25、検波回路26、にそれぞれ接続されている。該検波回路25は時定数の大きい積分回路27に接続され、検波回路26は時定数の小さい積分回路28に接続されている。該積分回路27はコンパレータ29に、積分回路28はコンパレータ30にそれぞれ接続されている。このコンパレータ29はラッチ回路31のデータ端子Dに接続され、コンパレータ30は該ラッチ回路31のトリガ端子Tにそれぞれ接続されている。
【0019】
また、コイル18および19の他方の端子はそれぞれスイッチ21に接続され、該スイッチ21によりどちらかのコイル18または19が選択されてコンデンサ20の他方の端子と接続されることにより共振回路51または52を形成するように構成される。この点は本発明の特徴の一つである。
【0020】
ただし、本実施例ではラッチ回路31の出力がない場合(“0”出力)は、スイッチ21はコイル18に接続されるように構成されている。
【0021】
この共振回路の共振周波数はタブレットから送信する電波の周波数と一致している。
【0022】
ここで、前記ラッチ回路31のデータ端子Dにその出力が供給される第1の経路34を形成する積分回路27およびコンパレータ29は、該積分回路27の時定数と該コンパレータ29の基準値との関係を前記タブレット1からの送信電磁波が第1の所定時間(本実施例では、300μsよりも十分長い時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。また、前記ラッチ回路31のトリガー端子Tにその出力が供給される第2の経路35を形成する積分回路28およびコンパレータ30は、該積分回路28の時定数と該コンパレータ30の基準値との関係を前記タブレット1からの送信電磁波が前記第1の所定時間より短い時間である第2の所定時間(本実施例では、100μsよりも十分長い時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。この第1および第2の経路は本発明の特徴の一つである。
【0023】
図2の具体的な回路構成は図4に示され、図4で図2と同一の符号はそれぞれ図2と同一のものを示す。但し、C1R1>C2R2の様に構成されている。
【0024】
図5は前記CPU10内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【0025】
図6、図7、図8及び図9は、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。ただし、図6および図7は図面の寸法上図10に示す如く1つの図面を2つに分けて示し、図8および図9も図面の寸法上図11に示す如く1つの図面を2つに分けて示している。また、図中、コイル番号とは選択されたループコイルを示し、Tは送信モード(位置検出装置からの送信期間)を示し、Rは受信モード(位置検出装置の受信期間)を示す。
【0026】
図10は、図6と図7との結合関係を示す図。
【0027】
図11は、図8と図9との結合関係を示す図。
【0028】
この様に構成した本発明実施例の動作を説明する。
【0029】
まず、位置指示器15がタブレット1のどの位置に置かれたかを検出する為のX軸全面スキヤンが行われる(ステップ40)。この全面スキヤンは従来装置と同様に行われる。
【0030】
CPU10はループコイルX1を選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続させ、前記ループコイルX1に前記発信器11の正弦波交流信号を供給する。これにより、ループコイルX1から位置指示器15に送信電磁波(イ)が送信される。この時、ラッチ回路31の出力端には信号が発生していないので、スイッチ21はコイル18の側を選択してコンデンサ20と接続して共振回路51が構成される。従って、タブレット1から前記送信電磁波(イ)が送信されると位置指示器15ではコイル18とコンデンサ20とによって構成される共振回路51には前記送信電磁波による誘電電圧が発生される。
【0031】
CPU10は、この送信モードを所定時間(例えばT=100μs)実行すると、次に選択回路2をループコイルX1を保持した状態で送受切替回路3を受信側に切替えて位置指示器15からの信号を受信する受信モードを所定時間(例えばR=100μs)実行する。
【0032】
この動作が図6に示す如くX軸方向のループコイルX1からX40の全部について各々行われ、どのループコイルを選択した時に位置指示器15からの受信信号が最大になるかに基づいて位置指示器15のタブレット1上の位置を決定する。
【0033】
他方、 位置指示器15は全面スキャンモードのときは、前述したようにラッチ回路31の出力に信号が発生せず、該送信電磁波(イ)によりコイル18とコンデンサ20により構成される前記共振回路51が励振され誘導電圧が発生される。受信モード中は、送信電磁波(イ)は停止されるが、該誘導電圧によりコイル18から電磁波が発生され、この電磁波がタブレット1の選択されているループコイルを逆に励振するため、該ループコイルに誘導電圧を発生させる。この誘導電圧はコイル18に最も近いループコイルにおいて最大値となるのでコイル18の座標値すなわち位置指示器15のおよその指定位置が求まる。
【0034】
本実施例では、位置指示器15がループコイルX7、Y5の位置を指示している場合であり、これを例とし全面スキャン動作を説明する。
【0035】
CPU10が送信モードおよび受信モードを各ループコイルについて繰り返し、ループコイルX7を選択回路2に選択させる。ループコイルX7から送信電磁波(イ)が位置指示器15に送信される。この送信電磁波(イ)により位置指示器15に構成される共振回路51が励振され誘導電圧(ロ)が前記共振回路51に発生される。該所定時間後に、タブレット1は受信モードになり、送信電磁波(イ)は消滅する。
【0036】
しかし、該誘導電圧(ロ)が減衰するまでこの誘導電圧(ロ)により位置指示器15から電磁波が送出され、この電磁波がループコイルX7により受信される。ループコイルX7はこの電磁波で励振され、ループコイルX7に誘導電圧が発生する。この誘導電圧がアンプ5で増幅される。アンプ5で増幅された受信信号(a)は検波回路6で検波され、ローパスフィルター7に送出される。ローパスフィルター7は前記共振回路51の共振周波数より充分低い遮断周波数を有しており、検波回路6の出力信号を直流信号に変換し、この直流信号がサンプルホールド回路7において信号(b)の如くサンプルホールドされ、A/D回路9によりアナログ・デイジタル変換され、CPU10に送出される。CPU10は、このデイジタル値に変換された各受信信号のレベル分布に基づいて位置指示器15の位置を検出するが、本実施例ではループコイルX7からの受信信号レベルが最大値となり、位置指示器15のX軸方向の位置が検出される。CPU10はループコイルX7を位置指示器15のX軸方向の位置として記憶する(ステップ42)。
【0037】
X軸全面スキャンにおいて、タブレット1での受信信号レベルがいずれも所定のしきい値以下である場合にはCPU10は位置指示器15はタブレット1上にないと判別してX軸全面スキャンを繰り返す(ステップ41)。
【0038】
このX軸全面スキャンと同様な動作が、Y軸方向に於てもおこわれる。即ち、図7に示す如くY軸全面スキャンがX軸全面スキャンと同様な動作でおこなわれ、CPU10は位置指示器15のタブレット1上のY軸方向の位置としてループコイルY5を記憶する(ステップ43〜44)。
【0039】
位置指示器15の指示したタブレット1上のコイルNO.(本実施例ではX7およびY5)が決定されると、このコイルの前後5本のループコイルについての部分スキャンが行われる。この部分スキャンは、タブレット1上に置かれた位置指示器15の位置を検出するためのものであり、位置指示器15がタブレット1上で移動された場合はその軌跡を検出するためのものである。
【0040】
まず、充電動作が開始される(ステップ45)。即ち、CPU10は選択回路2にループコイルX7を選択させ、送受切替回路3を送信端子T側に接続させる(図8)。この状態で、CPU10は所定時間(本実施例では、T=300μs)ループコイルX7から送信電磁波(イ)を位置指示器15に送信する。これにより、前記共振回路51に誘導電圧(ロ)が発生し、この誘導電圧(ロ)により電源回路24が充電される。この誘導電圧(ロ)は、検波回路25および26にそれぞれ入力され、検波回路25および26からそれぞれ検波出力(へ)および(ハ)が出力される。
【0041】
この検波出力(ハ)により第2の経路からは積分出力(ニ)、コンパレータ出力(ホ)が図示の如く出力される。しかし、CPU10が送信時間を300μsとしているため、第1の経路34からは該コンパレータ出力(チ)は出力されない。これは、本発明の特徴の一つである。
【0042】
CPU10は充電のための送信時間T=300μs後に、所定の受信時間(本実施例では、R=100μs)経過後に部分スキャンに移行する(ステップ46)。
【0043】
CPU10はループコイルX7を選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルX7は送信電磁波(イ)を位置指示器15に送出する。この送信電磁波(イ)により位置指示器15の共振回路51が励振され誘導電圧(ロ)が前記共振回路51に発生される。この誘導電圧(ロ)は検波回路25および26でそれぞれ検波され検波出力(ヘ)および(ハ)が出力される。この検波出力(ハ)は積分回路28で積分され、この積分出力(ニ)がコンパレータ30で基準値と比較される。また、検波出力(ヘ)は積分回路27で積分され、この積分出力(ト)がコンパレータ29で基準値と比較される。
【0044】
CPU10による送信モード期間はT=100μsであるので、前述の如く第1の経路34および第2の経路35からは出力(ホ)および(チ)は出力されず、ラッチ回路31の出力(リ)は出力されず、スイッチ21の状態は変化しない。
【0045】
ラッチ回路31の出力(リ)が出力されない状態では、タブレット1でコイル18の座標値(第1の座標値)が検出される。
【0046】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルX5を選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルX5の受信モードにおいて、前記ステップ40で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0047】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルX7を選択し、受信モードではループコイルX6、X7、X8およびX9をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ46)。
【0048】
前述の様に、本実施例では位置指示器15がループコイルX7、Y5を指示しているので、X軸方向の部分スキャンではループコイルX7の受信モードで最大受信電圧Vp1を得、その前後のループコイルX6、X8の受信モードで受信電圧Va1、Vb1をそれぞれ得る。
【0049】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0050】
即ち、送信モードではループコイルY5を選択し、受信モードではループコイルY3、Y4、Y5、Y6およびY7をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ46)。
【0051】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY5の受信モードで最大受信電圧V’p1を得、その前後のループコイルY4、Y6の受信モードで受信電圧V’a1、V’b1をそれぞれ得る。
【0052】
このステップ46で検出される座標値はコイル18の位置に対応した位置(以下、第1の座標値X1、Y1という)を示す。
【0053】
この部分スキャン動作で受信信号レベルが所定のしきい値以下であれば、CPU10は位置指示器15はタブレット1上にないと判別して、処理動作をステップ40に戻す(ステップ47)。
【0054】
CPU10は、X軸方向およびY軸方向の第1の座標値検出の為の上記部分スキャンが終了すると(ステップ46)、次いでコイル19の座標値(第2の座標値)を求めるための部分スキャンを行う(ステップ48、図9)。
【0055】
まず、CPU10はコイル19をコンデンサ20と接続して共振回路52を構成するため所定時間(本実施例ではT=700μs)タブレット1から送信電磁波を送信させる。
【0056】
即ち、CPU10は選択回路2にループコイルX7を選択させ、送受切替回路3を送信端子T側に接続させる。この状態で、CPU10は所定時間(本実施例では、T=700μs)ループコイルX7から送信電磁波(イ)を位置指示器15に送信する。これにより、コイル18とコンデンサ20で構成される共振回路51に誘導電圧(ロ)が発生する。この誘導電圧(ロ)は、検波回路25および26にそれぞれ入力され、検波回路25および26からそれぞれ検波出力(へ)および(ハ)が出力される。
【0057】
第2の経路35は100μsより十分長い時間送信電磁波(イ)が送出された場合に(例えば、200μs経過後)コンパレータ出力(ホ)をラッチ回路31に出力する様に構成されており、タブレット1の送信時間が700μsなので、この送信期間中にコンパレータ出力が出力される。
【0058】
即ち、検波出力(ヘ)により積分回路28からは所定の時定数で立ち上がる図示の様な積分出力(ニ)が出力され、コンパレータ30の基準値を越えたときにコンパレータ出力(ホ)が図示の如く出力される。
【0059】
第1の経路34は300μsより十分長い時間送信電磁波(イ)が送出された場合に(例えば、400μs経過後)コンパレータ出力(チ)をラッチ回路31に出力する様に構成されており、タブレット1の送信時間が700μsなので、この送信期間中にコンパレータ出力が出力される。
【0060】
即ち、検波出力(ト)により積分回路27からは所定の時定数で立ち上がる図示の様な積分出力(ト)が出力され、コンパレータ29の基準値を越えたときにコンパレータ出力(チ)が図示の如く出力される。
【0061】
ラッチ回路31はコンパレータ出力(ホ)の立ち下がりに応答して動作し、この時のコンパレータ出力(チ)をラッチ出力(リ)として出力する。このラッチ出力(リ)がスイッチ21に入力されることにより、コイル18とコンデンサ20との接続が切れコイル19とコンデンサ20とがスイッチ21を介して接続されることにより共振回路52が構成される。
【0062】
CPU10はコイル19とコンデンサ20とを接続するための送信時間T=700μs後に、所定の受信時間(本実施例では、R=100μs)経過後にコイル19の位置に相当する第2の座標値検出のための部分スキャンに移行する(ステップ48)。
【0063】
即ち、CPU10はループコイルX7を選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルX7は送信電磁波(イ)を位置指示器15に送出する。この送信電磁波(イ)により位置指示器15のコイル19とコンデンサ20とによる、共振回路52が励振され誘導電圧(ロ)が前記共振回路52に発生される。
【0064】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルX5を選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルX5の受信モードにおいて、前記ステップ40で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0065】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルX7を選択し、受信モードではループコイルX6、X7、X8およびX9をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ48)。
【0066】
前述の様に、本実施例では位置指示器15がループコイルX7、Y5を指示しているので、X軸方向の部分スキャンではループコイルX7の受信モードで最大受信電圧Vp2を得、その前後のループコイルX6、X8の受信モードで受信電圧Va2、Vb2をそれぞれ得る。
【0067】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0068】
即ち、送信モードではループコイルY5を選択し、受信モードではループコイルY3、Y4、Y5、Y6およびY7をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ48)。
【0069】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY5の受信モードで最大受信電圧V’p2を得、その前後のループコイルY4、Y6の受信モードで受信電圧V’a2、V’b2をそれぞれ得る。
【0070】
この位置指示器15の座標値(X7、Y5)はコイル19の位置に対応した位置(以下、第2の座標値X2,Y2と言う)を示す。
【0071】
CPU10は、ステップ46の部分スキャンで最大電圧VP1よびV’p1を検出したループコイルのNO.をそれぞれ記憶する(ステップ49)。この記憶されたループコイルNO.は位置指示器15のタブレット1上の移動軌跡を求めるために、次の部分スキャンの時の位置指示器15の位置を示すために使用される。
【0072】
次に、CPU10は座標値および回転角度の演算を行う(ステップ50)。
【0073】
第1の座標値(X1、Y1)は
【数1】
但し、PXは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D1はX軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0074】
【数2】
但し、PYは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D2はY軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0075】
第2の座標値(X2、Y2)は
【数3】
但し、PXは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D1はX軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0076】
【数4】
但し、PYは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D2はY軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0077】
ここで、(1)式から(4)式は位置指示器15の第1および第2座標値を、最大電圧が得られたループコイルの中心座標とこのループコイルで検出された最大電圧、該ループコイルの前後ループコイルで検出された検出電圧に基づいて、受信信号強度の分布を2次曲線に近似させ、この2次曲線に基づいて該ループコイルの中心座標を補間して求めたものである。
【0078】
図12は、上述の座標補間の原理の説明図である。
【0079】
図12において、X軸上に各コイルの中心位置、Y軸に受信信号強度を取つたものである。各コイルから検出された受信信号強度の分布は図示する如き2次曲線に近似でき、Va,Vb,Vpは3つのコイルから検出される受信検出電圧を示している。dはコイル間の距離に相当し、a,b,cを定数として図示の曲線は(5)式であらわされ、この(5)式から最大電圧が検出されたループコイルの中心座標値の補正値bが求まる。
【0080】
【数5】
また、この第1および第2の座標値に基づいて図13に示される回転角測定の原理により、CPU10は位置指示器15の回転角を検出する。
【0081】
即ち、検出した第2座標を原点として、タブレット1上のX軸およびY軸に平行なX・Y座標系を設定し、このY軸の正方向を基準(Θ=0)としてΘの範囲を−180°<Θ≦+180°として、
【数6】
として決定される(ステップ50)。
【0082】
CPU10はステップ50を終了すると、タブレット1から300μsの送信電磁波(イ)を送信する。この送信電磁波(イ)により第1の経路34および第2の経路35は上述の様に動作し、ラッチ回路31はリセットされ、前記ステップ45乃至50が繰り返される。
【0083】
前述した動作のステップ49において、最大信号のコイル番号を記憶する際にステップ46即ち第1の座標値を求めるための部分スキャンを行った時に最大受信信号を得たループコイルの番号として記憶しているが、これを第2の座標値を求めるための部分スキャン(ステップ48)を行った時に最大受信信号を得たループコイルの番号として記憶してもよい。また、ステップ46およびステップ48において部分スキャンを行った際に最大受信信号を得たループコイルの番号をそれぞれ記憶しておき、同一ステップの部分スキャンを実行する時にそれぞれ前記記憶したループコイル番号を基にスキャンするコイル番号を決定するようにしてもよい。
【0084】
【効果】
本発明は、電磁誘導を利用した位置検出装置において、位置指示器内の複数箇所に指示位置を検出するために設けられた複数個のコイルのうちタブレットとの電磁誘導に用いる一つコイルをタブレット側かの指示信号に応じて選択するように構成した。
【0085】
従って、コイルの切替えをタブレット側の動作に同期させて行うことができるため、時間的に無駄がなく高速度で複数箇所の指示位置を検出することができる。
【0086】
また、位置指示器のタブレット面に対する垂直方向の回転角を検出することのできるコードレスの位置検出装置として、一種類の周波数の電波を用いてタブレットの構成を簡単にするとともに、位置検出の速度を高速度にすることができる位置検出装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の位置検出装置としてのタブレット1の要部回路構成図を示す。
【図2】本発明実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【図3】位置指示器のコイルの位置を示す図。
【図4】位置指示器の具体的な回路構成図。
【図5】CPU10内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【図6】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図7】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図8】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図9】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図10】図6と図7との結合関係を示す図。
【図11】図8と図9との結合関係を示す図。
【図12】座標補間の原理の説明図である。
【図13】回転角の説明図。
【符号の説明】
1 タブレット
2 選択回路
3 送受切替回路
10 CPU
15 位置指示器
18、19 コイル
51、52 共振回路
27、28 積分回路
29、30 コンパレータ
【産業上の利用分野】
本発明は、電磁誘導作用を利用して位置指示器とタブレット間を接続しない、コードレスの位置検出装置およびその位置指示器に関するものである。特に、位置指示器の複数箇所の座表位置を検出し、あるいは位置指示器のタブレット面に対する回転角を検出することができる位置検出装置及びその位置指示器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置に関して特願昭61−213970号あるいは特開平3−189716号に開示される様に、センス部と位置指示器との間で電波をやりとりすることにより、タブレットとの位置指示器とのケーブルによる接続を無くした位置検出装置が知られている。
【0003】
しかし、この種の位置検出装置では一般に位置指示器における座標指示部を一箇所のみとしているため位置指示器のおかれている方向を入力するできない。これに対して、位置指示器の回転角を入力したいという要求がある。
【0004】
例えば、電子黒板に用いるイレーサーとしてはその作用面の形を長方形としたいという要求があり、これを実現するためには少なくとも長方形を認識するための2点の座表位置またはタブレット面に対するイレーサーの長方形の回転角度を検出する必要がある。
【0005】
また、2次元平面や3次元空間などのシミュレーション等において指示位置の座標値とともに、これを起点とする指示方向を入力したいという要求がある。
【0006】
これらの課題に対して、本出願人は特願平4−16953号(特開平5−210450号)において、それぞれ共振周波数の異なる複数個の共振回路を位置指示器内に設けて位置指示器の回転角度を検出可能としている。
【0007】
これ自体は優れたのものであるが、複数の周波数を用いるため構成が複雑となる問題がある。
【0008】
また、本出願人は特願昭63−224786号(特開平2−73418号)において、共振周波数をわずかにずらした複数個の共振回路を位置指示器に設け、この共振回路をスイッチで切替え、タブレット側では、該複数の共振回路からの位相の異なる位置信号を検出し、この検出信号によって複数位置を検出し、これに基づいて回転角を検出している。
【0009】
しかし、共振回路の切替えをタブレット側の動作とは別に行っているため、その切替え周期をタブレット側の座標検出の周期に比較して十分に長く取らなければならないため、時間的に無駄を生じて、動作効率が悪くなる問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの点を改良するもので、位置指示器内の複数箇所に設けられた位置指示用のコイルを、タブレット側からの1種類の周波数信号で位置検出動作と同期して選択・切替可能とした、構成が複雑化しない、しかも動作効率が高い位置検出装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、位置指示器の複数の位置指示部にそれぞれコイルを設けるとともに位置指示器にはこれらの複数のコイルのうちの一つを選択する手段が設けられており、選択されたコイルはタブレットとの電磁誘導作用によりその位置をタブレット側で検出するために用いる様に構成した。
【0012】
また、タブレットからは位置指示器内の複数のコイルより一つを選択するための指示信号を送信し、位置指示器側ではこの受信された指示信号に対応してコイルを選択するように構成した。
【0013】
【作用】
したがって、コイルの切替えをタブレット側の動作に同期させて行うことができるため、時間的に無駄がなく高速度で複数箇所の指示位置および回転角度を検出することができる。
【0014】
【実施例】
本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例の位置検出装置としてのタブレット1の要部回路構成図を示す。即ち、図1において、X軸に40本のループコイルX1〜X40が配置され、Y軸に40本のループコイルY1〜Y40が検出方向に互いに平行に図示の如く配置されている。このループコイルは各々のループコイルを選択する選択回路2に接続されている。この選択回路2は送受切替回路3に接続され、この送受切替回路3の受信側にはアンプ5が接続され、このアンプ5は検波回路6に接続されている。この検波回路6はローパス・フィルター7に接続され、このローパス・フィルター7はサンプルホールド回路8に接続され、このサンプルホールド回路8がA/D回路(アナログ・デジタル変換回路)9に接続され、このA/D回路9はCPU(中央処理装置)10に接続されている。このCPU10から制御信号が前記選択回路2、サンプルホールド回路8、A/D回路9および送受切替回路3にそれぞれ接続されている。また、図中11は位置指示器の共振回路の共振周波数に等しい周波数の正弦波交流信号を発生する発信器を示し、12は該交流信号を電流に変換する電流ドライバを示す。
【0016】
図2は、本発明の実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【0017】
図3は該位置指示器の外観およびコイルの配置図を示す。
【0018】
即ち、位置指示器15の2つの指示位置にインダクタンスの等しいコイル18および19が配置されている。また、コイル18とコイル19の一方の端子およびコンデンサ20の一方の端子はいづれも、電源回路24、検波回路25、検波回路26、にそれぞれ接続されている。該検波回路25は時定数の大きい積分回路27に接続され、検波回路26は時定数の小さい積分回路28に接続されている。該積分回路27はコンパレータ29に、積分回路28はコンパレータ30にそれぞれ接続されている。このコンパレータ29はラッチ回路31のデータ端子Dに接続され、コンパレータ30は該ラッチ回路31のトリガ端子Tにそれぞれ接続されている。
【0019】
また、コイル18および19の他方の端子はそれぞれスイッチ21に接続され、該スイッチ21によりどちらかのコイル18または19が選択されてコンデンサ20の他方の端子と接続されることにより共振回路51または52を形成するように構成される。この点は本発明の特徴の一つである。
【0020】
ただし、本実施例ではラッチ回路31の出力がない場合(“0”出力)は、スイッチ21はコイル18に接続されるように構成されている。
【0021】
この共振回路の共振周波数はタブレットから送信する電波の周波数と一致している。
【0022】
ここで、前記ラッチ回路31のデータ端子Dにその出力が供給される第1の経路34を形成する積分回路27およびコンパレータ29は、該積分回路27の時定数と該コンパレータ29の基準値との関係を前記タブレット1からの送信電磁波が第1の所定時間(本実施例では、300μsよりも十分長い時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。また、前記ラッチ回路31のトリガー端子Tにその出力が供給される第2の経路35を形成する積分回路28およびコンパレータ30は、該積分回路28の時定数と該コンパレータ30の基準値との関係を前記タブレット1からの送信電磁波が前記第1の所定時間より短い時間である第2の所定時間(本実施例では、100μsよりも十分長い時間)送信された場合に出力信号を出力する様に構成されている。この第1および第2の経路は本発明の特徴の一つである。
【0023】
図2の具体的な回路構成は図4に示され、図4で図2と同一の符号はそれぞれ図2と同一のものを示す。但し、C1R1>C2R2の様に構成されている。
【0024】
図5は前記CPU10内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【0025】
図6、図7、図8及び図9は、図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。ただし、図6および図7は図面の寸法上図10に示す如く1つの図面を2つに分けて示し、図8および図9も図面の寸法上図11に示す如く1つの図面を2つに分けて示している。また、図中、コイル番号とは選択されたループコイルを示し、Tは送信モード(位置検出装置からの送信期間)を示し、Rは受信モード(位置検出装置の受信期間)を示す。
【0026】
図10は、図6と図7との結合関係を示す図。
【0027】
図11は、図8と図9との結合関係を示す図。
【0028】
この様に構成した本発明実施例の動作を説明する。
【0029】
まず、位置指示器15がタブレット1のどの位置に置かれたかを検出する為のX軸全面スキヤンが行われる(ステップ40)。この全面スキヤンは従来装置と同様に行われる。
【0030】
CPU10はループコイルX1を選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続させ、前記ループコイルX1に前記発信器11の正弦波交流信号を供給する。これにより、ループコイルX1から位置指示器15に送信電磁波(イ)が送信される。この時、ラッチ回路31の出力端には信号が発生していないので、スイッチ21はコイル18の側を選択してコンデンサ20と接続して共振回路51が構成される。従って、タブレット1から前記送信電磁波(イ)が送信されると位置指示器15ではコイル18とコンデンサ20とによって構成される共振回路51には前記送信電磁波による誘電電圧が発生される。
【0031】
CPU10は、この送信モードを所定時間(例えばT=100μs)実行すると、次に選択回路2をループコイルX1を保持した状態で送受切替回路3を受信側に切替えて位置指示器15からの信号を受信する受信モードを所定時間(例えばR=100μs)実行する。
【0032】
この動作が図6に示す如くX軸方向のループコイルX1からX40の全部について各々行われ、どのループコイルを選択した時に位置指示器15からの受信信号が最大になるかに基づいて位置指示器15のタブレット1上の位置を決定する。
【0033】
他方、 位置指示器15は全面スキャンモードのときは、前述したようにラッチ回路31の出力に信号が発生せず、該送信電磁波(イ)によりコイル18とコンデンサ20により構成される前記共振回路51が励振され誘導電圧が発生される。受信モード中は、送信電磁波(イ)は停止されるが、該誘導電圧によりコイル18から電磁波が発生され、この電磁波がタブレット1の選択されているループコイルを逆に励振するため、該ループコイルに誘導電圧を発生させる。この誘導電圧はコイル18に最も近いループコイルにおいて最大値となるのでコイル18の座標値すなわち位置指示器15のおよその指定位置が求まる。
【0034】
本実施例では、位置指示器15がループコイルX7、Y5の位置を指示している場合であり、これを例とし全面スキャン動作を説明する。
【0035】
CPU10が送信モードおよび受信モードを各ループコイルについて繰り返し、ループコイルX7を選択回路2に選択させる。ループコイルX7から送信電磁波(イ)が位置指示器15に送信される。この送信電磁波(イ)により位置指示器15に構成される共振回路51が励振され誘導電圧(ロ)が前記共振回路51に発生される。該所定時間後に、タブレット1は受信モードになり、送信電磁波(イ)は消滅する。
【0036】
しかし、該誘導電圧(ロ)が減衰するまでこの誘導電圧(ロ)により位置指示器15から電磁波が送出され、この電磁波がループコイルX7により受信される。ループコイルX7はこの電磁波で励振され、ループコイルX7に誘導電圧が発生する。この誘導電圧がアンプ5で増幅される。アンプ5で増幅された受信信号(a)は検波回路6で検波され、ローパスフィルター7に送出される。ローパスフィルター7は前記共振回路51の共振周波数より充分低い遮断周波数を有しており、検波回路6の出力信号を直流信号に変換し、この直流信号がサンプルホールド回路7において信号(b)の如くサンプルホールドされ、A/D回路9によりアナログ・デイジタル変換され、CPU10に送出される。CPU10は、このデイジタル値に変換された各受信信号のレベル分布に基づいて位置指示器15の位置を検出するが、本実施例ではループコイルX7からの受信信号レベルが最大値となり、位置指示器15のX軸方向の位置が検出される。CPU10はループコイルX7を位置指示器15のX軸方向の位置として記憶する(ステップ42)。
【0037】
X軸全面スキャンにおいて、タブレット1での受信信号レベルがいずれも所定のしきい値以下である場合にはCPU10は位置指示器15はタブレット1上にないと判別してX軸全面スキャンを繰り返す(ステップ41)。
【0038】
このX軸全面スキャンと同様な動作が、Y軸方向に於てもおこわれる。即ち、図7に示す如くY軸全面スキャンがX軸全面スキャンと同様な動作でおこなわれ、CPU10は位置指示器15のタブレット1上のY軸方向の位置としてループコイルY5を記憶する(ステップ43〜44)。
【0039】
位置指示器15の指示したタブレット1上のコイルNO.(本実施例ではX7およびY5)が決定されると、このコイルの前後5本のループコイルについての部分スキャンが行われる。この部分スキャンは、タブレット1上に置かれた位置指示器15の位置を検出するためのものであり、位置指示器15がタブレット1上で移動された場合はその軌跡を検出するためのものである。
【0040】
まず、充電動作が開始される(ステップ45)。即ち、CPU10は選択回路2にループコイルX7を選択させ、送受切替回路3を送信端子T側に接続させる(図8)。この状態で、CPU10は所定時間(本実施例では、T=300μs)ループコイルX7から送信電磁波(イ)を位置指示器15に送信する。これにより、前記共振回路51に誘導電圧(ロ)が発生し、この誘導電圧(ロ)により電源回路24が充電される。この誘導電圧(ロ)は、検波回路25および26にそれぞれ入力され、検波回路25および26からそれぞれ検波出力(へ)および(ハ)が出力される。
【0041】
この検波出力(ハ)により第2の経路からは積分出力(ニ)、コンパレータ出力(ホ)が図示の如く出力される。しかし、CPU10が送信時間を300μsとしているため、第1の経路34からは該コンパレータ出力(チ)は出力されない。これは、本発明の特徴の一つである。
【0042】
CPU10は充電のための送信時間T=300μs後に、所定の受信時間(本実施例では、R=100μs)経過後に部分スキャンに移行する(ステップ46)。
【0043】
CPU10はループコイルX7を選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルX7は送信電磁波(イ)を位置指示器15に送出する。この送信電磁波(イ)により位置指示器15の共振回路51が励振され誘導電圧(ロ)が前記共振回路51に発生される。この誘導電圧(ロ)は検波回路25および26でそれぞれ検波され検波出力(ヘ)および(ハ)が出力される。この検波出力(ハ)は積分回路28で積分され、この積分出力(ニ)がコンパレータ30で基準値と比較される。また、検波出力(ヘ)は積分回路27で積分され、この積分出力(ト)がコンパレータ29で基準値と比較される。
【0044】
CPU10による送信モード期間はT=100μsであるので、前述の如く第1の経路34および第2の経路35からは出力(ホ)および(チ)は出力されず、ラッチ回路31の出力(リ)は出力されず、スイッチ21の状態は変化しない。
【0045】
ラッチ回路31の出力(リ)が出力されない状態では、タブレット1でコイル18の座標値(第1の座標値)が検出される。
【0046】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルX5を選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルX5の受信モードにおいて、前記ステップ40で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0047】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルX7を選択し、受信モードではループコイルX6、X7、X8およびX9をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ46)。
【0048】
前述の様に、本実施例では位置指示器15がループコイルX7、Y5を指示しているので、X軸方向の部分スキャンではループコイルX7の受信モードで最大受信電圧Vp1を得、その前後のループコイルX6、X8の受信モードで受信電圧Va1、Vb1をそれぞれ得る。
【0049】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0050】
即ち、送信モードではループコイルY5を選択し、受信モードではループコイルY3、Y4、Y5、Y6およびY7をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ46)。
【0051】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY5の受信モードで最大受信電圧V’p1を得、その前後のループコイルY4、Y6の受信モードで受信電圧V’a1、V’b1をそれぞれ得る。
【0052】
このステップ46で検出される座標値はコイル18の位置に対応した位置(以下、第1の座標値X1、Y1という)を示す。
【0053】
この部分スキャン動作で受信信号レベルが所定のしきい値以下であれば、CPU10は位置指示器15はタブレット1上にないと判別して、処理動作をステップ40に戻す(ステップ47)。
【0054】
CPU10は、X軸方向およびY軸方向の第1の座標値検出の為の上記部分スキャンが終了すると(ステップ46)、次いでコイル19の座標値(第2の座標値)を求めるための部分スキャンを行う(ステップ48、図9)。
【0055】
まず、CPU10はコイル19をコンデンサ20と接続して共振回路52を構成するため所定時間(本実施例ではT=700μs)タブレット1から送信電磁波を送信させる。
【0056】
即ち、CPU10は選択回路2にループコイルX7を選択させ、送受切替回路3を送信端子T側に接続させる。この状態で、CPU10は所定時間(本実施例では、T=700μs)ループコイルX7から送信電磁波(イ)を位置指示器15に送信する。これにより、コイル18とコンデンサ20で構成される共振回路51に誘導電圧(ロ)が発生する。この誘導電圧(ロ)は、検波回路25および26にそれぞれ入力され、検波回路25および26からそれぞれ検波出力(へ)および(ハ)が出力される。
【0057】
第2の経路35は100μsより十分長い時間送信電磁波(イ)が送出された場合に(例えば、200μs経過後)コンパレータ出力(ホ)をラッチ回路31に出力する様に構成されており、タブレット1の送信時間が700μsなので、この送信期間中にコンパレータ出力が出力される。
【0058】
即ち、検波出力(ヘ)により積分回路28からは所定の時定数で立ち上がる図示の様な積分出力(ニ)が出力され、コンパレータ30の基準値を越えたときにコンパレータ出力(ホ)が図示の如く出力される。
【0059】
第1の経路34は300μsより十分長い時間送信電磁波(イ)が送出された場合に(例えば、400μs経過後)コンパレータ出力(チ)をラッチ回路31に出力する様に構成されており、タブレット1の送信時間が700μsなので、この送信期間中にコンパレータ出力が出力される。
【0060】
即ち、検波出力(ト)により積分回路27からは所定の時定数で立ち上がる図示の様な積分出力(ト)が出力され、コンパレータ29の基準値を越えたときにコンパレータ出力(チ)が図示の如く出力される。
【0061】
ラッチ回路31はコンパレータ出力(ホ)の立ち下がりに応答して動作し、この時のコンパレータ出力(チ)をラッチ出力(リ)として出力する。このラッチ出力(リ)がスイッチ21に入力されることにより、コイル18とコンデンサ20との接続が切れコイル19とコンデンサ20とがスイッチ21を介して接続されることにより共振回路52が構成される。
【0062】
CPU10はコイル19とコンデンサ20とを接続するための送信時間T=700μs後に、所定の受信時間(本実施例では、R=100μs)経過後にコイル19の位置に相当する第2の座標値検出のための部分スキャンに移行する(ステップ48)。
【0063】
即ち、CPU10はループコイルX7を選択回路2に選択させ、送受切替回路3を送信側端子Tに接続する。この状態で、ループコイルX7は送信電磁波(イ)を位置指示器15に送出する。この送信電磁波(イ)により位置指示器15のコイル19とコンデンサ20とによる、共振回路52が励振され誘導電圧(ロ)が前記共振回路52に発生される。
【0064】
CPU10は送信モード時間を経過すると、選択回路2にループコイルX5を選択させ、送受切替回路3を受信端子R側に切替える。このループコイルX5の受信モードにおいて、前記ステップ40で説明したと同様な動作でタブレット1で受信信号(a)、(b)が得られる。
【0065】
この部分スキャン動作が、送信モードではループコイルX7を選択し、受信モードではループコイルX6、X7、X8およびX9をそれぞれ選択して順次行われる(ステップ48)。
【0066】
前述の様に、本実施例では位置指示器15がループコイルX7、Y5を指示しているので、X軸方向の部分スキャンではループコイルX7の受信モードで最大受信電圧Vp2を得、その前後のループコイルX6、X8の受信モードで受信電圧Va2、Vb2をそれぞれ得る。
【0067】
このX軸方向の部分スキャンに続いてY軸方向の部分スキャンが行われる。
【0068】
即ち、送信モードではループコイルY5を選択し、受信モードではループコイルY3、Y4、Y5、Y6およびY7をそれぞれ選択してY軸方向の部分スキャンが上述のX軸方向の部分スキャンと同様に行われる(ステップ48)。
【0069】
このY軸方向の部分スキャンではループコイルY5の受信モードで最大受信電圧V’p2を得、その前後のループコイルY4、Y6の受信モードで受信電圧V’a2、V’b2をそれぞれ得る。
【0070】
この位置指示器15の座標値(X7、Y5)はコイル19の位置に対応した位置(以下、第2の座標値X2,Y2と言う)を示す。
【0071】
CPU10は、ステップ46の部分スキャンで最大電圧VP1よびV’p1を検出したループコイルのNO.をそれぞれ記憶する(ステップ49)。この記憶されたループコイルNO.は位置指示器15のタブレット1上の移動軌跡を求めるために、次の部分スキャンの時の位置指示器15の位置を示すために使用される。
【0072】
次に、CPU10は座標値および回転角度の演算を行う(ステップ50)。
【0073】
第1の座標値(X1、Y1)は
【数1】
但し、PXは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D1はX軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0074】
【数2】
但し、PYは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D2はY軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0075】
第2の座標値(X2、Y2)は
【数3】
但し、PXは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D1はX軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0076】
【数4】
但し、PYは最大電圧が得られたタブレットのループコイルの中心位置、D2はY軸方向ループコイルの中心位置間の距離を表す。
【0077】
ここで、(1)式から(4)式は位置指示器15の第1および第2座標値を、最大電圧が得られたループコイルの中心座標とこのループコイルで検出された最大電圧、該ループコイルの前後ループコイルで検出された検出電圧に基づいて、受信信号強度の分布を2次曲線に近似させ、この2次曲線に基づいて該ループコイルの中心座標を補間して求めたものである。
【0078】
図12は、上述の座標補間の原理の説明図である。
【0079】
図12において、X軸上に各コイルの中心位置、Y軸に受信信号強度を取つたものである。各コイルから検出された受信信号強度の分布は図示する如き2次曲線に近似でき、Va,Vb,Vpは3つのコイルから検出される受信検出電圧を示している。dはコイル間の距離に相当し、a,b,cを定数として図示の曲線は(5)式であらわされ、この(5)式から最大電圧が検出されたループコイルの中心座標値の補正値bが求まる。
【0080】
【数5】
また、この第1および第2の座標値に基づいて図13に示される回転角測定の原理により、CPU10は位置指示器15の回転角を検出する。
【0081】
即ち、検出した第2座標を原点として、タブレット1上のX軸およびY軸に平行なX・Y座標系を設定し、このY軸の正方向を基準(Θ=0)としてΘの範囲を−180°<Θ≦+180°として、
【数6】
として決定される(ステップ50)。
【0082】
CPU10はステップ50を終了すると、タブレット1から300μsの送信電磁波(イ)を送信する。この送信電磁波(イ)により第1の経路34および第2の経路35は上述の様に動作し、ラッチ回路31はリセットされ、前記ステップ45乃至50が繰り返される。
【0083】
前述した動作のステップ49において、最大信号のコイル番号を記憶する際にステップ46即ち第1の座標値を求めるための部分スキャンを行った時に最大受信信号を得たループコイルの番号として記憶しているが、これを第2の座標値を求めるための部分スキャン(ステップ48)を行った時に最大受信信号を得たループコイルの番号として記憶してもよい。また、ステップ46およびステップ48において部分スキャンを行った際に最大受信信号を得たループコイルの番号をそれぞれ記憶しておき、同一ステップの部分スキャンを実行する時にそれぞれ前記記憶したループコイル番号を基にスキャンするコイル番号を決定するようにしてもよい。
【0084】
【効果】
本発明は、電磁誘導を利用した位置検出装置において、位置指示器内の複数箇所に指示位置を検出するために設けられた複数個のコイルのうちタブレットとの電磁誘導に用いる一つコイルをタブレット側かの指示信号に応じて選択するように構成した。
【0085】
従って、コイルの切替えをタブレット側の動作に同期させて行うことができるため、時間的に無駄がなく高速度で複数箇所の指示位置を検出することができる。
【0086】
また、位置指示器のタブレット面に対する垂直方向の回転角を検出することのできるコードレスの位置検出装置として、一種類の周波数の電波を用いてタブレットの構成を簡単にするとともに、位置検出の速度を高速度にすることができる位置検出装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の位置検出装置としてのタブレット1の要部回路構成図を示す。
【図2】本発明実施例の位置指示器の要部回路構成図を示す。
【図3】位置指示器のコイルの位置を示す図。
【図4】位置指示器の具体的な回路構成図。
【図5】CPU10内に記憶された動作制御プログラムのフローチャートを示す。
【図6】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図7】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図8】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図9】図1及び図2に×印で示した点の出力を示す出力波形図。
【図10】図6と図7との結合関係を示す図。
【図11】図8と図9との結合関係を示す図。
【図12】座標補間の原理の説明図である。
【図13】回転角の説明図。
【符号の説明】
1 タブレット
2 選択回路
3 送受切替回路
10 CPU
15 位置指示器
18、19 コイル
51、52 共振回路
27、28 積分回路
29、30 コンパレータ
Claims (3)
- 位置情報を送信するためのコイルおよびコンデンサを含む共振回路を有する位置指示器と、該位置指示器との電磁誘導作用を利用して該位置指示器の座標位置を求めるタブレットと、からなる位置検出装置において、
前記位置指示器に、
複数の指示位置に対応して配置された複数のコイルと、
前記複数のコイルの各々のコイルと接続されて各々のコイルと共振回路を構成するコンデンサと、
前記タブレットから送信される送信期間が各々異なる動作モード指示信号の該送信期間に対応して前記複数のコイルから動作させるべき一つのコイルを選択して前記コンデンサと接続して共振回路を構成するコイル選択手段と、
を設け、
前記タブレットに、
前記複数のコイルから動作させるべき所望のコイルを選択するための送信期間を有する動作モード指示信号を前記コイル選択手段に送信する手段と、
前記動作モード指示信号で指示された前記コイルで構成された前記位置指示器の前記共振回路からの受信信号により座標値を決定する手段と、
を備えたことを特徴とする位置検出装置。 - 2つの異なる各々の前記コイルに基づく、第1および第2の座標値に基づいて前記位置指示器の該タブレット面に垂直方向を軸とした回転角を検出する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
- 位置情報を送信するためのコイルおよびコンデンサとで構成される共振回路を有する位置指示器と、該位置指示器との電磁誘導作用を利用して該位置指示器の座標位置を求めるタブレットと、からなる位置検出装置において、
前記位置指示器に、
複数の指示位置に対応して配置された複数のコイルと、
前記複数のコイルの各々のコイルと接続されて各々のコイルと共振回路を構成するコンデンサと、
前記タブレットから送信される送信期間が各々異なる動作モード指示信号の該送信期間に対応して前記複数のコイルから動作させるべき一つのコイルを選択して前記コンデンサと接続して共振回路を構成するコイル選択手段と、
を設けたことを特徴とする位置指示器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8712395A JP3540049B2 (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | 位置検出装置及びその位置指示器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP8712395A JP3540049B2 (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | 位置検出装置及びその位置指示器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08286813A JPH08286813A (ja) | 1996-11-01 |
JP3540049B2 true JP3540049B2 (ja) | 2004-07-07 |
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CN103064536B (zh) * | 2012-12-14 | 2016-08-10 | 苏州瀚瑞微电子有限公司 | 无线触控笔系统 |
-
1995
- 1995-04-12 JP JP8712395A patent/JP3540049B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08286813A (ja) | 1996-11-01 |
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