JP3536887B2 - 車両駆動系のダイナミックダンパ装置 - Google Patents

車両駆動系のダイナミックダンパ装置

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JP3536887B2
JP3536887B2 JP29402396A JP29402396A JP3536887B2 JP 3536887 B2 JP3536887 B2 JP 3536887B2 JP 29402396 A JP29402396 A JP 29402396A JP 29402396 A JP29402396 A JP 29402396A JP 3536887 B2 JP3536887 B2 JP 3536887B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ねじり振動を低
減するための車両駆動系のダイナミックダンパ装置に関
する。
【0002】
【関連する背景技術】車両の駆動は、エンジンで発生し
たトルクを動力伝達経路を介して駆動輪に伝達すること
で行われる。例えば、トラックのような後輪駆動の車両
の動力伝達経路、即ち車両駆動系は、クラッチ、トラン
スミッション、プロペラ軸、そして終減速機からなる。
エンジンの発生するトルクは周期的に変動するため、こ
の車両駆動系は、エンジンのトルク変動を強制力とする
ねじり振動系を構成する。このねじり振動系がエンジン
のトルク変動に共振すると、走行中の車両に振動・異音
などの悪影響をもたらすことになり、その影響の程度は
各振動モードによって異なる。振動モードのうち、ねじ
り4次振動モードでの共振は、車両駆動系のトランスミ
ッションギヤからプロペラ軸後端のドライブピニオンま
でが腹となる振動であり、ここでの共振は走行中のトラ
ックの車室内にこもり音を発生する。また、このような
ねじり4次の共振は、車両の低中速域にて、エンジンが
発生するトルク変動の周波数域(爆発1次成分、以下同
様)内で起きる。それ故、車両駆動系のねじり4次振動
モードでの共振周波数を低中速域でのエンジントルク変
動の周波数域より低く設定すれば、その共振を避けるこ
とができる。
【0003】この点、車両駆動系のねじり4次共振周波
数を低下させるため、プロペラ軸のトランスミッション
後端位置又はデフ前端位置にダイナミックダンパを設け
ることが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ダイナミックダンパは、一般的な振動系の共振点位置を
ずらす手段として有効であるものの、車両駆動系のねじ
り4次振動モードでの共振点位置は変速機の変速段毎に
異なる。このため、ある変速段でのねじり4次振動モー
ドの共振点をその車速域でのエンジンのトルク変動周波
数域外に変位させるべくダイナミックダンパの特性を設
定しても、他の変速段では共振点がその実用域でのエン
ジンのトルク変動周波数域内にあって、振動を増加させ
る場合もある。それ故、車両駆動系へのダイナミックダ
ンパを適用するにあたっては、そのチューニングが困難
であった。
【0005】この発明は上述した事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、変速機での変速段
に拘わらず、ねじり振動を効果的に低減することができ
る車両駆動系のダイナミックダンパ装置を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の車両駆動系のダイナミックダンパ装置
は、エンジンの発生するトルクがクラッチ、変速機、プ
ロペラ軸及び終減速機からなる駆動系を介して駆動輪に
伝達される車両において、プロペラ軸に設けられたダイ
ナミックダンパを備えており、このダイナミックダンパ
のダンパ慣性モーメントは、実用車速域にて車両駆動系
に最も大きなねじり振動の共振を発生させる変速機の変
速段に着目し、変速段での車両駆動系の等価慣性モーメ
ントに基づいて、この変速段でのねじり振動の共振点を
車速でみて実用車速域よりも低速側に変位させるべく設
定されている。
【0007】請求項1の車両駆動系のダイナミックダン
パ装置によれば、変速機が車両駆動系に最も大きなねじ
り振動を発生させる変速段にて、その共振点が車速でみ
て実用車速域から外れており、その共振が避けられると
同時に、その振動が低減される。請求項2の車両駆動系
のダイナミックダンパ装置は、ダンパ慣性モーメントを
md、前記変速段での駆動系の等価慣性モーメントをM
としたとき、ダンパ慣性モーメントは次式、0.4≦m
d/M≦0.6により設定される。この場合、駆動系の
等価慣性モーメントMとの関係からダンパ慣性モーメン
トmdが設定される。
【0008】
【発明の実施の形態】例えば、トラックの駆動系の構成
は、公知のようにエンジンから順次、クラッチ、トラン
スミッション、プロペラ軸、デフ、そしてアクスル軸と
なっている。図1を参照すると、トラックの駆動系が、
ねじり振動系のモデルとして示されている。即ち、エン
ジン2のトルク変動が強制力として働くと、クラッチ
4、トランスミッション6、プロペラ軸8、デフ(終減
速機)10及びアクスル軸12からなる振動系にねじり
振動が発生する。また、アクスル軸12は、図示しない
サスペンション装置を介して車体16に懸架されてお
り、副振動系となるダイナミックダンパ14はデフ10
の前端部に取り付けられている。
【0009】ねじり振動系の各要素について詳しく説明
すると、まずエンジン2は起振源であり、強制力を受け
る振動体M1として表される。クラッチ4はばね、摩擦
抵抗及び振動体M2で表される。また、トランスミッシ
ョン6は振動体M3で表される。プロペラ軸8は駆動系
においてトーションバーとなり、ばね、粘性抵抗及び振
動体M4で表される。なお、この振動体M4中にはプロ
ペラ軸8の後端に位置するドライブピニオンも含まれ
る。また、デフ10は振動体M5で表される。アクスル
軸12は、ばねと粘性抵抗で表され、その振動体は車体
と一体になっている。ダイナミックダンパ14は、プロ
ペラ軸8のデフ前端部に取り付けられており、ばね、粘
性抵抗及びプロペラ軸8の振動体M4に対する付加振動
体M6で表すことができる。
【0010】このねじり振動系の4次振動モード形は図
2に示すようになる。横軸上に示す各ポイントP1〜P
6は振動系モデルの各振動体に対応しており、駆動系で
の各要素の接続点を示している。公知のように、ポイン
トP1ではフライホイールにクラッチディスクがプレッ
シャプレートにより押圧されており、ポイントP2で
は、クラッチディスクが回転方向緩衝機構を介してトラ
ンスミッション6の入力軸に接続されている。ポイント
P3では、トランスミッション6の出力軸がプロペラ軸
8に接続されており、ポイントP4では、プロペラ軸8
における後端のドライブピニオンとデフ10のリングギ
ヤが噛み合わされている。ポイントP5ではリングギヤ
とアクスル軸12が差動歯車機構を介して接続されてい
る。また、ポイントP6では、アクスル軸12が車体に
サスペンション機構を介して接続されている。従って、
図1においてねじり振動系の各振動体の変数は、振動体
M1ではフライホイールの慣性モーメントであり、振動
体M2ではクラッチディスク、プレッシャプレート及び
クラッチカバーからなるクラッチハブの慣性モーメン
ト、振動体M3ではトランスミッション6内部の慣性モ
ーメント、振動体M4ではプロペラ軸8及びドライブピ
ニオンの慣性モーメント、振動体M5ではリングギヤの
慣性モーメント、振動体M6ではダイナミックダンパ1
4の慣性モーメントである。
【0011】図2の振動モード形は、振動系モデルの各
振動体の振幅比、つまり、エンジン2のトルク変動に起
因したフライホイールの回転角変動に対しての各振動体
の回転角変動の比を表している。この振動モード形に示
すように、ねじり4次振動はエンジン2と車体16を振
幅の節とし、これらの間にある振動体が全体的に同位相
に変位する振動である。また、エンジン2のトルク変動
の振幅は先ず、ばね−質量系をなすクラッチ4で増大さ
れる。増大された振幅は次にトランスミッション6では
その変速段のギヤ比に応じて増減され、プロペラ軸8に
伝達される。プロペラ軸8はそれ自身がねじりばねであ
るが、ねじり4次振動においては剛体として考えられる
ため、振幅はそのまま伝達される。デフ10は大きな終
減速比を有するので、ここでは振幅が減少される。そし
て、このねじり振動は駆動系の終端であるアクスル軸1
2が最終的に節となる。従って、このねじり4次振動モ
ードはトランスミッション6からプロペラ軸8の後端に
位置するドライブピニオンまでが大きな腹となる振動と
なる。このねじり4次振動モードでの共振は、トラック
が低中速域で走行するときに起こりやすい。即ち、ねじ
り4次振動の共振周波数は、走行速度の中低速域(例え
ば30km/h〜50km/h)で走行するときのエン
ジンのトルク変動の周波数域内にある。なお、エンジン
のトルク変動の周波数は、エンジン回転数に比例する。
【0012】ダイナミックダンパ14は、プロペラ軸8
の振動体M4に対する付加振動体M6により副振動系を
構成し、この副振動系が振動することにより、共振時の
プロペラ軸8のねじり振動を吸収することができると考
えられる。ただし、プロペラ軸8の振幅の大きさは上述
したトランスミッション6の変速ギヤ比によって異な
り、このときの共振周波数もトランスミッション6の変
速ギヤ比によって異なる。より詳しくは、プロペラ軸8
のねじり振動は、トランスミッション6の変速ギヤ比が
高い高速段にあると、その振幅は大きくなるが、このと
きの共振周波数は低く、逆に、トランスミッション6が
低速段にあると、その振幅は小さくなるが共振周波数は
高くなる特性を有している。このため、ダイナミックダ
ンパ14の特性を設定するにあたり、トランスミッショ
ン6の全変速段にて、プロペラ軸8のねじり振動を低減
し且つその共振を防止することは非常に困難である。し
かしながら、上述したようにトランスミッション6が高
速段にあるとき、プロペラ軸8のねじり振幅が大きいこ
とに着目すると、このような状況での共振は車体に振動
や騒音を最も生じさせるものとなり、これら振動や騒音
はトラックの車速が低中速域にあるとき、つまり、エン
ジンのトルク変動の周波数が比較的低い領域で発生す
る。
【0013】それ故、ダイナミックダンパのような副振
動系の特性を設定するにあたっては、トランスミッショ
ン6が高速段にあるときのプロペラ軸8のねじり振動の
共振がトラックの実用車速域以外、つまり、その実用車
速域よりも低速側で生じさせるべく、その副振動系の特
性を設定すればよい。この点に関して詳述すれば、ダイ
ナミックダンパにおける副振動系の特性はその主振動系
の特性に対する比較において、以下のようにして決定す
ることができる。即ち、ねじり4次振動モードは、主振
動系の各要素が全て同位相となる振動であるため、この
主振動系について1つの等価慣性モーメントを求め、こ
の等価慣性モーメントとの関係から、ダイナミックダン
パ14の慣性モーメントを決定するものとする。
【0014】図1のねじり振動系において、ダイナミッ
クダンパ14を除く主振動系の等価慣性モーメントMは
下式(1)で表される。 M=mCL+(mTM+mP)/ξ2+mR/(ξη)2 …(1) ここに、mCL:クラッチハブの慣性モーメント mTM:トランスミッションの慣性モーメント mP :プロペラ軸及びドライブピニオンの慣性モーメン
ト mR :リングギヤの慣性モーメント ξ :トランスミッションの変速ギヤ比 η :終減速比 である。
【0015】一方、副振動系であるダイナミックダンパ
14の慣性モーメントをmdとすると、主振動系の等価
慣性モーメントMに対する副振動系ダイナミックダンパ
14の慣性モーメントmdの質量比μはmd/Mで表され
る。ここで、式(1)中にはトランスミッション6の変
速ギヤ比がその変数の1つに含まれていることから、主
振動系の等価慣性モーメントMは、トランスミッション
6の変速段によって異なる。
【0016】この実施例の場合、トランスミッション6
が前進5速の変速段を有しているとすると、前述したよ
うにトランスミッション6が5速にあるとき、プロペラ
軸8のねじり振動が最も大きくなり、そして、そのねじ
り振動の共振周波数は低い値をとる。つまり、ねじり振
動の共振点は車速でみた場合、実用車速域内にて、その
下限値側にある。
【0017】そこで、トランスミッション6の変速段が
5速にある場合の主振動系の等価慣性モーメントMを基
準とし、前記ねじり振動の共振点を実用車速域の下限
(例えば40km/h)よりも低速側に変位させるべく
ダイナミックダンパ14の慣性モーメントmd、即ち、
質量比μが設定され、具体的には、質量比μは下式
(2)を満たすべく範囲内にて設定される。
【0018】 0.4≦μ(=md/M)≦0.6 …(2) 図3〜図5を参照すると、質量比μを0.3,0.3
5,0.4に設定した場合の実験結果がそれぞれ表され
ており、図3〜図5にて、横軸はエンジン2のトルク変
動の周波数を示し、縦軸はプロペラ軸8の回転角変動、
つまり、そのねじり振動を示している。また、図6〜図
8には質量比μを0.6,0.7に設定した場合の実験
結果が同様にして表されている。図3及び図6はトラン
スミッション6の変速段が5速の場合であり、図4及び
図7は4速、図5及び図8は3速の場合を示している。
また、図3〜図5の各図において、質量比μが0.3の
ときの実験結果は破線で、μ=0.35のときの実験結
果は一点鎖線で、μ=0.4のときの実験結果は実線
で、そして、ダイナミックダンパ無しの場合の実験結果
は二点鎖線でそれぞれ示されており、図6〜図8におい
てはμ=0.6のときの実験結果を実線で、μ=0.7
のときの実験結果を一点鎖線でそれぞれ示している。
【0019】なお、実験において、トラックの駆動系各
要素の慣性モーメント及びばね定数、ダイナミックダン
パ14のばね定数は一定であり、また、主振動系の4次
モードの固有振動数、等価慣性モーメントMはトランス
ミッション6が5速にある場合を基準としているから、
その等価慣性モーメントMもまた一定となり、それ故、
質量比μはダイナミックダンパ14の慣性モーメントm
dを増減することだけで変更される。
【0020】図3のトランスミッション6の変速段が5
速にあるときの実験結果を参照すると、ダイナミックダ
ンパ無しの場合に比べて、ダイナミックダンパ14を備
えている場合には、プロペラ軸8の回転角変動、即ち、
そのねじり振動における振幅の最大値がそれぞれ低減さ
れていることがわかる。そして、ダイナミックダンパ無
しの場合、プロペラ軸8の回転角変動の最大値、つま
り、そのねじり振動の共振点は所定の周波数fu以上で
且つその近傍にあることがわかる。ここで、エンジンの
トルク変動周波数はエンジン回転数に比例し、トラック
の車速でみて、前記周波数fuは実用車速域の下限値、
つまり、5速での走行中、エンジンストップを起こさな
い車速を示している。それ故、ダイナミックダンパ無し
の場合、プロペラ軸8におけるねじり振動の共振が実用
車速域内にて発生することから、この共振が車体に振動
や騒音を生じさせることになる。
【0021】しかしながら、質量比μが0.3,0.3
5,0.4のいずれかに設定されていると、プロペラ軸
8のねじり振動には1次ピーク及び2次ピークが表れる
が、1次ピークは許容値Raよりも大であっても、その
共振点は上記周波数fu、即ち、実用車速域以下にあ
り、また、2次ピークの共振点は実用車速域内にあるも
のの、その2次ピーク値は許容値Raよりも小さい。従
って、プロペラ軸8のねじり振動が許容レベル以上の車
体の振動や騒音を発生させることはない。
【0022】更に、図3から明らかなように質量比μが
増加するに連れて、プロペラ軸8におけるねじり振動の
1次ピークは実用車速域から低速側に大きく変位してい
ることがわかり、質量比μが0.4以上であれば、その
ねじり振動の1次ピークを実用車速域の下限値から低速
側に充分に離すことができる。これに対し、質量比μが
0.3や0.35であると、それらのねじり振動の1次
ピークは実用車速域の下限値近傍にあり、プロペラ軸8
のねじり振動が車体に振動や騒音を発生させてしまう虞
がある。
【0023】図4に示されているようにトランスミッシ
ョン6の変速段が4速にあると、質量比μが0.3,
0.35の場合、プロペラ軸8におけるねじり振動の1
次ピークは実用車速域の下限値近傍にあり、その2次ピ
ークは実用車速域内にある。しかしながら、質量比が
0.4であれば、プロペラ軸8におけるねじり振動の1
次ピークがたとえ質量比が0.3の場合に比べて大きく
且つ許容値Ra以上であっても、その共振点は実用車速
域の下限値から低速側に充分に離れており、しかも、そ
の2次ピークは質量比が0.3の場合及び許容値Raと
比べても小さくなっている。
【0024】図5に示されているようにトランスミッシ
ョン6の変速段が3速にあると、質量比μが0.3,
0.35,0.4のいずれであっても、プロペラ軸8の
ねじり振動特性にあまり違いは生じていないが、実用車
速域内でのねじり振動のピークはいずれも許容値Raよ
りも充分に小さい。図6に示されているようにトランス
ミッション6の変速段が5速にあるとき、質量比μが
0.6,0.7のいずれに設定されていても、プロペラ
軸8におけるねじり振動のピークは許容値Raよりも充
分に小さく、しかも、それらピークの共振点は実用車速
域の下限値から低速側に充分離れている。
【0025】また、図7及び図8に示されているように
トランスミッション6の変速段が4速及び3速の場合で
も5速での場合と同様に、質量比μが0.6,0.7の
いずれにあってもプロペラ軸8におけるねじり振動のピ
ークは実用車速域の下限値よりも充分に低速側にある。
なお、図6〜図8の各図において、質量比μが0.6で
あると、質量比μが0.7の場合に比べてプロペラ軸8
のねじり振動のピークが高くなっている。また、図6〜
図8を比較すると、質量比μが0.6の場合、トランス
ミッション6の変速段が5速から3速になるに連れて、
プロペラ軸8におけるねじり振動のピークが高くなって
おり、3速の場合には、そのねじり振動のピークが許容
値Raを超えている。しかしながら、この場合にも、そ
のねじり振動のピークの共振点は実用車速域の下限値か
ら充分に低速側にあり、車体の振動や騒音に関し、悪影
響を与えるものではない。
【0026】以上を纏めると、質量比μが0.3の場
合、変速段が3速、4速のいずれにあってもプロペラ軸
8のねじり振動特性を良好に規制できるものの、変速段
が5速のときにはそのねじり振動の1次ピークが実用車
速域の下限値近傍にあってあまり好ましいものではな
い。しかしながら、質量比μが0.4以上に設定される
と、5速から3速のいずれにあってもプロペラ軸8のね
じり振動特性を良好に規制することができる。一方、質
量比μが0.7まで大きく設定されると、ダイナミック
ダンパ14の慣性モーメントmd、即ち、プロペラ軸8
側全体の慣性モーメントが過度に増大し、実車の加速性
能や燃費を悪化させてしまうことになる。従って、質量
比μは前記の(2)式に示したように0.4以上0.6
以下の範囲に設定すれば最適な値となる。
【0027】このような最適範囲内に質量比μが設定さ
れているダイナミックダンパを備えていれば、ねじり4
次共振時、プロペラ軸8のねじり振動の振幅が最も大き
くなる変速段5速のときでも、そのねじり振動に起因し
た車体の振動や騒音を効果的に抑制することができ、そ
の他の4速、3速のときにも、プロペラ軸8のねじり振
動は効果的に抑制され、どの変速段にあっても、車体の
振動や騒音を低減することができる。また、駆動系の基
準となる等価慣性モーメントMが予めわかっていれば、
質量比μが上記の最適範囲内になるようダイナミックダ
ンパ14の慣性モーメントmdを設定するだけで、上記
と同様の振動低減効果を簡単にして得ることができる。
【0028】なお、上述の説明ではトランスミッション
6が1速又は2速にある場合を考慮していないが、これ
は変速段が1速又は2速の低い段である場合、エンジン
のトルク変動の周波数が実用車速域よりも充分に低く、
プロペラ軸8のねじり振動が車体の振動や騒音に悪影響
を及ぼすことがないことによる。この発明は、上述の実
施例に制約されるものではない。まず、基準となる車両
駆動系の等価慣性モーメントはトランスミッション6の
最高速段での等価慣性モーメントに限らず、変速段のう
ちで実用車速域内にてプロペラ軸8に最も大きなねじり
振動が発生する変速段での車両駆動系の等価慣性モーメ
ントが選択される。それ故、トランスミッション6が6
速以上の変速段を有していても、5速のとき、実用車速
域内で最もねじり振動が発生する場合には、その5速で
の車両駆動系の等価慣性モーメントが基準となる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の車両駆
動系のダイナミックダンパ装置によれば、ダイナミック
ダンパのダンパ慣性モーメントは、変速段での車両駆動
系の等価慣性モーメントに基づいて、この変速段でのね
じり振動の共振点を車速でみて実用車速域よりも低速側
に変位させるべく設定されているので、実用車速域で発
生する最も大きな駆動系のねじり振動の共振を避けるこ
とができ、この駆動系のねじり振動に起因する車体振動
や異音が低減される。また、この最も大きなねじり振動
を発生する変速段だけでなく、その他の変速段において
も駆動系のねじり振動を低減することができる。
【0030】請求項2の車両駆動系のダイナミックダン
パ装置によれば、駆動系の等価慣性モーメントMとの関
係からなる式により、ダイナミックダンパのダンパ慣性
モーメントmdを簡便な方法で設定することができるの
で、ダイナミックダンパのチューニング作業を行う必要
がない。また、ダンパ慣性モーメントmdの駆動系の等
価慣性モーメントMに対する比のとる範囲を0.4以上
0.6以下としたので、ダンパ慣性モーメントを最小に
設定しても低速段で振動を増大させることがなく、ま
た、ダンパ慣性モーメントを最大に設定しても車両の加
速性能や燃費を悪化させることなく振動低減が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の車両駆動系の振動モデルを表す図で
ある。
【図2】図1の振動系のねじり4次振動モードを表す図
である。
【図3】質量比μが0.3,0.35,0.4のとき、
変速段5速におけるトルク変動周波数とプロペラ軸回転
角変動との関係を示す図である。
【図4】変速段4速における図3の関係を示す図であ
る。
【図5】変速段3速における図3の関係を示す図であ
る。
【図6】質量比μが0.6,0.7のとき、変速段5速
におけるトルク変動周波数とプロペラ軸回転角変動との
関係を示す図である。
【図7】変速段4速における図6の関係を示す図であ
る。
【図8】変速段3速における図6の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
2 エンジン 4 クラッチ 6 トランスミッション 8 プロペラ軸 10 デフ(終減速機) 12 アクスル軸 14 ダイナミックダンパ 16 車体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/00 - 15/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの発生するトルクがクラッチ、
    変速機、プロペラ軸及び終減速機からなる駆動系を介し
    て駆動輪に伝達される車両において、 前記プロペラ軸に設けられたダイナミックダンパを備
    え、 実用車速域にて前記駆動系に最も大きなねじり振動の共
    振を発生させる前記変速機の変速段を選択し、前記ダイ
    ナミックダンパのダンパ慣性モーメントは、前記変速段
    での前記駆動系の等価慣性モーメントに基づいて、前記
    変速段での前記ねじり振動の共振点を車速でみて実用車
    速域よりも低速側に変位させるべく設定されていること
    を特徴とする車両駆動系のダイナミックダンパ装置。
  2. 【請求項2】 前記ダンパ慣性モーメントをmd、前
    価慣性モーメントをMとしたとき、前記ダンパ慣性モ
    ーメントは次式、 0.4≦md/M≦0.6 により設定されることを特徴とする請求項1に記載の車
    両駆動系のダイナミックダンパ装置。
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