JP3534022B2 - 耐面歪み性とプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板、高強度亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
耐面歪み性とプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板、高強度亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法Info
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ェンダー、サイドパネル等の自動車外板パネルに要求さ
れる鋼板、詳細には絞り、張出し等の複合成形における
優れた成形性と、プレス型になじんで面歪み等の面形状
不良が生じない高強度冷延鋼板、高強度亜鉛系めっき鋼
板およびその製造方法に関する。
安全性向上のための高強度化と、部品の一体化による部
品点数の削減、および、プレス工程の省力化の両者を満
足させる極めて高いプレス成形性が、プレス後の良好な
パネル外観とともに要求されるようになってきている。
で改善され、プレス後のパネル外観はパネル外面のうね
り、すなわち、面歪みが問題で、従来より、鋼板の降伏
強度を低めることが有効なことが知られている。例え
ば、鋼板の降伏強度が240MPaを超えると面歪みが発生し
やすくなるとされている。
に、耐面歪み性を降伏強度を低減させて改善し、プレス
成形性をr値や伸びを高めて改善する技術が、特開平5-
78784号公報、特開平8-92656号公報に等に開示されてい
る。
問題とされていたプレス成形後のパネル外観の面歪み
は、プレス成形後明確に判る不均一な弾性回復あるいは
塑性座屈に起因したものであり、最近の高品質化で取り
上げられるようになった塗装面の鮮映性に影響を及ぼす
うねり(肌荒れ度合い)程度の面歪みを対象にしたもの
ではなかった。また、プレス成形性のため、r値を高め
ることは、深絞り性のみが要求される部位に対しては有
効であるが、絞りや張出しの複合成形となる実際の部品
に対しては効果的でない場合も生じていた。
で、その目的は、フード、ドア、フェンダ、サイドパネ
ル等の自動車外板パネルに要求される絞り、張出し等の
複合成形における優れた耐破断性とプレス成形後に外観
を損ねる面歪みが小さい、引張強度:440MPa以上の高強
度冷延鋼板、高強度亜鉛系めっき鋼板およびその製造方
法を提供することにある。
うな従来のプレス成形用冷延鋼板の問題に鑑み、フェン
ダー、サイドパネル等の複合成形部品の成形性を支配す
る諸因子について詳細に検討を行い、その結果、次のよ
うな知見を得た。
してはr値の向上はそれなりに有効であるが、それだけ
では十分でなく、低歪み域でのn値を適正に向上させる
ことにより、プレス成形時のパンチ底部における低歪み
域での塑性流動(歪み伝播)を促進し、側壁部のパンチ
やダイ肩近傍の破断危険部の歪みの集中を回避すること
が有効であることが分かった。
制御し、かつ含有Cに対し適切にNb/Cを制御することで
鋼板内部の組織、具体的には析出物の形態を制御すると
ともに固溶Cを低減し、かつ固溶Nbの適正化により低歪
み域での歪み伝播を促進し優れた耐面歪み性が得られる
ことを見出した。
検討を重ねた結果なされたもので、その特徴とする構成
は以下の通りである。(1)重量%で、C:0.0040〜0.010
%、Si≦0.05%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.02〜0.10%、
S:0.02%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.004%以
下、Nb:0.01〜0.20%を含有し、残部が実質的にFeおよ
び不可避的不純物からなる組成を有し、また下式(1)を
満たす範囲で含有し、かつ下式(2),(3),(4)を満足する
ことを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に優れた高
強度冷延鋼板。 -0.46-0.83×logC%≦(Nb%×12)/(C%×93)≦-0.88-1.66×logC% …(1) 0.35≧0.0075×YP(MPa)-r …(2) 2.2≦r+3.0×n …(3) 9.7≦r+54.5×n …(4) 但し、C%,Nb%は重量%、r:r値、n:n値(1〜5%歪
み)。
0.05%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.02〜0.10%、S:0.02%
以下、sol.Al:0.01〜0.10%、N:0.004%以下、Nb:0.
01〜0.20%、Ti:0.05%以下を含有し、残部が実質的に
Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、また下式
(5)を満たす範囲で含有し、かつ下式(2),(3),(4)を満足
することを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に優れ
た高強度冷延鋼板。 -0.46-0.83×logC%≦(Nb%×12)/(C%×93)+(Ti*%×12)/(C%×48)≦-0.88-1.66 ×logC% …(5) 0.35≧0.0075×YP(MPa)-r …(2) 2.2≦r+3.0×n …(3) 9.7≦r+54.5×n …(4) 但し、 Ti*%=Ti%-(48/14)N%-(48/32)S%で、Ti*%≦0の場
合、Ti*%=0とする。 C%,N%,S%,Nb%,Ti%,Ti*%は重量%、r:r値、n:n値
(1〜5%歪み)。
ることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の耐面歪み
性とプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。
鋼板の表面に亜鉛系めっき皮膜を有することを特徴とす
る耐面歪み性とプレス成形性に優れた高強度亜鉛系めっ
き鋼板。
度冷延鋼板を製造するにあたって、仕上温度:Ar3以
上、巻取温度:550℃以上で熱間圧延した後、圧延率:5
0〜85%で冷間圧延し、焼鈍温度:750℃〜870℃で連続
焼鈍することを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に
優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
鋼板を製造するにあたって、仕上温度:Ar3以上、巻取
温度:550℃以上で熱間圧延した後、圧延率:50〜85%
で冷間圧延し、焼鈍温度:750℃〜870℃で連続焼鈍する
ことを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に優れた高
強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
パネル等の複合成形部品の成形において自動車外板用に
求められる優れた成形性と耐面歪み性を兼備した高張力
冷延鋼板、亜鉛系めっき鋼板を得るために鋭意研究を重
ねた。
値のみならず降伏強度および低歪み領域でのn値を適正
に制御すること、さらに、プレス成形後の耐面歪み性に
は、r値とYPの制御と、C添加量に応じてNb/Cを適正に
制御することが重要であることを見出し、成形性と耐面
歪み性に優れた440MPa以上の強度を有する高強度冷延鋼
板ならびに亜鉛系めっき鋼板を安定して得られる技術を
発明するに至った。
分限定理由、引張特性、製造条件の限定理由について説
明する。なお、%は重量%を示す。
成形時の低ひずみ域での歪み伝播に影響をおよぼし、強
度上昇と成形性および耐面歪み性を向上させる。しかし
ながら、Cが0.0040%未満では前記効果が得られない。
また、0.010%を越えると、強度および低歪み域での歪
み伝播は得られるものの、延性が低下し成形性が劣化す
る。このため、C量は0.0040〜0.010%の範囲とする。な
お、本発明の効果を十分に得るには、0.0080%以下が好
ましく、最大限に発揮するには0.0050〜0.0074%とする
のが望ましい。
が劣化し、また溶融亜鉛めっき鋼板の場合にはめっき密
着性が劣化するため、Siは0.05%以下とする。
より強度を向上させる。1.0%未満では高強度鋼板とし
ての強度確保が困難となり、2.5%を超えると降伏強度
が顕著に上昇し、低歪み域での歪み伝播が低下するとと
もに熱間での加工性が低下するため、1.0〜2.5%とす
る。
有量を必要とする。また、0.10%超えの過剰な添加は亜
鉛めっきの際の合金化処理性を著しく劣化させ、めっき
密着不良およびそれに起因したうねりによるパネル外観
不良を生じるため、P含有量は0.02〜0.10%の範囲とす
る。
化を招きプレス成形性が低下する。従って、実用上成形
性に不都合が生じない範囲として、0.02%以下とする。
み時効現象によって鋼板の局部延性を低下させる固溶N
の弊害を軽減する作用がある。sol.Alが0.01%未満では
上記の効果が十分に得られず、一方、0.1%を越えて添
加しても添加量に見合う効果が得られないため、sol.Al
は0.01〜0.1%とする。
も析出して無害化されるが、Nは製鋼技術上可能な限り
少ない方が好ましく、このため0.004%以下とする。
パネル成形時の低ひずみ域での歪み伝播に影響をおよぼ
し、成形性および耐面歪み性を向上させる。しかしなが
ら、Nbが0.01%未満では効果が得られない。また、0.20
%を越えると、降伏強度が上昇するとともに低歪み域で
の歪み伝播が得られない。また延性も低下し、耐面歪み
性および成形性が劣化する。このため、Nb量は0.01〜0.
20%の範囲とする。なお、本発明の効果を十分に得るに
は、0.035超が好ましく、最大限に効果を得るには0.080
〜0.140%とするのが好ましい。 -0.46-0.83×logC%≦(Nb%×12)/(C%×93)≦-0.88-1.66×logC% …(1) CとNbを式(1)を満足する範囲で含有することは、本発明
においてパネル成形時の耐面歪み性、特に、パネル外面
の表面肌荒れ度合いを制御するための必須要件である。
そこで、パネル成形時のパネル外面の表面肌荒れ度合い
に及ぼす(Nb%×12)/(C%×93)の影響について調査した。
C量に応じて(Nb%×12)/(C%×93)が異なる板厚0.7mmの冷
延鋼板(C:0.0040〜0.0100%、Si:0.01〜0.02%、M
n:1.8〜2.0%、P:0.06〜0.08%、S:0.005〜0.012
%、sol.Al:0.030〜0.070%、N:0.0015〜0.0035%、N
b:0.040〜0.170%)を用い、160mm角のブランクシート
を底部形状が800mmRの円筒面のポンチを用いて図1に
示す形状のカマボコパネルに成形し、この時のパネル外
面の表面肌荒れ度合いを、成形前後のろ波中心線うねり
高さWcaの変化△Wcaによって評価した。図2に、面歪み
性(パネル外面の表面肌荒れ度合い)と(Nb%×12)/(C%
×93)の関係を示す。
46-0.83×logC% 未満であると、Cの固定が不十分である
とともにNbCの析出物が極めて微細となり低歪み域での
歪み伝播が不均一となり表面のうねり高さの変化△Wca
が0.4μm(JSC390Pレベル)を超えてしまうため耐面歪
み性が劣化する。一方、この値が -0.88-1.66×logC%を
超えると、固溶Nb量が増大するため同様に低歪み域での
歪み伝播が不均一となり、△Wcaが0.4μmを超えてしま
うため耐面歪み性が劣化し、本発明の意図するパネル外
観が得られない。よって、(Nb%×12)/(C%×93)の下限、
上限は、それぞれ、 -0.46-0.83×logC%、-0.88-1.66×
logC% と定めた。なお、本発明の効果を最大限に発揮す
るためには、本パラメータを-0.20-0.83×logC%以上、-
1.03-1.66×logC%以下とするのが好ましい。
強度およびパネル成形時の低ひずみ域での歪み伝播に影
響をおよぼし、成形性および耐面歪み性を向上させる。
しかしながら、0.05%を越えるような添加は、溶融亜鉛
めっき後の表面性状を著しく劣化させるので好ましくな
い。なお、本発明の効果を得るには少なくとも0.005%
以上の添加が必要となる。また、極めて高いめっき表面
品質を得るには0.020%未満とするのが好ましい。 -0.46-0.83×logC%≦(Nb%×12)/(C%×93)+(Ti*%×12)/(C%×48)≦-0.88-1.66× logC% …(5) 但し、Ti*%=Ti%-(48/14)N%-(48/32)S%で、Ti*%≦
0の場合、Ti*%=0とする。
×12)/(C%×48)は、ハ゜ネル成形時のハ゜ネル外面の表面肌荒れ
度合いを示すものであり、本パラメータが-0.46-0.83×
logC%未満の場合、Cが十分固定されず、また、TiCが極
めて微細な析出物となるため、低歪み域での歪み伝播が
不均一となり、耐面歪み性が劣化する。一方、-0.88-1.
66×logC%を超えると、固溶Ti量が増大するため低歪み
域での歪み伝播が不均一となり、耐面歪み性が劣化する
ため、式(5)を満足するように制御する。
が、さらに耐二次加工脆性の向上のために必要に応じて
Bを添加してもよい。この場合、B添加量は0.002%以下
にすることが必要である。しかしながら、Bの添加は焼
鈍時の粒成長性を阻害し、伸びおよびn値、r値を低下
させ、深絞り性、張出し性が劣化する傾向がある。この
ため、本発明の効果を最大限に得るには0.001%以下の
添加が好ましい。なお、耐二次加工脆性の向上には、少
なくとも0.0001%以上の添加が必要となる。
(YP0+2*YP45+YP90)/4から計算した。ここで、YP0:圧延
方向と平行な方向のYP値、YP45:圧延方向と45度方向の
YP値、YP90:圧延方向と直角方向のYP値である。r値
は、平均r値であり、平均r値=(r0+2*r45+r90)/4から
計算した。ここで、r0:圧延方向と平行な方向のr値、
r45:圧延方向と45度方向のr値、r90:圧延方向と直角
方向のr値である。
を有する本発明鋼では、耐面歪み性の観点から引張試験
で得られるYP(MPa)とr値が式(2)を満足する範囲とす
る。この点について以下に説明する。
じ易い塑性座屈での評価も行った。すなわち、図1で使
用したものと同じ鋼板について、図3に示すYBT(吉田
バックリングテスト)を行い、塑性座屈高さで評価し
た。具体的には、引張試験機で図中の矢印方向にチャッ
ク間距離101mmで引張り、標点距離部(G.L.=75mm)に一
定の引張歪み量(λ=1%)を与えた後、加重を除荷し、
残留する塑性座屈高さh bで評価した。測定は、スパン5
0mmの曲率計を用いて、引張直角方向に行った。その結
果を図4に示す。図4によれば、引張特性のYPとr値
が、0.35≧0.0075×YP(MPa)-rの関係式を満足、すなわ
ち式(2)を満足すれば座屈高さが2.8mm以下で、JSC390P
レベルの耐面歪み性が得られるが、著しくYPが高くある
いはr値が低くく式(2)を満足しない場合、座屈高さが
急激に増加する。YPとr値が式(2)を満足することで、
良好な耐面歪み性が得られる。 2.2≦r+3.0×n …(3) 9.7≦r+54.5×n …(4) 但し、r値は、前記で求めた平均r値である。n値は、
平均n値(1〜5%歪み)であり、平均n値=(n0+2*n45
+n90)/4から計算した。ここで、n0:圧延方向と平行な
方向のn値、n45:圧延方向と45度方向のn値、n90:圧
延方向と直角方向のn値である。
る鋼組成を有する本発明鋼では、引張試験で得られるr
値とn値(1〜5%歪み)が式(3),式(4)を満足する範囲
とする。このときのr値、n値は、母材の特性であり、
表面処理鋼板の場合は、めっき剥離後の特性値である。
n値の歪み範囲は、従来の高歪み域(10%〜20%)では
なく、1%〜5%の低歪み域である。これは、実部品の実
態を詳細に調査し知見したものである。図5は図6に示
す実部品スケールのフロントフェンダモデル成形品の破
断危険部位近傍の相当ひずみ分布の一例を示す。これよ
り破断危険部は側壁部となっているが、パンチ底部の発
生ひずみは0.10以下で、大部分が1%〜5%(相当ひずみ
0.01〜0.05)となっている。この成形品の大部分を占め
るパンチ底部における低歪み域での塑性流動(歪み伝
播)を促進することで、側壁部のパンチやダイ肩近傍の
破断危険部の歪みの集中を回避することができる。
に、図1で使用したものと同じ鋼板について、絞りにつ
いては、50mmφの円筒成形時のLDR(限界絞り比)で評
価し、張出し性については、実パネル成形をシミュレー
トして、ハット型成形試験で評価、すなわち図7に示す
ように、340mmL×100mmWのブランクシートを用いて、パ
ンチ幅(Wp):100mm、ダイス幅(Wd):103mm、しわ押さ
え力(P):40tonでハット型成形試験を行い、破断限界成
形高さ(ハット成形高さ)Hで評価した。その結果を図
8に示す。
2≦r+3.0×nの関係式を満足、すなわち式(3)を満足す
れば、JSC390Pと同等以上の優れた絞り性(LDR)が得ら
れる。また、引張特性のr値とn値が9.7≦r+54.5×n
の関係式を満足、すなわち式(4)を満足すれば、JSC390P
と同等以上のハット型成形高さが得られ、パンチ側壁部
に相当する平面歪み領域での優れた成形性が得られる。
しかし、著しくn値が低くかつr値が低くなり式(4)を
満足しない場合、パンチ底部および側壁部での歪み伝播
が不十分となり、成形高さが著しく低くなる。本発明の
目的とする絞り、張出しの複合成形性は、図8の2.2≦
r+3.0×nと9.7≦r+54.5×nを満足する範囲において
得られる。
る。この温度がAr3未満の場合、r値、伸びが著しく劣
化し所望の特性が得られない。なお、r値、伸びに対し
ては、仕上温度は高い方が良く、特に、高い伸びを得る
には920℃以上が好ましい。
上させる。しかし、巻取温度が550℃未満では析出物が
十分に形成しないため、その効果が得られない。より高
い材質を得るには600℃以上が好ましい。巻取温度の上
限は酸洗による脱スケール性と材質の安定性の観点から
700℃、より望ましくは680℃するのが好ましい。
率が50%未満の場合、優れたr値が得られず、一方、85
%を超えるような高い冷圧率の場合、結晶粒が微細とな
り過ぎて優れたn値が得られない。このため、圧延率は
50〜85%とする。
し、焼鈍温度が750℃未満の場合、フェライトの粒成長
性が十分に得られず高いr値が得られないとともに、結
晶粒界にPFZ(粒内よりもNb系析出物の密度の低い領
域)の形成が十分に得られず高いn値が得られない。一
方、870℃を超えるような場合、異常粒成長を生じて材
質劣化を招く恐れがある。このため、焼鈍温度は750℃
〜870℃の範囲とする。
ができるが、冷延鋼板表面に電気めっきまたは溶融めっ
きによって亜鉛系めっきを施した亜鉛系めっき鋼板とし
て使用することもでき、この場合にもパネル加工後に所
望の表面品質と成形性を得ることができる。亜鉛系めっ
きとしては、純亜鉛めっき、合金化亜鉛めっき(亜鉛め
っき後に合金化加熱処理して得られた亜鉛めっき)、亜
鉛-Ni合金めっき等が挙げられ、また、めっき後に有機
皮膜処理を施した鋼板においても同様の性能を付与する
ことができる。
する。本発明鋼板は、本発明に規定する成分組成の鋼ス
ラブの熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍等の一連の工程
を経て製造され、必要に応じてめっき処理がなされる。
本発明鋼板を製造する場合、熱延プロセスはスラブ加熱
後圧延する方法、連続鋳造後短時間の加熱処理を施して
あるいは該加熱工程を省略して直ちに圧延する方法のい
ずれでもよいが、優れた外板適性を付与するためには、
一次スケールのみならず熱間圧延時に生成する二次スケ
ールについても十分に除去するのが好ましい。なお、熱
間圧延中においては、バーヒーターにより加熱を行って
もよい。
めっきによって亜鉛系めっきを施すことができる。
製後、220mm厚のスラブに連続鋳造した。このスラブを1
200℃に加熱後、仕上温度880〜910℃、巻取温度600〜68
0℃(連続焼鈍、連続焼鈍・溶融亜鉛めっき向け)で熱
間圧延して板厚2.6mmの熱間圧延し、板厚0.7mmまで冷間
圧延後、引続き連続焼鈍(焼鈍温度840〜860℃)、また
は、連続焼鈍・溶融亜鉛めっき(焼鈍温度850〜860℃)
のいずれかを実施した。連続焼鈍・溶融亜鉛めっきで
は、焼鈍後460℃で溶融亜鉛めっき処理を行い、直ちに
インライン合金化処理炉で500℃でめっき層の合金化処
理を行った。めっき目付量は片側あたり45g/m2を両面に
付着させた。また、焼鈍または焼鈍・溶融亜鉛めっき後
の鋼板には圧下率0.7%の調質圧延を行った。
調査した。また、既に説明したのと同様の方法で、上記
の鋼板をプレス成形し、その際の限界絞り比(LDR)、
およびハット成形高さ(H)、図1に示す形状のパネル
に成形した際の表面肌荒れ状況を目視観察して面歪みの
有無をチェックし、また成形前後のろ波中心線うねり高
さの変化ΔWcaを求め、またYBTにより面歪みを評価し
た。それらの結果を表2に示す。
有する鋼で、かつ(Nb%×12)/(C%×93)、(Nb%×12)/(C%
×93)+(Ti*%×12)/(C%×48)が、それぞれ式(1),(5)、
及び式(2),(3),(4)を満足することによって、優れた材
質が得られ、また亜鉛めっき性に優れるので線状欠陥や
不めっき、合金化不良がなく、これらのめっき皮膜に起
因する耐面歪み性の低下がないことが分かる。
性の少なくとも一方が劣り、特に、Cに対して、(Nb%×1
2)/(C%×93)が高すぎるあるいは低すぎる場合、△Wcaが
0.4μmを超えてしまい面歪みが顕著となる。また、式
(2)を満足しない場合、YBTが2.8mmを超えるためプレス
後パネル形状が著しく劣化し、式(3),(4)を満足しない
場合は、それぞれハット成形高さ(H)および限界絞り比
(LDR)が低下し、成形性が劣化することが明らかとな
った。さらに、Si,Pが本発明範囲から外れる場合、亜鉛
めっき性が劣化し、耐面歪みが増大することも明らかと
なった。
明鋼)を溶製後、連続鋳造によりスラブとし、1200℃に
加熱後、仕上温度760〜960℃、巻取温度520〜690℃で板
厚1.3〜6.0mmの熱延板とした後、冷間圧延率:46〜87%
で冷間圧延し、板厚0.8mmとした。その後、焼鈍温度:7
10〜900℃において連続焼鈍あるいは連続焼鈍・溶融亜
鉛めっきを実施した。連続焼鈍・溶融亜鉛めっきでは、
焼鈍後460℃で溶融亜鉛めっき処理を行い、直ちにイン
ライン合金化処理炉で500℃でめっき層の合金化処理を
行った。めっき目付量は片側あたり45g/m2を両面に付着
させた。焼鈍・亜鉛めっき後、圧下率0.7%の調質圧延
を行った。
にして、めっき剥離後の機械特性、及びプレス成形後の
界絞り比(LDR)、ハット高さ(H)、および図1に示す形状
のパネルに成形後の表面肌荒れ状況、ろ波中心線うねり
高さの変化ΔWcaを求め、またYBTにより面歪みを評価し
た。前記で得られた結果を表3に示す。
件を満足し、かつ式(2),(3),(4)を満足することによ
って、優れた材質と耐面歪み性が得られることがわかる。
鋼は、材質、耐面歪み性の少なくとも一方が劣り、特
に、仕上温度が低い場合、r値および伸びが低く、優れ
た限界絞り比(LDR)が得られない。巻取温度が低い場
合、冷圧率が高い場合、焼鈍温度が低い場合、n値が低
く、優れたハット成形高さ(H)が得られない。また、本
発明の製造条件を満足していても式(3),(4)を満足しな
い場合、それぞれハット成形高さ(H)又は限界絞り比(LD
R)が低下し、成形性が劣化し、複合成形性が得られない
ことが明らかとなった。
り、張出し等の複合成形における優れた耐破断性とプレ
ス成形後に外観を損ねる面歪みが生じない引張強度:44
0MPa以上の高強度冷延鋼板および高強度亜鉛系めっき鋼
板を得ることができる。本発明の鋼板は、前記特性の要
求が特に求められるフード、ドア、フェンダ、サイドパ
ネル等の自動車外板鋼板として好適である。
評価に供したパネルの形状を説明する図。
の表面肌荒れ度合い)の関係を示す図。
リングテスト)を説明する図で、(a)は試験材の平面
図、(b)引張加重を除荷後の試験材の断面図。
の関係を示す図。
モデル成形品の破断危険部位近傍の相当ひずみ分布の一
例を示す図。
品を示す斜視図。
関係を示す図。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.0040〜0.010%、Si≦0.
05%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.02〜0.10%、S:0.02%以
下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.004%以下、Nb:0.01
〜0.20%を含有し、残部が実質的にFeおよび不可避的不
純物からなる組成を有し、また下式(1)を満たす範囲で
含有し、かつ下式(2),(3),(4)を満足することを特徴と
する耐面歪み性とプレス成形性に優れた高強度冷延鋼
板。 -0.46-0.83×logC%≦(Nb%×12)/(C%×93)≦-0.88-1.66×logC% …(1) 0.35≧0.0075×YP(MPa)-r …(2) 2.2≦r+3.0×n …(3) 9.7≦r+54.5×n …(4) 但し、C%,Nb%は重量%、r:r値、n:n値(1〜5%歪
み)。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.0040〜0.010%、Si≦0.
05%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.02〜0.10%、S:0.02%以
下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.004%以下、Nb:0.01
〜0.20%、Ti:0.05%以下を含有し、残部が実質的にFe
および不可避的不純物からなる組成を有し、また下式
(5)を満たす範囲で含有し、かつ下式(2),(3),(4)を満足
することを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に優れ
た高強度冷延鋼板。 -0.46-0.83×logC%≦(Nb%×12)/(C%×93)+(Ti*%×12)/(C%×48)≦-0.88-1.66 ×logC% …(5) 0.35≧0.0075×YP(MPa)-r …(2) 2.2≦r+3.0×n …(3) 9.7≦r+54.5×n …(4) 但し、 Ti*%=Ti%-(48/14)N%-(48/32)S%で、Ti*%≦0の場
合、Ti*%=0とする。 C%,N%,S%,Nb%,Ti%,Ti*%は重量%、r:r値、n:n値
(1〜5%歪み)。 - 【請求項3】 重量%で、B:0.002%以下を含有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の耐面歪み性
とプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の冷延鋼
板の表面に亜鉛系めっき皮膜を有することを特徴とする
耐面歪み性とプレス成形性に優れた高強度亜鉛系めっき
鋼板。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の高強度
冷延鋼板を製造するにあたって、仕上温度:Ar3以上、
巻取温度:550℃以上で熱間圧延した後、圧延率:50〜8
5%で冷間圧延し、焼鈍温度:750℃〜870℃で連続焼鈍
することを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に優れ
た高強度冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項4に記載の高強度亜鉛系めっき延
鋼板を製造するにあたって、仕上温度:Ar3以上、巻取
温度:550℃以上で熱間圧延した後、圧延率:50〜85%
で冷間圧延し、焼鈍温度:750℃〜870℃で連続焼鈍する
ことを特徴とする耐面歪み性とプレス成形性に優れた高
強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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JP31559699A JP3534022B2 (ja) | 1999-11-05 | 1999-11-05 | 耐面歪み性とプレス成形性に優れた高強度冷延鋼板、高強度亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 |
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JP2001131694A JP2001131694A (ja) | 2001-05-15 |
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