JP3530463B2 - 光導波路 - Google Patents

光導波路

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JP3530463B2 JP2000167338A JP2000167338A JP3530463B2 JP 3530463 B2 JP3530463 B2 JP 3530463B2 JP 2000167338 A JP2000167338 A JP 2000167338A JP 2000167338 A JP2000167338 A JP 2000167338A JP 3530463 B2 JP3530463 B2 JP 3530463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路に関する
ものであり、さらに詳しくは光導波路中の光のフィール
ドの形状を変化させるための光導波路に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光通信の急速な進展に伴い、光導波路部
品の高機能化・経済化への要求が高まっている。光導波
路部品を高機能化する、あるいは経済化するためには、
光導波路の光の閉じ込めを強くすることが有効である。
【0003】光の閉じ込めを強くすれば、光導波路の曲
げ半径を小さくでき、寄り添う光導波路の間隔を狭くで
き、かつ光導波路要素のそれぞれのサイズを小さくでき
る。この結果、光導波路部品の大きさを小さくできるの
で、多くの機能を集積化した光回路を製造することが可
能となり、あるいは一回の工程で製造できる光導波路部
品の数を多くすることが可能となる。
【0004】しかしながら、光の閉じ込めを強くする
と、光導波路部品と、光ファイバを始めとするその他の
光部品との結合損夫が大きくなるという問題がある。
【0005】従来、光導波路部品と他の光部品との結合
損失を低減するために光のフィールドを変化させる構造
として、(1)コアの幅だけを広げる横方向テーパ光導
波路、(2)コアの幅とともに高さを広げる縦・横方向
テーパ光導波路、(3)通常のコア層の上に第2のコア
層を作製する2層テーパ光導波路、(4)コアの屈折率
をドーパント(添加剤)の拡散現象等を用いて徐々に変
化させる屈折率変化光導波路、(5)屈折率の異なる異
種のコアを互いに入り組むように構成する断熱光導波路
構造変換等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの構造により、
光導波路部品と他の光部品との結合損失の低減が実現さ
れているが、実用化には次のような課題があった。
【0007】即ち、(1)の構造は通常の光導波路の製
造工程だけで形成できるが、光のフィールドを横方向に
しか広げないため、接続損失が小さくできないという問
題があった。また、(2)乃至(5)の構造では、光の
フィールドを横方向だけでなく縦方向にも広げるために
接続損失を低減できるが、付加的で複雑な製造工程が必
要であるという問題があった。このような付加的な製造
工程が加わると、単に光導波路部品の価格が高くなるだ
けでなく、光導波路部品自身の性能も劣化する可能性が
あって歩留まりが悪くなるという問題があった。
【0008】図1は前述した(1)の構造、即ち従来の
横方向テーパ光導波路による結合損失の低減構造を示す
もので、基板1上にテーパ光導波路11と入出力用光導
波路12とが形成されている。この場合、図面の左方向
から入力された光は、テーパ光導波路11により横方向
に広げられて、入出力用光導波路12より外に出力す
る。
【0009】また、図2は従来の横方向テーパ光導波路
の端部における光のフィールドの断面形状を示すもので
あり、基板1上に、下部クラッド111、横方向に幅を
広げられたコア112及び上部クラッド113が形成さ
れてなっている。この場合の光のフィールド114は、
図示するように、主に横方向にだけ広がった形となり、
縦方向には広がらないため、横も縦も広い光ファイバ中
のフィールドと形状が一致せず、損失が発生する。
【0010】例えば、コアとクラッドとの比屈折率差が
1.5%、高さ4.3μm、幅4.0μmの矩形のコア
を有する石英系光導波路では、通常の光ファイバとの接
続損失は一点あたり約1.5dBとなる。この石英系光
導波路において図1に示した横方向テーパ光導波路を適
用して、入出力端部でコア幅を12μm程度まで広げれ
ば、接続損失はおよそ一点あたり0.8dBまで低減で
きる。しかし、一点あたりの接続損失が0.8dBある
と入出力での接続損失は1.6dBとなり、30%もの
光が入出力で失われることになる。
【0011】本発明の目的は、簡易な構造で光のフィー
ルドの形状を横方向及び縦方向に拡大でき、結合損失を
低減できる光導波路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1では、基板上にクラッド及びコ
アが形成されてなる光導波路において、前記光導波路の
一部が、コアの幅をなめらかに拡大するテーパ光導波路
と、該テーパ光導波路の一端に接続された第2の光導波
路とよりなり、前記第2の光導波路は、前記基板面内に
並列配置された幅及び間隔が光の伝播方向に一定の少な
くとも3つのコア層からなり、各コア層は光が閉じ込め
られないような薄さを有し、前記テーパ光導波路では光
のフィールドを横方向に拡大し、前記第2の光導波路で
は光のフィールドを縦方向に拡大することを特徴とする
光導波路を提案する。
【0013】前記構成によれば、テーパ光導波路の一端
に接続される第2の光導波路を、基板面内に並列配置さ
れた幅及び間隔が光の伝播方向に一定の少なくとも3つ
コア層からなり、各コア層は光が閉じ込められないよ
うな薄さを有するものとすることで、コアにおける光の
閉じ込めを局所的に弱くし、これによって光のフィール
ドを縦に広げることができ、テーパ光導波路による光の
フィールドを横に広げる効果と相俟って、光のフィール
ドを縦と横にそれぞれ広げることができる。
【0014】また、本発明の請求項2では、前記第2の
光導波路のコア前記クラッドに覆われていることを
特徴とする請求項1記載の光導波路を提案する。
【0015】前記構成によれば、通常の光導波路の製造
工程と同一の工程で、本発明の光導波路を製造すること
ができる。
【0016】また、本発明の請求項3では、前記第2の
光導波路のテーパ光導波路に接続されない一端が開放端
であることを特徴とする請求項1また2記載の光導波
路を提案する。
【0017】前記構成によれば、光ファイバを始めとす
る他の光部品との接続損失の小さな光導波路を提供する
ことができる。
【0018】また、本発明の請求項4では、前記光導波
路が石英系光導波路であることを特徴とする請求項1乃
至3いずれか記載の光導波路を提案する。
【0019】前記構成によれば、作製が容易で安定な光
導波路構造を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0021】なお、以下に説明する実施の形態では、光
導波路としてシリコン基板上に形成した矩形の断面を有
する石英系光導波路を使用した光導波路について説明す
る。これは、この組み合わせが安定で制御性の良い光導
波路を提供できるからである。しかしながら、本発明は
この例に限定されるものではない。
【0022】図3は本発明の光導波路の実施の形態の一
例を示すものである。
【0023】図3に示すように、本実施の形態の光導波
路20は、シリコン基板上2に形成された、コアの幅を
なめらかに拡大するテーパ光導波路21と、該テーパ光
導波路21の一端に接続された第2の光導波路(以下、
光フィールド変換用光導波路と呼ぶ。)22とよりなっ
ている。また、光フィールド変換用光導波路22は、基
面内に並列配置された幅及び間隔が光の伝播方向に一
定の少なくとも3つのコア層からなり、各コア層は光が
閉じ込められないような薄さを有している
【0024】ここで、本実施の形態では、光フィールド
変換用光導波路22のコアがクラッドに覆われている
について説明する。これは、この組み合わせが通常の光
導波路の製造と全く同じ工程での、本発明の光導波路の
製造を可能にするからである。しかしながら、本発明は
この例に限定されるものではなく、クラッドともコアと
も異なる材料を用いて多層構造を構成することも、もち
ろん可能である。
【0025】また、本実施の形態では、光導波路20が
光導波路の端部にある、即ち光フィールド変換用光導波
路22のテーパ光導波路21に接続されない一端が開放
端である例を示しているが、これはこの配置が光ファイ
バ等の他の光部品との接続損失を低減できる光導波路を
提供できるからである。しかしながら、本発明はこの例
に限定されるものではなく、光導波路20は中央にあっ
ても良い。
【0026】例えば、異種の光導波路を基板上に形成す
るような場合には、光導波路20を異種光導波路の境界
付近に配設することで、これら光導波路間の接続損失を
低減することが可能となる。さらに、光導波路に溝を設
けてフィルタや波長板等の他の部品を搭載するような場
合にも、光導波路20を溝の近辺に配設することで、溝
における回折損失を抑制することができる。このよう
に、光導波路20は光導波路端部にあっても良く、ま
た、光導波路中央部にあっても良い。
【0027】さらに、本実施の形態の光導波路20で
は、テーパ光導波路21と光フィールド変換用光導波路
22がそれぞれ独立にあるとしたが、本発明はこの例に
限定されるものではなく、例えば光フィールド変換用光
導波路が横方向に幅をなめらかに変化させるテーパ光導
波路となっていても、もちろん良い。
【0028】さて、図1の実施の形態において、導波路
の比屈折率は1.5%とし、導波路の厚みは4.3μ
m、テーパ光導波路21の入力用光導波路側の幅は4.
0μm、出力用光導波路側の幅は11μm、光フィール
ド変換用光導波路22のコアの層数は5とし、コア材料
の層の幅は1μm、クラッド材料の層の幅は2μmとし
た。
【0029】このようにすると、光フィールド変換用光
導波路22では、光はコアの屈折率とクラッドの屈折率
との平均の屈折率を感じるために、光のフィールドは縦
方向にも広がることとなり、光ファイバを始めとする比
較的光の閉じ込めの弱い光部品との接続損失を低減する
ことが可能となる。
【0030】図4は本実施の形態の光導波路の製造工程
を示すもので、以下、工程順に説明する。
【0031】(a)基板2としてシリコン基板を用い、
基板2上に下部クラッド221と、コア層222とを火
炎堆積法により形成する。
【0032】火炎堆積法はSiCl4を主成分とするガ
ラス形成原料ガスにより、酸水素バーナーの火炎内でS
iO2を主成分とするガラス微粒子を形成し、基板にガ
ラス微粒子層を堆積する方法であり、堆積したガラス微
粒子層を基板とともに電気炉で加熱して、透明なガラス
膜を形成する。
【0033】始めに、基板2上に下部クラッド221用
ガラス微粒子を堆積し、コア層222用ガラス微粒子を
堆積した後、電気炉にて透明ガラス化した。コア層22
2用ガラス微粒子層には、屈折率を高くするためにGe
2を添加している。
【0034】(b)コア層222の不要部分を反応性イ
オンエッチング法により除去して、櫛の歯状のコア22
2aを形成する。
【0035】(c)下部クラッド221と同等の屈折率
を有する上部クラッド223を、コア222aを覆うよ
うに形成する。上部クラッド223の形成には、再度、
火炎堆積法によりガラス微粒子を堆積し、電気炉で加熱
した。
【0036】以上説明した本実施の形態の光導波路の製
造工程は、通常の石英系光導波路の製造工程とほぼ同じ
である。本実施の形態の光導波路は、余分な製造工程を
必要とすることなく実現できる利点を有する。
【0037】ここで、多層構造のコアを備えた光フィー
ルド変換用光導波路22において、光がコアの屈折率と
クラッドの屈折率との平均値を感じるためには、コアの
材料からなる層を光が閉じ込められないような薄さにす
ることが必要である。石英系光導波路のようにコアとク
ラッドとの屈折率差が比較的小さな光導波路では、この
必要な薄さが大きくて済むので、作製に対する負担が極
めて小さいという特徴がある。
【0038】図5は、前記作製した本実施の形態の光導
波路と、比屈折率0.3%を有する通常の光ファイバと
の接続損失を測定した結果を示すものである。接続損失
の再現性を確認するために同じ構造を33個作製し、そ
れぞれTM,TEの各モードについて接続損失を測定し
た。平均損失は約0.45dBであり、偏波依存性は
0.1dB以下、ばらつきは0.1dB以内であった。
従来のテーパ光導波路を用いる手法と比べて、約0.3
5dBの改善が得られていることが分かる。
【0039】また、図6は前記作製した本実施の形態の
光導波路の端部における光のフィールドの断面形状を示
すものである。図6に示すように、本実施の形態の光導
波路端部での断面には、基板2上に、下部クラッド22
1と、コア222aと、上部クラッド223とが配設さ
れている。この時、コアがクラッドに覆われているの
で、光のフィールド224は横だけでなく縦にも広が
り、光ファイバ中の横も縦も広い光のフィールドとほぼ
形状が一致するので、上述のような損失の低減が図れ
る。
【0040】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、光の閉じ込めの強い光導波路において、光ファイ
バ等の他の光部品との接続損失を簡易に低減することが
できる光導波路を提供することができ、量産性、機能性
に富んだ低損失で実用的な光導波路部品を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の横方向テーパ光導波路を示す説明図
【図2】従来の横方向テーパ光導波路における光のフィ
ールドの断面形状を示す説明図
【図3】本発明の光導波路の実施の形態の一例を示す説
明図
【図4】本実施の形態の光導波路の製造工程を示す説明
【図5】本実施の形態の光導波路と通常の光ファイバと
の接続損失の測定結果を示す図
【図6】本実施の形態の光導波路における光のフィール
ドの断面形状を示す説明図
【符号の説明】
2:基板、20:光導波路、21:テーパ光導波路、2
2:光フィールド変換用光導波路、221:下部クラッ
ド、222a:コア、223:上部クラッド、224:
光のフィールド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 彰夫 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 田中 拓也 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−194536(JP,A) 特開 平8−146248(JP,A) 特開 平7−174929(JP,A) 特開 平10−90537(JP,A) 特開 平3−288102(JP,A) 特開 平10−221554(JP,A) 特開 平5−323139(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/12 - 6/14 H01S 5/022 - 5/026

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にクラッド及びコアが形成されて
    なる光導波路において、 前記光導波路の一部が、コアの幅をなめらかに拡大する
    テーパ光導波路と、該テーパ光導波路の一端に接続され
    た第2の光導波路とよりなり、 前記第2の光導波路は、前記基板面内に並列配置された
    幅及び間隔が光の伝播方向に一定の少なくとも3つのコ
    ア層からなり、各コア層は光が閉じ込められないような
    薄さを有し、 前記テーパ光導波路では光のフィールドを横方向に拡大
    し、前記第2の光導波路では光のフィールドを縦方向に
    拡大する ことを特徴とする光導波路。
  2. 【請求項2】 前記第2の光導波路のコア層は前記クラ
    ッドに覆われておることを特徴とする請求項1記載の光
    導波路。
  3. 【請求項3】 前記第2の光導波路のテーパ導波路に接
    続されていない一端が開放端であることを特徴とする請
    求項1または2記載の光導波路。
  4. 【請求項4】 前記光導波路が石英系光導波路であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の光導波
    路。
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