JP3532802B2 - 電動送風機およびその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、分割された複数
の部材から形成されたステ−タ−を有するモ−タ−部を
具備した電動送風機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図９と図１０は特開平８−３１７５７９
号公報に、示された従来の電動送風機を示す縦断面図と
要部断面図である。図において、１００は電動送風機で
あり、ファン１０１を収納するファン部１０２と、この
ファン１０１を高速回転するモ−タ−部１０６とから構
成され、モ−タ−部１０６のステ−タ−１０３をブラケ
ット１０４に圧入固定するとともに、ロ−タ−１０５を
該ブラケット１０４に回転自在に支持している。１０７
はロ−タ−１０５の軸１０８を両端より支持する軸受、
１０９はファン部１０２とモ−タ−部１０６との間に設
けられてファン１０１からの高速気流をスム−スにモ−
タ−部１０６に案内する案内羽根である。

【０００３】次に、ブラケット１０４にステ−タ−１０
３とロ−タ−１０５をそれぞれ固定した状態を説明す
る。１１０は中央に細径の銅線材より成る励磁捲線Ａを
巻回する略Ｕ字状の磁極１１１と、この磁極１１１の左
右に延在する腕部１１２とを有する磁極部材であり、該
磁極部材１１０を所定数積層固定して磁極コア−１１３
が形成され、一対の磁極コア−１１３が互いに対向して
ブラケット１０４に圧入固定される。１１４は各磁極コ
ア−１１３の腕部１１２の内側に形成された係合凸部で
ある。

【０００４】１１５は両端で内側に屈曲した角部１１６
を有し、該角部１１６の外端部に係合凸部１１４と係合
する係合凹部１１７を有する略コ字状の継鉄部材であ
り、該継鉄部材１１５を所定数積層固定して、一対の継
鉄コア−１１８が形成される。該継鉄コア−１１８と磁
極コア−１１３は図１０に示すようにその両端部が連結
され、かつ、係合凸部１１４と係合凹部１１７が係合し
て、ステ−タ−１０３が組み立てられる。該ステ−タ−
１０３はブラケット１０４の内側に圧入固定される。

【０００５】１１９は磁性部材１１０の相対向する磁極
１１１間に配置されるロ−タ−部材であり、該ロ−タ−
部材１１９を所定数積層固定することでロ−タ−１０５
が構成され、外周に捲線（図示せず）を巻回するように
成っている。１２０は磁極１１１と継鉄コア−１１８間
に形成され、捲線Ａを巻回する捲線空間である。１２１
は継鉄コア−１１８とロ−タ−１０５間に形成される内
側風路である。

【０００６】このような従来例の電動送風機１００にお
いては、磁極コア−１１３にそれぞれ所定数の励磁捲線
Ａを巻回した後に、磁極コア−１１３と継鉄コア−１１
８をそれぞれ対向させて略四角形に組合せてステーター
１０３を構成し、該ステータ−１０３をブラケット１０
４に圧入固定する。このために、励磁捲線Ａの磁極１１
３への巻回作業は、磁極コア−１１３と継鉄コア−１１
８が連結される以前に行われるため、その作業効率は著
しく向上することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このような電動送風機
１００のステ−タ−１０３を略四角形に形成する際、対
向する一対の磁極コア−１１３は一体的に形成されてな
いために、継鉄コア−１１８との連結作業が面倒である
という問題点を有している。

【０００８】この発明は、かかる問題点を解決するため
になされたもので、ステ−タ−を構成する一対の磁極コ
ア−間を絶縁部材で連結固着して一体化を図り、励磁捲
線の巻回作業やブラケットへのステ−タ−の固定作業
を、それぞれ効率良く行うことができる電動送風機機を
提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明に係る電動機に
おいては、ファン部とモ−タ−部とからなり、前記モ−
タ−部のステ−タ−を断面円形のブラケットの内側に固
定したものであって、ステ−タ−は、励磁巻線を有し対
向する一対の磁極コア−と、この磁極コア−の両端がそ
れぞれ連結された一対の継鉄コア−とから形成され、前
記一対の磁極コア−は、先端部に磁極穴が形成された複
数枚の磁極部材を積層し、絶縁樹脂を注入して前記磁極
部材の先端部間を前記絶縁樹脂による連結部材で連結す
ると共に、前記磁極穴に前記絶縁樹脂を入り込ませて前
記磁極部材を積層固定して形成されたものである。

【００１０】また、この発明に係る電動機においては、
ファン部とモ−タ−部とからなり、前記モ−タ−部のス
テ−タ−を断面円形のブラケットの内側に固定したもの
であって、前記ステ−タ−は、励磁巻線を有し対向する
一対の磁極コア−と、この磁極コア−の両端がそれぞれ
連結された一対の継鉄コア−とから形成され、前記一対
の磁極コア−は、継鉄部材と磁極部材とが連結した部材
Ｘを、所定数積層固定してプラスチック成形機の金型に
インサ−トし、絶縁樹脂を注入して前記磁極部材の先端
部間を前記絶縁樹脂による連結部材で連結すると共に、
前記磁極部材の先端部に形成された磁極穴に前記絶縁樹
脂を入り込ませて積層固定して形成した部材Ｙから分離
して形成されたものである。さらに、この発明に係る電
動機の製造方法においては、励磁巻線を有し対向する一
対の磁極コア−と、この磁極コア−の両端がそれぞれ連
結された一対の継鉄コア−とから構成されたステ−タ−
を備える電動送風機の製造方法において、先端部に磁極
穴が形成された複数枚の磁極部材を積層し、絶縁樹脂を
注入して前記磁極部材の先端部間を前記絶縁樹脂による
連結部材で連結すると共に、前記磁極穴に前記絶縁樹脂
を入り込ませて前記磁極部材を積層固定して前記磁極コ
ア−を形成したものである。また、この発明に係る電動
機の製造方法においては、励磁巻線を有し対向する一対
の磁極コア−と、この磁極コア−の両端がそれぞれ連結
された一対の継鉄コア−とから構成されたステ−タ−を
備える電動送風機の製造方法において、継鉄部材と磁極
部材とが連結した部材Ｘを、継鉄部材のカシメにより所
定数積層固定してプラスチック成形機の金型にインサ−
トし、絶縁樹脂を注入して前記磁極部材の先端部間を前
記絶縁樹脂による連結部材で連結すると共に、前記磁極
部材の先端部に形成された磁極穴に前記絶縁樹脂を入り
込ませて積層固定して形成した部材Ｙから、前記磁極コ
ア−と前記磁極コア−とを分離させて形成したものであ
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】実施の形態１．図1から図５はこ
の発明の実施の形態１を示し、図１は電動送風機の縦断
面図、図２はブラケット部の横断面図、図３は磁極コア
−に励磁捲線Ａを捲回した平面図、図４は磁極部材と継
鉄部材及びロ−タ−部材のプレス工程図、図５はステ−
タ−コア−を形成する磁極コア−と継鉄コア−の組立加
工平面図である。なお、従来例と同機能部分について
は、同じ符号を付し説明を省略する。図において、１は
電動送風機の全体を示し、ファン１０１と案内羽根１０
９とを収納するファン部１０２と、ブラケット１０４に
圧入固定された積層材より成るステ−タ−２と両端を軸
受１０７に支持されてステ−タ−２の内側で回転するロ
−タ−１０５とを有するモ−タ−部３とにより構成され
ている。

【００１２】７は中央部で略半円状に形成された磁極部
４とこの磁極部４から左右に直線状に延在する腕部５と
より成る磁極部材６を所定数積層固定して形成した一対
の磁極コア−である。８は一対の磁極コア−７を対向し
て配置し、磁極部４の先端部４Ａをそれぞれ半円状に連
結固定する絶縁材より成る連結部材である。１０はブラ
ケット１０４の内径とその外周がほぼ同径に形成された
円弧状の継鉄部材９を所定数だけ積層固定して形成した
継鉄コア−である。実施の形態１において、ステ−タ−
２は磁極コア−７の腕部５に継鉄コア−１０の両端部を
連結させて略四角形状に構成されて、ブラケット１０４
内に圧入固定されている。

【００１３】Ａは磁極コア−７と継鉄コア−１０を連結
する前に、磁極コア−７の外側に所定数だけ巻回される
銅線より成る励磁捲線、１１は磁極部４の外側と継鉄コ
ア−１０の端部間で形成される捲線空間であり、励磁捲
線Ａが収納される。

【００１４】また、磁極部材６と継鉄部材９とローター
部材１１９は、図４に示すように電磁鋼板でプレス加工
される。１２は磁極部４の先端部４Ａの外側に形成され
た切断片であり、継鉄部材９の内側と一体的にプレス加
工される。そして、磁極部材６と継鉄部材９とが連結し
た部材Ｘを形成している。１３は先端部４Ａに形成され
た磁極穴である。部材Ｘを、例えば継鉄部材９をカシメ
等により、事前に所定数積層固定してプラスチック成形
機の金型にインサ−トする。そして、絶縁樹脂を注入す
る。これにより、先端部４Ａ間は連結部材８により連結
されると共に、磁極穴１３に絶縁樹脂が入り込み磁極部
材６を積層固定し、図５に示す部材Ｙが形成される 。

【００１５】部材Ｙを形成した後、切断片１２を切断す
ることで、磁極コア−７と一対の継鉄コア−１０との３
部品に分離する。そして、磁極コア−７に励磁捲線Ａを
それぞれ巻回固定し、腕部５間に一対の継鉄コア−１０
を挟持させ、ステ−タ−２を形成する。ステ−タ−２を
ブラケット１０４に圧入固定することで、磁極コア−７
と継鉄コア−１０も圧入固定される。その後、ローター
部材１１９を所定数積層固定して形成したロ−タ−１０
５等をブラケット１０４に組み付ければ良いものであ
る。

【００１６】このように、一対の磁極コア−７を連結部
材８により連結固定することで、励磁捲線Ａを対向して
同時に巻回することが可能となり、さらに、継鉄コア−
１０が容易に腕部５間に挟持され、ステ−タ−２の組立
が容易となり、作業効率向上を図ることができる。ま
た、連結部材８は、ロ−タ−１０５の周囲にそれぞれが
対向して略半円状に形成されているので、ロ−タ−１０
５の回転には支障が無く、励磁捲線Ａとロ−タ−１０５
との絶縁も確実に保たれ、励磁捲線Ａの巻回スペ−スが
広範囲に確保できるので、励磁捲線Ａの線径は太くする
ことができ、銅損の減少が可能となる。

【００１７】実施の形態２．図６から図８は、この発明
の実施の形態２を示すものであり、図６は磁極コア−と
継鉄コア−のプレス加工後の平面図、図７は図６をイン
サート成形した後の平面図、図８は図７の側面図であ
る。図中、実施の形態１と同一の構成には同じ符号を付
し説明を省略する。図において、１４は磁極部材６の腕
部５にそれぞれ形成された腕部穴、１５は継鉄部材９の
両端部にそれぞれ形成された継鉄穴である。実施の形態
１と同様に磁極部材６と継鉄部材９は電磁鋼板にプレス
加工された後、図６に示すように所定数積層し、プラス
チック成形機の金型にインサートして、絶縁樹脂を注入
する。１６は注入した樹脂により成る積層固定部材であ
り、磁極穴１３、腕部穴１４及び継鉄穴１５に樹脂が入
り込み、磁極部材６と継鉄部材９を積層固定して磁極コ
ア−７と継鉄コア−１０を形成する固定リブ１７と、磁
極コア−７と継鉄コア−１０及び切断片１２の各上下の
外表面に突設され、各固定リブ１７と一体的に形成され
る外表面リブ１８より成る。

【００１８】このように構成することで、磁極部材６と
継鉄部材９をプラスチック成形機の金型にインサ−トす
る際に、事前にカシメや固定部材で積層固定すること無
く、単に積層するだけで、積層固定部材１６がそれぞれ
を積層固定するので、作業行程を簡素化できる。なお、
磁極コア−７と継鉄コア−１０の分離は、治工具により
切断片１２と外表面リブ１８を切断すればよいものであ
る。また、磁極コア−７と継鉄コア−１０の上下面に形
成されている外表面リブ１８は、片面のみ形成しても良
く、磁極コア−７と継鉄コア−１０の分離作業が簡略化
することができる。また、積層固定部材１６は磁極コア
−７と継鉄コア−１０を同時に積層固定したが、磁極コ
ア−７のみ積層固定しても良いものである。

【００１９】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に示すような効果を奏する。ステ−
タ−を構成する一対の磁極コア−を絶縁材より成る連結
部材で連結固定することで、励磁捲線Ａの巻回作業、さ
らに、磁極コア−への継鉄コア−の取付作業がそれぞれ
容易となり、ブラケットへのステ−タ−の組込み作業効
率向上を図ることができる。

【００２０】また、一対の磁極コア−の結合固定と、磁
極部材の積層固定を積層固定部材で行うことで、積層作
業効率の向上が図れるものである。

【００２１】

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１を示す電動送風機の
縦断面図である。

【図２】 この発明の実施の形態１を示す電動送風機の
ブラケット部の横断面図である。

【図３】 この発明の実施の形態１を示す電動送風機の
磁極コア−に励磁捲線を巻回した平面図である。

【図４】 この発明の実施の形態１を示す電動送風機の
磁極部材と継鉄部材及びロ−タ−部材のプレス工程図で
ある。

【図５】 この発明の実施の形態１を示す電動送風機の
磁極コア−と継鉄コア−の組立加工図である。

【図６】 この発明の実施の形態２を示す電動送風機の
磁極部材と継鉄部材をプレス加工した状態を示す平面図
である。

【図７】 この発明の実施の形態２を示す磁極コア−と
継鉄コア−の組立加工図である。

【図８】 この発明の実施の形態２を示し、図７の側面
図である。

【図９】 従来の電動送風機を示す縦断面図である。

【図１０】 従来の電動送風機を示す要部構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 電動送風機、２ ステ−タ−、３ モ−タ−部、４
磁極部、５ 腕部、６ 磁極部材、７ 磁極コアー、
８ 連結部材、９ 継鉄部材、１０ 継鉄コア−、１２
切断片、１３ 磁極穴、１４ 腕部穴、１５ 継鉄
穴、１６ 積層固定部材、１７ 固定リブ、１８ 外表
面リブ、Ａ 励磁捲線。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾高 秀一 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地 １ 三菱電機ホーム機器株式会社内 (56)参考文献 特開 平６−113491（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02K 1/18 H02K 1/14 H02K 7/14

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ファン部とモ−タ−部とからなり、前記
   モ−タ−部のステ−タ−を断面円形のブラケットの内側
   に固定したものであって、 前記ステ−タ−は、励磁巻線を有し対向する一対の磁極
   コア−と、この磁極コア−の両端がそれぞれ連結された
   一対の継鉄コア−とから形成され、前記一対の磁極コア−は、先端部に磁極穴が形成された
   複数枚の磁極部材を積層し、絶縁樹脂を注入して前記磁
   極部材の先端部間を前記絶縁樹脂による連結部材で連結
   すると共に、前記磁極穴に前記絶縁樹脂を入り込ませて
   前記磁極部材を積層固定して形成された ことを特徴とす
   る電動送風機。
2. 【請求項２】 ファン部とモ−タ−部とからなり、前記
   モ−タ−部のステ−タ−を断面円形のブラケットの内側
   に固定したものであって、 前記ステ−タ−は、励磁巻線を有し対向する一対の磁極
   コア−と、この磁極コア−の両端がそれぞれ連結された
   一対の継鉄コア−とから形成され、前記一対の磁極コア−は、継鉄部材と磁極部材とが連結
   した部材Ｘを、所定数積層固定してプラスチック成形機
   の金型にインサ−トし、絶縁樹脂を注入して前記磁極部
   材の先端部間を前記絶縁樹脂による連結部材で連結する
   と共に、前記磁極部材の先端部に形成された磁極穴に前
   記絶縁樹脂を入り込ませて積層固定して形成した部材Ｙ
   から分離して形成された ことを特徴とする電動送風機。
3. 【請求項３】 励磁巻線を有し対向する一対の磁極コア
   −と、この磁極コア−の両端がそれぞれ連結された一対
   の継鉄コア−とから構成されたステ−タ−を備える電動
   送風機の製造方法において、 先端部に磁極穴が形成された複数枚の磁極部材を積層
   し、絶縁樹脂を注入して前記磁極部材の先端部間を前記
   絶縁樹脂による連結部材で連結すると共に、前記磁極穴
   に前記絶縁樹脂を入り込ませて前記磁極部材を積層固定
   して前記磁極コア−を形成したことを特徴とする電動送
   風機の製造方法。
4. 【請求項４】 励磁巻線を有し対向する一対の磁極コア
   −と、この磁極コア−の両端がそれぞれ連結された一対
   の継鉄コア−とから構成されたステ−タ−を備える電動
   送風機の製造方法において、 継鉄部材と磁極部材とが連結した部材Ｘを、継鉄部材の
   カシメにより所定数積層固定してプラスチック成形機の
   金型にインサ−トし、絶縁樹脂を注入して前記磁極部材
   の先端部間を前記絶縁樹脂による連結部材で連結すると
   共に、前記磁極部材の先端部に形成された磁極穴に前記
   絶縁樹脂を入り込ませて積層固定して形成した部材Ｙか
   ら、前記磁極コア−と前記磁極コア−とを分離させて形
   成したことを特徴とする電動送風機の製造方法。