JP3535356B2 - 光共振器を利用した走査型近接場光学顕微鏡 - Google Patents
光共振器を利用した走査型近接場光学顕微鏡Info
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Description
顕微鏡の分解能である回折限界を越える分解能を持ち、
導体から絶縁体まで特別な試料の前処理を必要とするこ
となく、かつ大気中でも測定可能な光共振器を利用した
走査型近接場光学顕微鏡に関する。
精度の表面測定が可能な手段として走査型近接場光学顕
微鏡(Scanning Near Field Optical Microscope;SN
OM)による測定法が知られている。この測定法は、光
を電場の振動と捉え、球状の微小突起をプローブとして
これに光照射し、電子の振動に変換することによって形
成されるエネルギーによりプローブまわりに急激な電界
強度の変化を与えて、いわゆる近接場を形成し、この近
接場と試料との相互作用によって試料表面の形状等の情
報を得るものである。このようなSNOMにより、光の
回折限界を越える横10nm程度、縦2nm以下の分解
能が達成可能になっている。
Mにおいては、プローブの安定性および再現性が悪く、
常に高分解能で計測できるわけではなかった。従って、
再現性のあるプローブ、さらに効率がよい近接場からの
光の検出法を開発し、計測装置として完成させることが
必要である。本発明は上記課題を解決するためのもの
で、再現性良く、かつナノメータオーダまでの空間分解
能で感度よく観察できる光共振器を利用した走査型近接
場光学顕微鏡を提供することを目的とする。
は光ファイバーを用いた進行波型光リング共振器の光導
波路または光ファイバーの側面に、あるいは三枚以上の
ミラーを用いた進行波型光リング共振器の試料に対向す
るミラー面に、それぞれ光の波長より小さい微小突起を
配設し、該微小突起をプローブとして試料に対向させ、
プローブを試料に近づけたときに光リング共振器内に生
じる後方散乱を一定にするか、光リング共振器の共振周
波数または共振曲線の形状を一定にするようにプローブ
−試料間距離をフィードバック制御することを特徴とす
る。また、本発明は、試料またはプローブの三次元走査
のための送り機構を有する走査型近接場光学顕微鏡にお
いて、透光性基体に付着した光共振する微小球にプロー
ブとして光の波長より小さい微小突起を試料に対向して
配設し、微小突起の反対側で前記基体に全反射状態で光
を入射し、微小球内に進行波型光共振を生じさせ、プロ
ーブと試料の相互作用の結果生じる散乱光を基体上方に
おいて検出し、その値を一定にするか、微小球の共振周
波数または共振曲線の形状を一定にするようにプローブ
−試料間距離をフィードバック制御することを特徴とす
る。
て説明する。図1は本発明の実施の形態の一例を示す図
である。レーザ光源1から出射したレーザ光は光源側へ
の戻り光を防止するアイソレータ2、レンズ4を通して
光ファイバー5に入射する。光ファイバー5はカプラー
6で光リング共振器7と結合しており、カプラー6を通
して光リング共振器7に入射したレーザー光は共振によ
る吸収を受ける。光リング共振器7からカプラー6を通
して光ファイバー5へ出射した光は光検出器8で検出さ
れ、電気信号に変換されて信号処理回路9に加えられ
る。
数特性いわゆる共振曲線は図2に示すように、飛び飛び
の周波数で吸収(共振)があり、共振点間の間隔νFSR
が自由スペクトル域と呼ばれ、半値全幅Δνに対するν
FSR の比(=νFSR /Δν)がフィネスと呼ばれる。
回路9から光周波数制御回路10に加えられて、光リン
グ共振器7の共振周波数になるように光周波数制御回路
10で周波数が制御される。
位置に光の波長より小さい微小突起11が設けられ、光
リング共振器内を進行する光のエバネッセント波が微小
突起プローブ11の電子に作用してプローブ周辺に近接
場を形成する。そのため、試料17が微小突起11に接
近すると、プローブ周辺の近接場と相互作用を生じて光
リング共振器内には逆方向に進行する光(後方散乱)を
生じ、この散乱光をカプラー12を通してファイバー1
3側に入射させ、これを光検出器14で検出する。光検
出器14で検出した信号はフィードバック回路15に加
えられ、基準信号と比較されてその差信号により試料1
7のX,Y,Zステージ16が駆動制御される。このフ
ィードバック制御により、後方散乱光強度が一定になる
ように微小突起プローブ11と試料との距離を制御する
と、試料の変位により試料表面の形状等の情報が得られ
る。CPU18はX,Y,Zステージ制御用の制御装置
である。
値数10以上のものを使用するのが望ましく、また、光
ファイバーとしては偏波面保存ファイバーを用いるのが
望ましい。また、上記説明では光検出器14で検出され
る後方散乱光の強度を一定にするようにフィードバック
制御したが、図3に示すように、光リング共振器の共振
周波数または共振曲線の形状が一定になるように制御し
てもよい。すなわち、微小突起プローブ11と試料17
との距離を変えると光リング共振器の共振周波数および
共振曲線の形状が変化し、光検出器8で検出される信号
において共振周波数(共振点)がシフトし、また共振曲
線の形状が変わる。そこで、この共振周波数または共振
曲線の形状(たとえば、曲線の傾き)が一定となるよう
に微小突起プローブ11と試料との距離を制御するよう
にしても試料表面の形状等の情報が得られる。
ように、コア7aの周囲にクラッド7bを形成した光フ
ァイバー7の側面に取り付けるタイプ以外に、図5に示
すように、基体20の周囲に光導波路21を形成し、こ
の光導波路の側面にプローブ11を形成するようにして
もよい。
導波路以外に、図6に示すように3枚のミラーと1枚の
ビームスプリッタとをリング状に配置し、レーザー光源
1よりビームスプリッタを通してレーザー光を入射さ
せ、ビームスプリッタと3枚のミラーで反射させる進行
波型光リング共振器とし、1つのミラーを、透明体に入
射した光が底面で全反射するように構成し、このミラー
の試料に対向する面に球状微小突起11を形成するよう
にしてもよい。この場合も、光リング共振器内を進行す
る光が、透明基体の全反射条件を満たし、基体下面に形
成されるエバネッセント波が微小突起プローブ11の電
子に作用してプローブ周辺に近接場を形成し、試料を微
小突起11に接近すると、プローブ周辺の近接場と相互
作用を生じて光リング共振器内には逆方向に進行する光
(後方散乱)を生じ、この散乱光をビームスプリッタを
通して光検出器30で検出するようにしてもよい。この
場合も、後方散乱光の強度を一定となるように微小突起
プローブ11と試料との距離を制御するか、または、検
出器で検出される共振点を監視し、光リング共振器の共
振周波数または共振曲線の形状が一定となるように微小
突起プローブ11と試料との距離を制御するようにして
もよい。なお、光リング共振器は4枚のミラーで構成す
るものに限らず、3枚以上のミラーで構成すればどのよ
うなものでもよい。また、レーザ光源を光リング共振器
を構成するミラー間に配置し、レーザー発振の共振器を
兼ねることも可能である。
この例においては、透明基体40に微小球41を付着さ
せて光共振器として使用する。微小球41は球状凹面を
有する光学物体であり、レーザー光を入射させると球状
凹面で反射を繰り返して共振する。そこで、この微小球
41の試料17と対向する面に球状微小突起11を形成
してプローブとし、透明基体40に全反射状態でレーザ
ービーム42を入射させると、エバネッセント波が微小
球41に入射して共振し、微小突起11の電子に作用し
てプローブ周辺に近接場を形成する。そこで、X,Y,
Zステージ16を駆動制御して試料17を微小突起11
に接近すると、プローブ周辺の近接場と相互作用を生じ
てプローブから散乱光を生じるのでこれを基体上方にお
いて検出することにより試料表面の形状等の情報が得ら
れる。また、微小球の共振周波数を検出することからも
試料表面の形状等の情報が得られる。
を示す図である。微小突起11が形成され、光共振する
微小球41を付着させた透明基体40に対向させて光学
顕微鏡50を設置する。光学顕微鏡50はレンズ51、
52によりスリット53を通してフォトマルチプライヤ
54で光学像を検出する。前述したように、透明基体4
0に対してレーザービーム42を全反射状態で入射させ
ると微小球41内で光共振が生じ、微小突起11の電子
に作用してプローブ周辺に近接場を形成する。この状態
で試料を微小突起11に接近すると、プローブ周辺の近
接場と相互作用を生じてプローブから散乱光が生じるの
で、これを光学顕微鏡50で検出する。また、微小球の
共振周波数を検出するようにしてもよい。
特性を利用しているので、再現性よく、かつ効率のよい
光の検出が可能であり、また、反射型であるため透明体
を用いなくても観察可能であり、光学顕微鏡と一体化す
ればナノメータオーダまでの空間分解能で観察可能であ
る。さらに生態試料の観察、ナノメータオーダの局所分
光分析、ナノメータオーダの局所高電子分光、高密度光
メモリ、超微粒子、さらには原子のマニュピレーション
等への適用も考えられる。
る。
である。
る。
る。
る。
光ファイバー、6…光ファイバーカプラー、7…光リン
グ共振器、8…検出器、9…信号処理回路、10…周波
数制御回路、11…微小突起、12…光ファイバーカプ
ラ、13…光ファイバー、14…光検出器、15…フィ
ードバック回路15、16…X,Y,Zステージ、17
…試料、18…CPU。
Claims (3)
- 【請求項1】 試料又はプローブの三次元走査のための
送り機構を有する走査型近接場光学顕微鏡において、光
導波路または光ファイバーを用いた進行波型光リング共
振器の光導波路または光ファイバーの側面に光の波長よ
り小さい微小突起を配設し、該微小突起をプローブとし
て試料に対向させ、プローブを試料に近づけたときに光
リング共振器内に生じる後方散乱を一定にするか、光リ
ング共振器の共振周波数または共振曲線の形状を一定に
するようにプローブ−試料間距離をフィードバック制御
することを特徴とする光共振器を利用した走査型近接場
光学顕微鏡。 - 【請求項2】 試料またはプローブの三次元走査のため
の送り機構を有する走査型近接場光学顕微鏡において、
三枚以上のミラーを用いた進行波型光リング共振器の試
料に対向するミラー面に光の波長より小さい微小突起を
配設し、該微小突起をプローブとして試料に対向させ、
プローブを試料に近づけたときに光リング共振器内に生
じる後方散乱を一定にするか、光リング共振器の共振周
波数または共振曲線の形状を一定にするようにプローブ
−試料間距離をフィードバック制御することを特徴とす
る光共振器を利用した走査型近接場光学顕微鏡。 - 【請求項3】 試料またはプローブの三次元走査のため
の送り機構を有する走査型近接場光学顕微鏡において、
透光性基体に付着した光共振する微小球にプローブとし
て光の波長より小さい微小突起を試料に対向して配設
し、微小突起の反対側で前記基体に全反射状態で光を入
射し、プローブと試料の相互作用の結果生じる散乱光を
基体上方において検出し、その値を一定にするか、微小
球の共振周波数または共振曲線の形状を一定にするよう
にプローブ−試料間距離をフィードバック制御すること
を特徴とする光共振器を利用した走査型近接場光学顕微
鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25341197A JP3535356B2 (ja) | 1997-09-18 | 1997-09-18 | 光共振器を利用した走査型近接場光学顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP25341197A JP3535356B2 (ja) | 1997-09-18 | 1997-09-18 | 光共振器を利用した走査型近接場光学顕微鏡 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1194859A JPH1194859A (ja) | 1999-04-09 |
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-
1997
- 1997-09-18 JP JP25341197A patent/JP3535356B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Title |
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片岡俊彦,"特集 ナノ・フォトニクスの夜明け−近接場工学が与える各分野へのインパクト−光学顕微技術への応用",OPTRONICS,日本,1994年12月10日,第156号,p.98−103 |
片岡俊彦,"走査型近接場光学顕微鏡",生産と技術,日本,社団法人生産技術振興協会,1996年 4月25日,第48巻、第2号,p.38−41 |
片岡俊彦、遠藤勝義、井上晴行、稲垣耕司、森勇蔵、広瀬喜久治、高田和政,"球状微小突起をプローブとした走査型近接場光学顕微鏡の開発",精密工学会誌,日本,社団法人精密工学会,1994年 8月 5日,第60巻、第8号,p.1122−1126 |
片岡俊彦、遠藤勝義、押鐘寧、井上晴行、重信安志、平井隆之,"微小共振球をプローブとした近接場光学顕微鏡の開発−微小共振球プローブの開発−",精密工学会大会学術講演会講演論文集,日本,社団法人精密工学会,1997年 9月18日,1997年度秋季、F63,p.269 |
片岡俊彦、遠藤勝義、高田和政,"走査型近接場光学顕微鏡の開発",レーザー研シンポジウム共同研究成果報告書,日本,大阪大学レーザー核融合研究センター,1993年11月,’93、8.3,p.119−120 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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