JP3588615B2 - 組換えダニアレルゲン - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アレルゲン活性を有する組換えダニアレルゲンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋内塵性ダニは、アトピー性気管支喘息等のアレルギー疾患の主要な原因として重要である。
従来、アレルギー疾患の治療剤としては、アレルギーの原因物質である減感作療法が、最も重要な根本治療とされ、特に花粉症を始め屋内塵、真菌アレルギー等の吸入性アレルゲンである回避困難な抗原で引き起こされる疾患においては、その評価は今や確立されたものといえる。
しかしながら、この減感作療法では感作抗原によるアナフィラキシーの危険が伴う為、安全な治療用抗原の投与が必要とされ、そのような感作抗原の研究が進められている。
【0003】
ダニアレルギー疾患については、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)及びコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)の2種のダニが、屋内塵中のアレルゲン源として重要であると報告されている〔Allerg. Asthma, 10, 329 〜334 (1964); J. Allergy, 42, 14〜 28 (1968)] 。これらのダニから、主要ダニアレルゲンが分画され、それらはダニ排泄物及び/又はダニ虫体中に含有されている分子量24−28kD の糖蛋白(pI 4.6〜7.2)、及び/又は分子量14.5−20kD の蛋白(pI 5〜7.2)であると報告されている〔J. Immunol.,125, 587〜592 (1980); J. Allergy Clin. Immunol.,76, 753 〜761 (1985); Immunol., 46, 679 〜687 (1982); Int. Arch. Allergy Appl. Immunol., 81, 214〜223 (1986); J. Allergy Clin. Immunol.,75, 686 〜692 (1985)等〕。
しかし、減感作治療用抗原として有効かつ安全なものは、未だ得られていないのが実情である。
【0004】
ダニアレルゲンの遺伝子クローニングとしては、ヤケヒョウヒダニの主要アレルゲンであるDer p I (分子量:25,371) 及びDer p II (分子量:14,131) について、また、コナヒョウヒダニの主要アレルゲンであるDer f I ( 分子量:25,191) 及びDer f II(分子量:14,021)についても、それぞれの遺伝子がクローニングされ塩基配列も決定されており〔Int. Arch. Allergy Appl. Immunol., 85, 127〜129 (1988); J. Exp. Med., 167, 175 〜182 (1988); J. Exp. Med., 17 0, 1457 〜1462 (1989); Int. Arch. Allergy Appl. Immunol., 91, 118 〜123 (1990); Int. Arch. Allergy Appl. Immunol., 91, 124〜129 (1990); Jpn. J. Allergol., 39, 557〜561 (1990); Clinical and Experimental Allergy, 21, 25 〜32 (1991); Clinical and Experimental Allergy, 21, 33 〜37 (1991) 〕、遺伝子組換え技術によるダニアレルゲンの研究が試みられている。
しかしながら、未だ感作抗原として使用し得るものは得られていない。
【0005】
一方、ダニアレルギー疾患の診断方法としては、従来、問診を主体とし、屋内塵(ハウスダスト)抽出物及び/又はダニ虫体抽出物を用いる皮内反応試験が殆どであり、まれに、RAST(radio allergosorbent test)法による血清中のIgE 抗体価(相対値)の測定、吸入誘発試験、鼻粘膜誘発試験を併用する程度であり、ダニアレルギー疾患を直接的に診断するのはかなり困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、屋内塵性ダニを特異抗原とする気管支喘息の減感作治療法には、屋内塵(ハウスダスト)抽出液が用いられてきているが、化学的にはその組成が極めて不明確であり、しかも多種類の不純物を含み、アナフィラキシー誘発の可能性があるために投与量が極度に制限され、治療効果が極めて低いのが現状である。
したがって、有効性及び安全性の観点から、有用な減感作治療用抗原の出現が望まれると同時にそのような高品質減感作治療用抗原の安定供給が期待されている。
しかしながら、このような安全で確実に奏効するに充分量のダニアレルゲンを安定供給するには、ダニ飼育物からのダニアレルゲンの抽出、精製による方法では、量産性がなく量的に限界があるので安定供給は困難である。
【0007】
本発明の目的は、まさにこの点にあり、ダニアレルギー疾患の治療剤、診断薬としてアナフィラキシー誘発性の不純物を含まない安全かつ有効な組換えダニアレルゲンを提供することにある。
即ち、本発明の第1の目的は、ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られるアレルゲン活性を有する組換えダニアレルゲンを提供することにある。
本発明の第2の目的は、該ダニアレルゲンをコードする遺伝子を提供することにある。
本発明の第3の目的は、アレルゲン活性を有する活性断片としてのダニアレルゲン断片を提供することにある。
本発明の第4の目的は、ダニアレルゲンに含まれるエピトープを有するペプチド、又は該エピトープと免疫学的に同一であるとみなされ得るエピトープを有するペプチドを提供することにある。
本発明の第5の目的は、前記のエピトープを有するペプチドをコードする遺伝子を提供することにある。
本発明の第6の目的は、本発明の遺伝子を発現させ得る発現ベクターを提供することにある。
本発明の第7の目的は、該遺伝子を発現させ得る発現ベクターで形質転換された形質転換体を提供することにある。
本発明の第8の目的は、該組換えダニアレルゲンの製造方法を提供することにある。
本発明の第9の目的は、本発明の組換えダニアレルゲンを有効成分とする新規なダニアレルギー疾患治療剤を提供することにある。
本発明の第10の目的は、本発明の組換えダニアレルゲンを有効成分とする新規なダニアレルギー疾患診断薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ダニ虫体から強いアレルゲン活性を有するダニアレルゲン及びそれをコードする遺伝子を見出し、更に研究を重ねて本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、
(1)ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、配列番号:1〜配列番号:9記載のアミノ酸配列のいずれかを含んでいる組換えダニアレルゲン、
(2)前記(1)記載のアミノ酸配列を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子、
(3) 配列番号:1において示される塩基配列において、少なくとも上流より約190 bp 〜約240 bp 、約290 bp 〜約380 bp または約190 bp 〜約380 bp の領域内にコードされているアミノ酸配列を含有してなるダニアレルゲン断片、
(4) ダニアレルゲンに含まれるエピトープを有するペプチド、又は該エピトープと免疫学的に同一であるとみなされ得るエピトープを有するペプチド、
(5)前記(4)記載のペプチドをコードしている遺伝子、
(6)前記(2)記載の遺伝子を発現させ得る発現ベクター、
(7)前記(6)記載の発現ベクターで形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞、
(8)前記(7)記載の細菌、酵母又は哺乳動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、組換えダニアレルゲンを産生させ、次いで該組換えダニアレルゲンを回収することを特徴とする組換えダニアレルゲンの製造方法、
(9)前記(1)記載の組換えダニアレルゲンを有効成分とするダニアレルギー疾患治療剤、並びに
(10) 前記(1)記載の組換えダニアレルゲンを有効成分とするダニアレルギー疾患診断薬、
に関する。
【0010】
本発明の組換えダニアレルゲンは、ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られるものであり、ここで用いられるダニは特に限定されるものではないが、屋内塵性ダニであるコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニ等が用いられる。
【0011】
本発明の組換えダニアレルゲンは、アミノ酸配列として以下のma10,ma3,ma15,ma29,ma44,ma50,ma113,ma114,ma115と名付けた9種の各配列(配列番号:1〜配列番号:9)のいずれかを含んでいる蛋白質であって、アレルゲン活性を有するものである。
【0012】
また、本発明の組換えダニアレルゲンは、各アミノ酸配列のうち1個又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加又は転位によって種々変異されたものであっても、アレルゲン活性を有するものは本発明の組換えダニアレルゲンに含まれる。このような変異体は、天然のアレル変異体又は組換えDNA技術により、例えばDNAの特定の部位に突然変異を誘発することにより得られる。
【0013】
本発明の組換えダニアレルゲンには、他の蛋白質との融合蛋白として発現されたものも含まれる。本明細書では、他の蛋白質と融合して発現した組換えダニアレルゲンを特に融合組換えダニアレルゲンという場合がある。融合する他の蛋白質としては特に限定されないが、例えば、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、プロテインA等が挙げられる。
【0014】
本発明の組換えダニアレルゲンは、アレルゲン活性に必須な領域のみの蛋白質断片であってもよく、また、アレルゲン活性に必須なドメインからなるものであってもよい。例えば、本明細書においては、アレルゲン活性を有する活性断片を、ダニアレルゲン断片というが、具体的には配列番号:1において示される塩基配列において、少なくとも上流より約190 bp 〜約240 bp 、約290 bp 〜約380 bp または約190 bp 〜約380 bp の領域内にコードされているアミノ酸配列を含有してなる断片が挙げられる。
【0015】
また、ダニアレルゲン蛋白質のみを発現させて得られたものの他に、融合蛋白質として発現したものから他の蛋白質を脱離せしめて得られたものでもよい。
【0016】
要約すれば、本発明の組換えダニアレルゲンは、ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる前記のアミノ酸配列を実質的に含んでいる、アレルゲン活性を有する蛋白質である。
【0017】
本発明の組換えダニアレルゲンとして、大腸菌で発現されたβ−ガラクトシダーゼとの融合組換えダニアレルゲンが以下のように例示される。即ち、大腸菌で発現された融合組換えダニアレルゲンは、Ultrogel AcA 44 (IBF社製)を用いたゲル濾過クロマトグラフィー、抗β−ガラクトシダーゼ抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー、抗ダニ虫体抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー、抗Derf I抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー及び抗DerfII抗体固定化アフィニティクロマトグラフィーで精製され、組換えダニアレルゲンとして下記のような性質を持つ。
(1)組換えダニアレルゲンma10
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約19,000である。
SDS−PAGEで{(融合蛋白質の分子量)−(β−ガラクトシダーゼの分子量)}
で見積もる。又、以下の組換えダニアレルゲンにおいても同様に見積もる。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:1)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
ダニアレルギー患者プール血清中の特異IgG 、ウサギ抗ダニ虫体血清、ウサギ抗β−ガラクトシダーゼとのELISA 反応性及び発現蛋白のSDS−PAGE後、ニトロセルロース膜にブロットし上記抗血清との反応性により判断する。また、以下の組換えダニアレルゲンにおいても同様にして判断する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
HPLC(High performance liquid chromatography)を用いたダニアレルギー患者白血球ヒスタミン遊離試験により判断する。また、以下の組換えダニアレルゲンにおいても同様にして判断する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
常法により、融合蛋白質またはダニアレルゲン蛋白質でモルモットを免疫し、追加免疫時にアナフィラキシー反応について観察する。また、以下の組換えダニアレルゲンにおいても同様にして観察する。
【0018】
(2)組換えダニアレルゲンma3
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約34,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:2)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0019】
(3)組換えダニアレルゲンma15
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約22,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:3)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0020】
(4)組換えダニアレルゲンma29
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約17,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:4)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0021】
(5)組換えダニアレルゲンma44
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約33,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:5)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0022】
(6)組換えダニアレルゲンma50
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約28,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:6)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0023】
(7)組換えダニアレルゲンma113
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約38,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:7)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0024】
(8)組換えダニアレルゲンma114
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約18,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:8)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0025】
(9)組換えダニアレルゲンma115
▲1▼ 色及び性状:白色
▲2▼ 水溶性 :易溶性
▲3▼ 分子量 :約32,000である。
▲4▼ アミノ酸配列(配列番号:9)として次のものを含む。
Figure 0003588615
▲5▼ 抗原性を有する。
▲6▼ アレルゲン活性を有する。
▲7▼ アナフィラキシー反応を誘導しない。
【0026】
本発明のダニ虫体由来の遺伝子は、生ダニ虫体からmRNAを調製し、そのmRNAを鋳型として常法によりcDNAを合成することにより得られるが、分子中に前記のアミノ酸配列を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているものであり、該アミノ酸配列をコードしているDNAとしては、具体的には以下のような配列(配列番号:1〜9)が例示される。
【0027】
例えば、ma10(配列番号:1)として、
Figure 0003588615
【0028】
Figure 0003588615
【0029】
Figure 0003588615
【0030】
Figure 0003588615
【0031】
Figure 0003588615
【0032】
Figure 0003588615
【0033】
Figure 0003588615
【0034】
Figure 0003588615
【0035】
Figure 0003588615
の配列、を有するものである。
これらのDNA配列は、主要ダニアレルゲンとして知られる前記のDer p I 、Der p II、Der f I 及びDer f IIについて報告されているものと比較してma115以外は相同性のないものである。
【0036】
本発明のダニ虫体由来の遺伝子は、ma10としては、cDNAの全塩基鎖長が約0.50 kbp(アガロース電気泳動法) であるが、実際の発現では、その前の停止コドンで終了するので、翻訳される塩基鎖長は、停止コドンを除いて558bpである。ma3としてはcDNAの全塩基鎖長が約1.05 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図4に示す制限酵素地図を有するものである。ma15としてはcDNAの全塩基鎖長が約1.66 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図5に示す制限酵素地図を有するものである。ma29としてはcDNAの全塩基鎖長が約0.75 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図6に示す制限酵素地図を有するものである。ma44としてはcDNAの全塩基鎖長が約0.99 kbp(アガロース電気泳動法) を有するものである。ma50としてはcDNAの全塩基鎖長が約0.90 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図7に示す制限酵素地図を有するものである。ma113としてはcDNAの全塩基鎖長が約1.26 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図8に示す制限酵素地図を有するものである。ma114としてはcDNAの全塩基鎖長が約0.62 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図9に示す制限酵素地図を有するものである。ma115としてはcDNAの全塩基鎖長が約1.04 kbp(アガロース電気泳動法) であり、図10に示す制限酵素地図を有するものである。
【0037】
本発明の発現ベクターは、形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞中において、前記の本発明の遺伝子を発現させ得るように結合している発現ベクターである。発現ベクターの構築に用いられるベクターDNAは、特に制限されず、広く普及した入手の容易なものが用いられる。例えば、pUC18、pTV118 N (宝酒造社製)、pUEX2(Amersham社製)、pKK233−2(Pharmacia 社製)、pMAM−neo(Clontech社製)等が挙げられる。
【0038】
本発明の発現ベクターの構築方法は、特に限定されるものではなく常法により行なうことができる。例えば、図1に示されるようにλgt11ファージに組み込まれたダニアレルゲンのcDNAを、Not I 消化し、ファージミドpBluescript II SK(+)のNot I 部位に連結して得られた pAKをNot I 消化した後、Klenow断片で平滑化し、プラスミドベクターpUEX2(Amersham社製)のSma I 部位に連結して発現ベクター pAEXを得ることができる。
【0039】
本発明の発現ベクターで形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞は、本発明の遺伝子を発現し得るものであれば特に制限されないが、例えば、細菌としては大腸菌、枯草菌等が、酵母としてはサッカロマイセス・シェレビィシェー等が、哺乳動物細胞としては、チャイニーズ・ハムスター・卵巣(CHO)細胞、サルCOS細胞、マウス・フィブロブラスト等が挙げられる。
【0040】
本発明の組換えダニアレルゲンの製造方法は、本発明の遺伝子を発現させ得る発現ベクターで形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、組換えダニアレルゲンを産生させ、次いで該組換えダニアレルゲンを回収することによる。
ダニ虫体から本発明の組換えダニアレルゲンをコードしているcDNAを取得するには、後述の実施例において詳述するように、全RNA画分からpoly(A)mRNA画分を回収し、市販のcDNA合成キット等を用いてcDNAを合成することができる。
また、ダニアレルゲンのcDNAが挿入された融合蛋白発現プラスミドを含有する大腸菌形質転換株を用いての組換えダニアレルゲンの製造方法として、次のような方法が例示される。
【0041】
まず、ダニアレルゲンのcDNAが挿入されたβ−ガラクトシダーゼとの融合蛋白発現プラスミドを含有する大腸菌形質転換株を常法により振盪培養し対数増殖させ、この対数増殖期を維持させながら温度シフトで、又はβ−ガラクトシダーゼ・インデューサー添加で融合蛋白質を誘導合成させる。宿主細胞として用いられる大腸菌としては、例えばE. coli JM105 (ファルマシア社製)が用いられ、発現ベクターで形質転換された株をそれぞれ、ma10クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−10(FERMP − 13496号)、ma3クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−3 (FERMP − 13812号)、ma15クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−15(FERMP − 13813号)、ma29クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−29(FERMP − 13814号)、ma44クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−44(FERMP − 13815号)、ma50クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−50(FERMP − 13817号)、ma113クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−113(FERMP − 13818号)、ma114クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−114(FERMP − 13819号)、ma115クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−115(FERMP − 13820号)と命名する。
【0042】
培養終了後、集菌した菌体は、セリン・システイン・アスパラギン酸・金属プロテアーゼインヒビターを含む緩衝液に懸濁して超音波処理で破壊される。細胞デブリスにある膜局在性の蛋白をフェニルメタンスルフォニル・フルオリド、モノヨード酢酸、ペプスタチンA、エチレンジアミン四酢酸等の蛋白分解酵素阻害剤及びラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、トリトンX−100 、ノニデットP40等の界面活性剤を含む緩衝液で抽出する。その抽出液から、又は培養濃縮液から得られたダニアレルゲン・β−ガラクトシダーゼ融合蛋白質を、例えばUltrogel AcA 44 (IBF社製)を用いたゲル濾過クロマトグラフィー、抗β−ガラクトシダーゼ抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー、抗ダニ虫体抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー、抗Derf I抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー及び抗DerfII抗体固定化アフィニティクロマトグラフィー等で精製する。なお、抗β−ガラクトシダーゼ抗体固定化担体は、抗β−ガラクトシダーゼ抗体(5Prime →3Prime 社製)を、活性化されたトレシル担体(例えば、トレシルGMゲル(栗田工業社製)、トレシルトヨパール(東ソー社製)、トレシルセファロース(Pharmacia 社製)等が用いられる)に共有結合させたものである。また、抗ダニ虫体抗体固定化担体は、上述の活性化担体にウサギ抗ダニ虫体抗体を共有結合させたものである。
【0043】
精製された組換えダニアレルゲン融合蛋白質は、プロテアーゼで消化し、ELISA 及びダニアレルギー疾患患者白血球ヒスタミン遊離試験(アレルギー, 37, 725(1988) )でモニター下に、例えばゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、クロマトフォカシング、焦点電気泳動法、ゲル電気泳動法等の公知の精製法を単独又は組み合わせて分画し、活性画分から抗β−ガラクトシダーゼ抗体固定化アフィニティカラムを通してβ−ガラクトシダーゼに由来する蛋白成分を吸収除去する。更に、抗ダニ虫体抗体固定化アフィニティカラム、抗Derf I抗体固定化アフィニティクロマトカラム及び抗DerfII抗体固定化アフィニティクロマトカラムで組換えダニアレルゲンの断片の精製を行なう。
【0044】
また、前記方法で精製されたものの蛋白質分解酵素、例えば、プロナーゼ、スブチリシン、サーモリシン、トリプシン等による消化物や臭化シアン、2−ニトロ−5−チオシアノ安息香酸、ヒドロキシルアミン等の化学処理による分解物からのダニアレルゲンの断片の精製も前記の方法を単独または組み合わせて行なうことができる。
【0045】
また、本発明の組換えダニアレルゲンの製造方法は、ダニアレルゲン蛋白質の直接発現に加えて、ダニアレルゲンが他の蛋白質と介在配列を介して融合した融合組換えダニアレルゲンとして発現したものを回収し、次いで融合している他の蛋白質を脱離せしめることにより組換えダニアレルゲンを製造する方法も包含している。融合させる他の蛋白質としては、例えばβ−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、プロテインA等、一般的に融合蛋白とすることが知られているものが用いられる。
【0046】
他の蛋白質を脱離せしめる方法も公知の方法が用いられ、例えば他の蛋白質がβ−ガラクトシダーゼで、ダニアレルゲン蛋白質との間にコラーゲンやフィブリノーゲン蛋白質の一部が介在している場合、コラゲナーゼやトロンビンを用い、前記の方法の単独又は組み合わせによりダニアレルゲン蛋白質が精製される。
【0047】
また、本発明のダニアレルゲン断片は、該断片のアミノ酸配列をコードしているDNAを常法により調製して、発現ベクターを構築し、適当な宿主にて発現させることにより容易に組換えダニアレルゲンとして得ることができる。
更に、該ダニアレルゲン断片を、常法の固相合成法により合成して合成ダニアレルゲンとして、単独にまたは、適当な担体、例えばヒト血清アルブミン、皮内投与で安全性が確認されているホヤ抗原等に結合させて用いることも出来る。
【0048】
また、本発明のダニ虫体由来のダニアレルゲンに含まれるエピトープを有するペプチド又は該エピトープと免疫学的に同一であるとみなされ得るエピトープを有するペプチドとは、ma10については以下のアミノ酸配列(配列番号:10)、
Figure 0003588615
又は、以下のアミノ酸配列(配列番号:11)を含有するペプチドが挙げられる。
Figure 0003588615
【0049】
また、これらのペプチドをコードしている遺伝子としては、以下のDNA配列(配列番号:10)を含有するもの、
Figure 0003588615
又は、以下のDNA配列(配列番号:11)を含有するものが挙げられる。
Figure 0003588615
【0050】
本発明のダニ虫体由来のダニアレルゲンに含まれるエピトープを有するペプチド又は該エピトープと免疫学的に同一であるとみなされ得るエピトープを有するペプチドは、前記のようなものが挙げられ、ダニアレルギー疾患治療剤あるいはダニアレルギー疾患診断薬における有効成分として用いる場合、いずれも用いることができる。
【0051】
本発明のダニアレルギー疾患治療剤は前記の精製された組換えダニアレルゲン、ダニアレルゲン断片あるいはエピトープを有するペプチドを有効成分とするものであり、各種のダニアレルギー疾患の治療剤として用いられる。ここでダニアレルギー疾患とは、アトピー性気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎等、ダニの特異抗原が原因となるあらゆるアレルギー疾患をいう。
【0052】
本発明のダニアレルギー疾患治療剤の調製方法は、特に制限はないが、例えば、前記の方法により精製された組換えダニアレルゲン、前記の方法に準じて精製されたダニアレルゲン断片あるいはエピトープを有するペプチドを乾燥して粉末状で採取し、ダニアレルギー疾患に対する減感作治療剤として用いられる。本発明のダニアレルギー疾患治療剤は、減感作治療剤として用いられる場合、そのままで、または必要に応じて一般的に用いられるアジュバントや各種の添加剤、例えば安定剤、賦形剤、溶解補助剤、乳濁化剤、緩衝剤、無痛化剤、保存剤、着色剤等を常法により添加した配合剤として用いることができる。例えば、粉末状の精製された組換えダニアレルゲンをフェノールを添加した生理食塩水に溶解し、減感作治療用抗原の原液として用いる。
【0053】
本発明のダニアレルギー疾患治療剤は、通常の投与経路例えば経皮、経口、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内等の投与方法により行なうことができる。更に、例えば、トローチ、舌下錠、点眼剤、鼻腔内噴霧剤、パップ剤、クリーム剤、ローション剤等の経皮、経粘膜薬としても使用することができる。本発明のダニアレルギー疾患治療剤の投与量及び投与回数は、投与経路、症状などに応じて成人1回あたり約20μg以下の範囲となるように適宜選択し、毎週1回程度投与される。また、本発明のダニアレルギー疾患治療剤は、ダニアレルギー疾患に対する治療剤のみならず予防剤としても有用である。また、アナフィラキシー誘発作用もなく、人体に対して安全に用いることができる。
【0054】
本発明のダニアレルギー疾患診断薬は、ダニアレルギー疾患に対する皮内反応診断試薬及びダニアレルギー診断用滴定試薬として用いられる。
皮内反応診断試薬として用いる場合は、前記の方法により精製された組換えダニアレルゲン、前記の方法に準じて精製されたダニアレルゲン断片あるいはエピトープを有するペプチドを常法により調製して得るが、例えば組換えダニアレルゲンを乾燥して粉末状とし、これをフェノールを含む生理食塩水で溶解・希釈して用いる。皮内反応診断試薬として用いる方法は、常法に従って用いられる。
【0055】
また、ダニアレルギー診断用滴定試薬として用いる場合も同様に常法により調製されるが、例えば、組換えダニアレルゲンをハンクス緩衝液で適当に溶解し、希釈してヒスタミン遊離滴定用試薬として用いる。この方法は通常、次の操作手順によりなされる。即ち、ダニアレルギー疾患患者の血液及びこの血液から遠心分離により得られた血球画分を緩衝液に懸濁した血球浮遊液の一定量を、組換えダニアレルゲンを滴定試薬として用いて滴定し、アレルゲン刺激により好塩基球(白血球の一種)から遊離するヒスタミン量をHPLCを用いて測定する〔アレルギー,37, 725(1988) 〕。
【0056】
このヒスタミン遊離滴定では、最大遊離量の50%量(滴定曲線の変曲点)から遊離されるヒスタミン量を求める。この滴定では、(1)血球浮遊液の滴定値から患者のアレルゲン感受性を直接測定することになる。(2)血漿と組換えダニアレルゲンとを予め反応させた後、その液で血球浮遊液を滴定して得られる値(血液滴定曲線値)は、通常、組換えダニアレルゲンで血球浮遊液を滴定して得られる値(血球浮遊液滴定曲線値)より高い値が得られる。これは、血漿中にアレルゲン中和能を持つIgG 抗体(遮断抗体)が存在するためである。
従って、対血液滴定曲線の、対血球浮遊液滴定曲線からのシフトの大きさから、遮断抗体価が得られる。アレルゲン感受性とこの遮断抗体価から、ダニアレルギーの正確な診断が可能となる。また、このヒスタミン遊離滴定試験は減感作治療効果のモニターとしても有用である。
【0057】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、各実施例において使用した試薬はナカライテクス、片山工業、和光純薬などから購入した市販のものを使用した。また、制限酵素などの遺伝子工学用試薬は宝酒造などから購入したものを使用した。また、実施例においてウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清は、未精製のダニ虫体粗抗原をウサギに免疫し、抗体価の上昇を確認した後、全採血して得たものを使用した。ウサギ抗Derf I血清及びウサギ抗DerfII血清は、国立相模原病院の安枝博士より入手した。
【0058】
実施例1
ダニ全RNAの抽出とダニアレルゲンPoly(A)mRNAの分離:
常法によりコナヒョウヒダニを培養増殖させて得られる生ダニ虫体6g を200 mlの5.5 Mイソチアン酸グアニジン (片山化学社製) 液中で石英砂10gとともに乳鉢中ですりつぶし遠心分離(9000rpm、 10分間、4℃)し、その上清を、18Gの注射針をつけた50ml容のシリンジで吸入、射出を繰り返すことにより、DNAを部分切断した。再度遠心分離した上清を、17mlのトリフルオロ酢酸セシウム溶液 (片山化学社製) に対して16mlの割合で重層し、85,000×gで24時間 (15℃, HITACHI SCP55H swing PRS−27−2)密度勾配遠心分離を行い、管底にペレットを形成する全RNA画分を回収した。
次に、Fast Track mRNA isolation kit(Invitrogen社製)を用いて、得られた全RNA画分からpoly(A)mRNA画分を回収した。濃度既知のRNA溶液希釈系列とともにスポットテストを行なって収量を測定したところ、約20μgであった。
【0059】
実施例2
ダニアレルゲンcDNAの合成:
次に、このpoly(A)mRNAのうち5μgを鋳型とし、cDNA合成キット(Pharmacia 社製) を用いてそのマニュアルに従ってcDNAを合成し、その両端にNot I 部位を含んだ13mer のEcoRI リンカーを接続した。
【0060】
実施例3
ダニアレルゲンcDNAライブラリーの作製:
このcDNAのうちの1/10量を、1μgのEcoRI 消化λgtll (Stratagene Cloning System 社製)と混合し、これをエタノールで濃縮した後200 unitsのT4 DNA ligase を加えて12℃で15時間反応させることにより、cDNAをλgtllのEcoRI 部位に挿入した。この反応液から、in vitroパッケージングキット (Gigapack PLUS, Stratagene Cloning System社製) を用いてそのマニュアルにしたがって、cDNAライブラリーを作製した。このライブラリー作製操作を7度行い、最終的に6.6μgのpoly(A)mRNAから合計136,000 pfu(plaque forming unit) のcDNAライブラリーを得た。
【0061】
実施例4
ダニアレルゲンcDNAライブラリーの免疫スクリーニング:
実施例3より得られたcDNAライブラリーの136,000個の組換え体について、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清を用いて免疫スクリーニングを行なった。本実施例で行なった免疫スクリーニングの詳しいプロトコールを以下に記載する。ファージおよび宿主(E.coli Y1090,Stratagene Cloning System 社製) を、37℃で30分間インキュベートし、溶けた状態のLB−soft agarと共にLbプレート上に重層し、42℃で3〜4時間インキュベートを行なった。その後、10mMのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシドを含有させたニトロセルロースフィルターで上部を覆い37℃で3時間インキュベートしてレプリカ(複製)フィルターを得た。
【0062】
前記フィルターを、10mMトリス緩衝食塩水(pH7.6)に0.05%Tween 20を加えた溶液(TBST)を用いて10分間の洗浄を3回繰り返した後、2%の脱脂粉乳を含有したTBSと共に、室温にて1時間以上インキュベートを行なった。この後、TBSを用いて10分間の洗浄を3回繰り返した後、500倍に希釈したウサギ抗血清(E.coliライゼートで前処理を行なったもの)を含むTBSTと共に、室温にて1時間インキュベートを行なった。さらに、TBSを用いた10分間の洗浄を3回繰り返した後、2000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgGを用い、室温にて1時間以上インキュベートを行なった。次に、0.6mg/mlの3,3’−diaminobenzidine tetrahydrochloride, 0.3%のNiClおよび0.01%のHを含有するTBSとの酵素反応を行ない、黒灰色〜黒色のシグナルが得られたものを陽性のクローンとして回収した。その結果、1次スクリーニングで269個のクローンが陽性を示した。
【0063】
実施例5
クロスハイブリダイゼーションによるダニアレルゲンcDNAの分類:
実施例4の免疫スクリーニングによって取得したウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清陽性クローンに組み込まれているcDNAには同じ配列をコードしているものがあるのではないかと考え、クロスハイブリダイゼーションによってダニアレルゲンcDNAの分類を行なった。
【0064】
まず、前記実施例4で得られた陽性クローンのうち、最初に取得した20個の陽性クローンに組み込まれたcDNAを、λgtllファージからNot I 消化で切り出し、これらのcDNAの各々をプローブとしてナイロン膜上のcDNAに対してハイブリダイズさせて大まかにグループに分けた。
【0065】
次に、既にグループ分けが行なわれた前記の20個の陽性クローンとは別の46個の陽性クローンについてλgtllファージからNot I 部位でcDNAを切り出してpBluescript II SK(+) DNAのNot I 部位にサブクローニングした後、Not I 部位で切り出したcDNAをナイロン膜上にスポットして、先に得られた各グループ分けが行なわれたcDNAのうち、グループ内で塩基鎖長が最大のものをプローブとしてナイロン膜上のcDNAに対してハイブリダイズさせた。ここでpBluescript II SK(+) DNAをNot I 部位にサブクローニングした後、Not I 部位で消化し、アガロースゲル電気泳動を行ないcDNAを含む断片をGENE CLEAN KIT(東洋紡社製)を用いて抽出精製しプローブ用DNAとした。
【0066】
また、残りの134個のクローンについては、λgtllファージにcDNAが挿入されたままの状態で、液体培地でE.coli Y1090に感染させることによりファージを増殖させたライセートをナイロン膜にスポットし、以下の方法によりDNALabeling and Detection Kit(ベーリンガーマンハイム社製)プローブとハイブリダイズさせた。
【0067】
ハイブリダイゼーションのプロトコール:
変性させたcDNAフラグメントまたはλgtllファージライゼートをナイロン膜上にスポットした。変性溶液(0.5N NaOH,1.5M NaCl)を5分間浸透させ、さらに中性溶液(1M トリス−HCl〔pH8.0〕,1.5M NaCl)を5分間浸透させたのち、通風乾燥を1時間以上行なった。UV Transilluminator でDNAを3分間固定化した。
DNA固定化膜をハイブリダイゼーションバッファーでプレハイブリダイズした(60℃、1時間)。ラベル化プローブDNAを含むハイブリダイゼーションバッファーでハイブリダイズした(60℃、6時間以上)。これを2×SSC/0.1%SDSで2回洗浄し(室温、5分間)、さらに0.1×SSC/0.1%SDSで2回洗浄して(68℃、15分間)、ハイブリダイズされた膜を得た。
【0068】
得られた膜をバッファーAで1分間平衡化し、0.5%のブロッキングリージェントを含有するバッファーAで30分間インキュベートした。バッファーAで5分間洗浄し、バッファーAのアルカリフォスフォターゼとコンジュゲートした抗ヒツジdigoxigenin Fab フラグメントとインキュベートした。これをバッファーAで15分間2回洗浄し、バッファーBで1分間平衡化してnitroblue tetrazolium salt, 5−bromo−4−chloro−3−indolyl phosphate, toluidinium saltを含有するバッファーBで免疫反応を行ない、TE(pH8.0)で反応を停止した。このようにして行なったクロスハイブリダイゼーションの結果、新規ダニアレルゲンをコードすると思われる本発明の遺伝子(ma10クローン、ma3クローン、ma15クローン、ma29クローン、ma44クローン、ma50クローン、ma113クローン、ma114クローン、ma115クローン)を得た。
【0069】
実施例6
λgtllファージDNAの調製:
E.coli Y1090の一晩培養物200μlおよびλgtllファージ溶解液(10〜10pfu)100μlを37℃で15分間インキュベートした。5mlのLB培養液を加えて振盪しながら37℃で6〜8時間インキュベートした後、4℃、12,000rpmにて10分間遠心分離を行なった。
DNaseIとRNaseAを最終濃度が1μg/mlとなるように加えて37℃で30分間インキュベートした。等量の20%PEG 6000/2M NaClを加えて4℃で一晩冷却した後、4℃、12,000rpmにて10分間遠心分離を行なった。
350μlのTE(10mM トリス塩酸バッファー(pH7.5)および1mM EDTA含有)に溶解し、プロティナーゼK、SDSおよびEDTAを各々の最終濃度が50μg/ml、0.5%および12.5mMとなるように加えて55℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム溶液にて抽出し、エタノールで沈澱させた。次いでTEに溶解して、λgtllファージDNA溶液を調製した。
【0070】
実施例7
ダニアレルゲンcDNAのクローニング:
実施例5で得られた各cDNAの挿入されたλgtllファージを懸濁したSM (1M Tris−HCl, pH7.5, 0.1M NaCl10mM MgSO4, 2% gelatin) 液と一晩培養したE. coli Y1090 (Stratagene Cloning System 社)とを37℃で30分間振盪培養することにより、宿主にファージを感染させ、これをLB寒天培地 (1% Bacto tryptone, 0.5% Bacto yeast extract, 1.5 % Bacto agar (Difco社製), 0.5% NaCl ,pH7.6)上に、1プレート当り約2,000 個のプラークを形成するように撒いた。42℃で3時間培養後、予め10mMイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG) を浸漬させて乾燥したニトロセルロースメンブレン (Hibond−C, Amersham 社製) で培地表面を覆い、さらに37℃で3時間培養して誘導合成されるβ−ガラクトシダーゼ融合蛋白を転写した。
このニトロセルロースメンブレンを2%BSA を含むTBS (10 mM Tris−HCl, pH 8.0, 0.9% NaCl) 溶液中で一晩ブロッキングした後、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清 (100 倍2% BSA を含むTBS 希釈) 、ウサギ抗Derf I血清 (1,200 倍2% BSA を含むTBS 希釈) 、ウサギ抗DerfII血清 (1,000 倍2% BSA を含むTBS 希釈) 、さらにパーオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgG 抗体 (Cappel社製, 2000倍TBS 希釈) とそれぞれ1時間ずつ反応させ、発色は0.01%過酸化水素の存在下、0.4 mg/mlのジアミノベンジジン四塩酸塩を含むTBS 溶液中で行なった。なお、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清は全ダニ飼育物から飽和食塩、PBSでダニ虫体を浮遊させ、更にPBSで洗浄したダニ虫体を磨砕して、これを免疫原としてウサギに10週間毎週追加免疫して得られた抗血清である。茶褐色を呈したシグナルの位置と合致するプラークをピックアップしてSMに懸濁し、陽性クローンとして保存した。
【0071】
実施例8
プラスミドDNAの調製:
実施例7により得られた形質転換体の一夜培養物100〜500μlを7,000rpmにて5分間遠心分離を行ない、100μlのSol.I(50mMのグルコース、25mMのトリス−HCl〔pH8.0〕、10mMのEDTA)に懸濁し、200μlのSol.II(0.2N NaOH,1% SDS)を加え、氷上で5分間冷却した。次に、150μlの氷冷したSol.III(5MのCHCOOK,pH4.8)を加えて氷上に5分間静置し、12,000rpmにて4℃で10分間遠心分離を行なった。その上層をフェノール/クロロホルム溶液で抽出し、エタノールで沈澱させてプラスミドDNA溶液を得た。
【0072】
実施例9
高発現ベクターpUEX2による発現:
ダニアレルゲン遺伝子の転写産物の免疫化学的分析を行うために、最初のクロスハイブリダイゼーション(実施例5)にプローブとして使用したものを、pBluescript II SK(+)からNot I 部位で切り出しKlenowフラグメントで平滑末端化後、高発現ベクターpUEX2のSma I 部位に転写方向とフレームが合うように連結し、E. coli JM105 の形質転換株を取得した(図1)。取得した形質転換株は、ma10クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−10(FERMP − 13496号)、ma3クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−3 (FERMP − 13812号)、ma15クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−15(FERMP − 13813号)、ma29クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−29(FERMP − 13814号)、ma44クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−44(FERMP − 13815号)、ma50クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−50(FERMP − 13817号)、ma113クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−113(FERMP − 13818号)、ma114クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−114(FERMP − 13819号)、ma115クローンの形質転換株をE. coli JM 105 OL−115(FERMP − 13820号)と命名した。
この形質転換株を用いて、28℃での培養及び42℃での発現後、SDS可溶化全菌体をサンプルとした。
【0073】
実施例10
発現産物のSDS−PAGEおよびウエスタンブロットによる免疫染色:
菌体ペレットをPB(pH7.4)蒸留水に懸濁したものに、最終濃度62.5mMのトリス−HCl(pH6.8)、2%のSDS、2%の2−メルカプトエタノールを加えて、100℃にて3分間熱処理した後、5〜10%アクリルアミドゲルを用いたスラブゲル電気泳動を行なった。
ウエスタンブロットは、セミブロッティング装置(ATTO)を用いてImmobilon−PTM(ミリポア社製)あるいはニトロセルロースフィルター(アドバンテック社製)に転写し、以下のプロトコールに従い免疫染色した。
【0074】
ウエスタンブロット法のプロトコール:
得られた転写膜をTBSTを用いて10分間3回洗浄した後、5%脱脂粉乳を含有するTBSTと共に室温で1時間以上インキュベートした。これを、E.coliライセートで前処理した希釈第一抗体と共にインキュベートした後、TBSで10分間、3回洗浄してから希釈第二抗体とともに1時間インキュベートし、次いでTBSで10分間、3回洗浄した。
次に、0.6mg/mlの3,3’−diaminobenzidine tetrahydrochloride, 0.3%のNiClおよび0.01%のHを含有するTBS中で酵素反応を行ない、黒灰色〜黒色のシグナルが得られたものを回収した。
【0075】
実施例11
抗β−ガラクトシダーゼ抗体による発現の確認:
得られたma10クローンについて、前記と同様にして発現し、SDS−PAGEにかけた後、抗β−ガラクトシダーゼ抗体を用いたWestern blotによる免疫染色を行った結果、β−ガラクトシダーゼとの融合タンパクであることが確認された(図2)。また、他の各クローン(ma3〜ma115クローン)についても同様にして発現し、免疫染色を行った結果、β−ガラクトシダーゼとの融合タンパクであることが確認された。この結果も併せて図2に示す。
【0076】
実施例12
ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清による活性の確認:
ma10クローンについて、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清を用いたWestern blotによる免疫染色を行ったところ、図3のような結果が得られた。他の各クローン(ma3クローン、ma15クローン、ma29クローン、ma44クローン、ma50クローン、ma113クローン、ma114クローン、ma115クローンの8種のクローン)についても図3のような結果が得られた。この結果も併せて図3に示す。尚、図3より明らかなようにma113クローン、ma114クローン、ma115クローンの各クローンについては染色されなかったが、ma113クローン、ma115クローンについてはウサギ抗Derf I血清により、又ma114クローンについてはウサギ抗DerfII血清により免疫染色が認められた。
これらのことから、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清、ウサギ抗Derf I血清及びウサギ抗DerfII血清を用いた免疫染色により全てのクローンが抗原活性を保持することが確認された。
【0077】
実施例13
ダニアレルギー患者プール血清による免疫染色:
各クローン(ma10クローン〜ma115クローンの9種のクローン)についてダニアレルギー患者10検体をプールした血清を用いたWestern blotによるIgEの免疫染色を行ったところ、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清を用いた免疫染色(実施例12)と同様の結果が得られた。
【0078】
実施例14
ダニアレルゲン遺伝子(ma10クローン〜ma115クローンの9種のクローン)の制限酵素地図の作製:
pAEX上で転写産物の発現が確認できたクローンについて、そのcDNAをpBluescript II SK(+)に挿入された状態でプラスミド DNAを調製し、種々の制限酵素で消化した。これをアガロースゲル電気泳動にかけた結果を分析した。
その結果を図4〜図10に示す。尚、ma10クローン及びma44クローンは、用いた制限酵素の範囲では制限酵素切断部位を有しなかった。
【0079】
実施例15
ダニアレルゲン遺伝子(ma10クローン〜ma115クローンの9種のクローン)の全塩基配列の決定:
前記実施例14において作製した制限酵素地図をもとに、ジオキシターミネーション法により、ma10クローン、ma3クローン、ma15クローン、ma29クローン、ma44クローン、ma50クローン、ma113クローン、ma114クローン、ma115クローンについて全塩基配列を決定し、アミノ酸配列を推定したところ、それぞれ配列番号:1〜配列番号:9に示される塩基配列およびアミノ酸配列が得られた。
【0080】
実施例16
デレーション変異株の取得:
ダニアレルゲン遺伝子(ma10クローン)の転写産物におけるエピトープ解析を行なう目的で、本実施例および実施例17を行なった。即ち、ma10クローンについて、cDNAをpUEX2上に挿入した状態でExonuclease III (宝酒造社製)を用いてcDNAの下流からデレーションを行い、それらによるE. coli JM105 の形質転換株を取得した。その方法は以下のプロトコールに従った。
【0081】
デレーション変異プラスミドDNAの調製のプロトコール:
cDNAを挿入したpUEX2(10μg)をBam HIおよび Pst Iで切断し、50mMのトリス−HCl(pH8.0),100mMのNaCl,5mMのMgCl,10mMのメルカプトエタノールを含む溶液100μlに溶解した後、270ユニットのエキソヌクレアーゼIII を加え、25℃でインキュベートしながら、120または200秒間隔で10μlの反応混合液を採取した。直ちにこれを氷上で冷却し、100mM NaCl,2mM ZnCl,10% グリセロールを含む100μlの40mM Na−アセテート(pH4.5)を加え、65℃で10分間インキュベートした後、37℃に冷却し、5ユニットのMung Bean ヌクレアーゼを添加し、37℃で60分間インキュベートした。次いでフェノール/クロロホルム溶液で抽出しエタノールで沈澱させた。これを、0.1mM EDTA,20mM NaCl,7mM MgCl,0.1mMdNTPsを含む50μlの7mM トリス−HCl(pH7.5)に溶解した。この溶液に2ユニットのklenowフラグメントを加えて37℃で30分間インキュベートした後、エタノールで沈澱させて40μlのTEに溶解し、T4のDNAリガーゼによりライゲートさせて変異プラスミドDNAを調製した。
【0082】
図11において、レーン1はデレーション前のma10クローンを示し、レーン2〜12は各デレーション変異株を示し、レーン番号が大きくなるとともにデレーション変異株の塩基鎖長が短くなっている。なお、本実施例におけるデレーション変異株の取得方法については以下に詳しく記述する。
【0083】
cDNAを挿入したプラスミドベクターを用いて下記に示した方法に従い、デレーション変異プラスミドDNAを調製した。これを用いてE.coli JM105への形質転換を行ない、デレーション変異株を取得した。
【0084】
実施例17
デレーション変異株の発現産物の免疫染色:
実施例16で得られたデレーション変異株のうち、ma10クローンについて、実施例9(高発現ベクターpUEX2による発現)で行ったのと同様に発現させ、SDS−PAGEにかけた後、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清及びダニアレルギー患者プール血清を用いて免疫染色した結果を図11に示した。
【0085】
ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清を用いた免疫染色の結果は、「 Anti−Dfb 」と記載された欄に示した。ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清では、2段階で活性が消失していると考えられた。図中の表示は、活性がレーン1とほぼ同一であったレーンは++で、弱い活性であったレーンは+で、活性が消失したものは−で示した。
ダニアレルギー患者プール血清を用いた免疫染色の結果は、「 IgE 」 と記載された欄に示した。図中の表示は、活性を示したレーンは+で、活性が消失したものは−で示した。
【0086】
図11に示す結果から、少なくともE1およびE2の部分にエピトープ部位の一部が含まれると考えられ、活性がレーン1とほぼ同一の活性を所持し且つ最小のcDNAをもつ変異株(レーン6)、IgE に対する活性を所持せず且つ最大のcDNA鎖長をもつ変異株(レーン7)のcDNAの塩基配列を決定することにより、少なくともエピトープの一部を含むと考えられるE2の一次配列を決定した(配列番号:11)。同様に、弱いながらもAnti−Dfbに対する活性を所持し且つ最小のcDNAをもつ変異株(レーン9)、活性を所持せず且つ最大のcDNA鎖長をもつ変異株(レーン10)のcDNAの塩基配列を決定することにより、少なくともエピトープの一部を含むと考えられるE1の一次配列を決定した(配列番号:10)。
【0087】
実施例18
ヒト由来71KD熱ショックコグネートタンパク質(hsc71)と組換えダニアレルゲンma29との相同性
実施例4と同様の実験を行ない、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清に反応する273クローンを得た。該クローンには、ダニアレルギー患者血清中の特異IgE抗体に反応し、その遺伝子断片が互いにハイブリダイズしない9クローンが含まれていた。決定したDNA塩基配列と推定アミノ酸配列のホモロジー検索の結果、70KD熱ショックタンパク質(hsp70)に相同性を示す一遺伝子が見出された。752bpから成る本遺伝子は145個のアミノ酸をコードしうるものであり(ma29,配列番号:4)、そのN末端の残基は、最も高い相同性(65.5%)を示したヒト由来71KD熱ショックコグネートタンパク質(hsc71)のアミノ酸配列(645個)中の512番目の残基に対応していた(図12)。
【0088】
ma29の遺伝子のE.coli内発現産物に対する患者血清特異IgE抗体の結合は、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清で阻害されたが、本発現産物はいわゆる主要抗原Der fI及びDer fIIと交差反応を示すものではなかった。また、患者血清から精製した本遺伝子産物に特異的なIgE抗体は、ダニ虫体抽出物中のATP結合性67KD成分に特異的に反応した。これらの結果は、屋内塵性ダニD.farinae由来のhsp70ファミリーが、これまで見逃されてきたダニアレルゲンの一つである可能性を強く示唆するものである。
【0089】
実施例19
組換えダニアレルゲンの精製
2−メルカプトエタノールの存在下に変性させた蛋白質を12.5%ポリアクリルアミド上で分離し、クマシ−プリリアントブルーR−250で染色した。その結果を図13に示す。図中、分子量はキロダルトンで左側に表してあり、レーン1は分子量マーカー、レーン2はma29挿入pGEX−2Tを有するcoli JM105形質転換体の全細胞溶解物(10μl)、レーン3はグルタチオン固定セファロースカラムにより精製されたGST−ma29(3μg)、レーン4は精製されたma29(3μg)、の泳動パターンをそれぞれ示す。
この結果はma29が精製されたことを示している。
【0090】
実施例20
IgE−イムノブロティング
2−メルカプトエタノールの非存在下に変性させたDfb(20μg/レーン、パネルA)と2−メルカプトエタノールの存在下に変性させた精製ma29(1μg/レーン、パネルBおよびC)を12.5%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、ニトロセルロースフィルムにブロットした。ブロット上でma29等とヒトIgEとの特異的な結合を検出するために、ブロットを、ビオチン結合ヤギ抗−ヒトIgE抗体で処理し、続いてペロオキシダーゼ結合ストレプトアビジンで処理した。
【0091】
ヒト血清としては次のものを用いた。即ち、レーン1〜4ではダニアレルギーの個々の患者の血清を、レーン5および6では、DerfIまたはDerfIIに感受性(レーン5)または非感受性(レーン6)のダニアレルギー患者10人の血清をプールしたものを、レーン7および8ではスギ花粉およびカンジダにそれぞれ特異的なアレルギー患者の血清であって、高いIgE濃度(それぞれ1,500および1,600IU/ml)を示すものを、レーン9では非アトピー性供与者の血清を、レーン10では血清無添加を用いた。
パネルCにおいては、ブロットのインキュベーション前にヒト血清をDfb(10μgを100μlの血清で希釈したもの)で前処理した。
図14にその結果を示す。この結果は、パネルAにおいてはダニアレルギー患者の血清のみが反応したことを示しており、パネルBにおいては患者がDerfIまたはDerfIIに感受性を有するか否かにかかわらず、反応したことを示しており、更にダニアレルギー患者の血清に対して特異的に反応したことを示している。パネルCの結果は、Dfbの中にma29に相当するものが含まれていることを示している。
【0092】
実施例21
ma29特異的IgEに結合したネイティブ抗原の同定:
図15中、分子量(キロダルトン表示)は左側に示してある。(A)2−メルカプトエタノールの非存在下に変性させた蛋白質を12.5%のポリアクリルアミドゲル上で分離し、クマシ−ブリリアントブル−R−250で染色した。(B)蛋白質のブロットをダニアレルギー血清から調製されたma29に特異的な抗体で覆った。ついでビオチン結合ヤギ抗ヒトIgE抗体およびペロオキシダーゼ結合ストレプトアビジンで処理することにより、ma29とIgEとの特異的結合を検出した。各パネルにおいて、蛋白質は次のようにチャージした。レーン1にはDfbの10mgからのATP結合画分を、レーン2には組換えma29(2μg)、レーン3にはネイティブのDerfI(2μg)を、レーン4にはネイティブのDerfII(2μg)をそれぞれチャージした。
図15にその結果を示す。この結果は、ma29のネイティブなアレルゲンが、ATPと結合性を示す67KDの蛋白質であることを示している。
【0093】
実施例22
融合蛋白質として発現して得られる融合蛋白質(GST−ma44)及び組換えダニアレルゲンma44の精製:
プラスミドpGEX−2T (アマシャム社製)のSmaI部位にダニアレルゲンma44の遺伝子を挿入し、T−4 DNAリガーゼで連結し、得られた組換えプラスミドをE. coli JM105 に形質転換した。この形質転換株をストレプトマイシン30μg/ml、アンピシリン100μg/mlを含有する2xYT培地中、37℃で、600nmのODが1.0になるまで培養した。ついで、最終濃度1mMになるようにIPTGを添加した後3時間目に集菌し、PBS(pH7.4)で1回洗浄した。再度集菌した細胞を2mMのEDTAおよび0.1%の2−メルカプトエタノールを含有するPBS(pH7.4)中で超音波処理することにより溶解し、グルタチオン S−トランスフェラーゼ(GST)と融合したma44を含む不溶性画分を回収した。次いで、調製用SDS−PAGEにかけ、2リットルの培養液から3.75mgの融合蛋白質(GST−ma44)を67KDのバンドから得た。得られた融合蛋白質を、150mMのNaClおよび2.5mMのCaClを含む50mMのトリス−塩酸(pH8.0)中、トロンビン(1μg/500μg融合蛋白質)で消化し、ma44からGSTを切り離し、ついでGSTを除去するため、50%(V/V)グルタチオン固定化セファロースカラムにかけ、さらにブチル−セファロースカラムでma44の精製を行った。得られた精製ma44はSDS−PAGEにおいて40KDの単一のバンドを還元条件下のゲル上で示した。
【0094】
実施例23
組換えダニアレルゲンma44における皮内反応試験
組換えダニアレルゲンma44のアレルゲン活性をダニアレルギー患者9例及び健常者1例に対して皮内反応試験で検定した。尚、皮内反応試験の前に、組換えダニアレルゲンma44中に含まれるエンドトキシンの量をトキシカラーシステム(LS−6セット、生化学工業社製)を用いて測定したところ、エンドトキシンの量は1.0EU/ml未満であった。
【0095】
実施例24
ドットブロットテスト(Dot immunoblot test)
組換えダニアレルゲンma44の0.1、0.01、0.001%溶液の1μlをニトロセルロースフィルム(ハイボンド−C、アマシャム社製)にブロットし、ブロッキング溶液(3%スキムミルク、150mlのNaCl、0.02%チメロサール、0.05%のTween20を含む10mmolトリス塩酸バッファー〔pH7.5〕溶液)に室温で1時間浸漬した。ついで、IgG染色のために、ダニアレルギー患者のプール血清の10倍希釈液をシート上に注ぎ、冷所で一夜インキュベートした。
【0096】
このシートを0.05%Tween20を含むTBS(TBST)で完全に洗浄したのち、ビオチンと結合したヤギ抗ヒトIgE抗体(ザ バインディンサイト社製)を含むTBST溶液中に室温で1時間反応した。ついで、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(タゴ社製)を含むTBST溶液に室温で1時間浸漬した。TBSTで完全に洗浄した後、免疫反応をしたスポットは、シートを0.03%の過酸化水素、0.03%塩化ニッケル、0.06%ジアミノベンジジン(DAB)を含む50mMトリスバッファー(pH7.6)とともにインキュベートすることにより、検出した。
シートを乾燥した後、着色したスポットを対照として用いたDfb、DerfI(ダニアレルゲンDer fI)、Der fII(ダニアレルゲンDerfII)およびスギ(スギ花粉)と比較した。
【0097】
その結果を表1に示す。表中、+、++および+++は、それぞれ着色した抗原濃度が0.1%、0.01%および0.001%であることを示す。その結果、Der fI、Der fIIに匹敵する強力なアレルゲンであることを示している。
【0098】
【表1】
Figure 0003588615
【0099】
【発明の効果】
本発明により、ダニアレルギー疾患の治療剤、診断薬としてアナフィラキシー誘発性の不純物を含まない安全かつ有効な組換えダニアレルゲンを提供することが可能となった。
【0100】
【配列表】
Figure 0003588615
Figure 0003588615
【0101】
Figure 0003588615
Figure 0003588615
Figure 0003588615
【0102】
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【0103】
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【0104】
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【0105】
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【0106】
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Figure 0003588615
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【0107】
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【0108】
Figure 0003588615
Figure 0003588615
Figure 0003588615
【0109】
Figure 0003588615
【0110】
Figure 0003588615

【図面の簡単な説明】
【図1】組換えプラスミドpAEXの構築を示した図である。
【図2】実施例11において発現されたダニアレルゲン融合蛋白質をSDS−PAGEにかけた後、抗β−ガラクトシダーゼ抗体を用いたWestern blotによる免疫染色を行った結果を示す。図中、レーンma10〜ma115は融合蛋白質の免疫染色を、レーンCは分子量マーカー(β−ガラクトシダーゼ:約11.6万)を示す。
【図3】実施例12において、各クローン(ma10クローン〜ma115クローン)について、ウサギ抗ダニ虫体粗抗原血清を用いたWestern blotによる免疫染色を行った結果を示す。
【図4】ダニアレルゲン(ma3クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図5】ダニアレルゲン(ma15クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図6】ダニアレルゲン(ma29クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図7】ダニアレルゲン(ma50クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図8】ダニアレルゲン(ma113クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図9】ダニアレルゲン(ma114クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図10】ダニアレルゲン(ma115クローン)をコードするcDNAの制限酵素地図を示した図である。
【図11】実施例17において、ma10クローンのディレーションミュータントに関する抗原活性の有無を示した図である。
【図12】ダニアレルゲンma29とヒト由来71KD熱ショックコグネートタンパク質(hsc71)のアミノ酸配列における相同性を示す図である。
【図13】ダニアレルゲンma29およびGST−ma29の電気泳動パターンを示す図である。
【図14】ダニアレルゲンma29のヒトIgEに対する特異的結合を示す図である。
【図15】ダニアレルゲンma29に特異的なIgEに結合するネイティブな抗原の同定を示す図である。

Claims (60)

  1. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:1)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  2. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:2)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  3. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:3)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  4. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:4)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  5. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:5)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  6. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:6)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  7. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:7)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  8. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:8)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  9. ダニ虫体由来の遺伝子の発現によって得られる、以下のアミノ酸配列(配列番号:9)を含んでいる組換えダニアレルゲン。
    Figure 0003588615
  10. 請求項1〜9いずれか記載の遺伝子がコナヒョウヒダニ虫体由来の遺伝子である請求項1〜9いずれか記載の組換えダニアレルゲン。
  11. 分子量が約19,000(SDS-PAGE)である請求項1又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  12. 分子量が約34,000(SDS-PAGE)である請求項2又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  13. 分子量が約22,000(SDS-PAGE)である請求項3又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  14. 分子量が約17,000(SDS-PAGE)である請求項4又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  15. 分子量が約33,000(SDS-PAGE)である請求項5又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  16. 分子量が約28,000(SDS-PAGE)である請求項6又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  17. 分子量が約38,000(SDS-PAGE)である請求項7又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  18. 分子量が約18,000(SDS-PAGE)である請求項8又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  19. 分子量が約32,000(SDS-PAGE)である請求項9又は10記載の組換えダニアレルゲン。
  20. 全塩基鎖長が約0.50 kbp(アガロース電気泳動法)である請求項1記載の組換えダニアレルゲン。
  21. 全塩基鎖長が約1.05 kbp(アガロース電気泳動法)であって、図4の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項2記載の組換えダニアレルゲン。
  22. 全塩基鎖長が約1.66 kbpアガロース電気泳動法)であって、図5の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項3記載の組換えダニアレルゲン。
  23. 全塩基鎖長が約0.75 kbp(アガロース電気泳動法)であって、図6の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項4記載の組換えダニアレルゲン。
  24. 全塩基鎖長が約0.99 kbpアガロース電気泳動法)である請求項5記載の組換えダニアレルゲン。
  25. 全塩基鎖長が約0.90 kbp(アガロース電気泳動法)であって、図7の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項6記載の組換えダニアレルゲン。
  26. 全塩基鎖長が約1.26 kbp(アガロース電気泳動法)であって、図8の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項7記載の組換えダニアレルゲン。
  27. 全塩基鎖長が約0.62 kbp(アガロース電気泳動法)であって、図9の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項8記載の組換えダニアレルゲン。
  28. 全塩基鎖長が約1.04 kbp(アガロース電気泳動法)であって、図10の制限酵素地図を有する遺伝子の発現によって得られるものである請求項9記載の組換えダニアレルゲン。
  29. 請求項1〜9のいずれかに記載の組換えダニアレルゲンが他の蛋白質と融合していることを特徴とする融合組換えダニアレルゲン。
  30. 請求項29記載の他の蛋白質がβ−ガラクトシダーゼである請求項29記載の融合組換えダニアレルゲン。
  31. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:1)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  32. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:2)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  33. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:3)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  34. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:4)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  35. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:5)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  36. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:6)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  37. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:7)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  38. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:8)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  39. 分子中に以下のアミノ酸配列(配列番号:9)を含むアレルゲン活性を有する蛋白質をコードしているダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  40. 以下のDNA配列(配列番号:1)を含むものである請求項31記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  41. 以下のDNA配列(配列番号:2)を含むものである請求項32記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  42. 以下のDNA配列(配列番号:3)を含むものである請求項33記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  43. 以下のDNA配列(配列番号:4)を含むものである請求項34記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  44. 以下のDNA配列(配列番号:5)を含むものである請求項35記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  45. 以下のDNA配列(配列番号:6)を含むものである請求項36記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  46. 以下のDNA配列(配列番号:7)を含むものである請求項37記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  47. 以下のDNA配列(配列番号:8)を含むものである請求項38記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  48. 以下のDNA配列(配列番号:9)を含むものである請求項39記載のダニ虫体由来の遺伝子。
    Figure 0003588615
  49. 配列番号:1において示される塩基配列において、少なくとも上流より約190 bp 〜約240 bp 、約290 bp 〜約380 bp または約190 bp 〜約380 bp の領域内にコードされているアミノ酸配列を含有してなるダニアレルゲン断片。
  50. 下のアミノ酸配列(配列番号:10)
    Figure 0003588615
    を含有してなり、抗原性を有するダニ虫体由来ペプチド。
  51. 以下のアミノ酸配列(配列番号:11)
    Figure 0003588615
    を含有してなり、抗原性を有するダニ虫体由来ペプチド。
  52. 請求項5または5記載のペプチドをコードしている遺伝子。
  53. 以下のDNA配列(配列番号:10)を含有する請求項5記載の遺伝子。
    Figure 0003588615
  54. 以下のDNA配列(配列番号:11)を含有する請求項5記載の遺伝子。
    Figure 0003588615
  55. 形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞中において、請求項31〜48いずれかに記載の遺伝子を発現させ得る発現ベクター。
  56. 請求項5記載の発現ベクターで形質転換された細菌、酵母又は哺乳動物細胞。
  57. 請求項5記載の細菌、酵母又は哺乳動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、組換えダニアレルゲンを産生させ、次いで該組換えダニアレルゲンを回収することを特徴とする組換えダニアレルゲンの製造方法。
  58. 請求項5記載の細菌、酵母又は哺乳動物細胞を該遺伝子の発現可能な条件下で培養して、融合組換えダニアレルゲンを産生させ、該融合組換えダニアレルゲンを回収し、次いで、融合している他の蛋白質を脱離せしめることを特徴とする組換えダニアレルゲンの製造方法。
  59. 請求項1〜28記載の組換えダニアレルゲンを有効成分とするダニアレルギー疾患治療剤。
  60. 請求項1〜28記載の組換えダニアレルゲンを有効成分とするダニアレルギー疾患診断薬。
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