JP3530927B2 - オリゴペプチド合成法 - Google Patents

オリゴペプチド合成法

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JP3530927B2 JP2000223720A JP2000223720A JP3530927B2 JP 3530927 B2 JP3530927 B2 JP 3530927B2 JP 2000223720 A JP2000223720 A JP 2000223720A JP 2000223720 A JP2000223720 A JP 2000223720A JP 3530927 B2 JP3530927 B2 JP 3530927B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オリゴペプチドの
合成方法に関するものであり、更に詳しくは、260℃
以上の高温熱水中でアミノ酸からオリゴペプチドを極め
て短時間で合成することを可能とする新しいオリゴペプ
チドの製造方法に関するものである。本発明は、化学的
に安定、無毒、安価な水を260℃以上の高温熱水状態
にした高温熱水、亜臨界水ないし超臨界水を用いて、単
量体アミノ酸等からオリゴペプチドを極めて短時間で合
成する方法として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、ペプチドの生理活性とその重要な
機能が注目される中で、その生産技術として、タンパク
質を酵素等で加水分解することにより、生理活性を有す
る種々のペプチドを生産する方法や、更に、有機化学的
手段、遺伝子工学の手法等により、種々の生理活性ペプ
チドを合成する方法が開発されており、これらの生理活
性ペプチドは、例えば、機能性食品材料、医薬品、研究
用試薬等として広汎に利用されている。一方、近年、超
臨界流体を用いた種々の反応系や応用例が注目されてお
り、これまでに、種々の研究成果が報告されている。液
体は、ある特定の圧力と温度を越えると、気体であるの
か、液体であるのか区別することが難しい状態になり、
例えば、種々の物質を溶解する点では液体的な挙動を示
し、圧縮、膨張の点では、圧力によりその密度を任意に
変えることができるなど気体的な挙動を示す。このよう
な状態にある流体は、液体や気体の通常の性質と異なる
ことから、超臨界流体と称され、この超臨界流体を用い
た新しい反応系や応用例が種々提案されてきている。具
体的には、これまでに、例えば、超臨界炭酸ガスにより
コーヒー豆を脱カフェインする方法、超臨界流体の液体
クロマトグラフィーへの利用、超臨界水によるバイオマ
ス分解反応、超臨界水中でのリグニン系試料の低分子
化、超臨界水によるフロン、PCBの加水分解、超臨界
二酸化炭素中でのリパーゼによるエステル合成反応等、
種々の例について報告されている。
【0003】ところで、本発明者らは、これまで、超臨
界水(臨界温度375℃、臨界圧力22.05MPa以
上の水)中で酸を添加しないベックマン転位反応やピナ
コール転位反応を行い、それぞれε−カプロラクタムや
ピナコリンが生成することを確認し、プロトンが超臨界
水から供給されている可能性が大きいとの知見を得た。
更に、超臨界水中でCannizzaro(カニッツァ
ーロ) 反応を行ったところ、塩基触媒を添加しない無触
媒下でも不均化が起こり、アルコールとカルボン酸が生
成することも見出した。従来のカニッツァーロ反応は、
文献(日本化学会誌,No.5,p931−937,1
985)にあるように、水酸化ナトリウム等の強塩基を
触媒として添加しなければ反応は進行しない。例えば、
この文献では、高濃度(2mol/l)の水酸化ナトリ
ウム水溶液を添加している。アルカリ濃度が増大するに
つれ反応速度定数も増加するので、反応がアルカリから
生成するOH- によって促進される反応である。
【0004】また、本発明者らは、以前から超臨界水
(臨界温度375℃、臨界圧力22.05MPa以上の
水) の構造を高温・高圧ラマン分光法で検討を行ってき
たが、その水素結合構造が臨界点付近で著しく壊れ、主
にモノマー、ダイマー構造まで分解されることを見出し
た(The Journal of Chemical Physics, Vol. 108, No.
14, p5855-5860, 1998 )。ただ、水の構造がプロトン
(H+ あるいはH3 + ) とOH- まで壊れるかという
確証はなかったため、それを検証するためにも超臨界水
中でプロトン或いはOH- が関与する反応を行うことを
提案した。かくて、超臨界水中で酸を添加しないでベッ
クマン転位反応、ピナコール転位反応を検討した結果、
水からのプロトン供給の確証を得た。加えて、水分子モ
ノマーが分解しプロトンが生成しているのなら、OH-
も生成しているはずで、それを確かめるために超臨界水
中でアルカリ触媒を添加しないでカニッツァーロ反応の
検討を行い、その確認を得ている。
【0005】このように、本発明者らは、上記のような
超臨界水自身が有する酸、塩基触媒機能を見出したが、
一方で、超臨界水を利用してプラスチックやバイオマス
が分解処理できることは良く知られており、これに関し
ては多くの研究例が有る。そこで、本発明者らも、超臨
界水中で植物由来のタンパク質を分解しアミノ酸を得る
試みを行った。ところが、分解生成物を分析したとこ
ろ、単量体アミノ酸以外に、オリゴペプチドが生成して
いることが判った。この原因として、タンパク質が加水
分解されアミノ酸を生成する経路でオリゴペプチドが生
成しているものと当時の知識では考えていた。
【0006】1999年のScience誌の報告(Sc
ience, Vol. 283, p831-833, 1999)の中に、水熱条件
(24MPa,200−250℃) 下で循環式流通反応
装置を用い、単量体アミノ酸(グリシン) を装置内で循
環させながら水熱処理と0℃冷却を数十分くり返すこと
によってオリゴペプチドの合成に成功した例が報告され
ている。同論文には、高温条件だけでは、脱水、脱アミ
ノ化、脱カルボン酸化のような解離反応を誘発し、ペプ
チド合成にはむしろ不利に働くことが述べられ、そのた
めに、反応過程に冷却過程が必須であることが記述され
ている。このように、従来、超臨界流体を用いた各種の
反応系についての報告があり、また、ペプチド合成の方
法について種々報告されているが、高温熱水を用いて短
時間で効率的にペプチドを合成したとの報告例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高温熱水中
に単量体アミノ酸のみを存在させ、ペプチド合成の有無
を検討した結果、260℃以上の高温熱水中では極めて
短時間(例えば、反応時間0.72秒)でオリゴペプチ
ドが生成されるとの知見を得て、更に研究を重ねて、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は、260℃以
上の高温熱水中の短時間反応によってアミノ酸からオリ
ゴペプチドを効率的に合成する方法を提供することを目
的とする。また、本発明は、超臨界水中でアミノ酸及び
オリゴペプチドから、より鎖長の長いオリゴペプチドを
合成する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)高温熱水中の0.04〜20秒程度の短時間反応
によってアミノ酸からオリゴペプチドを効率的に合成す
る方法であって、260℃以上の高温熱水中に反応基質
として所定の濃度のアミノ酸を存在させオリゴペプチド
を合成することを特徴とするオリゴペプチドの製造方
法。 (2)高温熱水中の0.04〜20秒程度の短時間反応
によって当該反応系に反応基質として添加されたアミノ
酸及びオリゴペプチドから、より鎖長の長いオリゴペプ
チドを合成する方法であって、260℃以上の高温熱水
中に反応基質として所定の濃度のアミノ酸及びオリゴペ
プチドを存在させ、より鎖長の長いオリゴペプチドを合
成することを特徴とするオリゴペプチドの製造方法。 (3)反応基質のアミノ酸の濃度を調節することによっ
て、鎖長の異なるオリゴペプチドを合成することを特徴
とする前記(1)〜(2)のいずれか1項に記載のオリ
ゴペプチドの製造方法。 (4)反応系の温度を調節することによって、鎖長の異
なるオリゴペプチドを合成することを特徴とする前記
(1)〜(2)のいずれか1項に記載のオリゴペプチド
の製造方法。 (5)0〜20秒の間で反応時間を調節することによっ
て、鎖長の異なるオリゴペプチドを合成することを特徴
とする前記(1)〜(2)のいずれか1項に記載のオリ
ゴペプチドの製造方法。 (6)温度260−450℃の高温熱水状態で合成反応
を行うことを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれか
1項に記載のオリゴペプチドの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、高温熱水中に反応基質として所定
の濃度の単量体アミノ酸、あるいは単量体アミノ酸とオ
リゴペプチドを存在させ短時間でオリゴペプチドを合成
することを特徴としている。使用する高温熱水は260
℃以上の高温熱水、好適には、270℃〜450℃の温
度範囲の高温熱水を選ぶことができる。本発明におい
て、反応速度は超臨界状態付近で最も大きくなるが、2
60℃以上の水熱条件下でも反応が進行する。圧力は使
用温度における自生圧力以上であればよい。最適の温度
条件は処理時間によって変化するが、一般に、好適には
300℃から400℃の温度範囲を選択できる。また、
処理量や反応装置によって適宜の温度及び圧力条件を採
用することができる。反応装置は、例えば、高温・高圧
反応装置が使用されるが、これに限らず、高温熱水の反
応系を設定できる装置であれば、その種類は制限されな
い。
【0010】次に、本発明では、反応基質として、単量
体アミノ酸、オリゴペプチドが使用されるが、これらと
して、例えば、各種のアミノ酸、ジ−、トリ−、テトラ
−、ペンタ−アミノ酸、α−アミノ酸、β−アミノ酸、
γ−アミノ酸、δ−アミノ酸、モノアミノモノカルボン
酸、モノアミノジカルボン酸、ジアミノモノカルボン酸
等が例示される。また、アミノ酸としては、例えば、グ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニ
ルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シ
スチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、
アスパラギン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等が好
適に用いられる。これらのアミノ酸及びオリゴペプチド
の種類は、特に制限されない。
【0011】本発明の反応系は、260℃以上の高温熱
水中に上記反応基質を存在させればよく、例えば、酵
素、金属イオン、酸、あるいは塩基のような触媒は特に
添加する必要はない。本発明は、260℃以上の高温熱
水中に上記反応基質を存在させ、無触媒で、アミノ酸、
及び/又はオリゴペプチドから、より鎖長の長いオリゴ
ペプチドを合成することを最大の特徴としているが、酵
素、金属イオン、酸、あるいは塩基のような触媒を添加
して反応させても一向にさしつかえない。本発明では、
上記反応系により、例えば、反応時間0.04〜20秒
程度の極めて短時間にオリゴペプチドが生成される。ま
た、本発明では、反応基質のアミノ酸の濃度を上げるこ
とによって、より鎖長の長いオリゴペプチドを合成する
ことができるので、反応基質のアミノ酸の濃度を調節す
ることによって、鎖長の異なるオリゴペプチドを合成す
ることが可能となる。好適には、反応基質の濃度は、1
00mM〜500mMであるが、これに限定されるもの
ではない。また、本発明では、反応系の温度を調節する
ことによって、鎖長の異なるオリゴペプチドを合成する
ことが可能となる。
【0012】本発明者らは、後記する実施例に示すよう
に、超臨界水中では極めて短時間(例えば、反応時間1
秒前後) でも上記Science誌の報告による結果と
同等あるいはそれ以上のオリゴペプチドの生成が可能で
あることを、高速液体クロマトグラフィー−質量分析装
置(LC−MS)を用いて確認した。例えば、単量体グ
リシン濃度を同じ(100mM)にして比較すると、上
記Science誌のFig.2では0.3mMのジグ
リシンを合成するために10分近い時間を要している
が、高温熱水中では、例えば、370℃で0.72秒で
1mMのジグリシンを合成できることが分かった。ま
た、反応基質のグリシン濃度を上げることによって、テ
トラグリシンやペンタグリシンのような、より鎖長の長
いオリゴペプチドを合成できることも分かった。
【0013】高温熱水中に単量体アミノ酸(グリシン)
を存在させたところ、リボソーム、リボザイムのような
酵素、Cu2+のような金属イオン、あるいは酸、塩基の
ような触媒を一切添加しないでもオリゴペプチド(ol
igopeptide:約10個以下のアミノ酸からな
るペプチド) が極めて短時間で合成できることが分かっ
た。また、ペプチド結合を生成させるために通常行う操
作として、ニトロフェニル基やエステル基のような電子
吸引置換基をアミノ酸のカルボニル炭素につけて電子吸
引性を増加させるいわゆるアミノ酸の活性化処理も不要
である。本発明の方法は、もちろん、各種のアミノ酸を
用いたあらゆるオリゴペプチドの合成にも適用可能であ
る。
【0014】
【作用】本発明では、260℃以上の高温熱水中に反応
基質として所定の濃度の単量体アミノ酸、あるいは単量
体アミノ酸とオリゴペプチドを存在させることにより、
例えば、単量体アミノ酸からジアミノ酸が合成される。
この場合、反応基質の濃度を上げることにより、トリア
ミノ酸、テトラアミノ酸、ペンタアミノ酸のような、よ
り鎖長の長いオリゴペプチドが合成される。また、上記
反応系において、反応温度、反応基質の種類及び濃度に
より、例えば、単量体アミノ酸とジアミノ酸のペプチド
結合によるトリアミノ酸が生成される。従って、本発明
は、上記反応系において、反応温度、反応基質の種類及
び濃度を調節することにより、所望のオリゴペプチドを
極めて短時間で合成することを可能とし、オリゴペプチ
ドの合成方法として有用である。
【0015】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は、以下の実施例により何ら限定され
るものではない。 実施例1 (1)方法及び装置 実験は、流通式高温・高圧反応装置を用いて、グリシン
水溶液の温度、反応時間、グリシン濃度を変化させてオ
リゴペプチドの合成を行った。図1に本実験に用いた流
通式高温・高圧反応装置を示す。この反応装置は、塩浴
槽に硝酸カリウム−硝酸ナトリウム系の塩浴剤AS14
0(パーカ熱処理工業株式会社製品)を用いて塩浴温度
160〜550℃に制御できる。温度測定値はパイプラ
インの塩浴出口での温度値を用いた。ラインはSUS3
16の1/16インチ(内径0.5mm)パイプを用い
た。反応管体積は塩浴槽に入れる部分の長さを変えるこ
とにより、調節できる。ポンプは0.001〜100m
l/minの流速で使用可能であるが、通常は、1〜1
00ml/minで使用される。反応時間は反応管体
積、ポンプ流速及び液の密度より求められる。なお、圧
力は、背圧弁によって調節できる。単量体アミノ酸は、
原料供給部の水溶液として調製し、窒素ガスをバブリン
グして溶解している酸素ガスを除去してからポンプによ
ってパイプラインに供給する。パイプラインは、所定の
圧力及び塩浴温度で流通させ、塩浴通過後、水冷して回
収部で試料を回収する。得られた試料は、高速液体クロ
マトグラフィー質量分析計を用いて生成物を確認した。
【0016】(2)オリゴペプチドの合成 前述の高温・高圧反応装置を用い、圧力25MPaで1
00mMグリシン(glycine)水溶液を15ml
/minで流通させて、325℃で反応させた。反応管
の長さは170cmで、反応管体積は0.334mlで
あった。反応時の密度は0.6928g/mlで、反応
時間は0.93秒であった。得られた試料を分析した
所、未反応のグリシンとともに、0.37mM濃度のジ
グリシン(diglycine)と0.17mM濃度の
ジケトピペラジン(diketopiperazin
e)が得られた。ジグリシンは単量体グリシンのペプチ
ド結合が325℃の高温熱水中の短時間反応で生じたと
考えられる。ジケトピペラジンはジグリシンの脱水反応
で生成したと推察される。
【0017】実施例2 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応温度を370℃とした。反応時の
密度は0.54037で反応時間は0.72秒であっ
た。得られた試料を分析した所、ジグリシン濃度は0.
98mM、ジケトピペラジン濃度は1.49mM、トリ
グリシン(triglycine)濃度は0.004m
M、及びテトラグリシン(tetraglycine)
濃度は0.002mMであった。トリグリシンはジグリ
シンと単量体グリシンのペプチド結合が起きて生成した
ものと推察される。テトラグリシンはジグリシンとジグ
リシンとのペプチド結合あるいはトリグリシンと単量体
グリシンとのペプチド結合で生成したと考えられる。
【0018】実施例3 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応温度を400℃とした。反応時の
密度は0.16663g/mlで、反応時間は0.22
秒であった。得られた試料を分析した所、ジグリシン濃
度は0.65mM、ジケトピペラジン濃度は1.46m
M、及びトリグリシン濃度は0.016mMであった。
【0019】実施例4 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応温度を440℃とした。反応時の
密度は0.11504g/mlで、反応時間は0.15
秒であった。得られた試料を分析した所、ジグリシン濃
度は0.66mM、ジケトピペラジン濃度は1.39m
M、及びトリグリシン濃度は0.001mMであった。
【0020】比較例1 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応温度を250℃とした。反応時の
密度は0.8211g/mlで、反応時間は1.10秒
であった。得られた試料を分析した所、ジグリシン濃度
は0.004mM、及びジケトピペラジン濃度は0.0
05mMであった。熱水の温度が250℃と低くなると
ペプチド結合の生成が少なく、実用的でないことが判明
した。
【0021】実施例5 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応管の長さを50cmとし、反応管
体積は0.098mlであり、反応温度を380℃とし
た。反応時の密度は0.45002g/mlで、反応時
間は0.18秒であった。得られた試料を分析した所、
ジグリシン濃度は2.21mM、ジケトピペラジン濃度
は3.26mM、及びトリグリシン濃度は0.048m
Mであった。
【0022】実施例6 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応管の長さを500cmとし、反応
管体積は0.982mlであり、反応温度を330℃及
び流速を5ml/minとした。反応時の密度は0.6
811g/mlで、反応時間は8.0秒であった。得ら
れた試料を分析した所、ジグリシン濃度は1.76m
M、ジケトピペラジン濃度は2.31mM、及びトリグ
リシン濃度は0.028mMであった。
【0023】実施例7 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、流速を5ml/min、及び反応温度
を275℃とした。反応時の密度は0.7850g/m
lで、反応時間は3.15秒であった。得られた試料を
分析した所、ジグリシン濃度は0.11mM、及びジケ
トピペラジン濃度は0.05mMであった。
【0024】実施例8 実施例7と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応温度を325℃とした。反応時の
密度は0.6928g/mlで、反応時間は2.78秒
であった。得られた試料を分析した所、ジグリシン濃度
は0.61mM、ジケトピペラジン濃度は0.91m
M、トリグリシン濃度は0.003mM、及びテトラグ
リシン濃度は0.001mMであった。
【0025】実施例9 実施例1と同様にしてグリシン水溶液を反応させた。た
だし、グリシン濃度を500mM及び反応温度を319
℃とした。反応時の密度は0.7059g/mlで、反
応時間は0.94秒であった。得られた試料を分析した
所、ジグリシン濃度は5.73mM、ジケトピペラジン
濃度は4.29mM、トリグリシン濃度は0.028m
M、テトラグリシン濃度は0.012mM、及びペンタ
グリシン(pentaglycine)濃度は0.00
5mMであった。グリシン濃度を濃くするとペプチド結
合が生じやすいことが判る。
【0026】実施例10 実施例9と同様にして500mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、反応温度を371℃とした。反応時の
密度は0.53334g/mlで、反応時間は0.71
秒であった。得られた試料を分析した所、ジグリシン濃
度は10.88mM、ジケトピペラジン濃度は30.3
7mM、トリグリシン濃度は0.57mM、及びテトラ
グリシン濃度は0.055mMであった。
【0027】実施例11 実施例3と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、流通速度を90ml/minとして反
応させた。反応時間は0.04秒であった。得られた試
料を分析した所、ジグリシン濃度は1.93mM、ジケ
トピペラジン濃度は2.91mM、及びトリグリシン濃
度は0.042mMであった。
【0028】実施例12 実施例1と同様にして100mMグリシン水溶液を反応
させた。ただし、流通速度を1ml/minとして反応
させた。反応時間は13.88秒であった。得られた試
料を分析した所、ジグリシン濃度は1.43mM、ジケ
トピペラジン濃度は1.78mM、及びトリグリシン濃
度は0.023mMであった。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、260
℃以上の高温熱水中に反応基質として所定の濃度のアミ
ノ酸を存在させオリゴペプチドを合成することを特徴と
するオリゴペプチドの製造方法に係るものであり、本発
明により、1)極めて短時間(反応時間0.04〜20
秒)でオリゴペプチドが生成する、2)反応基質の濃度
を上げることにより、より鎖長の長いオリゴペプチドを
合成することができる、3)反応系において、反応温
度、反応管体積、反応基質の濃度、反応時間等を調節す
ることにより、多様なオリゴペプチドが生成する、4)
触媒の添加やアミノ酸の活性化処理をすることなく、ア
ミノ酸をオリゴペプチドに変換することができる、5)
ペプチド合成の新しい方法として有用である、という格
別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた流通式高温・高圧反応装置の説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥居 一雄 宮城県仙台市太白区西中田1丁目19番13 号 (56)参考文献 Science,Vol.283,No. 5403(1999)p.831−833 化学工学会第32回秋季大会研究発表講 演要旨集(1999)p.635 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed CA(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温熱水中の0.04〜20秒程度の短
    時間反応によってアミノ酸からオリゴペプチドを効率的
    に合成する方法であって、260℃以上の高温熱水中に
    反応基質として所定の濃度のアミノ酸を存在させオリゴ
    ペプチドを合成することを特徴とするオリゴペプチドの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 高温熱水中の0.04〜20秒程度の短
    時間反応によって当該反応系に反応基質として添加され
    たアミノ酸及びオリゴペプチドから、より鎖長の長いオ
    リゴペプチドを合成する方法であって、260℃以上の
    高温熱水中に反応基質として所定の濃度のアミノ酸及び
    オリゴペプチドを存在させ、より鎖長の長いオリゴペプ
    チドを合成することを特徴とするオリゴペプチドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 反応基質のアミノ酸の濃度を調節するこ
    とによって、鎖長の異なるオリゴペプチドを合成するこ
    とを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のオ
    リゴペプチドの製造方法。
  4. 【請求項4】 反応系の温度を調節することによって、
    鎖長の異なるオリゴペプチドを合成することを特徴とす
    る請求項1〜2のいずれか1項に記載のオリゴペプチド
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 0〜20秒の間で反応時間を調節するこ
    とによって、鎖長の異なるオリゴペプチドを合成するこ
    とを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のオ
    リゴペプチドの製造方法。
  6. 【請求項6】 温度260−450℃の高温熱水状態で
    合成反応を行うことを特徴とする請求項1〜2のいずれ
    か1項に記載のオリゴペプチドの製造方法。
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