JP3533240B2 - 組換えダニアレルゲン - Google Patents

組換えダニアレルゲン

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JP3533240B2 JP08805994A JP8805994A JP3533240B2 JP 3533240 B2 JP3533240 B2 JP 3533240B2 JP 08805994 A JP08805994 A JP 08805994A JP 8805994 A JP8805994 A JP 8805994A JP 3533240 B2 JP3533240 B2 JP 3533240B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アレルゲン活性を有す
る組換えダニアレルゲン、その遺伝子、該遺伝子を発現
させ得る発現ベクター、発現ベクターで形質転換された
形質転換体、該組換えダニアレルゲンの製造方法、ダニ
アレルギー疾患治療剤、およびダニアレルギー疾患診断
薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】屋内塵性ダニは、アトピー性気管支喘息
等のアレルギー疾患の主要な原因として重要である。従
来、アレルギー疾患の治療剤としては、アレルギーの原
因物質である減感作療法が、最も重要な根本治療とさ
れ、特に花粉症を始め屋内塵、真菌アレルギー等の吸入
性アレルゲンである回避困難な抗原で引き起こされる疾
患においては、その評価は今や確立されたものといえ
る。しかしながら、この減感作療法では感作抗原による
アナフィラキシーの危険が伴う為、安全な治療用抗原の
投与が必要とされ、そのような感作抗原の研究が進めら
れている。
【0003】ダニアレルギー疾患については、ヤケヒョ
ウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)及びコナ
ヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)の2種のダ
ニが、屋内塵中のアレルゲン源として重要であると報告
されている〔Allerg. Asthma, 10, 329 〜334 (1964);
J. Allergy, 42, 14〜 28 (1968)] 。これらのダニか
ら、主要ダニアレルゲンが分画され、それらはダニ排泄
物及び/又はダニ虫体中に含有されている分子量24-28k
D の糖蛋白(pI 4.6〜7.2)、及び/又は分子量14.5-20k
D の蛋白(pI 5〜7.2)であると報告されている〔J. Imm
unol.,125, 587〜592 (1980); J. Allergy Clin. Immun
ol.,76, 753 〜761 (1985); Immunol., 46, 679 〜687
(1982); Int. Arch. Allergy Appl. Immunol., 81, 214
〜223 (1986); J. Allergy Clin. Immunol.,75, 686 〜
692 (1985)等〕。しかし、減感作治療用抗原として有効
かつ安全なものは、未だ得られていないのが実情であ
る。
【0004】ダニアレルゲンの遺伝子クローニングとし
ては、ヤケヒョウヒダニの主要アレルゲンであるDer p
I (分子量:25,371) 及びDer p II (分子量:14,131)
について、また、コナヒョウヒダニの主要アレルゲンで
あるDer f I ( 分子量:25,191) 及びDer f II(分子
量:14,021)についても、それぞれの遺伝子がクローニ
ングされ塩基配列も決定されており〔Int. Arch. Aller
gy Appl. Immunol., 85,127〜129 (1988); J. Exp. Me
d., 167, 175 〜182 (1988); J. Exp. Med., 170, 145
7 〜1462 (1989); Int. Arch. Allergy Appl. Immuno
l., 91, 118 〜123(1990); Int. Arch. Allergy Appl.
Immunol., 91, 124〜129 (1990); Jpn. J.Allergol., 3
9, 557〜561 (1990); Clinical and Experimental Alle
rgy, 21, 25 〜32 (1991); Clinical and Experimental
Allergy, 21, 33 〜37 (1991) 〕、遺伝子組換え技術
によるダニアレルゲンの研究が試みられている。しかし
ながら、未だ感作抗原として使用し得るものは得られて
いない。
【0005】一方、ダニアレルギー疾患の診断方法とし
ては、従来、問診を主体とし、屋内塵(ハウスダスト)
抽出物および/またはダニ虫体抽出物を用いる皮内反応
試験が殆どであり、まれに、RAST(radio allergosorbe
nt test)法による血清中のIgE 抗体価(相対値)の測
定、吸入誘発試験、鼻粘膜誘発試験を併用する程度であ
り、ダニアレルギー疾患を直接的に診断するのはかなり
困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、屋内塵性ダニを
特異抗原とする気管支喘息の減感作治療法には、屋内塵
(ハウスダスト)抽出液が用いられてきているが、化学
的にはその組成が極めて不明確であり、しかも多種類の
不純物を含み、アナフィラキシー誘発の可能性があるた
めに投与量が極度に制限され、治療効果が極めて低いの
が現状である。したがって、有効性及び安全性の観点か
ら、有用な減感作治療用抗原の出現が望まれると同時に
そのような高品質減感作治療用抗原の安定供給が期待さ
れている。しかしながら、このような安全で確実に奏効
するに充分量のダニアレルゲンを安定供給するには、ダ
ニ飼育物からのダニアレルゲンの抽出、精製による方法
では、量産性がなく量的に限界があるので安定供給は困
難である。
【0007】本発明の目的は、まさにこの点にあり、ダ
ニアレルギー疾患の治療剤、診断薬としてアナフィラキ
シー誘発性不純物を含まない安全かつ有効な組換えダニ
アレルゲンを提供することにある。即ち、本発明の第1
の目的は、ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られ
るアレルゲン活性を有する新規なダニアレルゲンを提供
することにある。本発明の第2の目的は、該ダニアレル
ゲンをコードする遺伝子を提供することにある。本発明
の第3の目的は、本発明の遺伝子を発現させ得る発現ベ
クターを提供することにある。本発明の第4の目的は、
該遺伝子を発現させ得る発現ベクターで形質転換された
形質転換体を提供することにある。本発明の第5の目的
は、該組換えダニアレルゲンの製造方法を提供すること
にある。本発明の第6の目的は、本発明の組換えダニア
レルゲンを有効成分とする新規なダニアレルギー疾患治
療剤を提供することにある。本発明の第7の目的は、本
発明の組換えダニアレルゲンを有効成分とする新規なダ
ニアレルギー疾患診断薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ダニ虫体から
強いアレルゲン活性を示すダニアレルゲンおよびそれを
コードする遺伝子を見出し、更に研究を重ねて本発明を
完成した。
【0009】即ち、本発明の要旨は、(1) ダニ虫体
由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸
配列(配列番号:1)を含んでいる組換えダニアレルゲ
ン、 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln (2) 前記(1)記載の遺伝子がコナヒョウヒダニ虫
体由来の遺伝子である前記(1)記載の組換えダニアレ
ルゲン、(3) 分子量が約15000(SDS-PAGE)であ
る前記(1)又は(2)記載の組換えダニアレルゲン、
(4) 全塩基鎖長が約0.5 kbp(アガロース電気泳
動法)であって、図3の制限酵素地図を有する遺伝子の
発現によって得られるものである前記(1)〜(3)の
いずれかに記載の組換えダニアレルゲン、(5) 前記
(1)〜(4)のいずれかに記載の組換えダニアレルゲ
ンが他の蛋白質と融合していることを特徴とする融合組
換えダニアレルゲン、(6) 該他の蛋白質がグルタチ
オンS−トランスフェラーゼである前記(5)記載の融
合組換えダニアレルゲン、(7) 分子中に以下のアミ
ノ酸配列(配列番号:1)を含みかつアレルゲン活性を
有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子、 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln (8) 以下のDNA配列(配列番号:1)を含むもの
である前記(7)記載のダニ虫体由来の遺伝子、 GAT GCT GCA CGT ACA ACA TCA CAA TCA CCA ACA GCA ATA ATC AAC GAT CCA GAT ATG GAT ATT AAG TCC ATT GAT TCA TTA GAA GAA AGT GAT CAG CCA ACT TTA GGC GGT AGT GGT GCT GGT GGT GGA TCT AGT TCG GCC ACC GGT TCC AAT GGA AGT GAT GAT TTT GAT GAT CAA TTG GTT AAA ATT GAT AGT AGC GCT GCT GGA TCG TCT CTT TCA TCT TCA AAC AAC AAT AAT ACA ACC ACC ACT CCA ATT AGA TCG TCG AAT GTG AAT GTT AAT AAC AAT AAT AAT TTA AGT GAT GAA CAA TTA AGC TCA TTA GAG ATG ATT GAT GAT GAT AAT AAT TTC ACT ACA TTC AAC AAT GAT AAA CAA CAA CAA CCC AAA CAG (9) 形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞中
において、前記(7)又は(8)記載の遺伝子を発現さ
せ得る発現ベクター、(10) 前記(9)記載の発現
ベクターで形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細
胞、(11) 前記(10)記載の細菌、酵母又は哺乳
動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、組
換えダニアレルゲンを産生させ、次いで該組換えダニア
レルゲンを回収することを特徴とする組換えダニアレル
ゲンの製造方法、(12) 前記(10)記載の細菌、
酵母又は哺乳動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で
培養して、融合組換えダニアレルゲンを産生させ、該融
合組換えダニアレルゲンを回収し、次いで、融合してい
る他の蛋白質を脱離せしめることを特徴とする組換えダ
ニアレルゲンの製造方法、(13) 前記(1)〜
(4)のいずれか1項に記載の組換えダニアレルゲンを
有効成分とするダニアレルギー疾患治療剤、(14)
前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の組換えダニ
アレルゲンを有効成分とするダニアレルギー疾患診断
薬、に関する。
【0010】本発明の組換えダニアレルゲンは、ダニ虫
体由来の遺伝子の発現によって得られるものであり、こ
こで用いられるダニは特に限定されるものではないが、
屋内塵性ダニであるコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダ
ニ等が用いられる。
【0011】本発明の組換えダニアレルゲンは、アミノ
酸配列として以下の配列(配列番号:1)を含んでいる
蛋白質であって、アレルゲン活性を有するものである。
【0012】 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln
【0013】また、本発明の組換えダニアレルゲンは、
前記アミノ酸配列のうち1個又は複数のアミノ酸の置
換、欠失、付加又は転位によって種々変異されたもので
あっても、アレルゲン活性を有するものは本発明の組換
えダニアレルゲンに含まれる。このような変異体は、天
然のアレル変異体又は組換えDNA技術により、例えば
DNAの特定の部位に突然変異を誘発することにより得
られる。
【0014】本発明の組換えダニアレルゲンには、他の
蛋白質との融合蛋白として発現されたものも含まれる。
本明細書では、他の蛋白質と融合して発現した組換えダ
ニアレルゲンを特に融合組換えダニアレルゲンという場
合がある。ここで、融合する他の蛋白質としては特に限
定されないが、例えば、β−ガラクトシダーゼ、グルタ
チオンS−トランスフェラーゼ、プロテインA、マルト
ース結合蛋白質等が挙げられる。
【0015】本発明の組換えダニアレルゲンは、アレル
ゲン活性に必須な領域のみの蛋白質断片であってもよ
く、また、アレルゲン活性に必須なドメインからなるも
のであってもよい。また、ダニアレルゲン蛋白質のみを
発現させて得られたものの他に、融合蛋白質として発現
したものから他の蛋白質を脱離せしめて得られたもので
もよい。
【0016】要約すれば、本発明の組換えダニアレルゲ
ンは、ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られ、前
記のアミノ酸配列を実質的に含み、アレルゲン活性を有
する蛋白質である。
【0017】本発明の組換えダニアレルゲンとして、大
腸菌で発現されたグルタチオンS−トランスフェラーゼ
との融合組換えダニアレルゲンが以下のように例示され
る。即ち、大腸菌で発現された融合組換えダニアレルゲ
ンは、グルタチオン固定化アフィニティクロマトグラフ
ィー及び抗ダニ虫体抗体固定化アフィニティクロマトグ
ラフィーで精製される。得られた組換えダニアレルゲン
として下記のような性質を持つ。
【0018】 色及び性状:白色 水溶性 :易溶性 分子量 :約15000である。 SDS-PAGEで{(融合蛋白質の分子量)−(グルタチオン
S−トランスフェラーゼの分子量)}で見積もる。 アミノ酸配列(配列番号:1)として次のものを含
む。 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln 抗原性を有する。 ダニアレルギー患者プール血清中の特異IgG 、ウサギ抗
ダニ虫体血清、ウサギ抗Der f II血清とのELISA 反応性
及び発現蛋白のSDS-PAGE後、ニトロセルロース膜にブロ
ットし上記抗血清との反応性により判断する。なお、本
発明の組換えダニアレルゲンは、抗Der f II血清との交
差反応性を示す。 アレルゲン活性を有する。 HPLC(High performance liquid chromatography)を用い
たダニアレルギー患者白血球ヒスタミン遊離試験により
判断する。 アナフィラキシー反応を誘導しない。 常法により、融合蛋白質またはダニアレルゲン蛋白質で
モルモットを免疫し、追加免疫時にアナフィラキシー反
応について観察する。
【0019】本発明のダニ虫体由来の遺伝子は、生ダニ
虫体からmRNAを調製し、そのmRNAを鋳型として
常法によりcDNAを合成することにより得られるが、
分子中に前記のアミノ酸配列を含むアレルゲン活性を有
する蛋白質をコードしているものであり、該アミノ酸配
列をコードしているDNAとしては、具体的には配列番
号:1が例示される。このDNA配列は、前記のDer p
I 、Der p II、Der fI 及びDer f IIについて報告され
ているものと比較して相同性のないものである。特に、
本発明のダニ虫体由来の遺伝子は、抗Der f II血清と強
い交差反応性を有するにもかかわらず全く別の遺伝子で
あることが明らかである。
【0020】本発明のダニ虫体由来の遺伝子は、cDN
Aの全塩基鎖長が約0.5 kbp(アガロース電気泳動
法) であるが、実際の発現では、その前の停止コドンで
終了するので、翻訳される塩基鎖長は、停止コドンを除
いて384bpであり、図3に示す制限酵素地図を有する
ものである。
【0021】本発明の発現ベクターは、形質転換された
細菌、酵母又は哺乳動物細胞中において、前記の本発明
の遺伝子を発現させ得るように結合している発現ベクタ
ーである。発現ベクターの構築に用いられるベクターD
NAは、特に制限されず、広く普及した入手の容易なも
のが用いられる。例えば、pUC18、pTV118 N (宝
酒造社製)、pUEX2(Amersham社製)、pGEX−
2T、pKK233-2(Pharmacia 社製)、pMAM−ne
o(Clontech社製)等が挙げられる。
【0022】本発明の発現ベクターの構築方法は、特に
限定されるものではなく常法により行なうことができ
る。例えば、図1に示されるようにλgt11ファージに
組み込まれたダニアレルゲンのcDNAを、Kpn I とSa
c I で消化し、プラスミドpUC18のKpn I とSac I 部
位に連結して得られたpTCをNot I て消化した後、Kl
enow断片で平滑化し、プラスミドベクターpGEX−2
T(Pharmacia 社製)のSma I 部位に連結して発現ベク
ターpTEX124を得ることができる。
【0023】本発明の発現ベクターで形質転換された細
菌、酵母又は哺乳動物細胞は、本発明の遺伝子を発現し
得るものであれば特に制限されないが、例えば、細菌と
しては大腸菌、枯草菌等が、酵母としてはサッカロマイ
セス・セレビィシエ等が、哺乳動物細胞としては、チャ
イニーズ・ハムスター・卵巣(CHO)細胞、サルCO
S細胞、マウス・フィブロプラスト等が挙げられる。
【0024】本発明の組換えダニアレルゲンの製造方法
は、本発明の遺伝子を発現させ得る発現ベクターで形質
転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞を該遺伝子の発
現可能な条件下で培養して、組換えダニアレルゲンを産
生させ、次いで該組換えダニアレルゲンを回収すること
による。
【0025】ダニ虫体から本発明の組換えダニアレルゲ
ンをコードしているcDNAを取得するには、後述の実
施例において詳述するように、全RNA画分からpoly
(A)mRNA画分を回収し、市販のcDNA合成キット等
を用いてcDNAを合成することができる。
【0026】また、ダニアレルゲンのcDNAが挿入さ
れた融合蛋白発現プラスミドを含有する大腸菌形質転換
株を用いての組換えダニアレルゲンの製造方法として、
次のような方法が例示される。まず、ダニアレルゲンの
cDNAが挿入されたグルタチオンS−トランスフェラ
ーゼとの融合蛋白発現プラスミドを含有する大腸菌形質
転換株を常法により振盪培養し対数増殖させ、この対数
増殖期を維持させながらβ−ガラクトシダーゼ・インデ
ューサー添加で融合蛋白質を誘導合成させる。宿主細胞
として用いられる大腸菌としては、例えばE. coli JM10
5 (ファルマシア社製)が用いられ、発現ベクターで形
質転換された株をE. coli JM 105−OL124 と命名(FE
RM P−14253)する。
【0027】培養終了後、集菌した菌体は、セリン・シ
ステイン・アスパラギン酸・金属プロテアーゼインヒビ
ターを含む緩衝液に懸濁して超音波処理で破壊される。
細胞デブリスにある膜局在性の蛋白をフェニルメタンス
ルフォニル・フルオリド、モノヨード酢酸、ペプスタチ
ンA、エチレンジアミン四酢酸等の蛋白分解酵素阻害剤
及びラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、トリトンX−
100 、ノニデットP40等の界面活性剤を含む緩衝液で抽
出する。その抽出液から、又は培養濃縮液から得られた
ダニアレルゲン・グルタチオンS−トランスフェラーゼ
融合蛋白質を、例えばグルタチオン固定化アフィニティ
クロマトグラフィー及び抗ダニ虫体抗体固定化アフィニ
ティクロマトグラフィー等で精製する。なお、グルタチ
オン固定化担体は、Pharmacia 社製のものである。ま
た、抗ダニ虫体抗体固定化担体は、活性化されたトレシ
ル担体(例えば、トレシルGMゲル(栗田工業社製)、
トレシルトヨパール(東ソー社製)、トレシルセファロ
ース(Pharmacia 社製)等が用いられる)にウサギ抗ダ
ニ虫体抗体を共有結合させたものである。
【0028】精製された組換えダニアレルゲン融合蛋白
質は、プロテアーゼで消化し、ELISA 及びダニアレルギ
ー疾患患者白血球ヒスタミン遊離試験(アレルギー, 3
7, 725(1988) )でモニター下に、例えばゲル濾過クロ
マトグラフィー、限外濾過、イオン交換クロマトグラフ
ィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水クロマト
グラフィー、クロマトフォカシング、焦点電気泳動法、
ゲル電気泳動法等の公知の精製法を単独又は組み合わせ
て分画する。
【0029】また、本発明の組換えダニアレルゲンの製
造方法は、ダニアレルゲン蛋白質の直接発現に加えて、
ダニアレルゲンが他の蛋白質と介在配列を介して融合し
た融合組換えダニアレルゲンとして発現したものを回収
し、次いで融合している他の蛋白質を脱離せしめること
により組換えダニアレルゲンを製造する方法も包含して
いる。融合させる他の蛋白質としては、例えばβ−ガラ
クトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラー
ゼ、プロテインA、マルトース結合蛋白質等、一般的に
融合蛋白とすることが知られているものが用いられる。
【0030】他の蛋白質を脱離せしめる方法も公知の方
法が用いられるが、例えば他の蛋白質がβ−ガラクトシ
ダーゼで、ダニアレルゲン蛋白質との間にコラーゲンや
フィブリノーゲン蛋白質の一部が介在している場合に
は、コラゲナーゼやトロンビンが用いられ、前記の方法
を単独または組み合わせることによって、ダニアレルゲ
ン蛋白質を精製する。また、他の蛋白質がグルタチオン
S−トランスフェラーゼの場合も同様に精製することが
できる。
【0031】本発明のダニアレルギー疾患治療剤は前記
の精製された組換えダニアレルゲンを有効成分とするも
のであり、各種のダニアレルギー疾患の治療剤として用
いられる。ここでダニアレルギー疾患とは、アトピー性
気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、
アトピー性皮膚炎等、ダニの特異抗原が原因となるあら
ゆるアレルギー疾患をいう。
【0032】本発明のダニアレルギー疾患治療剤の調製
方法は、特に制限はないが、例えば、前記の方法により
精製された組換えダニアレルゲンを乾燥して粉末状で採
取し、ダニアレルギー疾患に対する減感作治療剤として
用いられる。本発明のダニアレルギー疾患治療剤は、減
感作治療剤として用いられる場合、そのままで、または
必要に応じて一般的に用いられるアジュバントや各種の
添加剤、例えば安定剤、賦形剤、溶解補助剤、乳濁化
剤、緩衝剤、無痛化剤、保存剤、着色剤等を常法により
添加した配合剤として用いることができる。例えば、粉
末状の精製された組換えダニアレルゲンをフェノールを
添加した生理食塩水に溶解し、減感作治療用抗原の原液
として用いる。
【0033】本発明のダニアレルギー疾患治療剤は、通
常の投与経路例えば経皮、経口、皮内、皮下、筋肉内、
腹腔内等の投与方法により行なうことができる。更に、
例えば、トローチ、舌下錠、点眼剤、鼻腔内噴霧剤、パ
ップ剤、クリーム剤、ローション剤等の経皮、経粘膜薬
としても使用することができる。また、本発明のダニア
レルギー疾患治療剤の投与量及び投与回数は、投与経
路、症状などに応じて成人1回あたり約20μg以下の範
囲となるように適宜選択し、毎週1回程度投与される。
【0034】また、本発明のダニアレルギー疾患治療剤
は、ダニアレルギー疾患に対する治療剤のみならず予防
剤としても有用である。また、アナフィラキシー誘発作
用もなく、人体に対して安全に用いることができる。
【0035】本発明のダニアレルギー疾患診断薬は、ダ
ニアレルギー疾患に対する皮内反応診断試薬及びダニア
レルギー診断用滴定試薬として用いられる。皮内反応診
断試薬として用いる場合は、前記の方法により精製され
た組換えダニアレルゲンを常法により調製して得るが、
例えば組換えダニアレルゲンを乾燥して粉末状とし、こ
れをフェノールを含む生理食塩水で溶解し、希釈して用
いる。皮内反応診断試薬として用いる方法は、常法に従
って用いられる。
【0036】また、ダニアレルギー診断用滴定試薬とし
て用いる場合も同様に常法により調製されるが、例え
ば、組換えダニアレルゲンをハンクス緩衝液で適当に溶
解し、希釈してヒスタミン遊離滴定用試薬として用い
る。この方法は通常、以下の操作手順によりなされる。
即ち、ダニアレルギー疾患患者の血液及びこの血液から
遠心分離により得られた血球画分を緩衝液に懸濁した血
球浮遊液の一定量を、組換えダニアレルゲンを滴定試薬
として用いて滴定し、アレルゲン刺激により好塩基球
(白血球の一種)から遊離するヒスタミン量をHPLCを用
いて測定する〔アレルギー,37, 725(1988) 〕。
【0037】このヒスタミン遊離滴定では、最大遊離量
の50%量(滴定曲線の変曲点)から遊離されるヒスタミ
ン量を求める。この滴定では、(1)血球浮遊液の滴定
値から患者のアレルゲン感受性を直接測定することにな
る。(2)血漿と組換えダニアレルゲンとを予め反応さ
せた後、その液で血球浮遊液を滴定して得られる値(血
液滴定曲線値)は、通常、組換えダニアレルゲンで血球
浮遊液を滴定して得られる値(血球浮遊液滴定曲線値)
より高い値が得られる。これは、血漿中にアレルゲン中
和能を持つIgG 抗体(遮断抗体)が存在するためであ
る。従って、対血液滴定曲線の、対血球浮遊液滴定曲線
からのシフトの大きさから、遮断抗体価が得られる。ア
レルゲン感受性とこの遮断抗体価から、ダニアレルギー
の正確な診断が可能となる。また、このヒスタミン遊離
滴定試験は減感作治療効果のモニターとしても有用であ
る。
【0038】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。尚、各実施例において使用した試薬はナカライテ
クス、片山工業、和光純薬などから購入した市販のもの
を使用した。また、制限酵素などの遺伝子工学用試薬は
宝酒造などから購入したものを使用した。また、ウサギ
Der f II血清は、国立相模原病院の安枝浩博士から恵
与された。
【0039】実施例1 ダニ全RNAの抽出とダニアレルゲンPoly(A)mRNAの
分離:常法によりコナヒョウヒダニを培養増殖させて得
られる生ダニ虫体6g を200mlの5.5 Mイソチアン酸
グアニジン (片山化学社製) 液中で石英砂10gとともに
乳鉢中ですりつぶし遠心分離(9000rpm、 10分間、4℃)
し、その上清を、18Gの注射針をつけた50ml容のシリ
ンジで吸入、射出を繰り返すことにより、DNAを部分
切断した。再度遠心分離した上清を、17mlのトリフル
オロ酢酸セシウム溶液 (片山化学社製) に対して16ml
の割合で重層し、85,000×gで24時間 (15℃, HITACHI
SCP55H swing PRS-27-2)密度勾配遠心分離を行い、管底
にペレットを形成する全RNA画分を回収した。次に、
Fast Track mRNA isolation kit(Invitrogen社製)を用
いて、得られた全RNA画分からpoly(A)mRNA画分を
回収した。濃度既知のRNA溶液希釈系列とともにスポ
ットテストを行なって収量を測定したところ、約20μ
gであった。
【0040】実施例2 ダニアレルゲンcDNAの合成:次に、このpoly(A)mR
NAのうち5μgを鋳型とし、cDNA合成キット(Ph
armacia 社製) を用いてそのマニュアルに従ってcDN
Aを合成し、その両端にNot I 部位を含んだ13mer の
EcoRI リンカーを接続した。
【0041】実施例3 ダニアレルゲンcDNAライブラリーの作製:このcD
NAのうちの1/10量を、1μgのEcoRI 消化λgtll
(StratageneCloning System 社製)と混合し、これを
エタノールで濃縮した後200 unitsのT4 DNA lig
ase を加えて12℃で15時間反応させることにより、cD
NAをλgtllのEcoRI 部位に挿入した。この反応液か
ら、in vitroパッケージングキット (Gigapack PLUS, S
tratagene Cloning System社製) を用いてそのマニュア
ルにしたがって、cDNAライブラリーを作製した。こ
のライブラリー作製操作を7度行い、最終的に6.6μ
gのpoly(A)mRNAから合計136,000 pfu(plaqu
e forming unit) のcDNAライブラリーを得た。
【0042】実施例4 ダニアレルゲンcDNAのクローニング:実施例3で得
られたcDNAライブラリーの100000個の組換え
体について、ウサギ抗Der f II血清を用いてスクリーニ
ングを行った。本実施例で行った免疫スクリーニングの
詳しいプロトコールを以下に記載する。このcDNAの
挿入されたλgtllファージを懸濁したSM (1M Tris-HC
l, pH7.5, 0.1M NaCl10mM MgSO4, 2% gelatin)
液と一晩培養したE. coli Y1090 (Stratagene Cloning
System 社)とを37℃で30分間振盪培養することによ
り、宿主にファージを感染させ、これをLB寒天培地 (1
% Bacto tryptone, 0.5%Bacto yeast extract, 1.5
% Bacto agar (Difco社製), 0.5% NaCl ,pH7.
6)上に、1プレート当り約2,000 個のプラークを形成
するように撒いた。42℃で3時間培養後、予め10mMイソ
プロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG) を
浸漬させて乾燥したニトロセルロースメンブレン (Hibo
nd−C, Amersham 社製) で培地表面を覆い、さらに37℃
で3時間培養して誘導合成されるβ−ガラクトシダーゼ
融合蛋白を転写した。
【0043】このニトロセルロースメンブレンを2%BS
A を含むTBS (10 mM Tris−HCl, pH 8.0, 0.9% NaC
l) 溶液中で一晩ブロッキングした後、ウサギ抗Der f I
I血清(1000 倍TBS 希釈) 、さらにパーオキシダーゼ結
合ヤギ抗ウサギIgG 抗体 (Cappel社製, 4000倍TBS 希
釈) とそれぞれ1時間ずつ反応させ、発色は0.01%過酸
化水素の存在下、0.6 mg/mlのジアミノベンジジン
四塩酸塩 0.3% NiCl2を含むTBS 溶液中で行なった。黒
色を呈したシグナルの位置と合致するプラークをピック
アップしてSMに懸濁し、陽性クローンとして保存した。
【0044】その結果、一次スクリーニングで56個の
クローンが陽性を示した。また、二次スクリーニングの
結果、新規ダニアレルゲンをコードすると思われる本発
明の遺伝子(ma124クローン)を得た。
【0045】実施例5 λgtllファージDNAの調製:E.coli Y1090の一晩培養
物200μlおよびλgtllファージ溶解液(105 〜1
7 pfu)100μlを37℃で15分間インキュベート
した。5mlのLB培養液を加えて振盪しながら37℃
で6〜8時間インキュベートした後、4℃、12,00
0rpmにて10分間遠心分離を行なった。DNase
IとRNaseAを最終濃度が1μg/mlとなるよう
に加えて37℃で30分間インキュベートした。等量の
20%PEG 6000/2M NaClを加えて4℃
で一晩冷却した後、4℃、12,000rpmにて10
分間遠心分離を行なった。
【0046】350μlのTE(10mM トリス塩酸
バッファー(pH7.5)および1mM EDTA含
有)に溶解し、プロティナーゼK、SDSおよびEDT
Aを各々の最終濃度が50μg/ml、0.5%および
12.5mMとなるように加えて55℃で15分間イン
キュベートした後、フェノール/クロロホルム溶液にて
抽出し、エタノールで沈澱させた。次いでTEに溶解し
て、λgtllファージDNA溶液を調製した。
【0047】実施例6 組換えプラスミドの構築:抗Der f II血清と反応するダ
ニアレルゲン・β−ガラクトシダーゼ融合蛋白をコード
するcDNAの挿入されたλgtllファージ・クローンか
ら、そのDNAを回収した後Kpn I −Sac I 消化し、そ
の断片(約2.6kbp)をプラスミドベクターpUC
18(宝酒造社製)のKpn I −Sac I 部位に連結し、H
anahanの方法(DNAクローニング、vol.
1、pp.109−136、IRLPress(198
5))に従って、coliJM105に形質転換し
た(図1)。得られた組換えプラスミドをpTCと名付
けた。
【0048】実施例7 プラスミドDNAの調製:形質転換体の一夜培養物10
0〜500μlを7,000rpmにて5分間遠心分離
を行ない、100μlのSol.I(50mMのグルコ
ース、25mMのトリス−HCl〔pH8.0〕、10
mMのEDTA)に懸濁し、200μlのSol.II
(0.2N NaOH,1% SDS)を加え、氷上で
5分間冷却した。次に、150μlの氷冷したSol.
III(5MのCH3 COOK,pH4.8)を加えて氷上
に5分間静置し、12,000rpmにて4℃で10分
間遠心分離を行なった。その上層をフェノール/クロロ
ホルム溶液で抽出し、エタノールで沈澱させてプラスミ
ドDNA溶液を得た。
【0049】実施例8 高発現ベクターpTEX124 による発現:ダニアレルゲン遺
伝子の転写産物の免疫化学的分析を行うために、pTC
からNot I 部位で切り出しKlenowフラグメントで平滑末
端化後、高発現ベクターpGEX-2T のSma I 部位に転写方
向とフレームが合うように連結してpTEX124 を構築し、
E. coli JM105 の形質転換株を取得した(図1)。この
形質転換株を用いて、28℃での培養し、IPTGで誘
導発現後、SDS可溶化全菌体をサンプルとした。
【0050】実施例9 発現産物のSDS−PAGEおよびウエスタンブロット
による免疫染色:菌体ペレットをPB(pH7.4)蒸
留水に懸濁したものに、最終濃度62.5mMのトリス
−HCl(pH6.8)、2%のSDS、2%の2−メ
ルカプトエタノールを加えて、100℃にて3分間熱処
理した後、12.5%アクリルアミドゲルを用いたスラ
ブゲル電気泳動を行なった。ウエスタンブロットは、セ
ミブロッティング装置(ATTO)を用いてImmob
ilon−PTM(ミリポア社製)あるいはニトロセルロ
ースフィルター(アドバンテック社製)に転写し、以下
のプロトコールに従い免疫染色した。
【0051】ウエスタンブロット法のプロトコール:得
られた転写膜をTBSTを用いて10分間3回洗浄した
後、5%脱脂粉乳を含有するTBSTと共に室温で1時
間以上インキュベートした。これを、E.coliライセート
で前処理した希釈第一抗体と共にインキュベートした
後、TBSで10分間、3回洗浄してから希釈第二抗体
とともに1時間インキュベートし、次いでTBSで10
分間、3回洗浄した。次に、0.6mg/mlの3,
3’−diaminobenzidine tetrahydrochloride,0.3%のN
iCl2 および0.01%のH2 2 を含有するTBS中
で酵素反応を行ない、黒色のシグナルが得られたものを
回収した。
【0052】実施例10 抗Der f II血清による発現の確認:得られたma124
クローンについて、前記と同様にして発現させ、SDS-PA
GEにかけた後、抗ダニ虫体血清および抗Der f II血清を
用いたWestern blotによる免疫染色を行った結果、抗原
性を保持した融合タンパクであることが確認された(図
2)。
【0053】実施例11 ダニアレルゲン遺伝子(ma124クローン)の制限酵
素地図の作製:ma124クローンについて、そのcDNA
をpGEX-2T に挿入された状態でプラスミド DNAを調製し
(pTEX124)、種々の制限酵素で消化した。これをアガロ
ースゲル電気泳動にかけた結果を分析したところ、ma
124クローンの制限酵素地図は図3に示したものであ
ると考えられた。
【0054】実施例12 ダニアレルゲン遺伝子(ma124クローン)の全塩基
配列の決定:前記の実施例11において作製した制限酵
素地図をもとに、ジオキシターミネーション法により、
ma124クローンについて全塩基配列を決定し、アミ
ノ酸配列を推定したところ、配列番号:1に示される塩
基配列およびアミノ酸配列が得られた。
【0055】
【発明の効果】本発明により、ダニアレルギー疾患の治
療剤、診断薬としてアナフィラキシー誘発性の不純物を
含まない安全かつ有効な組換えダニアレルゲンを提供す
ることが可能となった。
【0056】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:384 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:コナヒョウヒダニ 組織の種類:虫体 配列 GAT GCT GCA CGT ACA ACA TCA CAA TCA CCA ACA GCA ATA ATC AAC GAT 48 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp 1 5 10 15 CCA GAT ATG GAT ATT AAG TCC ATT GAT TCA TTA GAA GAA AGT GAT CAG 96 Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln 20 25 30 CCA ACT TTA GGC GGT AGT GGT GCT GGT GGT GGA TCT AGT TCG GCC ACC 144 Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr 35 40 45 GGT TCC AAT GGA AGT GAT GAT TTT GAT GAT CAA TTG GTT AAA ATT GAT 192 Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp 50 55 60 AGT AGC GCT GCT GGA TCG TCT CTT TCA TCT TCA AAC AAC AAT AAT ACA 240 Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr 65 70 75 80 ACC ACC ACT CCA ATT AGA TCG TCG AAT GTG AAT GTT AAT AAC AAT AAT 288 Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn 85 90 95 AAT TTA AGT GAT GAA CAA TTA AGC TCA TTA GAG ATG ATT GAT GAT GAT 336 Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp 100 105 110 AAT AAT TTC ACT ACA TTC AAC AAT GAT AAA CAA CAA CAA CCC AAA CAG 384 Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln 115 120 125
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、組換えプラスミドpTEX124 の構築を示
した図である。
【図2】図2は、pTEX124 の大腸菌での発現産物(レー
ン2)、pGEX-2T の大腸菌での発現産物(レーン3)、
発現産物をグルタチオンカラムで精製したもの(レーン
4)およびグルタチオンカラムで精製したものをトロン
ビンで消化し再びグルタチオンカラムで精製したもの
(レーン5)をSDS-PAGEにかけた後、抗Der f II血清を
用いたWestern blotによるクマージー染色、金染色(A
のレーン1〜5およびBのレーン1)または免疫染色
(Bのレーン2〜5)を行なった結果を示す。図中、レ
ーン1は分子量マーカーを示す。
【図3】図3は、ダニアレルゲン遺伝子(ma124ク
ローン)の制限酵素地図を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 15/09 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12R 1:19 //(C12N 1/21 C12P 21/02 C12R 1:19) C12N 15/00 A (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 和田 武志 広島県佐伯郡大野町908番地334号 (56)参考文献 Agric. Biol. Che m.,1991年,Vol.55, No. 5,pp.1233−1238 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/435 A61K 39/35 C12N 15/09

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得
    られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:1)を含んで
    いる組換えダニアレルゲン。 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遺伝子がコナヒョウヒダ
    ニ虫体由来の遺伝子である請求項1記載の組換えダニア
    レルゲン。
  3. 【請求項3】 分子量が約15000(SDS-PAGE)である
    請求項1又は2記載の組換えダニアレルゲン。
  4. 【請求項4】 全塩基鎖長が約0.5 kbp(アガロース
    電気泳動法)であって、下記図: 【化1】 の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られる
    ものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組換え
    ダニアレルゲン。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組
    換えダニアレルゲンが、β−ガラクトシダーゼ、グルタ
    チオン−S−トランスフェラーゼ、プロテインA及びマ
    ルトース結合蛋白質からなる群より選ばれた蛋白質と融
    合していることを特徴とする融合組換えダニアレルゲ
    ン。
  6. 【請求項6】 該他の蛋白質がグルタチオンS−トラン
    スフェラーゼである請求項5記載の融合組換えダニアレ
    ルゲン。
  7. 【請求項7】 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番
    号:1)を含みかつアレルゲン活性を有する蛋白質をコ
    ードしているダニ虫体由来の遺伝子。 Asp Ala Ala Arg Thr Thr Ser Gln Ser Pro Thr Ala Ile Ile Asn Asp Pro Asp Met Asp Ile Lys Ser Ile Asp Ser Leu Glu Glu Ser Asp Gln Pro Thr Leu Gly Gly Ser Gly Ala Gly Gly Gly Ser Ser Ser Ala Thr Gly Ser Asn Gly Ser Asp Asp Phe Asp Asp Gln Leu Val Lys Ile Asp Ser Ser Ala Ala Gly Ser Ser Leu Ser Ser Ser Asn Asn Asn Asn Thr Thr Thr Thr Pro Ile Arg Ser Ser Asn Val Asn Val Asn Asn Asn Asn Asn Leu Ser Asp Glu Gln Leu Ser Ser Leu Glu Met Ile Asp Asp Asp Asn Asn Phe Thr Thr Phe Asn Asn Asp Lys Gln Gln Gln Pro Lys Gln
  8. 【請求項8】 以下のDNA配列(配列番号:1)を含
    むものである請求項7記載のダニ虫体由来の遺伝子。 GAT GCT GCA CGT ACA ACA TCA CAA TCA CCA ACA GCA ATA ATC AAC GAT CCA GAT ATG GAT ATT AAG TCC ATT GAT TCA TTA GAA GAA AGT GAT CAG CCA ACT TTA GGC GGT AGT GGT GCT GGT GGT GGA TCT AGT TCG GCC ACC GGT TCC AAT GGA AGT GAT GAT TTT GAT GAT CAA TTG GTT AAA ATT GAT AGT AGC GCT GCT GGA TCG TCT CTT TCA TCT TCA AAC AAC AAT AAT ACA ACC ACC ACT CCA ATT AGA TCG TCG AAT GTG AAT GTT AAT AAC AAT AAT AAT TTA AGT GAT GAA CAA TTA AGC TCA TTA GAG ATG ATT GAT GAT GAT AAT AAT TTC ACT ACA TTC AAC AAT GAT AAA CAA CAA CAA CCC AAA CAG
  9. 【請求項9】 形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物
    細胞中において、請求項7又は8記載の遺伝子を発現さ
    せ得る発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の発現ベクターで形質転
    換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の細菌、酵母又は哺乳
    動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、組
    換えダニアレルゲンを産生させ、次いで該組換えダニア
    レルゲンを回収することを特徴とする組換えダニアレル
    ゲンの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の細菌、酵母又は哺乳
    動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、融
    合組換えダニアレルゲンを産生させ、該融合組換えダニ
    アレルゲンを回収し、次いで、融合している他の蛋白質
    を脱離せしめることを特徴とする組換えダニアレルゲン
    の製造方法
  13. 【請求項13】求項1〜4のいずれか1項に記載の
    組換えダニアレルゲンを有効成分とするダニアレルギー
    疾患診断薬。
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