JP3536724B2 - 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置

Info

Publication number
JP3536724B2
JP3536724B2 JP14203799A JP14203799A JP3536724B2 JP 3536724 B2 JP3536724 B2 JP 3536724B2 JP 14203799 A JP14203799 A JP 14203799A JP 14203799 A JP14203799 A JP 14203799A JP 3536724 B2 JP3536724 B2 JP 3536724B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel injection
engine
fuel
crank angle
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14203799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000328990A (ja
Inventor
末広 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP14203799A priority Critical patent/JP3536724B2/ja
Publication of JP2000328990A publication Critical patent/JP2000328990A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3536724B2 publication Critical patent/JP3536724B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃料噴射弁から
機関燃焼室内に燃料を直接噴射するようにした筒内噴射
式内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】筒内噴射式内燃機関の燃料供給系は、機
関燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁、この燃料
噴射弁が接続されるデリバリパイプ、同デリバリパイプ
に燃料を供給するためのサプライポンプ及びフィードポ
ンプ等によって構成されている(例えば特開平8−19
3536号公報参照)。また、通常、上記のような筒内
噴射式内燃機関の燃料供給系では、サプライポンプとし
て機関出力軸の回転力に基づいて駆動される機関駆動式
ポンプが採用され、フィードポンプとしてバッテリから
の供給電圧に基づいて駆動される電動式ポンプが採用さ
れている。
【0003】こうした燃料供給系を備える筒内噴射式内
燃機関では、機関始動時以外の通常運転時には、フィー
ドポンプから圧送される燃料をサプライポンプによって
高圧に加圧してデリバリパイプに供給する一方、機関始
動時には、機関回転速度が低くなり、サプライポンプ
(機関駆動式ポンプ)の燃料供給能力が低下するため
に、フィードポンプ(電動式ポンプ)から直接、燃料を
デリバリパイプに供給するようにしている。
【0004】このようにフィードポンプから燃料をデリ
バリパイプに直接供給するようにした場合、サプライポ
ンプによる燃料の加圧が行われないため、通常運転時と
比較して燃料噴射圧が低下するようになる。このため、
冷間始動時のように機関始動に必要とされる燃料噴射量
が相対的に多くなり、燃料噴射が圧縮行程後期まで継続
されるようになると、筒内圧(機関燃焼室の内圧)の上
昇によって燃料噴射が実行できなくなるおそれがある。
【0005】そこで、従来では、このように燃料噴射量
が増大した場合でも燃料噴射が圧縮行程後期までに終了
するように、機関始動時の燃料噴射開始時期を例えば吸
気行程初期等の予め進角側の時期に設定するようにして
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図9に示す
ように、上記フィードポンプの燃料供給量(単位時間当
たりにフィードポンプから吐出される燃料の量)は、バ
ッテリの供給電圧(バッテリ電圧)が低くなるほど減少
する傾向がある。
【0007】また、機関始動時のバッテリ電圧は、クラ
ンキングの実行中(クランキングモータによって機関出
力軸が駆動されている間)、機関出力軸の回転位相角
(クランク角)に応じて変動する特性がある。即ち、図
10に示すように、バッテリ電圧は、クランク角が吸気
行程上死点TDCa、吸気行程下死点(圧縮行程下死
点)BDC、圧縮行程上死点TDCbのそれぞれの近傍
にあるときに最も低下し、同クランク角が吸気行程上死
点TDCaと吸気行程下死点BDCとの間、或いは吸気
行程下死点BDCと圧縮行程上死点TDCbとの間で上
昇する特性がある。従って、こうしたバッテリ電圧の変
動に伴って、機関始動中、フィードポンプの燃料供給量
も変動するようになる。
【0008】このようにフィードポンプの燃料供給量が
変動すると、その変動に伴って燃料噴射量が変動するよ
うになるため、前述したように、燃料噴射量が相対的に
多くなったときでも燃料噴射を実行可能なように燃料噴
射時期を設定した場合には以下のような問題も無視でき
ないものとなる。
【0009】即ち、上記のようにフィードポンプの燃料
供給量が変動していても、冷間始動時のように燃料噴射
量が相対的に多いときには、同燃料供給量が減少してい
る期間と増大している期間の双方で燃料噴射が実行され
るため(図10の矢印A参照)、その燃料供給量の変動
に伴う燃料噴射量の増減は相殺されるようになる。従っ
て、実際の燃料噴射量が機関始動に必要とされる要求量
から大きくずれることはない。
【0010】ところが、温間始動時のように燃料噴射量
が相対的に少ないときには、バッテリ電圧が低く、フィ
ードポンプの燃料供給量が減少している期間にしか燃料
噴射が実行されないようになる(同図の矢印B参照)。
従って、実際の燃料噴射量はその要求量よりも大幅に少
なくなり、機関始動性の悪化も避けきれないものとな
る。
【0011】この発明は、こうした実情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、燃料噴射量要求値の多少に
関わらず、機関始動に必要な量の燃料を確実に機関燃焼
室内に噴射供給して良好な機関始動性を確保することの
できる筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段及びその作用効果について以下に記載する。請求
項1に記載した発明では、機関始動時に機関運転状態に
基づいて算出される燃料噴射量要求値と等しい量の燃料
をバッテリ駆動される電動式ポンプの燃料供給に基づい
て燃料噴射弁から機関燃焼室内に直接噴射するようにし
た筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置において、前
記燃料噴射量要求値が所定要求値を下回るときには、吸
気行程上死点よりも所定クランク角だけ遅角側であり吸
気行程下死点よりも進角側のクランク角期間であってバ
ッテリの供給電圧が第1の所定電圧値以上になる第1の
特定クランク角期間に燃料噴射が実行されるように機関
始動時の燃料噴射時期を設定し、前記燃料噴射量要求値
が前記所定要求値以上であるときには、前記第1の特定
クランク角期間よりも進角側の時期に燃料噴射が開始さ
れるように機関始動時の燃料噴射時期を設定する燃料噴
射制御手段を備えるようにしている。
【0013】上記構成では、吸気行程上死点よりも所定
クランク角だけ遅角側であり吸気行程下死点よりも進角
側のクランク角期間であってバッテリの供給電圧が第1
の所定電圧値以上になるクランク角期間を第1の特定ク
ランク角期間としている。この第1の特定クランク角期
間においては、電動ポンプから燃料噴射弁に対して上記
第1の所定電圧値に対応した所定量以上の燃料が単位時
間当たりに供給されるようになる。
【0014】そして、機関始動時の燃料噴射量要求値が
所定要求値を下回るときには、この第1の特定クランク
角期間に燃料が噴射されるように燃料噴射時期が設定さ
れる。従って、電動ポンプの燃料供給量が確保された状
態のもとで燃料噴射が実行されるようになり、同燃料供
給量が低下している期間にのみ燃料噴射が実行されるこ
とが回避されるようになる。
【0015】一方、機関始動時の燃料噴射量要求値が前
記所定要求値以上であるときには、第1の特定クランク
角期間よりも進角側の時期に燃料噴射が開始されるよう
に燃料噴射時期が設定される。従って、燃料噴射の実行
可能な期間が確保されるようになる。
【0016】その結果、請求項1に記載した発明によれ
ば、燃料噴射量要求値の多少に関わらず、機関始動に必
要な量の燃料を確実に機関燃焼室内に噴射供給すること
ができ、良好な機関始動性を確保することができるよう
になる。
【0017】請求項2に記載した発明では、請求項1に
記載した筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置におい
て、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量要求値が
前記所定要求値を下回るときには、前記第1の特定クラ
ンク角期間に加えて、吸気行程下死点よりも遅角側であ
り圧縮行程上死点よりも進角側のクランク角期間であっ
て前記バッテリの供給電圧が第2の所定電圧値以上にな
る第2の特定クランク角期間に燃料噴射が実行されるよ
うに機関始動時の燃料噴射時期を設定するものであると
している。
【0018】上記構成では、吸気行程下死点よりも遅角
側であり圧縮行程上死点よりも進角側のクランク角期間
であって前記バッテリの供給電圧が第2の所定電圧値以
上になるクランク角期間を第2の特定クランク角期間と
している。この第2の特定クランク角期間においては、
電動ポンプから燃料噴射弁に対して上記第2の所定電圧
値に対応した所定量以上の燃料が単位時間当たりに供給
されるようになる。
【0019】そして、機関始動時の燃料噴射量要求値が
所定要求値を下回るときには、第1の特定クランク角期
間及び第2の特定クランク角期間に燃料が噴射されるよ
うに燃料噴射時期が設定される。従って、電動ポンプの
燃料供給量が確保された状態のもとで燃料噴射が実行さ
れるようになり、同燃料供給量が低下している期間にの
み燃料噴射が実行されることが回避されるようになる。
また、第1の特定クランク角期間に加えて第2の特定ク
ランク角期間においても燃料が噴射されることから、上
記燃料供給量が確保された状態のもとで燃料噴射を行う
ことのできる期間をより長く確保することができるよう
になる。
【0020】従って、請求項2に記載した発明によれ
ば、燃料供給量が低下している期間にのみ燃料噴射が実
行されてしまうことをより確実に回避することができる
ようになり、請求項1に記載した発明の作用効果を更に
確実なものとすることができるようになる。
【0021】尚、上記第1の所定電圧値及び第2の所定
電圧値は、電動ポンプの燃料供給量を確保することので
きる値としてそれぞれ任意に設定することができるが、
ここで例えば、第2の所定電圧値を第1の所定電圧値よ
りも高い値に設定することもできる。
【0022】このように上記各所定電圧値を設定するこ
とにより、機関燃焼室の内圧が第1の特定クランク角期
間よりも高くなる第2の特定クランク角期間において、
電動ポンプの燃料供給量が第1の特定クランク角期間と
比較して増大し、燃料が機関燃焼室内に確実に噴射され
るようになる。その結果、実際の燃料噴射量が機関始動
時に必要とされる要求量よりも少なくなることに起因す
る機関始動性の悪化を更に確実に回避することができる
ようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]以下、本発明
を筒内燃料噴射式ガソリンエンジンの燃料噴射制御装置
に適用するようにした第1の実施形態について説明す
る。
【0024】図1は、本実施形態における燃料噴射制御
装置の概略構成を示している。この燃料噴射制御装置
は、エンジン10に燃料を噴射供給する燃料供給系20
0、この燃料供給系200による燃料噴射を制御する制
御系30、各種センサからなり、これらセンサからの検
出信号を制御データの一部として制御系30に出力する
検出系40を備えて構成される。
【0025】燃料噴射制御装置の燃料供給系200は、
エンジン10の各気筒#1〜#4に対応して設けられ、
それら気筒#1〜#4の燃焼室14内に燃料を直接噴射
する燃料噴射弁250、これら燃料噴射弁250に燃料
を分配供給するデリバリパイプ240、このデリバリパ
イプ240に燃料タンク230内の燃料を供給するサプ
ライポンプ210及びフィードポンプ220を備えてい
る。
【0026】燃料噴射弁250は、その内部に電磁ソレ
ノイド(図示略)を有しており、この電磁ソレノイドに
対して入力される制御系30からの駆動信号に基づいて
燃料噴射量及び燃料噴射時期が設定される。
【0027】サプライポンプ210は機関駆動式のポン
プであり、エンジン10のカムシャフト18により往復
駆動される燃料加圧用のプランジャ212、同プランジ
ャ212を往復動可能に収容するシリンダ211、シリ
ンダ211内に形成され低圧通路223を通じてフィー
ドポンプ220から燃料が供給される加圧室213等に
よって構成される。加圧室213は高圧通路216を介
してデリバリパイプ240に接続されている。また、こ
の高圧通路216にはデリバリパイプ240から加圧室
213に燃料が流れるのを規制する逆止弁214が設け
られている。
【0028】フィードポンプ220は、制御系30を通
じて供給されるバッテリ50の供給電圧(以下、「バッ
テリ電圧E」という)に基づいて駆動される電動式ポン
プである。このフィードポンプ220から加圧室213
に対して単位時間当たりに供給される燃料の量(以下、
「フィード量Q」という)は、上記バッテリ電圧Eに応
じて変化し、同電圧Eが高くなるほど多くなる特性があ
る。
【0029】また、低圧通路223はプレッシャレギュ
レータ222を介して燃料タンク230に接続されてお
り、フィードポンプ220から吐出される燃料のうち加
圧室213に供給されない燃料は、このプレッシャレギ
ュレータ222を通じて燃料タンク230に戻される。
【0030】サプライポンプ210には、加圧室213
と低圧通路223との連通を遮断する電磁弁215が上
記制御系30の一部として設けられている。機関始動時
以外の通常運転時には、この電磁弁215の駆動に基づ
いて加圧室213から高圧通路216を通じてデリバリ
パイプ240に供給される加圧燃料が調量される。
【0031】一方、機関始動時には、この電磁弁215
は開弁状態に保持される。従って、加圧室213での燃
料の加圧は行われなくなり、フィードポンプ220から
吐出される燃料は、加圧室213及びデリバリパイプ2
40を介して燃料噴射弁250に直接供給されるように
なる。従って、燃料噴射弁250の燃料噴射は、このフ
ィードポンプ220からの燃料供給に基づいて行われる
ようになる。
【0032】燃料噴射制御装置の制御系30は、電子制
御装置32をはじめ、この電子制御装置32を通じて駆
動制御される燃料噴射弁250の電磁ソレノイド、及び
上記電磁弁215を備えて構成される。
【0033】電子制御装置32は、演算処理を実行する
演算部33、各種制御プログラムやその実行に際して参
照されるデータが記憶される記憶部34、上記燃料噴射
弁250(電磁ソレノイド)や電磁弁215に駆動信号
を出力する出力部35、各種センサの検出信号が入力さ
れる入力部36等々によって構成される。
【0034】また、上記出力部35には、機関始動時に
エンジン10の自立運転が可能になるまでの間、エンジ
ン10のクランクシャフト(図示略)を駆動するクラン
キングモータ15が接続されている。このクランキング
モータ15の駆動は、フィードポンプ220と同様に、
バッテリ電圧Eに基づいて行われる。
【0035】また、燃料噴射制御装置の検出系40は、
図1に示すように、アクセルセンサ41、水温センサ4
2、燃料圧センサ43、回転数センサ44、及び気筒判
別センサ45を備えて構成される。
【0036】アクセルセンサ41は、アクセルペダル1
3の近傍に設けられてその踏込量(アクセル開度ACC
P)を検出するセンサであり、水温センサ42は、エン
ジン10のウォータジャケット(図示略)に設けられて
機関冷却水の温度(冷却水温THW)を検出するセンサ
である。また、燃料圧センサ43は、デリバリパイプ2
40に設けられて同パイプ240内の燃料の圧力(燃料
圧PF)を検出するセンサである。これらセンサ41〜
43の検出信号はいずれも、入力部36において適宜に
A/D(アナログ/ディジタル)変換された後に演算部
33に取り込まれる。
【0037】回転数センサ44は、クランクシャフトの
近傍に設けられてその回転に応じた検出信号を出力する
センサであり、また、気筒判別センサ45は、カムシャ
フト18の近傍に設けられてその回転に応じた検出信号
を出力するセンサである。これらセンサ44,45の検
出信号はいずれも、入力部36において波形整形され、
クランクシャフト或いはカムシャフト18の回転に同期
したパルス信号として演算部33にそれぞれ取り込まれ
る。演算部33では、これらパルス信号に基づいて、ク
ランクシャフトの回転速度(機関回転速度NE)及び回
転位相角(クランク角CA)をそれぞれ算出する。
【0038】このように構成される燃料噴射制御装置で
は、機関始動時において燃料噴射量要求値が所定要求値
以上であるときには、燃料噴射の開始時期を吸気行程の
最も進角側の時期に設定することにより、筒内圧の上昇
によって燃料噴射弁250からの燃料噴射が実行不能に
なる圧縮行程後期までに燃料噴射を確実に終了させるよ
うにしている。
【0039】一方、燃料噴射量要求値が所定要求値を下
回るときには、燃料噴射の開始時期を変更することによ
り、バッテリ電圧Eが所定電圧値以上になる期間、換言
すればフィード量Qが所定量以上になる期間にのみ燃料
噴射を実行するようにしている。
【0040】以下、こうした本実施形態に係る燃料噴射
制御の詳細について図2〜図5を併せ参照して説明す
る。図2は、本実施形態の燃料噴射制御ついてその処理
手順を示すフローチャートである。このフローチャート
に示す一連の処理(燃料噴射制御処理)は、所定のクラ
ンク角毎(例えば30°CA(Crank Angle ))毎の割
込処理として制御系30、詳しくは電子制御装置32の
演算部33により実行される。
【0041】まず、この燃料噴射制御処理に際しては、
機関始動時であるか否かが判定される(ステップ11
0)。この判定は、機関回転速度NEと所定回転速度
(例えば400rpm)との比較に基づいて行われる。
そして、機関回転速度NEが所定回転速度以上であり、
機関始動時ではないと判定されると(ステップ110:
NO)、通常運転時に対応した燃料噴射制御が実行され
(ステップ200)、その後、本処理ルーチンは一旦終
了される。因みに、この通常運転時の燃料噴射制御にお
いては、アクセル開度ACCP等に基づいて機関負荷が
算出されるとともに、この機関負荷、機関回転速度N
E、燃料圧PF等に基づいて燃料噴射量や燃料噴射時期
といった燃料噴射に係る各種制御量が算出される。そし
て、それら各種制御量に基づいて燃料噴射弁250が駆
動制御される。
【0042】一方、機関始動時であると判定されると
(ステップ110:YES)、それ以降は、機関始動時
に対応した一連の処理が実行される(ステップ120〜
170)。尚、前述したように、こうした機関始動時に
は本処理とは別の処理を通じて、サプライポンプ210
の電磁弁215が開弁状態を保持するように制御され、
フィードポンプ220からの燃料供給に基づいて燃料噴
射弁250の燃料噴射が行われるようになる。
【0043】機関始動時においては、まず、冷却水温T
HWに基づいて機関始動時の燃料噴射量要求値(以下、
「噴射量要求値」という)QTOTALが算出される
(ステップ120)。ここで、この噴射量要求値QTO
TALと機関始動時の冷却水温THWとの関係は、例え
ば図3に示すような関数マップとして電子制御装置32
の記憶部34に記憶されている。同図に示すように、噴
射量要求値QTOTALは、冷却水温THWが低くなる
ほど多い量に設定される。機関温度(冷却水温THW)
が低い場合には、燃料噴射量を増大させることにより、
機関燃焼状態の安定化を図る必要があるからである。
【0044】次に、冷却水温THWが第1の判定値TT
HWaと比較される(ステップ130)。ここで、第1
の判定値TTHWaは、以下のような手順に従って予め
設定され、記憶部34に記憶されている。
【0045】前述したように、バッテリ電圧Eは、機関
始動時にクランキングモータ15のクランキング動作に
応じて図4に示すような態様をもって変動する。また、
このバッテリ電圧Eの変動態様とクランク角CAとは常
に一定の関係に保たれており、同図に示すように、クラ
ンク角CAが吸気行程上死点TDCa、吸気行程(圧縮
行程)下死点BDC、圧縮行程上死点TDCbのそれぞ
れの近傍にあるときにバッテリ電圧Eは最も低くなり、
同クランク角CAが吸気行程上死点TDCaと吸気行程
下死点BDCとの間、或いは吸気行程下死点BDCと圧
縮行程上死点TDCbとの間にあるときにバッテリ電圧
Eは一時的に高くなる。
【0046】ここで、同図に示すように、吸気行程上死
点TDCaよりも所定クランク角だけ遅角側であり、吸
気行程下死点BDCよりも進角側のクランク角期間であ
って、バッテリ電圧Eが所定電圧値E1以上になるクラ
ンク角期間を、第1のクランク角期間TCA1として設
定する。この第1のクランク角期間TCA1は、前記フ
ィード量Qを所定量以上に確保して燃料噴射に必要な燃
料を燃料噴射弁250に確実に供給することのできるク
ランク角期間であり、また、こうした条件が満たされる
ように、上記所定電圧値E1の大きさが設定されてい
る。
【0047】次に、この第1のクランク角期間TCA1
を機関回転速度NEに基づいて時間に換算する。この
際、機関回転速度NEは、機関始動中において想定され
る最大値(例えば400rpm)に設定する。そして、
フィードポンプ220の燃料フィード圧と等しい燃料噴
射圧のもとで、燃料噴射弁250をこの換算時間だけ開
弁した場合に同弁250から噴射される燃料の量を算出
する。更に、先の図3に示す噴射量要求値QTOTAL
と冷却水温THWとの関係に基づいて、上記算出される
燃料噴射量に対応した冷却水温THWを求め、これを第
1の判定値TTHWaとして設定する。
【0048】従って、冷却水温THWがこの第1の判定
値TTHWaよりも高い場合、燃料噴射期間は第1のク
ランク角期間TCA1よりも常に短くなるため、燃料を
この第1のクランク角期間TCA1に噴射することが可
能になる。また、この場合、図3に示すように、噴射量
要求値QTOTALは第1の判定値TTHWaに対応し
た所定の要求値QTOTAL1を下回るようになる。
【0049】上記比較処理(ステップ130)の結果、
この第1の判定値TTHWaよりも機関始動時の冷却水
温THWが高いと判断されると(ステップ130:YE
S)、燃料噴射時期(燃料噴射の開始時期)AINJ
は、第1のクランク角期間TCA1の開始時期である、
第1の燃料噴射時期AINJ1(=X°CA BTDC
図4参照)に設定される(ステップ140)。ここで、
「X°CA BTDC」は、圧縮行程上死点TDCbよ
りも「X°CA」だけ進角側の時期を意味する。
【0050】一方、機関始動時の冷却水温THWが第1
の判定値TTHWa以下である場合(ステップ130:
NO)、即ち噴射量要求値QTOTALが所定要求値Q
TOTAL1以上であるため、第1のクランク角期間T
CA1内に燃料噴射を行うことができない場合には、燃
料噴射時期AINJは、第1の燃料噴射時期AINJ1
よりも進角側の時期である第2の燃料噴射時期AINJ
2(=Y°CA BTDC、但しY>X 図4参照)に
設定される(ステップ150)。
【0051】ここで、第2の燃料噴射時期AINJ2
は、噴射量要求値QTOTALが最も多くなった場合で
も、換言すれば機関始動時の冷却水温THWが最も低い
場合であっても、燃料噴射を圧縮行程後期(例えば、図
4に示すクランク角期間TCAa)よりも前に確実に終
了させることのできる時期となるように設定されてい
る。
【0052】こうして燃料噴射時期AINJが設定され
た後、機関回転速度NE及び噴射量要求値QTOTAL
に基づいて燃料噴射時間TAUが算出される(ステップ
160)。そして、この燃料噴射時間TAUと燃料噴射
時期AINJとに基づいて燃料噴射弁250の駆動信号
が演算部33において生成され、この駆動信号が出力部
35を通じて燃料噴射弁250に出力される(ステップ
170)。その後、本処理ルーチンは一旦終了される。
【0053】図5は、以上説明した本実施形態の燃料噴
射制御を通じて設定される燃料噴射期間の変化態様の一
例を示している。同図5において、(a)は機関始動時
の冷却水温THWが図3に示す所定温度THW1である
場合の燃料噴射期間を、(b)は同じく冷却水温THW
が所定温度THW2(>THW1)である場合の燃料噴
射期間をそれぞれ示している。同様に、図5(c),
(d),(e)は、機関始動時の冷却水温THWが図3
に示す各所定温度THW3,THW4,THW5(TH
W5>THW4>TTHWa>THW3>THW2)で
ある場合の燃料噴射期間をそれぞれ示している。
【0054】図5(a)〜(c)に示すように、機関始
動時の冷却水温THWが各所定温度THW1,THW
2,THW3である場合、同冷却水温THWが高くなる
ほど、噴射量要求値QTOTALが少なくなるため(図
3参照)、燃料噴射期間は短く設定されるようになる。
またここで、冷却水温THW(THW1,THW2,T
HW3)は第1の判定値TTHWa以下であるため、燃
料噴射時期AINJは第2の燃料噴射時期AINJ2に
設定される。そして、このように燃料噴射時期AINJ
が第2の燃料噴射時期AINJ2に設定され、燃料噴射
が吸気行程初期から開始されることにより、燃料噴射は
圧縮行程後期(図5に示すクランク角期間TCAa)よ
りも前に確実に終了するようになる。
【0055】一方、図5(d),(e)に示すように、
機関始動時の冷却水温THWが第1の判定値TTHWa
よりも高い所定温度THW4,THW5になると、燃料
噴射時期AINJは第2の燃料噴射時期AINJ2から
第1の燃料噴射時期AINJ1に変更され、燃料噴射は
第1のクランク角期間TCA1に行われるようになる。
【0056】ここで、本実施形態の燃料噴射制御とは異
なり、燃料噴射時期AINJを第1の燃料噴射時期AI
NJ1と第2の燃料噴射時期AINJ2との間で変更す
ることなく、第2の燃料噴射時期AINJ2に固定した
としても、燃料噴射を圧縮行程後期までに確実に終了さ
せる点については特に問題は生じない。しかしながら、
例えば機関始動時の冷却水温THWが図3に示す所定温
度THW5である場合のように、噴射量要求値QTOT
ALが少なくなり、従って燃料噴射期間が短くなった場
合には、図5(e)に二点鎖線で示すように、フィード
量Qが減少している期間にしか燃料噴射が実行されない
ようになる。従って、実際の燃料噴射量が機関始動に必
要とされる燃料噴射量(噴射量要求値QTOTAL)よ
りも大幅に少なくなり、機関始動性の悪化を招くおそれ
がある。
【0057】これに対して、本実施形態の燃料噴射制御
によれば、このように噴射量要求値QTOTALが少な
くなり、燃料噴射期間が短くなった場合には、燃料噴射
時期AINJが第1の燃料噴射時期AINJ1に設定さ
れ、フィード量Qが上記所定電圧値E1に対応した所定
量Q1以上にまで増大する第1のクランク角期間TCA
1において燃料噴射が行われるようになる。従って、フ
ィードポンプ220から燃料噴射弁250に供給される
燃料が確保され、同燃料噴射弁250から燃焼室14内
に燃料を確実に噴射することができるようになる。
【0058】このように、本実施形態によれば、(1)
冷間始動時のように噴射量要求値QTOTALが多い場
合であれ、或いは温間始動時のように噴射量要求値QT
OTALが少ない場合であれ、機関始動に必要とされる
量の燃料を燃料噴射弁250から燃焼室14内に確実に
噴射供給することができ、良好な機関始動性を確保する
ことができるようになる。
【0059】[第2の実施形態]次に、本発明の第2の
実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心
に説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成並びに燃
料噴射制御に係る同様の処理については説明を省略す
る。
【0060】本実施形態の燃料噴射制御では、噴射量要
求値QTOTALが少ない場合に、燃料噴射を吸気行程
と圧縮行程との2回に分けて行い、吸気行程では第1の
クランク角期間TCA1に、圧縮行程では第2のクラン
ク角期間TCA2においてそれぞれ燃料を噴射するよう
にしている。
【0061】この第2のクランク角期間TCA2は、図
4に示すように、吸気行程下死点BDCよりも遅角側で
あり、圧縮行程上死点TDCbよりも進角側のクランク
角期間であって、前記第1のクランク角期間TCA1と
同様に、バッテリ電圧Eが所定電圧値E1以上になるク
ランク角期間である。但し、この第2のクランク角期間
TCA2は、圧縮行程後期(TCAa)と重ならないよ
うに、第1のクランク角期間TCA1よりも短い期間に
設定されている。
【0062】また、このように設定された第2のクラン
ク角期間TCA2においても、第1のクランク角期間T
CA1と同様に、フィード量Qが所定量Q1以上に確保
され、燃料噴射に必要な燃料が燃料噴射弁250に確実
に供給されるようになる。
【0063】そして、本実施形態の燃料噴射制御では、
この第2のクランク角期間TCA2においても燃料噴射
を行うことにより、フィード量Qが確保された状態のも
とで燃料噴射を実行することのできる期間をより長く確
保するようにしている。
【0064】以下、こうした燃料噴射制御の詳細につい
て図6及び図7並びに先の図3を併せ参照して説明す
る。図6は、本実施形態の燃料噴射制御ついてその処理
手順を示すフローチャートである。このフローチャート
に示す一連の処理は、第1の実施形態における燃料噴射
制御処理(先の図2参照)の手順を一部変更したもので
ある。以下では特に、この変更点について説明する。
【0065】本実施形態の燃料噴射制御処理に際して、
機関始動時であると判定され(ステップ110:YE
S)、機関始動時の冷却水温THWに基づいて噴射量要
求値QTOTALが算出されると(ステップ120)、
冷却水温THWが第2の判定値TTHWbと比較される
(ステップ132)。ここで、この第2の判定値TTH
Wbは、以下のような手順に従って予め設定され、記憶
部34に記憶されている。
【0066】まず、第1のクランク角期間TCA1と第
2のクランク角期間TCA2とを合わせた期間を、機関
回転速度NEに基づいて時間に換算する。この際、機関
回転速度NEは機関始動中において想定される最大値
(例えば400rpm)に設定する。そして、フィード
ポンプ220の燃料フィード圧と等しい燃料噴射圧のも
とで、燃料噴射弁250をこの換算時間だけ開弁した場
合に同弁250から噴射される燃料の量を算出する。更
に、図3に示す噴射量要求値QTOTALと冷却水温T
HWとの関係に基づいて、上記算出される燃料噴射量に
対応した冷却水温THWを求め、それを第2の判定値T
THWbとして設定する。
【0067】従って、冷却水温THWがこの第2の判定
値TTHWbよりも高い場合、燃料噴射期間は第1のク
ランク角期間TCA1及び第2のクランク角期間TCA
2の双方を合わせた期間よりも常に短くなるため、燃料
をこれら第1のクランク角期間TCA1及び第2のクラ
ンク角期間TCA2の双方を合わせた期間内に噴射する
ことが可能になる。また、この場合、図3に示すよう
に、噴射量要求値QTOTALは所定の要求値QTOT
AL2を下回るようになる。
【0068】上記比較処理(ステップ132)の結果、
この第2の判定値TTHWbよりも機関始動時の冷却水
温THWが高い場合(ステップ132:YES)には、
吸気行程において開始される燃料噴射(以下、「前期燃
料噴射」という)の燃料噴射開始時期(以下、「前期燃
料噴射時期」という)AINJaが前記第1の燃料噴射
時期AINJ1に設定されるとともに、圧縮行程におい
て開始される燃料噴射(以下、「後期燃料噴射」とい
う)の燃料噴射開始時期(以下、「後期燃料噴射時期」
という)AINJbが、上記第2のクランク角期間TC
A2の開始時期である第3の燃料噴射時期AINJ3
(図4参照)に設定される(ステップ142)。
【0069】このようにして各燃料噴射時期AINJ
a,AINJbが設定されると、次に、以下の各演算式
(1),(2)に基づいて前期燃料噴射での燃料噴射量
(以下、「前期燃料噴射量」という)QINJa及び後
期燃料噴射での燃料噴射量(以下、「後期燃料噴射量」
という)QINJbがそれぞれ算出される。
【0070】 QINJa=QTOTAL×k ・・・(1) QINJb=QTOTAL−QINJa ・・・(2) 上記「k」は、噴射量要求値QTOTALを前期燃料噴
射量QINJaと後期燃料噴射量QINJbとに分割す
る際の分割比であり、(0.5<k<1.0)の範囲の
値(例えばk=2/3)に設定されている。従って、上
記各燃料噴射量QINJa,QINJbとの間には、常
に(QINJa>QINJb)といった関係が成立する
ようになる。
【0071】また、ここで、上記演算式(2)に基づい
て算出される後期燃料噴射量QINJbが所定量以下と
なり、燃料噴射時間が極めて短くなる場合には、燃料噴
射弁250の応答性を考慮して、同燃料噴射量QINJ
bが「0」に再設定される。そして、この場合には、噴
射量要求値QTOTALと等しくなるように前期燃料噴
射量QINJaも再設定される。
【0072】一方、機関始動時の冷却水温THWが第2
の判定値TTHWb以下である場合(ステップ132:
NO)、即ち噴射量要求値QTOTALが所定要求値Q
TOTAL2以上であるために、第1のクランク角期間
TCA1及び第2のクランク角期間TCA2の双方の期
間内だけでは燃料を噴射することができない場合、前期
燃料噴射時期AINJaが第2の燃料噴射時期AINJ
2に設定される(ステップ152)。そして、前期燃料
噴射量QINJaが噴射量要求値QTOTALと等しく
設定されるとともに、後期燃料噴射量QINJbが
「0」に設定される(ステップ154)。従って、この
場合には、後期燃料噴射は実行されず、噴射量要求値Q
TOTALと等しい量の燃料が前期燃料噴射のみよって
噴射されるようになる。
【0073】次に、上記のようにして各燃料噴射時期A
INJa,AINJb及び各燃料噴射量QINJa,Q
INJbがそれぞれ設定された後、機関回転速度NE及
び各燃料噴射量QINJa,QINJbに基づいて前期
燃料噴射における燃料噴射時間TAUa、並びに後期燃
料噴射における燃料噴射時間TAUbがそれぞれ算出さ
れる(ステップ162)。そして、これら燃料噴射時間
TAUa,TAUb及び各燃料噴射時期AINJa,A
INJbに基づいて、燃料噴射弁250の駆動信号が演
算部33において生成され、この駆動信号が出力部35
を通じて燃料噴射弁250に出力される(ステップ17
2)。その後、本処理ルーチンは一旦終了される。
【0074】図7は、以上説明した本実施形態の燃料噴
射制御を通じて設定される燃料噴射期間の変化態様の一
例を示している。同図7において、(a)は機関始動時
の冷却水温THWが図3に示す所定温度THW1である
場合の燃料噴射期間を、(b)は同じく冷却水温THW
が所定温度THW2(>THW1)である場合の燃料噴
射期間をそれぞれ示している。同様に、図7(c),
(d),(e)は、機関始動時の冷却水温THWが図3
に示す各所定温度THW3,THW4,THW5(TH
W5>THW4>THW3>TTHWb>THW2)で
ある場合の燃料噴射期間をそれぞれ示している。
【0075】図7(a),(b)に示すように、機関始
動時の冷却水温THWが第2の判定値TTHWbよりも
低い所定温度THW1,THW2である場合には、燃料
は前期燃料噴射において一度に噴射されるようになり、
また、前期燃料噴射時期AINJaが第2の燃料噴射時
期AINJ2に設定されるため、燃料噴射は圧縮行程後
期(図7に示すクランク角期間TCAa)よりも前に確
実に終了するようになる。
【0076】一方、図7(c)に示すように、機関始動
時の冷却水温THWが第2の判定値TTHWbよりも高
い所定温度THW3になると、前期燃料噴射時期AIN
Jaが第1の燃料噴射時期AINJ1に、後期燃料噴射
時期AINJbが第3の燃料噴射時期AINJ3にそれ
ぞれ設定され、燃料噴射は第1のクランク角期間TCA
1及び第2のクランク角期間TCA2の双方の期間にお
いてそれぞれ分割して行われるようになる。
【0077】ここで、前述したように、前期燃料噴射量
QINJaと後期燃料噴射量QINJbとの間には、
(QINJa>QINJb)といった関係が成立してい
るため、第1のクランク角期間TCA1での燃料噴射期
間は、第2のクランク角期間TCA2での燃料噴射期間
よりも常に長くなる。即ち、これら両クランク角期間T
CA1,TCA2のうち第1のクランク角期間TCA1
において優先的に燃料噴射が実行されるようになる。
【0078】更に、図7(d),(e)に示すように、
機関始動時の冷却水温THWが所定温度THW3よりも
更に高い所定温度THW4,THW5になると、後期燃
料噴射量QINJbが「0」に設定され、燃料噴射は第
1のクランク角期間TCA1においてのみ行われるよう
になる。従って、この場合にも、燃料噴射は第2のクラ
ンク角期間TCA2よりも第1のクランク角期間TCA
1において優先的に燃料噴射が実行されるようになる。
【0079】以上説明したように、本実施形態の燃料噴
射制御においても、第1の実施形態の燃料噴射制御と同
様に、冷間始動時のような噴射量要求値QTOTALの
少なくなる場合には、フィード量Qが所定量Q1以上に
確保され、燃料噴射に必要な燃料が燃料噴射弁250に
確実に供給される期間(第1のクランク角期間TCA1
及び第2のクランク角期間TCA2)にのみ燃料噴射が
行われるように、燃料噴射時期が設定されるため、機関
始動に必要となる量の燃料を燃料噴射弁250から燃焼
室14内に確実に噴射することができるようになる。
【0080】特に、本実施形態の燃料噴射制御にあって
は、第1のクランク角期間TCA1に加えて第2のクラ
ンク角期間TCA2においても燃料を噴射するようにし
ているため、上記フィード量Qが確保された状態のもと
で燃料噴射を行うことのできる期間をより長く確保する
ことができるようになる。
【0081】従って、本実施形態によれば、第1の実施
形態において(1)に記載した作用効果に加え、(2)
フィード量Qが低下している期間にのみ燃料噴射が実行
されてしまうことをより確実に回避することができるよ
うになる。
【0082】また、第2のクランク角期間TCA2にお
いては、第1のクランク角期間TCA1と比較して筒内
圧が上昇するため、フィード量Qが同じであれば、燃料
噴射弁250から燃焼室14内に実際に噴射される燃料
の量は減少するようになるが、本実施形態の燃料噴射制
御では、これら第1のクランク角期間TCA1及び第2
のクランク角期間TCA2の両期間のうち第1のクラン
ク角期間TCA1において優先的に燃料を噴射するよう
にしている。
【0083】(3)従って、燃料噴射弁250から燃焼
室14に燃料をより確実に噴射することができるように
なり、実際の燃料噴射量が機関始動時に必要とされる噴
射量要求値QTOTALよりも少なくなることに起因す
る機関始動性の悪化を確実に回避することができるよう
になる。
【0084】[その他の実施形態]以上説明した各実施
形態は以下のように構成を変更して実施することもでき
る。
【0085】・上記各実施形態において、燃料噴射の形
態として噴射量要求値QTOTALと等しい量の燃料を
複数回に分割して噴射する分割噴射を採用するようにし
てもよい。例えば、第2の実施形態に係る燃料噴射制御
においてこの分割噴射を採用する場合、機関始動時の冷
却水温THWが第2の判定値TTHWb以下であるとき
には、図8(a),(b)に示すように、第2の燃料噴
射時期AINJ2から所定クランク角毎(例えば30°
CA毎)に、噴射量要求値QTOTALと等しい量の燃
料を分割して噴射するようにする。一方、機関始動時の
冷却水温THWが第2の判定値TTHWbよりも高いと
きには、例えば図8(c),(d)に示すように、第1
の燃料噴射時期AINJ1、同噴射時期AINJ1から
所定クランク角CAだけ遅角側の時期、並びに第3の燃
料噴射時期AINJ3を燃料噴射の開始時期としてそれ
ぞれ燃料を噴射するようにする。
【0086】こうした構成によれば、第2の実施形態と
同様に、機関始動に必要とされる量の燃料を燃料噴射弁
250から燃焼室14内に確実に噴射供給することがで
きるのに加え、分割噴射によって噴射燃料の分散性を向
上させることができるため、更に良好な機関始動性を確
保することができるようになる。
【0087】・第2の実施形態では、第1のクランク角
期間TCA1及び第2のクランク角期間TCA2をいず
れも、バッテリ電圧Eが所定電圧値E1以上になるクラ
ンク角期間として設定するようにしたが、第2のクラン
ク角期間TCA2を、バッテリ電圧Eが上記所定電圧値
E1よりも高い電圧値E2以上になる期間として設定す
ることもできる。
【0088】こうした構成によれば、筒内圧が第1のク
ランク角期間TCA1よりも高くなる第2のクランク角
期間TCA2において、フィードポンプ220のフィー
ド量Qが第1のクランク角期間TCA1と比較して増大
するようになるため、燃料を燃焼室14内により確実に
噴射できるようになる。従って、実際の燃料噴射量が機
関始動時に必要とされる要求量(噴射量要求値QTOT
AL)よりも少なくなることに起因する機関始動性の悪
化を確実に回避することができるようになる。
【0089】・第2の実施形態では、噴射量要求値QT
OTALを分割比kに基づいて前期燃料噴射量QINJ
a及び後期燃料噴射量QINJbに予め分割するように
したが、前期燃料噴射において第1のクランク角期間T
CA1に噴射しきれない燃料のみを、後期燃料噴射にお
いて第1のクランク角期間TCA1中に噴射するように
してもよい。
【0090】・上記各実施形態では、機関始動時の冷却
水温THWと所定の判定温度(第1の判定値TTHW
a,第2の判定値TTHWb)との比較に基づいて、フ
ィード量Qが所定量Q1以上に確保されるクランク角期
間(第1のクランク角期間TCA1及び第2のクランク
角期間TCA2)にのみ燃料を噴射することが可能か否
かを判断するようにしたが(図2のステップ130、図
6のステップ132)、この判断を噴射量要求値QTO
TALと所定の要求値との比較に基づいて行うようにし
てもよい。
【0091】以上説明した各実施形態から把握できる技
術的思想についてその効果とともに以下に記載する。 ・請求項2に記載した筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制
御装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記第1の
特定クランク角期間及び前記第2の特定クランク角期間
に燃料噴射が実行されるように機関始動時の燃料噴射時
期を設定するに際し、前記両特定クランク角期間のうち
前記第1の特定クランク角期間において優先的に燃料噴
射が実行されるように燃料噴射時期を設定することを特
徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
【0092】上記構成によれば、機関燃焼室の内圧が第
2の特定クランク角期間よりも低くなる第1の特定クラ
ンク角期間において優先的に燃料噴射が実行され、燃料
を機関燃焼室内に確実に噴射することができるようにな
るため、請求項2に記載した発明の作用効果に加えて、
実際の燃料噴射量が機関始動時に必要とされる要求量よ
りも少なくなることに起因する機関始動性の悪化を確実
に回避することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る燃料噴射制御装置の全体構成を
示す概略構成図。
【図2】第1の実施形態の燃料噴射制御についてその処
理手順を示すフローチャート。
【図3】機関始動時の燃料噴射量の要求値と冷却水温T
HWとの関係を示す関数マップ。
【図4】クランク角の変化に伴うバッテリ電圧の変動態
様と燃料噴射時期とを示すグラフ。
【図5】第1の実施形態の燃料噴射制御を通じて設定さ
れる燃料噴射期間の変化態様例を示すタイミングチャー
ト。
【図6】第2の実施形態の燃料噴射制御についてその処
理手順を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態の燃料噴射制御を通じて設定さ
れる燃料噴射期間の変化態様例を示すタイミングチャー
ト。
【図8】その他の実施形態の燃料噴射制御を通じて設定
される燃料噴射期間の変化態様例を示すタイミングチャ
ート。
【図9】フィードポンプの燃料供給量とバッテリ電圧と
の関係を示すグラフ。
【図10】クランク角の変化に伴うバッテリ電圧の変動
態様を示すグラフ。
【符号の説明】
10…エンジン、13…アクセルペダル、14…燃焼
室、15…クランキングモータ、18…カムシャフト、
30…制御系、32…電子制御装置、33…演算部、3
4…記憶部、35…出力部、36…入力部、40…検出
系、41…アクセルセンサ、42…水温センサ、43…
燃料圧センサ、44…回転数センサ、45…気筒判別セ
ンサ、50…バッテリ、200…燃料供給系、210…
サプライポンプ、211…シリンダ、212…プランジ
ャ、213…加圧室、214…逆止弁、215…電磁
弁、216…高圧通路、220…フィードポンプ、22
2…プレッシャレギュレータ、223…低圧通路、23
0…燃料タンク、240…デリバリパイプ、250…燃
料噴射弁、#1〜#4…気筒。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関始動時に機関運転状態に基づいて算出
    される燃料噴射量要求値と等しい量の燃料をバッテリ駆
    動される電動式ポンプの燃料供給に基づいて燃料噴射弁
    から機関燃焼室内に直接噴射するようにした筒内噴射式
    内燃機関の燃料噴射制御装置において、 前記燃料噴射量要求値が所定要求値を下回るときには、
    吸気行程上死点よりも所定クランク角だけ遅角側であり
    吸気行程下死点よりも進角側のクランク角期間であって
    バッテリの供給電圧が第1の所定電圧値以上になる第1
    の特定クランク角期間に燃料噴射が実行されるように機
    関始動時の燃料噴射時期を設定し、前記燃料噴射量要求
    値が前記所定要求値以上であるときには、前記第1の特
    定クランク角期間よりも進角側の時期に燃料噴射が開始
    されるように機関始動時の燃料噴射時期を設定する燃料
    噴射制御手段を備えることを特徴とする筒内噴射式内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した筒内噴射式内燃機関の
    燃料噴射制御装置において、 前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量要求値が前記
    所定要求値を下回るときには、前記第1の特定クランク
    角期間に加えて、吸気行程下死点よりも遅角側であり圧
    縮行程上死点よりも進角側のクランク角期間であって前
    記バッテリの供給電圧が第2の所定電圧値以上になる第
    2の特定クランク角期間に燃料噴射が実行されるように
    機関始動時の燃料噴射時期を設定することを特徴とする
    筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。
JP14203799A 1999-05-21 1999-05-21 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 Expired - Fee Related JP3536724B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14203799A JP3536724B2 (ja) 1999-05-21 1999-05-21 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14203799A JP3536724B2 (ja) 1999-05-21 1999-05-21 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000328990A JP2000328990A (ja) 2000-11-28
JP3536724B2 true JP3536724B2 (ja) 2004-06-14

Family

ID=15305919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14203799A Expired - Fee Related JP3536724B2 (ja) 1999-05-21 1999-05-21 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3536724B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103016174A (zh) * 2011-09-22 2013-04-03 马自达汽车株式会社 压缩自动点火式发动机的起动控制装置及方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002013428A (ja) * 2000-06-30 2002-01-18 Mitsubishi Motors Corp 筒内噴射型内燃機関
JP4099755B2 (ja) * 2002-06-28 2008-06-11 株式会社デンソー 内燃機関の始動制御装置
JP4121126B2 (ja) * 2003-08-21 2008-07-23 本田技研工業株式会社 燃料噴射制御装置
US8347862B2 (en) * 2009-12-23 2013-01-08 Ford Global Technologies, Llc System and method for injecting fuel to a gaseous fueled engine
JP5911316B2 (ja) * 2012-01-30 2016-04-27 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置
JP2014077421A (ja) * 2012-10-12 2014-05-01 Hitachi Automotive Systems Ltd エンジンの制御装置及びエンジンの制御方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103016174A (zh) * 2011-09-22 2013-04-03 马自达汽车株式会社 压缩自动点火式发动机的起动控制装置及方法
CN103016174B (zh) * 2011-09-22 2015-07-15 马自达汽车株式会社 压缩自动点火式发动机的起动控制装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000328990A (ja) 2000-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7055503B2 (en) Fuel injection controller for engine
US9163568B2 (en) Cold start systems and methods
US5924405A (en) Apparatus and method for injecting fuel in cylinder injection type engines
AU2005320990B2 (en) Fuel injection control apparatus and method for direct injection internal combustion engine
JP4096924B2 (ja) 内燃機関用噴射量制御装置
JP3262335B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関における燃料噴射制御装置
US9097175B2 (en) Internal combustion engine with supercharger
US10024266B2 (en) Direct injection engine controlling device
US7331333B2 (en) Direct fuel injection/spark ignition engine control device
US8752519B2 (en) Air assist start stop methods and systems
JP4289280B2 (ja) 噴射量学習制御装置
JP4023020B2 (ja) 高圧燃料噴射系の燃料圧制御装置
US7322342B2 (en) Control device of in-cylinder direct-injection internal combustion engine
US20160040618A1 (en) Control of an internal combustion engine
EP3115586B1 (en) Fuel injection control device for internal combustion engine
JP3090073B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置
US20060021597A1 (en) Method of controlling ignition timing in internal combustion engine
JP3536724B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置
JP3572937B2 (ja) 蓄圧式燃料噴射機構の燃料圧制御装置
US7047945B2 (en) Start-up control of in-cylinder fuel injection internal combustion engine
JP2001323834A (ja) エンジンの制御装置
JP5332871B2 (ja) 火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2005194965A (ja) エンジンの燃料噴射制御装置
JP2004353460A (ja) 筒内直噴cngエンジンの燃料噴射時期制御方法
JP5381747B2 (ja) 燃料噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20031202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090326

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees