JP3535021B2

JP3535021B2 - 低ＮＯｘ油バーナ

Info

Publication number: JP3535021B2
Application number: JP24835498A
Authority: JP
Inventors: 健次松田; 裕之水野
Original assignee: サンレー冷熱株式会社
Priority date: 1998-09-02
Filing date: 1998-09-02
Publication date: 2004-06-07
Anticipated expiration: 2018-09-02
Also published as: JP2000074314A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、小型の低ＮＯｘ油
バーナに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来は小型油バーナとして、図３に示す
ようなものが公知であった。即ち、この小型油バーナ
は、先端の単一開口部からエアーが噴出する燃焼筒ａ
と、燃焼筒ａの内部に挿通された支持パイプｂの先端に
設けられかつ外径方向に傾斜角をもたない油噴射ノズル
ｃと、燃焼筒ａと油噴射ノズルｃとの間に設けられた保
炎板ｄと、を備えている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では、
大気汚染防止が大きな社会的課題となっており、特に、
窒素酸化物（ＮＯｘ）の発生を抑制することが急務とな
っている。これにより、ＮＯｘの排出規制については、
大型の燃焼装置のみならず、小型の燃焼装置についても
規制の対象となってきている。しかしながら、最近まで
小型油バーナは排出規制の対象外であったため、小型油
バーナの分野ではＮＯｘの発生を低減させる研究開発が
遅れており、早急な低ＮＯｘ油バーナの開発と実用化が
望まれていた。

【０００４】そこで、本発明は、ＮＯｘの発生を確実か
つ効率良く低減することができる低ＮＯｘ油バーナを提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る低ＮＯｘ油バーナは、先端開口部か
らエアーが噴出する燃焼筒の該先端開口部の中心位置に
ノズルホルダを設けると共に、該ノズルホルダの先端外
周縁に沿って所定中心角度ピッチで、かつ、軸心に対し
て外径方向へ所定傾斜角度をもって、複数個の油噴射ノ
ズルを配設し、上記燃焼筒と上記ノズルホルダとの間
に、円環状保炎板を設け、該保炎板の外周縁を上記所定
中心角度ピッチと等しいピッチにて切欠いた切欠部と上
記燃焼筒外周壁とでエアー噴出孔を形成し、該エアー噴
出孔と上記油噴射ノズルとを、各々対応して配設し、上
記油噴射ノズルから噴出した油滴の燃焼時に於て、相隣
接する油噴射ノズルから噴出した油滴が相互に混合する
油滴混合領域と、相隣接する油噴射ノズルから噴出した
油滴が相互に混合しない油滴非混合領域を形成し、か
つ、該油滴非混合領域には上記エアー噴出孔からの燃焼
用エアーを当て、上記油滴混合領域には燃焼用エアーを
当てないようにしたものである。

【０００６】また、保炎板とノズルホルダとの間に、該
ノズルホルダを外嵌するエアーパイプを設け、燃焼筒内
に供給されたエアーが上記エアーパイプ側に分流してノ
ズルホルダの先端外周縁を囲むように噴出するものであ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基
づき、本発明を詳説する。

【０００８】図１と図２は、本発明の低ＮＯｘ油バーナ
の実施の形態を示している。１は燃焼筒、２はノズルホ
ルダ、３は油噴射ノズルである。燃焼筒１は、その内部
に燃焼用エアー（矢印Ａ）が供給され、先端開口部から
エアーを噴出するように構成されている。また、燃焼筒
１内部の軸心Ｐ上には、先端に上記ノズルホルダ２が取
付けられた支持パイプ４が挿設されており、この支持パ
イプ４にてノズルホルダ２は燃焼筒１の先端開口部の中
心位置に保持されている。

【０００９】また、ノズルホルダ２の先端外周角部は面
取りされており、この面取りされた先端外周縁に沿って
所定中心角度θ₁ピッチで、かつ、軸心Ｐに対して外径
方向へ所定傾斜角度θ₂をもって、複数個の上記油噴射
ノズル３…が配設されている。具体的には、例えば、中
心角度θ₁を60°とし、かつ、傾斜角度θ₂を約40°と
して６個の油噴射ノズル３…をノズルホルダ２に配設し
ている。

【００１０】また、燃焼筒１とノズルホルダ２との間
（先端開口部）には、円環状保炎板５が設けられてい
る。この保炎板５は、油噴射ノズル３…よりも後方位置
に設けられ、ノズルホルダ２の先端を外部へ突出させる
孔部を有している。さらに、保炎板５には、周方向に複
数個のエアー噴出孔６…が設けられている。即ち、この
エアー噴出孔６…は、各油噴射ノズル３…に対応する位
置の保炎板５外周縁を切欠いた切欠部と、燃焼筒１外周
壁とで形成されており、６個の油噴射ノズル３…の各々
に対応する６個のエアー噴出孔６…が、保炎板５の外周
縁に沿って等ピッチで設けられている。

【００１１】さらに、保炎板５とノズルホルダ２との間
には、ノズルホルダ２を外嵌する短筒状のエアーパイプ
７が設けられている。エアーパイプ７は、その先端外周
面が保炎板５の孔部内周縁に当接状に保持されており、
ノズルホルダ２との間にエアー流路を形成している。

【００１２】また、保炎板５の孔部から僅かに外方へ突
出した上記エアーパイプ７の先端外周縁は、円環テーパ
状の副保炎板８にて被覆されており、副保炎板８の先端
内周縁が各油噴射ノズル３…に近接した状態とされてい
る。なお、９はエアーパイプ７の外周面に取付けられた
電極棒であり、電極棒９の先端は、複数個の内の一個の
エアー噴出孔６を通ってそのエアー噴出孔６に対応する
油噴射ノズル３に近接状に配設されている。

【００１３】しかして、本発明の低ＮＯｘ油バーナは、
油噴射ノズル３…から噴出した油滴（燃料）の燃焼時に
於て、相隣接する油噴射ノズル３，３から噴出した油滴
が相互に混合する油滴混合領域10と、相隣接する油噴射
ノズル３，３から噴出した油滴が相互に混合しない油滴
非混合領域11を形成するように構成されている。なお、
図２に於て、仮想線で示す楕円形の範囲内に油滴の噴出
状態を示し、そのうちの、楕円形が重なった部分が上記
油滴混合領域10であり、残部が上記油滴非混合領域11で
ある。

【００１４】詳しく説明すると、図１と図２は燃焼状態
を示し、燃焼筒１内に供給された燃焼用エアーが各エア
ー噴出孔６…から外部に噴出し、かつ、支持パイプ４の
内部とノズルホルダ２の内部を通って燃料油が各油噴射
ノズル３…から霧状に噴出して燃焼している。このと
き、燃焼筒１内に供給されたエアーの一部がエアーパイ
プ７側へ分流し、ノズルホルダ２の先端外周縁を囲むよ
うにして外部へ噴出している。

【００１５】この燃焼時に於て、各油噴射ノズル３…か
ら油滴が逆円錐状に噴射されており、隣接する逆円錐状
の油滴が相互に重なって油滴濃度の濃い上記油滴混合領
域10…が形成されると共に、重ならない部分が油滴濃度
の淡い上記油滴非混合領域11…として形成され、濃淡燃
焼となっている。このとき、エアー噴出孔６…から噴出
する燃焼用エアーが油滴非混合領域11に向かって噴出し
ているため、油滴非混合領域11に於ては、燃焼用エアー
量に対する燃料量の混合割合（当量比）は小さく、か
つ、油滴混合領域10に於ては、燃焼用エアー量に対する
燃料量の混合割合（当量比）は大きくなっている。

【００１６】また、保炎板５の複数個のエアー噴出孔６
…を通って、燃焼筒１の先端開口部からエアーがリング
状に均一ではなく複数に分割され噴出することにより、
炎がエアーにて仕切られて分割火炎12…となっている。
さらに、噴出するエアーによって保炎板５の外面側が負
圧となり、エアーが噴出していない箇所を通って、（矢
印Ｂ，Ｃで示す如く）炉内排気ガス自己循環が火炎根元
に効率良く導かれている。

【００１７】ところで、ＮＯｘの発生量は、燃料量が燃
焼用エアー量に対してある割合（当量比1.0 〜0.8 程
度）でピークとなり、この割合よりも燃料濃度が濃くて
も淡くてもＮＯｘの発生量が低下することが明らかとな
っている。本発明の低ＮＯｘ油バーナは、この原理を利
用するものであり、火炎内に燃料の濃淡箇所を意図的に
形成し、かつ、燃料濃度の淡い部分に燃焼用エアーを当
て（吹付け）、燃料濃度の濃い部分には燃焼用エアーを
当てないようにして、濃淡燃焼を生じさせ、これによっ
てＮＯｘの発生量を低減している。

【００１８】また、ＮＯｘの発生量を支配する大きな要
因として、火炎温度があり、高温になる程ＮＯｘ発生量
が増加することが判っている。本発明の低ＮＯｘ油バー
ナは、火炎温度を低下させるために火炎を分割火炎12…
とし、火炎表面積を増加させることによって放射冷却を
促進させ、よってＮＯｘの発生量を低減している。さら
に、炉内のバーナ周辺には、燃焼後で放射冷却及び炉壁
との接触伝熱により、火炎よりも温度の低い排気ガスが
存在しているが、本発明の低ＮＯｘ油バーナでは、この
火炎よりも温度の低い排気ガスを火炎内に取込む───
即ち、炉内排気ガス自己循環を起こす───ことによ
り、火炎温度をより一層低下させ、ＮＯｘの発生を抑制
している。

【００１９】このように、本発明の低ＮＯｘ油バーナに
よれば、濃淡燃焼、分割火炎、及び炉内排気ガス自己循
環の３つの相乗効果により、効果的にＮＯｘの発生量を
低減することができる。例えば、１時間当たり50万キロ
カロリー〜 250万キロカロリーの熱出力に於て、灯油焚
きでのＮＯｘ排出量は60ppm 以下に低減できる。また、
従来より課題であった未燃焼油滴の飛散や、燃焼室側壁
へのカーボン付着の問題は、火炎根元に導かれた炉内排
気ガスの熱により油滴の気化を促進するようにしたこ
と、及び油噴射ノズル３…を複数個（例えば４〜６個）
使用することによる油滴の微粒化により、解決すること
ができる。

【００２０】なお、本発明は上述の実施の形態に限定さ
れず、例えば、この低ＮＯｘ油バーナは、特別な圧縮空
気（空気圧力源等）が不要な油圧噴霧方式とし、さら
に、コンパクト化のために送風機を一体化とした構造と
するも、好ましい。

【００２１】

【発明の効果】本発明は上述の如く構成されるので、次
に記載する効果を奏する。

【００２２】（請求項１によれば）燃焼時に於て、油滴
混合領域10…と油滴非混合領域11…とが燃焼した濃淡燃
焼が生じ、これによってＮＯｘの発生量が低減する。ま
た、複数個の油噴射ノズル３…によって油滴を微粒化で
き、未燃焼油滴の飛散が減少し、燃料の無駄を無くすこ
とができる。

【００２３】また、各エアー噴出孔６…から噴出する燃
焼用エアーによって、火炎が分割火炎12…となって火炎
温度が低下し、かつ、炉内排気ガス自己循環が生じて火
炎温度が低下することによる相乗効果で、より一層ＮＯ
ｘの発生量が減少する。

【００２４】（請求項２によれば）燃焼時に於て、火炎
中心部の空気不足を解消すると共に、油噴射ノズル３側
へのカーボンの付着を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態を示す要部断面側面図で
ある。

【図２】正面側から見た燃焼状態を示す説明図である。

【図３】従来例を示す要部断面側面図である。

【符号の説明】

１燃焼筒２ノズルホルダ３油噴射ノズル５保炎板６エアー噴出孔７エアーパイプ 10 油滴混合領域 11 油滴非混合領域Ｐ軸心 θ₁中心角度 θ₂傾斜角度

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭55−85805（ＪＰ，Ａ) 特開昭55−49606（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−280507（ＪＰ，Ａ) 特開平９−210307（ＪＰ，Ａ) 特開平６−11113（ＪＰ，Ａ) 実開平６−30618（ＪＰ，Ｕ) 登録実用新案3010701（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23D 11/24 F23C 11/00 315 F23C 11/00 320 F23C 11/00 329

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】先端開口部からエアーが噴出する燃焼筒
１の該先端開口部の中心位置にノズルホルダ２を設ける
と共に、該ノズルホルダ２の先端外周縁に沿って所定中
心角度θ₁ピッチで、かつ、軸心Ｐに対して外径方向へ
所定傾斜角度θ₂をもって、複数個の油噴射ノズル３…
を配設し、上記燃焼筒１と上記ノズルホルダ２との間
に、円環状保炎板５を設け、該保炎板５の外周縁を上記
所定中心角度θ ₁ ピッチと等しいピッチにて切欠いた切
欠部と上記燃焼筒１外周壁とでエアー噴出孔６…を形成
し、該エアー噴出孔６…と上記油噴射ノズル３…とを、
各々対応して配設し、上記油噴射ノズル３…から噴出した油滴の燃焼時に於
て、相隣接する油噴射ノズル３，３から噴出した油滴が
相互に混合する油滴混合領域10と、相隣接する油噴射ノ
ズル３，３から噴出した油滴が相互に混合しない油滴非
混合領域11を形成し、かつ、該油滴非混合領域 11 には上
記エアー噴出孔６…からの燃焼用エアーを当て、上記油
滴混合領域 10 には燃焼用エアーを当てないようにしたこ
とを特徴とする低ＮＯｘ油バーナ。
【請求項２】保炎板５とノズルホルダ２との間に、該
ノズルホルダ２を外嵌するエアーパイプ７を設け、燃焼
筒１内に供給されたエアーが上記エアーパイプ７側に分
流してノズルホルダ２の先端外周縁を囲むように噴出す
る請求項１記載の低ＮＯｘ油バーナ。