JP3539380B2 - 無線通信システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、無線通信システムに関し、特にたとえば、送信側通信端末と複数の受信側通信端末とを備える、無線通信システムに関する。
【0002】
【背景技術】
近距離無線通信方式としては、赤外線を利用したIrDA方式,2.45GHz帯の電波を利用したブルートゥース(Bluetooth)方式,IEEE802.11,PHSのトランシーバ機能などがある。いずれの方式も、ケーブルを使用することなくデータをやり取りでき、特にブルートゥース方式では、機器間の距離が10m以内であれば、障害物があっても通信が可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの方式も1対1通信を前提としており、送信側端末は、自分が発信した接続要求に対して最初に承認信号(ACK)を返送した受信側端末とプロトコルを確立する。このため、送信側端末の周囲に複数の受信側端末が存在する場合、データ通信が完了する毎に送信側端末が接続要求を繰り返し発信したとしても、これに対してACKを最初に返送するのは、送信側端末に最も近い受信側端末である。つまり、他の受信側端末がACKを返送したとしても、これらの受信側端末との間ではプリトコルは確立されない。したがって、従来は、IrDA方式またはブルートゥース方式の通信端末を利用して1対多通信を行なうことは不可能であった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、1対1通信を前提とする通信方式を用いて1対多通信を行なうことができる、無線通信システムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に従う無線通信システムは、送信側通信端末と複数の受信側通信端末とを備える無線通信システムにおいて、送信側通信端末は、接続要求を繰り返し送出し、接続要求に対して承認信号を返送した特定の受信側通信端末と1対1の無線通信接続を確立する第1確立手段、第1確立手段によって無線通信接続が確立されたとき識別信号を特定の受信側通信端末に送信する識別信号送信手段、識別信号に対してコンテンツ要求が返送されたとき、識別信号に対応するコンテンツを特定の受信側通信端末に送信して第1確立手段を初期化するコンテンツ送信手段、および識別信号に対してコンテンツ要求が返送されないとき、コンテンツを送信することなく第1確立手段を初期化する第1初期化手段を備え、各々の受信側通信端末は、送信側通信端末から接続要求を受信したときに承認信号を返送して送信側通信端末と1対1の無線通信接続の確立を試みる第2確立手段、第2確立手段が無線通信接続の確立に失敗したとき第2確立手段を初期化する第2初期化手段、第2確立手段が無線通信接続の確立に成功したとき送信側通信端末から送信された識別信号を受信する識別信号受信手段、識別信号が所定条件を満たすときコンテンツ要求を返送して送信側通信端末からコンテンツを受信するコンテンツ受信手段、コンテンツ受信手段による受信が完了した後に第2確立手段の確立機能をオフにする第1オフ手段、および識別信号が所定条件を満たさないとき第2確立手段の確立機能をオフにする第2オフ手段を備えることを特徴とする。
【0007】
【作用】
この発明においては、送信側通信端末の第1確立手段が、接続要求を繰り返し送出し、接続要求に対して承認信号を返送した特定の受信側通信端末と1対1の無線通信接続を確立する。無線通信接続が確立されると、識別信号送信手段が識別信号を特定の受信側通信端末に送信する。送信した識別信号に対してコンテンツ要求が返送されると、コンテンツ送信手段が、識別信号に対応するコンテンツを特定の受信側通信端末に送信し、かつ第1確立手段を初期化する。一方、送信した識別信号に対してコンテンツ要求が返送されないと、第1初期化手段が、コンテンツを送信することなく第1確立手段を初期化する。このように、第1確立手段は、無線通信接続を確立した後、コンテンツを送信したかどうかに関係なく、必ず初期化される。
【0008】
受信側通信端末では、第2確立手段が、送信側通信端末から接続要求を受信したときに承認信号を返送して送信側通信端末と1対1の無線通信接続の確立を試みる。無線通信接続の確立に失敗したときは、第2確立手段が第2初期化手段によって初期化され、無線通信接続の確立に成功したときは、送信側通信端末から送信された識別信号が識別信号受信手段によって受信される。受信した識別信号が所定条件を満たせば、コンテンツ受信手段がコンテンツ送信要求を返送して送信側通信端末からコンテンツを受信する。コンテンツ受信手段による受信が完了すると、第2確立手段の確立機能が第1オフ手段によってオフにされる。一方、識別信号が所定条件を満たさなければ、第2確立手段の確立機能が第2オフ手段によってオフされる。
【0009】
このように、送信側通信端末の第1確立手段は、コンテンツを送信したかどうかに関係なく初期化され、受信側通信端末の第2確立手段は、無線通信接続の確立に失敗したときに初期化される。第2確立手段の確立機能は、コンテンツの受信が完了したとき、あるいは送信側通信端末から受信した識別番号が所定の条件を満たさないとき、オフされる。
【0010】
この発明のある局面では、所定条件は、今回受信した識別信号が過去に受信した識別信号と異なることである。コンテンツが識別信号を含む場合、過去に受信した識別信号は、好ましくはコンテンツに含まれる識別信号である。
【0011】
この発明の他の局面では、コンテンツは時間情報を含み、第1オフ手段はこの時間情報に従う時間にわたって第2確立手段の確立機能をオフする。
【0012】
この発明のその他の局面では、第2確立手段の確立機能は、オン/オフ手段によって所定の時間比率で繰り返しオン/オフされる。この時間比率は、第1オフ手段または第2オフ手段によって第2確立手段の確立機能がオフされた後に変更手段によって変更される。変更手段は、好ましくは、第2確立手段の確立機能のオン期間が長くなるように時間比率を変更する。
【0016】
【発明の効果】
この発明によれば、送信側通信端末の第1確立手段は、コンテンツを送信したかどうかに関係なく初期化される。このため、複数の受信側通信端末との間で無線通信接続を確立することができる。また、受信側通信端末の第2確立手段は、無線通信接続の確立に失敗したときに初期化され、コンテンツの受信が完了した後、あるいは送信側通信端末から受信した識別番号が所定の条件を満たさないときオフされる。このため、コンテンツを受信するまでは、無線通信接続の確立を繰り返し試みることができ、コンテンツを受信した後は、他の受信側通信端末による無線通信接続の確立に支障を与えるのを防止できる。したがって、1対1通信を前提とした通信方式を用いた1対多通信が実現できる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0019】
【実施例】
図1を参照して、この実施例の無線通信システム10は、1つの発信装置(送信側通信端末)12と複数の携帯端末(受信側通信端末)14,14,…とを含む。発信装置12は、たとえば会員制のスポーツクラブに設置された掲示板管理端末であり、これによって会員向けのコンテンツデータが配信される。一方、携帯端末14は、このクラブの会員を含む一般市民に広く普及している汎用の通信端末であり、会員は、自分の所有する携帯端末14を操作して上述のコンテンツデータを受信する。なお、この実施例の無線通信システム10では、データはパケット方式で通信される。
【0020】
発信装置12は、図2に示すように構成される。ブルートゥースモジュール12aは、ブルートゥース方式で近距離無線通信を行なうモジュールであり、データ送信機能およびデータ受信機能を備える。ただし、この実施例の発信装置12はコンテンツデータを配信できればよく、データ受信機能は必ずしも必要ではない。コンテンツデータは主記憶12dに記憶されており、CPU12bは、ブルートゥースモジュール12aを制御して、主記憶12dのデータベース121dに記憶されたコンテンツを会員の携帯端末14に配信する。なお、通信用メモリ12cは、コンテンツデータの配信処理のための各種データを一時的に格納するメモリであり、タイマ12eは、コンテンツデータの配信処理において時間を計測するためのタイマである。
【0021】
携帯端末14は、図3に示すように構成される。ブルートゥースモジュール14aは、上述と同様、ブルートゥース方式で近距離無線通信を行なうモジュールであり、これもデータ送信機能およびデータ受信機能を備える。ただし、この実施例の携帯端末14はコンテンツデータを受信できればよく、データ送信機能は必ずしも必要ではない。CPU14bは、受信キー14cが押されたとき、ブルートゥースモジュール14aを制御し、発信装置12との接続処理を行なう。これによって発信装置12との間で通信プロトコルが確立されると、上述のコンテンツデータを受信し、主記憶14fのデータベース141fに格納する。受信したコンテンツデータに基づくコンテンツ画像は、ディスプレイ14dに表示される。なお、通信用メモリ14eは、コンテンツデータの受信処理のための各種データを一時的に格納するメモリであり、タイマ14gは、コンテンツデータの受信処理において時間を計測するためのタイマである。
【0022】
ブルートゥース方式は、基本的には1対1通信を前提としており、1つの発信装置12から複数の携帯端末14,14,…にコンテンツデータを配信するような1対多通信には適していない。つまり、通信プロトコルは、発信装置12から発信された接続要求に対して最初にACKを返送した1つの携帯端末14(発信装置12に最も近い携帯端末14)との間でしか確立されず、複数の携帯端末14,14,…がACKを返送したとき、残りの携帯端末14,14,…による通信プロトコルの確立は失敗に終わる。このため、発信装置12に最も近い携帯端末14の所有者が受信操作を何回も繰り返すようなときは、他の通信端末14にコンテンツデータを配信することができない。また、通信端末14の所有者は会員に限られないため、各々の携帯端末14の所有者について会員/非会員を判別できないと、会員向けのコンテンツデータが非会員にも配信されてしまう。
【0023】
このような問題点を考慮して、この実施例では、発信装置12側のCPU12bに図7に示すフロー図に従う会員アクセス処理を行なわせるようにし、携帯端末14側のCPU14bに図8に示すフロー図に従う会員アクセス処理を行なわせるようにしている。
【0024】
図7を参照して、発信装置12側の会員アクセス処理は、ステップS1でブルートゥースモジュール12のデータ送信機能を初期化する。すると、ブルートゥースモジュール12aは、周囲に存在するいずれかの携帯端末14と通信プロトコルを確立すべく、接続要求を繰り返し出力する。これに対してACKが返送されると、ブルートゥースモジュール12aは所定の接続処理を行ない、ACKを最初に返送した携帯端末14との間で通信プロトコルを確立する。ブルートゥースモジュール12aは、通信プロトコルの確立に成功したとき確立成功通知をCPU12bに与え、通信プロトコルの確立に失敗したとき確立失敗通知をCPU12bに与える。CPU12bは、確立成功通知が与えられるとステップS3からステップS5に進み、確立失敗通知が与えられるとステップS3からステップS1に戻る。
【0025】
ステップS5では、通信プロトコルを確立した携帯端末(以下、「特定携帯端末」と定義)14にコンテンツデータの送信を案内する。具体的には、上述の接続処理で獲得した特定携帯端末14の識別子ID(r)と送信案内データとをブルートゥースモジュール12aを通して送信する。送信案内データは、図4(A)に示すようにヘッダとサービス番号とからなる。サービス番号はコンテンツのカテゴリ毎に割り当てられた識別番号であり、カテゴリが異なればサービス番号も異なる。送信案内が完了すると、ステップS7でタイマ12eに所定時間をセットして起動するとともに、ステップS9で特定携帯端末14からの送信要求の有無を判断する。ステップS9では、具体的には、上述の接続処理において特定携帯端末14に送信した自分の識別子ID(s)と送信要求データとを受信したかどうかを判断する。なお、送信要求データには、図5に示すようにヘッダ,サービス番号およびユーザIDが含まれる。
【0026】
送信要求がなければステップS11でタイムアウトが生じたかどうかを判断し、タイムアウトが生じなければステップS7に戻る。送信要求が与えられないうちにタイムアウトが生じると、ステップS11でYESと判断し、ステップS1に戻る。タイムアウトの前に送信要求が与えられると、ステップS9からステップS13に進み、送信要求データに含まれるサービス番号がステップS5で送信したサービス番号と一致するかどうか判断する。適切な通信処理が行なわれる限り、サービス番号は互いに一致し、このときはステップS13からステップS15に進む。一方、サービス番号が一致しなかったときは、エラーが生じたとみなしてステップS1に戻る。
【0027】
ステップS15に進んだときは、送信要求データに含まれるユーザIDを検出し、検出したユーザIDと同じユーザIDをデータベース121dから検索する。同じユーザIDがデータベース121dから発見できたときは、ステップS17でYESと判断し(会員であるとみなし)、ステップS19で会員向けのコンテンツ配信を行なう。一方、同じユーザIDをデータベース121dから発見できなかったときは、ステップS17でNOと判断し(非会員であるとみなし)、ステップS21で非会員向けのコンテンツ配信を行なう。コンテンツ配信が完了すると、ステップS1に戻る。
【0028】
ステップS19およびS21のいずれにおいても、具体的には、特定携帯端末14の識別子ID(r)とコンテンツとを特定携帯端末14に送信する。コンテンツは、図4(B)に示すようにヘッダ,サービス番号,ユーザID,停止時間およびコンテンツデータからなるが、ステップS19で送信されるコンテンツデータには会員向けの情報(たとえばイベント情報)が含まれ、ステップS21で送信されるコンテンツデータには非会員向けのメッセージ(たとえば“会員以外の方には配信できません”とのメッセージ)が含まれる。
【0029】
なお、この実施例では、会員用コンテンツおよび非会員用コンテンツは同じカテゴリに属すると考え、各々のコンテンツに含まれるサービス番号は互いに一致させる。
【0030】
一方、特定携帯端末14側での会員アクセス処理は、図8に示すように、まずステップS31で受信キー14cの操作の有無を判断し、受信キー14cの操作に応答して、ステップS33でブルートゥースモジュール14aのデータ受信機能をオンする。ブルートゥースモジュール14aは初期状態から起動し、発信装置12から発信された接続要求に対してACKを返送して通信プロトコルの確立を試みる。そして、通信プロトコルの確立に成功したときは、確立成功通知をCPU14bに与え、通信プロトコルの確立に失敗したときは、確立失敗通知をCPU14bに与える。
【0031】
CPU14bは、確立失敗通知が与えられると、ステップS35でNOと判断し、ステップS37でブルートゥースモジュール14aのデータ受信機能を初期化してからステップS35に戻る。一方、確立成功通知が与えられると、ステップS35からステップS39に進み、発信装置12から送信案内が与えられたかどうかを判断する。具体的には、発信装置12の識別子ID(r)および図4(A)に示す送信案内データの受信の有無を判別する。送信案内があるとステップS41に進み、送信案内データに含まれるサービス番号と同じサービス番号をデータベース141fから検索する。
【0032】
同じサービス番号が発見されなかったときはステップS43でNOと判断し、ステップS45で送信要求を発信装置12に送信する。具体的には、発信装置12の識別子ID(s)および図5に示す送信要求データを、ブルートゥースモジュール14aを通して発信装置12に送信する。これに対して発信装置12から自分の識別子ID(r)および図4(B)に示すコンテンツが配信されると、ステップS47でYESと判断してステップS49に進む。ステップS49ではコンテンツに含まれるサービス番号およびコンテンツデータをデータベース141fに登録し、ステップS51ではコンテンツに含まれる停止時間をタイマ14gにセットする。コンテンツの受信が完了するとステップS53でYESと判断し、ステップS55でブルートゥースモジュール14aのデータ受信機能をオフしてからステップS31に戻る。コンテンツの受信によって、互いに関連するサービス番号およびコンテンツデータが、図6に示す要領でデータベース141fに格納される。また、受信したコンテンツデータに基づくコンテンツ画像が、ディスプレイ14dに表示される。
【0033】
ステップS43でYESと判断されたときは、つまり同じサービス番号がデータベース141fから発見されたときは、ステップS57でブルートゥースモジュール14aのデータ受信機能をオフする。さらに、ステップS59でタイマ14gを起動し、ステップS61でタイムアウトの有無を判別する。タイマ14には所定の停止時間がセットされており、ブルートゥースモジュール14aは、この停止時間が経過するまでオフ状態を維持する。タイムアウトが生じると、ステップS61でYESと判断し、ステップS31に戻る。
【0034】
このように、コンテンツが受信されると、このコンテンツに含まれるサービス番号がデータベース141fに登録される。コンテンツの受信が完了した後に再び発信装置12と通信プロトコルを確立したとしても、送信案内データに含まれるサービス番号がデータベース141fに登録済みのサービス番号と一致し、これによってブルートゥースモジュール14aがオフされる。オフされたブルートゥースモジュール14aは、少なくともタイマ14gにセットされた停止時間が経過するまでオンされることはない。つまり、各々の携帯端末14は、3回以上連続して発信装置12と通信プロトコルを確立することはできない。したがって、この実施例の無線通信システム10では、1対1通信を前提としたブルートゥースモジュールを用いて1対多通信を実現することができる。
【0035】
なお、この実施例では、発信装置12から発信されるサービス番号は1種類しかないため、配信されるコンテンツは1種類となるが、複数のサービス番号を準備し、複数のカテゴリのコンテンツを配信するようにしてもよい。この場合、たとえば、所定回数のコンテンツ配信が行なわれる毎にコンテンツを更新したり、所定時間毎にコンテンツを更新する方法が考えられる。特に前者の場合は、先着順でコンテンツのグレードを下げるような配信(たとえば先着100名にグレードAのコンテンツを配信し、次の100名にグレードBのコンテンツを配信し、続く100名にグレードCのコンテンツを配信するなど)が可能となる。
【0036】
また、この実施例の携帯端末は、受信キーの操作に応答してデータ受信機能をオンするようにしている(ステップS31,S33)が、受信キーの代わりにタイマ割り込みなどの別のトリガに応答して受信機能をオンするようにしてもよく、また、ステップS57でオフする以外は受信機能を常時オン状態とするようにしてもよい。この場合、ユーザが意図的に操作することなくデータ通信が行なわれ、コンテンツがデータベースに登録される。この場合、非会員向けに配信されるコンテンツには入会案内などの広告を含めることが考えられる。
【0037】
他の実施例の無線通信システム10は、図9〜図12に基づいて説明するが、携帯端末14のユーザが匿名で発信装置12からのコンテンツ配信を受けられるようにしたものである。この場合、発信装置12としては、たとえば有名タレントのメールアカウントを不特定多数のファンに配信するメールアカウント管理端末である。匿名でのアクセスに対するコンテンツ配信であるゆえに、携帯端末14から出力される送信要求データは図10に示すようにサービス番号のみでユーザIDを持たず、発信装置12から出力されるコンテンツデータもまた、図9(B)に示すようにユーザIDを持たない。なお、図9(A)は発信装置12から出力される送信案内データである。発信装置12および携帯端末14はそれぞれ、図11および図12に示すフロー図に従って匿名アクセス処理を行なう。ただし、この匿名アクセス処理の大部分は図7および図8に示す会員アクセス処理と同じであるため、同様の処理については詳しい説明を省略する。
【0038】
図11に示すステップS61〜S73は、図7に示すステップS1〜S13と同じ処理である。ステップS73でYESと判断されると、ステップS75で識別子ID(r)およびコンテンツを特定携帯端末14に送信する。匿名アクセスであるため、いずれのアクセスに対しても同じコンテンツ(メールアカウント)が配信される。コンテンツ配信が完了すると、ステップS61に戻る。なお、図12に示すフロー図は、図10に示すようなサービス番号のみを含む送信要求データをステップS95で送信する点を除き、図8に示す処理と同じである。
【0039】
この実施例においても、コンテンツが受信されると、このコンテンツに含まれるサービス番号がデータベース141fに登録される。このため、同じ携帯端末14が再び通信プロトコルを確立しても、送信案内データに含まれるサービス番号がデータベース141fに登録済みのサービス番号と一致するため、ブルートゥースモジュール14aはオフされ、通信プロトコルが解除される。つまり、各々の携帯端末14aは、3回以上連続して発信装置12と通信プロトコルを確立することはできない。これによって、1対1通信を前提としたブルートゥースモジュールを用いて1対多通信を実現することができる。
【0040】
その他の実施例の無線通信システム10は、ユーザが匿名でコンテンツ配信を受けられる点で図9〜図12実施例と共通するが、携帯端末14のデータ受信機能を周期的にオン/オフし、かつ送信されたサービス番号が登録済みのサービス番号と一致するかどうかによってオン時間およびオフ時間の比率を変更するようにした点で図9〜図12実施例と異なる。各々の携帯端末14は、図13に示すように2つのタイマ(第1タイマ141gおよび第2タイマ142g)を備え、CPU14aは、図14および図15に示すフロー図を処理する。
【0041】
まずステップS111でデータ受信機能をオンし、ステップS113で第1タイマ141gに“10秒”をセットしかつ起動する。ステップS115では、ブルートゥースモジュール14aが通信プロトコルの確立に成功したかどうか判断する。ブルートゥースモジュール14aから確立失敗通知が与えられたときは、ステップS117で第1タイマ141gがタイムアウト状態であるかどうか判断し、NOであれば、ステップS119でデータ受信機能を初期化してからステップS115に戻る。このため、第1タイマ141gの起動から10秒間は、通信プロトコルの確立が成功するまでステップS115〜S119の処理が繰り返される。
【0042】
プロトコルの確立が成功しないまま10秒が経過すると、ステップS117でYESと判断し、ステップS121でデータ受信機能をオフするとともに、ステップS123で第2タイマ142gがタイムアウト状態であるかどうか判断する。第2タイマ141gがタイムアウト状態であれば、ステップS125で第1タイマ141gに“40秒”をセットするが、第2タイマ141gがタイムアウト状態でなければ、ステップS127で第1タイマ141gに“90秒”をセットする。ステップS129では第1タイマ141gを起動し、ステップS131では第1タイマ141gがタイムアウトしたかどうか判断する。そして、タイムアウトが生じたときにステップS111に戻る。
【0043】
ステップS113でセットされる第1タイマ141gのオン時間は、常に10秒である。このため、第2タイマ142gがタイムアウト状態であるとき、データ受信機能は10秒オンされる毎に40秒オフされ、データ受信機能の動作確率は20%となる。一方、第2タイマ142gがタイムアウト状態でないときは、データ受信機能は10秒オンされる毎に90秒オフされ、データ受信機能の動作確率は10%となる。
【0044】
ブルートゥースモジュール14aが通信プロトコルの確立に成功し、確立成功通知が与えられると、ステップS115でYESと判断し、ステップS133(図15)で発信装置12から送信案内があったかどうか判断する。ここでYESであればステップS135に進み、送信案内データに含まれるサービス番号と同じ番号をデータベース141fから検索する。同じ番号がデータベース141fから発見されなければ、ステップS137でNOと判断し、ステップS139で送信要求を発信装置12に出力するとともに、ステップS141で発信装置12からコンテンツ配信があったかどうかを判断する。コンテンツ配信があると、サービス番号およびコンテンツデータをステップS143でデータベース141fに登録し、コンテンツデータの受信が完了すると、ステップS121(図14)に戻ってデータ受信機能をオフする。
【0045】
一方、送信案内データに含まれるサービス番号と同じ番号がデータベース141fから発見されると、ステップS137からステップS147に進み、第2タイマ142gに“15分”をセットしかつ第2タイマ142gを起動する。第2タイマ142gが起動されると、ステップS121に戻ってデータ受信機能をオフする。第2タイマ142gが起動されたときは、この起動から15分間はステップS123でNOと判断され、ステップS127で第1タイマ141gに“90秒”がセットされる。このため、第1タイマ141gの動作確率は10%となり、第1タイマ141gは10秒オンされる毎に90秒オフされる。
【0046】
この実施例においても、コンテンツ配信が行われると、配信されたコンテンツに含まれるサービス番号がデータベース141fに登録される。同じ携帯端末14が再び通信プロトコルを確立すると、送信案内データに含まれるサービス番号が登録済みのサービス番号と一致し、これによってデータ受信機能の動作確率が低下される。つまり、データ受信機能をオン/オフする時間比率が長く設定される。こうすることで他の受信機がデータを受けやすくなり、1対1通信を前提としたブルートゥースモジュールを用いて1対多通信を実現することができる。
【0047】
なお、図14および図15に示すフロー図は匿名アクセス処理を想定しているが、データ受信機能の動作確率を変更する方法は会員アクセス処理においても有効である。
【0048】
さらにその他の実施例の無線通信システム10では、図16に示すように第3タイマ143gが携帯端末14に追加される。また、CPU14bは、図17および図18に示すフロー図を処理する。ただし、図17および図18に示すステップS151〜187の処理は、図14および図15に示すステップS111〜S147と同じであるため、これらの処理についての重複した説明は極力省略する。
【0049】
ステップS187で第2タイマ142gに“15分”がセットされかつ第2タイマ142gが起動された後は、ステップS189でデータ受信機能をオフし、第3タイマ143gに“5分”をセットしかつ第3タイマ143gを起動する。起動から5分が経過し、第3タイマ143gにタイムアウトが生じると、ステップS193でYESと判断してステップS151に戻る。
【0050】
この実施例では、送信案内データに含まれるサービス番号と同じ番号がデータベース141fから発見されたとき、データ受信機能は最初の5分間完全にオフされ、その後の10分間は動作確率が10%にセットされる。このような方法によっても、1対1通信を前提としたブルートゥースモジュールを用いて1対多通信を実現することができる。
【0051】
なお、以上の実施例では、近距離無線通信方式としてブルートゥース方式を採用しているが、これに代えてIrDA方式を採用してもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す図解図である。
【図2】発信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図4】(A)は発信装置から出力される送信案内データの構造を示す図解図であり、(B)は発信装置から出力されるコンテンツデータの構造を示す図解図である。
【図5】携帯端末から出力される送信要求データの構造を示す図解図である。
【図6】携帯端末の主記憶に格納されたデータベースを示す図解図である。
【図7】発信装置の動作の一部を示すフロー図である。
【図8】携帯端末の動作の一部を示すフロー図である。
【図9】(A)はこの発明の他の実施例に適用される発信装置から出力される送信案内データの構造を示す図解図であり、(B)はこの発明の他の実施例に適用される発信装置から出力されるコンテンツデータの構造を示す図解図である。
【図10】この発明の他の実施例に適用される携帯端末から出力される送信要求データの構造を示す図解図である。
【図11】この発明の他の実施例に適用される発信装置の動作の一部を示すフロー図である。
【図12】この発明の他の実施例に適用される携帯端末の動作の一部を示すフロー図である。
【図13】この発明のその他の実施例に適用される携帯端末を示すブロック図である。
【図14】この発明のその他の実施例に適用される発信装置の動作の一部を示すフロー図である。
【図15】この発明のその他の実施例に適用される携帯端末の動作の一部を示すフロー図である。
【図16】この発明のさらにその他の実施例に適用される携帯端末を示すブロック図である。
【図17】この発明のさらにその他の実施例に適用される発信装置の動作の一部を示すフロー図である。
【図18】この発明のさらにその他の実施例に適用される携帯端末の動作の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
10…無線通信システム
12…発信装置
14…携帯端末
12a,14a…ブルートゥースモジュール
12b,14b…CPU
12f,14f…主記憶
Claims (6)
- 送信側通信端末と複数の受信側通信端末とを備える無線通信システムにおいて、
前記送信側通信端末は、
接続要求を繰り返し送出し、前記接続要求に対して承認信号を返送した特定の前記受信側通信端末と1対1の無線通信接続を確立する第1確立手段、
前記第1確立手段によって前記無線通信接続が確立されたとき識別信号を特定の前記受信側通信端末に送信する識別信号送信手段、
前記識別信号に対してコンテンツ要求が返送されたとき、前記識別信号に対応するコンテンツを前記特定の受信側通信端末に送信して前記第1確立手段を初期化するコンテンツ送信手段、および
前記識別信号に対して前記コンテンツ要求が返送されないとき、前記コンテンツを送信することなく前記第1確立手段を初期化する第1初期化手段を備え、
各々の前記受信側通信端末は、
前記送信側通信端末から前記接続要求を受信したときに前記承認信号を返送して前記送信側通信端末と前記1対1の無線通信接続の確立を試みる第2確立手段、
前記第2確立手段が前記無線通信接続の確立に失敗したとき前記第2確立手段を初期化する第2初期化手段、
前記第2確立手段が前記無線通信接続の確立に成功したとき前記送信側通信端末から送信された前記識別信号を受信する識別信号受信手段、
前記識別信号が所定条件を満たすとき前記コンテンツ要求を返送して前記送信側通信端末から前記コンテンツを受信するコンテンツ受信手段、
前記コンテンツ受信手段による受信が完了した後に前記第2確立手段の確立機能をオフにする第1オフ手段、および
前記識別信号が前記所定条件を満たさないとき前記第2確立手段の確立機能をオフにする第2オフ手段を備えることを特徴とする、無線通信システム。 - 前記所定条件は今回受信した前記識別信号が過去に受信した前記識別信号と異なることである、請求項1記載の無線通信システム。
- 前記コンテンツは前記識別信号を含み、
前記過去に受信した識別信号は前記コンテンツに含まれる前記識別信号である、請求項2記載の無線通信システム。 - 前記コンテンツは時間情報を含み、
前記第1オフ手段は前記時間情報に従う時間にわたって前記第2確立手段の確立機能をオフにする、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信システム。 - 前記第2確立手段の確立機能を所定の時間比率で繰り返しオン/オフするオン/オフ手段、および
前記第1オフ手段または前記第2オフ手段によって前記第2確立手段の確立機能がオフにされた後に前記時間比率を変更する変更手段をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信システム。 - 前記変更手段は前記第2確立手段の確立機能のオン期間が長くなるように前記時間比率を変更する、請求項5記載の無線通信システム。
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