JP3539030B2 - レーザ光発生装置 - Google Patents
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Description
レーザ光を、レーザ光源の外部に配された光共振器によ
って強めるとともに、この光共振器内に配された非線形
光学結晶素子によって波長変換した上で出力するレーザ
光発生装置に関する。
ザ光源からのレーザ光を、レーザ光源の外部に配された
光共振器によって強めるとともに、この光共振器内に配
された非線形光学結晶素子によって波長変換して出力す
るタイプのレーザ光発生装置が提案されている。
光源から出射されるレーザ光の波長と、光共振器内にお
ける光路長とを精密に制御して、共振条件を満たすよう
にしなければならない。したがって、レーザ光源から出
射されるレーザ光の出力は安定に保たれている必要があ
る。そして、一般に、光共振器からレーザ光源への戻り
光があるとレーザ光の発振が不安定になりやすいので、
上述のようなレーザ光発生装置では、光共振器からレー
ザ光源への戻り光を抑止することが非常に重要な課題と
なっている。
ーザ光源と光共振器の間に光アイソレータを配し、この
光アイソレータによってレーザ光源への戻り光を抑止し
ている。しかし、光アイソレータは非常に高価であり、
レーザ光発生装置の低価格の妨げとなっている。
上述のような戻り光を防止するために、光共振器とし
て、いわゆるリング型光共振器を使用したものも提案さ
れている。このリング型光共振器は、例えば、図4に示
すように、4つの反射鏡101,102,103,10
4によって光共振器110を構成することにより、レー
ザ光源への戻り光を抑止したものである。すなわち、こ
のような光共振器110では、理論的には、光共振器1
10内のレーザ光は、レーザ光源からのレーザ光L0の
入射方向に進む進行波(以下、順進行波と呼ぶ。)L1
のみとなり、順進行波とは逆方向に進む進行波(以下、
逆進行波と呼ぶ。)は発生せず、レーザ光源へ光が戻る
ようなことがなくなる。
おいて、波長変換に使用される非線形光学結晶素子は、
レーザ光が垂直に入射されるのを前提とするものが一般
的であり、このような非線形光学結晶素子では、光学損
失を低減させるために、レーザ光入射面に反射防止膜が
形成される。ここで、反射防止膜は、理想的には反射を
完全に無くすものが望まれるが、実際には、反射を完全
に無くすことは非常に困難であり、多くの場合、0.1
〜0.5%程度の残留反射が残っている。
第4の反射鏡101,102,103,104を備えた
光共振器110内に非線形光学結晶素子111を配する
と、この非線形光学結晶素子111のレーザ光入射面1
11aによって順進行波L1が反射されてしまう。ここ
で、非線形光学結晶素子111による反射光R1の共振
周波数は、光共振器110の内部にファラデー素子など
がない限り、光の可逆性から、順進行波L1の共振周波
数と同じである。したがって、わずかな残留反射であっ
ても反射光R1が共振してしまい、光共振器110内に
逆進行波が発生してしまう。すなわち、非線形光学結晶
素子111からの反射光R1は、光共振器110内の閉
じた経路を順進行波L1とは逆の方向に進行し、光共振
器110内に逆進行波を励起する。そして、このよう
に、非線形光学結晶素子111のレーザ光入射面111
aによる反射によって光共振器110の内部に発生した
逆進行波は、モードマッチされたレーザ光源112への
戻り光R2となり、レーザ光の発振を不安定にさせてし
まう。
ーザ光発生装置においても、非線形光学結晶素子からの
反射によって戻り光が生じてしまうため、やはり、レー
ザ光源と光共振器の間に光アイソレータを配する必要が
あり、低価格化を図ることが難しかった。
らの反射を防ぐために、非線形光学結晶素子の表面をブ
リュースター角にカットする方法も提案されている。
リュースター角で反射が発生しにくい光だけを扱うとは
限らず、その適用には限界がある。
用いる場合には、入力される光が異なる偏光方向をもっ
ているため、非線形光学結晶素子の表面をブリュースタ
ー角にカットすることによって一方の偏光に対しては反
射が防げても、他方の偏光に対しては、典型的には20
%以上の反射損失が生じる。
る場合は、入力される2つの光の偏光方向は同じなの
で、これらの光に関しては、非線形光学結晶素子の表面
をブリュースター角にカットすることによって反射損失
は低減できる。しかし、発生する第3の光は、一般に、
入力光の偏光方向に対して直交する偏光方向となるた
め、この第3の光に関しては、やはり20%以上の反射
損失が生じてしまう。
ブリュースター角にカットすると、反射損失が非常に大
きくなってしまうため、この方法は現実的ではなかっ
た。
レーザ光発生装置では、高い効率で波長変換を行うため
に、上述のように、非線形光学結晶素子の表面に反射防
止膜を形成し、この面に順進行波が垂直に入射するよう
にする方法が一般的である。
レーザ光発生装置では、光共振器からレーザ光源への戻
り光を抑止するための光アイソレータが不可欠であり、
低価格化を図ることが難しかった。
鑑みて提案されたものであり、レーザ光源への戻り光と
なる逆進行波の発生を抑止することにより、光共振器か
らレーザ光源への戻り光を抑え、光アイソレータの必要
性を解消したレーザ光発生装置を提供することを目的と
している。
めに完成された本発明に係るレーザ光発生装置は、レー
ザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光が平面鏡であ
る入力結合鏡を介して入射される、凹面鏡を用いた光共
振器と、レーザ光入射面に反射防止膜が形成され、前記
光共振器内で共振するレーザ光の光軸に対して前記レー
ザ光入射面が斜めとなるように光共振器内に配された非
線形光学結晶素子と、前記光共振器内で、前記非線形光
学結晶素子とフォーカス手段として機能する凹面鏡との
間で且つこの凹面鏡の近傍に配置され、前記非線形光学
結晶素子よって反射された反射光を遮るアパーチャとを
備える。
共振するレーザ光の位相整合条件への影響が少ない方向
に非線形光学結晶素子を傾けることにより、光共振器内
で共振するレーザ光の光軸に対してレーザ光入射面が斜
めとなるようにすることが好ましい。
光学結晶素子のレーザ光入射面の法線と、光共振器内で
共振するレーザ光の光軸とがなす角度をαとし、アパー
チャの有効角度をβとし、レーザ光の広がり角度をδと
したとき、2α≧(β+δ)とすることが好ましい。
学結晶素子の傾きを微調整する傾き調整機構を備えてい
ることが好ましい。また、この傾き調整機構は、非線形
光学結晶素子の2方向の傾きを微調整する機構を備えて
いることが好ましい。
置では、レーザ光入射面が斜めとなるように非線形光学
結晶素子が光共振器内に配されているので、非線形光学
結晶素子のレーザ光入射面によって反射された反射光
は、光共振器内で共振する順進行波の光軸からずれるこ
ととなる。そして、本発明に係るレーザ光発生装置は、
非線形光学結晶素子によって反射された反射光を遮るア
パーチャを備えているので、非線形光学結晶素子からの
反射光は、このアパーチャによって遮られることとな
る。したがって、このレーザ光発生装置では、非線形光
学結晶素子からの反射光によって逆進行波が励起される
ようなことがない。
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、本発明は以下の例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更が可能
であることは言うまでもない。
レーザ光源からのレーザ光を、レーザ光源の外部に配さ
れた光共振器によって強めるとともに、この光共振器内
に配された非線形光学結晶素子によって波長変換するも
のであり、図1に示すように、レーザ光Lを出射するレ
ーザ光源1と、レーザ光源1からのレーザ光Lを共振さ
せる光共振器2と、光共振器2内に配された非線形光学
結晶素子3と、光共振器2内で非線形光学結晶素子3に
よって反射された光を遮るアパーチャ4とを備えてい
る。
学結晶素子3の傾きを微調整する傾き調整機構5も備え
ている。ここで、傾き調整機構5は、後述するように非
線形光学結晶素子3からの反射光Rが順進行波LAの光
軸からずれるように非線形光学結晶素子3の傾きを微調
整できるように、且つ、位相整合条件を満たすように非
線形光学結晶素子3の傾きを微調整できるように、非線
形光学結晶素子3の2方向の傾きを微調整する機構を備
えている。
源1は、光共振器2内で共振する際の基本波レーザ光と
なる所定の波長のレーザ光Lを出射するものであり、例
えば、固体レーザであるNd:YAGレーザによって波
長1064nmのレーザ光を出射する。
Lを共振させる光共振器2は、いわゆるbow−tie
型光共振器であり、平面鏡である第1の反射鏡11及び
第2の反射鏡12と、凹面鏡である第3の反射鏡13及
び第4の反射鏡14とを備えている。
(Input Coupler)と呼ばれる部分透過鏡であり、この
第1の反射鏡11を介して、レーザ光源1からのレーザ
光Lが光共振器2内に入射される。一方、第2乃至第4
の反射鏡12,13,14は、高効率を得るために、高
反射率の反射鏡が使用される。
器2内に入射されたレーザ光Lは、第2の反射鏡12、
第3の反射鏡13、第4の反射鏡14及び第1の反射鏡
11によって順次反射されて、光共振器2内において共
振し、これにより、光共振器2内に順進行波LAが励起
される。
3及び第4の反射鏡14は、凹面鏡であり、光共振器2
内で共振する順進行波LAのフォーカシングを行うフォ
ーカス手段として機能する。したがって、この光共振器
2は、損失の少ない安定共振器となっており、凹面鏡で
ある第3の反射鏡13の反射面13aの曲率と、凹面鏡
である第4の反射鏡14の反射面14aの曲率と、光共
振器2内の光路長とにより、空間的に定義される共振器
固有モードを有している。
形光学結晶素子3は、非線形波長変換を行うためのもの
であり、第3の反射鏡13と第4の反射鏡14との間で
あって、共振器固有モードの焦点近傍に配置される。こ
のように非線形光学結晶素子3を共振器固有モードの焦
点近傍に配置すると、非線形光学結晶素子3による波長
変換時の光密度が高まり、波長変換が非常に効率良く行
われる。
線形光学結晶素子3によって順進行波LAが反射されな
いように、レーザ光入射面3aに反射防止膜が形成され
ている。しかし、反射防止膜が形成されていても、若干
の残留反射が残るため、レーザ光入射面3aによって順
進行波LAの一部が反射されてしまう。そこで、本実施
の形態においては、非線形光学結晶素子3を、光共振器
2内で共振する順進行波LAの光軸に対してレーザ光入
射面3aが斜めとなるように、光共振器2内に配する。
これにより、非線形光学結晶素子3からの反射光Rの光
軸は、非線形光学結晶素子3を透過する透過光、すなわ
ち光共振器2内で共振する順進行波LAの光軸からずれ
ることとなる。
て、非線形光学結晶素子3の傾きが十分に大きければ、
非線形光学結晶素子3のレーザ光入射面3aからの反射
光Rは、図2に示すように、光共振器2の外部へ出るた
め、この反射光Rによって逆進行波が励起されるような
ことはなくなる。
さいときには、非線形光学結晶素子3からの反射光Rに
ついても、光共振器2の内部で閉じた経路が構成されて
しまう。すなわち、この光共振器2は、第3の反射鏡1
3及び第4の反射鏡14として凹面鏡を用いた安定共振
器であり、しかも、非線形光学結晶素子3が共振器固有
モードの焦点近傍にあるので、非線形光学結晶素子3が
少々の傾きを持っていたとしても、非線形光学結晶素子
3からの反射光Rは、ほぼ同じ位置に戻ってくることと
なる。したがって、非線形光学結晶素子3を多少傾けた
だけでは、反射光Rの光軸が順進行波LAの光軸からず
れていたとしても、反射光Rが閉じた経路内で共振して
しまい逆進行波が励起されてしまう。
ように、非線形光学結晶素子3によって反射された光を
遮るように、光共振器2の内部にアパーチャ4を配して
いる。このアパーチャ4は、順進行波LAを透過し、順
進行波LAの光軸からずれた光、すなわち非線形光学結
晶素子3からの反射光Rを遮るものであり、例えば、順
進行波LAの光軸を中心とした円形の開口部を有してい
る。このアパーチャ4により、順進行波LAに大きな影
響を与えることなく、反射光Rだけが選択的に遮られ、
逆進行波の励起が防止される。
のような4枚の反射鏡からなるものに限定されるもので
はなく、一般に光共振器として使用されているものが広
く使用可能であることは言うまでもない。
では、アパーチャ4を配する位置によって効率が大きく
変化する。そこで、以下、アパーチャ4を配する位置に
ついて説明する。
によって反射光Rを遮り、反射光Rが光共振器2の内部
で閉じた経路を構成しないようにすることにより、逆進
行波の励起を抑止している。しかし、この光共振器2
は、凹面鏡を用いた安定共振器であるので、非線形光学
結晶素子3を傾けていても、非線形光学結晶素子3から
の反射光Rは、共振器固有モードの焦点近傍において、
順進行波LAの光軸に近づくこととなる。したがって、
アパーチャ4を挿入する位置によっては、アパーチャ4
による遮光部分が順進行波LAの光軸に近づいてしま
う。
進行波LAの光軸に近づくと、低損失とすべき順進行波
LAの一部までもがアパーチャ4によって遮光されるた
め、損失が増大してしまう。具体的には、凹面鏡やレン
ズ等を備えた安定共振器の固有モードにおいて、その順
進行波は、光軸に対して垂直方向にガウス分布状の広が
りをもっており、このガウスビームのスポットサイズの
1.5倍の径を有するアパーチャを用いたとき、約1%
の損失が生じてしまう。したがって、アパーチャ4は、
反射光Rが、順進行波LAの光軸からもっとも離れた位
置に配することが好ましい。
形光学結晶素子3のレーザ光入射面3aの法線と、光共
振器2内で共振する順進行波LAの光軸とがなす角度を
αとしたとき、レーザ光入射面3aからの反射光Rは、
順進行波LAの光軸に対して2αなる角度をもって伝搬
し、第3の反射鏡13に達する。ここで、第3の反射鏡
13は、その表面が凹面状に加工されたフォーカシング
素子であり、光共振器2内の一方の焦点近傍からの光を
もう一方の焦点近傍に集光する。したがって、反射光R
は、フォーカシング素子である第3の反射鏡13に反射
された後、再び、順進行波LAの光軸に接近することと
なる。このことから、反射光Rと順進行波LAの光軸と
は、フォーカシング素子である第3の反射鏡13上にお
いて、最もその距離が大きくなる。
に抑えて、効果的に逆進行波を抑止するため、アパーチ
ャ4は、光共振器2内で共振するレーザ光のフォーカシ
ングを行うフォーカス手段として機能する第3の反射鏡
13の近傍に配される。
置についての議論は、光共振器2が安定共振器であり、
非線形光学結晶素子3のレーザ光入射面3aが共振器固
有モードの焦点近傍に配置されている場合に、広く適用
できることは言うまでもない。
おいて、アパーチャ4の開口部と、非線形光学結晶素子
3の傾きとの関係について説明する。
有限の空間的広がりをもっている。したがって、アパー
チャ4の開口部は、順進行波LAの損失を低減するため
に、順進行波LAの空間的広がりよりも大きいことが好
ましい。
して反射光Rを遮るためには、アパーチャ4の開口部の
半径が、反射光Rと順進行波LAとの距離程度以下でな
ければならない。また、反射光Rも順進行波LAと同様
に有限の空間的広がりをもっているため、アパーチャ4
は、反射光Rの広がりも含めて遮光する必要がある。
学結晶素子3の傾き角、すなわち非線形光学結晶素子3
のレーザ光入射面3aの法線と、光共振器2内で共振す
る順進行波LAの光軸とがなす角度をαとし、アパーチ
ャ4の有効角度、すなわちレーザ光入射面3aからみた
アパーチャ4のエッジの投影角度をβとし、レーザ光入
射面3aからの反射光Rの広がり角度をδとしたとき
に、2α≧(β+δ)となるように、アパーチャ4の開
口部を設定するとともに、非線形光学結晶素子3を傾け
ることが好ましい。
チャとして使用されている光学部材に限られるものでは
なく、順進行波LAからずれた方向に進む反射光Rを遮
るものであればどのようなものでも使用可能である。す
なわち、アパーチャは円形の開口部を有する通常のアパ
ーチャでなくてもよく、例えば、レーザ光入射面からの
反射光を遮るように光共振器内に何らかの構造体を配置
して、これをアパーチャとすることも可能である。
おいて、非線形光学結晶素子3を傾ける方向について説
明する。
傾けることによって、逆進行波の発生を抑止することが
できる。しかし、非線形光学結晶素子3は、結晶の複屈
折を利用して位相整合を行うため、非線形光学結晶素子
3を常に任意の方向に傾けることができるとは限らな
い。すなわち、非線形光学結晶素子3を傾けることは、
位相整合条件を変えることとなり、通常、非線形光学結
晶素子3を大きな角度をもって傾けることは困難であ
る。そして、この位相整合条件に対する結晶の傾きは、
物質によっては非常に許容範囲が狭く、例えば、長さ5
mm程度のβホウ酸バリウム結晶(以下、BBO結晶と
呼ぶ。)を用いて波長266nmの深紫外光や355n
mの紫外光を発生させるとき、この傾きの許容範囲は、
結晶を傾ける方向によっては0.01度程度と非常に狭
い範囲となる。
場合には、位相整合条件はZ軸からの偏角によって特定
されるものであり、X−Y面内での角度には依存しな
い。そこで、光共振器2内で共振する順進行波LAの光
軸に対してレーザ光入射面3aが斜めとなるように非線
形光学結晶素子3を傾けるときには、光共振器2内で共
振する順進行波LAの位相整合条件への影響が少ない方
向に傾けることが好ましい。すなわち、例えば、非線形
光学結晶素子3にBBO結晶のような一軸性結晶を使用
するときには、位相整合条件に影響が少ない方向である
X−Y面内方向に傾けることが好ましい。
用いて、実際にレーザ光を発生させた実験結果について
説明する。
装置と同等な効果を有する装置として、第3の反射鏡1
3の有効径を半径約3.5mmに規定し、この第3の反
射鏡13が半径約3.5mmのアパーチャとして機能す
るようにした装置を用いた。そして、非線形光学結晶素
子3として、レーザ光入射面3aに反射防止膜が形成さ
れたBBO結晶を使用し、この非線形光学結晶素子3
を、反射防止膜が形成されたレーザ光入射面3aと、第
3の反射鏡13との距離が約25mmとなるように配置
した。このとき、第3の反射鏡13によるアパーチャの
有効角βは3.5mm/25mm=約140mrad、
すなわち約8度である。
には、Nd:YAGレーザによる波長1064nmのレ
ーザ光を使用した。このとき、光共振器2の共振器固有
モードは、約31μmの焦点スポットサイズを持ってお
り、その広がり角度δは、約10mrad、すなわち約
0.63度である。
線形光学結晶素子3を光軸に対してほぼ垂直に固定した
上で、レーザ光源からのレーザ光Lの周波数を光共振器
2の共振周波数近傍で変化させてレーザ周波数同期を試
みた。このとき、光共振器2からの漏れ光をフォトディ
テクタで検出することによって、光共振器2の内部の光
強度をモニタしたところ、レーザ光Lの周波数が共振周
波数と一致したときに共振器固有モードが立ち上がり始
めるが、同時に、その強度にノイズが生じ始めることが
確認された。そこで、周波数制御回路を閉じて、この共
振に同期することを試みたが、レーザ発振自体が安定に
ならず、安定な同期は得られなかった。
線形光学結晶素子3を位相整合条件への影響が少ない方
向であるX−Y面内方向に傾けたところ、ノイズの減少
がみられた。そして、非線形光学結晶素子3の傾き角が
(8度+0.63度)/2=約4.32度以上となり、
第3の反射鏡13の有効径の外側に反射光が当たって見
えるようになるまで、すなわち、反射光Rが完全に遮ら
れるようになるまで、非線形光学結晶素子3を傾けたと
ころ、レーザ発振が安定となり、周波数同期も安定にか
けることができた。このとき、非線形光学結晶素子3を
傾けた方向は、位相整合に対して影響のない方向であ
り、非線形光学結晶素子3を傾けても波長変換効率に顕
著な変化は見られなかった。
3を傾けることにより、レーザ光源1への戻り光が非常
に効率良く防止され、レーザ発振が非常に安定になるこ
とが確認された。また、非線形光学結晶素子3を傾ける
方向が位相整合に関係のない方向であれば、非線形光学
結晶素子3の傾きは、波長変換効率に対して殆ど影響が
無いことが確認された。
に係るレーザ光発生装置では、非線形光学結晶素子から
の反射光はアパーチャによって遮られるので、非線形光
学結晶素子からの反射光によって逆進行波が励起される
ようなことがない。したがって、本発明に係るレーザ光
発生装置では、光共振器からレーザ光源への戻り光が抑
止され、光アイソレータ等を使用することなく、安定に
レーザ光を発振することが可能となる。また、アパーチ
ャを光共振器内で非線形光学結晶素子とフォーカス手段
として機能する凹面鏡との間で且つこの凹面鏡の近傍に
配置することで、順進行波の損失を最小限に抑えて、効
果的に逆進行波を抑止することができる。
を示す模式図である。
模式図である。
きとの関係を示す模式図である。
る。
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 レーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光が平面鏡である入力結合
鏡を介して入射される、凹面鏡を用いた 光共振器と、 レーザ光入射面に反射防止膜が形成され、前記光共振器
内で共振するレーザ光の光軸に対して前記レーザ光入射
面が斜めとなるように光共振器内に配された非線形光学
結晶素子と、 前記光共振器内で、前記非線形光学結晶素子とフォーカ
ス手段として機能する凹面鏡との間で且つこの凹面鏡の
近傍に配置され、前記非線形光学結晶素子よって反射さ
れた反射光を遮るアパーチャと、 を備えることを特徴とするレーザ光発生装置。 - 【請求項2】 前記非線形光学結晶素子を光共振器内で
共振するレーザ光の位相整合条件への影響が少ない方向
に傾けることにより、光共振器内で共振するレーザ光の
光軸に対してレーザ光入射面が斜めとなるようにしたこ
とを特徴とする請求項1記載のレーザ光発生装置。 - 【請求項3】 前記非線形光学結晶素子のレーザ光入射
面の法線と、光共振器内で共振するレーザ光の光軸とが
なす角度をαとし、前記アパーチャの有効角度をβと
し、レーザ光の広がり角度をδとしたとき、2α≧(β
+δ)であることを特徴とする請求項1記載のレーザ光
発生装置。 - 【請求項4】 前記非線形光学結晶素子の傾きを微調整
する傾き調整機構を備えていることを特徴とする請求項
1記載のレーザ光発生装置。 - 【請求項5】 前記傾き調整機構が、非線形光学結晶素
子の2方向の傾きを微調整する機構を備えていることを
特徴とする請求項4記載のレーザ光発生装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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